【解決手段】加湿装置1には、水を貯留する加熱タンク2が設けられる。加熱タンク2には、ボイラ100で発生した一次蒸気を導入して二次蒸気を発生させる加熱コイル21が設置されている。加熱タンク2には、水位が一定となるように給水タンク3から水が供給される。二次蒸気の発生によって濃縮した加熱タンク2内の水は、排水管13から排水される。排水制御部7は、一次蒸気の供給量を特定する情報を制御装置110から取得し、その情報に基づいて加熱タンク2における二次蒸気発生量ynを算出し、二次蒸気発生量ynに応じて排水管13からの水の排出量を制御する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る加湿装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
[第1の実施形態]
[1.構成]
本発明の加湿装置は、外部機器から一次蒸気の供給を受けるものである。本実施形態では、
図1に示すように、外部機器として、タンク内部に備えられた加熱源により水を加熱して蒸気を発生させるボイラ100を使用する例を説明する。加湿装置1は、一次蒸気供給管40及び循環管42の2つの配管によって、ボイラ100と連通可能に設置される。一次供給管40の途中には蒸気制御弁45が設けられており、この蒸気制御弁45に接続する制御装置110が、蒸気制御弁45の開度及び開閉時間を制御することによって、ボイラ100から加湿装置1への一次蒸気供給量を調整する。
【0023】
例えば、病院や工場等の施設内部が加湿対象空間である場合には、ボイラ100及び加湿装置1は、例えば施設の空調を管理する空調室に配置することができる。加湿対象空間には、ヒューミディスタット等の湿度検出装置9が設置されており、この装置によって検出された加湿対象空間の湿度情報は、制御装置110に送信される。制御装置110は受信した加湿対象空間の湿度情報から必要加湿量を算出し、その必要加湿量に基づいて加湿装置1に供給する一次蒸気の量を決定する。制御装置110は、決定した一次蒸気供給量に基づいて蒸気制御弁45の開閉を制御する開閉制御信号S1を生成して、蒸気制御弁45に入力する。
【0024】
加湿装置1は、ボイラ100から一次供給管40を介して供給された一次蒸気の熱を用いて水を加熱し、二次蒸気を発生させる。加湿装置1は、貯留部としての加熱タンク2、加熱部としての加熱コイル21、排水部としての排水管13、給水部としての給水タンク3、および制御部5を備えている。
【0025】
加熱タンク2は、両端有底の筒状容器であり、その内部に水を貯留する。加熱コイル21は内部が空洞となった螺旋状のパイプ部材であり、加熱タンク2内部に水に浸漬するように配設されている。加熱コイル21の一端は加熱タンク2の蓋面に設けられた一次蒸気導入口41に連結している。一次蒸気導入口41は一次蒸気供給管40に連結している。ボイラ100から供給された一次蒸気は、一次蒸気供給管40及び一次蒸気導入口41を介して、加熱コイル21内部に導入される。一次蒸気の熱は加熱コイルを介して加熱タンク2内の水に伝達され、二次蒸気が発生する。加熱コイル21を螺旋状とすることによって、水との接触面積を大きくすることができる。
【0026】
二次蒸気との熱交換により、加熱コイル21内部に導入された一次蒸気は凝縮水となる。加熱コイル21の他端は加熱タンク2の蓋面に設けられた凝縮水排出口43に連結している。凝縮水排出口43は循環管42に連結しており、凝縮水は、この凝縮水排出口43から排出され、循環管42を通ってボイラ100に戻される。
【0027】
加熱タンク2の天井面には蒸気孔22が設けられている。蒸気孔22はホース23に連結し、タンク内で発生した二次蒸気は蒸気孔22及びホース23を介して加湿対象空間に導入されるようになっている。
【0028】
給水タンク3は、加熱タンク2へ供給する水を貯留する容器である。給水タンク3と加熱タンク2とは、補給水管11と均圧管12の、2系統の管によって連通している。補給水管11は、一端が給水タンク3の底面に接続されるとともに他端は加熱タンク2の側面に接続され、給水タンク3から加熱タンク2に水が流入可能となっている。均圧管12は、一端が給水タンク3の側面の天井近傍に接続され、他端は加熱タンク2の側面上部に接続されている。この均圧管12により、加熱タンク2内と給水タンク3内の空気圧は均等に分配されることになり、両タンク内の水位は等しくなる。
【0029】
給水タンク3の内部には、給水タンク3内の水位を一定に維持するように、外部からの給水量を規制する自動給水栓31が設けられている。この自動給水栓31は、例えば、水位に応じて上下する浮き子の動作に連動して弁の開度が調整されるボールタップ給水方式の給水栓である。給水タンク3は、加熱タンク2の水位が低下すると、両タンクの水位を一致させるように補給水管11を介して加熱タンク2へ水を流入させて水位が低下する。自動給水栓31は、この水位低下を検出し、給水タンク3内の水位を所定の水位に戻すように外部から水を取り込む。このようにして、給水タンク3は加熱タンク2内の一定水位に維持する。
【0030】
排水管13は、一端が加熱タンク2の下部に接続され、他端は加湿装置1の外部へと引き出されている。この排水管13には加熱タンク2内の水の排出を規制する排水弁4が設けられている。排水弁4は、制御部5によって開閉操作若しくは開度調整が行われる。この排水弁4としては、例えば、電磁弁を使用することができる。
【0031】
制御部5は、例えば、専用の電子回路若しくは所定のプログラムで動作するマイクロコントローラ(MCU)から構成する。制御部5は通信装置8を備えており、有線又は無線により蒸気制御弁45の制御装置110と通信可能となっている。制御部5は、制御装置110が生成する開閉制御信号S1を所定間隔ごとに受信する。
【0032】
図2に示すように、制御部5は、加熱タンク2内部の水の排出の制御を行う排水制御部7を備えている。排水制御部7は、開閉制御信号S1に含まれる一次蒸気供給量を特定する情報を用いて排水制御を行う。一次蒸気供給量を特定する情報とは、一次蒸気供給量そのものであっても良く、あるいは蒸気制御弁45の開度や開放時間等の、一次蒸気供給量を算出できる情報であっても良い。
【0033】
排水制御部7は、取得部71、二次蒸気発生量算出部73、積算部77、排水量算出部74、出力部72、計時部76及び記憶部75を有している。計時部76は時刻を計測するものであり、例えば、タイマーやリアルタイムクロックで構成することができる。
【0034】
記憶部75は、排水制御に必要な各種データを格納している。本実施形態では、水の排出は一定周期で行い、加湿装置1の稼働率に応じて排水時間、すなわち排水量を変化させる制御を行う。そのために、記憶部75は、基準二次蒸気発生量、必要排水量及び排水周期のデータを記憶している。
【0035】
基準二次蒸気発生量とは、加熱タンク2から排水を行う指標となる二次蒸気発生量を意味する。上述したように、加熱タンク2の水の蒸発が進み、蒸発した分の水量を給水タンク3から補充すると、加熱タンク2内の水に含まれる不純物が濃縮し、スケールが析出して加湿性能の低下を招くこととなる。基準二次蒸気発生量は、二次蒸気の上限発生量以下とすることが望ましい。上限発生量とは、排水を行わずに二次蒸気を発生させ続けると加湿性能の低下を招く可能性がある量を意味する。この基準二次蒸気発生量は、加熱タンク2の水の貯蔵量、給水タンク3からの給水量、給水水質、許容濃度等を考慮して決定することができる。
【0036】
必要排水量は、基準二次蒸気発生量において必要とされる加熱タンク2からの排水量を意味し、給水量に対する排水量の割合、すなわちブロー率を考慮して決定することができる。排水周期は、加湿装置1が最大稼動した場合の単位時間当たりの二次蒸気発生量から、基準二次蒸気発生量に到達する時間を基準として決定することができる。なお、加湿装置1の最大稼動する状態とは、ボイラ100からの単位時間当たりの一次蒸気供給量が最大となった状態をいう。一次蒸気供給量と二次蒸気発生量はほぼ一定の比例関係にあるためである。
【0037】
また、記憶部75は、一次蒸気供給量と二次蒸気発生量との相関データも記憶している。これは、ボイラ100から供給される一次蒸気供給量から加湿装置1で発生する二次蒸気発生量を導き出せるデータであれば良い。上述したように、一次蒸気供給量と二次蒸気発生量はほぼ一定の比例関係にあるため、相関データは、例えば、一次蒸気供給量と二次蒸気発生量の関係式としても良い。あるいは、一定範囲ごとの一次蒸気供給量と、各範囲に対応する二次蒸気発生量を示したテーブルであっても良い。
【0038】
取得部71は、通信装置8において受信した蒸気制御弁45の開閉制御信号S1から、一次蒸気供給量を特定する情報を取得する。情報の取得は、排水周期の一サイクルに該当する一定期間において、所定間隔ごとに行う。
【0039】
二次蒸気発生量算出部73は、記憶部75の相関データを参照して、取得部71において取得した一次蒸気供給量から、加湿装置1における二次蒸気発生量を算出する。算出した二次蒸気発生量は、記憶部75に一時的に記憶させる。
【0040】
積算部77は、計時部76によって計測される時間と、記憶部75に記憶されている排水周期とを参照して、排水周期に該当する一定期間において算出した二次蒸気発生量を積算し、一定期間の合計の二次蒸気発生量を求める。
【0041】
排水量算出部74は、記憶部75の基準二次蒸気発生量を参照し、一定期間の合計の二次蒸気発生量の基準二次蒸気発生量に対する比率を求める。この比率は、加湿装置1の、最大稼動(100%)に対する一定期間における稼働率を意味する。排水量算出部74は、次に、記憶部75に記憶されている必要排水量にこの稼働率を掛けることで、その一定期間において必要な排水量(以下、「期間排水量」という)を算出する。
【0042】
出力部72は、排水量算出部74で算出された期間排水量が加熱タンク21から排出されるように、排水管13の排水弁4の開閉制御信号S2を生成して出力する。具体的には、期間排水量と排水弁4の排水速度から、排水弁4の開放時間を算出して、この開放時間を開閉制御信号S2の指令値とする。
【0043】
[2.動作]
次に、上述の構成を有する加湿装置1の動作例を、
図3のフローチャートを参照して説明する。記憶部75は、基準二次蒸気発生量Y’、必要排水量D’、排水周期Tを記憶している。また、一次蒸気供給量x(kg/h)と二次蒸気発生量y(kg/h)との相関関係を示すデータとして、例えば、以下の関係式を記憶している。
y=x×0.8
【0044】
ここで、排水周期Tに該当する一つの期間Txにおいて、排水制御を行う例を説明する。加湿対象空間に設置された湿度検出装置9は、所定間隔の時間t(Tx>t)ごとに加湿対象空間の湿度を検出している。期間Tx内の時刻tn(nは1以上の整数)において、湿度検出装置9で検出された湿度Hが、蒸気制御弁45に接続する制御装置110に入力される。制御装置110は、入力された湿度Hに基づいて、一次蒸気供給量xnを決定し、この一次蒸気供給量xnを含む開閉制御信号S1を生成する。生成した信号は、蒸気制御弁45に入力されると同時に、加湿装置1にも送信される。
【0045】
加湿装置1の制御部5の通信装置8は、制御装置110が生成した開閉制御信号S1を受信する(ステップS01)。
【0046】
まず、制御部5の排水制御部7は、n=1とする初期化処理を実行する(ステップS02)。取得部71は、計時部76によって入力される時刻から時間tが経過したかを判断し、経過していなければ(ステップS03:No)、待機状態を維持する。時間tが経過していれば、(ステップS03:Yes)、取得部71は通信装置8において受信したボイラ100の開閉制御信号S1から、時間tnにおける一次蒸気供給量xnを取得する(ステップS04)。
【0047】
二次蒸気発生量算出部73は、記憶部75に記憶されている上記の一次蒸気供給量xと二次蒸気発生量yの関係式を参照して、取得部71において取得した一次蒸気供給量xnから、時刻tnにおける二次蒸気発生量ynを求める(ステップS05)。算出した二次蒸気発生量ynは、記憶部75に一時的に記憶しておく。
【0048】
計時部76によって入力される時刻を参照し、期間Txが経過していなければ(ステップS06:No)、n=n+1の加算処理を行い(ステップS07)、ステップS03に戻って、次の時刻tnについても、二次蒸気発生量ynの算出を行う(ステップS03〜ステップS05)。
【0049】
期間Txが経過していれば(ステップS06:Yes)、積算部77は記憶した期間Tx内の各時刻の二次蒸気発生量ynを積算して、次の式(1)により、期間Txにおける合計の二次蒸気発生量Yを求める(ステップS08)。
【数1】
【0050】
排水量算出部74は、記憶部75から基準二次蒸気発生量Y’を参照し、次の式(2)によって期間Txの二次蒸気発生量Yの基準二次蒸気発生量Y’に対する比率、すなわち加湿装置1の稼働率Pを算出する(ステップS09)。
P=Y/Y’ …(2)
【0051】
排水量算出部74は、記憶部75を参照して、次の式(3)の通り、必要排水量D’に稼働率Pを掛け合わせることで、期間Txにおける期間排水量Dを算出する(ステップS10)。
D=D’×P …(3)
【0052】
出力部72は、この期間排水量Dと排水弁4の排水速度Rから、次の式(4)によって、排水管13の排水弁4の開放時間Oを算出する。
O(s)=D(L)/R(L/s) …(4)
出力部72は、算出した開放時間Oを指令値として含む開閉制御信号S2を生成して出力する(ステップS11)。
【0053】
排水弁4は開放時間の指令に従って、期間排水量Dの水を加熱タンク2内から排出する。加熱タンク2には給水タンク3から排出された量の水が供給され、加熱タンク2内部の水位は一定に保たれる。
【0054】
上述の処理を行うことによって、加湿装置1の稼働状態に応じて排水量が調節される。特に、加湿対象空間の湿度が十分であり、加湿装置1の運転を絞った状態にした場合に、排水量を削減することで無駄な排水を抑えることができる。
【0055】
ここで、
図4に、加湿装置1の稼働状況の変化に対応した排水制御の具体例を示している。
図4(a)は、加湿装置1が最大稼動している場合、すなわち稼働率100%の場合の排水制御の例を示している。加湿装置1が最大稼動する場合、排水周期である期間Tx(10分)ごとに排水弁4を10秒間開放して排水を行って、基準二次蒸気発生量Y’における必要排水量D’と同じ量が排水されるようにする。
【0056】
一方、
図4(b)は、加湿装置1が稼働率50%の場合の排水制御の例を示している。この場合、一次蒸気供給量は最大稼動時の1/2となり、それに比例して二次蒸気発生量も1/2となる。そのため、排水周期である期間Tx(10分)ごとの期間排水量Yは、最大稼動時の1/2となる。それに伴って、期間Txごとの排水弁4の開放時間Oは、
図4(a)の半分の5秒となるように制御される。このように、本実施形態の加湿装置1では、稼動率に応じた排水量の制御がなされ、無駄な排水が防止される。
【0057】
[3.効果]
本実施形態の加湿装置1は、外部機器のボイラ100に接続している。加湿装置1は加熱タンク2と、加熱タンク2に設けられた加熱コイル21を備える。加熱コイル21は、ボイラ100で発生した一次蒸気を加熱タンク2内に導入して、熱交換により水から二次蒸気を発生させる。加湿装置1は更に、加熱タンク2における水位が一定となるように、加熱タンク2に水を供給する給水タンク3と、二次蒸気の発生によって不純物が濃縮する水の少なくとも一部を加熱タンク2から排出する排水管13と、排水管13からの水の排出量を制御する排水制御部7とを備える。排水制御部7は、ボイラ100における一次蒸気供給量に関する情報を取得し、その情報に基づいて加熱タンク2における二次蒸気発生量を算出し、二次蒸気発生量に応じて排水管13からの水の排出量を制御する。
【0058】
このような構成により、加熱源となるヒータ等が備えられていない間接式の加湿装置1においても、加熱源となる一次蒸気の供給量を制御する外部制御装置の情報を取得して二次蒸気発生量を算出することで、加湿装置1での二次蒸気発生量に応じて、適切に排水量を制御することができる。これによって、無駄な排水を防ぎ、経済性に優れた加湿装置1を提供することができる。
【0059】
より具体的には、排水制御部7は、一次蒸気供給量xと二次蒸気発生量yとの相関データと、加熱タンク2から水を排出する基準となる基準二次蒸気発生量Y’と、基準二次蒸気発生量Y’に対応する必要排水量D’とを記憶する記憶部75を備えている。排水制御部7の取得部71は、一次蒸気供給量xnを特定する情報を、時間tごとに取得する。二次蒸気発生量算出部73は、相関データに基づいて、一次蒸気供給量xnから時間tごとの二次蒸気発生量ynを算出する。積算部77は、二次蒸気発生量算出部73が算出した時間tごとの二次蒸気発生量ynを一定期間Tx分積算する。排水量算出部74は、一定期間Txにおける二次蒸気発生量Yの基準二次蒸気発生量Y’に対する比率に基づいて、必要排水量D’から一定期間Tにおける期間排水量Dを算出する。出力部72は、排水量算出部74で算出した期間排水量Dを排出するように排水管13の排水弁4を制御する開閉制御信号S2を出力する。
【0060】
排水の基準となる基準二次蒸気発生量Y’と、それに対応する必要排水量D’を記憶しておくことによって、加湿装置1の稼働率Pと、その稼働率Pに適した期間排水量Dを算出することができ、正確な排水量制御が可能となる。
【0061】
[第2の実施形態]
[1.構成]
本発明の第2の実施形態に係る加湿装置1を、
図5及び
図6を参照して説明する。なお、以降の実施形態では、前述の実施形態とは異なる点のみを説明し、前述の実施形態と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0062】
第2の実施形態の全体的な構成は第1の実施形態と同様である。第1の実施形態では水の排出は一定周期で行い、稼働率に応じて排水量を変更する排水制御を行っていたが、第2の実施形態では、排水量を一定にして稼働率に応じて水の排出タイミングを変更する排水制御を行う。
【0063】
そのために、
図5に示すように、第2の実施形態の排水制御部7は、取得部71、二次蒸気発生量算出部73、積算部77、出力部72、計時部76及び記憶部75を有している。上述したように排水量は一定であるため、第1の実施形態と異なり、排水量算出部74が無い。
【0064】
記憶部75は、基準二次蒸気発生量、必要排水量及び一次蒸気供給量と二次蒸気発生量との相関データを記憶している。情報の取得は所定間隔ごとに行う。
【0065】
取得部71は、通信装置8において受信した蒸気制御弁45の開閉制御信号S1から、一次蒸気供給量を特定する情報を取得する。
【0066】
二次蒸気発生量算出部73は、記憶部75の相関データを参照して、取得部71において取得したボイラ100からの一次蒸気供給量から、加湿装置1における二次蒸気発生量を算出する。算出した二次蒸気発生量は、記憶部75に一時的に記憶させる。
【0067】
積算部77は、算出した各時刻の二次蒸気発生量を順次積算して積算値を算出する。そして、積算を行った都度、積算値を記憶部75に記憶されている基準二次蒸気発生量と比較する。
【0068】
出力部72は、二次蒸気発生量の積算値が基準二次蒸気発生量以上になると、記憶部75に記憶されている必要排水量が加熱タンク21から排出されるように、排水管13の排水弁4の開閉制御信号S2を生成して出力する。具体的には、必要排水量と排水弁4の排水速度から、排水弁4の開放時間を算出して、この開放時間を開閉制御信号S2の指令値とする。
【0069】
[2.動作]
第2の実施形態に係る加湿装置1の動作例を、
図6のフローチャートを参照して説明する。記憶部75は、基準二次蒸気発生量Y’、必要排水量D’を記憶している。また、一次蒸気供給量x(kg/h)と二次蒸気発生量y(kg/h)との相関関係を示すデータとして、以下の関係式を記憶している。
y=x×0.8
【0070】
加湿対象空間に設置された湿度検出装置9は、時間tごとに加湿対象空間の湿度を検出している。例えば、時刻tn(nは1以上の整数)において、湿度検出装置9で検出された湿度Hが、蒸気制御弁45に接続する制御装置110に入力される。制御装置110は、入力された湿度Hに基づいて、一次蒸気供給量xnを決定し、この一次蒸気供給量xnを含む開閉制御信号S1を生成する。生成した信号は、蒸気制御弁45に入力されると同時に、加湿装置1にも送信される。
【0071】
加湿装置1の制御部5の通信装置8は、制御装置110が生成した開閉制御信号S1を受信する(ステップS11)。
【0072】
まず、制御部5の排水制御部7は、n=1とする初期化処理を実行する(ステップS12)。取得部71は、計時部76によって入力される時刻から時間tが経過したかを判断し、経過していなければ(ステップS13:No)、待機状態を維持する。時間tが経過していれば、(ステップS13:Yes)、取得部71は通信装置8において受信した開閉制御信号S1から、時間tnにおける一次蒸気供給量xnを取得する(ステップS14)。
【0073】
二次蒸気発生量算出部73は、記憶部75に記憶されている上記の一次蒸気供給量xと二次蒸気発生量yの関係式を参照して、取得部71において取得した一次蒸気供給量xnから、時刻tnにおける二次蒸気発生量ynを求める(ステップS15)。算出した二次蒸気発生量ynは、記憶部75に一時的に記憶しておく。
【0074】
積算部77は、各時刻tnにおいて二次蒸気発生量ynを算出するごとに、二次蒸気発生量ynをそれまでの時刻の二次蒸気発生量ynの積算値Y2に加算する(ステップS16)。すなわち、積算部77は、次の式(5)の通り、各時刻の二次蒸気発生量ynを、二次蒸気発生量ynの算出の都度、順次積算する処理を行う。
Y2=y1+y2…yn (5)
なお、初期化直後の処理においては、二次蒸気発生量の積算値Y2はないため、二次蒸気発生量算出部73で算出した二次蒸気発生量ynをそのまま積算値Y2とする。
【0075】
積算部77は、さらに時刻tnの二次蒸気発生量ynが積算された積算値Y2と、記憶部75に記憶された基準二次蒸気発生量Y’と比較する(ステップS17)。積算値Y2が基準二次蒸気発生量Y’に満たない場合(ステップS17:No)は、n=n+1の加算処理を行い(ステップS18)、ステップS03に戻り、時間t経過後の次の時刻tnについても、一次蒸気供給量xnから二次蒸気発生量ynの算出を行い、積算値Y2に加算していく(ステップS13〜ステップS16)。
【0076】
積算値Y2が基準二次蒸気発生量Y’に達すると(ステップS17:Yes)、出力部72は、記憶部75に記憶されている必要排水量D’に基づいて排水管13の排水弁4の開放時間の指令値を含む開閉制御信号S2を生成して出力する(ステップS19)。すなわち、二次蒸気発生量の積算値Y2が基準二次蒸気発生量Y’に達したときが排水タイミングとなる。排水弁4は開閉制御信号S2に含まれる開放時間の指令に従って、期間排水量Dの水を加熱タンク2内から排出する。加熱タンク2には給水タンク3から排出された量の水が供給され、加熱タンク2内部の水位は一定に保たれる。
【0077】
上述の処理を行うことによって、加湿装置1の稼働状態に応じて排水タイミングが調節される。特に、加湿対象空間の湿度が十分であり、加湿装置1の運転を絞った状態にした場合には、排水タイミングを遅らせることで、無駄な排水を抑えることができる。
【0078】
[3.効果]
本実施形態でも、加湿装置1の排水制御部7は、ボイラ100からの一次蒸気供給量に関する情報を取得し、その情報に基づいて加熱タンク2における二次蒸気発生量を算出し、二次蒸気発生量に応じて排水管13からの水の排出量を制御する。
【0079】
このような構成により、加熱源となるヒータ等が備えられていない間接式の加湿装置1においても、加熱源となる一次蒸気を生成する外部機器の情報を取得して二次蒸気発生量を算出することで、加湿装置1での二次蒸気発生量に応じて、適切に排水量を制御することができる。これによって、無駄な排水を防ぎ、経済性に優れた加湿装置1を提供することができる。
【0080】
より具体的には、排水制御部7は、一次蒸気供給量xと二次蒸気発生量yとの相関データと、基準二次蒸気発生量Y‘と必要排水量D’とを記憶する記憶部75を有する。配水制御部7の取得部71は、ボイラ100からの一次蒸気供給量xnを特定する情報を、時間tごとに取得する。二次蒸気発生量算出部73は、相関データに基づいて、一次蒸気供給量xnを特定する情報から時間tごとの二次蒸気発生量ynを算出する。積算部77は、二次蒸気発生量算出部73で算出された時間tごとの二次蒸気発生量ynを順次積算し、積算値Y2を基準二次蒸気発生量Y’と比較する。積算値Y2が基準二次蒸気発生量Y’に達したときに、出力部72は、必要排水量D’を排出するように排水管13の排水弁4を制御する開閉制御信号S2を出力する。
【0081】
各時刻tnで算出した二次蒸気発生量ynを積算し、積算値Y2が基準二次蒸気発生量Y’に達したときを排出タイミングとすることで、適切なタイミングでの排水制御が可能となる。
【0082】
[第3の実施形態]
[1.構成]
本発明の第3の実施形態に係る加湿装置1を、
図7、
図8及び
図9を参照して説明する。
【0083】
第1及び第2の実施形態では、開閉制御信号S1を利用して加湿装置1の二次蒸気発生量を算出していた。第3の実施形態では、加熱タンク2内の温度を検出して二次蒸気発生量を算出する態様を説明する。また、第3の実施形態では、第1の実施形態と同様に、水の排出は一定周期で行い、稼働率に応じて排水量を変更する制御態様を説明する。
【0084】
図7に示すように、第3の実施形態において、加湿装置1の加熱タンク2内に、サーミスタ等の温度測定装置25が設置されている。温度測定装置25は加熱タンク2内の温度を測定する。
【0085】
第3の実施形態の制御部5の通信装置8は、温度測定装置25が検出する加熱タンク2内の温度情報を所定間隔で受信する。第3の実施形態の排水制御部7は、第1の実施形態と同様の構成を有しているが、
図8に示すように、記憶部75は、一次蒸気供給量と二次蒸気発生量との相関データに代えて、温度と二次蒸気発生量との相関データを記憶している。
【0086】
相関データは、加熱タンク2内の温度から加湿装置1で発生する二次蒸気発生量を導き出せるデータであれば良い。加湿装置1は、加熱タンク2内の水を加熱して二次蒸気を発生させるため、加熱タンク2内の温度と二次蒸気発生量には相関関係がある。例えば、加湿装置1における二次蒸気発生量が多くなれば加熱タンク2内の温度が上昇する。相関データは、例えば、加熱タンク2内の温度と二次蒸気発生量の関係式としても良い。あるいは、段階的な温度分布と、各温度分布に対応する二次蒸気発生量を示したテーブルであっても良い。
【0087】
取得部71は、通信装置8が受信する加熱タンク2の温度情報を取得する。二次蒸気発生量算出部73は、記憶部75の温度と二次蒸気発生量との相関データを参照して、取得部71において加熱タンク2の温度から、加湿装置1における二次蒸気発生量を算出する。排水制御部7のその他の部分は、第1の実施形態と同様の処理を行う。
【0088】
[2.動作]
次に、上述の構成を有する加湿装置1の動作例を、
図9のフローチャートを参照して説明する。記憶部75は、基準二次蒸気発生量Y’、必要排水量D’、排水周期Tを記憶している。また、温度z(℃)と二次蒸気発生量y(kg/h)との相関関係を示すデータとして、例えば、段階的な温度分布と、各温度分布に対応する二次蒸気発生量を示したテーブルを記憶している。
【0089】
加熱タンク2内に設置された温度測定装置25は、時間tごとに温度を検出する。一例として、期間Tx内の時刻tn(nは1以上の整数)において、温度測定装置25が温度zを検出し、加湿装置1の制御部5の通信装置8は、この温度zを含む情報を受信する(ステップS31)。
【0090】
まず、制御部5の排水制御部7は、n=1とする初期化処理を実行する(ステップS32)。取得部71は、計時部76によって入力される時刻から時間tが経過したかを判断し、経過していなければ(ステップS33:No)、待機状態を維持する。時間tが経過していれば、(ステップS33:Yes)、取得部71は通信装置8において受信した、時間tnにおける加熱タンク2内の温度zの情報を取得する(ステップS34)。
【0091】
二次蒸気発生量算出部73は、記憶部75に記憶されている上記の温度zと二次蒸気発生量yの相関テーブルを参照して、取得部71において取得した温度zから、時刻tnにおける二次蒸気発生量ynを取得する(ステップS35)。取得した二次蒸気発生量ynは一時的に記憶しておく。
【0092】
以降の処理は第1の実施形態と同様である。すなわち、期間Txにおける各時刻の二次蒸気発生量ynを算出して積算し、合計の二次蒸気発生量Yを求める(ステップS33〜ステップS38)。そして、二次蒸気発生量Yの基準二次蒸気発生量に対する比率、すなわち加湿装置1の稼働率Pを求め(ステップS39)、その稼働率Pを必要排水量D’に掛けて期間Txにおける期間排水量Dを算出する(ステップS40)。出力部72が期間排水量Dに基づいて排水弁4の開閉制御信号S2を生成して出力する(ステップS41)。
[3.効果]
本実施形態の加湿装置1は、加熱タンク2の温度を測定する温度測定装置25を更に備えている。排水制御部7は、加熱タンク2の温度に基づいて、加熱タンク2における二次蒸気発生量を算出し、二次蒸気発生量に応じて排水管13からの水の排出量を制御する。
【0093】
このような構成により、加熱源となるヒータ等が備えられていない間接式の加湿装置1においても、加熱タンク2内の温度を測定し、その温度から二次蒸気発生量を算出することで、加湿装置1での二次蒸気発生量に応じて、適切に排水量を制御することができる。これによって、無駄な排水を防ぎ、経済性に優れた加湿装置1を提供することができる。また、加湿装置1の設置環境等の要因によって一次蒸気の供給量を制御する蒸気制御弁45の制御装置110との通信が確立できない場合でも、適切な排水制御を行うことができる。
【0094】
より具体的には、排水制御部7は、加熱タンク2の温度zと二次蒸気発生量yとの相関データと、加熱タンク2から水を排出する基準となる基準二次蒸気発生量Y’と、基準二次蒸気発生量Y’に対応する必要排水量D’とを記憶する記憶部75を備える。排水制御部7の取得部71は、温度測定部から時間tごとに加熱タンク2の温度情報を取得する。二次蒸気発生量算出部73は、相関データに基づいて加熱タンク2の温度情報から時間tごとの二次蒸気発生量ynを算出する。積算部77は、二次蒸気発生量算出部73で算出した時間tごとの二次蒸気発生量ynを一定期間Tx分積算する。排水量算出部74は、一定期間Tx分の積算二次蒸気発生量Y2の基準二次蒸気発生量Y’に対する比率に基づいて、必要排水量D’から一定期間Txにおける期間排水量Dを算出する。出力部72は、排水量算出部74で算出した期間排水量Dを排出するように排水管13の排水弁4を制御する開閉制御信号S2を出力する.
【0095】
排水の基準となる基準二次蒸気発生量Y’と、それに対応する必要排水量D’を記憶しておくことによって、加湿装置1の稼働率Pと、その稼働率Pに適した期間排水量Dを算出することができ、正確な排水量制御が可能となる。
【0096】
[第4の実施形態]
[1.構成]
本発明の第4の実施形態に係る加湿装置1を、
図10及び
図11を参照して説明する。
【0097】
第4の実施形態の全体的な構成は、第3の実施形態と同様である。第3の実施形態では水の排出は一定周期で行い、稼働率に応じて排水量を変更する排水制御を行っていたが、第4の実施形態では、第2の実施形態と同様に、排水量を一定にして稼働率に応じて水の排出タイミングを変更する排水制御を行う。
【0098】
そのために、
図10に示すように、第4の実施形態の排水制御部7は、取得部71、二次蒸気発生量算出部73、積算部77、出力部72、計時部76及び記憶部75を有している。上述したように排水量は一定であるため、第3の実施形態と異なり、排水量算出部74が無い。
【0099】
記憶部75は、基準二次蒸気発生量、必要排水量、及び温度と二次蒸気発生量との相関データ、を記憶している。
【0100】
取得部71は、通信装置8が受信する加熱タンク2の温度情報を所定間隔ごとに取得する。二次蒸気発生量算出部73は、記憶部75の温度と二次蒸気発生量との相関データを参照して、取得部71において加熱タンク2の温度から、加湿装置1における二次蒸気発生量を算出する。排水制御部7のその他の部分は、第2の実施形態と同様の処理を行う。
【0101】
[2.動作]
第4の実施形態に係る加湿装置1の動作例を、
図11のフローチャートを参照して説明する。記憶部75は、基準二次蒸気発生量Y’、必要排水量D’を記憶している。また、また、温度z(℃)と二次蒸気発生量y(kg/h)との相関関係を示すデータとして、例えば、段階的な温度分布と、各温度分布に対応する二次蒸気発生量を示したテーブルを記憶している。
【0102】
加熱タンク2内に設置された温度測定装置25は、時間tごとに温度を検出する。例えば、時刻tn(nは1以上の整数)において、温度測定装置25が温度zを検出し、加湿装置1の制御部5の通信装置8は、この温度zを含む情報を受信する(ステップS51)。
【0103】
まず、制御部5の排水制御部7は、n=1とする初期化処理を実行する(ステップS52)。取得部71は、計時部76によって入力される時刻から時間tが経過したかを判断し、経過していなければ(ステップS53:No)、待機状態を維持する。時間tが経過していれば、(ステップS53:Yes)、取得部71は通信装置8において受信した、時間tnにおける加熱タンク2内の温度zの情報を取得する(ステップS54)。
【0104】
二次蒸気発生量算出部73は、記憶部75に記憶されている上記の温度zと二次蒸気発生量yの相関テーブルを参照して、取得部71において取得した温度zから、時刻tnにおける二次蒸気発生量ynを求める(ステップS55)。取得した二次蒸気発生量ynは一時的に記憶しておく。
【0105】
以降の処理は第2の実施形態と同様である。すなわち、二次蒸気発生量ynを積算して積算値Y2を求める(ステップS56)。積算値Y2が基準二次蒸気発生量Y’に達したときを排水タイミングとして、必要排水量D’が排水されるように出力部72が開閉制御信号S2を生成して出力する(ステップS57〜ステップS59)。
【0106】
[3.効果]
本実施形態の加湿装置1は、加熱タンク2の温度を測定する温度測定装置25を備える。排水制御部7は、加熱タンク2の温度に基づいて、加熱タンク2における二次蒸気発生量を算出し、二次蒸気発生量に応じて排水管13からの水の排出タイミングを制御する。
【0107】
このような構成により、加熱源となるヒータ等が備えられていない間接式の加湿装置1においても、加熱タンク2内の温度を測定し、その温度から二次蒸気発生量を算出することで、加湿装置1での二次蒸気発生量に応じて、適切に排水量を制御することができる。これによって、無駄な排水を防ぎ、経済性に優れた加湿装置1を提供することができる。また、加湿装置1の設置環境等の要因によって一次蒸気の供給量を制御する蒸気制御弁45の制御装置110との通信が確立できない場合でも、適切な排水制御を行うことができる。
【0108】
より具体的には、排水制御部7は、加熱タンク2の温度zと二次蒸気発生量yとの相関データと、加熱タンク2から水を排出する基準となる基準二次蒸気発生量Y’と、基準二次蒸気発生量Y’に対応する必要排水量D’とを記憶する記憶部75を備える。取得部71は、温度測定装置25から時間tごとに加熱タンク2の温度を取得する。二次蒸気発生量算出部73は、相関データに基づいて、加熱タンク2の温度情報から時間tごとの二次蒸気発生量ynを算出する。積算部77は、二次蒸気発生量算出部73で算出された時間tごとの二次蒸気発生量ynを順次積算し、積算値Y2を基準二次蒸気発生量Y’と比較する。積算値Y2が基準二次蒸気発生量Y’に達したときに、出力部72は、必要排水量D’を排出するように排水管13の排水弁4を制御する開閉制御信号S2出力する。
【0109】
各時刻tnで算出した二次蒸気発生量ynを積算し、積算値Y2が基準二次蒸気発生量Y’に達したときを排出タイミングとすることで、適切なタイミングでの排水制御が可能となる。
【0110】
[第5の実施形態]
[1.構成]
本発明の第5の実施形態に係る加湿装置1を、
図12及び
図13を参照して説明する。第5の実施形態の全体的な構成は、第3又は第4の実施形態と同様である。すなわち、加熱タンク2内に設置された温度測定装置25により測定した温度を排水制御に利用する。
【0111】
ただし、第5の実施形態では、測定した温度から二次蒸気発生量を求めるのではなく、二次蒸気発生の有無を判断し、二次蒸気が発生している時間の積算値に基づいて排水タイミングを決定する。なお、排水量は一定とする。この態様は、温度と二次蒸気発生量の相関データを予め用意できない場合等に好適である。
【0112】
図12に示すように、第5の実施形態の排水制御部7は、第4の実施形態の二次蒸気発生量算出部73に代えて、二次蒸気発生判定部78を有している。また、記憶部75は、加熱タンク2内での二次蒸気の発生の有無を判定するための温度閾値と、排水を行うタイミングを判定するための時間閾値、及び必要排水量を記憶している。
【0113】
時間閾値は、加湿装置1が最大運転を継続して行う場合に、二次蒸気の発生が開始してから排水を行うまでの時間である。
【0114】
取得部71は、通信装置8が受信する加熱タンク2の温度情報を所定間隔ごとに取得する。二次蒸気発生判定部78は、取得部71で取得された加熱タンク2の温度を、記憶部75の温度閾値と比較して、その時間における加湿装置1における二次蒸気発生の有無を判定する。積算部77は、二次蒸気の発生が「有り」と判定された時間を順次積算し、時間積算値を求める。そして、積算を行った都度、時間積算値と時間閾値を比較して、時間積算値が時間閾値に達したときを排水タイミングと決定する。出力部72は、積算部77において決定された排水タイミングに従って排水弁4の開閉制御信号S2を出力する。
【0115】
[2.動作]
第5の実施形態に係る加湿装置1の動作例を、
図13のフローチャートを参照して説明する。記憶部75は、温度閾値Zと、時間閾値Q、及び必要排水量D’を記憶している。また、
【0116】
ステップS61〜ステップS64の処理は、第4の実施形態のステップS51〜ステップS54と同様である。すなわち、温度測定装置25が時間tごとに加熱タンク2内の温度zを検出し、この温度zを含む情報を加湿装置1の受信装置が受信して、取得部71が取得する。
【0117】
二次蒸気発生判定部78は、記憶部75に記憶されている温度閾値Zと時刻tnにおける温度zを比較して、二次蒸気発生の有無を判定する(ステップS65)。二次蒸気の発生を「無し」と判定した場合(ステップS65:No)、n=n+1の加算処理を行い(ステップS68)、ステップS63に戻り、時間t経過後の次の時刻について同様の処理を行う。
【0118】
二次蒸気発生判定部78で二次蒸気の発生を「有り」と判定した場合(ステップS65:Yes)は、積算部77は、時刻tnから次の時刻tn+1までの時間tを、時間積算値qに加算する。(ステップS66)。時間積算値qは、時刻tnの前に二次蒸気の発生を「有り」と判定した時間tの積算値である。すなわち、積算部77は、二次蒸気の発生を「有り」と判定した各時刻の時間tを順次積算する処理を行う。なお、初期化直後、初めて二次蒸気が発生していると判定された時刻においては、時間積算値qは存在しないため、時間tがそのまま時間積算値qとなる。
【0119】
積算部77は、時間tを加算した時間積算値qと時間閾値Qとを比較する(ステップS67)。時間積算値qが時間閾値Qに満たない場合(ステップS67:No)は、n=n+1の加算処理を行い(ステップS68)、ステップS63に戻り、時間t経過後の次の時刻について同様の処理を行う。
【0120】
時間積算値qが時間閾値Qに達すると(ステップS67:Yes)、出力部72は、記憶部75に記憶されている必要排水量D’に基づいて排水管13の排水弁4の開放時間の指令値を含む開閉制御信号S2を生成して出力する(ステップS69)。すなわち、時間積算値qが時間閾値Qに達したときが排水タイミングとなる。排水弁4は開閉制御信号S2に含まれる開放時間の指令に従って、期間排水量Dの水を加熱タンク2内から排出する。加熱タンク2には給水タンク3から排出された量の水が供給され、加熱タンク2内部の水位は一定に保たれる。
【0121】
[3.効果]
本実施形態の加湿装置1は、加熱タンク2の温度を測定する温度測定装置25を備える。排水制御部7は、加熱タンク2の温度に基づいて、加熱タンク2において二次蒸気が発生しているか否かを時間tごとに判断し、二次蒸気が発生している時間を積算して、時間積算値qに基づいて排水管13からの水の排出タイミングを制御する排水制御部7と、を備える。
【0122】
このような構成により、加熱源となるヒータ等が備えられていない間接式の加湿装置1においても、加熱タンク2内の温度を測定し、その温度から二次蒸気の発生の有無を判定し、発生時間を積算して、適切に排水タイミングを制御することができる。これによって、加湿装置1が稼働していない時に無駄な排水が行われることを防ぎ、経済性に優れた加湿装置1を提供することができる。また、加湿装置1の設置環境等の要因によって一次蒸気供給量を制御する蒸気制御弁45の制御装置110との通信が確立できない場合でも、適切な排水制御を行うことができる。
【0123】
[その他の実施形態]
本発明は上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を適宜変形することができる。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせても良い。例えば、上述の実施形態に示される構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよく、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0124】
第1及び第2の実施形態では、蒸気制御弁45を制御するための開閉制御信号S1をそのまま受信して、加湿装置1の排水制御部7がその信号から一次蒸気供給量を取得する態様を説明したが、これに限られない。例えば、制御装置110において、蒸気制御弁45に入力する開閉制御信号S1とは別途に、一次蒸気供給量を含む信号を生成して、加湿装置1に送信するようにしても良い。
【0125】
加湿装置1の各構成は、上述の実施形態で説明したものに限られない。例えば、加熱タンク2の形状は、筒状に限られず、箱状や球状等、内部に水を貯留でき加熱コイル21を配設できるものであれば、どのような形のものでもよい。また、加熱部としても、加熱コイル21に限らず、伝熱管等の、一次蒸気を加熱タンク2内に導入して二次蒸気との熱交換を行えるものであれば良い。
【0126】
上述の実施形態では、排水弁4の開放時間を調節することによって排水量を制御したが、これに限られない。排水弁の開放時間は一定として、代わりに排水弁4の開度を調節して排水速度(L/s)を変更し、排水量を制御するようにしても良い。
【0127】
給水タンク3の水位制御には、ボールタップの給水栓を用いる例を説明したが、これに限られない。例えば、フロートスイッチでも良い。
【0128】
上述の実施形態では、加湿装置1の制御部5は蒸気制御弁45の制御装置110とは独立した構成として説明したが、制御装置110と一体的に構成しても良い。