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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-222216(P2015-222216A)
(43)【公開日】2015年12月10日
(54)【発明の名称】力センサ試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/00 20060101AFI20151113BHJP
   G01L 25/00 20060101ALI20151113BHJP
【FI】
   G01N3/00 Z
   G01L25/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-106957(P2014-106957)
(22)【出願日】2014年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畑 良幸
(72)【発明者】
【氏名】野々村 裕
(72)【発明者】
【氏名】大村 義輝
(72)【発明者】
【氏名】松島 悟
(72)【発明者】
【氏名】船橋 博文
(72)【発明者】
【氏名】中山 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】山口 宇唯
(72)【発明者】
【氏名】山田 整
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA02
2G061AB01
2G061CB20
2G061DA01
2G061EA01
(57)【要約】
【課題】被験センサにロッドを介して荷重を印加するセンサ試験装置において、被験センサに作用する曲げモーメントの影響を軽減することが可能な技術を提供する。
【解決手段】本明細書が開示するセンサ試験装置は、被験センサを保持するセンサ保持部と、一端が被験センサに取り付けられたロッドと、ロッドの他端に軸方向の荷重を印加する縦方向荷重印加装置と、ロッドに軸方向に直交する方向の荷重を印加する横方向荷重印加装置を備えている。センサ試験装置では、ロッドの両端において軸方向に直交する方向の変位が拘束されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験センサを保持するセンサ保持部と、
一端が被験センサに取り付けられたロッドと、
ロッドの他端に軸方向の荷重を印加する縦方向荷重印加装置と、
ロッドに軸方向に直交する方向の荷重を印加する横方向荷重印加装置を備えており、
ロッドの両端において軸方向に直交する方向の変位が拘束されているセンサ試験装置。
【請求項2】
縦方向荷重印加装置が、ロッドを軸方向に変位させる第1ステージ装置であって、
横方向荷重印加装置が、ロッドに取り付けられた紐に張力を付与する張力付与装置である、請求項1のセンサ試験装置。
【請求項3】
ロッドの他端から紐の取り付け位置までの軸方向の距離をaとし、ロッドの一端から紐の取り付け位置までの軸方向の距離をbとしたときに、a/bが5以上である、請求項2のセンサ試験装置。
【請求項4】
張力付与装置が、紐に支持された分銅と、紐を案内するプーリを備えている、請求項2または3のセンサ試験装置。
【請求項5】
張力付与装置が、紐を引っ張る電動モータを備えている、請求項2または3のセンサ試験装置。
【請求項6】
横方向荷重印加装置からロッドへの着力点においてロッドに作用する軸方向に直交する方向の荷重の大きさを特定する横方向荷重特定装置をさらに備える、請求項1から5の何れか一項のセンサ試験装置。
【請求項7】
ロッドの他端においてロッドから受ける軸方向に直交する方向の荷重の大きさを検出する横方向荷重検出装置をさらに備える、請求項1から6の何れか一項のセンサ試験装置。
【請求項8】
センサ保持部において軸方向の荷重の大きさを検出する縦方向荷重検出装置をさらに備える、請求項1から7の何れか一項のセンサ試験装置。
【請求項9】
センサ保持部が、ロッドの軸方向に直交する方向の位置およびロッドの軸周りの角度を調整可能な第2ステージ装置に載置されている、請求項1から8の何れか一項のセンサ試験装置。
【請求項10】
ロッドの一端にヘッドを備えており、
被験センサの受力部が嵌合する凹部が形成されている、請求項1から9の何れか一項のセンサ試験装置。
【請求項11】
凹部の内側面に丸みが形成されている、請求項10のセンサ試験装置。
【請求項12】
ロッドの一端にヘッドを備えており、
ヘッドの先端に樹脂が塗布されている、請求項1から9の何れか一項のセンサ試験装置。
【請求項13】
ロッドがバネピン構造を備える、請求項1から12の何れか一項のセンサ試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は力センサ試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に、力センサを試験する方法が開示されている。この方法では、ロッドの一端を被験センサに取り付け、ロッドの他端に軸方向の荷重を印加することで被験センサに軸方向の荷重を印加し、ロッドに軸方向に直交する方向の荷重を印加することで被験センサに軸方向に直交する方向の荷重を印加する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】R.A. Brookhuis et al., "SCALABLE SIX-AXIS FORCE-TORQUE SENSOR WITH A LARGE RANGE FOR BIOMECHANICAL APPLICATIONS", Proc. of 2012 IEEE 25th International Conference on Micro Electro Mechanical Systems (MEMS), pp. 595-598
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1の技術では、ロッドの他端において軸方向に直交する方向の変位が拘束されていない。このため、ロッドに軸方向に直交する方向の荷重を印加すると、被験センサには軸方向に直交する方向の荷重だけでなく、軸方向に直交する方向の曲げモーメントも作用してしまう。モーメントの影響を小さくするため、ロッドと被験センサの界面に荷重を印加しても、ちょうど界面に荷重を印加することは困難であり、モーメントが印加される。特に、被験センサが小型になると、ちょうど界面に荷重を印加することは、なお困難になる。軸方向に直交する方向の被験センサの荷重特性を評価する際に、被験センサに作用する曲げモーメントの影響を軽減することが可能な技術が期待されている。
【0005】
本明細書では、上記の課題を解決する技術を提供する。本明細書では、被験センサにロッドを介して荷重を印加するセンサ試験装置において、被験センサに作用する曲げモーメントの影響を軽減することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示するセンサ試験装置は、被験センサを保持するセンサ保持部と、一端が被験センサに取り付けられたロッドと、ロッドの他端に軸方向の荷重を印加する縦方向荷重印加装置と、ロッドに軸方向に直交する方向の荷重を印加する横方向荷重印加装置を備えている。センサ試験装置では、ロッドの両端において軸方向に直交する方向の変位が拘束されている。
【0007】
上記のセンサ試験装置では、ロッドの両端において軸方向に直交する方向の変位が拘束されているため、ロッドに軸方向に直交する方向の荷重を印加する際に、被験センサに作用する曲げモーメントの影響を軽減することができる。
【0008】
上記のセンサ試験装置は、縦方向荷重印加装置が、ロッドを軸方向に変位させる第1ステージ装置であって、横方向荷重印加装置が、ロッドに取り付けられた紐に張力を付与する張力付与装置であるように構成することができる。
【0009】
上記のセンサ試験装置によれば、既存のステージ装置を利用して、簡素な構成によりセンサ試験装置を実現することができる。
【0010】
上記のセンサ試験装置は、ロッドの他端から紐の取り付け位置までの軸方向の距離をaとし、ロッドの一端から紐の取り付け位置までの軸方向の距離をbとしたときに、a/bが5以上であるように構成することができる。
【0011】
ロッドに作用する軸方向に直交する方向の荷重の着力点(すなわち、ロッドに対する紐の取り付け位置)がロッドの下端に近いほど、被験センサに作用する軸方向に直交する方向の荷重の変動を抑制することができる。上記のセンサ試験装置によれば、荷重の着力点の位置ずれが生じても、安定した大きさの荷重を被験センサに印加することができる。
【0012】
上記のセンサ試験装置は、張力付与装置が、紐に支持された分銅と、紐を案内するプーリを備えているように構成することができる。あるいは、上記のセンサ試験装置は、張力付与装置が、紐を引っ張る電動モータを備えているように構成することができる。
【0013】
上記のセンサ試験装置は、横方向荷重印加装置からロッドへの着力点においてロッドに作用する軸方向に直交する方向の荷重の大きさを特定する横方向荷重特定装置をさらに備えるように構成することができる。
【0014】
ロッドに作用する軸方向に直交する方向の荷重の大きさが分かれば、ロッドの両端の拘束態様に応じて、被験センサに作用する軸方向に直交する方向の荷重の大きさを算出することができる。上記のセンサ試験装置によれば、横方向荷重特定装置で特定される荷重の大きさから、被験センサに作用する荷重の大きさを算出することができる。
【0015】
上記のセンサ試験装置は、ロッドの他端においてロッドから受ける軸方向に直交する方向の荷重の大きさを検出する横方向荷重検出装置をさらに備えるように構成することができる。
【0016】
ロッドの他端においてロッドから受ける軸方向に直交する方向の荷重の大きさが分かれば、ロッドの両端の拘束態様に応じて、被験センサに作用する軸方向に直交する方向の荷重の大きさを算出することができる。上記のセンサ試験装置によれば、横方向荷重検出装置で検出される荷重の大きさから、被験センサに作用する荷重の大きさを算出することができる。
【0017】
上記のセンサ試験装置は、センサ保持部において軸方向の荷重の大きさを検出する縦方向荷重検出装置をさらに備えるように構成することができる。
【0018】
上記のセンサ試験装置によれば、縦方向荷重検出装置がロッドの影響を受けない位置に配置されているため、被験センサに作用する軸方向の荷重の大きさを精度良く検出することができる。
【0019】
上記のセンサ試験装置は、センサ保持部が、ロッドの軸方向に直交する方向の位置およびロッドの軸周りの角度を調整可能な第2ステージ装置に載置されているように構成することができる。
【0020】
上記のセンサ試験装置によれば、被験センサを正確に位置合わせして、被験センサに荷重を精度良く印加することができる。
【0021】
上記のセンサ試験装置は、ロッドの一端にヘッドを備えており、被験センサの受力部が嵌合する凹部が形成されているように構成することができる。この場合、上記のセンサ試験装置は、凹部の内側面に丸みが形成されているように構成することができる。このような構成とすることで、被験センサとヘッドの片当たりを抑制することができる。あるいは、上記のセンサ試験装置は、ロッドの一端にヘッドを備えており、ヘッドの先端に樹脂が塗布されているように構成することができる。
【0022】
上記のセンサ試験装置は、ロッドがバネピン構造を備えるように構成することができる。このような構成とすることによって、縦方向荷重印加装置によりロッドの他端に衝撃荷重が印加された場合でも、バネピン構造によって衝撃が緩和されて、被験センサの破壊を抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本明細書が開示するセンサ試験装置によれば、被験センサに作用する曲げモーメントの影響を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施例1の試験装置2の構成を模式的に示す図。
図2】ロッド8の上端の変位が拘束されていない状態を模式的に示す図。
図3】ロッド8の下端の回転が拘束されておらず、ロッド8の上端の回転が拘束されている場合の荷重の関係を示す図。
図4】ロッド8の下端の回転が拘束されており、ロッド8の上端の回転が拘束されている場合の荷重の関係を示す図。
図5】ロッド8の下端の回転が拘束されており、ロッド8の上端の回転が拘束されていない場合の荷重の関係を示す図。
図6】ロッド8の下端の回転が拘束されておらず、ロッド8の上端の回転が拘束されていない場合の荷重の関係を示す図。
図7】実施例2の試験装置22の構成を模式的に示す図。
図8】実施例3の試験装置32の構成を模式的に示す図。
図9】実施例4の試験装置42の構成を模式的に示す図。
図10】被験センサSへのヘッド54の取り付け態様の例を示す図。
図11】被験センサSへのヘッド54の取り付け態様の別の例を示す図。
図12】ロッド52がバネピン構造を備える場合の構成を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施例1)
図1に示す本実施例の試験装置2は、被験センサSに対して、X方向(図1の左右方向)、Y方向(図1の紙面垂直方向)およびZ方向(図1の上下方向)の荷重を印加する。被験センサSは、例えば3軸力センサや触覚センサといった、微小なMEMSセンサである。被験センサSは、ベース4に固定されたセンサ取付治具6に取り付けられている。ベース4とセンサ取付治具6は、被験センサSを保持するセンサ保持部ということもできる。被験センサSの受力部Rには、ロッド8の下端に形成されたヘッド10が取り付けられている。ロッド8は、その軸方向がZ方向に沿うように配置されている。ロッド8の上端は、f荷重計12を介して、ベース4に支持されたZステージ14に取り付けられている。Zステージ14をZ方向に変位させることで、被験センサSに対してZ方向の荷重を印加する。f荷重計12は、Zステージ14から被験センサSに印加されたZ方向の荷重の大きさを検出する。ロッド8の下端は被験センサSとセンサ取付治具6によってX方向およびY方向の変位が拘束されている。ロッド8の上端はf荷重計12とZステージ14によってX方向およびY方向の変位が拘束されている。
【0026】
ヘッド10には、X方向荷重印加装置(図示せず)からX方向に沿って伸びる紐16が取り付けられている。X方向荷重印加装置が紐16に対してX方向の張力を印加することで、ロッド8にX方向の荷重を印加することができる。すなわち、X方向荷重印加装置は、ロッド8に取り付けられた紐16に張力を付与する張力付与装置ということもできる。例えば、X方向荷重印加装置は、紐16に支持された分銅と、紐16を案内するプーリを用いて、紐16にX方向の張力を付与するように構成されていてもよい。この場合、使用する分銅の重さから、ロッド8に作用するX方向の荷重の大きさを検出することができる。あるいは、X方向荷重印加装置は、紐16を引っ張る電動モータを用いて、紐16にX方向の張力を付与するように構成されていてもよい。この場合、紐16に作用する張力を検出する張力計を用いることで、ロッド8に作用するX方向の荷重の大きさを検出することができる。図示はしていないが、ヘッド10には、Y方向荷重印加装置からY方向に沿って伸びる紐も取り付けられている。Y方向荷重印加装置が紐に対してY方向の張力を印加することで、ロッド8にY方向の荷重を印加することができる。
【0027】
試験装置2では、Zステージ14をZ方向に変位させることで、被験センサSに対してZ方向の荷重が印加される。この際に被験センサSに印加されるZ方向荷重の大きさFは、f荷重計12により計測することができる。
【0028】
試験装置2では、X方向荷重印加装置が紐16を介してロッド8にX方向の荷重を印加することで、被験センサSに対してX方向の荷重が印加される。図2に示すように、仮にロッド8の上端のX方向の変位が拘束されていない場合、X方向荷重印加装置が紐16を介してロッド8にX方向の荷重を印加すると、被験センサSにはX方向の荷重だけでなく、Y軸周りの大きな曲げモーメントも作用する。これに対して、図1に示す本実施例の試験装置2では、ロッド8の上端のX方向の変位が拘束されているため、ロッド8の上端のX方向の変位が拘束されていない場合に比べて、被験センサSに作用するY軸周りの曲げモーメントの影響を軽減することができる。同様に、試験装置2では、Y方向荷重印加装置が紐を介してロッド8にY方向の荷重を印加することで、被験センサSに対してY方向の荷重が印加される。試験装置2では、ロッド8の上端のY方向の変位が拘束されており、ロッド8の上端のY方向の変位が拘束されていない場合に比べて、被験センサSに作用するX軸周りの曲げモーメントの影響を軽減することができる。
【0029】
以下では、試験装置2において、ロッド8に作用するX方向の荷重の大きさと、被験センサSに作用するX方向の荷重の大きさの関係について説明する。図3に模式的に示すように、ロッド8の下端(被験センサS側の端部)の回転が拘束されておらず、ロッド8の上端(f荷重計12側の端部)の回転が拘束されている場合には、ロッド8に作用するX方向の荷重fと被験センサSに作用するX方向の荷重Fの間には、以下の関係が成り立つ。
【0030】
【数1】
【0031】
図4に模式的に示すように、ロッド8の下端(被験センサS側の端部)の回転が拘束されており、ロッド8の上端(f荷重計12側の端部)の回転が拘束されている場合には、ロッド8に作用するX方向の荷重fと被験センサSに作用するX方向の荷重Fの間には、以下の関係が成り立つ。
【0032】
【数2】
【0033】
図5に模式的に示すように、ロッド8の下端(被験センサS側の端部)の回転が拘束されており、ロッド8の上端(f荷重計12側の端部)の回転が拘束されていない場合には、ロッド8に作用するX方向の荷重fと被験センサSに作用するX方向の荷重Fの間には、以下の関係が成り立つ。
【0034】
【数3】
【0035】
図6に模式的に示すように、ロッド8の下端(被験センサS側の端部)の回転が拘束されておらず、ロッド8の上端(f荷重計12側の端部)の回転が拘束されていない場合には、ロッド8に作用するX方向の荷重fと被験センサSに作用するX方向の荷重Fの間には、以下の関係が成り立つ。
【0036】
【数4】
【0037】
試験装置2においては、ロッド8の下端におけるヘッド10と被験センサSの組み付け態様およびロッド8の上端におけるロッド8とf荷重計12との組み付け態様に応じて、上記の何れかの数式を用いて、ロッド8に作用するX方向の荷重fから、被験センサSに作用するX方向の荷重Fを算出することができる。同様に、試験装置2においては、ロッド8の下端におけるヘッド10と被験センサSの組み付け態様およびロッド8の上端におけるロッド8とf荷重計12との組み付け態様に応じて、ロッド8に作用するY方向の荷重fから、被験センサSに作用するY方向の荷重Fを算出することができる。このような、被験センサSに作用するX方向の荷重FやY方向の荷重Fの算出は、図示しない演算装置を用いて行うことができる。
【0038】
なお、ロッド8に作用するX方向の荷重の着力点(すなわち、ロッド8に対する紐16の取り付け位置)がロッド8の下端に近いほど、荷重の着力点の位置ずれが生じても、被験センサSに作用するX方向の荷重Fの変動を抑制することができ、好ましい。具体的には、ロッド8に対する紐16の取り付け位置は、ロッド8の上端から紐16の取り付け位置までの距離をa、ロッド8の下端から紐16の取り付け位置までの距離をbとしたときに、a/bが5以上となる位置であることが好ましい。
【0039】
(実施例2)
図7に示す本実施例の試験装置22では、図1に示す実施例1の試験装置2と異なり、ロッド8の上端とZステージ14の間に、f荷重計12の代わりに、3軸荷重計24が配置されている。3軸荷重計24は、X方向、Y方向およびZ方向の荷重の大きさをそれぞれ検出する。このような構成とすると、3軸荷重計24で検出されるX方向の荷重Δfから被験センサSに作用するX方向の荷重Fを算出することができる。同様に、3軸荷重計24で検出されるY方向の荷重Δfから被験センサSに作用するY方向の荷重Fを算出することができる。
【0040】
以下では、試験装置22において、3軸荷重計24で検出されるX方向の荷重の大きさと、被験センサSに作用するX方向の荷重の大きさの関係について説明する。図3に模式的に示すように、ロッド8の下端(被験センサS側の端部)の回転が拘束されておらず、ロッド8の上端(f荷重計12側の端部)の回転が拘束されている場合には、3軸荷重計24で検出されるX方向の荷重Δfと被験センサSに作用するX方向の荷重Fの間には、以下の関係が成り立つ。
【0041】
【数5】
【0042】
図4に模式的に示すように、ロッド8の下端(被験センサS側の端部)の回転が拘束されており、ロッド8の上端(f荷重計12側の端部)の回転が拘束されている場合には、3軸荷重計24で検出されるX方向の荷重Δfと被験センサSに作用するX方向の荷重Fの間には、以下の関係が成り立つ。
【0043】
【数6】
【0044】
図5に模式的に示すように、ロッド8の下端(被験センサS側の端部)の回転が拘束されており、ロッド8の上端(f荷重計12側の端部)の回転が拘束されていない場合には、3軸荷重計24で検出されるX方向の荷重Δfと被験センサSに作用するX方向の荷重Fの間には、以下の関係が成り立つ。
【0045】
【数7】
【0046】
図6に模式的に示すように、ロッド8の下端(被験センサS側の端部)の回転が拘束されておらず、ロッド8の上端(f荷重計12側の端部)の回転が拘束されていない場合には、3軸荷重計24で検出されるX方向の荷重Δfと被験センサSに作用するX方向の荷重Fの間には、以下の関係が成り立つ。
【0047】
【数8】
【0048】
試験装置22においては、ロッド8の下端におけるヘッド10と被験センサSの組み付け態様およびロッド8の上端におけるロッド8と3軸荷重計24との組み付け態様に応じて、上記の何れかの数式を用いて、被験センサSに作用するX方向の荷重Fを算出することができる。同様に、試験装置22においては、ロッド8の下端におけるヘッド10と被験センサSの組み付け態様およびロッド8の上端におけるロッド8と3軸荷重計24との組み付け態様に応じて、3軸荷重計24で検出されるY方向の荷重Δfから、被験センサSに作用するY方向の荷重Fを算出することができる。
【0049】
なお、ロッド8に対する紐16の取り付け位置精度が低く、上記の数式から被験センサSに作用するX方向の荷重Fを精度良く算出できない場合には、ロッド8に作用するX方向の荷重fと、3軸荷重計24で検出されるX方向の荷重Δfの差を取ることで、被験センサSに作用するX方向の荷重Fを算出することもできる。
【数9】
【0050】
同様に、ロッド8に作用するY方向の荷重fと、3軸荷重計24で検出されるY方向の荷重Δfの差を取ることで、被験センサSに作用するY方向の荷重Fを算出することもできる。
【0051】
(実施例3)
図8に示す本実施例の試験装置32では、図7に示す実施例2の試験装置22と異なり、ベース4とセンサ取付治具6の間にf荷重計34が配置されており、ロッド8の上端とZステージ14の間に2軸荷重計36が配置されている。言い換えると、f荷重計34はセンサ保持部に備えられている。f荷重計34は、Z方向の荷重の大きさを検出する。2軸荷重計36は、X方向およびY方向の荷重の大きさをそれぞれ検出する。
【0052】
図7に示す実施例2の試験装置22のように、単一の3軸荷重計24により、X方向、Y方向およびZ方向の荷重のそれぞれの大きさを検出する構成では、X方向およびY方向の感度とZ方向の感度が大きく異なる場合に、クロストークの発生によりそれぞれの方向の荷重を精度良く検出することが困難となることがある。本実施例のように、X方向およびY方向の荷重の大きさを検出する2軸荷重計36とZ方向の荷重の大きさを検出するf荷重計34を分けて、f荷重計34をロッド8の影響を受けにくい箇所に配置することで、それぞれの方向の荷重を精度良く検出することができる。
【0053】
(実施例4)
図9に示す本実施例の試験装置42は、ベース44に支持されたX−Y−θステージ46を備えている。X−Y−θステージ46には、f荷重計48を介して、センサ取付治具50が載置されている。センサ取付治具50には、被験センサSが固定されている。X−Y−θステージ46は、ベース44に対する被験センサSのX方向およびY方向の位置およびZ軸周りの角度を調整する。
【0054】
被験センサSの受力部Rには、ロッド52の下端に形成されたヘッド54が取り付けられている。ロッド52の上端は、2軸荷重計56を介して、ベース44に支持されたZステージ58に取り付けられている。Zステージ58をZ方向に変位させることで、被験センサSに荷重を印加する。ロッド52の下端は被験センサSとセンサ取付治具50によってX方向およびY方向の変位が拘束されている。ロッド52の上端は2軸荷重計56とZステージ58によってX方向およびY方向の変位が拘束されている。
【0055】
ヘッド54には、先端に分銅60が接続されており、プーリ62によって案内された、X方向に沿って伸びる紐64が取り付けられている。また、ヘッド54には、先端に分銅66が接続されており、プーリ68によって案内された、Y方向に沿って伸びる紐70が取り付けられている。
【0056】
試験装置42によれば、Zステージ58をZ方向に変位させることで、被験センサSにZ方向の荷重を印加することができる。この際の被験センサSに作用するZ方向の荷重の大きさは、f荷重計48により検出することができる。また、本実施例の試験装置42によれば、分銅60の重さを調整することで、被験センサSにX方向の荷重を印加することができる。この際の被験センサSに作用するX方向の荷重の大きさは、実施例1で詳述したように、分銅60の重さから特定されるロッド52に作用するX方向の荷重の大きさに基づいて算出することもできるし、実施例2で詳述したように、2軸荷重計56で検出されるX方向の荷重の大きさに基づいて算出することもできるし、ロッド52に作用するX方向の荷重の大きさから2軸荷重計56で検出されるX方向の荷重の大きさを減算して算出することもできる。同様に、本実施例の試験装置42によれば、分銅66の重さを調整することで、被験センサSにY方向の荷重を印加することができる。この際の被験センサSに作用するY方向の荷重の大きさは、分銅66の重さから特定されるロッド52に作用するY方向の荷重の大きさに基づいて算出することもできるし、2軸荷重計56で検出されるY方向の荷重の大きさに基づいて算出することもできるし、ロッド52に作用するY方向の荷重の大きさから2軸荷重計56で検出されるY方向の荷重の大きさを減算して算出することもできる。
【0057】
試験装置42では、被験センサSのX方向およびY方向の位置や、Z軸周りの角度を、X−Y−θステージ46によって調整することができる。このような構成とすることによって、被験センサSを正確に位置合わせして、被験センサSに、X方向、Y方向およびZ方向の荷重を精度良く印加することができる。
【0058】
なお、被験センサSへのヘッド54の取り付け態様としては、様々なものを用いることができる。例えば図10の(a)に示すように、被験センサSの受力部Rが凸形状を有する場合、ヘッド54の先端に対応する凹部72を形成して、被験センサSとヘッド54を嵌合させてもよい。この場合、凹部72の内側面に丸み74を形成しておくことで、被験センサSとヘッド54の片当たりを抑制することができる。また、図10の(b)に示すように、凹部72の底面にさらに加工溝76を形成して、被験センサSとヘッド54の片当たりをさらに抑制することもできる。
【0059】
あるいは、図11に示すように、被験センサSの受力部Rが平面形状を有する場合、ヘッド54の先端に静止摩擦係数が大きい樹脂78を塗布しておいて、樹脂78と被験センサSの間の摩擦力によって、被験センサSにX方向およびY方向の荷重を印加するように構成してもよい。もしくは、樹脂78を接着剤として受力部Rとヘッド54を接着してもよい。
【0060】
なお、図12に示すように、ロッド52は、上側ロッド80と下側ロッド82が外筒84内に摺動可能にそれぞれ挿入されており、上側ロッド80と下側ロッド82の間をバネ86が接続している、いわゆるバネピン構造を備えるように構成されていてもよい。ロッド52がバネピン構造を備える場合、Zステージ58の駆動時にZ方向の衝撃荷重がロッド52に印加された場合でも、バネピン構造によって衝撃が緩和されて、被験センサSの破壊を抑制することができる。
【0061】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0062】
2 試験装置
4 ベース
6 センサ取付治具
8 ロッド
10 ヘッド
12 f荷重計
14 Zステージ
16 紐
22 試験装置
24 3軸荷重計
32 試験装置
34 f荷重計
36 2軸荷重計
42 試験装置
44 ベース
46 X−Y−θステージ
48 f荷重計
50 センサ取付治具
52 ロッド
54 ヘッド
56 2軸荷重計
58 Zステージ
60 分銅
62 プーリ
64 紐
66 分銅
68 プーリ
70 紐
72 凹部
74 丸み
76 加工溝
78 樹脂
80 上側ロッド
82 下側ロッド
84 外筒
86 バネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12