特開2015-222347(P2015-222347A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東光学株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2015222347-光学装置 図000003
  • 特開2015222347-光学装置 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-222347(P2015-222347A)
(43)【公開日】2015年12月10日
(54)【発明の名称】光学装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20060101AFI20151113BHJP
【FI】
   G02B7/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-106856(P2014-106856)
(22)【出願日】2014年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000227364
【氏名又は名称】日東光学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169188
【弁理士】
【氏名又は名称】寺岡 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】蔭山 琢也
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044BD06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単な構成でレンズユニットの光軸方向への移動の際の光学性能への影響を抑制できる光学装置を提供する。
【解決手段】光学装置1は、光軸方向と平行方向に伸びる直進溝2が形成され、光軸を中心線とする筒形状の固定筒3を有している。固定筒3に対して、カム溝4が形成された光軸を中心線とする筒形状のカム環5が、その中心線を回動軸として回動する。ここで、カム環5は、固定筒3の外周面を外側から覆うように配置されている。その回動で、溝2およびカム溝4に係合するカムフォロワ6と固定し連動するレンズユニットが光軸方向に移動する。そして、レンズユニットには、そのカムフォロワ6と固定・連動し、直進溝2に挿入されカム溝4に挿入されない補助カムフォロワ8がさらに固定・連動される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その光軸と平行方向に伸びる直進溝が形成された固定筒またはカム環の一方に対して、カム溝が形成された上記固定筒または上記カム環の上記一方とは異なる他方が回動することで、上記直進溝および上記カム溝に係合するカムフォロワと連動するレンズユニットが移動する光学装置において、
上記レンズユニットは、上記カムフォロワおよび、上記直進溝に挿入され上記カム溝に挿入されない補助カムフォロワに固定されることを特徴とする光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直進溝が形成された固定筒に対して、カム溝が形成されたカム環が回動することで、直進溝およびカム溝に係合するカムフォロワと連動するレンズユニットが光軸方向に移動し、ズーミングまたはフォーカシングを行う光学装置についての技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、カム溝の直進溝に対する角度がどのような角度であっても光学性能に影響を与えず、スムーズにズーミングまたはフォーカシングを行うことができる光学装置を提供することを目的としている。そして、その目的を達成するため、光学素子を保持し、光学素子の光軸方向に移動する第1の鏡筒と、第1の鏡筒の移動に伴って、第1の鏡筒が移動する方向と同じ方向に移動する第2の鏡筒と、第1、第2の鏡筒に接続する第1、第2のカムフォロアを光軸方向に変位させる第1、第2のカム溝を備えるカム環と、第1、第2のカムフォロアを光軸方向に案内する第1、第2の直進溝を備える固定筒と、第1のカムフォロア、第2のカムフォロアを夫々光軸方向と交差する方向に付勢する付勢部材と、を有する構成を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2013−257369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、付勢部材を用いて構成部材を光軸方向と交差する方向に付勢している。このような付勢部材を用いた構成を採用すると、光学装置の構成を複雑にし、また付勢部材の耐久性等の問題を生ずる場合がある。
【0006】
そこで本発明の目的は、簡単な構成でレンズユニットの光軸方向への移動の際の光学性能への影響を抑制できる光学装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の光学装置は、その光軸と平行方向に伸びる直進溝が形成された固定筒またはカム環の一方に対して、カム溝が形成された固定筒またはカム環の一方とは異なる他方が回動することで、直進溝およびカム溝に係合するカムフォロワと連動するレンズユニットが移動し、レンズユニットは、そのカムフォロワおよび、直進溝に挿入されカム溝に挿入されない補助カムフォロワと固定される。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、簡単な構成でレンズユニットの光軸方向への移動の際の光学性能への影響を抑制できる光学装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る光学装置を構成する直進溝およびカム溝に係合するカムフォロワの状態を示す図で、カム溝が形成されたカム環の外周面の平面図である。
図2図1のA−A端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る光学装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る光学装置を構成する直進溝およびカム溝に係合するカムフォロワの状態を示す図で、カム溝が形成されたカム環の外周面の平面図である。図2は、図1のA−A端面図である。
【0011】
光学装置1は、その光軸Lと平行方向に伸びる直進溝2が形成され、光軸Lを中心線とする筒形状の固定筒3を有している。固定筒3に対して、カム溝4が形成された光軸Lを中心線とする筒形状のカム環5が、その中心線を回動軸として回動する。ここで、カム環5は、固定筒3の外周面を外側から覆うように配置されている。その回動で、直進溝2およびカム溝4に係合するカムフォロワ6と固定し連動するレンズユニット7が、光軸L方向に移動する。そして、レンズユニット7は、そのカムフォロワ6と固定・連動し、直進溝2に挿入されカム溝4に挿入されない補助カムフォロワ8とさらに固定・連動される。
【0012】
なお、図2に示すように、レンズユニット7は、保持部材9とレンズ10を有する。保持部材9は、カムフォロワ6と、補助カムフォロワ8およびレンズ10とを保持している。カムフォロワ6の移動に伴い、補助カムフォロワ8と、保持部材9およびレンズ10(すなわちレンズユニット7)とが連動して同じ方向および同じ距離だけ移動する。
【0013】
直進溝2とカム溝4は、図1に示すθ=45°の角度で交差している。固定筒3を固定しつつ図1に示すカム環5の手前側をM方向に回動させると、レンズユニット7はカム動作によりM’方向へと移動する。その際に、固定筒3がカムフォロワ6に最も強く当接する箇所は、図1に示す直進溝2がカムフォロワ6を押圧する点11である。また、カム環5がカムフォロワ6を最も強く当接する箇所は、図1に示すカム溝4がカムフォロワ6を押圧する点12である。
【0014】
このように、カムフォロワ6が図1に示す左下側において点11と点12とが近接して(集中して)、2つの方向からの力を受けると、カムフォロワ6と固定し連動するレンズユニット7は、図1における矢印Sの方向に光軸Lが傾くように力を受け、たとえば光軸L’のように傾こうとする。すると、レンズユニット7の光軸L方向への移動の際の光学性能への影響の問題を生ずる。この傾向は、図1に示すθの角度が0°に近づくに従い、点11と点12がより近接するため、より大きくなる。
【0015】
しかし、補助カムフォロワ8の存在によって、矢印Sの方向に光軸Lが傾こうとするようにレンズユニット7に力が与えられるのを押し留めることができる。ここで、カム溝4に挿入されない補助カムフォロワ8は、カムフォロワ6とは異なり、点12の当接の影響を受けずに直進溝2に挿入されている。そして、補助カムフォロワ8はレンズユニット7と固定・連動している。すると、補助カムフォロワ8は、レンズユニット7が矢印Sの方向に傾こうとする力に抗して直進溝2に沿った直進性を維持しようとする。そのため、レンズユニット7の直進溝2に沿った姿勢が維持されやすくなる。
【0016】
また補助カムフォロワ8の存在によって、固定筒3を固定しつつ図1に示すカム環5の手前側をM方向に回動させる際に固定筒3が押圧する箇所は、直進溝2がカムフォロワ6を押圧する点11の他に、直進溝2が補助カムフォロワ8を押圧する点13も加わる。そのため、固定筒3が押圧する箇所を増やし、1箇所あたりの押圧力を小さくする。さらに補助カムフォロワ8の存在によって、カムフォロワ6が受ける2つの方向からの力を集中させずに分散させることから、図1における矢印Sの方向に光軸Lが傾くようにレンズユニット7に与えられる力を発生しにくくする。
【0017】
以上のように本発明の実施の形態に係る光学装置1は、付勢部材等を用いず、既存の部材の工夫により、簡単な構成でレンズユニット7の光軸L方向への移動の際の光学性能への影響を抑制することができる。
【0018】
上述した本発明の実施の形態に係る光学装置1は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変形実施が可能である。
【0019】
たとえば、図1および図2に示すように、補助カムフォロワ8の数は1つとしているが、2つ以上とすることができる。また、図1および図2に示すように、補助カムフォロワ8とカムフォロワ6とは隣接して配置しているが、直進溝2に沿って離して配置することとしても良い。補助カムフォロワ8とカムフォロワ6とを離して配置した方が、カムフォロワ6が受ける2つの方向からの力をより分散でき、矢印Sの方向に光軸Lが傾くようにレンズユニット7に与えられる力を発生しにくくする効果が大きくなる。ただし、光学装置1を小型化する観点からは、補助カムフォロワ8とカムフォロワ6とは近づけた方が良い。
【0020】
また、直進溝2とカム溝4は、θ=45°の角度で交差している。しかし、このθの値はどのような値であっても良い。本発明の実施の形態に係る光学装置1は、このθの値として光軸Lの傾きが懸念されていた、45°以下の部分を有する場合に特に有効である。
【0021】
また、カム環5は、固定筒3の外周面を外側から覆うように配置されている。しかしながら、固定筒3がカム環5の外周面を外側から覆うように配置するような構成としても良い。さらに、直進溝2は固定筒3ではなくカム環5に形成され、カム溝4はカム環5ではなく固定筒3に形成されていても良い。
【0022】
また、本発明の実施の形態に係る光学装置1は、固定筒3を固定しつつカム環5を図1に示す手前側からM方向に回動させることで、レンズユニット7をカム動作によりM’方向へと移動させている。しかしながら、カム環5を固定しつつ固定筒3を図1に示す手前側からM方向とは逆側の方向に回動させることで、レンズユニット7をカム動作によりM’方向へと移動させても良い。
【符号の説明】
【0023】
1 光学装置
2 直進溝
3 固定筒
4 カム溝
5 カム環
6 カムフォロワ
7 レンズユニット
8 補助カムフォロワ
L 光軸
図1
図2