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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-222463(P2015-222463A)
(43)【公開日】2015年12月10日
(54)【発明の名称】蛍光・燐光検知装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 7/12 20060101AFI20151113BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20151113BHJP
【FI】
   G07D7/12
   G01N21/64 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-105859(P2014-105859)
(22)【出願日】2014年5月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】坊垣 晶
(72)【発明者】
【氏名】柳内 孝洋
(72)【発明者】
【氏名】森本 高明
(72)【発明者】
【氏名】大島 悟
【テーマコード(参考)】
2G043
3E041
【Fターム(参考)】
2G043AA04
2G043CA07
2G043DA05
2G043EA01
2G043FA01
2G043HA01
2G043JA03
2G043KA02
2G043KA03
2G043LA03
2G043NA01
2G043NA06
3E041AA03
3E041BA09
3E041BA12
3E041BB03
3E041BB04
3E041BB05
3E041BC06
3E041CB04
3E041EA01
3E041EA04
(57)【要約】
【課題】紙葉類の蛍光発光及び燐光発光を高精度に検知する。
【解決手段】搬送路を搬送される紙葉類の蛍光発光及び燐光発光を検知する蛍光・燐光検知装置を、紙葉類に向けて紫外光を照射する光源と、紫外光によって紙葉類上で励起された蛍光発光及び燐光発光の画像を撮像可能なイメージセンサと、紙葉類で励起された蛍光発光及び燐光発光をイメージセンサへ導く受光レンズとを有する2つのセンサユニットにより構成して、これら2つのセンサユニットを搬送路を挟んで上下に対向して配置すると共に上下のセンサユニット内での受光レンズ及びイメージセンサの位置を紙葉類の搬送方向にずらして配置する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を搬送される紙葉類の蛍光発光及び燐光発光を検知する蛍光・燐光検知装置であって、
紙葉類に向けて紫外光を照射する光源と、
前記紫外光によって前記紙葉類上で励起された蛍光発光及び燐光発光の画像を撮像可能なイメージセンサと、
前記紙葉類で励起された前記蛍光発光及び前記燐光発光を前記イメージセンサへ導く受光レンズと
を有する2つのセンサユニット
を備え、
前記2つのセンサユニットを前記搬送路を挟んで上下に対向して配置すると共に上下のセンサユニット内での前記受光レンズ及び前記イメージセンサの位置を前記紙葉類の搬送方向にずらして配置する
ことを特徴とする蛍光・燐光検知装置。
【請求項2】
前記センサユニットは、
前記光源と前記搬送路との間に設けられた可視光カットフィルタと、
前記搬送路と前記イメージセンサとの間に設けられた紫外光カットフィルタと
をさらに備え、
前記イメージセンサはカラー画像を撮像することを特徴とする請求項1に記載の蛍光・燐光検知装置。
【請求項3】
前記センサユニットは、
前記イメージセンサによって燐光発光を撮像した燐光画像のゲインを、予め設定された係数により補正する画像処理部
をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光・燐光検知装置。
【請求項4】
前記係数は、燐光発光の減衰率の逆数であることを特徴とする請求項3に記載の蛍光・燐光検知装置。
【請求項5】
前記係数は、前記紙葉類の種類及び方向毎に設定されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の蛍光・燐光検知装置。
【請求項6】
前記係数は、燐光発光が励起される前記紙葉類上の領域毎に設定されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の蛍光・燐光検知装置。
【請求項7】
前記係数は、燐光発光の色毎に設定されていることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の蛍光・燐光検知装置。
【請求項8】
前記画像処理部は、ゲイン補正後の燐光画像と前記イメージセンサによって蛍光発光を撮像した蛍光画像との差分画像を生成することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の蛍光・燐光検知装置。
【請求項9】
前記画像処理部は、前記燐光画像のゲイン補正により、蛍光発光及び燐光発光の両方が励起された領域の画像を消去した差分画像を生成することを特徴とする請求項8に記載の蛍光・燐光検知装置。
【請求項10】
前記イメージセンサは0.5〜3.0mmの間のピッチで蛍光発光及び燐光発光の画像データを取得可能であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の蛍光・燐光検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙葉類の蛍光発光及び燐光発光を検知する蛍光・燐光検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙葉類の光学特性に基づいて紙葉類の真偽を判別する技術が利用されている。例えば、特許文献1には、紙葉類の真偽判別を行うために、紙幣搬送路を挟んで2つの検出ユニットを対向配置して、紙幣の反射特性及び透過特性を検出する装置が開示されている。各検出ユニットは、紙幣に向けて光を照射する発光手段と検出センサとを有しており、一方の検出ユニットの発光手段から紙幣に向けて光を照射して、この検出ユニットでは紙幣からの反射光を検出し、他方の検出ユニットでは紙幣からの透過光を検出する。2つの検出ユニットは上下対称に設けられており、2つの検出ユニットを協働させることにより、紙幣表面の反射画像、紙幣裏面の反射画像、及び透過画像を取得することが可能となっている。この装置では、可視光、赤外光及び紫外光の中から照射光を選択することができるので、紙幣の反射画像及び透過画像から照射光に応じて現れる特徴量を取得することにより紙幣の真偽を判別することができる。
【0003】
また、特許文献2には、紙幣搬送路を搬送される紙幣に光源から2種類の紫外光を照射して、紙幣で励起された蛍光を受光部によって受光することにより、各照射光に対する紙幣の反射特性に係る特徴量を取得する装置が開示されている。装置内に光源及び受光部を2組配置して、各組の光源から波長の異なる光を同時に照射して各受光部で反射光を検出することにより2種類の照射光に係る特徴量を取得する。また、1つの受光部に対して2つの光源を設けて、各光源から波長の異なる光を異なるタイミングで照射することにより2種類の紫外光照射に係る特徴量を取得する装置も開示されている。
【0004】
紙幣や有価証券等の紙葉類の中には、例えば、透かし、ホログラム、セキュリティスレッド等の偽造防止技術を利用したものがある。また、この他にも、偽造防止技術の1つとして、蛍光物質や燐光物質を含むインクで印刷された紙葉類が存在する。紙葉類上の蛍光物質及び燐光物質に所定波長域の励起光を照射すると蛍光発光及び燐光発光が励起される。蛍光発光は励起光の照射を停止するとすぐに消失するが、燐光発光は励起光の照射を停止した後も暫くの間発光する。このような発光特性に係る特徴から紙葉類の真偽を判別することができる。
【0005】
特許文献3には、紙葉類の真偽判別を目的として蛍光発光及び燐光発光を観察するための装置が開示されている。作業台上の紙葉類に所定波長域の励起光を照射して、観察される燐光発光の様子から紙幣の真偽を判別するものである。同様に、紙葉類から蛍光発光及び燐光発光に係る特徴量を取得するための装置として、特許文献4には、2つのラインイメージセンサを搬送方向にずらして配置して、上流側のラインイメージセンサで蛍光発光を検知すると共に下流側のラインイメージセンサで燐光発光を検知する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−355264号公報
【特許文献2】特許3892081号公報
【特許文献3】特開2007−072713号公報
【特許文献4】特開2010−039897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術によれば、高速搬送される紙葉類の燐光発光を高精度に検知可能な小型の装置を実現できないという問題があった。具体的には、特許文献4の技術では、蛍光発光を検知するセンサ及び燐光発光を検知するセンサの2つのセンサが必要となるため装置が大型化してしまう。また、特許文献3の技術は作業台上で静止している紙幣の蛍光発光及び燐光発光を目視で確認するためのもので、高速搬送される紙葉類にそのまま適用できるものではない。
【0008】
また、特許文献1及び2の技術は紙葉類の可視光画像の取得や蛍光発光の検知等を目的とするもので燐光発光の検知を考慮した構成となっておらず、励起光の照射を停止した後も発光を続けて徐々に減衰して消失する燐光発光を高精度に検知することは困難である。特に、高速搬送される紙葉類から発光強度の弱い燐光発光を高精度に検出することは困難であり、紙葉類で励起される燐光発光を高精度に検知することができる装置の登場が望まれていた。
【0009】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたもので、高速搬送される紙葉類の蛍光発光及び燐光発光を高精度に検知する蛍光・燐光検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、搬送路を搬送される紙葉類の蛍光発光及び燐光発光を検知する蛍光・燐光検知装置であって、紙葉類に向けて紫外光を照射する光源と、前記紫外光によって前記紙葉類上で励起された蛍光発光及び燐光発光の画像を撮像可能なイメージセンサと、前記紙葉類で励起された前記蛍光発光及び前記燐光発光を前記イメージセンサへ導く受光レンズとを有する2つのセンサユニットを備え、前記2つのセンサユニットを前記搬送路を挟んで上下に対向して配置すると共に上下のセンサユニット内での前記受光レンズ及び前記イメージセンサの位置を前記紙葉類の搬送方向にずらして配置することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記センサユニットは、前記光源と前記搬送路との間に設けられた可視光カットフィルタと、前記搬送路と前記イメージセンサとの間に設けられた紫外光カットフィルタとをさらに備え、前記イメージセンサはカラー画像を撮像することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記センサユニットは、前記イメージセンサによって燐光発光を撮像した燐光画像のゲインを、予め設定された係数により補正する画像処理部をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記係数は、燐光発光の減衰率の逆数であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記係数は、前記紙葉類の種類及び方向毎に設定されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記係数は、燐光発光が励起される前記紙葉類上の領域毎に設定されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記係数は、燐光発光の色毎に設定されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、前記画像処理部は、ゲイン補正後の燐光画像と前記イメージセンサによって蛍光発光を撮像した蛍光画像との差分画像を生成することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記発明において、前記画像処理部は、前記燐光画像のゲイン補正により、蛍光発光及び燐光発光の両方が励起された領域の画像を消去した差分画像を生成することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記発明において、前記イメージセンサは0.5〜3.0mmの間のピッチで蛍光発光及び燐光発光の画像データを取得可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、紙葉類が搬送される搬送路を挟んで上下に対向配置された2つのセンサユニット内の受光レンズ及びイメージセンサが搬送方向にずらして配置されているので、2つのセンサユニットで光源を同時に点灯した場合でも、対向する位置にある光源からの照射光の影響を受けることなく、紙葉類表面及び紙葉類裏面の両方で、蛍光発光及び燐光発光を高精度に検知することができる。
【0021】
また、本発明によれば、発光強度が弱い燐光発光を撮像した画像のゲイン補正を行うことにより、画像上で燐光発光が撮像された領域を明瞭に示す画像を得ることができる。
【0022】
また、本発明によれば、燐光発光に係るゲイン補正を行うための係数を、例えば燐光発光が励起される領域毎に予め設定しておくことができるので、紙葉類上で複数の異なる燐光発光が励起される場合でも、各燐光発光を撮像した画像を個別にゲイン補正して、燐光発光が撮像された全ての領域を明瞭に示す画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本実施形態に係る蛍光・燐光検知ユニットで行われる処理の概要を説明するための模式図である。
図2図2は、蛍光・燐光検知ユニットの構成概略を示すブロック図である。
図3図3は、燐光画像のゲイン補正に利用する係数テーブルを説明するための模式図である。
図4図4は、センサユニットの構造概略を示す断面模式図である。
図5図5は、蛍光・燐光検知ユニットにより紙葉類の蛍光画像及び燐光画像を取得する方法を説明するためのタイミングチャートである。
図6図6は、蛍光・燐光検知ユニットによる励起光の照射範囲及び画像データの測定範囲を説明するための模式図である
図7図7は、励起光の照射範囲に対応する紙葉類上の部分領域の移動を示す図である。
図8図8は、受光素子の配置について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る蛍光・燐光検知装置について説明する。蛍光・燐光検知装置は、例えば、紙葉類の種類や真偽等を判別して枚数等を計数する紙葉類処理装置内で利用される。例えば、紙葉類処理装置内で紙葉類の真偽を判別する紙葉類真偽判別装置が、紙葉類を撮像した可視光画像等から取得した特徴量と、蛍光・燐光検知装置による蛍光発光及び燐光発光の検知結果とに基づいて紙葉類の真偽を判別する。所定波長域の励起光を照射することにより蛍光発光及び燐光発光が励起される紙葉類であれば、蛍光・燐光検知の処理対象とする紙葉類の種類は特に限定されないが、処理対象として、例えば、クーポン、商品券、株券、小切手、紙幣等が挙げられる。
【0025】
まず、本実施形態に係る蛍光・燐光検知ユニット(蛍光・燐光検知装置)で行われる処理の概要を説明する。図1は、蛍光・燐光検知ユニット10で行われる処理の概要を説明するための模式図である。図1(a)に示すように、蛍光・燐光検知ユニット10は、紙葉類種類判別ユニット20と接続されており、紙葉類処理装置内で紙葉類搬送部30によって搬送路上を搬送される紙葉類100が、紙葉類種類判別ユニット20及び蛍光・燐光検知ユニット10内を通過する。紙葉類処理装置内では、紙葉類真偽判別ユニットが、紙葉類種類判別ユニット20による判別結果、蛍光・燐光検知ユニット10による蛍光及び燐光の検知結果、磁気や紙葉類の厚み等の検知結果等に基づいて、紙葉類100の真偽を判別するようになっている。
【0026】
紙葉類種類判別ユニット20は、紙葉類搬送部30によって搬送される紙葉類100が蛍光・燐光検知ユニット10内での蛍光発光及び燐光発光の検知位置へ到達するよりも前に、紙葉類100の種類を判別する。紙葉類種類判別ユニット20による判別結果は蛍光・燐光検知ユニット10へ入力される。ここで、紙葉類100の種類とは、この紙葉類100上で励起される発光の種類と、発光が励起される紙葉類100上の部分領域の位置及び大きさとを特定するための情報である。例えば、紙葉類100が紙幣であれば、紙葉類種類判別ユニット20によって判別された金種情報と、表裏及び搬送方向の情報とが、種類判別結果として蛍光・燐光検知ユニット10へ入力される。なお、図1(a)では、紙葉類種類判別ユニット20と蛍光・燐光検知ユニット10とを搬送路に順に並べた構成を示しているが、蛍光・燐光検知ユニット10が紙葉類種類判別ユニット20内に含まれる構成であってもよい。
【0027】
蛍光・燐光検知ユニット10内では、予め、紙葉類100で励起される発光の種類、紙葉類100上で発光する部分領域等の情報が、紙葉類100の種類と関連付けて記憶されている。蛍光・燐光検知ユニット10は、紙葉類種類判別ユニット20から入力された紙葉類100の種類情報に基づいて、この紙葉類100がユニット内を搬送されるタイミングに合わせて、紙葉類100に向けて励起光を照射する光源の点灯及び消灯のタイミングを制御すると共に、この励起光によって励起された蛍光発光及び燐光発光を撮像する。
【0028】
図1(b)は、紙葉類100で励起された蛍光発光及び燐光発光を撮像して得られた画像の例と各画像で行われる処理とを示している。図1(b)に示すように、蛍光・燐光検知ユニット10は、紙葉類100で励起された蛍光発光を撮像した蛍光画像201と、紙葉類100で励起された燐光発光を撮像した燐光画像301とを取得する。蛍光画像201では、蛍光発光が励起された3箇所の部分領域に蛍光領域画像201a〜201cが含まれている。また、燐光画像301では、燐光発光が励起された2箇所の部分領域に燐光領域画像301a、301bが含まれている。
【0029】
図1(b)の例は、蛍光発光が励起されて蛍光領域画像201a、201bが得られた紙葉類100上の同じ部分領域で燐光発光も励起されて燐光領域画像301a、301bが得られたことを示している。このため、蛍光画像201上の蛍光領域画像201a、201bと、燐光画像301上の燐光領域画像301a、301bとが同じ領域となっている。一方、蛍光領域画像201cが得られた部分領域では、蛍光発光のみが励起され、燐光発光は励起されなかったために、蛍光画像201の蛍光領域画像201cに対応する燐光画像301上の領域には燐光領域画像が得られていない。
【0030】
蛍光・燐光検知ユニット10は、紙葉類100が傾いた状態で搬送路を搬送されていたために、蛍光画像201及び燐光画像301が傾いている場合には、まず、この画像の傾きを補正する(A1)。次に、蛍光・燐光検知ユニット10は、傾きを補正した燐光画像302上で、燐光領域画像302a、302bが明瞭に現れるように、各燐光領域画像302a、302bのゲインを補正する(A2)。具体的には、燐光領域画像302a、302bを形成する各画素の画素値に、予め設定されている係数を乗算して画素値を変換する。係数は、燐光発光が生ずる領域毎に予め設定されており、紙葉類100の種類別かつ領域別に蛍光・燐光検知ユニット10内に記憶されている。なお、係数は、領域別に設定する他、例えば、蛍光発光や燐光発光の色に応じて設定することも可能となっている。
【0031】
燐光領域画像302a、302bのゲインを補正するための各係数は、燐光領域画像302a、302bを形成する各画素の画素値に乗算して得られた画素値が、対応する蛍光領域画像202a、202bを形成する各画素の画素値と略同じ値となるように設定されている。例えば、燐光発光の減衰率の逆数又は該逆数に応じた値が係数として設定され、燐光領域画像302aと燐光領域画像302bとで異なる係数を設定することができる。設定された係数によりゲイン補正された燐光画像303では、燐光領域画像303aを形成する各画素の画素値が、蛍光画像202で蛍光領域画像202aを形成する対応する画素の画素値と略同じ値となる。同様に、ゲイン補正後の燐光領域画像303bと、これに対応する蛍光領域画像202bとの間で、対応する画素の画素値が略同じ値となる。
【0032】
蛍光・燐光検知ユニット10は、燐光画像302に含まれる各燐光領域画像302a、302bのゲイン補正を終えると、蛍光画像202を形成する各画素の画素値からゲイン補正後の燐光画像303を形成する各画素の画素値を差し引いて差分画像を生成する(A3)。この結果、差分画像401は、蛍光画像202から、燐光画像302の燐光領域画像303a、303bに対応する蛍光領域画像202a、202bを消去して、蛍光領域画像401cのみを残した画像となる。
【0033】
このように、差分画像では、蛍光発光及び燐光発光の両方が撮像された領域には発光を撮像した部分領域画像は含まれず、蛍光発光のみが撮像された領域及び燐光発光のみが撮像された領域に部分領域画像が含まれる画像となる。
【0034】
燐光発光は発光強度が弱いために、燐光画像302上で、燐光領域画像302a、302bを確認しにくい場合がある。このような場合でも、蛍光・燐光検知ユニット10では、予め燐光発光が励起される領域毎に燐光発光の発光強度に応じて設定された係数を利用してゲイン補正が行われるので、明瞭な燐光領域画像303a、303bを得ることができる。
【0035】
また、汚れや経年変化等、紙葉類100の状態によって蛍光発光及び燐光発光の状態が変化するために、同じ紙葉類100の同じ発光現象を撮像したものであるにも拘わらず、異なる画像が得られる場合がある。蛍光・燐光検知ユニット10では、このような場合でも、蛍光画像202とゲイン補正後の燐光画像303から差分画像401を得ることにより、紙葉類100の状態による影響を抑制することができる。
【0036】
蛍光・燐光検知ユニット10により、蛍光画像201、202と、燐光画像301〜303と、差分画像401とが得られると、これらを利用して紙葉類100の真偽を判別することができる。例えば、真の紙葉類100を利用して蛍光・燐光検知ユニット10によって得られる画像を、テンプレート画像として予め準備しておいて、このテンプレート画像と蛍光・燐光検知ユニット10で得られた画像とを比較評価することにより、紙葉類100の真偽を判別することができる。また、この評価結果を利用して、紙葉類種類判別ユニット20及び蛍光・燐光検知ユニット10と接続された紙葉類真偽判別ユニットにより、紙葉類100の真偽判別を行うこともできる。なお、紙葉類100の真偽判別を行う際に、蛍光・燐光検知ユニット10によって得られた蛍光画像201、202、燐光画像301〜303及び差分画像401のうちどの画像を利用するかについては、紙葉類100の種類や紙葉類真偽判別ユニットの機能に応じて適宜設定される。
【0037】
次に、蛍光・燐光検知ユニット10の構成について説明する。図2は、蛍光・燐光検知ユニット10の構成概略を示すブロック図である。蛍光・燐光検知ユニット10は、図1に示したように、紙葉類種類判別ユニット20から紙葉類100の種類判別結果を取得して、紙葉類100の種類に応じて、蛍光画像201、202、燐光画像301〜303、蛍光画像と燐光画像の差分画像401の少なくともいずれか1つを出力する機能を有している。蛍光・燐光検知ユニット10から出力された画像は、紙葉類真偽判別ユニット等の外部装置に入力される。
【0038】
蛍光・燐光検知ユニット10は、紙葉類搬送部30と、光源40と、イメージセンサ50と、制御部60と記憶部70とを有している。紙葉類搬送部30は、蛍光・燐光検知ユニット10内の搬送路で紙葉類100を搬送する機能を有する。紙葉類搬送部30は、例えば、2000mm/Secの速度で紙葉類100を高速搬送する。光源40は、LED等の発光素子により、紙葉類搬送部30によって搬送路上を搬送される紙葉類100に所定波長域の光を照射する機能を有する。光源40は、例えば紫外線LEDにより、紙葉類100に向けて紫外光を照射する。なお、光源40については、LEDからの光を紙葉類100に向けて直接照射する態様であってもよいし、導光体を利用して、LEDからの光を導光体を介して照射する態様であっても構わない。
【0039】
イメージセンサ50は、紙葉類100で励起された蛍光発光の画像及び燐光発光の画像を取得する機能を有する。イメージセンサ50は、フォトダイオード等の受光素子及びRGBカラーフィルタによって形成されている。具体的には、例えば、26μm×45μm(主走査方向×副走査方向)の受光面を有する複数の受光素子を中心間の間隔を42.3μmあけて主走査方向に1列に配置すると共に、これを副走査方向に隣り合う列との中心間の間隔が84.6μmとなるように3列配置する。そして、RGBカラーフィルタを、1列目の受光素子の列上にR(赤)のカラーフィルタ、2列目の受光素子の列上にG(緑)のカラーフィルタ、3列目の受光素子の列上にB(青)のカラーフィルタが位置するように設置する。これにより、イメージセンサ50では、RGB各色のカラー画像とフルカラー画像とを取得することができる。イメージセンサ50を、受光素子を1列に配置した方向が紙葉類搬送部30による搬送方向と垂直になるように調整して設置することにより、紙葉類搬送部30によって搬送される紙葉類100を1ラインずつ走査しながらRGB各色のラインデータを取得して、紙葉類100全面のRGB各色の画像データ及びフルカラーの画像データを取得できるようになっている。
【0040】
記憶部70は、半導体メモリやハードディスク等の不揮発性の記憶装置であり、内部には、紙葉類データ71が保存されている。例えば、紙葉類100の種類毎に、紙葉類100上で蛍光発光が励起される部分領域に係る情報、燐光発光が励起される部分領域に係る情報、燐光画像302のゲイン補正を行うための係数に係る情報、蛍光画像201及び燐光画像301を取得するための撮像条件に係る情報等が保存されている。
【0041】
制御部60は、光源制御部61と、画像取得部62と、画像処理部63と、画像出力部64とを有している。光源制御部61は、蛍光画像201及び燐光画像301を取得するための光源40の制御を行う。画像取得部62は、紙葉類搬送部30によって搬送される紙葉類100の蛍光画像201及び燐光画像301を取得する機能を有する。光源制御部61及び画像取得部62による蛍光画像201及び燐光画像301の取得方法についての詳細は後述する。
【0042】
画像処理部63は、画像取得部62によって取得された蛍光画像201及び燐光画像301の傾き補正、燐光画像302のゲイン補正、蛍光画像202及び燐光画像303からの差分画像401の生成等の処理を行う機能を有する。
【0043】
画像処理部63による燐光画像302のゲイン補正は、記憶部70に紙葉類データ71として保存されているゲイン補正用の係数テーブルを利用して行われる。図3は、燐光画像302のゲイン補正に利用する係数テーブルを説明するための模式図である。図3(a)に示すように、紙葉類100は、紙葉類100上で蛍光発光が励起される領域及び燐光発光が励起される領域に基づいて、領域1〜領域nの部分領域に分割される。係数テーブルでは、紙葉類100の種類、方向、及び領域1〜nによって異なる係数を設定できるようになっている。なお、係数テーブルにおける方向については、例えば表面に肖像画が含まれる紙幣で、図3(a)に示す紙葉類100が表面を示しかつ肖像画が正立して頭が上方向となっていればA方向、表面かつ肖像画が倒立していればB方向、裏面かつ肖像画が倒立していればC方向、裏面かつ肖像画が正立していればD方向と呼ぶこととして説明する。
【0044】
例えば、紙葉類種類判別ユニット20から、紙葉類100は種類1かつA方向であることを示す紙葉類100の種類判別結果が蛍光・燐光検知ユニット10に入力されると、画像処理部63は、記憶部70の紙葉類データ71に含まれる係数テーブルを参照する。図3(b)の例では、画像処理部63は、種類1かつA方向の係数を利用して、例えば、領域1では各画素の画素値に係数α11を乗算することによってゲインを補正し、領域2では各画素の画素値に係数α12を乗算することによってゲインを補正する。
【0045】
画像出力部64は、蛍光・燐光検知ユニット10で得られた蛍光画像201、202、燐光画像301〜303、差分画像401の少なくともいずれか1つを外部装置に向けて出力する機能を有する。どの画像を出力するかは、紙葉類100の種類や出力先となる外部装置に応じて予め設定されており、画像出力部64は、この設定に基づいて画像を選択して出力する。例えば、画像出力部64は、差分画像401を紙葉類真偽判別ユニットに向けて出力する。紙葉類真偽判別ユニットは、蛍光・燐光検知ユニット10から入力された画像及び紙葉類種類判別ユニット20から入力された紙葉類100の種類に係る情報の他に、紙葉類100の可視光画像、磁気特性、厚み等のデータを取得して、取得したデータを総合的に判断して紙葉類100の真偽を決定する。
【0046】
次に、蛍光・燐光検知ユニット10を構成するセンサユニット151、251の構造について説明する。図4は、センサユニット151、251の構造概略を示す断面模式図であり、センサユニット151、251を側方から見た断面形状を示している。図4のX軸正方向が紙葉類搬送部30による紙葉類100の搬送方向である。蛍光・燐光検知ユニット10は、紙葉類搬送部30によって紙葉類100が搬送される搬送路を挟むように上下に対向配置された2つのセンサユニット151、251を有している。
【0047】
上側のセンサユニット151について説明する。上側のセンサユニット151は、センサケースの一部に透明部材152が嵌め込まれた構造を有し、センサケース内部には光源40やイメージセンサ50等が収められている。
【0048】
光源40は、図4左側の基板163a上のLED153aと、右側の基板163b上のLED153bとを含んでいる。各LED153a、153bは紫外光を発する紫外線LEDである。LED153a、153bから紙葉類100へ向けて紫外光を照射する方向に可視カットフィルタ154a、154bが設置されており、各LED153a、153bによる照射光から波長が400nm以上の可視光成分がカットされる。2つのLED153a、153bから照射されて可視カットフィルタ154a、154bを透過した紫外光は、透明部材152を透過して、紙葉類搬送部30によって搬送される紙葉類100に向けて照射される。なお、図4では1組のLED153a、153bのみを示しているが、光源40を形成するLEDは、紙葉類100上の撮像対象領域全てに十分な光を照射できるようにイメージセンサ50の配置に合わせて、搬送方向(X軸方向)と垂直な方向(Y軸方向)に並べて配置されている。
【0049】
イメージセンサ50は、基板165に固定されたフォトダイオード等の受光素子155と各受光素子155でカラーのデータを取得するためのRGBカラーフィルタ等から形成されている。紙葉類搬送部30から受光素子155へ至る光路上には、紙葉類100からの光を受光するロッドレンズアレイ(受光レンズ)156が設けられている。紙葉類搬送部30によって搬送される紙葉類100の上面全面を撮像できるように、イメージセンサ50を形成する複数の受光素子155は、搬送方向と垂直な方向に並べて配置されており、所定数毎の受光素子155に対応して設けられたロッドレンズによりロッドレンズアレイ156が形成されている。なお、各ロッドレンズには紫外カットフィルタが蒸着されており、紙葉類100からの光が受光素子155へ至る前に400nm以下の紫外光成分がカットされるようになっている。
【0050】
紙葉類搬送部30によって搬送される紙葉類100の上面で反射されて透明部材152を透過した光は、ロッドレンズアレイ156の下面から入射して、受光素子155で受光され、上側のセンサユニット151により、紙葉類搬送部30によって搬送される紙葉類100の上面全面を撮像できるようになっている。
【0051】
下側のセンサユニット251は、上側のセンサユニット151と同様に、光源40として、右側基板263a上のLED253a及び左側基板263b上のLED253bを含んでいる。各LED253a、253bは紫外光を発する紫外線LEDである。LED253a、253bから紙葉類100へ向けて紫外光を照射する方向に可視カットフィルタ254a、254bが設置されており、各LED253a、253bによる照射光から波長が400nm以上の可視光成分がカットされた後、透明部材252を透過して紙葉類搬送部30によって搬送される紙葉類100に向けて照射される。なお、図4では1組のLED253a、253bのみを示しているが、光源40を形成するLEDは、紙葉類100上の撮像対象領域全てに十分な光を照射できるようにイメージセンサ50の配置に合わせて、搬送方向(X軸方向)と垂直な方向(Y軸方向)に並べて配置されている。
【0052】
また、下側のセンサユニット251は、イメージセンサ50として、基板265に固定されたフォトダイオード等の受光素子255と各受光素子255でカラーのデータを取得するためのRGBカラーフィルタ等を含んでいる。紙葉類搬送部30から受光素子255へ至る光路上にはロッドレンズアレイ(受光レンズ)256が設けられている。紙葉類搬送部30によって搬送される紙葉類100の裏面全面を撮像できるように、イメージセンサ50を形成する複数の受光素子255は、搬送方向と垂直な方向に並べて配置されており、所定数毎の受光素子255に対応して設けられたロッドレンズによりロッドレンズアレイ256が形成されている。なお、各ロッドレンズには紫外カットフィルタが蒸着されており、紙葉類100からの光が受光素子255へ至る前に400nm以下の紫外光成分がカットされるようになっている。
【0053】
紙葉類搬送部30によって搬送される紙葉類100の下面で反射されて透明部材252を透過した光は、ロッドレンズアレイ256の上面から入射して、受光素子255で受光され、下側のセンサユニット251により、紙葉類搬送部30によって搬送される紙葉類100の下面全面を撮像できるようになっている。
【0054】
図4に示すように、上下のセンサユニット151、251のセンサケースを、搬送路に対して上下対称となるように設けているのは、搬送路の上下で各センサを支持する取付ベースを、他のセンサと共通化するためである。取付ベースを共通化することにより、同じ取付ベースを利用して、センサユニット151、251の替わりに、超音波センサ等、他の機能を有するセンサユニットを向かい合うように取り付けることができるので、各センサユニットの取付ベースに係るコストダウンを図ることができる。
【0055】
図4に示すように、2つのセンサユニット151、251は、センサケースがX軸方向に同一の位置となるように、搬送路を挟んで上下に対向配置されている。一方、搬送路上側に設置されたセンサユニット151内のロッドレンズアレイ156及び受光素子155と、搬送路下側に設置されたセンサユニット251内のロッドレンズアレイ256及び受光素子255とは、搬送方向(X軸方向)にずらした位置に配置されている。これにより、上側のセンサユニット151では、下側のセンサユニット251から紙葉類100の下面へ向けて照射された光の影響を受けることなく紙葉類100の上面全面を撮像することができる。同様に、下側のセンサユニット251では、上側のセンサユニット151から紙葉類100の上面へ向けて照射された光の影響を受けることなく紙葉類100の下面全面を撮像することができる。
【0056】
次に、蛍光・燐光検知ユニット10によって紙葉類100の蛍光画像及び燐光画像を取得する方法について説明する。図5は、蛍光・燐光検知ユニット10により紙葉類100の蛍光画像及び燐光画像を取得する方法を説明するためのタイミングチャートである。なお、蛍光・燐光検知ユニット10の上側のセンサユニット151と下側のセンサユニット251で、蛍光画像及び燐光画像を取得する方法は同じであるため、以下では上側のセンサユニット151を例に説明することとする。また、以下では、紙葉類搬送部30によって、紙葉類100が2000mm/Secの搬送速度で搬送されるものとして説明する。
【0057】
図5の一番上には時間軸を示しており、同図(a)には蛍光・燐光検知ユニット10各部の動作に利用するクロック信号(MCLK)を示している。また、図5(b)は光源40から照射する紫外光の照射タイミングを示し、同図(c)〜(e)は光源40からの紫外光によって紙葉類100上で励起される蛍光発光及び燐光発光の例を示している。また、図5(f)は、蛍光画像を形成するラインデータ及び燐光画像を形成するラインデータの取得タイミングを示している。紙葉類100が1.5mmの距離を搬送される時間を1周期として、図5に示すこの1周期の間に、蛍光画像1ライン分のラインデータ及び燐光画像1ライン分のラインデータが取得される。
【0058】
具体的には、光源制御部61が、紙葉類搬送部30による紙葉類100の搬送タイミングに基づいて、紙葉類100上で蛍光発光が励起される部分領域(蛍光領域)又は燐光発光が励起される部分領域(燐光領域)の搬送方向先端がイメージセンサ50による測定範囲に到達するタイミングを認識して、光源40を点灯する(t=0、図5(b)「ON」)。そして、光源制御部61は、1クロック分の時間が経過する時間、すなわち紙葉類100が0.25mmの距離を搬送されるのに必要な時間(t=t2)よりも早いタイミングで(t=t1)、光源40を消灯する(図5(b)「OFF」)。これにより、光源40を形成する紫外線LED153a、153bはt=0〜t1の間だけ点灯して、この間に、紙葉類100上に紫外光が照射されることになる。
【0059】
なお、蛍光領域及び燐光領域がイメージセンサ50による測定範囲に到達するタイミングは、蛍光・燐光検知ユニット10に入力された紙葉類100の種類判別結果に基づいて記憶部70の紙葉類データ71を参照して得られた紙葉類100上の蛍光領域及び燐光領域に係る情報と、紙葉類搬送部30による搬送タイミングに係る情報とに基づいて算出される。また、光源40から照射する光の種類(波長域)、照射する際の発光強度、光源40を消灯するタイミング等についても紙葉類100の種類に応じて予め設定され、紙葉類データ71として記憶部70に記憶されているので、この設定情報に基づいて光源40が制御される。
【0060】
図5(c)は、紙葉類100が蛍光領域を含む場合の例を示しており、縦軸は蛍光領域で励起された蛍光発光の発光強度を示している。蛍光領域では、図5(c)に示したように、光源40を点灯したタイミングで蛍光発光が励起され(t=0)、光源40を消灯したタイミングで蛍光発光が消失する(t=t1)。
【0061】
図5(d)は、紙葉類100が蛍光領域及び燐光領域を含む場合の例を示しており、縦軸は蛍光発光及び燐光発光の発光強度を示している。燐光発光は、蛍光発光とは異なり、励起光の照射が開始されてから徐々に発光強度が上昇して飽和した後、励起光の照射が停止された後も発光強度を弱めながら暫くは発光し続け、徐々に減衰して消失する。図5(d)でも、同図(c)と同様に、紙葉類100上の蛍光領域で、光源40を点灯したタイミングで蛍光発光が励起され(t=0)、光源40を消灯したタイミングで蛍光発光が消失する。これに加えて、図5(d)では、光源40を消灯した後も燐光領域で励起された燐光発光が続く。燐光発光は、光源40を消灯したタイミング(t=t1)から徐々に減衰して消失する(t=t5)。
【0062】
図5(e)は、紙葉類100が蛍光領域及び燐光領域を含む、同図(d)とは別の例を示している。縦軸は蛍光発光及び燐光発光の発光強度を示している。例えば、燐光発光するインクの種類、すなわち燐光発光物質の種類によって、燐光発光の発光強度や燐光発光が減衰して消失するまでの時間が異なる。図5(e)でも、同図(c)と同様に、紙葉類100上の蛍光領域で、光源40を点灯したタイミングで蛍光発光が励起され(t=0)、光源40を消灯したタイミングで蛍光発光が消失する。これに加えて、図5(e)では、同図(d)の場合と同様に、光源40を消灯した後も燐光領域で励起された燐光発光が続くが、燐光発光物質が同図(d)に示す燐光物質とは異なるために、同図(d)に比べて早いタイミングで燐光発光が消失している(t=t4)。
【0063】
蛍光・燐光検知ユニット10では、画像取得部62が、図5(f)に示すタイミングで、蛍光領域画像を形成するラインデータ及び燐光領域画像を形成するラインデータを取得する。蛍光領域では、光源40からの紫外光照射の開始と同時に蛍光発光が励起されるので、画像取得部62は、光源40を点灯してから1クロック分の間に(t=0〜t2)、イメージセンサ50により、蛍光領域画像を形成する1ライン分のラインデータを取得する。また、燐光発光については、蛍光発光が消失した後、2クロック目の時間内に(t=t2〜t3)、イメージセンサ50により、燐光領域画像を形成する1ライン分のラインデータを取得する。
【0064】
紙葉類100が1周期分1.5mmの距離を搬送される6クロックの間に、1クロック目で光源40の点灯及び消灯が制御されると共に蛍光領域画像を形成するラインデータが取得され、2クロック目で燐光領域画像を形成するラインデータが取得されるが、この後、3クロック目から6クロック目までの間は、光源制御やラインデータ取得は行わず待機状態となる。
【0065】
紙葉類種類判別ユニット20から入力された紙葉類100の種類判別結果に基づいて記憶部70の紙葉類データ71を参照した蛍光・燐光検知ユニット10は、紙葉類100上での蛍光領域及び燐光領域の位置や形状等を認識している。画像取得部62は、紙葉類搬送部30による搬送タイミングに合わせて、蛍光領域がイメージセンサ50による測定範囲を通過する間、図5に示す制御を繰り返して、蛍光領域画像を形成するラインデータを1ラインずつ取得する。同様に、画像取得部62は、燐光領域がイメージセンサ50による測定範囲を通過する間、図5に示す制御を繰り返して、燐光領域画像を形成するデータを1ラインずつ取得する。
【0066】
具体的には、図5(b)に示す光源制御及び同図(f)に示すラインデータの取得を繰り返すことにより、紙葉類搬送部30により搬送される紙葉類100がイメージセンサ50による測定範囲を通過する間に、図1(b)に示す蛍光画像201及び燐光画像301の両方の画像を同時に取得することができる。
【0067】
このように、蛍光・燐光検知ユニット10では、紙葉類搬送部30によって高速搬送される紙葉類100がユニット内を通過する間に、蛍光発光を撮像した蛍光画像と、燐光発光を撮像した燐光画像との両方を取得することができる。また、蛍光・燐光検知ユニット10は、搬送路を挟んで上下に配置された各センサユニット151、251を有しているので、紙葉類搬送部30によって高速搬送される紙葉類100がユニット内を通過する間に、紙葉類100表面の蛍光画像及び燐光画像と、紙葉類100裏面の蛍光画像及び燐光画像とを同時に取得することができる。
【0068】
蛍光画像及び燐光画像に係る画像データの読み出しは、図5に示す2クロックの間に行うことができるので、光源40及びイメージセンサ50の動作を制御することにより、画像データの読み出しは最小0.5mmピッチで行うことができる。また、図5に示す1.5mmの1周期で、上下のセンサユニット151、251でシリアルに画像データの読み出しを行えば、画像データの読み出しを3.0mmピッチで行うこともできる。すなわち、本実施形態に係る蛍光・燐光検知ユニット10では、0.5〜3.0mmの間のピッチで蛍光画像及び燐光画像の画像データを取得することができる。この読み出しピッチを時間で示すと250μS〜1.5mSとなる。なお、画像データの読み出しピッチ(時間)は、0.5〜3.0mm(250μS〜1.5mS)の間で、紙葉類100に使用されている燐光インクの残光特性、すなわち燐光発光の発光特性を考慮して決定される。
【0069】
蛍光・燐光検知ユニット10は、発光強度の弱い燐光発光を高精度に検知できる点に1つの特徴を有している。以下、この特徴について説明する。なお、蛍光・燐光検知ユニット10の上側のセンサユニット151と下側のセンサユニット251とは同様の構成であるため、以下では上側のセンサユニット151を例に説明することとする。
【0070】
図6は、蛍光・燐光検知ユニット10による励起光の照射範囲501及び画像データの測定範囲601を説明するための模式図である。図6上側には側方から見たセンサユニット151の断面模式図を示し、下側にはセンサユニット151による励起光の照射範囲501及び画像データの測定範囲601を上方から見た模式図を示している。
【0071】
光源制御部61により光源40を制御して紫外線LED153a、153bを点灯すると、可視カットフィルタ154a、154bを透過した紫外光の照射範囲501は、図6に示すように、紙葉類搬送部30によって紙葉類100が搬送される搬送路上で長軸がL2の楕円形形状となる。また、画像取得部62により受光素子155から紙葉類100の画像データを取得する測定範囲はロッドレンズアレイ156によって紙葉類100からの反射光を受光する範囲となる。具体的には、測定範囲601は、図6に示すように、紙葉類搬送部30によって搬送される紙葉類100上で長軸がL1の楕円形形状となる。なお、本実施形態では、説明を簡単にするため、紫外線LED153a、153b及びロッドレンズアレイ156等を含む1組の構造のみを図示しているが、実際の装置では、これらがY軸方向にアレイ状に配設された構造となる。このため、例えば、図6に示す照射範囲501及び測定範囲601は、隣接する照射範囲501及び測定範囲601との間で一部を重複した状態で、紙面のY軸方向に連続することになる。これにより、センサユニット151の位置を通過する紙葉類100の全面からデータを取得できるようになっている。
【0072】
蛍光・燐光検知ユニット10では、紙葉類100上で燐光発光が励起された燐光領域が、燐光発光に係る画像データを取得する間に移動して、画像データを取得する測定範囲601を通過してしまうことがないように、励起光の照射範囲501を広く設定している。
【0073】
図7は、励起光の照射範囲501に対応する紙葉類100上の部分領域101の移動を示す図である。蛍光・燐光検知ユニット10による励起光の照射範囲501は、長軸L2=3.0mmの楕円形形状となっている。この照射範囲501に対応する紙葉類100上の部分領域101に燐光発光物質が含まれていれば、この部分領域101で燐光発光が励起される。
【0074】
図7に破線矩形で示したように、センサユニット151の受光素子155に対応する位置が部分領域101の中心位置となる。図8は、図7に示す受光素子155を拡大表示したもので、受光素子155の配置について説明する図である。受光素子155はサイズが小さいために図4及び6には示していないが、上述したように受光素子155は3列の素子によって形成され、図8に示すように、X軸方向に45μm、Y軸方向に26μmの受光面を有するRGBの各受光素子が、中心間が84.6μmとなるように3列に配置されている。
【0075】
蛍光・燐光検知ユニット10では、図5に示したように、光源40を消灯した後に燐光領域画像のラインデータが取得される。2000mm/Secで搬送される紙葉類100は、燐光画像に係る1ライン分のラインデータを取得する1クロック分の間に0.25mm移動する。このため、図7に実線で示す紙葉類100上の部分領域101は、破線で示す部分領域102へ搬送方向に0.25mm移動するが、燐光発光が励起される部分領域101(102)の長軸L2=3.0mmに比べて移動量は0.25mmと小さい。また、励起光が照射される部分領域101(図6の照射範囲501)の略中央で、部分領域101に対して十分に小さい領域(図6の測定範囲601)で燐光発光に係るラインデータが取得されるので、部分領域101の移動による影響を受けることなく燐光発光を高精度に検知することができる。
【0076】
このように、蛍光・燐光検知ユニット10では、光源40による励起光の照射範囲501の長軸(L2=3.0mm)を、燐光画像に係る1ライン分のラインデータを取得する1クロック分の間に紙葉類100が移動する距離(0.25mm)の10倍以上とすることにより燐光発光を高精度に検知することができる。
【0077】
また、蛍光・燐光検知ユニット10では、燐光発光に係る画像データを取得する間に、データ取得中の紙葉類100上の部分領域が移動して、画像データを取得する測定範囲601から完全に外れることがないように、画像データの測定範囲601を広く設定している。すなわち、測定範囲601に対応する紙葉類100上の部分領域が、測定中に測定範囲601外へ移動してしまわないようになっている。
【0078】
具体的には、本実施形態の蛍光・燐光検知ユニット10では、搬送路を搬送される紙葉類100の上下変動等によって測定範囲601が変化した場合でも、開口角度が20度のロッドレンズアレイ156を利用することにより、測定範囲601の長軸L1が0.43mm以上となるように設定されている。すなわち、測定範囲601が最も狭い場合でも、燐光発光の1ライン分のラインデータを測定する1クロック分の間に紙葉類100が移動する距離(0.25mm)を、測定範囲601の長軸(L1=0.43mm)の60%以下に抑えている。これにより、1ライン分のラインデータを取得する間に、紙葉類100の搬送に伴って紙葉類100上の測定中の部分領域が測定範囲601から完全に外れて、全く異なる部分領域からデータが取得されるという事態を回避して、燐光発光を高精度に検知することができる。
【0079】
蛍光・燐光検知ユニット10では、紙葉類搬送部30による紙葉類100の搬送状態によらず長軸L1=0.43mm以上の測定範囲601を確保できるように、開口角度が20度のロッドレンズアレイ156を利用しているので、開口角度が小さい場合に比べて明るい画像を取得することができる。具体的には、開口角度が20度であれば開口角度が12度のものに比べて4倍明るい画像を取得することができる。このため、本実施形態ではLEDアレイを利用する光源を示したが、LEDの数を減らして導光体を使った光源とすることも可能である。
【0080】
上述したように、本実施形態に係る蛍光・燐光検知ユニット10によれば、紙葉類100から蛍光画像、燐光画像及び蛍光画像と燐光画像の差分画像を取得することができる。蛍光画像と燐光画像の差分画像を得る際には、燐光画像のゲイン補正を行うことにより燐光発光の特徴を反映した画像とすることができる。また、紙葉類100上で燐光発光が励起される領域毎に予め設定された係数を利用して燐光発光の種類に応じたゲイン補正を行うことができる。
【0081】
また、蛍光・燐光検知ユニット10では、光源40により励起光を照射する紙葉類100上の照射範囲501と、紙葉類100上から燐光画像を形成するラインデータを取得する測定範囲601とを広く設定しているので、高速搬送される紙葉類100から燐光発光の画像データを高精度に取得できる。
【0082】
また、蛍光・燐光検知ユニット10では、搬送路を上下から挟むように設置された2つのセンサユニット151、251を有しているので、高速搬送される紙葉類100の両面で蛍光画像及び燐光画像を取得することができる。また、上下に対向配置されたセンサユニット151、251内で、イメージセンサ50が搬送方向にずらして配置されているので、搬送路を隔てて対向するセンサユニット151、251の光源40から照射される励起光の影響を受けることなく高精度に蛍光画像及び燐光画像を取得することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上のように、本発明に係る蛍光・燐光検知装置は、紙葉類の真偽を判別するためのデータの1つとして紙葉類の蛍光発光及び燐光発光に係る特徴量を取得することを目的として、蛍光発光及び燐光発光を高精度に検知するために有用な技術である。
【符号の説明】
【0084】
10 蛍光・燐光検知ユニット
20 紙葉類種類判別ユニット
30 紙葉類搬送部
40 光源
50 イメージセンサ
60 制御部
61 光源制御部
62 画像取得部
63 画像処理部
64 画像出力部
70 記憶部
151、251 センサユニット
152、252 透明部材
153a、153b、253a、253b LED
154a、154b、254a、254b 可視カットフィルタ
155、255 受光素子
156、256 ロッドレンズアレイ
165、265、163a、163b、263a、263b 基板
図1
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図8