商品販売データ処理装置は、入力デバイス、表示デバイスおよび無線ユニットを搭載し、商品販売データを処理する携帯可能な情報端末と、情報端末と接離自在のセット部材を有する無線通信が可能な据置型装置を備える。また、据置型装置は、ドロアと電気的に接続される。据置型装置は、情報端末からのドロア開放指令に応じてドロアを開放動作させる。情報端末は、据置型装置のセット部材との接続状態を検出する検出手段を有する。商品販売データの処理によりドロア開放指令の出力タイミングになると、検出手段がセット部材と接続状態にあることを検出しているか確認する。そして、接続状態にあることを検出している場合にドロア開放指令を出力する。
前記指令制御手段は、前記検出手段が前記セット部材と接続状態にあることを検出していない場合には、前記ドロア開放指令を出力せず、前記検出手段が前記据置型装置と接続されたことを検出したことに応じて前記ドロア開放指令を出力することを特徴とする請求項1に記載の商品販売データ処理装置。
入力デバイス、表示デバイス、ドロア及びドロア開放指令に応じて前記ドロアを開放動作させるドロア制御手段を備えた据置型装置と無線通信を行う無線ユニット、及び、前記据置型装置と着脱自在に接続するセット部材を有した携帯型の情報端末に実装されるコンピュータに、
前記セット部材を介して前記据置型装置と接続状態にあることを検出する検出機能と、
商品販売データの処理により前記ドロア開放指令の出力タイミングになると、前記検出機能が前記セット部材と接続状態にあることを検出しているか確認し、検出している場合に前記ドロア開放指令を出力する機能と、
を実現させるための制御プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、商品販売データ処理装置の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、この実施形態は、情報端末を活用してPOSシステムとしての機能を実現してなる商品販売データ処理装置1を例示する。
【0010】
図1は、商品販売データ処理装置1を用いたPOSシステム10の概略構成図である。POSシステム10は、複数台の商品販売データ処理装置1と、各商品販売データ処理装置1を管理する店舗サーバ2とを含む。各商品販売データ処理装置1と店舗サーバ2とは、LAN(Local Area Network)等のネットワーク3を介して双方向通信自在に接続される。また、ネットワーク3には、少なくとも1台の無線中継機4が接続される。
【0011】
各商品販売データ処理装置1は、それぞれ情報端末11と据置型装置12とからなる。情報端末11は、据置型装置12に対して着脱自在であり、接続した状態のときだけでなく分離した状態のときでも、POSシステムとしての機能を実現できる。ただし、据置型装置12から分離した状態のときに実現可能な機能は、接続した状態のときに実現可能な機能に対して制限を受ける。なお、情報端末11と据置型装置12は一対一の関係に限定されず、1つの据置型装置12に対して、複数の情報端末11を接続するようにしても良い。
【0012】
図2は情報端末11と据置型装置12、そしてドロア5を配置した状態を示している。
図3は情報端末11を据置型装置12から分離した状態を示している。また、
図4は、商品販売データ処理装置1を示すブロック図である。以下、
図2〜
図4を用いて、情報端末11と据置型装置12について説明する。
【0013】
情報端末11は、携帯可能な矩形の板状の筐体21を有する。そして情報端末11は、この筐体21の一面(表面と称する)にタッチパネル22を配設する。筐体21の周縁部の図示右側に磁気カードリーダ6が取り付けられている。また情報端末11は、駆動電源としてのバッテリ23を搭載する(
図4)。さらに
図4に示すように、情報端末11は、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、時計部34、タッチパネルコントローラ35、USB(Universal Serial Bus)コネクタ36、無線ユニット37、ドッキング用コネクタ38を搭載する。CPU31と、ROM32、RAM33、時計部34、タッチパネルコントローラ35、USBコネクタ36、入力ポート24、角度センサ25、無線ユニット37、ドッキング用コネクタ38とは、アドレスバス,データバス等のバスライン39によって接続される(
図4)。
【0014】
CPU31は、コンピュータの中枢部分に相当する(
図4)。CPU31は、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムに従って、POS端末としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。
【0015】
ROM32は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する(
図4)。ROM32は、上記のオペレーティングシステムやアプリケーションプログラムを記憶する。ROM32は、CPU31が各種の処理を実行する上で必要なデータを記憶する場合もある。
【0016】
RAM33は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する(
図4)。RAM33は、CPU31が各種の処理を実行する上で必要なデータを必要に応じて記憶する。またRAM33は、CPU31が各種の処理を行う際のワークエリアとしても利用される。
【0017】
時計部34は、現在の日付及び時刻を計時する(
図4)。
タッチパネル22は、表示部である表示デバイス22bの表示部分に、入力部である入力デバイス22aを配置して構成される(
図4)。このタッチパネル22が接続されるタッチパネルコントローラ35は、表示デバイス22bの画面表示を制御するとともに、入力デバイス22aの信号を監視する。そしてタッチパネルコントローラ35は、タッチ操作された位置座標情報とその時点における表示デバイス22bの画面情報とから、入力データを検出する。
【0018】
USBコネクタ36は、USB規格に準拠した通信方式を有する種々のUSBデバイスを着脱自在に接続するためのコネクタである(
図4)。本実施形態では、電子マネーカードに対するデータの読み取り及び書込みが可能なUSB対応の磁気カードリーダ6が、USBコネクタ36に接続される(
図4)。
【0019】
無線ユニット37は、
図1の無線中継機4との間で無線通信を利用してデータの送受信を行う(
図4)。
ドッキング用コネクタ38は、情報端末11を据置型装置12に接続するためのコネクタである(
図4)。ドッキング用コネクタ38は、筐体21のタッチパネル22が設けられた表面とは反対側の面(背面と称する)に設けられる。
【0020】
据置型装置12は、据え置き可能な箱型の筐体41を有する。そして、据置型装置12は、筐体41の上面を正面側に向けて傾斜させた、情報端末11の取付面42有する(
図2)。そして、据置型装置12は、この取付面42にセット部材である拡張用コネクタ43を配置する。この取付面42に情報端末11を背面側から取り付けることで、拡張用コネクタ43がドッキング用コネクタ38と接続される。これにより、情報端末11は、据置型装置12と電気的に接続される。なお、拡張用コネクタ43とドッキング用コネクタ38の電気的な接続は、情報端末11と据置型装置12との接続を検出する検出センサとしての機能も有している。
【0021】
据置型装置12は、拡張用コネクタ43の他、補助記憶デバイス44、電源ユニット45、プリンタ46、通信インターフェース47、I/Oコントローラ48を含む。拡張用コネクタ43と、補助記憶デバイス44、プリンタ46、通信インターフェース47、I/Oコントローラ48とは、アドレスバス,データバス等のバスライン49によって接続される。
【0022】
補助記憶デバイス44は、コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶デバイス44は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(Hard Disk Drive)、あるいはSSD(solid state drive)などである。補助記憶デバイス44は、情報端末11のCPU31が各種の処理を行う上で使用するデータや、CPU31での処理によって生成されたデータを保存する。
【0023】
補助記憶デバイス44は、アプリケーションプログラムを記憶する場合もある。本実施形態においては、
図4に示すように、各据置型装置12にのみ補助記憶デバイス44を記載しているが、情報端末11側にも同様に補助記憶デバイス44を設けることもできる。
【0024】
電源ユニット45は、補助記憶デバイス44やプリンタ46等の入出力デバイス等に対して駆動電源を供給する。また電源ユニット45は、情報端末11のバッテリ23を充電するための給電を、拡張用コネクタ43を介して行う。なお、給電は、拡張用コネクタ43とドッキング用コネクタを接続することにより行われる。接続方法としては、通信ケーブルによる接続に限られることなく、例えば、非接触の充電システムにより給電することも可能である。
【0025】
プリンタ46は、搬送されるロール紙に例えばサーマル方式で印字する。印字されたロール紙は、レシート発行口から排出され、切断されて、レシートとして発行される。プリンタ46は、ロール紙としてラベル用紙を用いることで、ラベルを発行することも可能である。また、プリンタ46は、サーマル方式以外の印字方式を採用したものであってもよい。
【0026】
通信インターフェース47は、ネットワーク3に接続される。通信インターフェース47は、ネットワーク3を介して情報端末11と店舗サーバ2との間で行われるデータの送受信を司る。
【0027】
I/Oコントローラ48は、外付け機器であるドロア5を接続し、その動作を制御する。続いて、磁気カードリーダ6について説明する。磁気カードリーダ6は、情報端末11とは別体の外付け型を用いる。磁気カードリーダ6は、矩形の筐体61を有する。筐体61の一面(情報端末11のタッチパネル22と同じ面)の長手方向の略中央部に磁気カードを走査するための読取溝62を有する。
【0028】
なお、本実施形態の商品販売データ処理装置1には、組み込まれていないが、バーコード等を光学的に読み取るスキャナが情報端末11に設けられていてもよい。また、スキャナは、カメラによって撮像した商品画像からその商品に付されるバーコード等を読み取るタイプであってもよい。
【0029】
図5は、商品販売データ処理装置1のCPU31が制御プログラムにしたがって実行する一客処理の手順を示すフローチャートである。一客処理とは、一人の買物客が買い上げる商品の登録開始から、その買物客における清算業務が終了するまでの情報処理である。
【0030】
CPU31は、買物客が買い上げる商品が選択されるのを待機する(Act1)。商品識別コードの入力または、表示デバイス22bに表示される商品ボタンがタッチされると、CPU31は、登録中フラグF0を調べる(Act2)。登録中フラグF0は、例えばRAM33に保存されている。登録中フラグF0が“0”にリセットされていると(Act2においてYES)、登録商品は、一人の買物客が買い上げる商品の1点目である。CPU31は、登録メモリをクリアする(Act3)。さらにCPU31は、登録中フラグF0を“1”にセットする(Act4)。
【0031】
Act4にて登録中フラグF0を”1”にセットするか、Act2にて登録中フラグが“1”にセットされている場合、CPU31は、商品販売データの登録処理を実行する(Act5)。すなわちCPU31は、Act1にて選択された商品の商品識別コードで補助記憶デバイス44に保存されている商品データファイルを検索し、当該商品識別コードに関連付けて記録されている商品名及び単価を呼出す。
【0032】
そしてCPU31は、単価に販売点数を乗算して販売価格を算出する。CPU31は、商品識別コード、商品名、単価、販売点数及び販売価格を含む商品販売データをトランザクションメモリに登録する。トランザクションメモリはRAM33に形成されており、買物客が買い上げる商品の登録開始に先立って初期化されている。
【0033】
商品販売データの登録処理を終えると、CPU31は、上記商品販売データの商品名、販売点数及び販売価格を、登録メモリの該当項目エリアに上書き保存する(Act6)。またCPU31は、登録メモリの合計点数エリアに販売点数を、また合計金額エリアに販売価格をそれぞれ加算する(Act7)。そしてCPU31は、登録メモリの内容を、タッチパネル22に表示させる(Act8)。
【0034】
CPU31は、商品の登録終了が宣言されたか否かを確認する(Act9)。登録終了が宣言されず(Act9にてNO)、次の商品が選択されたならば(Act1にてYES)、CPU31は、Act2以降の処理を実行する。この場合、登録中フラグF0は、すでに”1”にセットされているので、Act5,6,7,8の各処理を実行する。
【0035】
一方、一客が買い上げる商品の登録をすべて終了し、タッチパネル22に表示された商品に誤りがない場合、オペレータは、タッチパネル22から登録終了の宣言操作を行う。商品の登録終了が宣言されると(Act9にてYES)、CPU31は、タッチパネル22に登録された商品の合計金額を表示する(Act10)。
【0036】
この状態で、CPU31は、預かり金額が入力されるのを待機する(Act11)。オペレータは、タッチパネル22に表示された置数キーと預/現計キーとを操作して、買物客から預かった金額を入力する。この預り金額データが入力されると(Act11にてYES)、CPU31は登録締め処理を実行する(Act12)。この処理は、預かり金額から合計金額を減算して釣銭額を求め、この釣銭額をタッチパネル22に表示する処理を含む。
【0037】
登録締め処理を終えると、CPU31は、検出手段を用いて情報端末11が据置型装置12と電気的に接続されているか否かを検出する(Act13)。本実施形態においては、接離自在のセット部材である情報端末11のドッキング用コネクタ38と据置型装置12の拡張用コネクタ43の電気的な接続を検出するセンサを設けて両者の接続を判定する。
【0038】
なお、情報端末11と据置型装置12との接続の有無の判定手段はこの方法に限られない。例えば、セット部材として、情報端末11を載せる取付面42に光学センサ若しくは機械的なセンサを設けて情報端末11と据置型装置12との接触を検出するようにしてもよい。また、情報端末11の充電方式として非接触型の充電方式を採用する場合には、情報端末11の受電面と据置型装置12の給電面をセット部材とすることもできる。つまり、情報端末11の受電面と据置型装置12の給電面が近接したことを検出し、情報端末11が据置型装置12の接近のトリガとすることも可能である。
【0039】
このように、登録締め処理(Act12)が終了し、ドロア開放指令を出力可能な出力タイミングにおいて、CPU31は、情報端末11と据置型装置12との接続の有無を検出する(Act13)。
【0040】
情報端末11と据置型装置12との接続が確認された場合には、CPU31は、指令制御手段からドロア開放指令を出力する(Act14)。なお、本実施形態において、ドロア開放指令は、ドッキング用コネクタ38と接続される拡張用コネクタ43へ有線で出力されるが、無線送信を用いることも可能である。
【0041】
そして、ドロア開放指令を受けた据置型装置12は、I/Oコントローラ48を駆動してドロア5を開放する。
【0042】
一方、情報端末11と据置型装置12との接続がされていないと判定された場合(Act13にてNO)について
図6にて説明する。
【0043】
図6に示すように、情報端末11と据置型装置12との接続が確認されない場合には、CPU31は、指令制御手段からのドロア開放指令の出力を制限する。CPU31は、ドロア5の開放を制限するとともに、タッチパネル22にソフトキーを用いてドロア開放ボタン71を表示する(Act15)。ドロア開放ボタン71が表示された画面例を
図7に示す。
図7に示すような、ドロア開放ボタン71が表示されている状態においては、情報端末11において登録締め処理が行われた場合においても、ドロア開放ボタン71がタッチされない限り、CPU31は、ドロア開放指令を出力しない。このため、I/Oコントローラ48へ駆動信号が出力されず、ドロア5が開放されることがない。よって、情報端末11が据置型装置12と電気的に接続されたドロア5から離れたところにある場合であっても、ドロア5が勝手に開放されることがない。
【0044】
CPU31は、ドロワ開放ボタン71が押されるか、情報端末11が据置型装置12と接続されるのを待機する(Act16,17)。ドロワ開放ボタン71が押されるか(Act16にてYES)、情報端末11が据置型装置12と接続された場合(Act17にてYES)、CPU31は、指令制御手段からドロア開放指令を出力する(Act14)。
【0045】
したがって、オペレータが、
図7に示すドロア開放ボタン71をタッチすると、ドロア5が開放される。
【0046】
また、ドロア開放ボタンが押されない場合であっても、情報端末11が据置型装置12と接続されたことを検出手段が検出した場合には、ドロア5が開放される。通常の締め作業においては、購入した商品と金額が印字されたレシートを発行する。このため、ドロア開放ボタン71と連動してトランザクションメモリに登録された商品販売データを基にレシートの印字データを編集し、プリンタ46を動作させてレシートを発行する処理を行うようにしてもよい。また、レシートの発行についても、
図7に示すように、プリント指示ボタン72を設けても良い。なお、このプリント指示ボタン72の制御は、ドロア5の開放制御と同様であるため説明を省略する。以上で、一客処理が終了する。
【0047】
本発明の一つの実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0048】
また、情報端末11の譲渡は一般に、制御プログラム等のプログラムがROMに記憶された状態にて行われる。しかしこれに限らず、コンピュータ装置が備える書き込み可能な記憶デバイスに、このコンピュータ装置とは個別に譲渡された制御プログラム等がユーザなどの操作に応じて書き込まれてもよい。制御プログラム等の譲渡は、リムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。記録媒体は、CD−ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。また、プログラムのインストールやダウンロードにより得る機能は、装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。