【解決手段】ペン形状の位置指示器からの交流信号をセンサで受信し、位置指示器がセンサ上で指示する位置を検出する位置検出装置である。位置指示器は、ハウジングの先端部において互いに電気的に分離されて、ハウジングの軸芯方向の所定の位置を囲むように配設された少なくとも3個の電極を備えると共に、3個の電極には交流信号を選択的に供給するとともに、交流信号が選択的に供給される電極を識別する識別情報を生成して交流信号を送出するように制御を行う制御回路を備える。センサによって受信された位置指示器から送出された交流信号と識別情報に基づいてセンサ上での位置指示器の回転角及び傾き角の少なくとも一方の情報を算出する角度情報算出回路を備える。
ペン形状のハウジング内に交流信号生成回路を備え前記交流信号生成回路によって生成された交流信号を送出する位置指示器と、前記位置指示器から送出された前記交流信号を受信するセンサを備え、前記位置指示器が前記センサ上で指示する位置を検出する位置検出装置において、
前記位置指示器は、前記ペン形状のハウジングの先端部において互いに電気的に分離されて前記ハウジングの軸芯方向の所定の位置を囲むように配設された少なくとも3個の電極を備えると共に、前記少なくとも3個の電極には前記交流信号生成回路によって生成された前記交流信号を選択的に供給するとともに前記交流信号が選択的に供給される電極を識別する識別情報を生成して前記センサに送出する制御を行う制御回路を備えており、
前記センサは、第1の方向に複数の導体が配設されるとともに前記第1の方向とは異なる第2の方向に複数の導体が配設された構成を備えており、
前記センサによって受信された前記位置指示器から送出された前記交流信号に基づいて前記位置指示器が前記センサ上で指示する位置を検出する位置検出回路と、前記センサによって受信された前記位置指示器から送出された前記交流信号と前記識別情報に基づいて前記センサ上での前記位置指示器の回転角及び傾き角の少なくとも一方の情報を算出する角度情報算出回路を備えていることを特徴とする位置検出装置。
前記位置指示器は、前記ペン形状のハウジングの先端部から突出した芯体と、前記芯体に印加された圧力を検出する圧力検出センサを備えており、前記圧力検出センサで検出された前記芯体に印加された圧力が所定の値を超したことに対応して、前記制御回路は前記少なくとも3個の電極に前記交流信号生成回路によって生成された前記交流信号を選択的に供給するとともに前記交流信号が選択的に供給される電極を識別する識別情報を生成する制御を行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
前記位置指示器は、前記ペン形状のハウジングの先端部から突出した芯体と、前記芯体に印加された圧力を検出する圧力検出センサを備えており、前記圧力検出センサで検出された前記芯体に印加された圧力が所定の値以下の場合には、前記制御回路は前記少なくとも3個の電極の中の複数の電極を同時に選択して前記交流信号を供給するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
前記制御回路は、前記少なくも3個の電極の内の所定数の電極を順次選択するとともに、前記選択された電極を識別する識別情報を生成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
前記制御回路は、前記少なくも3個の電極の内の1の電極を順次選択あるいは非選択するとともに、前記選択あるいは非選択された電極を識別する識別情報を生成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
前記少なくとも3個の電極は前記筒状の部材の外周部に形成されており、前記ハウジングには前記筒状の部材を係合させる係合部が設けられているとともに前記係合部には前記係合部に前記筒状の部材を係合させたときに前記筒状の部材の前記外周部に形成された前記少なくとも3個の電極のそれぞれと電気的に接続するための複数の接点が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の位置検出装置。
ペン形状のハウジング内に交流信号生成回路を備え前記交流信号生成回路によって生成された交流信号を送出する位置指示器と、前記位置指示器から送出された前記交流信号を受信するセンサを備え、前記位置指示器が前記センサ上で指示する位置を検出する位置検出装置において、
前記位置指示器は、前記ペン形状のハウジングの前記先端部には、前記ハウジングの軸芯方向の所定の位置に配設された第1の電極と、互いに電気的に分離されて前記ハウジングの軸芯方向の所定の位置を囲むように配設された少なくとも3個の第2の電極を備えており、前記第1の電極に前記交流信号生成回路によって生成された交流信号を供給するとともに前記少なくとも3個の第2の電極を選択的に所定の電位に設定するとともに前記所定の電位が選択的に設定される前記第2の電極を識別する識別情報を生成して前記センサに送出する制御を行う制御回路を備えており、
前記センサは、第1の方向に複数の導体が配設されるとともに前記第1の方向とは異なる第2の方向に複数の導体が配設された構成を備えており、
前記センサによって受信された前記位置指示器の前記第1の電極から送出された前記交流信号に基づいて前記位置指示器が前記センサ上で指示する位置を検出する位置検出回路と、前記センサによって受信された前記位置指示器から送出された前記交流信号と前記識別情報に基づいて前記センサ上での前記位置指示器の回転角及び傾き角の少なくとも一方の情報を算出する角度情報算出回路を備えていることを特徴とする位置検出装置。
前記位置指示前記位置指示器は前記ペン形状のハウジングの先端部から突出した芯体と前記芯体に印加された圧力を検出する圧力検出センサを備えており、前記圧力検出センサで検出された前記芯体に印加された圧力が所定の値を超したことに対応して、前記制御回路は前記第2の電極を構成する前記少なくとも3個の電極を選択的に前記所定の電位に設定するとともに前記所定の電位が選択的に設定される前記電極を識別する識別情報を生成して前記センサに送出する制御を行うようにしたことを特徴とする請求項11に記載の位置検出装置。
前記位置指示器は前記ペン形状のハウジングの先端部から突出した芯体と前記芯体に印加された圧力を検出する圧力検出センサを備えており、前記圧力検出センサで検出された前記芯体に印加された圧力が所定の値以下の場合には、前記制御回路は前記少なくとも3個の第2の電極のいずれの電極に対しても前記所定の電位に設定する制御を行わないようにしたことを特徴とする請求項11に記載の位置検出装置。
前記制御回路は、前記少なくとも3個の第2の電極の内の所定数の電極を順次選択して前記所定の電位を設定するとともに前記所定の電位が選択的に設定される前記第2の電極を識別する識別情報を生成して前記交流信号を送出するように制御することを特徴とする請求項11に記載の位置検出装置。
前記制御回路は、前記少なくとも3個の第2の電極の内の1の電極を順次選択して前記所定の電位を設定するとともに前記所定の電位が設定された前記1の第2の電極を識別する識別情報を生成して前記交流信号を送出するように制御することを特徴とする請求項11に記載の位置検出装置。
前記制御回路は、前記交流信号が選択的に供給される前記第1の電極を介して前記識別情報を送出するように制御することを特徴とする請求項11に記載の位置検出装置。
前記少なくとも3個の第2の電極は、前記ハウジングの先端部に前記ハウジングと一体的となるように配設されていることを特徴とする請求項11に記載の位置検出装置。
前記少なくとも3個の第2の電極は前記筒状の部材の外周部に形成されており、前記ハウジングには前記筒状の部材を係合させる係合部が設けられているとともに前記係合部には前記係合部に前記筒状の部材を係合させたときに前記筒状の部材の前記外周部に形成された前記少なくとも3個の第2の電極のそれぞれと電気的に接続するための複数の接点が設けられていることを特徴とする請求項18に記載の位置検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明による位置検出装置の幾つかの実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0023】
[第1の実施形態]
<位置指示器の構成例>
図1は、この発明の第1の実施形態の位置検出装置における位置指示器1の位置指示部(芯体側)の構造を示す図であり、
図2は、当該位置指示器1を、芯体側から見た図である。
【0024】
位置指示器1は、全体としてペン形状を呈する筒状の筐体(ハウジング)2の位置指示部側(ペン先側)に開口2aを備え、この開口2aからハウジング2の外に突出するように、芯体3が、この例では挿脱自在に配設されている。芯体3は、位置指示器1のペン先に加えられる圧力(筆圧)を伝達する役割をするもので、この例では、プラスチック等の絶縁材料により成形されている。
【0025】
位置指示器1のハウジング2内には、
図1に示すように、プリント基板4が配設されていると共に、圧力検出センサの例としての可変容量コンデンサ5が配設されており、可変容量コンデンサ5の両端の電極5a,5bは、プリント基板4に接続されている。可変容量コンデンサ5は、芯体3のそのペン先側とは反対側の端部が挿入されて結合される結合部を備え、この結合部が、芯体3に加えられる圧力(筆圧)に応じて芯体3と共に僅かに移動し、この移動に応じて、芯体3を介して加えられる圧力(筆圧)によって、容量が変化するように構成されている。芯体3は、この実施形態では、可変容量コンデンサ5の結合部に対して、挿脱自在に結合される。可変容量コンデンサ5は、例えば特開平04−96212号公報に開示されているものを用いることができ、その詳細な構成の説明はここでは省略する。
【0026】
そして、この実施形態では、位置指示器1のハウジング2の少なくとも位置指示部側は、例えば樹脂などの絶縁性材料により構成されていると共に、この例では、ハウジング2の開口2aの近傍の円錐台形状部分位置には、ハウジング2の軸心方向の周囲を囲むように、円周方向において互いに電気的に分離された3個の電極6,7,8が形成されている。この例の場合には、
図1及び
図2に示すように、3個の電極6,7,8は、芯体3の周囲を囲むように形成されている。
【0027】
この場合に、3個の電極6,7,8は、例えば導電性金属材料や導電性樹脂などで構成され、互いに同一形状及び同一の大きさとされると共に、円周方向に互いに同じ距離だけ離れて形成されている。したがって、3個の電極6,7,8は、この実施形態では互いに120度角間隔離れた位置に配置される。
【0028】
この3個の電極6,7,8は、ハウジング2の開口2aの近傍の円錐台形状の外周部分に、例えば電極6,7,8に対応する形状の凹部をそれぞれ形成しておき、その凹部内に電極6,7,8を嵌合させて接着あるいは被着することより形成される。そして、3個の電極6,7,8のそれぞれは、図示を省略する結線によって、プリント基板4に電気的に接続されている。
【0029】
なお、3個の電極6,7,8は、ハウジング2の開口2aの近傍の円錐台形状の外周面部分に被着形成したり、印刷により形成したりしてもよい。また、3個の電極6,7,8は、ハウジング2の開口2aの近傍の内壁面側に形成するようにしてもよい。また、3個の電極6,7,8の材料は、導電性金属材料に限られず、導電性ゴムなどの導電性樹脂材料で構成してもよい。
【0030】
図3は、第1の実施形態の位置指示器1の回路構成図である。すなわち、位置指示器1は、コントローラ10と、乾電池あるいは充電可能な2次電池などの電池11と、発振回路12と、スイッチ回路13,14,15と、DC/DCコンバータ16とを備える。そして、コントローラ10には、可変容量コンデンサ5が接続されている。
【0031】
コントローラ10は、例えばマイクロプロセッサで構成されており、位置指示器1の後述のような処理動作を制御する制御回路を構成するもので、駆動電源の例としての電池11からの電源電圧VDDが供給されている。コントローラ10は、後述するように、発振回路12を制御したり、スイッチ回路13,14,15のそれぞれをオン、オフ制御したりすると共に、可変容量コンデンサ5の容量を監視することで、位置指示器1の芯体3を介して印加される筆圧を検出する。この実施形態では、コントローラ10は、後述するように可変容量コンデンサ5の放電時間から筆圧を検出する。
【0032】
発振回路12は、所定周波数f1、例えば周波数f1=1.8MHzの交流信号を発生する。すなわち、発振回路12は、交流信号発生回路を構成する。コントローラ10は、この発振回路12のイネーブル端子ENに制御信号(イネーブル信号CT)を供給することで、当該発振回路12をオン、オフ制御する。したがって、発振回路12は、コントローラ10からのイネーブル信号CTに応じて、発生する交流信号を断続させ、これにより、発振回路12は、ASK(Amplitude Shift Keying)変調信号を発生する。つまり、コントローラ10による発振回路12のイネーブル制御により、ASK変調信号を生成することが可能である。この実施形態では、位置指示器1はこのASK変調信号により、後述するように位置指示器1が指示する位置を検出するためのみならず位置指示器1から送出される信号の信号送出タイミングに同期させてコントローラ10で信号復調を可能にするための連続送信信号(バースト信号)と、電極6,7,8のそれぞれを識別するための識別情報と、筆圧情報とを送出する。
【0033】
発振回路12からの交流信号は、この実施形態では、スイッチ回路13,14,15のそれぞれを通じて、電極6,7,8のそれぞれに供給される。スイッチ回路13,14,15は、コントローラ10からの切替制御信号SW1,SW2,SW3によりオン、オフ制御される。
【0034】
DC/DCコンバータ16は、電池11の電圧を昇圧して、高い電圧VPの電源を生成する。電圧VPは、スイッチ回路13,14,15を動作させる電源として用いられ、発振回路12から供給される交流信号の振幅よりも高い電圧とする必要がある。このため、電池11の電圧をDC/DCコンバータ16により昇圧して、当該電圧VPを生成する。
【0035】
<位置指示器1の処理動作例>
図4は、この第1の実施形態の位置指示器1のコントローラ10の処理動作の流れの例を説明するためのフローチャートである。
【0036】
コントローラ10は、筆圧を検出する(ステップS1)。この例では、筆圧は、可変容量コンデンサ5を充電し、その充電電圧Ecが所定の閾値になるまで放電されるときの時間に基づいて算出する。すなわち、可変容量コンデンサ5は、筆圧に応じた容量を有するが、その充電電圧Ecはその時の容量に応じた電圧となり、充電電圧Ecが所定の閾値になるまで放電されるときの時間は筆圧に応じたものとなる。この筆圧の検出については、後で詳述する。
【0037】
次に、コントローラ10は、ステップS1で求めた筆圧が、所定の閾値th0以上であるか否かを判別する(ステップS2)。ここで、閾値th0は、例えば、位置指示器1の芯体3が位置検出装置のセンサ面と接触し僅かにセンサ面を押圧したときの筆圧の値に設定される。
【0038】
ステップS2で、求めた筆圧の値が閾値th0未満であると判別したときには、コントローラ10は、スイッチ回路13,14,15の全てに対してオンに制御する切替制御信号SW1,SW2,SW3を供給し、発振回路12からの交流信号を、電極6,7,8の全てから送出するように制御する(ステップS3)。
【0039】
このステップS3においては、コントローラ10は、発振回路12を制御して、交流信号を所定期間連続して送信する連続送信期間を、間欠的に繰り返すようにする。また、コントローラ10は、発振回路12から連続送信期間に続き、筆圧データを送信する筆圧データ送信期間を生成するようにして、これら連続送信期間と筆圧データ送信期間とからなる区間を、間欠的に行うように制御するようにしてもよい。位置指示器1から送出される連続送信信号は、所定の時間を有するバースト信号であり、位置検出装置において、センサによって受信されて位置指示器1がセンサ上で指示する位置を検出するために使用されるとともに、この連続送信信号に続いて送出される筆圧データ等の符号化データを受信して復号化する際のタイミング同期を位置指示器1から送出された信号のタイミングを基準として行うための同期信号として使用される。位置検出装置での信号処理はこのバースト信号のタイミングに同期させて実行される。そして、コントローラ10は、このステップS3の次には、処理をステップS1に戻し、そのステップS1以降の処理を繰り返す。
【0040】
以上のステップS1〜S3の処理は、位置指示器1が位置検出装置のセンサ上で位置指示入力をする前の状態における処理であり、位置検出装置のセンサ上に位置指示器が近づいた状態(いわゆるホバー状態)及び、そのホバー状態からセンサ面への位置指示器1の接触を良好に位置検出装置で検出するようにするための処理である。すなわち、位置指示器1からの交流信号を、3個の電極6,7,8のいずれかから送出するよりも、3個の電極6,7,8の全てから交流信号を同時に送出した方が、交流信号の送出エネルギーが大きくなって、位置検出装置のセンサで、位置指示器1からの交流信号を検出することが容易になるからである。
【0041】
ステップS2で、求めた筆圧の値が閾値th0以上であると判別したときには、コントローラ10は、位置指示器1による指示位置を検出すると共に、位置指示器1の回転角及び傾き角を検出することができるようにするために、この実施形態では、スイッチ回路13,14,15を順次にオンとする切替を行って、発振回路12からの交流信号を、電極6,7,8のそれぞれから順次に送出するように制御する(ステップS4)。そして、コントローラ10は、このステップS4では、各スイッチ回路13,14,15のそれぞれのオン期間に対応して、発振回路12をイネーブル制御するイネーブル信号CTを生成して、発振回路12に供給する。
【0042】
このときのコントローラ10における処理動作を、
図5のタイミングチャートを参照しながら説明する。
【0043】
すなわち、
図5(A)に示すように、コントローラ10は、まずスイッチ回路13をオンにし、その他のスイッチ回路14,15はオフとして、3個の電極6,7,8の内の電極6のみを選択する状態にする。そして、この電極6の選択状態において、コントローラ10は、
図5(B)に示すように、端子P1のイネーブル信号CTを、一定期間ハイレベルを維持するように制御し、発振回路12から交流信号Scを一定期間連続して出力するようにする。これにより、電極6は、一定期間連続して交流信号Scを放射する状態になる(
図5(D)の連続送信期間(6)参照)。
【0044】
この連続送信期間(6)中に、コントローラ10は、端子P5を制御して可変容量コンデンサ5に加えられた筆圧を求める。すなわち、コントローラ10は、可変容量コンデンサ5が接続されている端子P5をハイレベルとすることで可変容量コンデンサ5を充電する。次いで、コントローラ10は、端子P5を入力状態に切り替える。このとき、可変容量コンデンサ5に蓄えられた電荷はこれと並列に接続された抵抗17によって放電され、可変容量コンデンサ5の電圧Ec(
図5(C)参照)は徐々に低下する。コントローラ10は、端子P5を入力状態に切り替えてから、可変容量コンデンサ5の電圧Ecが、予め定めた閾値電圧以下に低下するまでの時間Tpを求める。この時間Tpは、求める筆圧に相当するものであり、コントローラ10は、この時間Tpから、例えば筆圧を10ビットの値として求める。
【0045】
この連続送信期間(6)を終了すると、コントローラ10は所定の周期Tdで端子P1をハイレベルまたはロウレベルとして発振回路12を制御することにより、交流信号Scに基づいてASK変調を行う。このとき、コントローラ10は、初回はイネーブル信号CTをハイレベルとして所定の時間、信号を送出する(
図5(D)のスタート信号参照)。このスタート信号は、以降のデータ送出タイミングを位置検出装置側で正確に判定することができるようにするために設けられているものである。すなわち、位置検出装置が受信した位置指示器1からのスタート信号の信号送出タイミングに位置検出装置でのASK復調などの信号処理を同期させるために設けられている。連続送信期間(6)における連続送信信号を位置指示器1から放出される信号の送出タイミングとして利用して位置検出装置での信号処理を同期させることができることについては既述した通りであるが、このスタート信号を利用しても位置検出装置でのASK復調などの信号処理を同期させることができる。
【0046】
このスタート信号に続く2Tdの期間は、当該交流信号Scを供給する電極6を識別するための識別情報の送出区間であり、コントローラ10は、この例では、
図5(D)に示すように、電極6に対して2ビットの識別情報として、符号“00”を付与するように端子P1を制御する。2ビットの符号としたのは、3つの電極6,7,8のそれぞれを識別するためである。
【0047】
電極6の識別情報に続いて、コントローラ10は、前述した動作により求めた10ビットの筆圧データを順次送信する。即ち、コントローラ10は、送信データが“0”のときは端子P1をロウレベルとして発振回路12からの交流信号の発生を停止し、送信データが“1”のときは端子P1をハイレベルとして発振回路12から交流信号を発生させるように制御することでASK変調を行う(
図5(D)の筆圧データ送信期間参照)。
図5(B)は、
図5(A)に示す電極6の選択期間では、送信する筆圧が“0101110101”であることを例示している。
【0048】
10ビットの筆圧データの送信を終了すると、コントローラ10は、電極6の選択期間を終了して、電極7の選択期間に切り替えるようにするために、スイッチ回路13及びスイッチ回路15をオフにし、スイッチ回路14のみをオンにするように切替制御信号SW1,SW2,SW3により切替制御する。
【0049】
そして、この電極7の選択期間においては、コントローラ10は、電極6の選択期間と同様にして、
図5(B)に示すように、端子P1のイネーブル信号CTを、一定期間ハイレベルを維持するように制御し、発振回路12から交流信号Scを一定期間連続して出力するようにする。これにより、電極7は、一定期間連続して交流信号Scを送出する状態になる(
図5(D)の連続送信期間(7)参照)。
【0050】
この連続送信期間(7)を終了すると、コントローラ10は、端子P1をハイレベルとしてスタート信号を送出した後、電極7を識別するための識別情報の2ビット分の符号としてこの例では“10”を付与するように端子P1を制御する。この例では、電極7の選択期間では、筆圧検出動作は行わず、筆圧データの送信もしない。なお、電極7の選択期間においても、筆圧検出動作を行なって、筆圧データの送信をするようにしても勿論よい。
【0051】
電極7の選択期間において連続送信期間(7)に続いて、電極7の識別情報の送出を終了すると、コントローラ10は、電極7の選択期間を終了して、電極8の選択期間に切り替えるようにするために、スイッチ回路13及びスイッチ回路14をオフにし、スイッチ回路15のみをオンにするように切替制御信号SW1,SW2,SW3により切替制御する。
【0052】
この電極8の選択期間においては、コントローラ10は、電極7の選択期間と同様にして、
図5(B)に示すように、端子P1のイネーブル信号CTを、一定期間ハイレベルを維持するように制御し、発振回路12から交流信号Scを一定期間連続して出力する連続送信期間(8)の状態とする。
【0053】
そして、連続送信期間(8)を終了すると、コントローラ10は、端子P1をハイレベルとしてスタート信号を送出した後、電極8を識別するための識別情報の2ビット分の符号としてこの例では“01”を付与するように端子P1を制御する。この例では、電極8の選択期間でも、筆圧検出動作は行わず、筆圧データの送信もしない。なお、電極8の選択期間においても、筆圧検出動作を行なって、筆圧データの送信をするようにしても勿論よい。
【0054】
電極8の選択期間において連続送信期間(8)に続いて、電極8の識別情報の送出を終了すると、コントローラ10は、電極8の選択期間を終了して、電極6の選択期間に戻るように、端子P2,P3,P4から出力する切替制御信号SW1、SW2、SW3を制御して、スイッチ回路13をオンにし、その他のスイッチ回路14,15はオフとする。ステップS4では、以下同様にして、電極6の選択期間、電極7の選択期間、電極8の選択期間を順次に巡回的に切り替える制御を行う。
【0055】
以上のようにして、ステップS4では、位置指示器1からは電極6,7,8を通じて、各電極の識別情報を含むと共に、筆圧データを含む交流信号がASK変調されて位置検出装置に送出される。位置検出装置では、後述するようにして、この位置指示器1から送出された交流信号を受信して、位置指示器1に印加されている筆圧を検知すると共に、位置指示器1の回転角及び傾き角を算出するようにする。
【0056】
このステップS4の次には、コントローラ10は、位置指示器1に印加されている筆圧が所定の閾値th0未満であるか否か判別する(ステップS5)。このステップS5で、筆圧は閾値th0以上であると判別したときには、コントローラ10は、処理をステップS4に戻し、このステップS4の動作を繰り返す。
【0057】
また、ステップS5で、筆圧が閾値th0未満であると判別したときには、コントローラ10は、それが所定時間継続したか否か判別する(ステップS6)。そして、ステップS6で、筆圧が閾値th0未満の状態が所定時間以下であると判別したときには、コントローラ10は、処理をステップS4に戻し、このステップS4の動作を繰り返す。
【0058】
ステップS6で、筆圧が閾値th0未満の状態が所定時間以上継続したと判別したときには、コントローラ10は、処理をステップS3に戻し、発振回路12からの交流信号を、3個の電極6,7,8の全てから送出する状態にし、このステップS3以降の処理を繰り返す。
【0059】
<位置検出装置の構成例>
次に、以上説明した位置指示器1と共に使用される、この第1の実施形態の位置検出装置の構成例について説明する。
【0060】
図6は、この実施形態の位置検出装置20の概略構成例を説明するための図である。この例の位置検出装置20は、静電容量方式の位置検出装置の構成であり、いわゆるクロスポイント(相互容量)構成のセンサ部を備えており、指などの静電タッチ、特にマルチタッチを検出する場合は、第1の方向に配置された導体に送信信号を供給すると共に、第1の方向とは異なる第2の方向に配置された導体から信号を受信するように構成されている。また、指示体が、上述した位置指示器1のような、位置指示信号を送出のための電気回路と、この電気回路を駆動する駆動電源を備えたアクティブ静電ペンの場合には、第1の方向及び第2の方向に配置されたそれぞれの導体から信号を受信する構成となる。なお、クロスポイント型静電容量方式の位置検出装置の原理等については、この出願の出願人に係る出願の公開公報である特開2011−3035号公報、特開2011−3036号公報、特開2012−123599号公報等に詳しく説明されている。
【0061】
この実施形態の位置検出装置20は、
図6に示すように、タッチパネル(位置検出センサ)を構成するセンサ部100と、制御装置部200とで構成されている。
【0062】
センサ部100は、この例では、下層側から順に、Y導体群102、絶縁層、X導体群101を積層して形成されたものである。Y導体群102は、
図6及び後述する
図8に示すように、例えば、横方向(X軸方向)に延在した複数のY導体102Y1、102Y2、…、102Yn(nは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列配置したものである。また、X導体群101は、Y導体102Y1、102Y2、…、102Ynに対して交差、この例では直交する縦方向(Y軸方向)に延在した複数のX導体101X1、101X2、…、101Xm(mは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列配置したものである。
【0063】
この実施形態のセンサ部100では、X導体群101を構成する複数のX導体101X1、101X2、…、101Xmが第1の導体であり、Y導体群102を構成する複数のY導体102Y1、102Y2、…、102Ynが第2の導体である。このように、位置検出装置1では、X導体とY導体を交差させて形成したセンサパターンを用いて、指fgやアクティブ静電ペンを構成する位置指示器1などの指示体が指示する位置を検出する構成を備えている。
【0064】
そして、この実施形態の位置検出装置20は、例えばスマートフォンと呼ばれる携帯機器などの電子機器に搭載されて使用される。このため、センサ部100は、電子機器が備える表示画面の大きさに対応したサイズを有している。画面サイズが例えば4インチ前後の大きさの指示入力面100Sは、光透過性を有する、X導体群101とY導体群102とによって形成されている。
【0065】
なお、X導体群101とY導体群102は、センサ基板の同一面側にそれぞれが配置される構成であってもよいし、センサ基板の一面側にX導体群101を配置し、他面側にY導体群102を配置する構成でもよい。
【0066】
制御装置部200は、センサ部100との入出力インターフェースとなるマルチプレクサ201と、指タッチ/ペン指示検出回路202と、制御回路203とからなる。
【0067】
制御回路203は、位置検出装置20の全体の動作を制御するためのもので、この例では、MPU(microprocessor unit)で構成されている。この実施形態の位置検出装置20は、指タッチの検出と、ペン指示の検出とを時分割で行うように制御する。すなわち、この実施形態の位置検出装置20では、
図7に示すように、ペン指示の検出を実行するペン指示検出期間PPと、指タッチの検出を実行する指タッチ検出期間PFとを交互に時分割で実行するようにしている。
【0068】
この実施形態では、指タッチ検出期間PFで取り扱う信号の周波数f2は、50kHz〜200kHzとされ、ペン指示検出期間PPで取り扱う信号の周波数(位置指示器1からの交流信号の周波数f1=1.8MHz)とは、使用周波数帯域が大きく異なるものとされている。したがって、指タッチ検出期間PFと、ペン指示検出期間PPとで取り扱う信号を、例えばバンドパスフィルタで帯域分離することで、それぞれの信号を弁別することができる。
【0069】
制御回路203は、マルチプレクサ201及び指タッチ/ペン指示ペン指示検出回路202を、指タッチ検出期間PFとペン指示検出期間PPとで、後述するように、必要な部位を切替制御するようにする。
【0070】
すなわち、制御装置部200は、指タッチ検出期間では、X導体とY導体を交差させて形成したセンサ部100のセンサパターンのそれぞれの交点における静電容量が、指がタッチされた位置で変化するので、その静電容量の変化を検出することにより指タッチの位置を検出するようにする。
【0071】
すなわち、制御装置部200は、指タッチ検出期間では、例えば50kHz〜200kHz程度の周波数f2の送信信号をY導体に供給し、X導体による受信信号を信号処理回路に供給する。信号処理回路では、指fgがタッチされた位置での静電容量の変化に対応して受信信号のレベルが変化することを検知することで、指タッチ位置を検出する。
【0072】
また、制御装置部200は、ペン指示検出期間PPでは、位置指示器1から送出された交流信号をセンサ部100で検出する。位置検出装置20では、この位置指示器1からの周波数f1の交流信号を、センサ部100のX導体群101(第1の導体:X導体)のみならず、
図8に詳説するように、Y導体群102(第2の導体:Y導体)でも受信する。そして、制御装置部200は、第1の導体及び第2の導体を構成するそれぞれの導体について、位置指示器1から送出された1.8MHzの信号のレベルを測定して、1.8MHzの信号が高レベルとなっている第1の導体及び第2の導体のそれぞれを特定することで位置指示器1によるセンサ部100上での指示位置を検出するようにする。
【0073】
そして、この実施形態では、ペン指示検出期間PPにおいては、制御装置部200の制御回路203は、位置指示器1の芯体3に印加された筆圧データを受信して、当該筆圧を検知すると共に、位置指示器1の回転角及び傾き角を検出するようにする。
【0074】
<位置検出装置20の制御装置部200の構成例>
図8は、位置検出装置20の構成図の一例を示したもので、主として制御装置部200の構成例を示したものである。すなわち、この例の制御装置部200は、
図8に示すように、X導体選択回路211と、Y導体選択回路212と、切替回路213及び214と、発振器221と、増幅回路222と、ゲインコントロール回路223と、バンドパスフィルタ回路224と、検波回路225と、アナログ−デジタル変換回路(以下、AD変換回路という)226と、コントロール回路220とを備えると共に、前述した制御回路203を備える。
【0075】
X導体群101から所定のX導体を選択するX導体選択回路211と、Y導体群102から所定のY導体を選択するY導体選択回路212と、切替回路213及び214とは、前述したマルチプレクサ201を構成する。発振器221と、増幅回路222と、ゲインコントロール回路223と、バンドパスフィルタ回路224と、検波回路225と、アナログ−デジタル変換回路(以下、AD変換回路という)226と、コントロール回路220とは、前述した指タッチ/ペン指示検出回路202を構成する。コントロール回路220は、制御回路203からの制御信号iを受けて、マルチプレクサ201を構成するX導体選択回路211、Y導体選択回路212、切替回路213及び214に切替制御信号を供給すると共に、指タッチ/ペン指示検出回路202を構成する前述した各部へ制御信号を供給する。
【0076】
X導体選択回路211は、コントロール回路220からの選択制御信号hにより、X導体群101の中から1本のX導体を選択する。Y導体選択回路212は、コントロール回路220からの選択制御信号gにより、Y導体群102の中から1本のY導体を選択する。
【0077】
発振器221は、制御装置部200の指タッチ検出期間PFにおいて、周波数f2の発振信号を、駆動信号としてY導体群102を構成するY導体に供給するための発振器である。切替回路213は、Y導体選択回路212により選択されたY導体を、発振器221または後述する増幅回路222側のどちらに接続するかを切り替える。
【0078】
コントロール回路220は、制御信号aにより、切替回路213を、指タッチ検出期間PFにおいては、Y導体選択回路212により選択されたY導体を発振器221に接続するように切り替え、ペン指示検出期間PPにおいては、Y導体選択回路212により選択されたY導体を増幅回路222に接続するように切り替える。
【0079】
切替回路214は、X導体選択回路211により選択されたX導体と、切替回路213を経由してY導体選択回路212により選択されたY導体とのどちらを増幅回路222の入力端に接続するかを切り替える。コントロール回路220は、指タッチ検出期間PFにおいては、制御信号bにより、切替回路214を、X導体選択回路211により選択されたX導体を増幅回路222に接続するように切り替える。
【0080】
また、コントロール回路220は、ペン指示検出期間PPにおいて、位置指示器1の指示位置のX軸座標を求めるときは、制御信号bにより、切替回路214を、X導体選択回路211を増幅回路222に接続するように切り替える。また、位置指示器1の指示位置のY軸座標を求めるときは、Y導体選択回路212を増幅回路222に接続するように制御信号bによって切替回路214を切り替える。
【0081】
増幅回路222の出力は、ゲインコントロール回路223に接続される。ゲインコントロール回路223は、増幅回路222の出力を、コントロール回路223からの制御信号cによって利得制御して、適切なレベルの出力信号となるように設定する。
【0082】
バンドパスフィルタ回路224は、周波数f1及び周波数f2を中心とした所定の帯域幅を有するバンドパスフィルタ回路である。このバンドパスフィルタ回路224の中心周波数は、コントロール回路220からの制御信号dによって切替えられ、指タッチ検出期間においては、中心周波数をf2とし、ペン指示検出期間PPにおいては周波数がf1となるように切り替えられる。
【0083】
バンドパスフィルタ回路224の出力信号は検波回路225によって検波され、その検波出力がAD変換回路226に供給され、コントロール回路220からの制御信号eに基づきAD変換回路226によってデジタル値に変換される。AD変換回路226からのデジタルデータfは制御回路203によって読み取られて、位置指示器1がセンサ部100上で指示する位置座標、位置指示器1の回転角、及び位置指示器1のセンサ部100のセンサ面100Sに対する傾き角を求めるための信号処理が行われる。
【0084】
制御回路203を構成するマイクロプロセッサは、内部にROMおよびRAMを備えるとともにROMに格納されたプログラムによって動作する。そして、制御回路203は、コントロール回路220が所定のタイミングで制御信号a〜eおよびg、hを出力するように、制御信号iを出力してコントロール回路220を制御する。
【0085】
以上のように構成した位置検出装置20の指タッチ検出期間PFにおける動作について説明する。前述したように、指タッチ検出期間PFにおいては、切替回路213は発振器221に接続され、Y導体選択回路212により選択されたY導体に駆動信号が供給される。また、X導体選択回路211により選択されたX導体は、切替回路214を経由して増幅回路222に接続され、この増幅回路222からの信号レベルは、ゲインコントロール回路223、バンドパスフィルタ回路224、検波回路225を経由してAD変換回路226によってデジタル値に変換される。
【0086】
このとき、X導体選択回路211およびY導体選択回路212によって選択された各導体の交点に指がタッチされると、検出される信号レベルは指が無いときのレベルよりも低下する。従って、X導体群101を構成するそれぞれのX導体とY導体群102を構成するそれぞれのY導体の全ての交点について指が無いときの信号レベルを予め求めておけば、信号レベルが低下した位置より指タッチ位置を求めることができる。
【0087】
次に、位置検出装置20のペン指示検出期間PPにおける、位置指示器1の指示位置、回転角及び傾き角を検出するときの動作について以下に説明する。
【0088】
制御回路203からの制御信号iに基づきコントロール回路220は、Y導体選択回路212によって選択されたY導体が切替回路214を介して増幅回路222に接続されるように制御信号aにより切替回路213を切り替える。また、X導体選択回路211で選択されたX導体が増幅回路222に接続されるように制御信号bにより切替回路214を切り替える。なお、X導体選択回路211によって選択されたX導体が増幅回路222に接続された状態では、Y導体選択回路212によって選択されたY導体は増幅回路222にも発振回路221にも接続されない。
【0089】
次に、制御回路203は、位置指示器1が指示するX方向位置を求めるためのX導体に対するスキャン動作をさせるために、コントロール回路220に対して、X導体選択回路211がX導体101X1を選択する制御信号hを出力させて、そのときの信号レベルであるAD変換回路226からのデジタルデータfを読み取る。そして、制御回路203のコントロール回路220に対する指示によりX導体選択回路211はX導体101X2、101X3、101X4・・と、X導体を順次切り替えながら、AD変換回路226からのそれぞれの信号レベルのデジタルデータfを読み取る。
【0090】
このとき、全てのX導体101X1〜101Xmで検出されたそれぞれの信号レベルが所定値に達していなければ、位置指示器1はセンサ部100上に無いものと判断して、上述の動作を繰り返す。X導体101X1〜101XmのいずれかのX導体から所定値以上のレベルの信号が検出された場合には、制御回路203は、最も高い信号レベルが検出されたX導体の番号101Xiを、位置指示器1が当該X導体101Xi付近にあるとして記憶する。
【0091】
次に、制御回路203は、位置指示器1が指示するY方向位置を求めるためのY導体に対するスキャン動作をさせるために、コントロール回路220に対して、Y導体選択回路212がY導体102Y1を選択する制御信号hを出力させる。その後は、上述のX方向位置を求めるプロセスと同様なプロセスを行うことで、位置指示器1がセンサ部100で指示したY方向位置を求める。
【0092】
図9は、2つの座標値(X0、Y0)および(X1、Y1)が得られたときに位置指示器1のセンサ面100Sに垂直方向を軸とした回転角度θを計算するための原理図である。この図では、Y軸の正方向を基準(θ=0)とし、θの範囲を−180°<θ≦+180°として、座標値(X1、Y1)に対応する電極6の向きを定義するものである。このとき、位置指示器の回転角θは、X0、Y0、X1、Y1、より次の(1)式〜(5)式のように計算される。
【0094】
そして、この実施形態では、位置指示器1の3つの電極6,7,8から送出された交流信号を受信して得られた各受信信号強度により、位置指示器1の傾き角を求める。受信信号強度として、X軸座標検出の際のレベルを用いても良いし、Y軸座標検出の際のレベルを用いても良いが、ここでは、X軸座標検出の際のレベルを用いることにする。
【0095】
図10は、3つの電極6,7,8から送出された交流信号を受信して得られた各受信信号強度V1,V2,V3を用いて位置指示器1の傾き角を求めるための原理図である。
図10では、位置検出装置20のセンサ面100Sからの高さ方向をz軸に取り、位置指示器1の電極6、7、8の先端に相当する点をそれぞれ、A、B、Cとして構成される正三角形の中心Gがyz面上に、また電極6の先端に相当する点Aがz軸上にくるように座標軸を設定している。このときの各点の座標を、A点(0、0、z1)、B点(x2、y2、z2)、C点(x3、y3、z3)、G点(0、yg、zg)として表すと、位置指示器の傾き角(θx、θy)は次の(6)式、(7)式に示すように求められる。
【0097】
ここで、位置指示器の3つの電極の先端位置であるA点、B点、C点とセンサ面100Sからの距離(z1、z2、z3)は受信信号強度V1,V2,V3にほぼ反比例するので、αを比例係数として以下の(8)式、(9)式のように表す。
【0099】
ここで、α/rは定数であるからこの値をあらかじめ求めておけば前記関係式よりθx、θyを求めることができる。
【0100】
なお、上述の第1の実施形態では、交流信号を送出する電極6,7,8は、ハウジング2の外周面に設けるようにしたが、ハウジング2の内周壁面に形成するようにしてもよい。
【0101】
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態の位置指示器1では、発振回路12からの交流信号を、スイッチ回路13,14,15により電極6,7,8を順次に切り替えて供給するようにした。したがって、第1の実施形態の位置指示器1では、交流信号そのものをスイッチ回路13,14,15によって切り替え制御する構成であるために、スイッチ回路13,14,15は大振幅の交流信号を取り扱うことができる高耐圧のスイッチ回路を用いなければならない。第2の実施形態は、この点を改善した例である。
【0102】
図11は、第2の実施形態の位置検出装置における位置指示器1Aの位置指示部(芯体側)の構造を示す図であり、第1の実施形態の位置検出装置における位置指示器1と同一部分には同一符号を付してある。なお、この第2の実施形態における位置検出装置20の構成は、第1の実施形態と全く同様の構成とされる。
【0103】
この第2の実施形態における位置指示器1Aは、交流信号を送出するための電極として、
図11(A),(B)に示すような筒状の電極9を用い、この筒状の電極9を、ハウジング2の内部において、電極9の軸心方向と、ハウジング2の軸心方向とが一致する状態で配置するようにする。この筒状の電極9は、芯体3を挿通する径の貫通孔9aを備える。すなわち、芯体3の外径をRcとすると、電極9の内径Raは、Rc<Raとされている。電極9は、金属導体で構成してもよいし、導電性の樹脂、その他の導電性材料で構成してもよい。電極9は、結線9bによりプリント基板4の回路部と電気的に接続されており、後述するように交流信号が供給される。筒状の電極9を、以下、信号電極9と称する。
【0104】
芯体3の先端部とは反対側の端部は、この信号電極9を挿通して、第1の実施形態の位置指示器1と同様に、可変容量コンデンサ5の結合部において、当該可変容量コンデンサ5に対して挿脱自在に結合される。したがって、この第2の実施形態においても、芯体3は、位置指示器1Aに対して挿脱可能とされて交換が可能とされている。
【0105】
そして、この第2の実施形態の位置指示器1Aにおいても、位置指示器1のハウジング2の少なくとも位置指示部側は、例えば樹脂などの絶縁性材料により構成されていると共に、ハウジング2の開口2aの近傍の円錐台形状部分には、ハウジング2の軸心方向の周囲を囲むように、円周方向において互いに電気的に分離された3個の電極6A,7A,8Aが、形成されている。
【0106】
これら3個の電極6A,7A,8Aは、第1の実施形態の位置指示器1の3個の電極6,7,8と同じ材料で、同様の形状で構成されるが、この実施形態では、特に、筒状の電極9からの信号の送出路を囲むように形成される。そして、この第2の実施形態においても、3個の電極6A,7A,8Aのそれぞれは、図示を省略する結線によって、プリント基板4に電気的に接続され、後述するように、スイッチ回路31を通じて、所定の電位、この例では、接地電位に接続されるように構成される。後述するように3個の電極6A,7A,8Aは、それぞれ接地電位が印加されたときに、当該接地電位とされた電極側からの交流信号を阻害するように働く。以下、電極6A,7A,8Aのそれぞれを阻害電極と称する。
【0107】
図12(A)は、位置指示器1Aを、芯体3の先端側から見た図であり、この第2の実施形態においても、3個の阻害電極6A,7A,8Aは、芯体3の周囲を囲むように形成されている。
【0108】
筒状の電極9は、
図12(B)の位置指示器1Aの断面図に示すように、ハウジング2の内部において開口2a側に設けられている段部2bに嵌合するように配設され、例えばハウジング2の内壁面に接着されて固定されている。
図12(B)に示すように、信号電極9の貫通孔9aは、ハウジング2の開口2aと連通しており、前述したように、芯体3は、信号電極9を挿通して、可変容量コンデンサ5と挿脱自在に結合されている。
【0109】
なお、信号電極9は、ハウジング2が開口2a側に向かって窄まる形状とされるのに合わせて、
図12(C)の断面図に信号電極9’として示すように、筒状体の外径が徐々に小さくなって窄まるような形状としてもよい。その場合には、ハウジング2の内部に形成される段部2bは、
図12(C)に示す信号電極9’の筒状部の外形形状に合わせた内壁面の形状を備えるものである。
【0110】
図13は、第1の実施形態の位置指示器1Aの回路構成図であり、
図3に示した第1の実施形態の位置指示器1の回路構成と同一部分には同一参照符号を付してある。すなわち、位置指示器1Aは、コントローラ10Aと、電池11と、発振回路12と、スイッチ回路31とを備える。そして、コントローラ10Aには、可変容量コンデンサ5と抵抗17が接続されている。
【0111】
コントローラ10Aは、例えばマイクロプロセッサで構成されており、位置指示器1Aの処理を制御する制御回路を構成するもので、駆動電源としての電池11から駆動電圧が供給されている。コントローラ10Aは、発振回路12を制御したり、スイッチ回路31を切り替え制御したりすると共に、第1の実施形態と同様にして、可変容量コンデンサ5の容量を監視することで、位置指示器1Aの芯体3を介して印加される筆圧を検出する。
【0112】
スイッチ回路31は、阻害電極6A,7A,8Aのいずれかを接地電位に切り替えるためのスイッチ回路である。すなわち、スイッチ回路31の可動端子s0は接地端に接続されていると共に、第1の端子s1が阻害電極6Aに、第2の端子s2が阻害電極7Aに、第3の端子s3が阻害電極8Aに、それぞれ接続されている。そして、この例では、スイッチ回路31は、阻害電極6A,7A,8Aのいずれにも接地電位を印加しない遊端s4を備えている。スイッチ回路31は、コントローラ10Aからの切替制御信号SWcにより切り替え選択制御される。
【0113】
発振回路12は、第1の実施形態と全く同様にして、周波数f1の交流信号を発生する。そして、コントローラ10Aは、第1の実施形態のコントローラ10と同様のイネーブル信号CTを発振回路12に供給する。
【0114】
この第2の実施形態の位置指示器1Aにおいては、スイッチ回路31は、発振回路12からの交流信号を切り替えるのではなく、阻害電極6A,7A,8Aを、接地電位に対して切り替えるようにする構成であるために、スイッチ回路13,14,15のような高耐圧のスイッチ回路を用いる必要はない。
【0115】
この第2の実施形態においては、
図4のフローチャートで示したのと同様にして、位置指示器1Aが位置検出装置20のセンサ部100に接触していないときには、コントローラ10Aは、発振回路12から交流信号を連続送信する連続送信期間と、ASK変調信号からなる筆圧データを送信する送信期間とを交互に繰り返す。この時、コントローラ10Aは、スイッチ回路31は遊端s4を選択する状態に切り替える。したがって、位置指示器1Aの信号電極9からは、阻害電極6A,7A,8Aに信号送出を阻害されることなく、交流信号が送出される状態となる。このため、第1の実施形態と同様に、位置指示器1Aがセンサ部100に近接または接触していないときには、位置指示器1Aからは最大の信号強度で交流信号が送出される。
【0116】
位置指示器1Aがセンサ部100に接触して、芯体3に所定の筆圧が印加される状態になると、コントローラ10Aは、可変容量コンデンサ5の容量に基づいて前記筆圧の変化を検出し、スイッチ回路31を
図14(A)に示すように、阻害電極6A,7A,8Aを順次に接地電位とするように切り替えると共に、このスイッチ回路31の切替に対応して、発振回路12をイネーブル制御するイネーブル信号CT(
図14(B)参照:
図5(B)と同様)を生成して、発振回路12に供給する。
【0117】
図15は、この時の阻害電極6A,7A,8Aとの切り替えと、信号電極9からの交流信号の送出位置との関係を説明するための図である。すなわち、
図15(A)において、スイッチ回路31が端子s1に接続されたときには、
図15(B)に示すように、阻害電極6Aが接地電位となり、信号電極9からの交流信号の当該阻害電極6A側からの送出が阻害される。その結果、信号電極9からの交流信号は、
図15(B)において黒丸32で示す阻害電極7Aと8Aとの間の位置で最高の信号レベルとなるように送出される。
【0118】
このとき、コントローラ10Aは、
図14(B)に示すようなイネーブル信号CTを発振回路12に対して送出して、
図14(D)に示すように、交流信号Scを制御することで、連続送信期間(32)、スタート信号、スタート信号の後の識別情報、その後の筆圧データ送信期間を生成するように信号が送出される。この例では、識別情報は、阻害電極6Aが選択されたことを示す識別情報“00”とされる。
【0119】
次に、スイッチ回路31が端子s2に切り替えられて、
図15(C)に示すように、阻害電極7Aが接地電位に接続され、信号電極9からの交流信号の当該阻害電極7Aの近傍からの送出が阻害される。その結果、信号電極9からの交流信号は、
図15(C)において黒丸33で示す阻害電極6Aと8Aとの間の位置で最高の信号レベルとなるように送出される。
【0120】
このとき、コントローラ10Aは、
図14(B)に示すようなイネーブル信号CTを発振回路12に対して送出して、
図14(D)に示すように、交流信号Scを制御することで、連続送信期間(33)、スタート信号、スタート信号の後の識別情報を生成するように信号が送出される。この例では、識別情報は、阻害電極7Aが選択されたことを示す識別情報“10”とされる。
【0121】
次に、スイッチ回路31が端子s3に切り替えられて、
図15(D)に示すように、阻害電極8Aが接地電位に接続され、信号電極9からの交流信号の当該阻害電極8A側からの送出が阻害される。その結果、信号電極9からの交流信号は、
図15(D)において黒丸34で示す阻害電極6Aと7Aとの間の位置で最高の信号レベルとなるように送出される。
【0122】
このとき、コントローラ10Aは、
図14(B)に示すようなイネーブル信号CTを発振回路12に対して送出して、
図14(D)に示すように、交流信号Scを制御することで、連続送信期間(34)、スタート信号、スタート信号の後の識別情報を生成するように信号が送出される。この例では、識別情報は、阻害電極7Aが選択されたことを示す識別情報“01”とされる。
【0123】
この第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様にして、位置指示器1Aの指示位置座標の検出、回転角及び傾き角を検出することができる。ただし、第1の実施形態では、座標(X1,Y1)、(X2,Y2)、(X3,Y3)が、電極6,7,8の位置に対応するものであったのに対して、第2の実施形態では、黒丸32,33,34の位置に対応するものである点が異なる。
【0124】
そして、第2の実施形態においても、阻害電極6A,7A,8Aのそれぞれを識別することで、位置指示器1Aからの交流信号の送出位置を特定することができ、位置指示器1Aの回転角や傾き角を確実に取得することができる。
【0125】
しかも、第2の実施形態では、第1の実施例とは異なり、スイッチ回路31には交流信号が供給されない構成であるために、高耐圧のスイッチ回路を使用する必要がないためにコスト的に有利になる。
【0126】
[第2の実施形態の変形例]
上述の第2の実施形態では、交流信号の送出を阻害する阻害電極6A,7A,8Aは、ハウジング2の外周面に設けるようにしたが、ハウジング2の内周壁面に形成するようにしてもよい。
【0127】
また、上述の第2の実施形態においては、信号電極9を筒状の導電体からなる構成とし、この信号電極9を、その軸心方向とハウジング2の軸心方向とを一致させるようにして、ハウジング2の内部に配置すると共に、阻害電極6A,7A,8Aを、位置指示器1Aのハウジング2の先端部において、ハウジング2の軸心方向の所定位置を囲むように形成することで、信号電極9からの交流信号を阻害するように構成した。しかし、位置指示器からの交流信号を阻害する構成としては、上述の例に限られるものではない。
【0128】
図16(A),(B)は、第2の実施形態の位置指示器における信号電極と阻害電極の他の構成例を説明するための図であり、この
図16の例においても、第1の実施形態と同一部分には同一参照符号を付してある。
図16(A)は、この例の位置指示器1Bの芯体3側の構成例を示す一部断面図である。また、
図16(B)は、信号電極90及び阻害電極91,92,93を備える筒状体9Bを示すものである。
【0129】
この
図16の例の位置指示器1Bは、例えば樹脂などの絶縁材料からなる筒状体9Bの中空内壁に信号電極90を、例えば導電性材料を印刷したり、蒸着したりすることで形成する。そして、この信号電極90とプリント基板4(図示は省略)とは結線90aを通じて接続する。
【0130】
また、筒状体9Bの外周面には、
図16(B)に示すように、それぞれ120度角範囲よりも若干狭い角度範囲において、互いに電気的に分離するように、3個の阻害電極91,92,93が形成されている。これらの阻害電極91,92,93は、例えば導電性材料を印刷したり、蒸着したりすることで形成することもできるし、被着や接着して形成することもできる。これら阻害電極91,92,93のそれぞれも、結線91a、92a、93aを通じてプリント基板4に接続される。
【0131】
この
図16の例の位置指示器1Bの回路構成は、
図13に示した位置指示器1Aと全く同様の回路構成とすることができる。そして、
図14及び
図15を参照して説明したようにして、位置指示器1Bによる指示位置、筆圧、回転角及び傾き角を、位置指示器1Aと、全く同様にして検出することができる。
【0132】
[第3の実施形態]
図17は、第3の実施形態の位置検出装置の位置指示器1Cを説明するための図である。この第3の実施形態の位置指示器1Cは、第1の実施形態1の変形例であり、かつ、筆圧を検出するための圧力検出センサとして、静電容量方式の圧力感知部を構成する半導体チップを備える筆圧検出用モジュールを用いた構成例である。この
図17の例においても、第1の実施形態の位置指示器1と同一部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0133】
図17(A)は、位置指示器1Cの芯体3側の構成を説明するための断面図である。第1の実施形態では、交流信号を送出する電極6,7,8は、ハウジング2の外周部分に設けられたが、この第3の実施形態の位置指示器1Cにおいては、
図17(B)に示すように、ハウジング2の内部に配置される筒状体9Cの外周面に、3個の電極6C,7C,8Cを設けるようにする。筒状体9Cは、
図17(A)に示すように、ハウジング2の内部において、その軸心方向と、ハウジング2の軸心方向とが一致する状態で配置される。そして、この筒状体9Cは、芯体3を挿通する径の貫通孔9Caを備える。
【0134】
電極6C,7C,8Cは、
図17(B)に示すように、筒状体9Cの外周面において、それぞれ120度角範囲よりも若干狭い角度範囲において、互いに電気的に分離するように形成されている。
【0135】
そして、この第3の実施形態の位置指示器1Cにおいては、ハウジング2の内部に筆圧検出用モジュール50が設けられ、芯体3の先端とは反対側の端部が結合される。
【0136】
筆圧検出用モジュール50は、圧力センシングデバイス51と、第1のホルダーとしての外側ホルダー52と、第2のホルダーとしての内側ホルダー53とを備える。外側ホルダー52は、硬質の樹脂、例えばPOM(polyoxymethylene;ポリアセタール)樹脂やポリカーボネートで構成されている。
【0137】
この外側ホルダー52は、芯体3を挿通する貫通孔521と、この貫通孔521と連通する中空部からなる収納空間522を有する。この収納空間522内には、内側ホルダー53と、圧力センシングデバイス51とが収納される。また、外側ホルダー52の芯体3側の端面には、筒状体9Cに応じた形状の凹部523が設けられ、この凹部523内に筒状体9Cが嵌合されて結合される。
【0138】
この凹部523の底面側の内周面には、
図17(C)に示すように、筒状体9Cの外周面に形成されている3個の電極6C,7C,8Cと対応する導体片54,55,56が形成されている。また、筒状体9Cには、位置合わせ用の突起9Cbが形成されていると共に、凹部523の底面には、
図17(C)に示すように、突起9Cbに対応する凹穴57が形成されている。そして、突起9Cbを凹穴57内に嵌合させることで周方向の位置合わせをし、筒状体9Cを凹部523内に収納する。すると、筒状体9Cの外周面に形成されている3個の電極6C,7C,8Cと、凹部523の対応する導体片54,55,56のそれぞれとが接触するように構成されているために、電気的に接続される状態になる。
【0139】
そして、
図17(A)に示すように、樹脂からなる外側ホルダー52内には、インサート成形により、導体片54,55,56のそれぞれに一端が接続されている結線(
図17(A)の点線参照)54a、55a、56aが設けられている。この結線54a、55a、56aの他端はプリント基板4に接続されている。これにより、筒状体9Cが凹部523内に嵌合されて収納されると、筒状体9Cの外周面に形成されている3個の電極6C,7C,8Cは、導体片54,55,56及び結線54a、55a、56aを通じて、プリント基板4に接続される。
【0140】
外側ホルダー52は、軸心方向における芯体3の側が、
図17(A)に示すように、ハウジング2の段差部2cと衝合すると共に、芯体3とは反対側も軸心方向の位置規制手段と衝合して、ハウジング2の内部において軸心方向に移動しないように固定されている。
【0141】
外側ホルダー52の収納空間522の、芯体3が挿入される側は、内側ホルダー53の径よりも小径であり、かつ、貫通孔521は、芯体3の径よりも大きい径とされている。したがって、外側ホルダー52の収納空間522には段差部524が形成され、この段差部524により、収納空間522内に収納された内側ホルダー53が、外側ホルダー52から芯体3側には抜け落ちないように構成されている。
【0142】
内側ホルダー53は、
図17(A)に示すように、芯体3と係合して芯体3を内側ホルダー53に係止する係止部材531と、後述するように、圧力センシングデバイス51と当接して、圧力センシングデバイス51に、芯体3に印加された圧力を伝達する第2の部材の例としての押圧部材532とからなる。
【0143】
係止部材531は、外観が円柱形状とされており、硬質の樹脂、例えばPOM樹脂やポリカーボネートで構成されている。この係止部材531の円柱形状部の外径は、外側ホルダー52の収納空間522の径よりも小さい値とされており、係止部材531は、外側ホルダー52の収納空間522の内壁と擦れ合うことなく、収納空間522内を軸心方向に移動可能とされている。
【0144】
そして、係止部材531の軸心方向における芯体3側の中心部には、芯体3が挿入される凹穴5311が軸心方向に形成されている。この凹穴5311は、芯体3の外径よりも僅かに大きい円柱形状である。この円柱形状の凹穴5311の軸心方向の所定の位置の内壁面には、この内壁面から凹穴5311の空間に、この例では円弧状に突出する環状突部5312が形成されている。
【0145】
一方、芯体3の端部の所定位置には、
図17(A)に示すように、軸心方向に直交する方向に、この例では円弧状に突出する環状突部3aが形成されている。凹穴5311の環状突部5312と、芯体3の環状突部3aとは、芯体3の環状突部3aが、凹穴5311の環状突部5312を乗り越えたとき、芯体3の先端面が、凹穴5311の底部に衝合するように、凹穴5311及び芯体3の所定位置に形成される。そして、芯体3の先端面と凹穴5311の底部との衝合状態では、環状突部5312と環状突部3aとの係合により、芯体3は、係止部材531の凹穴5311内に係止され、芯体3を所定の力で引き抜くようにしない限り、芯体3は係止部材531の凹穴5311内に係止される状態を維持する。
【0146】
次に、内側ホルダー53の第2の部材の例としての押圧部材532について説明する。押圧部材532は、この実施形態では、弾性部材で構成されている。押圧部材532を構成する弾性部材は、係止部材531の材料よりも弾性係数(弾性率)が小さい、つまり、高い弾性を有する、例えばシリコン樹脂、この例では特にシリコンゴムで構成されている。
【0147】
この押圧部材532は、円柱状基部の軸心方向の端面から凸形状に突出する円柱状突部532aが形成されている。そして、押圧部材532は、その円柱状基部が、係止部材531に形成されている凹部に嵌合して、係止部材531に結合される。この時、押圧部材532の円柱状突部532aの端面は、圧力センシングデバイス51側を向いて、圧力センシングデバイス51と当接することが可能な状態とされる。この場合に、押圧部材532の円柱状突部532aの端面の中心位置は、内側ホルダー53の中心線位置と一致する状態とされている。
【0148】
以上のようにして、係止部材531に押圧部材532が嵌合されて結合されることにより、内側ホルダー53が形成される。この内側ホルダー53は、係止部材531の端面よりも、押圧部材532の円柱状突部532aが凸形状に突出して、後述する圧力センシングデバイス51に当接する状態となる。
【0149】
次に、外側ホルダー52の収納空間522に収納される圧力センシングデバイス51について説明する。
図18は、この例の圧力センシングデバイス51を説明するための図である。
【0150】
図18(A)に示すように、圧力センシングデバイス51は、静電容量方式の圧力感知部を構成する半導体チップ300と、この半導体チップ300を収納すると共に、金属端子片51a,51bを備えるソケット510からなる。
【0151】
図18(C)は、半導体チップ300の断面図を示している。そして、
図18(D)は、この半導体チップ300を、
図18(C)に示す圧力Pの印加方向から見た平面図である。
図18(C)は、
図18(D)におけるB−B線断面図となっている。
【0152】
この例の半導体チップ300は、印加される圧力を、静電容量の変化として検出するものであり、この例では、
図18(C)に示すような構成を備える。この例の半導体チップ300は、
図18(D)に示すように、例えば縦及び横の長さLが1.5mm、高さHが0.5mmの直方体形状とされている。この例の半導体チップ300は、
図18(C)に示すように、第1の電極301と、第2の電極302と、第1の電極301及び第2の電極302の間の絶縁層(誘電体層)303とからなる。第1の電極301および第2の電極302は、この例では、単結晶シリコン(Si)からなる導体で構成される。
【0153】
そして、この絶縁層303の第1の電極301と対向する面側には、この例では、当該面の中央位置を中心とする円形の凹部304が形成されている。この凹部304により、絶縁層303と、第1の電極301との間に空間305が形成される。この例では、凹部304の底面は平坦な面とされ、その直径Dは、例えばD=1mmとされている。また、凹部304の深さは、この例では、数十ミクロン〜数百ミクロン程度とされている。
【0154】
空間305の存在により、第1の電極301は、第2の電極302と対向する面とは反対側の上面301a側から押圧されると、当該空間305の方向に撓むように変位可能となる。第1の電極301の例としての単結晶シリコンの厚さtは、印加される圧力Pによって撓むことが可能な厚さとされ、第2の電極302よりも薄くされている。
【0155】
以上のような構成の圧力感知チップの例としての半導体チップ300においては、第1の電極301と第2の電極302との間に静電容量Cdが形成される。そして、第1の電極301の第2の電極302と対向する面とは反対側の上面301a側から第1の電極301に対して圧力が印加されると、第1の電極301は、空間305側に撓むように変位し、第1の電極301と、第2の電極302との間の距離が短くなり、静電容量Cdの値が大きくなるように変化する。第1の電極301の撓み量は、印加される圧力の大きさに応じて変化する。したがって、静電容量Cdは、半導体チップ300に印加される圧力Pの大きさに応じた可変容量となる。なお、第1の電極301として例示した単結晶シリコンでは、圧力Pにより数ミクロンの撓みを生じる。その撓みを引き起こす圧力Pにより、静電容量Cdは、0〜10pF(ピコファラッド)の変化を呈する。
【0156】
ソケット510は、例えば樹脂からなるもので、
図18(A)及び(B)に示すような扁平形状を有する。このソケット510には、金属端子片51a,51bが樹脂モールドされることにより、固定されている。
【0157】
そして、ソケット510は、上述したような構成の半導体チップ300の収納凹部511を、金属端子片51a及び51bが導出される面とは反対側の前面部に備える。この収納凹部511の底部には、金属端子片51bの、折り曲げ部とは反対側の端部に形成されている端子板512が露呈するように構成されている。なお、収納凹部511の底部の端子板512は、金属端子片51bの一部とするのではなく、金属端子片51bと電気的に接続されていても勿論よい。
【0158】
また、ソケット510の前面の収納凹部511の周囲の面の一部には、金属端子片51aの、前述した折り曲げ部とは反対側の端部に形成されている端子板513が露呈するように構成されている。なお、この端子板513も、金属端子片51aの一部とするのではなく、金属端子片51aと電気的に接続されていても勿論よい。
【0159】
ソケット510の収納凹部511内には、例えば導電性接着材が第2の電極302に付着された半導体チップ300が、第2の電極302側が、収納凹部511の底部側となるように収納される。この収納状態で、半導体チップ300の第2の電極302と端子板512とが電気的に接続、すなわち、第2の電極302と金属端子片51bとが電気的に接続される。
【0160】
そして、収納凹部511内への収納状態では、半導体チップ300の第1の電極301が前面側に露呈される。そして、半導体チップ300の、この露呈されている第1の電極301と、収納凹部511の周囲の所定位置に露呈している端子板513とが、
図18(B)に示すように、金属線306により互いに半田付け接続される。これにより、半導体チップ300の第1の電極301と金属端子片51aとが電気的に接続される。
【0161】
以上のようにして、圧力センシングデバイス51は、ソケット510の収納凹部511に半導体チップ300が収納されることで構成される。
【0162】
そして、この例では、圧力センシングデバイス51のソケット510の前面の収納凹部511を挟む上下の位置には、それぞれ上方向及び下方向の突出部514a及び515a(
図18では、突出部515aは省略する)を有する係止爪514及び515が形成されている。
【0163】
一方、図示は省略するが、外側ホルダー52の収納空間522の部分の上下の壁面には、圧力センシングデバイス51のソケット510の係止爪514及び515の突出部514a及び515bが係合する開口が形成されている。
【0164】
圧力センシングデバイス51は、外側ホルダー52の収納空間522に、半導体チップ300の第1の電極301が、押圧部材532の円柱状突部532aと当接するように挿入される。そして、ソケット510の係止爪514及び515の突出部514a及び515bが、外側ホルダー52の前記開口に係合することで、圧力センシングデバイス51は、外側ホルダー52の収納空間522内に収納固定される。この収納固定状態のとき、圧力センシングデバイス51に収納保持されている半導体チップ300の第1の電極301の上面301aは、押圧部材532の円柱状突部532aの先端面と当接する状態になる。
【0165】
そして、この状態では、押圧部材532の円柱状突部532aの先端面の中心位置と、半導体チップ300の第1の電極301の下方の円形空間305の中心位置とが一致する。押圧部材532の円柱状突部532aの径は、0.7mmであり、第1の電極301の下方の円形空間305の径は1mmであって、押圧部材532の円柱状突部532aの径の方が、円形空間305の径よりも小さくされている。なお、押圧部材532の円柱状突部532aの径の方が、円形空間305の径の寸法は、一例であるが、押圧部材532の円柱状突部532aの径の方が、円形空間305の径よりも小さくされる関係は維持されるように構成される。
【0166】
なお、この実施形態においては、外側ホルダー52の収納空間522の内壁面には、軸心方向に沿う方向の複数個のリブ(突条)が形成されている。これらのリブは、外側ホルダー52の第2の収納空間522における圧力センシングデバイス51の位置規制用である。すなわち、これらのリブが、圧力センシングデバイス51のソケット510の外周側面に当接することで、圧力センシングデバイス51に収納されている半導体チップ300第1の電極301の下方の円形空間305の中心位置と、押圧部材532の円柱状突部532aの先端面の中心位置とが一致するように、圧力センシングデバイス51を位置規制する。
【0167】
そして、ソケット510に対して形成されている金属端子片51a及び51bの先端は、
図17(A)に示すように、プリント基板4に形成されているスルーホール4a,4bに嵌合され、半田付けされることにより、プリント基板4に形成されている回路部と接続される。
【0168】
以上のような構成を有する第3の実施形態の位置指示器1Cにおいて、芯体3に筆圧が印加されると、筆圧検出用モジュール50においては、芯体3が係合されている内側ホルダー53の係止部材531が、外側ホルダー52内において、印加された筆圧に応じて軸心方向に、圧力センシングデバイス51の半導体チップ300を押圧するように変位する。このため、係止部材531に嵌合されている押圧部材532により、圧力センシングデバイス51の半導体チップ300の第1の電極301が、空間305を介して、第2の電極302側に撓み、これにより、半導体チップ300の第1の電極301と第2の電極302との間で構成されるコンデンサの静電容量Cdが、筆圧に応じて変化する。そして、この静電容量Cdの変化により、位置指示器1Cは、芯体3に印加される筆圧を検出し、その検出した筆圧データを、筆圧データ送信期間にASK変調信号として配置して位置検出装置20に送出する。
【0169】
そして、この第3の実施形態の位置指示器1Cにおいても、第1の実施形態と同様にして、電極6C,7C,8Cを切り替えるとともに、交流信号Scに基づいてASK変調信号を生成して位置検出装置20に送出する。ASK変調されて送出される交流信号に、電極6C,7C,8Cを識別するための識別情報を含めることで、位置検出装置20では、前述と同様にして、位置指示器1Cによる指示位置を検出すると共に、位置指示器1Cの回転角及び傾き角を検出することができる。
【0170】
[第3の実施形態の変形例]
上述の第3の実施形態の位置指示器1Cでは、筒状体9Cの外周面に3個の電極6C,7C,8Cを形成するようにしたが、
図17(D)に示すように、筒状体9Cの内周面に、3個の電極6C´,7C´,8C´を形成するようにしてもよい。その場合には、外側ホルダー52の凹部523の底面には、
図17(E)に示すように、筒状体9Cが凹部523に嵌合されたときに、筒状体9Cの内周面の3個の電極6C´,7C´,8C´と接触して電気的に接続される導体片54´、55´、56´を形成する。なお、外側ホルダー52内には、導体片54´、55´、56´とプリント基板4とを接続するための結線がそれぞれ設けられるのは、上述の実施形態と同様である。
【0171】
[第4の実施形態]
上述の第2の実施形態の位置指示器1Aでは、信号電極9は、筒状形状として、芯体3を挿通する貫通孔を有するものとした。しかし、このような筒状形状の信号電極9を用いるのではなく、芯体を導電性金属や導電性樹脂を用いることもできる。
【0172】
図19は、信号電極として導電性金属や導電性樹脂からなる芯体3Dを用いた位置指示器1Dを説明するための図である。この
図19の例の位置指示器1Dは、芯体3Dに印加される筆圧を検出するために、前述した筆圧検出用モジュール50を用いる。
図19(A)は、位置指示器1Dの芯体3D側の構成を説明するための断面図である。
【0173】
そして、この
図19の例の位置指示器1Dでは、
図19(A)及び(B)に示すように、3個の阻害電極6D,7D,8Dを、芯体3Dが挿通される筒状体9Dの外周面に形成するようにする。
【0174】
そして、筆圧検出用モジュール50の外側ホルダー52の、筒状体9Dが嵌合される凹部523の底面には、
図19(C)に示すように、筒状体9Dの外周面の3個の電極6D,7D,8Dと接触して電気的に接続される導体片54D、55D、56Dを形成する。そして、外側ホルダー52内には、導体片54D、55D、56Dとプリント基板4とを接続するための結線54Da、55Da、56Da(
図19(A)では結線54Daは表示されていない)がそれぞれ設けられる。
【0175】
さらに、この実施形態では、外側ホルダー52の貫通孔521の壁面には、導体層58が印刷や蒸着などにより被着形成されていると共に、この導体層58から導電体ブラシ59が形成されている。そして、外側ホルダー52内には、
図19(A)に示すように、導体層58とプリント基板4とを接続するための結線58aが、例えばインサート成形されて設けられている。
【0176】
したがって、導電体である芯体3Dが外側ホルダー52の貫通孔521に挿通されると、
図19(A)に示すように、芯体3Dは導電体ブラシ59を介して導体層58と電気的に接続される。これにより、導電体である芯体3Dがプリント基板4の発振回路の出力端と接続され、芯体3Dは信号電極として働く。
【0177】
芯体3Dの端部の所定位置には、
図19(A)に示すように、軸心方向に直交する方向に、この例では円弧状に突出する環状突部3Daが形成されている。凹穴5311の環状突部5312と、芯体3Dの環状突部3Daとは、芯体3Dの環状突部3Daが、凹穴5311の環状突部5312を乗り越えたとき、芯体3Dの先端面が、凹穴5311の底部に衝合するように、凹穴5311及び芯体3Dの所定位置に形成される。そして、芯体3Dの先端面と凹穴5311の底部との衝合状態では、環状突部5312と環状突部3Daとの係合により、芯体3Dは、係止部材531の凹穴5311内に係止され、芯体3Dを所定の力で引き抜くようにしない限り、芯体3Dは係止部材531の凹穴5311内に係止される状態を維持する。
【0178】
そして、この例の位置指示器1Dは、阻害電極6D,7D,8Dがスイッチ回路13D,14D,15Dを通じて選択的に接地されることにより、第2の実施形態において説明したのと同様にして、位置検出装置20では、位置指示器1Dによる指示位置及び筆圧を検出すると共に、位置指示器1Dの回転角及び傾き角を検出することができる。
【0179】
図20に、位置指示器1Dの回路構成例を示す。すなわち、この位置指示器1Dでは、阻害電極6D,7D,8Dのそれぞれと接地端との間にスイッチ回路13D,14D,15Dが設けられる。そして、コントローラ10Dは、発振回路12にイネーブル制御信号CTを供給する共に、スイッチ回路13D,14D,15Dに、切り替え制御信号SWa,SWb、SWcを供給する。イネーブル制御信号CTによる制御によって発振回路12からの交流信号ScはASK変調されて、導電体からなる芯体3Dに供給される。
【0180】
コントローラ10Dは、位置指示器1Dが位置検出装置20のセンサ部100上に接触していない状態では、スイッチ回路13D,14D,15Dの全てをオフとして、芯体3Dから交流信号を阻害することなく送出する制御を行う。
【0181】
そして、コントローラ10Dは、筆圧検出用モジュール50の半導体チップ300からなる可変容量コンデンサCdの容量に基づいて、位置指示器1Dが位置検出装置20のセンサ部100に接触した状態を検知すると、前述の第2の実施形態において説明したのと同様にして、阻害電極6D,7D,8Dを順次に切り替えて、芯体3Dからの交流信号の送出を、接地した阻害電極6D,7D,8Dにより阻害するようにする。そして、コントローラ10Dは、スイッチ回路13D,14D,15Dの内、オンとされたものに接続されている阻害電極の識別情報を含む交流信号Scを発生するように、イネーブル制御信号CTによって発振回路12を制御するようにする。
【0182】
これにより、この例においても、上述した第2の実施形態と同様にして、位置検出装置20は、位置指示器1Dによる指示位置及び筆圧を検出すると共に、位置指示器1Dの回転角及び傾き角を検出するようにする。
【0183】
[その他の実施形態または変形例]
上述の第1の実施形態及び第3の実施形態では、交流信号を送出する電極数は3個としたが、3個以上であってもよい。また、上述の第2の実施形態及び第4の実施形態では、阻害電極は3個としたが、3個以上であってもよい。
【0184】
また、上述の実施形態では、スイッチ回路により選択中の電極(信号を送出する電極及び信号の送出を阻害する電極のいずれも)を識別する識別情報を、送出する交流信号に含めるようにしたが、選択中でない電極を識別する識別情報を、送出する交流信号に含めるようにしてもよい。
【0185】
また、上述の実施形態では、3個以上の複数の電極のそれぞれ一つを選択するようにしたが、複数個ずつを選択するようにしてもよい。その場合には、識別情報は、それらの複数個の電極のそれぞれを識別する情報とするようにする。
【0186】
また、上述の実施形態においては、筆圧を検出する圧力検出センサは、上述の実施形態で用いたものに限られるものではなく、位置指示器の芯体の軸心方向の変位を、光学的に検出する方法などを用いることもできる。
【0187】
なお、阻害電極を設けて、信号電極からの交流信号の送出を阻害する第2の実施形態及び第4の実施形態では、コントローラ10Aまたは10Dからのイネーブル信号により発振回路12からの交流信号の出力を断続させるのではなく、阻害電極を用いて、位置指示器からの交流信号の送出の断続を制御するようにすることができる。
【0188】
その場合には、コントローラ10Aまたは10Dは、発振回路12からは常に交流信号を送出させるように制御する。そして、発振回路12からの交流信号の送出を停止させる期間においては、コントローラ10Aまたは10Dは、複数の阻害電極の全てを接地電位にして、信号電極からの交流信号の送出を阻害するようにする。
【0189】
すなわち、位置指示器がセンサ部100に接触していない状態において、交流信号を送出する期間では全ての阻害電極を接地電位にしないようにし、交流信号の送出を停止するときには、全ての阻害電極を接地電位にする。また、位置指示器がセンサ部100に接触している状態において、それぞれの阻害電極の選択期間において、交流信号を送出するときには、当該阻害電極のみを接地するようにすると共に、交流信号を送出しないときには、全ての阻害電極を接地電位にするように制御する。
【0190】
なお、上述の第2の実施形態や第4の実施形態では、阻害電極は、接地とするようにして、交流信号の送出を阻害するようにしたが、阻害電極を電源電位などの所定の直流電位としても、同様に交流信号の送出を阻害することができる。
【0191】
なお、上述の第1〜第3の実施形態においては、芯体として樹脂製の棒状の芯体3を用いるようにしたが、この芯体3の代わりに、いわゆるボールペンの替え芯を用いることもできる。その場合には、位置指示器は、ボールペンとしても使用することができて便利である。
【0192】
なお、上述の実施形態の説明においては、位置指示器の駆動電源は電池としたが、電源電圧を蓄積するコンデンサを位置指示器に設けて、当該コンデンサを駆動電源として用いるようにしてもよい。その場合に、コンデンサに電源電圧を蓄積する構成は、電磁誘導や電界結合によって電力エネルギーを外部から受け取って充電する充電回路の構成としてもよいし、位置指示器にさらに充電端子を設けて、専用の充電装置から当該充電端子を通じて充電電流を供給するように構成してもよい。そして、外部からの電力エネルギー(電磁エネルギーや電界エネルギー)は、位置検出装置から位置指示器に供給するようにしてもよいし、専用の電力供給装置から供給するようにしてもよい。