【解決手段】本明細書によって開示されるコネクタは、弾性変位可能な一対の弾性接触片53を有する雌端子50に接続される雄端子20が雄ハウジング30内に収容された雄コネクタ10であって、雄端子20に平板状に設けられた端子接続部21と、端子接続部21に設けられ、一対の弾性接触片53の雌側接点部54が弾性的にそれぞれ接触する雄側接点部22と、雄ハウジング30の内側面に突設され、雄端子20と雌端子50とを接続または非接続にする過程において弾性接触片53の両側縁部53Aを押圧しつつ摺動し、雄端子20と雌端子50とが正規の接続位置に至ると、弾性接触片53を押圧しない状態となって雌側接点部54を雄側接点部22に弾性的に接触させる摩耗低減部35とを備えるところに特徴を有する。
前記摩耗低減部は、前記ハウジング内における前記端子接続部の両側の壁部に一対突出して設けられることで、前記弾性接触片の幅方向中央部に形成された前記雌側接点部の両側に位置する側縁部と摺動する請求項1に記載のコネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の構成によると、上下一対のコネクタ雌端子がコネクタ雄端子の本体部に乗り上げて本体部の表面を摺動するため、コネクタ雌端子とコネクタ雄端子とが正規の接続位置に至るまでにコネクタ雌側接触子が摩耗してしまう。また、コネクタ雌端子とコネクタ雄端子とを非接続状態にする場合も、同様に、ネクタ雌側接触子が摩耗するため、コネクタ雌端子とコネクタ雄端子との接点間の接続信頼性が低下してしまう。
【0005】
本明細書では、端子の接点が摩耗することを抑制し、接点間の接続信頼性を確保する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される技術は、弾性変位可能な弾性接触片を有する雌端子に接続される雄端子がハウジング内に収容されたコネクタであって、前記雄端子に平板状に設けられた端子接続部と、前記端子接続部の表面に設けられ、前記弾性接触片に設けられた雌側接点部が弾性的に接触する雄側接点部と、前記ハウジングに設けられ、前記雄端子と前記雌端子とを接続または非接続にする過程において前記弾性接触片における前記雌側接点部に隣接する部分を押圧しつつ摺動し、前記雄端子と前記雌端子とが正規の接続位置に至ると、前記弾性接触片を押圧しない状態となって同弾性接触片を弾性復帰させることで、前記雌側接点部を前記雄側接点部に弾性的に接触させる摩耗低減部とを備えるところに特徴を有する。
【0007】
このような構成によると、雌端子と雄端子とを接続または非接続にする過程において、雌側接点部が雄端子などの他の部材と摺動することがないから、雄端子と雌端子とが正規の接続位置に至って雄側接点部と雌側接点部とが接触した際に、接点部間の接続信頼性を確保することができる。
【0008】
本明細書によって開示される技術の態様として、以下の構成が好ましい。
前記摩耗低減部は、前記ハウジング内における前記端子接続部の両側の壁部に一対突出して設けられることで、前記弾性接触片の幅方向中央部に形成された前記雌側接点部の両側に位置する側縁部と摺動する構成としてもよい。
このような構成によると、弾性接触片の両側縁部が一対の摩耗低減部と摺動するから、例えば、弾性接触片の一側縁のみが摩耗低減部と摺動する場合に比べて、弾性接触片と摩耗低減部とを安定して摺動させることができる。これにより、弾性接触片の中央部に配された雌側接点部が雄端子と摺動することを確実に防ぐことができる。
【0009】
前記摩耗低減部における前記雌端子側の端部には、前記弾性接触片が乗り上げる傾斜状の乗り上げ部が形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、弾性接触片が摩耗低減部に乗り上げ易くなるから、両端子の接続過程を滑らかに動作させることができる。
【0010】
前記雄側接点部は、前記端子接続部の板厚方向両側に配された一対の前記弾性接触片と接触可能に同端子接続部の板厚方向両側に一対配されており、前記摩耗低減部は、前記端子接続部の前記雄側接点部よりも板厚方向両側に突出して形成され、一対の前記弾性接触片を押圧しつつ同弾性接触片の間を通過する構成としてもよい。
このような構成によると、一対の弾性接触片の間を摩耗低減部が摺動して通過し、一対の雌側接点部の摩耗を一度に防ぐことができる。
【0011】
前記雄端子は、前記ハウジング内に前記雌端子とは反対側から収容されるように構成されており、前記ハウジング内の壁部には、前記摩耗低減部から前記雄端子の収容方向後方に向けて延びるガイド部が形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、ガイド部に沿わせて雄端子をハウジング内に収容することで、摩耗低減部に対して前記雄端子を正規の位置に案内することができる。
【0012】
前記摩耗低減部は、前記雄端子の側方における前記ハウジングの壁部に装着される別部品によって構成されていてもよい。
このような構成によると、ハウジングに耐摩耗性に優れた別部品を装着して摩耗低減部を形成することで、摩耗低減部が摩耗することに起因して雌側接点部が摩耗することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0013】
本明細書によって開示される技術によれば、端子の接点が摩耗することを抑制し、接点間の接続信頼性を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
実施形態1について
図1から
図11を参照して説明する。
本実施形態は、雌端子50を雌ハウジングに収容してなる雌コネクタに嵌合される雄コネクタ10を例示している。なお、以下の説明において、雌コネクタについては、雌ハウジングを図示省略して説明する。また、上下方向とは、
図2および
図4における上下方向を基準とする。また、前後方向とは、
図4における左右方向を基準とし、両コネクタが互いに嵌合する側を前側として説明する。
【0016】
雌端子50は図示しない電線の端末に接続されるものであって、導電性に優れた金属板材をプレス等で加工することにより形成されている。雌端子50は、
図1に示すように、角筒状の端子本体部51の後方に雌側電線接続部52が設けられた形態とされており、雌側電線接続部52が電線の端末にかしめ圧着されることで電線の端末に雌端子50が固着されるようになっている。
【0017】
端子本体部51の前端開口縁には、一対の弾性接触片53が設けられている。一対の弾性接触片53は、
図1および
図4に示すように、端子本体部51の前端開口における上下縁から前方に向かって片持ち状に延出した形態とされおり、端子本体部51との付け根部分を支点に上下に弾性変位可能とされている。また一対の弾性接触片53は、上下方向に対向した配置とされており、前方に向かうほど互いに近づく形態とされている。一対の弾性接触片53は、その前端部が外側に向かって互いに離れる方向に屈曲されており、屈曲された部分の幅方向略中央部において互いに最も近接した部分は、雌側接点部54とされている。
【0018】
雄コネクタ10は、
図1、
図2および
図4に示すように、雌端子50に接続される雄端子20と、雄端子20を内部に収容する合成樹脂製の雄ハウジング30とを備えて構成されている。
【0019】
雄端子20は、導電性に優れた金属板材をプレス等で加工して形成されており、
図6に示すように、雌端子50と接続される平板状の端子接続部21を有している。端子接続部21の幅寸法W1は、
図7および
図10に示すように、雌端子50の弾性接触片53の幅寸法W2よりも大きく(W1>W2)、端子接続部21の板厚寸法H1は、
図4に示すように、一対の弾性接触片53の接点部54間の距離D1よりも大きく設定されている(H1>D1)。
また、端子接続部21の上下面における前端からやや後方の位置には、雌端子50の一対の弾性接触片53における雌側接点部54とそれぞれ接続される一対の雄側接点部22が設けられている。
【0020】
端子接続部21の後方には、図示しない電線接続部が設けられており、電線接続部が公知の接続方法によって電線の端末に接続されることで、電線の端末に雄端子20が固着されるようになっている。
【0021】
雄ハウジング30は雌ハウジングと嵌合可能とされており、雄ハウジング30内には、
図2に示すように、正面視略矩形状をなすキャビティ31が前後方向に貫通して形成されている。キャビティ31内には、キャビティ31の上下面と平行な状態で雄端子20が後方から挿入されており、雄端子20は、キャビティ31内に設けられた図示しない係止部によってキャビティ31内に抜け止めされている。
【0022】
また、キャビティ31内には、雄ハウジング30と雌ハウジングとの嵌合過程において、
図5に示すように、雌端子50が前方からキャビティ31内に進入可能とされており、雄ハウジング30と雌ハウジングとが正規の嵌合状態に至ると、キャビティ31内に前方から進入した雌端子50の一対の弾性接触片53の間に雄端子20の端子接続部21が進入する。一対の弾性接触片53の間に端子接続部21が進入すると、
図6に示すように、一対の弾性接触片53が同弾性接触片53の延出方向と交差する上下方向から端子接続部21を挟み込み、雌側接点部54が雄側接点部22に弾性的にそれぞれ接触することで、雄端子20と雌端子50とが電気的に接続されるようになっている。
【0023】
さて、雄ハウジング30におけるキャビティ31の両側に位置する内側壁(「壁部」の一例)31Aには、
図5、
図8および
図10に示すように、雄端子20と雌端子50とが接続または非接続となる過程において、雌端子50における一対の弾性接触片53の両側縁部53Aを押圧しつつ摺動する一対の摩耗低減部35が設けられている。
一対の摩耗低減部35は、
図7および
図10に示すように、幅方向に対向する配置で内側壁31Aから互いに近づくように突出した形態とされており、一対の摩耗低減部35間の距離D2は、雌端子50における弾性接触片53の幅寸法W2よりも小さく設定されている(D2<W2)。
【0024】
摩耗低減部35は、
図1、
図3から
図6に示すように、前後に長い側面視略楕円形状をなしている。摩耗低減部35における上下の高さ寸法L1は、端子接続部21の板厚寸法H1よりも大きく設定(L1>H1)されているものの、摩耗低減部35の前後方向の長さ寸法L2は、雌端子50の弾性接触片53の前後方向の長さ寸法L3よりも小さく設定(L2<L3)されている。このため、摩耗低減部35が一対の弾性接触片53間の奥部に進入すると、摩耗低減部35は一対の弾性接触片53に挟持されることなく一対の弾性接触片53間に配されるようになっている。
【0025】
また、各摩耗低減部35の前端部および後端部は、
図3から
図6に示すように、前後方向中央部に向かうほど上下方向に張り出した円弧状に傾斜しており、上下一対の弾性接触片53が摩耗低減部35に乗り上げるための乗り上げ部35Aとされている。
【0026】
一対の摩耗低減部35の上下方向中央部には、端子接続部21の側縁部21Aが後方からそれぞれ嵌合される一対の嵌合凹部36が設けられている。各嵌合凹部36は、摩耗低減部35の後端から摩耗低減部35の前端部まで前方に向けて凹んだ形態をなしており、後方とキャビティ31の内側との双方に開口した形態とされている。
言い換えると、各摩耗低減部35は、
図3から
図6に示すように、嵌合凹部36に嵌合される端子接続部21を中心に上下に対称な構成とされており、端子接続部21が一対の嵌合凹部36に嵌合された状態では、
図7から
図11に示すように、端子接続部21の両側に摩耗低減部35が配され、正面から視ると、摩耗低減部35が端子接続部21の上下面の高さ位置よりも上下に僅かに突出した状態となっている。
また、嵌合凹部36に端子接続部21が嵌合し、端子接続部21の両側に摩耗低減部35が配された状態になると、
図4から
図6に示すように、摩耗低減部35の真後に端子接続部21の雄側接点部22が配されるようになっている。
【0027】
したがって、雄ハウジング30と雌ハウジングとの嵌合過程において、雌端子50の一対の弾性接触片53の間に雄端子20の端子接続部21が進入すると、
図5に示すように、一対の弾性接触片53の両側縁部53Aが摩耗低減部35の乗り上げ部35Aに円滑に乗り上げ、一対の弾性接触片53が上下に開くように弾性変位した状態で摩耗低減部35の上下面を摺動する。
言い換えると、摩耗低減部35が一対の弾性接触片53の雌側接点部54の側方に隣接する弾性接触片53の両側縁部53Aを押圧し、摩耗低減部35が一対の弾性接触片53における両側縁部53Aの表面を摺動しつつ一対の弾性接触片53の間を通過する。
【0028】
そして、雄ハウジング30と雌ハウジングとが正規嵌合され、雄端子20と雌端子50とが正規の接続位置に至ると、
図6に示すように、一対の弾性接触片53が摩耗低減部35を乗り越え、摩耗低減部35が一対の弾性接触片53間の奥部に挟持されることなく配される。また、一対の弾性接触片53は、摩耗低減部35を乗り越えて摩耗低減部35が押圧しない状態になることで弾性復帰し、一対の弾性接触片53の雌側接点部54が摩耗低減部35の真後に配された雄側接点部22に弾性的に接触する。
【0029】
また、各摩耗低減部35の後方には、
図3から
図6に示すように、嵌合凹部36の後端開口縁から後方に向けて真っ直ぐ延びる上下一対のガイドリブ37が設けられている。
上下一対のガイドリブ37の間の距離は、端子接続部21の板厚寸法H1よりも僅かに大きい寸法に設定されており、端子接続部21が上下一対のガイドリブ37間をがたつくことなく滑らかに前後に移動可能とされている。
【0030】
上下一対のガイドリブ37は、
図7および
図10に示すように、幅方向に対向した形態とされており、幅方向に対向するガイドリブ37間の距離D3は、端子接続部21の幅寸法W1よりも小さく、雌端子50の弾性接触片53の幅寸法W2よりも大きく設定されている(W1>D3>W2)。
つまり、各ガイドリブ37は、端子接続部21を上下一対のガイドリブ37間から脱落させることなく嵌合凹部36に案内することができるものの、幅方向に対向するガイドリブ37間に雌端子50の弾性接触片53を上下から収容することで、各ガイドリブ37が一対の弾性接触片53と端子接続部21との接触の障害とならないように構成されている。
【0031】
本実施形態は、以上のような構成であって、続いて、雄コネクタ10の作用および効果について説明する。
まず、雄ハウジング30のキャビティ31内に後方から雄端子20を挿入する。このとき、雄端子20の端子接続部21は、キャビティ31の両側の内側壁31Aに設けられた上下一対のガイドリブ37の間を前方に向かって進入することで、キャビティ内において上下に位置ずれすることなく摩耗低減部35の嵌合凹部36まで案内される。
【0032】
そして、端子接続部21の前端部が嵌合凹部36内に嵌合され、端子接続部21が嵌合凹部36の奥面に前止まりされたところで、雄端子20が係止部によってキャビティ31内に抜け止めされる。ここで、端子接続部21は、ガイドリブ37に案内されて嵌合凹部36に嵌合されているから、一対の摩耗低減部35の間において上下に位置ずれることなく、
図1および
図2に示すように、キャビティ31内の正規の位置に配される。
以上のようにして、雄コネクタ10の組み立てが完了する。
【0033】
組み立てが完了した雄コネクタ10を雌コネクタと嵌合させるには、
図4および
図7に示すように、雄コネクタ10と雌コネクタとを向かい合わせに配置し、互いを近づけることで雄コネクタ10と雌コネクタとを嵌合させる。
【0034】
この嵌合過程では、まず、雄ハウジング30と雌ハウジングとの嵌合が開始されると、雌端子50の一対の弾性接触片53が雄ハウジング30のキャビティ31内に進入する。
雄ハウジング30と雌ハウジングとの嵌合が進むと、
図5および
図8に示すように、一対の弾性接触片53の両側縁部53Aが摩耗低減部35の前端部における乗り上げ部35Aに乗り上げ、一対の弾性接触片53が上下に開くように弾性変位する。そのまま、雄ハウジング30と雌ハウジングとの嵌合が進むと、一対の弾性接触片53の両側縁部53Aが摩耗低減部35の上下面を前方に向けて摺動する。
【0035】
そして、雄ハウジング30と雌ハウジングとが正規の嵌合状態に至ると、一対の弾性接触片53が摩耗低減部35を乗り越え、
図6および
図9に示すように、摩耗低減部35が一対の弾性接触片53間の奥部に挟持されることなく配される。また、一対の弾性接触片53は、摩耗低減部35を乗り越えることで弾性復帰し、一対の弾性接触片53が端子接続部21を上下から挟み込むことで、一対の弾性接触片53の雌側接点部54が摩耗低減部35の真後に配された雄側接点部22に弾性的に接触する。
【0036】
すなわち、雄端子20と雌端子50とが接続される過程において、弾性接触片53の両側縁部53Aが摩耗低減部35に乗り上げて、弾性接触片53の両側縁部53Aが摩耗低減部35の上下面を摺動するから、弾性接触片53の幅方向略中央部に配された雌側接点部54が、端子接続部21や他の部材に接触したり、摺動したりすることを防ぐことができる。そして、雄端子20と雌端子50とが正規の接続位置に至ると、一対の弾性接触片53が摩耗低減部35を乗り越えて弾性復帰し、一対の弾性接触片53の雌側接点部54を端子接続部21の雄側接点部22に弾性的に接触させることができる。これにより、雌側接点部54が摩耗することを抑制し、もって両端子20,50の接点部22,54間の接続信頼性を確保することができる。
【0037】
また、雌コネクタと雄コネクタ10とを離脱させる際にも、一対の弾性接触片53の両側縁部53Aが、摩耗低減部35の後端部における乗り上げ部35Aに乗り上げ、一対の弾性接触片53が上下に開くように弾性変位する。そして、雄ハウジング30と雌ハウジングとの離脱が進むと、一対の弾性接触片53の両側縁部53Aが摩耗低減部35の上下面を後方に向けて摺動し、最後に一対の弾性接触片53が摩耗低減部35を乗り越えて弾性復帰し、雄コネクタ10と雌コネクタとの離脱が完了する。
【0038】
以上のように、本実施形態によると、雌端子50と雄端子20とを接続または非接続にする過程の何れにおいても、一対の弾性接触片53の両側縁部53Aが摩耗低減部35に乗り上げて摺動する。つまり、一対の弾性接触片53の幅方向中央に配された雌側接点部54が端子接続部21や他の部材と摺動することがないから、雄端子20と雌端子50とが正規の接続位置に至って雄側接点部22と雌側接点部54とが接触した際に、接点部22,54間の接続信頼性を確保することができる。
【0039】
また、摩耗低減部35が弾性接触片53の両側縁部53Aと摺動するから、例えば、弾性接触片の一方の側縁のみが摩耗低減部と摺動する場合に比べて、弾性接触片53と摩耗低減部35とを安定して摺動させることができる。これにより、弾性接触片53の中央部に配された雌側接点部54が端子接続部21と摺動することをより確実に防ぐことができる。
【0040】
また、本実施形態によると、雌端子50と雄端子20との接続過程では、一対の弾性接触片53が端子接続部21ではなく、摩耗低減部35に乗り上げるから、端子接続部21の前端部を先細りに形成する必要がなく、雄端子20を形成する作業工程を低減させることができる。
【0041】
また、上下一対の弾性接触片53の間を摩耗低減部35が弾性接触片53と摺動しつつ通過して上下一対の雌側接点部54の摩耗を同時に防ぐことができる。
【0042】
さらに、摩耗低減部35の前端部および後端部には、円弧状に傾斜した乗り上げ部35Aが形成されているから、弾性接触片53が摩耗低減部35に乗り上げ易くなり、雄端子20と雌端子50とを接続または非接続にする動作を滑らかに進行させることができる。
【0043】
ところで、摩耗低減部35が、端子接続部21に対して上下方向(板厚方向)の何れかに位置ずれした状態になっていると、雌端子50の弾性接触片53が端子接続部21に接触し、雌側接点部54と端子接続部21とが摺動することが懸念される。
ところが、本実施形態によると、端子接続部21が上下一対のガイドリブ37の間を進入して嵌合凹部36に嵌合されるから、端子接続部21に対して一対の摩耗低減部35が上下方向に位置ずれすることを確実に防ぐことができる。これにより、雌端子50の弾性接触片53が端子接続部21に接触することを確実に防ぐことができる。
【0044】
<実施形態2>
次に、実施形態2について
図12を参照して説明する。
【0045】
実施形態2の雄ハウジング130は、実施形態1における摩耗低減部35を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0046】
実施形態2の摩耗低減部135は、キャビティ31における幅方向両側の内側壁31に設けられた装着溝138に、雄ハウジング30とは別部材からなる板状部材137を屈曲させて装着することで形成されている。また、屈曲させた板状部材137の間の空間が端子接続部21を嵌合させる嵌合凹部136とされている。なお、ここで使用する板状部材137は、ステンレス鋼(SUS)などの金属製の板材や耐摩耗性に優れたポリアセタールやポリカーボネートなどの樹脂製の板材を用いることができる。
【0047】
すなわち、本実施形態によると、雄ハウジング130よりも耐摩耗性に優れた板状部材137を装着して摩耗低減部135を形成することで、摩耗低減部135が摩耗することに起因して雌側接点部54が摩耗することを防ぐことができる。
【0048】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、摩耗低減部35の乗り上げ部35Aを円弧状に傾斜する構成とした。しかしながら、これに限らず、乗り上げ部は平坦に傾斜する構成にしてもよい。
(2)上記実施形態では、キャビティ31の側壁に板状部材137を装着して摩耗低減部135を構成した。しかしながら、これに限らず、キャビティ31の側壁に柱状の部材を装着することで摩耗低減部を形成してもよい。
【0049】
(3)上記実施形態では、雌端子50の上下一対の弾性接触片53に摩耗低減部35,135が摺動する構成とした。しかしながら、これに限らず、雌端子において上下のうちのどちらか一方にのみ形成された弾性接触片と摩耗低減部とを摺動させる構成としてもよい。
(4)上記実施形態では、電線の端末に接続される雄端子を有する雄コネクタを一例として示した。しかしながら、これに限らず、雄ハウジングにインサート成形された雄端子を有するコネクタに本明細書で開示した技術を適用してもよい。