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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-222752(P2015-222752A)
(43)【公開日】2015年12月10日
(54)【発明の名称】コイル装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 38/14 20060101AFI20151113BHJP
   H02J 17/00 20060101ALI20151113BHJP
【FI】
   H01F23/00 B
   H02J17/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-105907(P2014-105907)
(22)【出願日】2014年5月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】徳良 晋
(72)【発明者】
【氏名】上田 章雄
(72)【発明者】
【氏名】荒木 淳
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ハウジングの強度を高めることができるソレノイド型のコイル装置を提供する。
【解決手段】ソレノイド型のコイル装置は、導線と、導線が巻かれた巻付部と、を含むコイル部Cと、コイル部Cを収容するハウジングと、巻付部とハウジングとを締結する少なくとも1つの締結部16と、を備える。導線は、巻付部上で巻線方向に沿って延びると共に、巻軸方向に間隔を有する複数の表面側延在部分31を含み、締結部16は、表面側延在部分31,31の間に設けられ、巻軸方向に直交する平面に対して斜めに配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソレノイド型のコイル装置であって、
導線と、前記導線が巻かれた巻付部と、を含むコイル部と、
前記コイル部を収容するハウジングと、
前記巻付部と前記ハウジングとを締結する少なくとも1つの締結部と、を備え、
前記導線は、前記巻付部上で巻線方向に沿って延びると共に、巻軸方向に間隔を有する複数の延在部分を含み、
前記締結部は、前記複数の延在部分の間に設けられ、前記巻軸方向に直交する平面に対して斜めに配置されている、コイル装置。
【請求項2】
前記コイル部は、前記巻付部の内部に配置された磁性部材を更に含む、請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、平板状の前記コイル部の第1面に対面する第1ハウジング部材と、前記第1ハウジング部材に固定されて、前記第1面とは反対側の第2面に対面する第2ハウジング部材と、を含む、請求項2に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記巻付部は、前記第1ハウジング部材と前記磁性部材との間に配置された第1巻付板と、前記第2ハウジング部材と前記磁性部材との間に配置された第2巻付板とを含み、
前記締結部は、前記磁性部材を貫通すると共に、前記第1巻付板と前記第2巻付板とを締結する、請求項3に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記磁性部材には孔部が設けられ、
前記第1巻付板および第2巻付板の一方は、前記孔部内へ突出する突出部を含み、
前記締結部は、前記突出部を貫通して、前記第1巻付板と前記第2巻付板とを締結する、請求項4に記載のコイル装置。
【請求項6】
前記締結部は、前記第1ハウジング部材側から前記第1巻付板に当接するフランジ部を含み、
前記第1ハウジング部材は、前記フランジ部を介して、前記コイル部によって支持されている、請求項4または5に記載のコイル装置。
【請求項7】
前記締結部は、前記ハウジングを貫通している、請求項1〜6のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項8】
前記締結部は、
前記第1ハウジング部材に一体に設けられて前記第2ハウジング部材に向けて突出する第1結合部材と、
前記第2ハウジング部材に一体に設けられて前記第1ハウジング部材に向けて突出する第2結合部材と、を含み、
前記第1結合部材および前記第2結合部材の少なくとも一方が前記コイル部内に配置されると共に、前記第1結合部材と前記第2結合部材とが結合されている、請求項3〜5のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項9】
前記コイル部は、前記巻軸方向で隣り合う前記延在部分の間隔が他の前記延在部分の間隔と等しい均等部を含み、
前記締結部は、前記均等部に設けられている、請求項1〜8のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項10】
前記締結部は、前記巻線方向および前記巻軸方向における前記巻付部の中央領域に設けられている、請求項1〜9のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項11】
前記締結部は、前記巻線方向および前記巻軸方向における前記ハウジングの中央領域に設けられている、請求項1〜10のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項12】
前記締結部は、前記締結部が設けられることによる電力効率の低下が0.1%以下であるような領域に設けられている、請求項1〜11のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項13】
前記締結部は、前記コイル部における磁束密度が他の領域よりも低い領域に設けられている、請求項1〜12のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項14】
前記締結部は複数であり、複数の前記締結部は、前記巻軸方向に沿って配列されている、請求項1〜13のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項15】
前記締結部は複数であり、複数の前記締結部は、前記巻線方向に沿って配列されている、請求項1〜13のいずれか一項に記載のコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触給電システムは、送電コイル装置及び受電コイル装置を備え、コイル間の電磁誘導や磁界共鳴等を利用して、非接触での給電を実現している。各コイル装置は、コイル及びフェライトを内部に有する。コイル装置は、ハウジングで囲われている。ハウジングは、例えば保護カバーとアルミ板とで構成される。非接触給電システムの適用先は、例えば、電気自動車の給電システムである。この場合、受電コイル装置は、車に搭載される。
【0003】
下記特許文献1、2および3に記載された技術が知られている。特許文献1に記載された装置では、受電コイル装置である車内トランスジューサが車両(シャーシ)内に搭載される。または、車内トランスジューサは、車台の下面の下に突き出して搭載される。特許文献2に記載された装置では、受電コイルである二次自己共振コイルを支持するボビンは、その鍔部に接続された固定部材により、車に取り付けられている。
【0004】
特許文献3に記載された装置では、受電部のアルミ製の基板は、ボルト孔を介して、非磁性ボルトにより移動体の下部に固定されている。給電部(送電装置)のアルミ製の基板は、ボルト孔を介して、非磁性ボルトにより走行路面等に固定されている。ポリカーボネイト製の保護カバーは、ボルト孔を介して、非磁性ボルトにより基板に固定されている。保護カバーと絶縁板との間にはスペーサが設けられており、このスペーサによって、保護カバーの強度が高められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−153132号公報
【特許文献2】特開2010−87353号公報
【特許文献3】特開2008−120239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
引用文献1に記載されるようなソレノイド型のコイルでは、導線が巻かれる巻付部(引用文献1の装置ではフェライトハウジング部分)は、保護カバーとアルミ板との間で平板状に延びるように配置されている。巻付部には、複数のスロット状の溝が形成されており、この溝に導線が配置される。このような構造では、巻付部に巻かれた導線は、巻付部の表面側および裏面側のそれぞれにおいて、複数の平行な直線状部分を有する。よって、保護カバーとアルミ板との間に配置された巻付部の全域にわたって、導線が存在することになる。
【0007】
ハウジングの強度を高めるために、特許文献3に記載されたようなスペーサを設けることが知られている。しかし、巻付部の全域にわたって導線が存在するソレノイド型のコイルに、このようなスペーサを適用することは難しい。ソレノイド型のコイルを採用するコイル装置において、ハウジングの強度を高めることが課題になっている。
【0008】
本発明は、ハウジングの強度を高めることができるソレノイド型のコイル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るコイル装置は、ソレノイド型のコイル装置であって、導線と、導線が巻かれた巻付部と、を含むコイル部と、コイル部を収容するハウジングと、巻付部とハウジングとを締結する少なくとも1つの締結部と、を備え、導線は、巻付部上で巻線方向に沿って延びると共に、巻軸方向に間隔を有する複数の延在部分を含み、締結部は、複数の延在部分の間に設けられ、巻軸方向に直交する平面に対して斜めに配置されている。
【0010】
このコイル装置によれば、ハウジングは、巻付部を含むコイル部を収容する。巻付部上で巻線方向に延びる複数の延在部分の間に、少なくとも1つの締結部が設けられる。締結部により、巻付部とハウジングとが締結される。締結部は、巻軸方向に直交する平面に対して斜めに配置されているため、導線の延在部分に締結部が干渉することを回避し易い。言い換えれば、締結部を設ける際の自由度が高められる。よって、ソレノイド型のコイル装置において、ハウジングの強度を高めることができる。
【0011】
いくつかの態様において、コイル部は、巻付部の内部に配置された磁性部材を更に含む。この場合、電力効率が高められる。
【0012】
いくつかの態様において、ハウジングは、平板状のコイル部の第1面に対面する第1ハウジング部材と、第1ハウジング部材に固定されて、第1面とは反対側の第2面に対面する第2ハウジング部材と、を含む。この場合、巻付部と第1ハウジング部材および第2ハウジング部材の少なくとも一方とが締結部によって締結されることにより、ハウジングの強度を高めることができる。
【0013】
いくつかの態様において、巻付部は、第1ハウジング部材と磁性部材との間に配置された第1巻付板と、第2ハウジング部材と磁性部材との間に配置された第2巻付板とを含み、締結部は、磁性部材を貫通すると共に、第1巻付板と第2巻付板とを締結する。この場合、第1ハウジング部材および第2ハウジング部材の間に磁性部材が設けられる。締結部は磁性部材を貫通し、第1巻付板と第2巻付板とが締結されるため、ハウジングが巻付部に対してより強固に固定される。
【0014】
いくつかの態様において、磁性部材には孔部が設けられ、第1巻付板および第2巻付板の一方は、孔部内へ突出する突出部を含み、締結部は、突出部を貫通して、第1巻付板と第2巻付板とを締結する。この場合、締結部は、磁性部材の孔部内に配置された突出部を貫通して、第第1巻付板と第2巻付板とを締結する。第1巻付板と第2巻付板とがより強固に締結される。磁性部材は、第1巻付板および第2巻付板によって挟まれて保持される。磁性部材は脆弱性を有し得るが、上記構成によれば、磁性部材の強度を高めることができる。
【0015】
いくつかの態様において、締結部は、第1ハウジング部材側から第1巻付板に当接するフランジ部を含み、第1ハウジング部材は、フランジ部を介して、コイル部によって支持されている。この場合、第1ハウジング部材は、コイル部によって支持されるので、第1ハウジング部材が締結部の周辺でたわむことを防止できる。
【0016】
いくつかの態様において、締結部は、ハウジングを貫通している。ハウジングの外部から締結部による締結が行われるため、締結部を確実かつ容易に設けることができる。
【0017】
いくつかの態様において、締結部は、第1ハウジング部材に一体に設けられて第2ハウジング部材に向けて突出する第1結合部材と、第2ハウジング部材に一体に設けられて第1ハウジング部材に向けて突出する第2結合部材と、を含み、第1結合部材および第2結合部材の少なくとも一方がコイル部内に配置されると共に、第1結合部材と第2結合部材とが結合されている。この場合、締結部がハウジングを貫通しないため、締結部周りのシールが不要である。
【0018】
いくつかの態様において、コイル部は、巻軸方向で隣り合う延在部分の間隔が他の延在部分の間隔と等しい均等部を含み、締結部は、均等部に設けられている。この場合、コイル部の均等部では、他の部分と導線の間隔が等しいため、磁界に対する影響をできるだけ小さくすることができる。締結部は、巻軸方向に直交する平面に対して斜めに配置されるため、均等部に設けられる場合でも、導線に対する干渉は容易に回避される。
【0019】
いくつかの態様において、締結部は、巻線方向および巻軸方向における巻付部の中央領域に設けられている。この場合、巻付部の中央領域に対応する位置で、ハウジングの強度が高められる。巻付部の中央領域に対応する位置では、ハウジングが比較的たわみやすい。よって、ハウジングの強度が一層向上する。
【0020】
いくつかの態様において、締結部は、巻線方向および巻軸方向におけるハウジングの中央領域に設けられている。この場合、ハウジングの中央領域に対応する位置で、ハウジングの強度が高められる。ハウジングは、中央領域では比較的たわみやすい。よって、ハウジングの強度が一層向上する。
【0021】
いくつかの態様において、締結部は、締結部が設けられることによる電力効率の低下が0.1%以下であるような領域に設けられている。この場合、締結部によって電力効率に与えられる影響をできるだけ小さくすることができる。
【0022】
いくつかの態様において、締結部は、コイル部における磁束密度が他の領域よりも低い領域に設けられている。この場合、締結部によって磁束に与えられる影響をできるだけ小さくすることができる。
【0023】
いくつかの態様において、締結部は複数であり、複数の締結部は、巻軸方向に沿って配列されている。
【0024】
いくつかの態様において、締結部は複数であり、複数の締結部は、巻線方向に沿って配列されている。
【発明の効果】
【0025】
本発明のいくつかの態様によれば、ソレノイド型のコイル装置において、ハウジングの強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係るコイル装置の適用例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係るコイル装置を示す斜視図である。
図3図3(a)は締結部が設けられる部分を模式的に示す断面図であり、図3(b)は図3(a)における導線の位置関係を説明するための図である。
図4図2中の締結部付近を示す断面図である。
図5】ハウジングおよび巻付部の中央領域を示す平面図である。
図6図6(a)は、磁束密度または電力効率を考慮した場合の締結部の設置位置を示す平面図であり、図6(b)は、強度を考慮した場合の締結部の設置位置を示す平面図である。
図7図6(a)に示される領域と図6(b)に示される領域との重畳領域を示す平面図である。
図8】他の形態において、締結部が設けられる部分を模式的に示す断面図である。
図9】更に他の形態において、締結部が設けられる部分を模式的に示す断面図である。
図10】更に他の形態において、締結部が設けられる部分を模式的に示す断面図である。
図11】更に他の形態において、締結部が設けられる部分を模式的に示す断面図である。
図12】更に他の形態において、ハウジングのキー構造を模式的に示す断面図である。
図13図13(a)は巻軸方向に2つの締結部が配列された態様を示す平面図であり、図13(b)は巻線方向に2つの締結部が配列された態様を示す平面図である。
図14】従来のソレノイド型のコイルに締結部を設けた場合を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0028】
図1を参照して、本実施形態のコイル装置が適用された非接触給電システム1について説明する。非接触給電システム1は、送電装置2から受電装置3に電力を供給するためのシステムである。送電装置2および受電装置3は、たとえば上下方向に離間している。送電装置2は、たとえば駐車場等に設置される。受電装置3は、たとえば電気自動車(Electric Vehicle)EVに搭載される。非接触給電システム1は、駐車場等に到着した電気自動車EVに対し、磁界共鳴方式又は電磁誘導方式等を利用して、電力を供給するように構成されている。
【0029】
送電装置2は、駐車場等の路面から上方に突出するように設けられた非接触給電用の送電コイル装置4を備える。送電コイル装置4は、たとえば扁平な直方体状や錘台状をなしている。送電装置2は、直流電源や交流電源から所望の交流電力を生成し、受電装置3に送るものであり、制御器、インバータ等(いずれも図示せず)をさらに備える。受電装置3は、たとえば電気自動車EVの車体(シャーシ等)の底面に取り付けられて、送電コイル装置4に対向する非接触給電用の受電コイル装置5を備える。受電コイル装置5は、たとえば扁平な直方体状や錘台状をなしている。受電装置3は、送電装置2から電力を受け取り、負荷(例えば、バッテリ)に電力を供給するものであり、制御器、整流器等(いずれも図示せず)をさらに備える。以下、送電コイル装置4および受電コイル装置5を、それぞれ、コイル装置4およびコイル装置5と称する。
【0030】
図1および図2を参照して、コイル装置5について説明する。コイル装置5は、送電コイル装置4で発生させた磁束がコイル装置5に鎖交することによって誘導電流を発生させるものである。コイル装置5は、ソレノイド型である。コイル装置5は、誘導電流を発生する平板状のコイル部Cと、コイル部Cを収容するハウジング10とを備える。
【0031】
扁平な直方体状のハウジング10は、たとえば、ベース(第2ハウジング部材)12と、ベース12との間に収容空間を形成する保護カバー(第1ハウジング部材)11(図3参照)とを含む。保護カバー11は、コイル部Cの表面(第1面)C1に対面する。ベース12は、コイル部Cの裏面(第1面とは反対側の第2面)C2に対面する。コイル装置5が電気自動車EVに取り付けられる際、たとえば、ベース12が車体側に固定される。保護カバー11がコイル装置4に対向する。すなわち、コイル装置5が電気自動車EVに取り付けられた状態では、コイル部Cの上方にベース12が配置され、コイル部Cの下方に保護カバー11が配置される。ベース12及び保護カバー11は、例えば、樹脂製である。また、コイル装置4に対向しないベース12は、非磁性且つ導電性の材料(例えば、アルミニウム)で実現されてもよい。
【0032】
ベース12は、電気自動車EVの車体に対して固定される部分であり、たとえば4つの隅部において、4本のねじ部材15により車体に固定される。長方形状のベース12は、外形よりも少し小さい長方形状の収容凹部12aを有している。コイル部Cは、収容凹部12a内に収容されており、ビス等のねじ部材によってベース12に固定されている。なお、コイル部Cとベース12との間には絶縁シートが挿入され得る。
【0033】
長方形状の保護カバー11は、たとえばベース12の縁の4つのねじ孔13を介して、4本のねじ部材14によりベース12に固定される。保護カバー11とコイル部Cとの間には、コイル部Cの表面C1の略全域にわたって隙間G(図4参照)が形成されている。保護カバー11の中央には、後述する締結部16が設けられる。保護カバー11には、締結部16を設けるための座部11bおよび貫通孔11cが形成されている。貫通孔11cが形成された部分を除く領域において、保護カバー11とコイル部Cとの間には、上記の隙間Gが延在している。
【0034】
図2および図3に示されるように、コイル部Cは、リッツ線である導線30と、導線30が巻かれる平板状の巻付部20とを含む。ボビンである巻付部20は、表面C1側に配置された長方形状の第1巻付板(第1巻付板)21と、裏面C2側に配置された長方形状の第2巻付板(第2巻付板)22とを含む。第1巻付板21および第2巻付板22は、同じ材料(例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂)によって形成されている。
【0035】
第1巻付板21と第2巻付板22との間には、フェライト板(磁性部材)23が配置されている。すなわち、フェライト板23は、巻付部20の内部に配置されている。平面視において、フェライト板23の形状および大きさは、第1巻付板21および第2巻付板22の形状および大きさに略等しいか、又は小さい。フェライト板23は、第1巻付板21および第2巻付板22によって挟まれ、保持されている。フェライト板23と保護カバー11との間に、第1巻付板21が配置されている。フェライト板23とベース12との間に、第2巻付板22が配置されている。
【0036】
なお、磁性部材は、フェライト板に限定されず、他の磁性材料(例えば、ケイ素鋼板、アモルファス磁性合金、磁石)で実現されてもよく、特に電力効率向上の点で軟磁性材料(例えば、フェライト、ケイ素鋼板、アモルファス磁性合金)であることが好ましい。また、巻付部20内に配置されるものは磁性部材に限定されず、コイル部Cの強度確保のために巻付部20内の空洞の一部又は全体を埋める補強材であってもよい。更に、本発明は、巻付部20内に磁性部材や補強材が配置されることに限定されるものではなく、コイル部Cは、巻付部20内が空洞のままである空芯コイルであってもよい。なお、電力効率とは、送電装置2内のある箇所での電力に対する受電装置3内のある箇所での電力の割合を示すものであり、例えば、送電装置2のインバータの入力の電力に対する受電装置3の整流器の出力の電力の割合である。ここで、送電装置2のインバータとは、送電装置2から受電装置3へ伝送される交流電力を直流電力(直流電源からの出力や交流電源からの出力が整流された電力等)から生成するものである。受電装置3の整流器とは、送電装置2からの交流電力を直流電力(例えば、バッテリに入力される電力)に変換するものである。
【0037】
第1巻付板21には、たとえばコイル部Cの長辺方向に延びる複数の溝部21bが形成されている。複数の溝部21bは、互いに平行であり、等間隔に形成されている。複数の溝部21bの上記長辺方向に垂直な断面形状は、保護カバー11側の一辺が開放された矩形状である。溝部21bは、第1巻付板21の表面21aに対して窪んでおり、所定の深さを有している。
【0038】
第2巻付板22には、たとえばコイル部Cの長辺方向に延びる複数の溝部22bが形成されている。複数の溝部22bは、互いに平行であり、等間隔に形成されている。複数の溝部22bの上記長辺方向に垂直な断面形状は、ベース12側の一辺が開放された矩形状である。溝部22bは、第2巻付板22の表面22aに対して窪んでおり、所定の深さを有している。
【0039】
上記した第1巻付板21、フェライト板23および第2巻付板22が一体化されており、その周囲に、導線30が巻かれている。より詳しくは、導線30は、上記の溝部21bおよび溝部22b内に配置されている。図3に示されるように、コイル部Cでは、溝部21bが設けられる位置と、表面22aが設けられる位置とが、コイル部Cの短辺方向において異なっている。言い換えれば、溝部21bおよび溝部22bは、上下方向(コイル部Cの表面C1に垂直な方向、つまり、第1巻付板21および第2巻付板22の板厚方向)に整列していない。
【0040】
上記構成により、巻付部20に巻かれた導線30は、第1巻付板21上で延びる複数の表面側延在部分31と、第2巻付板22上で延びる複数の裏面側延在部分32とを含む。コイル部Cの長辺方向は、導線30の巻線方向に等しく、コイル部Cの短辺方向は、導線30の巻軸方向に等しい。巻線方向と巻軸方向とは、直交している(交差している)。巻付部20の巻線方向の端面では、導線30は、上下方向に対して傾斜する方向に延びている。表面側延在部分31のそれぞれと裏面側延在部分32のそれぞれとは、上下方向に整列していない。表面側延在部分31および裏面側延在部分32は、巻線方向から見た場合に、上下で斜交い状に(ジグザグに)設けられている(図3参照)。このような導線30の配置により、コイル部Cでは、導線30同士が可能な限り離間しており、絶縁距離が確保されている。
【0041】
図3および図4を参照して、表面側延在部分31および裏面側延在部分32についてより詳細に説明する。巻線方向に沿って延びる複数の表面側延在部分31は、直線状であり、互いに平行である。上記したように、複数の溝部21bは、等間隔に形成されている。図3(b)に示されるように、2本の表面側延在部分31,31の中心間の距離すなわちピッチは、ピッチP1である。このピッチP1は、第1巻付板21上に形成された複数の表面側延在部分31において、均等である。表面側延在部分31同士の距離を比較する際、上記のようにピッチで比較してもよいし、図4に示されるように、表面側延在部分31の間隔で比較してもよい。表面側延在部分31,31の間隔すなわち巻軸方向で対向する2つの内端面の距離は、間隔D1である。この間隔D1は、第1巻付板21上に形成された複数の表面側延在部分31において、均等である。
【0042】
コイル部Cは、巻軸方向で隣り合う表面側延在部分31,31の間隔D1が他の表面側延在部分31,31の間隔D1と等しい均等部35を含んでいる。コイル部Cでは、複数の表面側延在部分31のうち、隣り合う任意の表面側延在部分31,31の間隔は、他の部分の間隔と等しい間隔D1である。コイル部Cの第1巻付板21上には、複数の均等部35が形成されている。
【0043】
巻線方向に沿って延びる複数の裏面側延在部分32は、直線状であり、互いに平行である。上記したように、複数の溝部22bは、等間隔に形成されている。図3(b)に示されるように、2本の複数の裏面側延在部分32,32の中心間の距離すなわちピッチは、ピッチP1である。このピッチP1は、第2巻付板22上に形成された複数の裏面側延在部分32において、均等である。裏面側延在部分32,32の間隔すなわち巻軸方向で対向する2つの内端面の距離は、間隔D1である。この間隔D1は、第2巻付板22上に形成された複数の裏面側延在部分32において、均等である。
【0044】
コイル部Cは、巻軸方向で隣り合う裏面側延在部分32,32の間隔D1が他の裏面側延在部分32,32の間隔D1と等しい均等部35を含んでいる。コイル部Cでは、複数の裏面側延在部分32のうち、隣り合う任意の裏面側延在部分32,32の間隔は、他の部分の間隔と等しい間隔D1である。コイル部Cの第2巻付板22上には、複数の均等部35が形成されている。
【0045】
図2図5に示されるように、導線30の間隔が均等である均等部35に、保護カバー11の強度を高め得る締結部16が設けられている。コイル部Cの巻付部20には、表面側延在部分31,31の間および裏面側延在部分32,32の間を通るようにして、締結部16が設けられる孔部26が斜めに形成されている。このような配置により、締結部16の導線30への干渉が回避されている。
【0046】
図3(b)に示されるように、コイル部Cでは、表面側延在部分31と裏面側延在部分32との対称性が維持されている。巻軸方向において、隣り合う表面側延在部分31,31の中央に裏面側延在部分32が位置している。巻軸方向において、隣り合う裏面側延在部分32,32の中央に表面側延在部分31が位置している。コイル部Cでは、上下において斜交い状の関係(ジグザグな位置関係)が維持されている。
【0047】
図4および図5を参照して、締結部16について詳細に説明する。図5に示されるように、締結部16は、巻線方向および巻軸方向における巻付部20の中央領域である第1中央領域A1に設けられている。言い換えれば、締結部16は、巻付部20の第1対角線L1,L1の交点すなわち中心点に設けられている。
【0048】
締結部16は、巻付部20の第1対角線L1,L1の交点を中心とする第1中央領域A1内に設けられてもよい。締結部16は、巻線方向および巻軸方向におけるハウジング10(すなわち保護カバー11またはベース12)の中央領域である第2中央領域A2に設けられてもよい。言い換えれば、締結部16は、ベース12の第2対角線L2,L2の交点すなわち中心点に設けられてもよいし、その交点を中心とする第2中央領域A2内に設けられてもよい。
【0049】
図4に示されるように、締結部16は、巻軸方向に直交する平面に対して斜めに配置されている。巻軸方向に直交する平面とは、巻線方向および上下方向(すなわち第1巻付板21および第2巻付板22の板厚方向)に延在する仮想の平面である。本実施形態では、締結部16は、上下方向に対して角度をなしており、巻軸方向に対して鋭角または鈍角(90度以外の角度)をなしている。締結部16は、巻線方向に対して直交する方向に配置される。
【0050】
締結部16は、保護カバー11、第1巻付板21、フェライト板23および第2巻付板22を貫通している。締結部16の先端部17cは、ベース12を貫通しておらず、ベース12内で終端している。より詳しくは、締結部16は、第1巻付板21および第2巻付板22を貫通するように設けられた筒状部材18と、保護カバー11を貫通するように設けられた筒状部材19と、筒状部材18および筒状部材19の内部に配置されたねじ部材17とを含む。筒状部材18、筒状部材19およびねじ部材17は、いずれも非磁性の金属からなることが好ましいが、磁性材料であってもよい。筒状部材18は、第1巻付板21および第2巻付板22の少なくとも一方に固定されている。筒状部材19は、保護カバー11に固定されている。締結部16は、ねじ部材17によって、筒状部材18及び19を介して、保護カバー11、第1巻付板21、フェライト板23、第2巻付板22およびベース12を強固に締結している。また、締結部16が熱伝導性を有する材質で実現されている場合には、非接触給電により発熱したフェライト板23の熱の一部は、突出部22c、締結部16の順に伝わり、先端部17c及び筒状部材19から外部に放出される。特に、締結部16が熱伝導性の高い材質(例えば、金属)で実現されているほど、放熱効果を高められる。
【0051】
フェライト板23には、締結部16に対応する位置に、たとえば円形の孔部23aが設けられている。第2巻付板22は、孔部23a内へ突出する円筒状の突出部22cを含む。なお、孔部23aは、矩形であってもよい。突出部22cの中央には、第2巻付板22を厚み方向に貫通する円形の貫通孔22dが設けられている。第1巻付板21には、貫通孔22dに連通する貫通孔21cが形成されている。第2巻付板22の突出部22cは、フェライト板23の孔部23a内に配置されている。突出部22cの表面は、第1巻付板21に当接している。
【0052】
筒状部材18は、保護カバー11側から第1巻付板21に当接するフランジ部18aと、フランジ部18aの先端側に形成されて、第1巻付板21の貫通孔21c内に配置される第1筒状部18bと、第1筒状部18bの先端側に形成されて、第2巻付板22の貫通孔22d内に配置される第2筒状部18cとを含む。円板状のフランジ部18aは、保護カバー11の端面11aと面一になるように設けられている。フランジ部18a、第1筒状部18bおよび第2筒状部18cは一体的に形成されている。第1筒状部18bと第2筒状部18cとは、別体に形成されてもよい。筒状部材19は、座部11bに形成された貫通孔11c内に配置されており、保護カバー11から突出している。
【0053】
ねじ部材17は、保護カバー11側に配置された頭部17aと、頭部17aの先端側に形成されて、保護カバー11、第1巻付板21、フェライト板23および第2巻付板22を貫通する軸部17bと、軸部17bの先端側に形成されて、ベース12に螺着される先端部17cとを含む。軸部17bは、第1筒状部18bおよび第2筒状部18cの内部に配置される。軸部17bおよび先端部17cには、雄ねじが形成されている。ねじ部材17は、第1巻付板21と第2巻付板22の突出部22cとを貫通して、第1巻付板21、第2巻付板22およびベース12を締結している。なお、第1筒状部18bおよび第2筒状部18cには、ねじ部材17の軸部17bが螺着され得る雌ねじが形成されていてもよく、雌ねじが形成されていなくてもよい。
【0054】
頭部17aは、保護カバー11の端面11aから突出している。なお、保護カバー11の座部が保護カバー11の端面11aから窪むようにして形成され、座部の窪んだ部分に、頭部17aが収容されてもよい。このような構成を採用すれば、ねじ部材17の頭部17aが保護カバー11の端面11aよりベース12側に収まる。よって、コイル装置5の最下端の位置(すなわち最低地上高さ)が締結部16によって低くなることが防止される。これにより、電気自動車EVの走行中や停車時に、頭部17aが物体に接触してしまうことを避けることができる。
【0055】
上記したコイル部Cの孔部26(図2参照)は、貫通孔21c、孔部23aおよび貫通孔22dを含んで構成される。保護カバー11とフランジ部18aとの間には、適宜、シール部材が設けられる。コイル部C側に突出する保護カバー11の座部11bは、シール部材を介してフランジ部18aに圧着される。保護カバー11は、フランジ部18aを介してコイル部Cによって支持されている。
【0056】
上記の構成において、保護カバー11の貫通孔11c、第1巻付板21の貫通孔21c、第2巻付板22の貫通孔22dは同軸上に形成されている。これらの軸線は、巻軸方向に直交する平面に対して斜めに延在している。筒状部材19および筒状部材18(第1筒状部18bおよび第2筒状部18c)は同軸上に配置されている。これらの軸線は、上記した貫通孔11c、貫通孔21cおよび貫通孔22dの軸線に一致しており、巻軸方向に直交する平面に対して斜めに延在している。ねじ部材17の軸部17bおよび先端部17cは、巻軸方向に直交する平面に対して斜めに配置されている。ねじ部材17の傾斜角度は、表面側延在部分31および裏面側延在部分32のそれぞれの位置に応じて、適宜変更され得る。
【0057】
筒状部材19、筒状部材18およびねじ部材17は、表面側延在部分31,31の間および裏面側延在部分32,32の間を通るようにして、斜めに配置されている。言い換えれば、締結部16は、表面側延在部分31,31の間隔が他の部分と等しい均等部35において、表面側延在部分31および裏面側延在部分32との干渉を避けるように、斜めに設けられている。
【0058】
締結部16による締結を行うにあたっては、貫通孔22dが設けられた第2巻付板22と、孔部23aが設けられたフェライト板23と、貫通孔21cが設けられた第1巻付板21とを重ね合わせる。たとえば、第1巻付板21および第2巻付板22に対して筒状部材18を固定し、第1巻付板21、フェライト板23および第2巻付板22を連結する。続いて、筒状部材18のフランジ部18aに保護カバー11の座部11bを重ね合わせる。ねじ部材17をベース12にねじ込むことにより、第1巻付板21、フェライト板23、第2巻付板22およびベース12に対して、保護カバー11を締結する。フランジ部18aは、筒状部材19を介して、第1巻付板21に押さえつけられる。フランジ部18aは、第1巻付板21をベース12側に押さえ込む。これにより、第1巻付板21が第2巻付板22に押し付けられ、第1巻付板21と第2巻付板22との間に挟まれているフェライト板23が固定される。保護カバー11は、締結部16のフランジ部18aを介して、ベース12およびコイル部C(巻付部20)によって支持される。
【0059】
本実施形態のコイル装置5によれば、ハウジング10は、巻付部20とフェライト板23とを含むコイル部Cを収容する。巻付部20上で巻線方向に延びる複数の表面側延在部分31および裏面側延在部分32の間に、締結部16が設けられる。締結部16により、巻付部20とハウジング10とが締結される。締結部16は、巻軸方向に直交する平面に対して斜めに配置されているため、導線30の表面側延在部分31および裏面側延在部分32に締結部16が干渉することを回避し易い。言い換えれば、締結部16を設ける際の自由度が高められる。よって、ソレノイド型のコイル装置5において、ハウジング10の強度が高められている。
【0060】
ハウジング10は、保護カバー11とベース12とを含んでいる。巻付部20と、保護カバー11およびベース12の両方とが締結部16によって締結されることにより、ハウジング10の強度が高められている。
【0061】
保護カバー11およびベース12の間にフェライト板23が設けられている。締結部16はフェライト板23を貫通し、保護カバー11とベース12とが締結されている。よって、ハウジング10が巻付部20に対してより強固に固定されている。さらに、巻線方向および巻軸方向におけるフェライト板23の移動が規制されている。
【0062】
締結部16は、フェライト板23の孔部23a内に配置された突出部22cを貫通して、第1巻付板21と第2巻付板22とを締結する。第1巻付板21と第2巻付板22とがより強固に締結される。フェライト板23は、締結部16に接触しておらず、締結部16によって間接的に固定されている。フェライト板23は、第1巻付板21および第2巻付板22によって挟まれて保持される。一般的に、フェライト板23は脆弱性を有し得るが、上記構成によれば、フェライト板23の強度が高められている。
【0063】
保護カバー11は、筒状部材18のフランジ部18aを介して、コイル部Cによって支持されている。保護カバー11は、コイル部Cの第1巻付板21に接触しておらず、フランジ部18aに接触している。よって、第1巻付板21の保護が図られている。保護カバー11とコイル部Cとの間には隙間Gが形成されている。しかし、保護カバー11の一部(具体的には座部11b)が突出しており、その突出した部分を介して、保護カバー11がコイル部Cによって支持されている。よって、保護カバー11が締結部の周辺でたわむことをより確実に防止できる。
【0064】
締結部16は、ハウジング10を貫通しているため、ハウジング10の外部から締結部16による締結を行い易い。よって、締結部16を確実かつ容易に設けることができる。
【0065】
コイル部Cの均等部35では、他の部分と導線の間隔が等しいため、締結部16を設けない場合に対して、コイル部Cによって作られる磁界分布の変動をできるだけ小さくできる。締結部16は、巻軸方向に直交する平面に対して斜めに配置されるため、均等部35に設けられる場合でも、導線30に対する干渉が容易に回避されている。
【0066】
締結部16は、巻線方向および巻軸方向における巻付部20の第1中央領域A1に設けられているため、巻付部20の第1中央領域A1に対応する位置で、ハウジング10の強度が高められている。締結部16が設けられない場合、巻付部20の第2中央領域A2に対応する位置では、ハウジング10が比較的たわみやすい。締結部16によって、ハウジング10の強度が一層向上している。
【0067】
締結部16が、巻線方向および巻軸方向におけるハウジング10の第2中央領域A2に設けられている場合であっても、ハウジング10の第2中央領域A2に対応する位置で、ハウジング10の強度が高められる。締結部16が設けられない場合、ハウジング10は、第2中央領域A2では比較的たわみやすい。締結部16によって、ハウジング10の強度が一層向上する。
【0068】
コイル装置5は、上述した各先行技術文献に対して有利な効果を奏する。上記特許文献1では、受電コイル装置の車両の外側への取り付け方について何ら検討されていない。受電コイル装置が車両内部に搭載される場合は、受電コイル装置は、シャーシで支えられる。しかし、受電コイル装置が車両のシャーシの外部に露出して設置される場合には、どのように受電コイル装置を吊り下げるかが明らかにされていない。一般的に、送電コイル装置と受電コイル装置との間は、距離が短いほど、伝送効率は上がるため、受電コイル装置を車のシャーシの外部に取り付けるニーズは大きい。この点、本実施形態のコイル装置5によれば、ベース12がシャーシの外部に固定される。送電コイル装置4に対向する保護カバー11を非磁性材料、たとえば樹脂で実現することにより、コイル装置4によって発生させられた磁束に影響を与えない。よって、効率的な非接触給電が実現される。さらに、保護カバー11に非磁性かつ非導電性の材料を使用すると、非接触給電の電力効率を更に高めることができる。車体側に対向するベース12を非磁性且つ導電性の材料で実現することにより、コイル装置4とコイル装置5との間の磁界分布への影響を抑えつつ、コイル装置5の構造強度の向上が可能となる。また、非磁性且つ導電性のベース12は、磁気シールドとして機能するため、コイル装置4及び5へ向かう磁束が増え、電力効率の向上が図れる。
【0069】
上記特許文献2では、ボビンの外周部を車両に取り付けているため、中央領域は何ら固定されていない。そのため、仮に特許文献2のようにして、特許文献1の受電コイル装置を取り付けたとしても、中央領域がたわみ、割れやすくなり、外部衝撃による破損の原因となるおそれがある。また、受電コイル装置は、受電により熱変形したり、車の振動を受けたりする。固定されていない中央領域は、このような状況で発生する力の影響も受けやすい。この点、本実施形態のコイル装置5によれば、ハウジング10の中央領域の強度が高められており、上記のような問題が解消される。
【0070】
上記特許文献3では、基板の中央領域をボルト止めすることが開示されている。しかし、固定されているものは、基板のみであり、保護カバー自体は固定されていない。そのため、保護カバーの中央領域のたわみは特許文献2と同様に生じる。また、特許文献2では、保護カバーの強度確保のためのスペーサについて言及されているが、受電部が逆さに取り付けられ、保護カバーがたわむと、スペーサと保護カバーとの間に隙間が生じるため、保護カバーの強度の確保は困難である。この点、本実施形態のコイル装置5では、締結部16によって、ハウジング10と巻付部20とが締結されているため、ハウジング10の強度が確保される。
【0071】
そもそも、特許文献3のように受電部の中央領域にボルトやスペーサを設けることができるのは、コイルの形状が、中央領域に空間のあるサーキュラー型であるためである。特許文献3の手法は、中央領域にも導線が巻かれている特許文献1のようなソレノイド型のコイルでは採用し難い。また、特許文献1の図7には、受電コイル装置の断面図が記載され、上フェライトハウジング部分と下フェライトハウジング部分との導線位置が揃っているため、導線に干渉しないように、ボルトを上下に挿入できる場合もあるが、導線間隔が必ずしもボルトの幅よりも長いとは限らない。特許文献2(段落0025)にも記載されているように、導線は、巻間隔に疎密が生じると、密部での渦電流による発熱や疎部での磁束の漏れが問題となり、等間隔で巻かれることが好ましい。そのため、ボルトの幅よりも導線間隔を広くすると、受電コイル装置が全体的に大型化する。しかし、受電コイル装置は、取り付け位置の制限のある車に取り付けるという性質上、小型化が求められる。また、伝送効率向上のために導線を密に巻くニーズがある。そのため、導線間隔全体をボルトの幅以上に広くすることは難しい。さらに、導線位置は、絶縁距離確保(導線同士をできるだけ離したいニーズ)の観点より、上下で揃えるよりも、斜交い状に設けられることが多い(図14に示される表面側延在部分31および裏面側延在部分32参照)。この場合、上下一方の導線間隔(表面側延在部分31,31の間隔)には、他方の導線位置(裏面側延在部分32)が含まれるため、ボルト116を導線に干渉しないように挿入することはさらに困難となる。この点、本実施形態のコイル装置5では、上記のような諸々の課題が克服されている。
【0072】
本発明は、上記した実施形態に限られない。本発明は、種々の変形態様を含んでいる。上記実施形態では、巻付部20の第1中央領域A1またはハウジング10の第2中央領域A2を基準として締結部16の配置を決定する態様について説明したが、他の基準に基づいて締結部16の配置を決定してもよい。
【0073】
たとえば、図6(a)に示されるように、磁束的観点に基づいて締結部16の配置を決定してもよい。巻付部20では、巻軸方向の両端部で磁束が強い領域FS,FSが形成される。巻線方向の両端部で磁束が中程度である領域FM,FMが形成される。これらの領域FSおよび領域FMを除く、巻軸方向および巻線方向の中央の領域FWでは、磁束が比較的弱い。いくつかの態様において、磁束が弱い領域FWに、一または複数の締結部16を配置してもよい。
【0074】
磁束が弱い領域FWの具体的な範囲について説明する。磁束が強い領域FS,FSは、巻軸方向におけるコイル部Cの全長を基準として、コイル部Cの両端部からそれぞれ20%〜40%の領域である。磁束が中程度である領域FM,FMは、巻線方向におけるコイル部Cの全長を基準として、コイル部Cの両端部からそれぞれ20%〜40%の領域である。よって、磁束が弱い領域FWは、たとえば、巻軸方向における中央の20〜60%の領域、かつ、巻軸方向における中央の20〜60%の領域に相当する。
【0075】
磁束的観点に基づく決定手法を別の観点から説明すると、締結部16が設けられることによる電力効率の低下が0.1%以下であるような領域に、締結部16が設けられてもよい。この場合、締結部16によって電力効率に与えられる影響をできるだけ小さくすることができる。磁束的観点に基づく決定手法をさらに別の観点から説明すると、コイル部Cにおける磁束密度が他の領域よりも低い領域に、締結部16が設けられてもよい。この場合、締結部16によって磁束に与えられる影響をできるだけ小さくすることができる。複数の領域における平均の磁束密度を算出し、その平均値よりも磁束密度が低くなっている領域に締結部16が設けられてもよい。磁束密度が最弱の領域に締結部16が設けられてもよい。
【0076】
図6(b)に示されるように、強度的観点に基づいて締結部16の配置を決定してもよい。いくつかの態様において、巻付部20の第1対角線L1,L1の交点を中心として巻付部20の短辺方向(すなわち巻軸方向)に広がる長方形状の領域A3に、一または複数の締結部16が設けられてもよい。
【0077】
図7に示されるように、磁束が弱い領域FWと長方形状の領域A3との重畳領域A4に、一または複数の締結部16が設けられてもよい。
【0078】
図8に示されるように、締結部が、保護カバー11側の締結部16Aと、ベース12側の締結部16Aとに2分割された態様を採用してもよい。締結部16A,16Aのそれぞれは、巻軸方向に直交する平面に対して斜めに配置されている。この場合、2本の締結部16A,16Aは、ハウジング10の外側から設けられる。保護カバー11側の締結部16Aは、保護カバー11を貫通するが、フェライト板23を貫通しない。ベース12側の締結部16Aは、ベース12を貫通するが、フェライト板23を貫通しない。言い換えれば、締結部16Aの先端は、第1巻付板21または第2巻付板22内で終端している。保護カバー11側の締結部16Aと保護カバー11との間には、シール部材が設けられる。ベース12側の締結部16Aとベース12との間には、シール部材が設けられる。
【0079】
図9に示されるように、保護カバー11側の締結部16Bと、ベース12側の締結部16Bとに2分割された態様を採用してもよい。締結部16B,16Bのそれぞれは、巻軸方向に直交する平面に対して斜めに配置されている。この場合、2本の締結部16B,16Bは、巻付部20の内側(すなわち第1巻付板21のフェライト板23側、および、第2巻付板22のフェライト板23側)から設けられる。保護カバー11側の締結部16Bは、保護カバー11およびフェライト板23を貫通しない。ベース12側の締結部16Bは、ベース12およびフェライト板23を貫通しない。言い換えれば、締結部16Bの基端は、第1巻付板21または第2巻付板22のフェライト板23側の表面から突出していない。保護カバー11側の締結部16Bの先端は、保護カバー11内で終端している。ベース12側の締結部16Bの先端は、ベース12内で終端している。保護カバー11側の締結部16Bと保護カバー11との間には、シール部材は不要である。ベース12側の締結部16Bとベース12との間には、シール部材は不要である。
【0080】
図10に示されるように、保護カバー11側に2本の締結部16C,16Cが設けられた態様を採用してもよい。締結部16C,16Cのそれぞれは、巻軸方向に直交する平面に対して斜めに配置されている。締結部16C,16Cは、保護カバー11およびフェライト板23を貫通する。締結部16C,16Cの先端は、ベース12内で終端している。締結部16C,16Cと保護カバー11との間には、シール部材が設けられる。
【0081】
図11に示されるように、小型化された複数のねじ部材を用いる態様を採用してもよい。図11では、4本の締結部16Dが設けられる場合を示している。複数の締結部16Dのうち一部(または全部)の締結部16Dは、巻軸方向に直交する平面に対して斜めに配置されている。締結部16Dのそれぞれの太さ(直径)は、適宜変更することができる。たとえば、保護カバー11側においては、1つの中型の締結部16Dが用いられ、保護カバー11と第1巻付板21とが締結される。ベース12側においては、2本の小型の締結部16D,16Dによって、第2巻付板22とフェライト板23とが締結される。さらに、1本の小型の締結部16Dによって、ベース12と第2巻付板22とが締結される。締結部16Dが保護カバー11またはベース12を貫通する場合にのみ、締結部16Dと保護カバー11またはベース12との間には、シール部材が設けられる。なお、「中型の締結部」および「小型の締結部」とは、図3に示される1本の締結部16を基準とした場合の太さ(直径)を意味する。複数の中型または小型の締結部を用いた場合、磁界分布への影響を低減することができる。
【0082】
図12に示されるように、保護カバー11およびベース12の内部にキー構造が設けられてもよい。すなわち、締結部16Eは、保護カバー11Eに一体に設けられてベース12Eに向けて突出する第1結合部材11eと、ベース12Eに一体に設けられて保護カバー11Eに向けて突出する第2結合部材12eと、を含む。第1結合部材11eおよび第2結合部材12eの少なくとも一方がコイル部CE内に配置されており、第1結合部材11eと第2結合部材12eとが結合されている。第1結合部材11eおよび第2結合部材12eは、結合された状態で、巻軸方向に直交する平面に対して斜めに配置されている。より詳しくは、締結部16Eは、第1結合部材11eの先端が第2結合部材12eの先端の凹部に嵌合するように構成されている。保護カバー11Eがベース12Eに押しつけられるほど、第1結合部材11eと第2結合部材12eとの締結強度が高まる。この場合、締結部16Eがハウジング10Eに一体に設けられていてハウジング10Eを貫通しないため、締結部16E周りのシールが不要である。
【0083】
図13(a)に示されるように、巻軸方向に沿って、2本の(複数の)締結部16Fが配列されてもよい。この場合、締結部16F,16Fは、巻付部20の第1対角線L1,L1の交点すなわち中心点(図5参照)に関して点対称に設けられる。ことが好ましい。これにより、締結部16F,16Fの双方に加わる荷重のバランスが取りやすくなり、保護カバーの強度を高めやすくなる。
【0084】
図13(b)に示されるように、巻線方向に沿って、2本の(複数の)締結部16Gが配列されてもよい。この場合、締結部16G,16Gは、巻付部20の第1対角線L1,L1の交点すなわち中心点(図5参照)に関して点対称に設けられる。
【0085】
以上のように、1または複数の締結部を設ける場合、締結部の磁束が通る面の表面積が、1本の締結部16を設けた場合と同じになるように、締結部の大きさが決定され得る。磁束が通る面の表面積を増大させないようにすれば、締結部が複数本になることによるデメリットは生じない。たとえば、締結部16A〜16Gは、巻線方向に直交する平面に沿って配置されてもよい。巻線方向に直交する平面とは、巻軸方向および上下方向(すなわち第1巻付板21および第2巻付板22の板厚方向)に延在する仮想の平面である。この場合、締結部16A〜16Gに関して、磁束が通る面の表面積を最小限に抑えることができる。
【0086】
第1巻付板21上のすべての部分において表面側延在部分31,31の間隔が均等である場合に限られず、一部分において表面側延在部分31,31の間隔が不均一であってもよい。この場合、複数の溝部21bのうち一部の間隔が、他の部分の間隔と異なっていてもよい。第2巻付板22上のすべての部分において裏面側延在部分32,32の間隔が均等である場合に限られず、一部分において裏面側延在部分32,32の間隔が不均一であってもよい。この場合、複数の溝部22bのうち一部の間隔が、他の部分の間隔と異なっていてもよい。
【0087】
第1巻付板21および第2巻付板22に溝部21b、溝部22bが形成される場合について説明したが、この場合に限られない。巻付板に溝部が形成されず、平坦な巻付板の表面上に導線30が延在してもよい。締結部16の先端部17cは、ベース12を貫通してもよい。つまり、締結部16の先端部17cは、電気自動車EV側に突出してもよい。ベース12を貫通した先端部17cは、例えば、車体に螺着され、コイル装置5は、より強固に車体に取り付けらえることになる。締結部は、巻付部とハウジングとを締結できる部材であれば何でもよく、ねじ又はリベット等であってもよい。
【0088】
本発明は、第1中央領域A1と第2中央領域A2とが完全に重ならないように巻付部20をベース12上に配置すること(図5参照)に限定されるものではない。例えば、ベース12の中心に巻付部20の中心が重なるように、巻付部20をベース12上に位置させてもよい。
【0089】
上記実施形態では、導線30としてリッツ線を用いる例を示したが、これに限られず、非接触給電用のコイル装置として機能する限りにおいて、リッツ線以外の導線であってもよい。たとえば、導線30の種類・形態・形式・材料・構成・形状・寸法は任意に選択できる事項である。
【0090】
上記実施形態では、本発明がコイル装置5に適用される場合について説明したが、これに限られない。本発明は、送電コイル装置4に適用されてもよい。また、上記実施形態では、本発明のコイル装置が非接触給電システムに適用される場合について説明したが、非接触給電システムに限定されるものではなく、例えば、本発明のコイル装置が誘導加熱システムや渦流探傷システムに適用されもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 非接触給電システム
5 コイル装置
10 ハウジング
11 保護カバー
12 ベース
16 締結部
17 ねじ部材
18a フランジ部
20 巻付部
21 第1巻付板
22 第2巻付板
22c 突出部
23 フェライト板(磁性部材)
23a 孔部
30 導線
31 表面側延在部分
32 裏面側延在部分
35 均等部
C コイル部
C1 表面
C2 裏面
D1 間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14