【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の課題解決手段は、
走行車体の後部に昇降揺動可能に連結する苗植付装置と、前記苗植付装置の下部から上部側にわたる上下長さを有して前記走行車体の後輪が前記苗植付装置に向けて撥ね上げた泥を受け止めるように前記苗植付装置に取り付けた泥除カバーとを備え、
前記泥除カバーは、前記後輪との対向箇所に、前記苗植付装置の上部側が前記後輪に最接近する下限位置まで前記苗植付装置を下降させた下限下降状態において前記後輪との接触を回避する切欠部を備え、かつ、前記泥除カバーにおける上端部を下部側よりも大きく前傾させ、
前記苗植付装置は、苗載台の上部側を下方から受け止め支持する複数の支柱と、該支柱の下端部及び前記泥除カバーの下端部を支持する左右に長い支持部材とを備え、
前記支持部材は、前記泥除カバーにおける下縁部の差し込み連結を可能にする被係合部材を備え、
前記泥除カバーの下端部に、前記苗植付装置から前記走行車体に向けて延出する操作具の装備を許容する第1切欠部と、前記支持部材に対する前記支柱の連結を許容する第2切欠部とを備え、
前記泥除カバーの上部を、前記支柱の上部に固定した第1連結部材と該第1連結部材に螺合するノブ付きボルト、及び、複数の前記支柱の上部にわたって架設するクロスメンバに固定した第2連結部材と該第2連結部材に螺合するノブ付きボルトにより、前記支柱及び前記クロスメンバに連結し、
走行基準指標を圃場の泥面に形成するマーカを前記苗植付装置の左右に起伏揺動可能に配備し、
起立姿勢に切り替えた前記マーカの遊端側を係止保持する係止部材を、前記苗植付装置の横外側端に配置する左右の前記支柱と前記クロスメンバとを連結する連結部材に取り付け、
前記係止部材は、一端部にマーカ係止用のフック部を有し、かつ、他端部に前記連結部材に対するJ字状の取付部を有する形状に曲げ形成し、
前記連結部材は、前記係止部材における取付部側の端面を受け止めることによって前記係止部材の左右方向での位置決めを行う受止部と、前記取付部との係合によって前記係止部材の左右方向と直交する方向での位置決めを行う係合部と、前記取付部を係止部材取り付け用の締結具との間に挟持することによって左右方向と前記係合部の位置決め方向とに直交する方向での前記係止部材の位置決めを行う挟持部とを備えている。
【0014】
この手段によると、下記〔1〕〜〔6〕の作用効果を得ることができる。
【0015】
〔1〕泥除カバーにおける後輪との対向箇所に後輪用の切欠部を備えることにより、泥除カバーに後輪用の切欠部を備えない場合のように、苗植付装置の下限下降状態において最接近する後輪と各支柱の上部との間に確保する隙間を、泥除カバーの装備を許容するために大きくしなくても、苗植付装置の下限下降状態において後輪が泥除カバーに接触する虞を回避することができる。
【0016】
その結果、泥除カバーを走行車体と苗植付装置との間に備える構成でありながら、そのために走行車体と苗植付装置との離間距離を大きくする必要がないことから、走行車体と苗植付装置との離間距離を大きくすることに起因した乗用田植機の大型化や走行車体から苗載台への苗補給作業性の低下などを回避することができる。
【0017】
そして、苗植付装置の下限下降状態は、前述したように、苗植付装置のメンテナンスを行う場合や乗用田植機を納屋などに格納した場合に実施する状態であり、機体を走行させない状態であることから、後輪が泥除カバーの切欠部に係入していても、苗植付装置の裏面側への泥の付着を防止する上において支障を来すことはない。
【0018】
〔2〕泥除カバーにおける上端部を下部側よりも大きく前傾させていることにより、泥除カバーの上方への延出長さを短くしながら、泥除カバーの後輪側への延出量を大きくすることができる。
【0019】
その結果、泥除カバーの小型軽量化を図りながら、後輪が苗植付装置に向けて撥ね上げた泥の泥除カバーによる受け止めを良好にすることができ、苗植付装置の裏面側への泥の付着を効果的に抑制することができる。
【0020】
〔3〕支持部材に被係合部材を備えることにより、支持部材に対する泥除カバーの下縁部の連結を容易にすることができる。その結果、泥除カバーの組み付け性を向上させることができる。
【0021】
〔4〕泥除カバーの下端部に操作具用の第1切欠部と支柱用の第2切欠部とを備えることにより、苗植付装置の前方からの支持部材に対する各支柱及び操作具の着脱作業、及び、走行車体側からの操作具の揺動操作を可能にしながら、泥除カバーを横幅が広く泥受け面積の大きい形状に形成することができる。
【0022】
その結果、各支柱及び操作具の着脱性、並びに、操作具の操作性を損なうことなく、泥受け面積の大きい泥除カバーを備えることができ、苗植付装置の裏面側への泥の付着をより効果的に抑制することができる。
【0023】
〔5〕泥除カバーの苗植付装置に対する取り付けは、泥除カバーの下縁部を被係合部材に差し込み連結した後、泥除カバーの上部を各連結部材にノブ付きボルトにて連結することにより、工具を用いることなく、泥除カバーを苗植付装置に簡単に取り付けることができる。
【0024】
逆に、泥除カバーの苗植付装置からの取り外しは、ノブ付きボルトによる泥除カバーの上部と各連結部材との連結を解除した後、被係合部材に対する泥除カバー下縁部の差し込み連結を解除することにより、工具を用いることなく、泥除カバーを苗植付装置から簡単に取り外すことができる。
【0025】
これにより、苗植付装置から泥除カバーを取り外して行う泥除カバーの清掃や苗植付装置のメンテナンスなどを容易にすることができる。
【0026】
〔6〕起立姿勢に切り替えたマーカの遊端側を係止保持する係止部材を備えることにより、路上走行時やトラックなどによる輸送時あるいは納屋などへの格納時などにおいては、各マーカの遊端側を対応する係止部材のフック部に人為操作によって係止させることにより、起立姿勢に切り替えた各マーカの機体の振動などに起因した横揺れなどを防止することができる。これにより、起立姿勢に切り替えた各マーカの横揺れなどに起因した他物との接触を防止することができる。
【0027】
又、左右の連結部材によって左右の係止部材を苗植付装置の所定位置に位置ズレなく適正に取り付けることができ、これにより、各係止部材のフック部に係止した左右のマーカを苗植付装置の適正位置に係止保持することができる。これにより、起立姿勢に切り替えた各マーカの横揺れなどに起因した他物との接触をより確実に防止することができる。
【0028】
本発明の別の課題解決手段は、
走行車体の後部に昇降揺動可能に連結する苗植付装置と、前記苗植付装置の下部から上部側にわたる上下長さを有して前記走行車体の後輪が前記苗植付装置に向けて撥ね上げた泥を受け止めるように前記苗植付装置に取り付けた泥除カバーとを備え、
前記泥除カバーは、前記後輪との対向箇所に、前記苗植付装置の上部側が前記後輪に最接近する下限位置まで前記苗植付装置を下降させた下限下降状態において前記後輪との接触を回避する切欠部を備え、かつ、前記泥除カバーにおける上端部を下部側よりも大きく前傾させ、
前記苗植付装置は、苗載台の上部側を下方から受け止め支持する複数の支柱と、該支柱の下端部及び前記泥除カバーの下端部を支持する左右に長い支持部材とを備え、
前記支持部材は、前記泥除カバーにおける下縁部の差し込み連結を可能にする被係合部材を備え、
前記泥除カバーの下端部に、前記苗植付装置から前記走行車体に向けて延出する操作具の装備を許容する第1切欠部と、前記支持部材に対する前記支柱の連結を許容する第2切欠部とを備え、
前記泥除カバーの上部を、前記支柱の上部に固定した第1連結部材と該第1連結部材に螺合するノブ付きボルト、及び、複数の前記支柱の上部にわたって架設するクロスメンバに固定した第2連結部材と該第2連結部材に螺合するノブ付きボルトにより、前記支柱及び前記クロスメンバに連結している。
【0029】
この手段によると、前記〔1〕〜〔5〕の作用効果を得ることができる。
【0030】
本発明の別の課題解決手段は、
走行車体の後部に昇降揺動可能に連結する苗植付装置と、前記苗植付装置の下部から上部側にわたる上下長さを有して前記走行車体の後輪が前記苗植付装置に向けて撥ね上げた泥を受け止めるように前記苗植付装置に取り付けた泥除カバーとを備え、
前記泥除カバーは、前記後輪との対向箇所に、前記苗植付装置の上部側が前記後輪に最接近する下限位置まで前記苗植付装置を下降させた下限下降状態において前記後輪との接触を回避する切欠部を備え、かつ、前記泥除カバーにおける上端部を下部側よりも大きく前傾させ、
前記苗植付装置は、苗載台の上部側を下方から受け止め支持する複数の支柱と、該支柱の下端部及び前記泥除カバーの下端部を支持する左右に長い支持部材とを備え、
前記支持部材は、前記泥除カバーにおける下縁部の差し込み連結を可能にする被係合部材を備え、
前記泥除カバーの下端部に、前記苗植付装置から前記走行車体に向けて延出する操作具の装備を許容する第1切欠部と、前記支持部材に対する前記支柱の連結を許容する第2切欠部とを備えている。
【0031】
この手段によると、前記〔1〕〜〔4〕の作用効果を得ることができる。
【0032】
本発明の別の課題解決手段は、
走行車体の後部に昇降揺動可能に連結する苗植付装置と、前記苗植付装置の下部から上部側にわたる上下長さを有して前記走行車体の後輪が前記苗植付装置に向けて撥ね上げた泥を受け止めるように前記苗植付装置に取り付けた泥除カバーとを備え、
前記泥除カバーは、前記後輪との対向箇所に、前記苗植付装置の上部側が前記後輪に最接近する下限位置まで前記苗植付装置を下降させた下限下降状態において前記後輪との接触を回避する切欠部を備え、かつ、前記泥除カバーにおける上端部を下部側よりも大きく前傾させ、
前記苗植付装置は、前記泥除カバーの下端部を支持する左右に長い支持部材を備え、
前記支持部材は、前記泥除カバーにおける下縁部の差し込み連結を可能にする被係合部材を備えている。
【0033】
この手段によると、前記〔1〕〜〔3〕の作用効果を得ることができる。
【0034】
本発明の別の課題解決手段は、
走行車体の後部に昇降揺動可能に連結する苗植付装置と、前記苗植付装置の下部から上部側にわたる上下長さを有して前記走行車体の後輪が前記苗植付装置に向けて撥ね上げた泥を受け止めるように前記苗植付装置に取り付けた泥除カバーとを備え、
前記泥除カバーは、前記後輪との対向箇所に、前記苗植付装置の上部側が前記後輪に最接近する下限位置まで前記苗植付装置を下降させた下限下降状態において前記後輪との接触を回避する切欠部を備え、かつ、前記泥除カバーにおける上端部を下部側よりも大きく前傾させている。
【0035】
この手段によると、前記〔1〕〜〔2〕の作用効果を得ることができる。
【0036】
本発明の別の課題解決手段は、
走行車体の後部に昇降揺動可能に連結する苗植付装置と、前記苗植付装置の下部から上部側にわたる上下長さを有して前記走行車体の後輪が前記苗植付装置に向けて撥ね上げた泥を受け止めるように前記苗植付装置に取り付けた泥除カバーとを備え、
前記泥除カバーは、前記後輪との対向箇所に、前記苗植付装置の上部側が前記後輪に最接近する下限位置まで前記苗植付装置を下降させた下限下降状態において前記後輪との接触を回避する切欠部を備えている。
【0037】
この手段によると、前記〔1〕の作用効果を得ることができる。
【0038】
本発明の別の課題解決手段は、
走行車体の後部に昇降揺動可能に連結する苗植付装置と、前記苗植付装置の下部から上部側にわたる上下長さを有して前記走行車体の後輪が前記苗植付装置に向けて撥ね上げた泥を受け止めるように前記苗植付装置に取り付けた泥除カバーとを備え、
前記苗植付装置は、圃場の泥面を整地する整地フロートと、前記走行車体に向けて延出する前上がり姿勢の苗載台と、前記後輪の真後ろから左右方向に外れた配置で前記苗載台の上部側を下方から受け止め支持する複数の支柱と、該支柱の下端部を支持する左右に長い支持部材とを備え、
前記泥除カバーは、前記支柱の前縁よりも後側に位置して前記苗載台の裏面側に対向する板状カバー部と、前記板状カバー部から前側に膨出して前記支柱を前側から覆う縦長の膨出カバー部とを備え、かつ、前記泥除カバーにおける上端部を下部側よりも大きく前傾させ、
前記整地フロートとして、前記苗植付装置の左右中央に配備するセンタフロートと、前記センタフロートの左右に配備するサイドフロートとを備え、
前記支持部材は、前記後輪が前記整地フロートに向けて撥ね上げた泥を受け止めるフロートカバーと、前記支持部材の前端から延出してフロート間を整地する複数の整地具とを備え、
前記フロートカバーは、前記泥除カバーにおける下縁部の差し込み連結を可能にする被係合部を備え、
前記泥除カバーは、その下端部と前記支持部材の前端との間において前記支持部材の前端に対する前記整地具の下方からの連結を許容する空間を確保する前向きの膨出部を備え、かつ、その下端部に、前記苗植付装置から前記走行車体に向けて延出する操作具の装備、又は、前記支持部材に対する前記支柱の連結を許容する切欠部を備え、
前記泥除カバーの上部を、前記支柱の上部に固定した第1連結部材と該第1連結部材に螺合するノブ付きボルト、及び、複数の前記支柱の上部にわたって架設するクロスメンバに固定した第2連結部材と該第2連結部材に螺合するノブ付きボルトにより、前記支柱及び前記クロスメンバに連結し、
前記泥除カバーとして、前記苗載台の左半側に対向する左用の泥除カバーと、前記苗載台の右半側に対向する右用の泥除カバーとを備え、
左右の前記泥除カバーを左右対称形状の左右兼用部品に構成し、
走行基準指標を圃場の泥面に形成するマーカを前記苗植付装置の左右に起伏揺動可能に配備し、
起立姿勢に切り替えた前記マーカの遊端側を係止保持する係止部材を、前記苗植付装置の横外側端に配置する左右の前記支柱と前記クロスメンバとを連結する連結部材に取り付け、
前記係止部材は、一端部にマーカ係止用のフック部を有し、かつ、他端部に前記連結部材に対するJ字状の取付部を有する形状に曲げ形成し、
前記連結部材は、前記係止部材における取付部側の端面を受け止めることによって前記係止部材の左右方向での位置決めを行う受止部と、前記取付部との係合によって前記係止部材の左右方向と直交する方向での位置決めを行う係合部と、前記取付部を係止部材取り付け用の締結具との間に挟持することによって左右方向と前記係合部の位置決め方向とに直交する方向での前記係止部材の位置決めを行う挟持部とを備えている。
【0039】
この手段によると、下記〔7〕〜〔14〕の作用効果を得ることができる。
【0040】
〔7〕各支柱の前縁よりも後側に位置する泥除カバーの板状カバー部が左右の後輪と対向するようになることから、後輪と泥除カバーとの間に、苗植付装置の上部側が後輪に最接近する苗植付装置の下限下降状態での後輪と泥除カバーとの接触を回避する隙間を確保しながらも、例えば、泥除カバーを、その全体が各支柱の前縁よりも前側に位置するように構成する場合に比較して、泥除カバーとともに苗植付装置を走行車体側に寄せた状態で備えることができる。
【0041】
つまり、泥除カバーを走行車体と苗植付装置との間に備える構成でありながら、そのために走行車体と苗植付装置との離間距離を大きくする必要がないことから、走行車体と苗植付装置との離間距離を大きくすることに起因した乗用田植機の大型化や走行車体から苗載台への苗補給作業性の低下などを回避することができる。
【0042】
〔8〕泥除カバーにおける上端部を下部側よりも大きく前傾させていることにより、泥除カバーの上方への延出長さを短くしながら、泥除カバーの後輪側への延出量を大きくすることができる。
【0043】
その結果、泥除カバーの小型軽量化を図りながら、後輪が苗植付装置に向けて撥ね上げた泥の泥除カバーによる受け止めを良好にすることができ、苗植付装置の裏面側への泥の付着を効果的に抑制することができる。
【0044】
〔9〕支持部材に備えるフロートカバーに被係合部を備えることにより、フロートカバーを、泥除カバーの下縁部を支持部材に連結する連結部材に兼用しながら、支持部材に対する泥除カバーの下縁部の連結を容易にすることができる。
【0045】
その結果、部品点数の削減による構成の簡素化及びコストの削減などを図りながら、泥除カバーの組み付け性を向上させることができる。
【0046】
〔10〕泥除カバーに膨出部を備えることにより、整地具と支持部材との連結箇所を泥除カバーの膨出部により前方から覆い隠すことができ、後輪が跳ね上げた泥の整地具と支持部材との連結箇所への付着を防止することができる。そして、このように、整地具と支持部材との連結箇所を泥除カバーの膨出部により覆い隠す構成でありながら、泥除カバーを支持部材から取り外すことなく、支持部材に対して整地具を着脱することができる。
【0047】
その結果、整地具の交換などのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0048】
〔11〕泥除カバーの下端部に操作具用又は支柱用の切欠部を備えることにより、苗植付装置の前方からの支持部材に対する各支柱又は操作具の着脱作業、及び、走行車体側からの操作具の揺動操作を可能にしながら、泥除カバーを横幅が広く泥受け面積の大きい形状に形成することができる。
【0049】
その結果、各支柱及び操作具の着脱性、並びに、操作具の操作性を損なうことなく、泥受け面積の大きい泥除カバーを備えることができ、苗植付装置の裏面側への泥の付着をより効果的に抑制することができる。
【0050】
〔12〕泥除カバーの苗植付装置に対する取り付けは、泥除カバーの下縁部を被係合部に差し込み連結した後、泥除カバーの上部を各連結部材にノブ付きボルトにて連結することにより、工具を用いることなく、泥除カバーを苗植付装置に簡単に取り付けることができる。
【0051】
逆に、泥除カバーの苗植付装置からの取り外しは、ノブ付きボルトによる泥除カバーの上部と各連結部材との連結を解除した後、被係合部に対する泥除カバー下縁部の差し込み連結を解除することにより、工具を用いることなく、泥除カバーを苗植付装置から簡単に取り外すことができる。
【0052】
これにより、苗植付装置から泥除カバーを取り外して行う泥除カバーの清掃や苗植付装置のメンテナンスなどを容易にすることができる。
【0053】
〔13〕左右の泥除カバーを備えることにより、単一の泥除カバーを備える場合に比較して、泥除カバーを面積の小さい扱い易いものにすることができる。その結果、苗植付装置に対して泥除カバーを着脱する際の作業性を向上させることができる。
【0054】
そして、左右の泥除カバーを左右対称形状の左右兼用部品に構成することにより、左右の泥除カバーを備える構成でありながら、それらの形成に要する金型の兼用化によるコストの削減、及び、部品管理の容易化などを図ることができる。
【0055】
〔14〕起立姿勢に切り替えたマーカの遊端側を係止保持する係止部材を備えることにより、路上走行時やトラックなどによる輸送時あるいは納屋などへの格納時などにおいては、各マーカの遊端側を対応する係止部材のフック部に人為操作によって係止させることにより、起立姿勢に切り替えた各マーカの機体の振動などに起因した横揺れなどを防止することができる。これにより、起立姿勢に切り替えた各マーカの横揺れなどに起因した他物との接触を防止することができる。
【0056】
又、左右の連結部材によって左右の係止部材を苗植付装置の所定位置に位置ズレなく適正に取り付けることができ、これにより、各係止部材のフック部に係止した左右のマーカを苗植付装置の適正位置に係止保持することができる。これにより、起立姿勢に切り替えた各マーカの横揺れなどに起因した他物との接触をより確実に防止することができる。
【0057】
本発明の別の課題解決手段は、
走行車体の後部に昇降揺動可能に連結する苗植付装置と、前記苗植付装置の下部から上部側にわたる上下長さを有して前記走行車体の後輪が前記苗植付装置に向けて撥ね上げた泥を受け止めるように前記苗植付装置に取り付けた泥除カバーとを備え、
前記苗植付装置は、圃場の泥面を整地する整地フロートと、前記走行車体に向けて延出する前上がり姿勢の苗載台と、前記後輪の真後ろから左右方向に外れた配置で前記苗載台の上部側を下方から受け止め支持する複数の支柱と、該支柱の下端部を支持する左右に長い支持部材とを備え、
前記泥除カバーは、前記支柱の前縁よりも後側に位置して前記苗載台の裏面側に対向する板状カバー部と、前記板状カバー部から前側に膨出して前記支柱を前側から覆う縦長の膨出カバー部とを備え、かつ、前記泥除カバーにおける上端部を下部側よりも大きく前傾させ、
前記整地フロートとして、前記苗植付装置の左右中央に配備するセンタフロートと、前記センタフロートの左右に配備するサイドフロートとを備え、
前記支持部材は、前記後輪が前記整地フロートに向けて撥ね上げた泥を受け止めるフロートカバーと、前記支持部材の前端から延出してフロート間を整地する複数の整地具とを備え、
前記フロートカバーは、前記泥除カバーにおける下縁部の差し込み連結を可能にする被係合部を備え、
前記泥除カバーは、その下端部と前記支持部材の前端との間において前記支持部材の前端に対する前記整地具の下方からの連結を許容する空間を確保する前向きの膨出部を備え、かつ、その下端部に、前記苗植付装置から前記走行車体に向けて延出する操作具の装備、又は、前記支持部材に対する前記支柱の連結を許容する切欠部を備え、
前記泥除カバーの上部を、前記支柱の上部に固定した第1連結部材と該第1連結部材に螺合するノブ付きボルト、及び、複数の前記支柱の上部にわたって架設するクロスメンバに固定した第2連結部材と該第2連結部材に螺合するノブ付きボルトにより、前記支柱及び前記クロスメンバに連結し、
前記泥除カバーとして、前記苗載台の左半側に対向する左用の泥除カバーと、前記苗載台の右半側に対向する右用の泥除カバーとを備え、
左右の前記泥除カバーを左右対称形状の左右兼用部品に構成している。
【0058】
この手段によると、前記〔7〕〜〔13〕の作用効果を得ることができる。
【0059】
本発明の別の課題解決手段は、
走行車体の後部に昇降揺動可能に連結する苗植付装置と、前記苗植付装置の下部から上部側にわたる上下長さを有して前記走行車体の後輪が前記苗植付装置に向けて撥ね上げた泥を受け止めるように前記苗植付装置に取り付けた泥除カバーとを備え、
前記苗植付装置は、圃場の泥面を整地する整地フロートと、前記走行車体に向けて延出する前上がり姿勢の苗載台と、前記後輪の真後ろから左右方向に外れた配置で前記苗載台の上部側を下方から受け止め支持する複数の支柱と、該支柱の下端部を支持する左右に長い支持部材とを備え、
前記泥除カバーは、前記支柱の前縁よりも後側に位置して前記苗載台の裏面側に対向する板状カバー部と、前記板状カバー部から前側に膨出して前記支柱を前側から覆う縦長の膨出カバー部とを備え、かつ、前記泥除カバーにおける上端部を下部側よりも大きく前傾させ、
前記整地フロートとして、前記苗植付装置の左右中央に配備するセンタフロートと、前記センタフロートの左右に配備するサイドフロートとを備え、
前記支持部材は、前記後輪が前記整地フロートに向けて撥ね上げた泥を受け止めるフロートカバーと、前記支持部材の前端から延出してフロート間を整地する複数の整地具とを備え、
前記フロートカバーは、前記泥除カバーにおける下縁部の差し込み連結を可能にする被係合部を備え、
前記泥除カバーは、その下端部と前記支持部材の前端との間において前記支持部材の前端に対する前記整地具の下方からの連結を許容する空間を確保する前向きの膨出部を備え、かつ、その下端部に、前記苗植付装置から前記走行車体に向けて延出する操作具の装備、又は、前記支持部材に対する前記支柱の連結を許容する切欠部を備え、
前記泥除カバーの上部を、前記支柱の上部に固定した第1連結部材と該第1連結部材に螺合するノブ付きボルト、及び、複数の前記支柱の上部にわたって架設するクロスメンバに固定した第2連結部材と該第2連結部材に螺合するノブ付きボルトにより、前記支柱及び前記クロスメンバに連結している。
【0060】
この手段によると、前記〔7〕〜〔12〕の作用効果を得ることができる。
【0061】
本発明の別の課題解決手段は、
走行車体の後部に昇降揺動可能に連結する苗植付装置と、前記苗植付装置の下部から上部側にわたる上下長さを有して前記走行車体の後輪が前記苗植付装置に向けて撥ね上げた泥を受け止めるように前記苗植付装置に取り付けた泥除カバーとを備え、
前記苗植付装置は、圃場の泥面を整地する整地フロートと、前記走行車体に向けて延出する前上がり姿勢の苗載台と、前記後輪の真後ろから左右方向に外れた配置で前記苗載台の上部側を下方から受け止め支持する複数の支柱と、該支柱の下端部を支持する左右に長い支持部材とを備え、
前記泥除カバーは、前記支柱の前縁よりも後側に位置して前記苗載台の裏面側に対向する板状カバー部と、前記板状カバー部から前側に膨出して前記支柱を前側から覆う縦長の膨出カバー部とを備え、かつ、前記泥除カバーにおける上端部を下部側よりも大きく前傾させ、
前記整地フロートとして、前記苗植付装置の左右中央に配備するセンタフロートと、前記センタフロートの左右に配備するサイドフロートとを備え、
前記支持部材は、前記後輪が前記整地フロートに向けて撥ね上げた泥を受け止めるフロートカバーと、前記支持部材の前端から延出してフロート間を整地する複数の整地具とを備え、
前記フロートカバーは、前記泥除カバーにおける下縁部の差し込み連結を可能にする被係合部を備え、
前記泥除カバーは、その下端部と前記支持部材の前端との間において前記支持部材の前端に対する前記整地具の下方からの連結を許容する空間を確保する前向きの膨出部を備え、かつ、その下端部に、前記苗植付装置から前記走行車体に向けて延出する操作具の装備、又は、前記支持部材に対する前記支柱の連結を許容する切欠部を備えている。
【0062】
この手段によると、前記〔7〕〜〔11〕の作用効果を得ることができる。
【0063】
本発明の別の課題解決手段は、
走行車体の後部に昇降揺動可能に連結する苗植付装置と、前記苗植付装置の下部から上部側にわたる上下長さを有して前記走行車体の後輪が前記苗植付装置に向けて撥ね上げた泥を受け止めるように前記苗植付装置に取り付けた泥除カバーとを備え、
前記苗植付装置は、圃場の泥面を整地する整地フロートと、前記走行車体に向けて延出する前上がり姿勢の苗載台と、前記後輪の真後ろから左右方向に外れた配置で前記苗載台の上部側を下方から受け止め支持する複数の支柱と、該支柱の下端部を支持する左右に長い支持部材とを備え、
前記泥除カバーは、前記支柱の前縁よりも後側に位置して前記苗載台の裏面側に対向する板状カバー部と、前記板状カバー部から前側に膨出して前記支柱を前側から覆う縦長の膨出カバー部とを備え、かつ、前記泥除カバーにおける上端部を下部側よりも大きく前傾させ、
前記整地フロートとして、前記苗植付装置の左右中央に配備するセンタフロートと、前記センタフロートの左右に配備するサイドフロートとを備え、
前記支持部材は、前記後輪が前記整地フロートに向けて撥ね上げた泥を受け止めるフロートカバーと、前記支持部材の前端から延出してフロート間を整地する複数の整地具とを備え、
前記フロートカバーは、前記泥除カバーにおける下縁部の差し込み連結を可能にする被係合部を備え、
前記泥除カバーは、その下端部と前記支持部材の前端との間において前記支持部材の前端に対する前記整地具の下方からの連結を許容する空間を確保する前向きの膨出部を備えている。
【0064】
この手段によると、前記〔7〕〜〔10〕の作用効果を得ることができる。
【0065】
本発明の別の課題解決手段は、
走行車体の後部に昇降揺動可能に連結する苗植付装置と、前記苗植付装置の下部から上部側にわたる上下長さを有して前記走行車体の後輪が前記苗植付装置に向けて撥ね上げた泥を受け止めるように前記苗植付装置に取り付けた泥除カバーとを備え、
前記苗植付装置は、圃場の泥面を整地する整地フロートと、前記走行車体に向けて延出する前上がり姿勢の苗載台と、前記後輪の真後ろから左右方向に外れた配置で前記苗載台の上部側を下方から受け止め支持する複数の支柱と、該支柱の下端部を支持する左右に長い支持部材とを備え、
前記泥除カバーは、前記支柱の前縁よりも後側に位置して前記苗載台の裏面側に対向する板状カバー部と、前記板状カバー部から前側に膨出して前記支柱を前側から覆う縦長の膨出カバー部とを備え、かつ、前記泥除カバーにおける上端部を下部側よりも大きく前傾させ、
前記支持部材は、前記後輪が前記整地フロートに向けて撥ね上げた泥を受け止めるフロートカバーを備え、
前記フロートカバーは、前記泥除カバーにおける下縁部の差し込み連結を可能にする被係合部を備えている。
【0066】
この手段によると、前記〔7〕〜〔9〕の作用効果を得ることができる。
【0067】
本発明の別の課題解決手段は、
走行車体の後部に昇降揺動可能に連結する苗植付装置と、前記苗植付装置の下部から上部側にわたる上下長さを有して前記走行車体の後輪が前記苗植付装置に向けて撥ね上げた泥を受け止めるように前記苗植付装置に取り付けた泥除カバーとを備え、
前記苗植付装置は、前記走行車体に向けて延出する前上がり姿勢の苗載台と、前記後輪の真後ろから左右方向に外れた配置で前記苗載台の上部側を下方から受け止め支持する複数の支柱とを備え、
前記泥除カバーは、前記支柱の前縁よりも後側に位置して前記苗載台の裏面側に対向する板状カバー部と、前記板状カバー部から前側に膨出して対応する前記支柱を前側から覆う縦長の膨出カバー部とを備え、かつ、前記泥除カバーにおける上端部を下部側よりも大きく前傾させている。
【0068】
この手段によると、前記〔7〕〜〔8〕の作用効果を得ることができる。
【0069】
本発明の別の課題解決手段は、
走行車体の後部に昇降揺動可能に連結する苗植付装置と、前記苗植付装置の下部から上部側にわたる上下長さを有して前記走行車体の後輪が前記苗植付装置に向けて撥ね上げた泥を受け止めるように前記苗植付装置に取り付けた泥除カバーとを備え、
前記苗植付装置は、前記走行車体に向けて延出する前上がり姿勢の苗載台と、前記後輪の真後ろから左右方向に外れた配置で前記苗載台の上部側を下方から受け止め支持する複数の支柱とを備え、
前記泥除カバーは、前記支柱の前縁よりも後側に位置して前記苗載台の裏面側に対向する板状カバー部と、前記板状カバー部から前側に膨出して対応する前記支柱を前側から覆う縦長の膨出カバー部とを備えている。
【0070】
この手段によると、前記〔7〕の作用効果を得ることができる。
【0071】
本発明の別の課題解決手段は、
走行車体の後部に昇降揺動可能に連結した苗植付装置と、前記苗植付装置を昇降駆動する油圧シリンダと、前記油圧シリンダに対するオイルの流れを制御する制御弁とを備え、
前記苗植付装置は、左右向きの支軸を支点して上下揺動する整地フロートと、前記整地フロートによる整地後の圃場泥土に所定量の苗を植え付ける植付機構と、前記植付機構に対する前記整地フロートの高さ位置を変更して前記植付機構による苗の植え付け深さを調節する植付深さ調節レバーとを備え、
前記整地フロートの上下揺動に連動して前記制御弁の作動状態が切り換わって前記苗植付装置が昇降するように前記整地フロートと前記制御弁とを連係することにより、前記植付機構による苗の植え付け深さを一定に維持する機械式連係機構を備え、
前記機械式連係機構は、連係ワイヤと、前記連係ワイヤにおけるアウタワイヤの一端部と前記整地フロートの遊端部とを連係する縦向きの連係部材と、前記連係ワイヤにおけるインナワイヤの一端部を前記苗植付装置に対する所定位置に固定する固定機構部とを備え、
前記連係部材は縦向きの長孔を備え、
前記固定機構部は、前記苗植付装置の固定部に固定した固定部材と、前記固定部材に対して左右向きの支軸を支点にして上下揺動する前後向きの天秤揺動部材と、前記連係部材の前記長孔を挿通して前記インナワイヤの一端部を前記天秤揺動部材の前端部に連結する左右向きの連結軸と、前記天秤揺動部材の後端部を前記植付深さ調節レバーに連係する連係ロッドとを備えて、前記植付深さ調節レバーによる苗の植え付け深さ調節に伴う前記整地フロートの基準高さの変更にかかわらず、前記アウタワイヤの一端部からの前記インナワイヤの突出量が一定になるように構成し、
前記連係ロッドを、その両端部が同じ左右一側方に向けて延出する形状に形成して、その一端部の前記天秤揺動部材の後端部に対する組み付けと、その他端部の前記植付深さ調節レバーに対する組み付けとを、前記苗植付装置の左右一側方から行えるように構成している。
【0072】
この手段によると、連係ロッドを、その両端部が同じ左右一側方に向けて延出する形状に形成することにより、連係ロッドによって天秤揺動部材の後端部を植付深さ調節レバーに連係する場合には、連係ロッドを、苗植付装置の左右一側方から天秤揺動部材及び植付深さ調節レバーに向けて差し入れることにより、その一端部の天秤揺動部材の後端部に対する例えば挿通係合などによる連係と、その他端部の植付深さ調節レバーに対する例えば挿通係合などによる連係とを一挙に行うことができる。
【0073】
その結果、連係ロッドによる天秤揺動部材と植付深さ調節レバーとの連係を、苗植付装置の左右一側方から容易に行うことができ、機械式連係機構における連係ロッドの組み付け性の向上を図ることができる。