(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-223135(P2015-223135A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】歩行型電動作業機
(51)【国際特許分類】
A01B 33/02 20060101AFI20151117BHJP
A01B 33/08 20060101ALI20151117BHJP
【FI】
A01B33/02 Z
A01B33/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-110723(P2014-110723)
(22)【出願日】2014年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】甲地 重春
(72)【発明者】
【氏名】村上 利之
(72)【発明者】
【氏名】戸田 勉
【テーマコード(参考)】
2B033
【Fターム(参考)】
2B033AA07
2B033AB01
2B033AB11
2B033CA03
2B033ED14
(57)【要約】
【課題】女性や高齢者等比較的機械の取扱いに不慣れなユーザーでも簡単に使用できる除雪機や作業機であり、冬季間や不使用期以外でも活用可能な除雪機や作業機を提供する。
【解決手段】電動で駆動される走行部9を備えた走行台車と、走行台車後方に設けられ機体を操作するための操作ハンドル24を備えた歩行型電動作業機において、走行台車は携帯型エンジン発電機4を着脱自在に設け、携帯型エンジン発電機4からの電力の供給により走行が行われることを特徴とした歩行型電動作業機による。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動で駆動される走行部を備えた走行台車と、走行台車後方に設けられ機体を操作するための操作ハンドルを備えた歩行型電動作業機において、前記走行台車は携帯型エンジン発電機を着脱自在に設け、携帯型エンジン発電機からの電力の供給により走行が行われることを特徴とした歩行型電動作業機。
【請求項2】
電動で駆動される走行部を備えた走行台車と、走行台車前方に設けられ前進走行により雪を押して除雪するためのブレード部と、走行台車後方に設けられ機体を操作するための操作ハンドルを備えた歩行型電動作業機において、前記走行台車は携帯型エンジン発電機を着脱自在に設け、携帯型エンジン発電機からの電力の供給により走行が行われることを特徴とした歩行型電動作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動で駆動される走行部を備えた電動作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電動で走行する作業機は、例えば、走行部が電動モータで駆動される特許第4454751号公報(従来技術1)の「除雪機」や、バッテリケースを着脱可能に設けた「歩行型電動作業機」特開2013−27330号公報(従来技術2)に記載の電動作業機や、特開2002−051477号公報(従来技術3)に開示されているオフシーズンには通常の充電を1回行ない、引続いてオフシーズン中はトリクル充電を連続して実施することを特徴とする電動除雪機のバッテリ充電方法を有した除雪機が公知である。
【0003】
歩行型除雪機には前方に雪を掻き込むオーガーと投雪するブロワーを設けたタイプと、前方に雪を押すためのブレードを設けたタイプが従来から知られている。これらは従来駆動源としてエンジンを使用しているが、エンジンの取り扱いやメンテナンス等が煩雑なため、高齢者や女性には敬遠されることが多い。このため、比較的小さい動力で作動が可能なブレードタイプの除雪機に、エンジンを使用せず電動で作動する除雪機が開発されている。(従来技術1、従来技術3)
【0004】
また、耕耘ロータリ等の作業アタッチメントが装着可能な電動で作動する電動作業機が、高齢者や女性でも取り扱いが容易であるため普及している。(従来技術2)
【0005】
しかし、バッテリを用いる電動型の除雪機や作業機は充電が必要であり、長時間の使用には限界があり、充電の煩わしさがあった。また、除雪機の場合、冬季間のみの使用であり、作業機の場合でも使用期間が限られるため、不使用期間が長くバッテリの劣化を誘引する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4454751号公報(従来技術1)
【特許文献2】特開2013−27330号公報(従来技術2)
【特許文献3】特開2002−051477号公報(従来技術3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明は、上記背景より、女性や高齢者等比較的機械の取扱いに不慣れなユーザーでも簡単に使用できる除雪機や作業機であり、冬季間や不使用期以外でも活用可能な除雪機や作業機等の歩行型電動作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1記載の歩行型電動作業機は、電動で駆動される走行部を備えた走行台車と、走行台車後方に設けられ機体を操作するための操作ハンドルを備えた歩行型電動作業機において、前記走行台車は携帯型エンジン発電機を着脱自在に設け、携帯型エンジン発電機からの電力の供給により走行が行われることを特徴とした歩行型電動作業機である。
【0009】
また、請求項2記載の歩行型電動作業機は、電動で駆動される走行部を備えた走行台車と、走行台車前方に設けられ前進走行により雪を押して除雪するためのブレード部と、走行台車後方に設けられ機体を操作するための操作ハンドルを備えた歩行型電動作業機において、前記走行台車は携帯型エンジン発電機を着脱自在に設け、携帯型エンジン発電機からの電力の供給により走行が行われることを特徴とした歩行型電動作業機である。
【発明の効果】
【0010】
本願発明によれば、電動で駆動される走行部を備えた走行台車に、取り扱いが容易な携帯型エンジン発電機を着脱自在に設けているため、走行部が電動で駆動されているにもかかわらず、面倒な充電の必要がなく、連続した長時間の使用も可能であり、本体から携帯型エンジン発電機のみ切り離して使用ができるため、本体の不使用期間以外でも携帯型エンジン発電機として多様な活用が可能となり、一つの作業機で有効な活用ができる利便性の高い除雪機や作業機等の歩行型電動作業機を提供できる。
【0011】
また、ブレード型除雪機であることにより、容易な操作により除雪作業が可能で、取り扱い性が良い小型の除雪作業機が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一例を示す電動ブレード除雪機の側面図である。
【
図2】本発明の一例を示す電動ブレード除雪機の一部断面した平面図である。
【
図3】本発明の一例を示す電動ブレード除雪機の駆動輪部の断面した正面図である。
【
図4】本発明の一例を示す電動ブレード除雪機の回動フレームの回動支点軸部及び従動輪部の断面した正面図である。
【
図5】本発明の歩行型電動作業機の配線図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の一形態を、歩行型電動作業機であるブレード型除雪機を例にして
図1乃至
図5に基づいて説明する。
【0014】
本発明の一実施形態である歩行型電動ブレード除雪機は、走行用として左右にクローラベルト39を設け、前方部に駆動輪35と後方に従動輪37を位置させて巻着させたクローラベルト39を駆動する。クローラベルト39前方部には、左右のクローラベルト39の幅より広い幅の除雪用のブレード部11が設けられ、後方部には作業者が左右握って操作するグリップ26を左右後端に設けた操作ハンドル24が設けられている。操作ハンドル24後端側片側には、走行方向を前後に切替える切換レバー29と他方の片側のグリップ26部に走行をON・OFFさせる走行レバー27が設けられている。
【0015】
操作ハンドル24は、前方に位置するブレード部11と回動フレーム15を介して固着されていて、回動フレーム15は前記左右クローラベルト39の内側左右を通り後方に延設され、側面視クローラベルト39の前後に配置された駆動輪35と従動輪37の回転軸間の略中央部に位置する進行方向と直交する水平軸の回動支点軸45を中心に上下に回動可能に設けられている。操作ハンドル24のグリップ26部を握り、下方に押し下げると、回動フレーム15が回動支点軸45を中心に回動して前方部に固着したブレード部11を上方に回動させることができる。
【0016】
図2は、歩行型電動作業機であるブレード型除雪機の一部断面した平面図である。中央に位置する本体フレーム7の左右には、クローラベルト39が設けられ、左右クローラベルト39の中間部には走行用の電動モータ41を駆動する電源供給部である携帯型エンジン発電機4と、その後方に電動モータ41を制御するための制御機構部6が設けられている。本体フレーム7からはクローラベルト39を駆動する駆動輪35と従動輪37のそれぞれの回転軸が左右方向に突設して設けられている。走行用のクローラベルト39は、前方に設けた駆動輪35と後部の従動輪37とに巻き掛けられていて、駆動輪35部に設けられた電動モータ41を正逆回転させて駆動される。左右のクローラベルト39の作動部分は、左右対称な構造となっている。
【0017】
クローラベルト39と本体フレーム7との間には丸パイプで構成された前記回動フレーム15が前後方向に延設されていて、本体フレーム7に駆動輪35と従動輪37の間に左右方向に突設され設けた回動支点軸45に回動フレーム15の回動ボス44が挿入され、前方部にブレード部11、後方部に操作ハンドル24が固着されている。
【0018】
走行部9は、左右それぞれの駆動輪35と従動輪37と両輪間に掛渡されたクローラベルト39と電動モータ41からなる。
図3は、駆動輪35部を断面した正面図である。駆動輪35部は左右対称の構造となっていて片側のみ説明する。電動モータ41は、駆動輪35部に一体で設けられていて、電動モータ41の外周を覆うモータケース413は駆動輪35と一体に固着され、モータケース413内に電動モータ41のステータ410とロータ411および減速部412が内蔵されていて、本体フレーム7から水平に突設された回転軸36を中心に電動モータ41が回転すると駆動輪35も同軸上で回転する。
【0019】
電動モータ41部はほぼ片側クローラベルト39の幅内に位置しているため、重心はクローラベルト39の幅内に位置して、構成部品の中でも比較的重量がある電動モータ41の重量は直接クローラベルト39の接地圧に作用して駆動力を向上させる。また、駆動輪35部に他の構成部品に比べ比較的重量の有る電動モータ41が位置することにより、電動ブレード除雪機全体の重心を低く抑えることができるため、左右に傾斜した場合でも左右のクローラベルト39の駆動力の変化が少なく、転倒の危険性も少なく取り扱い性が良好な構造とすることができる。さらに、電動モータ41がクローラベルト39内に位置するため、全体の構成をコンパクトに構成できる。
【0020】
走行用クローラベルト39は、駆動輪35が前方に、後方には従動輪37が配置されて、これに巻き掛けられていて、駆動輪35部に設けた電動モータ41を正逆回転させて駆動輪35を回転させ駆動される。ブレード部11により雪を押す場合、駆動輪35は前方に向け正回転する。正回転することによりクローラベルト39の被接地面である上面側が前方に引っ張られた状態となる。後方の従動輪37は遊動状態であるためクローラベルト39の接地面側も張られた状態となり、クローラベルト39の接地面全体が均等に地面を押し付けて駆動力を有効に発揮する。一方駆動輪35が後方に位置する場合、クローラベルト39の上方部に弛みができやすく、比較的接地面部が緊張状態となりにくく駆動力を有効に伝達し難いため駆動輪35は前方側に配置するのが牽引性能上有利である。
【0021】
図4は、ブレード部11を上下回動させるための回動フレーム15の回動支点軸45部及び従動輪37部を断面した要部正面図である。回動支点軸45は、本体フレーム7の下方部に左右方向水平に挿通され、本体フレーム7から左右方向の両端部を突設して設けられていて、突設部に回動フレーム15の回動ボス44が回動自在に嵌合されている。本体フレーム7中央部には携帯型エンジン発電機4が位置している。携帯型エンジン発電機4は、側面視において携帯型エンジン発電機4の重心が、走行用クローラベルト39の前後に配置された駆動輪35と従動輪37の回転軸間に位置するように位置づけられている。このことにより携帯型エンジン発電機4の重量がクローラベルト39の接地面に有効に作用して駆動力を向上させる。
【0022】
本体フレーム7には、制御部5と携帯型エンジン発電機4が載置され設けられている。携帯型エンジン発電機4は、エンジンと発電機が内蔵され交流や直流の取り出し部が設けられている。携帯型エンジン発電機4は、一般的に公知のものであり詳細の説明は省略する。携帯型エンジン発電機4は、本体フレーム7の走行方向前方に位置していて前方端側の固定ノブ50によってネジ止め固定され、本体フレーム7から取外し自在に設けられている。携帯型エンジン発電機4は、後方に位置する制御部5と電気的に接続された連結カプラ47により連結される。また、上面には取手49が設けられ、携帯型エンジン発電機4を持ち運び可能としている。
【0023】
制御部5は、制御機構部6と、該制御機構部6を内蔵する制御機構部ケース61とからなり、本体フレーム7に固着されている。走行台車1は、制御部5と本体フレーム7と走行部9により構成される。
【0024】
本体フレーム7の携帯型エンジン発電機4が載せられる上面には、携帯型エンジン発電機4をガイドする左右一対のガイド板55が突設されていて、携帯型エンジン発電機4を本体フレーム7に脱着する時に迅速且つ確実に行なうことができる。
【0025】
前方部に位置するブレード部11は、雪を押し出すメインの排雪板17と、その下端部に位置するスクレーパ19と、左右側部に位置して排雪板17で押出す雪を側方に逃がさないための側板21で構成されている。排雪板17は、前方に向けた凹状で左右のクローラベルト39の外端より幅が広く設けられ、走行方向前方に開口面が形成されている。排雪板17の下方端部には排雪板17の全幅にわたってスクレーパ19が取付けられている。スクレーパ19は前端部から後方に向け鋭角に傾斜していてブレード部11を雪面に押し付けて食込ませるためのもので、前進することにより雪を排雪板17の前面の凹部面に沿って誘導して上昇させ前方に湾曲した上方部から前方に順次落とし込んでいく。
【0026】
図5は、本発明の歩行型電動作業機の配線図である。制御機構部6には、携帯型エンジン発電機4と電源スイッチ30と切換レバースイッチ290と走行レバースイッチ270及び左右の電動モータ41が配線されていて、各スイッチの操作により制御機構部6が電動モータ41を作動させる。操作ハンドル24のグリップ26近傍の操作パネル28には、電源スイッチ30と前後進を切替える切換レバー29が設けられ、操作ハンドル24の左側のグリップ26部には走行レバー27が設けられ、グリップ26とともに握ると走行レバー27の基部に設けた走行レバースイッチ270がONされ制御機構部6が電動モータ41を回転させて走行が行われる。電源スイッチ30は、携帯型エンジン発電機4からの電源をON・OFFさせるためのもので、ONさせると制御機構部6及び電動モータ41の作動が可能になる。切換レバー29は、前方に傾倒させると前進、後方に傾倒させると後進方向に電動モータ41が回転するようになっていて、切換レバー29の基部に設けられ連動して作動する切換レバースイッチ290によって制御機構部6を切替える。
【0027】
制御機構部6は、連結カプラ62を携帯型エンジン発電機4側の連結カプラ47に電気的に接続することにより通電される。携帯型エンジン発電機4を外すときは前記固定ノブ50を外し、連結カプラを外すことで容易に本体フレーム7から分離できる。分離された携帯型エンジン発電機4は、本体の使用・不使用時期に限らずに発電機として多用途に使用可能であり、利便性が高い。バッテリを搭載したものに比較して充電の煩わしさがなく、燃料の補給のみで長時間の使用が可能である。
【0028】
また、携帯型エンジン発電機4は通常防音対策も行われているため、エンジン音が比較的小さく、走行部が電動作動であるため市街地等において騒音による近隣への迷惑をかけずに作業が可能であり、作業時間帯等の制約が少なく効率よく作業ができる。本例はブレード型の除雪機であるが、電動の歩行型耕耘作業機や運搬車等他の作業機に流用が可能である。
【0029】
本発明の歩行型電動作業機であるブレード型除雪機で除雪作業を行なうには、携帯型エンジン発電機4を始動させ、操作ハンドル24の操作パネル28に設けた電源スイッチ30をONにし、切換レバー29を前進又は後進に切替えて、操作ハンドル24の左右のグリップ26を握り、左側のグリップ26部に設けた走行レバー27をさらに握ると、制御機構部6は左右のクローラベルト39部の駆動輪35を駆動する電動モータ41を回転させ、クローラベルト39を駆動して電動ブレード除雪機を移動させる。移動の際は、グリップ26部を少し押し下げて前方のブレード部11を少し地面から上昇させ移動を行なう。
【0030】
目的の除雪場所に移動させ、切換レバー29を前進方向に切換え、前方のブレード部11を雪面に接地させ、左右のグリップ26を握るとともに走行レバー27を握り前進させる。前進すると、排雪板17下端部のスクレーパ19が前方の雪に食込み順次雪をブレード部11の排雪板17前面に沿って上昇させ前方に湾曲した上方部から前方に順次落とし込んでいく。次第にブレード部11に雪が堆積してきたら、操作ハンドル24を押し下げてブレード部11を上昇させ前方に雪を盛り上げる。又は放擲する。この際、走行レバー27を開放すると電動モータ41の回転が停止して走行が停止する。この動作を繰り返して除雪作業を行なう。ブレード部11に雪が堆積され、操作ハンドル24を押し下げると、ブレード部11にかかる雪の重量と操作ハンドル24にかかる押し下げ力が駆動輪35と従動輪37の回転軸間に位置する回動支点軸45部に作用し、クローラベルト39の接地面を押圧しスリップ等を軽減し前進力を向上させる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、電動で作動するクローラベルトや車輪等の走行部を有した電動作業機に適用できる。
【符号の説明】
【0032】
1 走行台車
4 携帯型エンジン発電機
5 制御部
6 制御機構部
7 本体フレーム
9 走行部
11 ブレード部
15 回動フレーム
17 排雪板
19 スクレーパ
21 側板
24 操作ハンドル
26 グリップ
27 走行レバー
270 走行レバースイッチ
28 操作パネル
29 切換レバー
290 切換レバースイッチ
30 電源スイッチ
35 駆動輪
36 回転軸
37 従動輪
39 クローラベルト
41 電動モータ
410 ステータ
411 ロータ
412 減速部
413 モータケース
44 回動ボス
45 回動支点軸
47 連結カプラ
49 取手
50 固定ノブ
55 ガイド板
61 制御機構部ケース
62 連結カプラ