特開2015-223202(P2015-223202A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-223202(P2015-223202A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】放電ユニット
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/22 20060101AFI20151117BHJP
   F24F 1/00 20110101ALI20151117BHJP
   H01T 19/04 20060101ALI20151117BHJP
   H01T 23/00 20060101ALI20151117BHJP
【FI】
   A61L9/22
   F24F1/00 371Z
   H01T19/04
   H01T23/00
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-107885(P2014-107885)
(22)【出願日】2014年5月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 利夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴村 啓
(72)【発明者】
【氏名】榎田 達海
(72)【発明者】
【氏名】春名 俊治
(72)【発明者】
【氏名】笹井 雄太
【テーマコード(参考)】
3L051
4C080
【Fターム(参考)】
3L051BC05
4C080AA05
4C080AA07
4C080AA09
4C080BB02
4C080CC01
4C080HH02
4C080HH05
4C080JJ01
4C080JJ03
4C080KK02
4C080KK08
4C080LL02
4C080LL10
4C080MM01
4C080MM05
4C080MM08
4C080MM40
4C080QQ11
4C080QQ12
4C080QQ17
(57)【要約】
【課題】放電ユニットを小型化すると共に、放電ユニットの通風路を被処理空気が円滑に流れるようにする。
【解決手段】放電ユニット(23)は、放電電極(50)と対向電極(54)と電圧印加部(43)とを収容するケーシング(30)を備えている。このケーシング(30)は、放電電極(50)と対向電極(54)とが設置されて被処理空気が流れる通風路(70)を形成する。そして、ケーシング(30)内では、通風路(70)の側方に電圧印加部(43)が配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電電極(50)と、対向電極(54)と、上記放電電極(50)に接続されて該放電電極(50)と上記対向電極(54)との間に電圧を印加する電圧印加部(43)とを備えた放電ユニット(23)であって、
上記放電電極(50)と上記対向電極(54)と上記電圧印加部(43)とを収容すると共に、該放電電極(50)と該対向電極(54)とが設置されて被処理空気が流れる通風路(70)を形成するケーシング(30)を備え、
上記ケーシング(30)内では、上記通風路(70)の側方に上記電圧印加部(43)が配置されている
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項2】
請求項1において、
上記ケーシング(30)には、上記通風路(70)から仕切られて上記電圧印加部(43)が設置される機器収容室(80)が形成されている
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記放電電極(50)は、細長い支持部(51)と、該支持部(51)から突出した放電部(52)とを備えている
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項4】
請求項3において、
上記放電部(52)は、上記支持部(51)の軸方向と交わる方向に突出する針状に形成されている
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項5】
請求項3または4において、
上記電圧印加部(43)は、上記放電電極(50)の上記支持部(51)の延長線上に配置されている
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項において、
上記放電電極(50)の上記支持部(51)は、平板状に形成され、
上記対向電極(54)は、上記支持部(51)と向かい合う平坦な対向面(55)を有し、
上記通風路(70)では、上記支持部(51)と上記対向面(55)との間を被処理空気が流れる
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか1項において、
上記放電電極(50)の上記支持部(51)と一体に形成されて該放電電極(50)を上記電圧印加部(43)に電気的に接続する接続部(53)を備えている
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項8】
請求項7において、
一体に形成された上記支持部(51)および上記接続部(53)は、全体が平板状に形成されている
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項9】
請求項3〜8のいずれか1項において、
上記放電電極(50)は、上記支持部(51)の軸方向が上記通風路(70)における被処理空気の流れ方向と交わるように配置されている
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項10】
請求項9において、
上記ケーシング(30)には、上記支持部(51)に対する上記放電部(52)の突出方向に沿って被処理空気が流れるように、上記通風路(70)へ被処理空気を導入する導入口(32a)と、該通風路(70)から被処理空気を導出する導出口(33a)とが形成されている
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項11】
請求項3〜10のいずれか1項において、
上記ケーシング(30)は、直方体の箱状に形成され、
上記ケーシング(30)には、上記通風路(70)から仕切られて上記電圧印加部(43)が設置される機器収容室(80)が、該ケーシング(30)の長手方向において上記通風路(70)と並ぶように形成され、
上記放電電極(50)は、上記支持部(51)の軸方向が上記ケーシング(30)の長手方向に沿うように配置されている
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項12】
請求項11において、
上記ケーシング(30)は、上記放電電極(50)の上記放電部(52)の突端と向かい合う第1側面部(32)と、該第1側面部(32)と対向する第2側面部(33)とを有し、
上記第1側面部(32)と上記第2側面部(33)とは、一方に上記通風路(70)へ被処理空気を導入する導入口(32a)が形成され、他方に上記通風路(70)から被処理空気を導出する導出口(33a)が形成されている
ことを特徴とする放電ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ユニットに関し、特に、放電によって活性種を生成させる放電ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、放電電極および対向電極を備え、両電極間に電圧を印加することにより両電極間で放電を行って活性種(例えば、ラジカル、オゾン、高速電子、励起分子など)を生成させる放電ユニットが知られている。例えば、特許文献1の空気調和装置は、この種の放電ユニットを備えていて、放電で発生させた活性種により、被処理空気中に含まれる有害成分や臭気成分を分解するように構成されている。このように、特許文献1の空気調和装置は、放電ユニットにおける放電により被処理空気を清浄化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−013113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記空気調和装置の放電ユニットでは、放電電極および対向電極はケーシングに収容されている。一方、両電極間に電圧を印加するために用いられる電圧印加部は、ケーシングの外部に設けられていて、放電電極および対向電極に高圧配線を介して接続されている。このため、高圧配線を配置するスペースをケーシングの外部に確保する必要があり、放電ユニットが大型化してしまうという問題があった。
【0005】
また、放電ユニットのケーシングの内部には、被処理空気の流れる通風路が形成されている。そして、放電によって生じた活性種は通風路内の空気流れに乗って拡散し、これにより被処理空気が効率的に清浄化される。一方、通風路内の空気流れが滞っていると、放電によって生じた活性種が十分に拡散せず、このために被処理空気が清浄化されにくい。つまり、被処理空気を効率的に清浄化するために、通風路内の空気流れを円滑にすることが望ましい。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、放電ユニットを小型化すると共に、放電ユニットの通風路を被処理空気が円滑に流れるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、放電電極(50)と、対向電極(54)と、上記放電電極(50)に接続されて該放電電極(50)と上記対向電極(54)との間に電圧を印加する電圧印加部(43)とを備えた放電ユニット(23)を対象とする。そして、第1の発明は、上記放電電極(50)と上記対向電極(54)と上記電圧印加部(43)とを収容すると共に、該放電電極(50)と該対向電極(54)とが設置されて被処理空気が流れる通風路(70)を形成するケーシング(30)を備え、上記ケーシング(30)内では、上記通風路(70)の側方に上記電圧印加部(43)が配置されていることを特徴とする。
【0008】
第1の発明では、放電電極(50)、対向電極(54)および電圧印加部(43)はケーシング(30)に収容されている。このため、両電極(50,54)と電圧印加部(43)とを接続するための高圧配線をケーシング(30)の外部に配置する必要がなく、放電ユニット(23)の小型化が図られる。
【0009】
また、放電電極(50)と対向電極(54)との間に電圧が印加されると、両電極(50,54)間で放電が行われて活性種が生成する。ここで、放電電極(50)および対向電極(54)は通風路(70)に設置される一方、電圧印加部(43)は通風路(70)の側方に配置されている。このため、被処理空気は、電圧印加部(43)によって妨げられることなく通風路(70)を円滑に流れる。この被処理空気の流れに乗って、放電によって生じた活性種が十分に拡散する。これにより、被処理空気が効率的に清浄化される。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記ケーシング(30)には、上記通風路(70)から仕切られて上記電圧印加部(43)が設置される機器収容室(80)が形成されていることを特徴とする。
【0011】
第2の発明では、通風路(70)から仕切られた機器収容室(80)に電圧印加部(43)が設置されているので、被処理空気は、電圧印加部(43)に妨げられることなく通風路(70)をより円滑に流れる。
【0012】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記放電電極(50)は、細長い支持部(51)と、該支持部(51)から突出した放電部(52)とを備えていることを特徴とする。
【0013】
第3の発明では、放電部(52)の先端と対向電極(54)との間で放電が行われる。
【0014】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記放電部(52)は、上記支持部(51)の軸方向と交わる方向に突出する針状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
第4の発明では、針状に形成された放電部(52)の先端と対向電極(54)との間で放電が行われる。
【0016】
第5の発明は、上記第3または第4の発明において、上記電圧印加部(43)は、上記放電電極(50)の上記支持部(51)の延長線上に配置されていることを特徴とする。
【0017】
第5の発明では、ケーシング(30)の内部空間において、放電電極(50)および電圧印加部(43)の配置スペースが小さく抑えられる。
【0018】
第6の発明は、上記第3〜第5の発明のいずれか1つにおいて、上記放電電極(50)の上記支持部(51)は、平板状に形成され、上記対向電極(54)は、上記支持部(51)と向かい合う平坦な対向面(55)を有し、上記通風路(70)では、上記支持部(51)と上記対向面(55)との間を被処理空気が流れることを特徴とする。
【0019】
第6の発明では、放電電極(50)の平板状の支持部(51)と対向電極(54)の平坦な対向面(55)との間を被処理空気が流れるので、放電電極(50)や対向電極(54)による通風抵抗が小さい。このため、放電電極(50)と対向電極(54)との間を被処理空気が円滑に流れ、放電によって生じた活性種が当該空気流れに乗って十分に拡散する。そして、被処理空気が効率的に清浄化される。
【0020】
第7の発明は、上記第3〜第6の発明のいずれか1つにおいて、上記放電電極(50)の上記支持部(51)と一体に形成されて該放電電極(50)を上記電圧印加部(43)に電気的に接続する接続部(53)を備えていることを特徴とする。
【0021】
第7の発明では、放電電極(50)を電圧印加部(43)に電気的に接続する接続部(53)は支持部(51)と一体に形成されている。このため、当該電気的接続を行うために独立した部品を設ける必要がない。
【0022】
第8の発明は、上記第7の発明において、一体に形成された上記支持部(51)および上記接続部(53)は、全体が平板状に形成されていることを特徴とする。
【0023】
第8の発明では、支持部(51)および接続部(53)が全体として平板状に形成されている。したがって、それらの生産が容易となる。
【0024】
第9の発明は、上記第3〜第8の発明のいずれか1つにおいて、上記放電電極(50)は、上記支持部(51)の軸方向が上記通風路(70)における被処理空気の流れ方向と交わるように配置されていることを特徴とする。
【0025】
第9の発明では、支持部(51)は、通風路(70)における被処理空気の流れ方向と交わるように延びている。
【0026】
第10の発明は、上記第9の発明において、上記ケーシング(30)には、上記支持部(51)に対する上記放電部(52)の突出方向に沿って被処理空気が流れるように、上記通風路(70)へ被処理空気を導入する導入口(32a)と、該通風路(70)から被処理空気を導出する導出口(33a)とが形成されていることを特徴とする。
【0027】
第10の発明では、導入口(32a)から導出口(33a)に向かって被処理空気が通風路(70)を流れる。そして、放電部(52)の突出方向に沿って被処理空気が流れるので、放電部(52)による通風抵抗が小さい。このため、放電部(52)の周囲を被処理空気が円滑に流れ、放電によって生じた活性種が当該空気流れに乗って十分に拡散する。そして、被処理空気が効率的に清浄化される。
【0028】
第11の発明は、上記第3〜第10の発明のいずれか1つにおいて、上記ケーシング(30)は、直方体の箱状に形成され、上記ケーシング(30)には、上記通風路(70)から仕切られて上記電圧印加部(43)が設置される機器収容室(80)が、該ケーシング(30)の長手方向において上記通風路(70)と並ぶように形成され、上記放電電極(50)は、上記支持部(51)の軸方向が上記ケーシング(30)の長手方向に沿うように配置されていることを特徴とする。
【0029】
第11の発明では、直方体の箱状に形成されたケーシング(30)内において、当該ケーシング(30)の長手方向に並ぶように通風路(70)および機器収容室(80)が形成されている。そして、通風路(70)から仕切られた機器収容室(80)に電圧印加部(43)が設置されているので、被処理空気は、電圧印加部(43)に妨げられることなく通風路(70)を円滑に流れる。
【0030】
第12の発明は、上記第11の発明において、上記ケーシング(30)は、上記放電電極(50)の上記放電部(52)の突端と向かい合う第1側面部(32)と、該第1側面部(32)と対向する第2側面部(33)とを有し、上記第1側面部(32)と上記第2側面部(33)とは、一方に上記通風路(70)へ被処理空気を導入する導入口(32a)が形成され、他方に上記通風路(70)から被処理空気を導出する導出口(33a)が形成されていることを特徴とする。
【0031】
第12の発明では、導入口(32a)と導出口(33a)とは、互いに対向するように形成されている。そして、導入口(32a)から導出口(33a)へ向かって通風路(70)内を被処理空気が流れる。この被処理空気の流れに乗って、放電部(52)と対向電極(54)との間での放電によって生じる活性種が拡散する。拡散した活性種により被処理空気が清浄化される。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、放電電極(50)、対向電極(54)および電圧印加部(43)をケーシング(30)に収容したので、放電ユニット(23)の小型化を図ることができる。また、電圧印加部(43)を通風路(70)の側方に配置したので、放電によって生じた活性種を円滑な空気流れに乗せて十分に拡散させ、被処理空気を効率的に清浄化することができる。
【0033】
また、上記第2の発明によれば、通風路(70)から仕切られた機器収容室(80)に電圧印加部(43)を設置したので、被処理空気が通風路(70)をより円滑に流れるようにすることができる。そして、放電によって生じた活性種を十分に拡散させ、被処理空気を効率的に清浄化することができる。
【0034】
また、上記第5の発明によれば、ケーシング(30)の内部空間において、放電電極(50)および電圧印加部(43)の配置スペースが小さく抑えられるので、放電ユニット(23)を小型化することができる。
【0035】
また、上記第6の発明によれば、放電電極(50)や対向電極(54)による通風抵抗を小さくして、放電電極(50)と対向電極(54)との間を被処理空気が円滑に流れるようにすることができる。このため、放電によって生じた活性種を空気流れに乗せて十分に拡散させ、被処理空気を効率的に清浄化することができる。
【0036】
また、上記第7の発明によれば、放電電極(50)を電圧印加部(43)に電気的に接続するために独立した部品を設ける必要がないので、放電ユニット(23)の構成を簡略化することができる。
【0037】
また、上記第8の発明によれば、支持部(51)および接続部(53)を全体として平板状に形成することで、その生産を容易化することができる。
【0038】
また、上記第10の発明によれば、放電部(52)による通風抵抗を小さくして、この放電部(52)の周囲を被処理空気が円滑に流れるようにすることができる。このため、放電によって生じた活性種を空気流れに乗せて十分に拡散させ、被処理空気を効率的に清浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、実施形態に係る空気調和装置を示す概略の断面図である。
図2図2は、実施形態に係る放電ユニットを、上側ケースおよび下側ケースの正面側面を省略して示す分解斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る放電ユニットを、上側ケースを省略して示す平面図である。
図4図4は、実施形態に係る放電ユニットを示す側面図である。
図5図5は、図3におけるA−A断面を示す断面図である。
図6図6は、図3におけるB−B断面を示す断面図である。
図7図7は、ストリーマ放電の様子を示す簡略図である。
図8図8は、実施形態の変形例1に係る放電ユニットを、上側ケースの上面を省略して示す平面図である。
図9図9は、実施形態の変形例2に係る放電ユニットを、上側ケースおよび下側ケースの正面側面を省略して示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0041】
図1に示すように、本実施形態に係る空気調和装置(10)は、天井(C)の裏面(上面)に設置されるケース部材(11)を備えている。このケース部材(11)は、中空の直方体状に形成されている。
【0042】
ケース部材(11)の一方の側面には、このケース部材(11)の内部に連通する内気ダクト(12)が接続されている。この内気ダクト(12)は、天井(C)を貫通して室内に延出している。ケース部材(11)の他方の側面には、このケース部材(11)の内部に連通する給気ダクト(13)が接続されている。この給気ダクト(13)は、天井(C)を貫通して室内に延出している。
【0043】
ケース部材(11)の内部には、内気ダクト(12)側から給気ダクト(13)側に向かって被処理空気の流れる空気通路(20)が形成されている。この空気通路(20)には、プレフィルタ(21)、脱臭ユニット(22)、熱交換器(25)および給気ファン(26)が、空気流れの上流側から下流側に向かって順に配列されている。
【0044】
プレフィルタ(21)は、被処理空気中の比較的大きな塵埃を物理的に捕捉する。プレフィルタ(21)は、長尺の帯状またはシート状に形成されている。
【0045】
脱臭ユニット(22)は、被処理空気中の臭気成分(無臭の有害成分を含む)を除去する。脱臭ユニット(22)は、放電ユニット(23)と、この放電ユニット(23)の下流側に配置された触媒フィルタ(24)とを有している。
【0046】
放電ユニット(23)は、ストリーマ放電により活性種(例えば、ラジカル、オゾン、高速電子、励起分子など)を生成するように構成されている。この活性種が空気中の被処理成分(有害成分や臭気成分など)と反応することにより、この被処理成分が酸化分解されて除去される(すなわち、被処理空気が清浄化される)。放電ユニット(23)について、詳しくは後述する。
【0047】
触媒フィルタ(24)は、例えばハニカム構造の基材の表面に触媒を担持させたものである。この触媒には、マンガン系触媒や貴金属系触媒など、放電によって生成する活性種をさらに活性化し、空気中の有害成分や臭気成分の分解を促進するものが用いられる。さらに、触媒フィルタ(24)には活性炭が担持されており、この活性炭は、被処理空気中の被処理成分に対する吸着性能を有している。
【0048】
熱交換器(25)は、例えば蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる冷媒回路(図示せず)に接続されていて、蒸発器や凝縮器として機能する。熱交換器(25)では、冷媒回路を流れる冷媒と被処理空気とが熱交換する。本実施形態では、熱交換器(25)は、脱臭ユニット(22)の下流側に設置されている。したがって、空気通路(20)を流れる空気は、脱臭ユニット(22)で浄化された後、熱交換器(25)によって加熱または冷却されて室内へ供給される。以上のように、本実施形態に係る空気調和装置(10)では、室内の空気清浄と共に、室内の冷房や暖房を行うことができる。
【0049】
給気ファン(26)は、ケース部材(11)の空気通路(20)において内気ダクト(12)から給気ダクト(13)へ向けて被処理空気を搬送するために設けられている。
【0050】
−放電ユニット−
放電ユニット(23)は、上述したように、ストリーマ放電により活性種を生成させて被処理空気を清浄化するためのものである。
【0051】
図2は、放電ユニット(23)の構成例を示している。この放電ユニット(23)は、ケーシング(30)と、基板(40)と、電源トランス(43)と、放電電極(50)と、対向電極(54)と、スタビライザ(60)とを備えている。なお、以下では、説明の便宜上、図2における手前側を「正面側」「前側」、奥側を「背面側」「後側」とし、図2における上下左右を「上下左右」とする。
【0052】
図2図5に示すように、ケーシング(30)は、直方体の箱状に形成されていて、下側に配置された下側ケース(37)と、この下側ケース(37)に上側から嵌められた上側ケース(31)とを有している。
【0053】
図2に示すように、下側ケース(37)は、上方に向かって開放された箱状の部材である。下側ケース(37)は、絶縁体で構成されている。
【0054】
図2図5および図6に示すように、下側ケース(37)の左右方向中央部には、この下側ケース(37)の底面から上方に延びる下側仕切板(38)が形成されている。この下側仕切板(38)は、下側ケース(37)の底面から上方に延びる長方形状の下側壁部(38a)と、この下側壁部(38a)の上部中央から上方に延びる略正方形状の中央壁部(38b)と、この中央壁部(38b)の上部中央から上方に突出する突起部(38c)とを有している。下側壁部(38a)の上辺のうち中央壁部(38b)の両隣には、下側ケース(37)の側面付近の部分を残して基板用凹部(38d)が形成されている。なお、下側仕切板(38)は、絶縁体で構成されている。
【0055】
下側ケース(37)の左側端部には、底面から上方に延びる支持柱部(39)が形成されている。この支持柱部(39)は、細長い角柱状の部材であって、スタビライザ(60)を下方から支持している。なお、支持柱部(39)は、絶縁体で構成されている。
【0056】
図2に示すように、上側ケース(31)は、下方に向かって開放された箱状の部材である。上側ケース(31)は、絶縁体で構成されている。
【0057】
図3および図4に示すように、上側ケース(31)の正面側面(32)(第1側面部)のうち後述する上側仕切板(34)よりも左側の部分には5つの導入口(32a)が左右に並べて形成されている。これらの導入口(32a)は、上側ケース(31)の正面側面(32)をその下端から上方に向かって矩形状に切り欠くことによって形成されている。
【0058】
図3および図5に示すように、上側ケース(31)の背面側面(33)(第2側面部)のうち上側仕切板(34)よりも左側の部分には5つの導出口(33a)が左右に並べて形成されている。これらの導出口(33a)は、上側ケース(31)の背面側面(33)をその下端から上方に向かって矩形状に切り欠くことによって形成されている。導出口(33a)は、奥行き方向において導入口(32a)と向き合うように形成されている。なお、図3では、導入口(32a)および導出口(33a)が想像線(二点鎖線)で示されている。
【0059】
導入口(32a)と導出口(33a)との間には、被処理空気の流れる通風路(70)が形成されている。この通風路(70)は、ケーシング(30)の内部空間のうち各仕切板(34,38)よりも左側の部分である。被処理空気は、導入口(32a)から通風路(70)へ導入された後にこの通風路(70)内を流れて導出口(33a)から導出される。すなわち、被処理空気は、正面側から背面側に向かって通風路(70)を流れる。
【0060】
図2図5および図6に示すように、上側ケース(31)の左右方向中央部には、この上側ケース(31)の上面および側面から延出する2つの上側仕切板(34)が形成されている。これらの上側仕切板(34)は、長方形板状に形成されていて、上側ケース(31)の側壁の下端よりも下方に延びている。上側仕切板(34)の下辺は、上側ケース(31)が下側ケース(37)に嵌められるときに、下側ケース(37)の下側壁部(38a)の上辺に当接する。また、2つの上側仕切板(34)同士の間隔は、下側ケース(37)の中央壁部(38b)の幅(奥行き方向長さ)と実質的に等しい。このため、上側ケース(31)が下側ケース(37)に嵌められるときには、下側ケース(37)の中央壁部(38b)が2つの上側仕切板(34)の間に嵌まり込む(図6を参照)。なお、上側仕切板(34)は、絶縁体で構成されている。
【0061】
そして、図6に示すように、2つの上側仕切板(34)の間のうち中央壁部(38b)の上側には、スタビライザ(60)の仕切壁部(62)が嵌まるようになっている。なお、仕切壁部(62)の下部には凹部(62a)が形成されており、この凹部(62a)に、中央壁部(38b)の突起部(38c)が嵌合する。
【0062】
上述のように互いに嵌合する上側仕切板(34)、下側仕切板(38)および仕切壁部(62)により、ケーシング(30)の内部空間は、機器収容室(80)と通風路(70)とに仕切られている。機器収容室(80)は、ケーシング(30)の内部空間のうち各仕切板(34,38)および仕切壁部(62)よりも右側の部分である。つまり、機器収容室(80)と通風路(70)とは、ケーシング(30)の長手方向(図2における左右方向)に並んでいる。
【0063】
図2図5に示すように、基板(40)は、機器収容室(80)および通風路(70)の両方にわたって延びる略長方形状に形成されている。基板(40)の左右方向中央部には、奥行き方向に細長い長方形の挿通孔(41)が形成されている。そして、基板(40)は、下側仕切板(38)の中央壁部(38b)が挿通孔(41)に挿通され、挿通孔(41)の前後の部位(基板(40)の左右方向の中間部)が基板用凹部(38d)に嵌合することで、この下側仕切板(38)に支持されている(図6を参照)。
【0064】
基板(40)の右端部の上面には、外部から電力を受けるためのコネクタ(42)が設けられている。このコネクタ(42)は、上側ケース(31)の右側面に形成された窪み部(35)からケーシング(30)の外部に臨んでいる。コネクタ(42)は、電気配線を介して電源(図示せず)に接続されて電源から電力を受けるように構成されている。
【0065】
図2図5に示すように、電源トランス(43)は、コネクタ(42)を経由して電源から供給された電圧を昇圧するためのものであり、機器収容室(80)において基板(40)の上面に設けられている。つまり、電源トランス(43)は、通風路(70)の側方に配置されている。電源トランス(43)は、放電電極(50)と対向電極(54)との間に電圧を印加するように構成されている。この例では、電源トランス(43)は、その入力端子(図示せず)がコネクタ(42)に電気的に接続され、その負極側の出力端子(図示せず)が基板(40)の裏面に形成された接地配線(図示せず)に電気的に接続されている。電源トランス(43)は、本発明の電圧供給部を構成している。
【0066】
図2図5に示すように、放電電極(50)は、通風路(70)において基板(40)の上方に配置されていて、細長い支持部(51)と、この支持部(51)から突出する複数の放電針(52)とを有している。放電針(52)は、本発明の放電部を構成している。本実施形態の放電電極(50)は金属材料で構成されているが、これに代えて導電性樹脂で構成されていてもよい。
【0067】
支持部(51)は、細長い平板状に形成されていて、通風路(70)内を左右方向に延びているつまり、放電電極(50)は、支持部(51)の軸方向がケーシング(30)の長手方向に沿うように配置されている。一方、上述のとおり、被処理空気は、通風路(70)内を奥行き方向に流れる。つまり、放電電極(50)は、支持部(51)の軸方向が通風路(70)における被処理空気の流れ方向と交わるように配置されている。また、平板状の支持部(51)は、その平坦面が被処理空気の流れに沿うように設けられている。このため、支持部(51)による通風抵抗が小さく、被処理空気が通風路(70)内を円滑に流れる。
【0068】
放電針(52)は、支持部(51)の長手方向に複数並んで設けられていて、支持部(51)の幅方向(奥行き方向)両側から突出する細長い棒状に形成されている。具体的に、放電針(52)は、細長い四角柱状に形成されている。換言すれば、放電針(52)は、その横断面形状(放電針(52)の軸方向に直交する断面の形状)が略正方形状に形成され、その横断面形状が放電針(52)の全長に亘って同一となっている。各放電針(52)は、支持部(51)と一体に形成されている。支持部(51)の正面側から突出する放電針(52)は、その突端が、上側ケース(31)の正面側面(32)と対向している。支持部(51)の背面側から突出する放電針(52)は、その突端が、上側ケース(31)の背面側面(33)と対向している。つまり、各放電針(52)は、支持部(51)の軸方向と直角に交わる方向に突出していて、奥行き方向に沿うように延びている。このため、被処理空気は、支持部(51)に対する各放電針(52)の突出方向に沿って流れる。よって、放電針(52)による通風抵抗が小さく、被処理空気が通風路(70)内を円滑に流れる。
【0069】
放電電極(50)は、支持部(51)と一体に形成された接続部(53)によって電源トランス(43)に電気的に接続されている。この接続部(53)は、仕切壁部(62)よりも右側に配置された部分である。接続部(53)は、支持部(51)に連続していて、平板状に形成されている。そして、支持部(51)、放電針(52)および接続部(53)は、全体が平板状に形成されている。接続部(53)は、電源トランス(43)の出力端子(図示せず)に接続され、これにより放電電極(50)と電源トランス(43)とが電気的に接続されている。ここで、電源トランス(43)は、放電電極(50)の支持部(51)の延長線上に配置されている(図3を参照)。したがって、ケーシング(30)の内部空間において、放電電極(50)および電源トランス(43)の配置スペースを小さく抑えることができる。
【0070】
図2図5に示すように、対向電極(54)は、放電電極(50)と基板(40)との間に配置されている。対向電極(54)は、コの字に折り曲げられた平板状に形成されていて、支持部(51)と平行に向かい合う平坦な天板部(55)と、この天板部(55)の両端から下方に延びる側板部(56)とを有している。天板部(55)は、本発明の対向面を構成している。本実施形態の対向電極(54)は金属材料で構成されているが、これに代えて導電性樹脂で構成されていてもよい。
【0071】
通風路(70)では、支持部(51)と天板部(55)との間を被処理空気が流れる。ここで、被処理空気は、ともに平坦な支持部(51)および天板部(55)に沿って流れる。このため、放電電極(50)および対向電極(54)による通風抵抗が小さく、被処理空気が通風路(70)内を円滑に流れる。
【0072】
天板部(55)の幅W2(奥行き方向長さ)は、正面側の放電針(52)の先端から背面側の放電針(52)の先端までの間隔W1よりも広い(図3を参照)。また、天板部(55)の長さ(左右方向長さ)は、支持部(51)のうち放電針(52)が設けられている部分の長さよりも長い。つまり、全ての放電針(52)の先端は、1つの天板部(55)と向かい合っている。そして、全ての放電針(52)の先端は、平面視で天板部(55)の内側に位置している。これにより、放電電極(50)と対向電極(54)との間でストリーマ放電を安定して生起することができる。
【0073】
側板部(56)の下端には、基板(40)に差し込まれる差込片(57)が下方に突出するように形成されている。対向電極(54)は、この差込片(57)を介して、基板(40)の裏面に形成された接地配線(図示せず)に電気的に接続されている。したがって、図7に示すように、対向電極(54)の電位は基準電位となっている。
【0074】
図2図5に示すように、スタビライザ(60)は、ストリーマ放電を安定して生起させるための部材であって、放電電極(50)の上方に配置されている。スタビライザ(60)は、コの字に折り曲げられた平板状に形成されていて、梁部(61)と仕切壁部(62)と支持壁部(63)とを有している。スタビライザ(60)は、例えば導電性樹脂で構成されている。
【0075】
梁部(61)は、左右に延びる平板状に形成されていて、その下面が、上記放電電極(50)の支持部(51)の上面と平行に向かい合っている。すなわち、通風路(70)内では、梁部(61)の平坦な下面または平坦な上面に沿って被処理空気が流れる。このため、梁部(61)による通風抵抗が小さく、被処理空気が通風路(70)内を円滑に流れる。
【0076】
梁部(61)の幅W3(奥行き方向長さ)は、正面側の放電針(52)の先端から背面側の放電針(52)の先端までの間隔W1よりも広い(図3を参照)。また、梁部(61)の長さ(左右方向長さ)は、支持部(51)のうち放電針(52)が設けられている部分の長さよりも長い。つまり、梁部(61)は、全ての放電針(52)を覆うように設けられている。そして、全ての放電針(52)の先端は、平面視で梁部(61)の内側に位置している。これにより、放電電極(50)と対向電極(54)との間でストリーマ放電を安定して生起することができる。
【0077】
仕切壁部(62)は、梁部(61)の一端(右側端)に連続して下方に延びる平板状の部分である。上述のとおり、仕切壁部(62)の下部には凹部(62a)が形成されており、この凹部(62a)に、上記中央壁部(38b)の突起部(38c)が嵌合する。そして、仕切壁部(62)の凹部(62a)と中央壁部(38b)の突起部(38c)との間には放電電極(50)の支持部(51)の一端(右側端部)が挟持されている(図5および図6を参照)。この挟持部分において、放電電極(50)とスタビライザ(60)とは互いに電気的に接続されている。したがって、図7に示すように、スタビライザ(60)は、電源トランス(43)に電気的に接続された放電電極(50)と同電位となっている。
【0078】
支持壁部(63)は、梁部(61)の他端(左側端)に連続して下方に延びる部分である。この支持壁部(63)の下端部は、右方に向かって折れ曲がった鉤状に形成されている。
【0079】
支持壁部(63)の右側面には、右方に延びる挟持板部(64)が設けられている。この挟持板部(64)は、支持壁部(63)の右側面および梁部(61)の下面と一体に形成されていて、その平坦面が正面側または背面側を向いている。挟持板部(64)の下部先端には、下方に突出する係止凸部(64a)が設けられており、この係止凸部(64a)は、放電電極(50)の支持部(51)の左端部に形成された貫通孔(51a)に係合している。また、支持部(51)の左端部は、鉤状に形成された支持壁部(63)の先端部と挟持板部(64)との間に挟持されている。この挟持している部分において、放電電極(50)とスタビライザ(60)とは互いに電気的に接続されている。
【0080】
支持壁部(63)の左側面には、左方に突出する被支持部(65)が形成されている。この被支持部(65)は、上記支持柱部(39)に下方から支持されている。
【0081】
各部材の間隔は、以下のように設定されている。まず、隣り合う放電針(52)の間隔D1は、5.0mmであり、2.0mm以上であることが好ましい。また、放電針(52)とスタビライザ(60)との間隔D2は、5.0mmであり、3.0mm以上、7.0mm以下であることが好ましい。また、放電針(52)と対向電極(54)との間の距離D3は、5.0mmであり、3.0mm以上、7.0mm以下であることが好ましい。このように各距離D1〜D3を設定することで、安定したストリーマ放電を生起することができる。
【0082】
図7に示すように、放電電極(50)およびスタビライザ(60)は、電源トランス(43)の正極側の出力端子に電気的に接続され、対向電極(54)および電源トランス(43)の負極側の出力端子は、接地ノードに電気的に接続されている。このような構成により、放電電極(50)から対向電極(54)へ向けて放電を行うことができる。
【0083】
−運転動作−
次に、本実施形態に係る空気調和装置(10)の運転動作について説明する。図1に示すように、給気ファン(26)が駆動されると、室内空気が、内気ダクト(12)を介してケーシング(30)内の空気通路(20)へ導入される。
【0084】
空気通路(20)を流れる被処理空気(室内空気)は、まず、プレフィルタ(21)を通過する。プレフィルタ(21)では、被処理空気中に含まれる比較的大きな塵埃が捕集される。
【0085】
プレフィルタ(21)を通過した被処理空気は、脱臭ユニット(22)の近傍を流れる。このとき、放電ユニット(23)や触媒フィルタ(24)を被処理空気が通過する。
【0086】
被処理空気が放電ユニット(23)を通過するときには、まず、被処理空気が導入口(32a)から通風路(70)へ導入される。通風路(70)では、図7に示すように、電源トランス(43)(同図では、電源記号で表す)から電圧を印加されている放電電極(50)と対向電極(54)との間でストリーマ放電が行われており、空気中で活性種が生成している。ここで、本実施形態の放電ユニット(23)では、大きな通風抵抗となる電源トランス(43)が通風路(70)から仕切られた機器収容室(80)に配置されていることや、通風路(70)内における放電電極(50)、対向電極(54)およびスタビライザ(60)による通風抵抗が小さいことから、被処理空気が通風路(70)内を円滑に流れる。したがって、ストリーマ放電によって生成した活性種は、通風路(70)を通過して導出口(33a)から導出される被処理空気の流れに乗って十分に拡散する。そして、拡散した活性種と被処理空気中の臭気成分とが接触することで、臭気成分が酸化分解されて除去される。
【0087】
被処理空気が触媒フィルタ(24)を通過するときには、被処理空気中の臭気成分が触媒フィルタ(24)に吸着されて除去される。触媒フィルタ(24)に吸着された臭気成分は、放電ユニット(23)で生成した活性種によって徐々に分解されていく。これにより、触媒フィルタ(24)における臭気成分の捕捉能力(吸着能力)が回復する。
【0088】
脱臭ユニット(22)で臭気成分が除去された空気は、熱交換器(25)で加熱または冷却された後、給気ダクト(13)を介して空気通路(20)から室内へ供給される。その結果、室内空気の清浄化が図られる。
【0089】
−実施形態の効果−
本実施形態の放電ユニット(23)では、放電電極(50)、対向電極(54)および電源トランス(43)をケーシング(30)に収容したので、両電極(50,54)と電源トランス(43)とを接続するための高圧配線をケーシング(30)外に設ける必要がなく、放電ユニット(23)の小型化を図ることができる。
【0090】
また、大きな通風抵抗となり得る電源トランス(43)を通風路(70)から仕切られた機器収容室(80)に配置したので、被処理空気が通風路(70)内を円滑に流れるようにすることができる。このため、ストリーマ放電によって生じる活性種を円滑な空気流れに乗せて十分に拡散させ、被処理空気を効率的に清浄化することができる。
【0091】
また、放電電極(50)の支持部(51)の延長線上に電源トランス(43)を配置したので、ケーシング(30)の内部空間において、放電電極(50)および電源トランス(43)の配置スペースが小さく抑えられる。このため、放電ユニット(23)を小型化することができる。
【0092】
また、放電電極(50)の支持部(51)と対向電極(54)の天板部(55)とが平行に向かい合い、かつ被処理空気が支持部(51)および天板部(55)に沿って流れるので、通風路(70)における放電電極(50)および対向電極(54)による通風抵抗を小さくして、両電極(50,54)の間を被処理空気が円滑に流れるようにすることができる。このため、ストリーマ放電によって生じた活性種を空気流れに乗せて十分に拡散させ、被処理空気を効率的に清浄化することができる。
【0093】
また、放電電極(50)の支持部(51)とスタビライザ(60)の梁部(61)とが平行に向かい合い、かつ被処理空気が支持部(51)および梁部(61)に沿って流れるので、通風路(70)における放電電極(50)およびスタビライザ(60)による通風抵抗を小さくして、両者の間を被処理空気が円滑に流れるようにすることができる。このため、ストリーマ放電によって生じた活性種を空気流れに乗せて十分に拡散させ、被処理空気を効率的に清浄化することができる。
【0094】
また、放電電極(50)を電源トランス(43)に電気的に接続するための接続部(53)を支持部(51)と一体に形成したので、当該電気的接続を行うために独立した部品を設ける必要がなく、放電ユニット(23)の構成を簡略化することができる。
【0095】
また、支持部(51)および接続部(53)を全体として平板状に形成したので、その生産を容易化することができる。さらに、放電針(52)は、支持部(51)および接続部(53)と共に全体として平板状に形成されている。このため、支持部(51)、放電針(52)および接続部(53)を一体的に容易に生産することができる。
【0096】
また、放電針(52)が被処理空気の流れ方向に沿って延びているので、この放電針(52)による通風抵抗を小さくして、放電針(52)の周囲を被処理空気が円滑に流れるようにすることができる。このため、ストリーマ放電によって生じた活性種を空気流れに乗せて十分に拡散させ、被処理空気を効率的に清浄化することができる。
【0097】
また、放電電極(50)の支持部(51)が、被処理空気の流れ方向と直交するように延びると共に、この支持部(51)の長手方向に並ぶように複数の放電針(52)が設けられている。また、放電針(52)と対向電極(54)との間で生起されるストリーマ放電により、支持部(51)の長手方向に広がる領域で活性種が発生する。したがって、通風路(70)内を流れる被処理空気は、支持部(51)の長手方向に広がる領域で活性種と接触することになり、より多くの活性種を被処理空気の流れに乗せることができる。このため、活性種を十分に拡散させ、被処理空気を効率的に清浄化することができる。
【0098】
また、放電電極(50)を挟んで対向電極(54)の反対側にスタビライザ(60)が配置され、スタビライザ(60)の梁部(61)が放電電極(50)の放電針(52)と同電位となっているので、放電が放電針(52)からスタビライザ(60)の梁部(61)側に進展することを防止することができる。これにより、放電針(52)から対向電極(54)への放電を安定して行うことができる。
【0099】
−実施形態の変形例1−
本発明の実施形態の変形例1について説明する。本変形例では、被処理空気中の塵埃を除去するための塵埃フィルタ(36)が放電ユニット(23)に設けられている。
【0100】
図8は、本変形例に係る放電ユニット(23)を、上側ケース(31)の上面を省略して示す平面図である。同図に示すように、塵埃フィルタ(36)は、上側ケース(31)の正面側面(32)に設けられていて、導入口(32a)を覆っている。この塵埃フィルタ(36)は、被処理空気中の比較的大きな塵埃を物理的に捕捉するものである。
【0101】
本変形例の放電ユニット(23)では、導入口(32a)を覆う塵埃フィルタ(36)が設けられているので、被処理空気に含まれる比較的大きな塵埃が導入口(32a)を通過する際に除去される。このため、比較的大きな塵埃が通風路(70)に侵入して各電極(50,54)等の部材に付着するのを防止することができる。
【0102】
−実施形態の変形例2−
本発明の実施形態の変形例2について説明する。本変形例では、対向電極(54)の下端部が丸みを帯びた形状になっている。
【0103】
図9に示すように、対向電極(54)の側板部(56)の両端下部は、R面取りがされている。これにより、スタビライザ(60)と対向電極(54)との間の沿面距離D4は、当該R面取りがされていない場合に比べて長くなる。したがって、放電電極(50)と対向電極(54)とが短絡するのを抑止することができる。なお、側板部(56)の下端部の形状はR面取りに限られず、Cカットや切り欠きなど、基板(40)との接触点の位置を変えて沿面距離D4を長くする形状であれば同様の効果が得られる。
【0104】
《その他の実施形態》
上記実施形態では、電源トランス(43)を配置する場所として、通風路(70)から仕切られた機器収容室(80)を形成しているが、これに限らず、例えば、通風路(70)と繋がっている空間に電源トランス(43)を配置してもよい。この場合、電源トランス(43)による通風抵抗を小さくするため、通風路(70)の側方に電源トランス(43)を配置する必要がある。
【0105】
また、上記実施形態では、接続部(53)は、放電電極(50)の支持部(51)と一体に形成されているが、これに限らず、例えば、接続部(53)は、ケーシング(30)内に設けられ、支持部(51)と電源トランス(43)の出力端子とを電気的に接続する高圧配線で構成されていてもよい。
【0106】
また、上記実施形態では、放電針(52)は複数形成されているが、これに限らず、放電針(52)の数はその他任意のものであってもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、放電針(52)は、支持部(51)の両側から突出しているが、これに限らず、例えば、支持部(51)の片側のみから放電針(52)が突出していてもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、空気調和装置(10)に放電ユニット(23)を設けているが、これに限らず、例えば、空気清浄機に放電ユニット(23)を設けてもよいし、住宅用空調機の壁掛け型の室内ユニットに放電ユニット(23)を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
以上説明したように、本発明は、放電によって活性種を生成させる放電ユニットについて有用である。
【符号の説明】
【0110】
23 放電ユニット
30 ケーシング
32 正面側面(第1側面部)
32a 導入口
33 背面側面(第2側面部)
33a 導出口
43 電源トランス(電圧印加部)
50 放電電極
51 支持部
52 放電針(放電部)
53 接続部
54 対向電極
55 天板部(対向面)
70 通風路
80 機器収容室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9