前記暈し処理のフィルタ領域において、画素値が所定の閾値を超えるとき、当該画素を暈し処理の計算から除外することを特徴とする請求項1に記載の画像強調処理システム。
前記処理基準画像は順次更新され、前記時間平均画像生成手段は、1つ前の処理基準画像に対する強調画像を生成する際に使用された時間平均画像と、現処理基準画像または1つ前の処理基準画像とを用いて新たな時間平均画像を生成することを特徴とする請求項1または請求項2の何れか一項に記載の画像強調処理システム。
1つ前の処理基準画像に対する強調画像を生成する際に使用された時間平均画像と現処理基準画像または1つ前の処理基準画像との加重平均に暈し処理を施し、前記新たな時間平均画像とすることを特徴とする請求項6に記載の画像強調処理システム。
前記時間平均画像生成手段が、前記複数の画像に対し、過去の画像程処理領域が広い暈し処理を施し、それらの画像の平均を取ることで前記時間平均画像を生成することを特徴とする請求項1または請求項2の何れか一項に記載の画像強調処理システム。
前記時間平均画像が未だ生成されていないときには、所定の初期画像を前記時間平均画像として使用することを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の画像強調処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態である画像強調処理システムの構成を示すブロック図である。
【0013】
本実施形態の画像強調処理システムは、例えば電子内視鏡システム10に搭載される。電子内視鏡システム10は、主にスコープ本体11、プロセッサ装置12、モニタ装置13から構成される。スコープ本体11は、体内などに挿入される可撓管からなる挿入部14と、挿入部14を操作する操作部15と、操作部15とプロセッサ装置12を接続するユニバーサルコード16とから主に構成される。挿入部14の先端には撮像素子が設けられ、先端から照射される光を照明として動画像が撮影される。撮像素子で得られた映像は、プロセッサ装置12へと送られ、各種画像処理を施された後、モニタ装置13へと出力され表示される。
【0014】
また、プロセッサ装置12は、映像処理部17、映像出力部18、画像メモリ19、画像強調処理部20、コントローラ21、外部メモリ22、フロントパネル23等を備える。映像処理部17には、撮像素子から動画像信号が順次入力される。映像処理部17は、動画像信号に、ゲイン補正、ホワイトバランス処理など従来周知の所定の信号処理を施すことによりデジタル画像信号を生成する。デジタル画像信号は、映像処理部17から画像メモリ19へと出力され、画像メモリ19では、フレーム画像(あるいはフィールド画像)を単位に所定のフレーム数(Nフレーム)の静止画像データが順次記録され、同フレーム数を維持しながら順次最新の画像に更新される。
【0015】
映像処理部17で処理された動画像信号は、内視鏡観察中、映像出力部18へ常時出力される。映像出力部18では、入力された動画像信号が例えばコンポジット信号や輝度色差信号などの所定規格のアナログ映像信号に変換され、モニタ装置13へ出力される。すなわち、モニタ装置13の画面には、撮像素子で撮影される動画像がリアルタイムで表示される。
【0016】
画像強調処理部20は、画像メモリ19に記憶された画像データ、および現フレーム画像を用いて後述する本実施形態の画像強調処理を施し、映像出力部18へと常時出力する。映像出力部18は、例えば操作部15に設けられる静止画取得ボタン15A、あるいはフロントパネル23に設けられる動画強調モード設定用の所定のスイッチ操作に連動してモニタ装置13への出力信号を切り替える。すなわち静止画取得ボタン15A、あるいは動画強調モード設定用の所定のスイッチが操作されると、映像出力部18からモニタ装置13へ出力される映像信号が、映像処理部17の映像信号から画像強調処理部20の映像信号へと切り替えられる。
【0017】
静止画取得ボタン15Aによる映像出力部18の出力の切り替えは一時的なものであり、所定時間経過すると、出力は元に戻される。すなわち、モニタ装置13には、静止画像が所定時間表示され、その後、通常の動画像が表示される。なお、このとき画像強調処理部20で作成された静止画像データは、必要に応じて、ハードディスクやメモリカードなどの不揮発性の外部メモリ22に記憶され、あるいはプリンタ(図示せず)などで印刷される。
【0018】
一方、フロントパネル23に設けられた動画強調モード設定用のスイッチ操作による映像出力部18の出力の切り替えは、モードが通常画像モードに戻されるまで継続される。すなわち、次の動画強調モード設定用のスイッチ操作がなされない限り、モニタ装置13には、画像強調処理部20で強調処理が施された動画像が表示され続ける。
【0019】
本実施形態のように、映像処理部17、画像強調処理部20から常時映像信号を出力し、映像出力部18において出力信号の切り替え行う場合、スイッチ操作に対する追従性が向上する。一方、静止画取得ボタン15A、あるいは動画強調モード設定用の所定のスイッチが操作されたときのみ画像強調処理部20を駆動し、かつ映像処理部17の映像出力部18への出力を停止する構成でも、通常の動画像と強調処理画像の表示切替を行うことができる。この構成の場合には、画像処理による負荷を低減することができる。
【0020】
コントローラ21は、プロセッサ装置12全体の処理を制御する回路であり、静止画取得ボタン15Aやフロントパネル23のスイッチ操作に連動する映像出力部18における出力信号の切替え等は、コントローラ21によって制御される。
【0021】
図2は、画像強調処理部20で実行される本発明の第1実施形態の画像強調処理の手順を説明する図である。第1実施形態の画像強調処理では、画像メモリ19に記憶される連続するNフレーム(
図2では3フレーム分を例示)の画像の内、最新フレーム画像f
0を処理基準画像とする。また本実施形態では、各フレーム画像に対して、過去に行くほど強い暈し処理を施す(第1エラー処理)。暈し処理には、例えば空間平均化処理が用いられ、暈けの強さは、例えば空間平均の算出に用いられる領域(空間平均算出領域)の大きさにより制御される。なお、
図2では、最新フレーム画像f
0の空間平均画像がfs_av
0、その1フレーム前のフレーム画像f
-1の空間平均画像がfs_av
-1、2フレーム前のフレーム画像f
-2の空間平均画像がfs_av
-2として示される。また、ここで添え字を付して表される画像f(f
0,f
-1,f
-2,fs_av
0,fs_av
-1,fs_av
-2など)は、その画像の画素(x,y)の画素値f(x,y)を代表している。
【0022】
次に、算出されたNフレーム分の空間平均画像(
図2の例では、fs_av
0,fs_av
-1,fs_av
-2)の平均値、すなわち時間平均画像ft_av(=(fs_av
0+fs_av
-1+fs_av
-2)/3)が算出される。そして、処理基準画像f
0の時間平均画像ft_avからの偏差が差分画像fde(=f
0−ft_av)として算出される。最後に差分画像fdeをα倍したものを、処理基準画像f
0に加算することにより、モーションシャープニングの視覚効果が再現される強調画像f’(=f
0+α×fde)を求める。
【0023】
また、各フレームでの空間平均算出領域は、各画素を中心とする例えばm×nピクセルの領域であり(m、nは例えば奇数)、本実施形態では、m=nの正方領域が用いられる。例えば
図3には、連続する5フレームの画像が、過去から順に図面奥行方向へと時系列に並べられて示される。すなわち、最新のフレーム画像(処理基準画像)f
0が一番奥に描かれ、奥から順に、最新フレーム画像f
0に対し1フレーム前のフレーム画像f
-1、2フレーム前のフレーム画像f
-2、3フレーム前のフレーム画像f
-3、4フレーム前のフレーム画像f
-4が描かれる。また、
図3には同一の画素Pに対する各フレーム画像f
0〜f
-4の空間平均算出領域A
0〜A
-4が示される。
【0024】
本実施形態では、最新フレーム画像f
0の空間平均算出領域A
0が、1×1ピクセルの領域(つまり、画素Pそのもの)とされ、過去に1フレーム遡るに従って空間平均算出領域が縦横2画素分拡大される。つまり本実施形態では、フレーム画像f
-1の空間平均算出領域A
-1は3×3ピクセル、フレーム画像f
-2の空間平均算出領域A
-2は5×5ピクセル、フレーム画像f
-3の空間平均算出領域A
-3は7×7ピクセル、フレーム画像f
-4の空間平均算出領域A
-4は9×9ピクセルとされる。したがって、本実施形態では処理基準画像である最新フレーム画像f
0に対しては平均化処理(暈し処理)は行われない。
【0025】
また、本実施形態では、上記空間平均画像を各フレームにおいて算出する際、空間平均算出領域内に画素値(あるいは輝度値)が所定値kを超える画素が存在する場合、その画素を空間平均の算出から除外する(第2エラー処理)。例えば、フレーム画像f
-2の空間平均画像fs_av
-2における画素Pの画素値は、画素Pを中心とする5×5ピクセル(25画素)からなる空間平均算出領域A
-2の画素値の平均値(空間平均画像レベル)として求められる。ここで、同領域内に画素値(あるいは輝度値)が所定値kを超える画素が、例えば3画素存在すれば、これらの画素を除く22画素の画素値平均がフレーム画像f
-2の空間平均画像fs_av
-2における画素Pの画素値とされる。
【0026】
なお、上記計算は、例えばカラー画像の色成分毎(例えばRGB毎)に行われる。処理の対象となる画像信号としては、RGB信号の他、例示的に色差信号、輝度信号、色相、彩度、明度に関わる画像信号などが挙げられる。また、これらの画像信号に血管強調処理などの画像処理を施した画像信号を処理対象としてもよい。なお、倍率αは一定値でもよいが、例えばオプティカルフローなどから、各画素での動きを評価し、動きの大きい画素(例えばオプティカルフローの絶対値や、発散が大きい画素)程小さな値を与えることもできる。
【0027】
次に
図4〜
図7を参照して、第1実施形態の画像強調処理の効果について説明する。
図4(a)は、内視鏡の先端を、被写体(患部)が映し出されたモニタ画面中において、右上から左下へと移動しながら撮影したときの原画像の様子を模式的に示すものである。
図4(b)は、
図4(a)の原画像に、第1エラー処理および第2エラー処理を省いた画像強調処理を施したときの強調画像である。すなわち、
図4(b)で適用された画像強調処理は、第1実施形態の画像強調処理において、全てのフレームの空間平均算出領域を1×1ピクセルとしたものに対応する。
【0028】
図4(a)の原画像には、膨らんだ患部の粘膜の鏡面反射により発生したハイライト領域Ahが4つ描かれている。この状態において、第1、第2エラー処理を行わないと、
図4(b)に示されるように、動画像上でのハイライト領域Ahの移動方向後ろ側(ここでは左下)に、各ハイライト領域Ahに対応する黒い影Asが発生する。また、画像の中で暗い領域では、疑似輪郭線Cが発生する。
【0029】
次に
図5、
図6に、それぞれ第1エラー処理による効果、第2エラー処理による効果を示す。
図5に示されるように、第1エラー処理、すなわち、過去のフレーム画像程、暈しを強く(空間平均算出領域を広く)すると、暗い領域での疑似輪郭線Cの発生は防止される。しかし、第1エラー処理だけでは、ハイライト領域Ahによる薄暗い領域Adがハイライト領域近くに広がり、画質を劣化させ得る。
【0030】
一方、各フレームでの空間平均化処理(暈し処理)の計算から画素値(輝度値)が所定値を超える画素を除外する第2エラー処理によれば、
図6に示されるように、ハイライト領域Ahの移動により発生する薄暗い領域Adの影響が除去される。しかし、第2エラー処理のみでは、明暗が極端な部分に発生する疑似輪郭線Cは除去されない。したがって、本実施形態では、第1、第2エラー処理を同時に採用し、暗い領域での疑似輪郭線発生の問題と、ハイライト領域による影発生の問題とを同時に解決している。
【0031】
以上のように、本実施形態では、最新フレームを処理基準画像としたモーションシャープニング処理を採用することで、より人の知覚に近い画像強調処理を実現するともに、第1エラー処理を採用することにより、疑似輪郭の発生を防止している。また更に、各フレームでの空間平均の算出において、画素値(輝度値)が所定値を超える画素を除外する第2エラー処理の採用により、ハイライト領域の移動により発生する黒い影の影響も除去することができる。
【0032】
次に
図7を参照して本発明の第2実施形態の画像強調処理について説明する。第1実施形態の空間平均を求める処理(暈し処理、つまり第1エラー処理)では、過去のフレーム程、暈けを強くするため、暈し処理に必要な領域(空間平均算出領域)も過去フレーム程広くする。したがって、画像強調処理に使用されるフレーム数が多くなるとその計算コストが増大する。また、暈した過去のフレーム画像、すなわち過去フレームの空間平均画像を保持する必要がある。従って、相応の処理能力やメモリ容量を備えることが望まれる。
【0033】
これらのことから、第2実施形態では、以下の方法で、計算コスト、およびメモリ容量を第1実施形態よりも削減し、より好ましい形で、モーションシャープニング効果を利用した動画像処理をリアルタイムで実行する。なお、第1実施形態と第2実施形態の違いは、第1実施形態における空間平均画像の算出処理から時間平均画像の算出処理に至る構成であり、その他の構成は、第1実施形態と略同様である。
【0034】
図7は、第2実施形態の画像強調処理の手順を説明する図であり、
図1に示す画像強調処理部20で実行される。
図7(a)は、フレームf
0を処理基準画像とするときの画像強調処理の手順、
図7(b)は、
図7(a)の画像強調処理終了後、フレームf
0の次のフレームf
1を処理基準画像とするときの画像強調処理の手順を示す。
【0035】
第2実施形態では、現フレームの1つ前のフレームを処理基準画像としたときの時間平均画像に暈し処理を施し、この暈し処理を施した時間平均画像と現処理基準画像の平均を取ることで現フレームを処理基準画像としたときの新たな時間平均画像とする。すなわち、
図7(a)では現処理基準画像f
0の1つ前のフレームの画像f
-1が処理基準画像であったときの時間平均画像ft-av
-1に対して暈し処理を施し、暈し処理後の時間平均画像ft-av
-1と処理基準画像f
0の平均を処理基準画像f
0に対する時間平均画像ft-av
0とする。そして処理基準画像f
0の時間平均画像ft-av
0からの偏差を差分画像fdeとして、フレームf
0での強調画像をf
0’=f
0+α×fdeとする。なお、係数αは第1実施形態と同様である。また、上記説明では、暈し処理を行った後、時間平均を取っているが、時間平均を取った後で、暈し処理を行ってもよい。
【0036】
次のフレームでは、
図7(b)に示されるように、フレームf
0の次のフレームf
1を処理基準画像とし、時間平均画像ft-av
0に対して暈し処理を施し、暈し処理後の時間平均画像ft-av
0と処理基準画像f
1の平均を処理基準画像f
1に対する時間平均画像ft-av
1とする。そして処理基準画像f
1の時間平均画像ft-av
1からの偏差を差分画像fdeとして、フレームf
1での強調画像をf
1’=f
1+α×fdeとする。そして同処理は、順次次のフレームに対して同様に実行される。
【0037】
これにより、連続して入力される各フレームに対して時間平均画像ft-avがリアルタイムで順次求められる。時間平均画像ft-avには処理基準画像よりも過去の全てのフレームの情報が含まれ、過去のフレームの情報程、暈し処理が繰り返し施されることになる。そのため、過去フレームの情報程広く空間的拡散され、暈し処理の強度が増大する(第1エラー処理)。なお、同処理開始時には、初期時間平均画像として、例えば一様に灰色な画像(中間輝度)が与えられる。なお、1フレーム前の時間平均画像に暈し処理を施す際に、暈けフィルタのフィルタ領域内に画素値(あるいは輝度値)が所定値kを超える画素が存在する場合、その画素を暈し処理から除外する、あるいはその画素値を中間の値等で置き換える(第2エラー処理)。
【0038】
以上のように、第2実施形態においても第1実施形態と同様に、最新フレームを処理基準画像とし、より人の知覚に近い画像強調処理を実現しながらも、第1エラー処理、第2エラー処理により、処理エラーの発生も抑えられる。また、各強調画像の生成に直接用いられるフレーム数が低減されるとともに、暈し処理に適用される計算領域(フィルタ領域)も一定の狭い領域に固定できるので、計算コストやメモリ容量を低減できる。
【0039】
次に
図8を参照して本発明の第3実施形態の画像強調処理について説明する。
図8は、第3実施形態の画像強調処理の手順を説明する図である。画像強調処理は、
図1に示す画像強調処理部20で実行される。
【0040】
第2実施形態の画像強調処理では、1つ前のフレームを処理基準画像としたときの時間平均画像に対して暈し処理(例えば空間平均化処理)を施し、暈し処理後の時間平均画像と現処理基準画像の平均を現処理基準画像に対する時間平均画像として、差分画像を求めた。第3実施形態では、1つ前のフレームを処理基準画像としたときに生成される時間平均画像から差分画像を生成するとともに、この時間平均画像と現処理基準画像の加重平均に暈し処理を施すことで、次フレームを処理基準画像とするときに使用される時間平均画像を生成する(第1エラー処理)。
【0041】
例えば
図8に示されるように、フレームf
0を処理基準画像とする強調画像f
0’の作成では、まず、1つ前のフレームf
-1を処理基準画像とした画像強調処理を行ったときに作成された前フレーム時間平均画像ft_av
-1からの現処理基準画像f
0の偏差を差分画像fde=f
0−ft_av
-1とする。そして差分画像fdeのα倍を現処理基準画像f
0に加算して強調画像f
0’=f
0+α×fdeとしている。
【0042】
このとき、同時に時間平均画像ft_av
-1と処理基準画像f
0の加重平均fw_av
0=(w1×ft_av
-1+w2×f
0)/(w1+w2)を算出する。そして、加重平均fw_av
0に暈し処理Blur(例えば空間平均化処理)を施し、次のフレームf
1を処理基準画像とするときの時間平均画像ft_av
0(=Blur(fw_av
0))を求める。なお、ここでw1≦w2である。
【0043】
なお、暈し処理Blurを施す際に、暈けフィルタのフィルタ領域内に画素値(あるいは輝度値)が所定値kを超える画素が存在する場合、その画素を暈し処理から除外する、あるいはその画素値を中間の値等で置き換える(第2エラー処理)。なお、同処理開始時(1フレーム目)には、初期時間平均画像として、例えば一様に灰色な画像(中間輝度)が与えられる(初期化)。
【0044】
以上のように、第3実施形態の構成でも、第2実施形態と同様の効果が得られるが、第3実施形態においては、過去の計算結果を利用しているため計算コストが更に抑えられる。なお、第3実施形態において、その他の構成は第2実施形態と同様である。
【0045】
次に
図9を参照して本発明の第4実施形態の画像強調処理について説明する。
図9は、第4実施形態の画像強調処理の手順を説明する図である。画像強調処理は、
図1に示す画像強調処理部20で実行される。
【0046】
第4実施形態では、処理基準画像f
0に対する時間平均画像ft_av
0を、以下のように求める。まず画像f
0の1つ前のフレーム画像f
-1と、フレーム画像f
-1を処理基準画像としたときの時間平均画像ft_av
-1との加重平均(w1×ft_av
-1+w2×f
-1)/(w1+w2)を算出する(w1≦w2)。その後、この加重平均に暈し処理(例えば空間平均化処理)を施し、これを処理基準画像f
0に対する時間平均画像ft_av
0とする(第1エラー処理)。すなわち、第4実施形態では、ft_av
0=Blur[(w1×ft_av
-1+w2×f
-1)/(w1+w2)]とする。
【0047】
そして、第4実施形態では、処理基準画像f
0の時間平均画像ft_av
0からの偏差を差分画像fde=f
0−ft_av
0とし、処理基準画像f
0の強調画像f
0’は、差分画像fdeのα倍を処理基準画像f
0に加算したf
0’=f
0+α×fdeとされる。ここで、現フレーム画像f
0に対する処理で算出された時間平均画像ft_av
0は、次のフレーム画像f
1の画像強調処理で使用される時間平均画像ft_av
1の算出に用いられる(ft_av
1=Blur[(w1×ft_av
0+w2×f
0)/(w1+w2)])。なお、第4実施形態においても、暈し処理Blurを施す際に、暈けフィルタのフィルタ領域内に画素値(あるいは輝度値)が所定値kを超える画素が存在する場合、その画素を暈し処理から除外する、あるいはその画素値を中間の値等で置き換える(第2エラー処理)。また、強調画像処理開始時(1フレーム目)には、初期時間平均画像として、例えば一様に灰色な画像(中間輝度)が与えられる(初期化)。
【0048】
以上のように、第4実施形態の構成でも、より人の知覚に近い画像強調処理を実現できるとともに、疑似輪郭線の発生を防止し、ハイライト領域の移動による黒い影の影響も除去できる。また第4実施形態では、過去の計算結果を利用しているため計算コストが抑えられる。そして、第4実施形態では、処理基準画像(f
0)の強調処理に用いる時間平均画像(ft_av
0)の算出に、現処理基準画像(f
0)を用いていないため、例えば第1、第2実施形態に比べ、モーションシャープニングに関わる強調効果が高い。
【0049】
なお、上記第4実施形態の説明においては、ft_av
0=Blur[(w1×ft_av
-1+w2×f
-1)/(w1+w2)]としたが、ft_av
0=(w1×Blur[ft_av
-1]+w2×f
-1)/(w1+w2)とすることもできる。
【0050】
なお、第1から第4実施形態における暈し処理には第1実施形態の移動平均フィルタの他、ガウシアンフィルタなど他の平滑化フィルタを用いることも可能である。
【0051】
また、本実施形態の画像強調処理は、電子内視鏡の画像撮影など、遮光空間において、被写体に近い位置から照明光の照射、撮影が行われ、かつ被写体に対し撮影距離、位置、角度が激しく変化する場合に特に有効であるが、適用できる撮像装置は、電子内視鏡に限定されるものではない。