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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-223476(P2015-223476A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】遊技機の保護装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20151117BHJP
【FI】
   A63F7/02 304Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-112256(P2014-112256)
(22)【出願日】2014年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】593145799
【氏名又は名称】フィールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120363
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 智樹
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】大谷 直也
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BC56
2C088EA36
2C088EA46
(57)【要約】
【課題】過電圧による遊技機の破損を従来よりも効果的に抑制することが可能であり、かつ容易に取り付けおよび交換が可能な遊技機の保護装置を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態は、遊技機に用いるための保護装置100であって、外部電源に電気的に接続される入力部120と、遊技機に電気的に接続される出力部130と、入力部と出力部とを電気的に接続するとともに、入力部から印加される電圧が閾値電圧を超えた場合に、入力部と出力部とを電気的に遮断する過電圧遮断部150と、を備え、遊技機の外部において、外部電源と遊技機との間に着脱可能に構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から電力供給を受けることによって駆動される遊技機に用いるための保護装置であって、
前記外部電源に電気的に接続される入力部と、
前記遊技機に電気的に接続される出力部と、
前記入力部と前記出力部とを電気的に接続するとともに、前記入力部から印加される電圧が閾値電圧を超えた場合に、前記入力部と前記出力部とを電気的に遮断する過電圧遮断部と、
を備え、
前記遊技機の外部において、前記保護装置の少なくとも一部が前記外部電源と前記遊技機との間に着脱可能に構成されている
ことを特徴とする保護装置。
【請求項2】
前記閾値電圧は24V以上100V未満であることを特徴とする請求項1に記載の保護装置。
【請求項3】
前記閾値電圧は26.4V以上であることを特徴とする請求項2に記載の保護装置。
【請求項4】
前記閾値電圧は31.2V未満であることを特徴とする請求項2に記載の保護装置。
【請求項5】
前記過電圧遮断部を覆う筐体と、
前記筐体上に設けられ、可視光の少なくとも一部に対して透明な窓と、
をさらに備え、
前記過電圧遮断部は前記窓を介して視認可能な位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の保護装置。
【請求項6】
前記入力部と、前記出力部と、前記過電圧遮断部とを有する自由ユニットと、
前記外部電源と前記遊技機との間に接続され、前記自由ユニットを着脱可能な固定ユニットと、
を備え、
前記自由ユニットが前記固定ユニットに取り付けられている場合に、前記外部電源と前記遊技機とは前記過電圧遮断部を介して電気的に接続され、
前記自由ユニットが前記固定ユニットに取り付けられていない場合に、前記外部電源と前記遊技機とは電気的に接続されない
ことを特徴とする請求項1に記載の保護装置。
【請求項7】
前記固定ユニットは、凹部および貫通部の少なくとも一方であるスロットを有し、
前記自由ユニットは前記スロットに嵌合することによって前記固定ユニットに取り付けられる
ことを特徴とする請求項6に記載の保護装置。
【請求項8】
前記外部電源から電力の供給を受ける電源ユニットと、
前記外部電源と前記電源ユニットとの間に位置する請求項1に記載の保護装置と、
を備えることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に用いられる保護装置、より詳細には遊技機を過電圧から保護するための保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の遊技機市場において、パチンコ機の定格電圧は交流24Vに統一されているが、パチスロ機(スロットマシンともいう)の定格電圧には、交流24Vと交流100Vとが混在している。そのため、パチンコ機およびパチスロ機が固定される設備(島ともいう)には、交流100Vの電源と交流24Vの電源とが設置されている。遊技機の定格電圧が異なっていたとしても、一般に遊技機の電源端子は商用電源のプラグと同一形状を有している。このため、遊技機に定格電圧とは異なる電圧の電源が誤って接続(以下、誤接続ともいう)されてしまうことがある。電源端子又は電源ケーブルの一部に色を付すことによって各電源を区別可能にすることが広く行われているが、作業者のミスに起因する誤接続を完全に防ぐことはできない。
【0003】
特に24Vの定格電圧を有する遊技機に100Vの電源を接続してしまうと、遊技機に過電圧が印加される。その場合には遊技機に過大な電流が流れるため、遊技機が備えるメイン制御基板、サブ制御基板、電源ユニット等の電気部品が破損するおそれがある。破損した電気部品の調達コスト、および修理が完了するまでの非稼働時間による機会損失は甚大である。そのため、遊技機に誤接続を行った場合の遊技機の破損を防止する技術が求められている。
【0004】
特許文献1には、遊技機内に保護基板を設け、所定の範囲を超える電圧が印加された場合に保護基板のヒューズが切断されることによって、遊技機と外部電源との間の電気接続を遮断する技術が開示されている。この構成によれば、電源の誤接続によって遊技機に過電圧が印加された場合の遊技機の破損を抑制することができる。さらに、この技術では保護基板は遊技機内において着脱可能に設けられるため、保護基板のヒューズが切断された場合には保護基板ごと交換することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−65967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、保護基板は遊技機の内部に設けられているため、保護基板の遮断機能が作動した際に、ヒューズが飛散すること等によって遊技機の他の電気部品(例えば、筐体、メイン制御基板又はサブ制御基板)まで破損する場合がある。すなわち、保護基板が過電圧による遊技機の電気的な破損を防いだ場合であっても、保護基板自身が遊技機を物理的に汚染又は破壊する場合がある。また、遊技機内における保護基板の取り付け可能な位置および方法には制約が大きいため、既存の遊技機に事後的に保護基板を取り付けることは容易ではない。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みて行われたものであって、過電圧による遊技機の破損を従来よりも効果的に抑制することが可能であり、かつ容易に取り付けおよび交換が可能な遊技機の保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、外部電源から電力供給を受けることによって駆動される遊技機に用いるための保護装置であって、前記外部電源に電気的に接続される入力部と、前記遊技機に電気的に接続される出力部と、前記入力部と前記出力部とを電気的に接続するとともに、前記入力部から印加される電圧が閾値電圧を超えた場合に、前記入力部と前記出力部とを電気的に遮断する過電圧遮断部と、を備え、前記遊技機の外部において、前記保護装置の少なくとも一部が前記外部電源と前記遊技機との間に着脱可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る遊技機の保護装置は、該遊技機の外部において、外部電源と遊技機との間に着脱可能に構成されているため、容易に取り付けおよび交換することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る保護装置が接続された遊技機の前面図および背面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る保護装置の接続関係を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る保護装置の斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る保護基板の回路図である。
図5】本発明の一実施形態に係る保護装置が接続された遊技機の前面図および背面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る保護基板の回路図である。
図7】本発明の一実施形態に係る保護装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。なお、以下で説明する図面で、同機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略することもある。
【0012】
(第1の実施形態)
図1(a)は保護装置100が接続された遊技機900(パチンコ機)の前面図であり、図1(b)は保護装置100が接続された遊技機900の背面図である。遊技機900は、前面側に遊技盤910およびハンドル920を備え、背面側に電源ユニット930および不図示の制御基板を備える。本実施形態において遊技機900の定格電圧は交流24Vであるが、本発明はこの具体的な値に限定されるものではなく、その他の定格電圧でもよい。
【0013】
外部電源950は、遊技機900が固定される設備(島)に設置され、電源ケーブル940を介して交流24Vを遊技機900の電源ユニット930に供給する。外部電源950の出力端子951は、電源ユニット930と外部電源950とを電気的に接続させるための経路である電源ケーブル940の入力端子941に接続される。
【0014】
電源ユニット930は、外部電源950から電源ケーブル940を介して供給される交流電圧(24V)を直流電圧(5V、12V等)に変換し、遊技機900の各電気部品に供給するように構成されている。電源ユニット930の入力端子931は、電源ケーブル940の出力端子942に接続される。電源ユニット930は任意の形状を有してよく、例えば箱状の電源ボックス又は基板状の電源基板である。
【0015】
保護装置100は、電源ユニット930の入力端子931と、電源ケーブル940の出力端子942との間に、着脱可能(すなわち、任意に取り付け、また取り外すことが可能)に接続される。そのため、外部電源950からの交流電圧は、電源ケーブル940と保護装置100とを介して、遊技機900の電源ユニット930に印加される。保護装置100は、外部電源950から、遊技機900の定格電圧よりも大きい所定の値を超える電圧が印加された場合に、外部電源950と遊技機900の電源ユニット930との間の電気接続を切断(遮断)するように構成されている。本実施形態において保護装置100は電源ユニット930の入力端子931に直接接続されるが、保護装置100と電源ユニット930の入力端子931とはケーブルを介して接続されてもよい。
【0016】
図2は、遊技機900、保護装置100および外部電源950の接続を示すブロック図である。図2に示すように、保護装置100は、遊技機900の外部において電源ユニット930と外部電源950との間に着脱可能に接続されている。これにより、保護装置100を遊技機900に新たに取り付けることが容易であり、保護装置100の遮断機能が作動した際には保護装置100の状態を容易に確認して交換することができる。ここで、遊技機900の外部とは、少なくとも遊技機900の背面から遊技機900の外側に向かって離間した空間を指す。例えば、本実施形態のように電源ユニット930を介して保護装置100が固定されている場合、保護装置100は遊技機900の外部に設けられていることになる。すなわち、遊技機900は、弾球遊技機(パチンコ機)であるので、背面側(釘が打ち付けられた盤面と対向する面)が解放されているが、保護装置100は、上記背面を基準にすると遊技機900の内側(該背面よりも盤面側)と反対側に位置するので、保護装置100は遊技機900の外部に設けられていると言える。
一方、遊技機が回胴遊技機(パチスロ機)の場合は、遊技機の背面側は板により、電源ユニット930に接続された電源ケーブル940の入力端子941を外部電源950に接続させるよう電源ユニット930の少なくとも一部を露出した形で閉じられている。この形態においても、保護装置100は、上記背面側の板を基準にすると遊技機の内側と反対側に位置するので、保護装置100は遊技機の外部に設けられていると言える。
【0017】
図3(a)は、保護装置100を入力側、すなわち外部電源950に接続される側から見た斜視図である。図3(b)は、保護装置100を出力側、すなわち遊技機900の電源ユニット930に接続される側から見た斜視図である。
【0018】
保護装置100は、筐体110と、電力の入力部としての2本のプラグ120と、電力の出力部としての2穴のソケット130と、筐体110の少なくとも一部に設けられた窓140とを備える。筐体110は、樹脂等の絶縁性材料で形成されている。筐体110の内部には過電圧印加時に電気接続を遮断する保護基板150が設けられており、窓140から保護基板150の状態を視認可能である。
【0019】
プラグ120は、商用電源のプラグと同一形状を備え、電源ケーブル940を介して外部電源950に着脱可能に接続される。ソケット130は、筐体110におけるプラグ120の裏面に設けられ、遊技機900の電源ユニット930に着脱可能に接続される。本実施形態では、プラグ120およびソケット130は汎用的な2つの電極を備えている。そのため、既存の遊技機900および外部電源950を変更することなく、保護装置100を利用することができる。プラグ120およびソケット130はこの構成に限定されず、遊技機900と外部電源950との間に挿設可能な任意の構成でよい。例えば、入力部および出力部の凸凹が逆でもよく、又は入力部および出力部が共に平面状の電極でもよい。さらに、接地電極を含むプラグ120およびソケット130を用いても良い。
【0020】
窓140は、可視光の少なくとも一部に対して透明若しくは半透明であり、例えば、アクリル、ポリカーボネート、塩化ビニル等の材料を用いて形成される。これにより、ユーザ(例えば設置作業者)が窓140を介して保護基板150の状態、すなわち遮断機能が作動したか否かを視認することができる。また、筐体110と窓140とが保護基板150を覆っているため、保護基板150自体を外部環境から物理的に保護することができ、また保護基板150の遮断機能作動時に外部環境に汚染又は破壊が及ぶことを物理的に抑制することができる。窓140による物理的な保護機能がなくてよい場合には、窓140を省略して保護基板150を直接視認できるように保護装置100を構成してもよい。
【0021】
特許文献1に記載の従来技術において、保護基板は遊技機内部に設置されている。遊技機内部においては、保護基板の取り付け可能な位置の制約が大きく、一般的に保護基板はユーザから視認し難い位置に設置せざるを得ない。例えば、遊技機背面側の奥まった位置に保護基板が設置された場合、ユーザは保護基板による遮断機能の作動を視認し難い。それに対して、本実施形態に係る保護装置100は、遊技機900の外部に設けられるため、保護装置100の外側から保護基板150を視認し易い。このため、誤接続を行って保護基板による遮断機能が作動したことをユーザが容易に確認することができる。
また、特許文献1では、保護基板が上述のように奥まった位置に設置されているが、保護基板のヒューズ切断の音によりユーザが、上述のように保護基板の作動を視認しづらいが上記遮断機能がなされたことを認知することができるかもしれない。しかしながら、遊技機900が置かれている環境によっては、上記ヒューズ切断の音が掻き消されてユーザに聞こえない場合も有り得る。これに対して、本実施形態では、上述のように容易にユーザが、遮断機能が発せられたことを視認することができるので、たとえ遊技機900の設置環境が騒々しいものであっても、上記遮断機能が発せられたことを認知することができる、すなわち、設置された遊技機900の音環境によらず、容易に上記遮断がなされたか否かをユーザが認識することができる。
【0022】
図4は、保護装置100が備える保護基板150の回路図である。保護基板150は、プラグ120に電気的に接続される入力端子CN1と、ソケット130に電気的に接続される出力端子CN2と、入力端子CN1と出力端子CN2との間を電気的に接続する導電性のラインL1、L2とを備える。
【0023】
入力端子CN1と出力端子CN2との間には、過電圧を検出した場合に電気接続を遮断する過電圧遮断部E1が設けられる。過電圧遮断部E1は、接続切断部としてのヒューズF1と、過電圧検出部としてのサージアブソーバS1とを備える。
【0024】
サージアブソーバS1は、ラインL1とラインL2との間に接続される。過電圧検出部として、サージアブソーバ以外に、バリスタやサイリスタ等、所定範囲を超える電圧を検出して電流を流す任意の部品を用いることができる。接続切断部としてのヒューズF1は、ラインL2上で入力端子CN1とサージアブソーバS1との間に設けられる。
【0025】
過電圧遮断部E1は、閾値電圧V1を超える電圧が印加される場合に電気接続を遮断するように構成される。より具体的には、サージアブソーバS1に降伏電圧である閾値電圧V1より大きい電圧が印加されると、サージアブソーバS1の抵抗値が降下して大電流が流れ、ヒューズF1が溶断する。これにより、定格電圧が24Vである遊技機900に100Vの電源が誤って接続された場合に、保護基板150において過電圧遮断部E1が電気接続を遮断するため、過電圧(閾値電圧V1よりも大きな電圧)の印加による遊技機900の破損を抑制することができる。一方、サージアブソーバS1に印加される電圧が閾値電圧以下である場合には、サージアブソーバS1は高抵抗となり、ヒューズF1は溶断せずに、遊技機900に電源電圧が印加される。
【0026】
閾値電圧V1は、24V以上100V未満に設定される。これにより、遊技機市場における定格電圧24Vの電源と定格電圧100Vの電源との混在による誤接続に起因する遊技機の破損を低減することができる。電源からの電圧は+−10%程度の範囲で変動するため、保護装置100に24Vの電源が接続された場合に、最大で26.4Vの電圧が印加され得る。したがって、電圧の変動による遮断を避けるために閾値電圧V1は26.4V以上であることが望ましい。換言すると、閾値電圧V1は遊技機900の定格電圧以上であり、電圧の変動を加味して定格電圧に10%を加算した数値以上であることが望ましい。
【0027】
遊技機900には、その値を超えた場合に故障し得る最大定格電圧が存在する。最大定格電圧は、電圧の変動範囲よりも大きく設定され、一般的には定格電圧の+30%程度である。そのため、閾値電圧V1は、24Vに30%を加算した31.2V未満であることがより望ましい。換言すると、閾値電圧V1は、遊技機900の定格電圧に30%を加算した数値未満であることが望ましい。すなわち、閾値電圧V1は、遊技機900の最大定格電圧未満であることが望ましい。
【0028】
環境が暗い等の状況により、ユーザはヒューズF1が溶断したか否かを判定しづらい場合がある。そのため、保護装置100は、さらに不図示のLED、白熱電球等の表示部を備えることが望ましい。該表示部は、ラインL1、L2に電流が流れているときは発光し、流れていないときは消光するように保護基板150上に実装される。これにより、ユーザは窓140を介して、該表示部の発光/消光に基づいて保護基板150の遮断機能が作動したか否かを容易に判定することができる。
【0029】
本実施形態に係る保護基板150は例示的な構成であり、過電圧(閾値電圧V1よりも大きい電圧)が印加された際に電気接続を遮断することが可能であれば任意の構成でよい。
【0030】
本実施形態に係る保護基板150は2本の電力線のみを入出力する構成を有するが、プラグ120およびソケット130にさらにグランド線が接続される場合には、保護基板150上にさらにグランド線を接続するためのラインを設けてもよい。
【0031】
本実施形態では、保護装置100は遊技機900の外部に設けられているため、遊技機900へ新たに取り付けることが容易であり、保護装置100の遮断機能が作動した際には保護装置100の状態を容易に確認し、交換することができる。また、保護装置100には可視光の少なくとも一部に対して透明な窓140が設けられているため、ユーザは窓140を介して保護装置100内部の保護基板150の状態を視認可能であり、かつ保護基板150上のヒューズが溶断した場合に周囲が汚染又は破壊されることを抑制することができる。
【0032】
また、本実施形態では保護装置100に一般的な接続方式であるプラグ120およびソケット130を採用しているため、既存の遊技機900および外部電源950を変更することなく、保護装置100を利用することができる。
【0033】
また、本実施形態では保護基板150に電気的制御が不要なヒューズF1およびサージアブソーバE1を含む単純な回路を用いているため、保護装置100の製造および導入を低コストで行うことができる。
【0034】
(第2の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態とは保護装置100の遊技機に対する取り付け箇所が異なる。図3に記載の保護装置100は第1の実施形態にも本実施形態にも適用可能であるため、保護装置100の構成は共通である。
【0035】
本実施形態では、保護装置100は、電源ケーブル940の入力端子941と外部電源950の出力端子951との間に、着脱可能に接続される。一方、電源ユニット930の入力端子931と、電源ケーブル940の出力端子942とは直接接続される。入力端子931および出力端子942を介さずに、電源ケーブル940を電源ユニット930上に直接設けてもよい。
【0036】
本実施形態は、第1の実施形態が奏する効果に加えて、さらに以下の効果を奏する。日本においては、遊技機に変更を行う場合に行政機関への届出を行うことが義務づけられている。そのため、遊技機が設置される風俗営業所において、遊技機の付属物の交換等の変更を行った場合には、営業者は行政機関に届出書を提出しなければならない。
【0037】
電源ケーブル940が遊技機900に付随して流通する場合、遊技機900から電源ケーブル940までが一つの設備とみなされる。したがって、第1の実施形態では遊技機900の電源ユニット930と電源ケーブル940との間に保護装置100が設けられているため、保護装置100を新たに取り付ける際および保護装置100を交換する際に該届出が必要となる。それに対して、本実施形態は、保護装置100が電源ケーブル940と外部電源950との間に設けられる形態であるため、電源ケーブル940が遊技機900に接続された状態で流通させる場合であっても、風俗営業所に該電源ケーブル940付遊技機900が導入された後に、保護装置100を該電源ケーブル940に取り付けることができる。従って、保護装置100を新たに取り付ける際および保護装置100を交換する際に該届出を行う必要がない。このように本実施形態では行政機関への届出が不要となるため、保護装置100を既存の遊技機900に導入することがさらに容易となり、かつ保護装置100を交換する際に生じ得るコストを低減することができる。
【0038】
(第3の実施形態)
図6は、第3実施形態に係る保護回路150’の回路図である。保護基板150’以外の構成は、第1、第2実施形態の構成と略同様である。本実施形態に係る保護回路150’は、電源遮断のためのトライアックT1、フォトカプラP1、整流ダイオードD1〜D4、リップル除去のための抵抗R1、コンデンサC1、電圧検出用のツェナーダイオードZ1、トランジスタQ1、Q2、通電表示用のパイロットランプPL1等を備えている。
【0039】
整流ダイオードD1〜D4はいわゆるブリッジ接続され、ラインL1、L2間に印加された交流を直流に整流する全波整流回路である。ダイオードD1、D2の接続点とダイオードD3、D4の接続点に交流電圧が印加されると、ダイオードD1、D4の接続点を接地電位として、ダイオードD2、D3の接続点から正電圧が出力される。ダイオードD2、D3の接続点は抵抗R1を介してコンデンサC1に接続されている。抵抗R1およびコンデンサC1によってリップル電圧が除去され、平滑された直流電圧VdcがツェナーダイオードZ1のカソードに印加される。
【0040】
ツェナーダイオードZ1はいわゆる定電圧ダイオードであって、逆バイアス接続時においてアノードおよびカソード間の電圧は一定となる。このため、直流電圧VdcからツェナーダイオードZ1の定電圧Vzを差し引いた電圧がトランジスタQ1のゲートに印加される。ここで、閾値電圧V1とすると、トランジスタQ1のゲート電圧Vgは式(1)で表される。
【0041】
【数1】
【0042】
上式において、右辺第1項は全波整流回路における実効電圧を示し、右辺第2項はダイオードD1〜D4における電圧降下を示している。ゲート電圧Vgの閾値電圧を0.7Vとすると、ツェナーダイオードZ1の定電圧Vzと閾値電圧V1との関係は式(2)にて表される。
【0043】
【数2】
【0044】
例えば、閾値電圧V1を24Vに設定する場合には、定電圧Vz=15VのツェナーダイオードZ1を選択すれば良い。このように、ツェナーダイオードZ1の定電圧Vzを適宜選択することにより、所望の閾値電圧V1を設定することができる。
【0045】
ツェナーダイオードZ1のアノードはトランジスタQ1のベースに接続されている。電源電圧Vacが閾値電圧V1以下である場合には、トランジスタQ1のゲート電圧Vgがオン電圧(0.7V)以下となり、トランジスタQ1はオフとなる。トランジスタQ1がオフとなると、トランジスタQ1のコレクタのコレクタ電圧はハイレベルとなり、トランジスタQ2はオンとなる。一方、電源電圧Vacが閾値電圧V1を超えた場合には、トランジスタQ1がオン、トランジスタQ2がオフとなる。
【0046】
トランジスタQ2のコレクタは抵抗R4を介してフォトカプラP1に接続されている。フォトカプラP1は発光ダイオードD5、フォトトライアックT2を備え、発光ダイオードD5とフォトトライアックT2とは密閉されたパッケージ内において電気的に遮断されて設けられている。電源電圧Vacが閾値電圧V1以下の場合には、トランジスタQ2がオンとなり、発光ダイオードD5に電流が流れ、発光ダイオードD5から発せられた光がフォトトライアックT2のゲートに照射される。ゲートに光が照射されることにより、フォトトライアックT2はオンとなり、交流電流がフォトトライアックT2を流れる。同時に、トライアックT1のゲートに電流が流れ、トライアックT1がオンとなり、電源電圧Vacが遊技機900に印加される。一方、電源電圧Vacが閾値電圧V1を超えた場合には、トランジスタQ2がオフとなり、発光ダイオードD5には電流が流れなくなる。そして、フォトトライアックT2はオフとなり、トライアックT1もオフとなる。この結果、遊技機900への電源電圧Vacが遮断され、過電圧による遊技機900の故障を回避することができる。
【0047】
パイロットランプPL1は交流電圧によって発光可能なネオン管を有しており、保護装置100の窓140から視認できる位置に設けられている。電源電圧が遊技機900に印加されている場合にはパイロットランプPL1は点灯し、電源電圧が遮断されている場合に消灯する。これにより、ユーザは保護装置100が遮断状態であるか否かを容易に判断することができる。
【0048】
第1の実施形態に係る保護基板150ではヒューズF1を用いて遮断機能を実装しているため、回路が単純であり製造コストが安価であるという利点があるが、遮断機能が作動した場合には保護装置100の交換が必要となる。それに対して、本実施形態に係る保護基板150では、回路が複雑であるが、遮断機能が作動しても保護基板150は損なわれないため、保護装置100の交換を要しないという利点がある。
【0049】
(第4の実施形態)
本実施形態に係る保護装置200は、第1の実施形態と同様の遮断機能を有するが、取り付け方式が異なる。図7は、保護装置200を入力側、すなわち外部電源950に接続される側から見た斜視図である。
【0050】
保護装置200は、自由ユニット200aと固定ユニット200bとを備える。固定ユニット200bは遊技機900の電源ユニット930と外部電源950との間に接続される。自由ユニット200aは、固定ユニット200bに着脱可能である。自由ユニット200aが固定ユニット200bに取り付けられた状態において、保護装置200は第1の実施形態に係る保護装置100と同様の遮断機能を実行することができ、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。一方、自由ユニット200aが固定ユニット200bから取り外された状態において、遊技機900の電源ユニット930と外部電源950との間の電気的接続は絶たれる。
【0051】
自由ユニット200aは、第1の筐体210と、電力の入力部(又は出力部)としての電極260と、第1の筐体210の少なくとも一部に設けられた窓140とを備える。第1の筐体210は、樹脂等の絶縁性材料で形成されている。第1の筐体210の内部には過電圧印加時に電気接続を遮断する保護基板150が設けられており、窓140から保護基板150の状態を視認可能である。窓140および保護基板150の構成は第1の実施形態と同様である。窓140は、自由ユニット200aが固定ユニット200bにセットされた状態で、第1の筐体210上の外部に露出する面に設けられる。保護基板150の入力端子CN1、出力端子CN2は、電極260に電気的に接続されている。
【0052】
自由ユニット200aの固定ユニット200bからの取り外しを容易にするために、第1の筐体210に突起部を設けることが望ましい。該突起部は、自由ユニット200aが固定ユニット200bにセットされた状態で、第1の筐体210上の外部に露出する面に設けられる。ユーザは、該突起部を引っ張ることによって固定ユニット200bから自由ユニット200aを容易に取り外すことが可能になる。
【0053】
固定ユニット200bは、第2の筐体270と、自由ユニット200aを挿入するためのスロット280とを備える。固定ユニット200bは、遊技機900の電源ユニット930および外部電源950に電気的に接続されたケーブル290に接続される。第2の筐体270は、樹脂等の絶縁性材料で形成されている。
【0054】
スロット280は第2の筐体270上に設けられた凹部および貫通部の少なくとも一方であり、スロット280の内壁は自由ユニット200a(第1の筐体210)に嵌合する形状を有している。スロット280の内壁には不図示の電極が設けられており、該電極はケーブル290に電気的に接続されている。さらに、該電極は、自由ユニット200aがスロット280に挿入された場合に、自由ユニット200aの電極260に電気的に接続されるように構成される。そのため、ケーブル290は、自由ユニット200aがスロット280に挿入された場合に、スロット280内壁上の電極を介して、自由ユニット200aの電極260に電気的に接続される。
【0055】
本実施形態では、ケーブル290は第2の筐体270に直接接続されているが、プラグおよびソケットを介して接続されてもよい。保護装置200の固定ユニット200bは、遊技機900の電源ユニット930と電源ケーブル940との接続部分に設けられてもよく、電源ケーブル940の途中に設けられてもよく、外部電源950と電源ケーブル940との接続部分に設けられてもよい。
【0056】
第1の実施形態に係る保護装置100は汎用的な接続端子(すなわち、プラグ120およびソケット130)を採用しているため、既存の遊技機を変更することなく適用できるという利点がある反面、保護装置100を介さずに外部電源950と遊技機900とを接続することが可能である。ユーザが保護装置100を介さずに外部電源950と遊技機900とを接続してしまった場合に、結果として誤接続による遊技機900の破損が発生するおそれがある。それに対して、本実施形態では自由ユニット200aを固定ユニット200bにセットしない限り外部電源950と遊技機900とが電気的に接続されないため、ユーザが保護装置200を使用し忘れることがないという効果がある。
【0057】
本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0058】
100、200 保護装置
110、210、270 筐体
120 プラグ
130 ソケット
140 窓
150、150’ 保護基板
200a 自由ユニット
200b 固定ユニット
260 電極
280 スロット
900 遊技機
930 電源ユニット
940 電源ケーブル
950 外部電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7