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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-223539(P2015-223539A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】水処理装置及び水処理方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 61/04 20060101AFI20151117BHJP
   C02F 1/60 20060101ALI20151117BHJP
   C02F 1/42 20060101ALI20151117BHJP
   C02F 1/46 20060101ALI20151117BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20151117BHJP
   C02F 1/58 20060101ALI20151117BHJP
【FI】
   B01D61/04
   C02F1/60
   C02F1/42 E
   C02F1/46 Z
   C02F1/44 A
   C02F1/44 D
   C02F1/58 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-108625(P2014-108625)
(22)【出願日】2014年5月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 展行
(72)【発明者】
【氏名】沖野 進
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英夫
(72)【発明者】
【氏名】中小路 裕
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 茂
(72)【発明者】
【氏名】小松 智美
【テーマコード(参考)】
4D006
4D025
4D038
4D061
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006KA02
4D006KA52
4D006KA55
4D006KA72
4D006KB04
4D006KB11
4D006KB12
4D006KB13
4D006KB14
4D006KB15
4D006KB17
4D006KB20
4D006KE12P
4D006KE15P
4D006PA01
4D006PB08
4D006PB23
4D006PC02
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4D025AA09
4D025AB20
4D025BA09
4D025BA10
4D025BA14
4D025BA15
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4D025BA24
4D025BB04
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4D025CA10
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4D025DA02
4D025DA04
4D025DA05
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4D038AA08
4D038AB57
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4D038BB06
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4D038BB09
4D038BB13
4D038BB17
4D038BB18
4D038BB20
4D061DA01
4D061DB09
4D061EA02
4D061EB05
4D061EB27
4D061EB30
4D061FA06
4D061FA07
4D061FA08
4D061FA09
4D061FA11
4D061FA13
4D061FA14
4D061FA20
(57)【要約】
【課題】被処理水中の溶解性シリカを効率良く除去できる水処理装置及び水処理方法を提供すること。
【解決手段】本発明の水処理装置1は、下記一般式(1)で表されるアルミン酸イオン濃度及びpHがそれぞれ所定範囲内である被処理水W1中から、被処理水W1中に溶存する溶解性シリカを析出させる溶解性シリカ析出部13と、被処理水W1と析出させた溶解性シリカとを分離して被処理水W1から溶解性シリカを除去された被処理水W1を得る固液分離部14と、固液分離部14で溶解性シリカが除去された被処理水W1を逆浸透膜30aで濾過する逆浸透膜濾過部30とを備えたことを特徴とする。
[Al(OH) ・・・式(1)
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるアルミン酸イオン濃度及びpHがそれぞれ所定範囲内である被処理水中から、前記被処理水中に溶存した溶解性シリカを析出させる溶解性シリカ析出部と、
前記被処理水と析出させた前記溶解性シリカとを分離して前記被処理水から前記溶解性シリカを除去された被処理水を得る固液分離部と、
前記固液分離部で溶解性シリカが除去された前記被処理水を逆浸透膜で濾過する逆浸透膜濾過部とを備えたことを特徴とする、水処理装置。
[Al(OH) ・・・式(1)
【請求項2】
前記被処理水にアルミン酸イオン添加剤を添加するアルミン酸イオン添加部を備えた請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記アルミン酸イオン添加剤が、アルミン酸ナトリウムである、請求項2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記被処理水にpH調整剤を添加して前記被処理水をpH5.5以上にするpH調整剤添加部を備えた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項5】
予め析出させた前記被処理水に含まれる溶解性シリカを種物質として前記被処理水に添加する種物質添加部を備えた、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項6】
前記被処理水にマグネシウムイオン添加剤を添加するマグネシウムイオン添加部を備えた、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項7】
前記被処理水の一部を電解して発生したアルミン酸イオン含有水を前記被処理水に前記アルミン酸イオン添加剤として添加する電解装置を備えた、請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項8】
前記逆浸透膜濾過部に供給される前記被処理水に含まれるアルミニウムイオンを除去するアルミニウムイオン処理部を備えた、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項9】
前記アルミニウムイオン処理部内に設けられたイオン交換樹脂により前記アルミニウムイオンを除去する、請求項8に記載の水処理装置。
【請求項10】
前記アルミニウムイオン処理部内の前記被処理水にキレート剤を添加して前記アルミニウムイオンを除去する、請求項8又は請求項9に記載の水処理装置。
【請求項11】
前記逆浸透膜濾過部に導入する被処理水のアルミニウムイオン濃度を測定するアルミニウムイオン濃度測定装置と、
前記アルミニウムイオン濃度測定装置によって測定されたアルミニウムイオン濃度に基づいて前記アルミン酸イオンの濃度、前記被処理水のpH、前記アルミニウムイオン処理部内に添加する前記キレート剤の添加量、及び前記イオン交換樹脂の処理の少なくとも一つを制御する制御装置とを備えた、請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項12】
下記一般式(1)で表されるアルミン酸イオン濃度及びpHがそれぞれ所定範囲内である被処理水中から、前記被処理水中に溶存した溶解性シリカを析出させる析出工程と、
前記被処理水と析出させた前記溶解性シリカとを固液分離して前記被処理水から前記溶解性シリカを除去された被処理水を得る固液分離工程と、
前記固液分離により溶解性シリカが除去された前記被処理水を逆浸透膜濾過部で濾過する濾過工程とを含むことを特徴とする、水処理方法。
[Al(OH) ・・・式(1)
【請求項13】
前記被処理水にアルミン酸イオン添加剤を添加する、請求項12に記載の水処理方法。
【請求項14】
前記アルミン酸イオン添加剤が、アルミン酸ナトリウムである、請求項13に記載の水処理方法。
【請求項15】
前記被処理水にpH調整剤を添加して前記被処理水をpH5.5以上にする、請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の水処理方法。
【請求項16】
予め析出させた前記被処理水に含まれる溶解性シリカを種物質として前記被処理水に添加する、請求項12から請求項15のいずれか1項に記載の水処理方法。
【請求項17】
前記被処理水にマグネシウムイオン添加剤を添加する、請求項12から請求項16のいずれか1項に記載の水処理方法。
【請求項18】
前記被処理水の一部を電解して発生したアルミン酸イオン含有水を前記被処理水に前記アルミン酸イオン添加剤として添加する、請求項12から請求項17のいずれか1項に記載の水処理方法。
【請求項19】
前記逆浸透膜濾過部に供給される前記被処理水に含まれるアルミニウムイオンをアルミニウムイオン処理部で除去する、請求項12から請求項18のいずれか1項に記載の水処理方法。
【請求項20】
前記被処理水精製部に導入する被処理水のアルミニウムイオン濃度を測定し、測定したアルミニウムイオン濃度に基づいて前記アルミン酸イオンの濃度、前記被処理水のpH、前記アルミニウムイオン処理部内に添加するキレート剤の添加量、及びイオン交換樹脂の処理の少なくとも一つを制御する、請求項12から請求項19のいずれか1項に記載の水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置及び水処理方法に関し、特に、被処理水中の溶解性シリカを効率良く除去可能な水処理装置及び水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体デバイスの製造工程の化学・機械的研磨(CMP)プロセスで排出される排水中から溶解性シリカを除去する排水処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この排水処理方法では、溶解性シリカを含有する排水を凝固剤で処理して溶解性シリカを凝集させた後、凝集させた溶解性シリカを精密ろ過膜で除去する。そして、精密ろ過膜を定期的にフラッシングすることにより、精密ろ過膜の膜表面から固形物として被処理水中の溶解性シリカを除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5904853号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の排水処理方法では、凝固剤を添加して溶解性シリカを凝集させて除去するので、必ずしも十分に溶解性シリカの濃度を低減できない場合がある。また、特許文献1では、アルミン酸ナトリウムなどを添加して溶解性シリカを除去する方法も検討されているが、アルミニウム化合物を用いると排水中のアルミニウム濃度が増大して後段に設けられた逆浸透膜装置などの精製装置に悪影響を与える場合がある。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、被処理水中の溶解性シリカを効率良く除去できる水処理装置及び水処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の水処理装置は、下記一般式(1)で表されるアルミン酸イオン濃度及びpHがそれぞれ所定範囲内である被処理水中から、前記被処理水中に溶存した溶解性シリカを析出させる溶解性シリカ析出部と、前記被処理水と析出させた前記溶解性シリカとを分離して前記被処理水から前記溶解性シリカを除去された被処理水を得る固液分離部と、前記固液分離部で溶解性シリカが除去された前記被処理水を逆浸透膜で濾過する逆浸透膜濾過部とを備えたことを特徴とする。
[Al(OH) ・・・式(1)
【0007】
この水処理装置によれば、pHが所定範囲の被処理水中に存在するアルミン酸イオンと溶解性シリカとが反応した化合物が被処理水中に析出するので、凝集剤を用いて溶解性シリカを凝集させて除去する場合と比較して被処理水中の溶解性シリカを効率良く除去することが可能となる。したがって、被処理水中の溶解性シリカを効率良く除去でき、しかも、逆浸透膜濾過装置へのアルミニウムイオンの影響を低減できる水処理装置を実現できる。
【0008】
本発明の水処理装置においては、前記被処理水にアルミン酸イオン添加剤を添加するアルミン酸イオン添加部を備えたことが好ましい。
【0009】
本発明の水処理装置においては、前記アルミン酸イオン添加剤が、アルミン酸ナトリウムであることが好ましい。
【0010】
本発明の水処理装置においては、前記被処理水にpH調整剤を添加して前記被処理水をpH5.5以上にするpH調整剤添加部を備えたことが好ましい。
【0011】
本発明の水処理装置においては、予め析出させた前記被処理水に含まれる溶解性シリカを種物質として前記被処理水に添加する種物質添加部を備えたことが好ましい。
【0012】
本発明の水処理装置においては、前記被処理水にマグネシウムイオン添加剤を添加するマグネシウムイオン添加部を備えたことが好ましい。
【0013】
本発明の水処理装置においては、前記被処理水の一部を電解して発生したアルミン酸イオン含有水を前記被処理水に前記アルミン酸イオン添加剤として添加する電解装置を備えたことが好ましい。
【0014】
本発明の水処理装置においては、前記逆浸透膜濾過部に供給される前記被処理水に含まれるアルミニウムイオンを除去するアルミニウムイオン処理部を備えたことが好ましい。
この構成により、アルミニウム系の凝集剤を用いずに溶解性シリカを除去できるので、処理水中のアルミニウム濃度を低減することが可能となる。
【0015】
本発明の水処理装置においては、前記アルミニウムイオン処理部内に設けられたイオン交換樹脂により前記アルミニウムイオンを除去することが好ましい。
【0016】
本発明の水処理装置においては、前記アルミニウムイオン処理部内の前記被処理水にキレート剤を添加して前記アルミニウムイオンを除去することが好ましい。
【0017】
本発明の水処理装置においては、前記逆浸透膜濾過部に導入する被処理水のアルミニウムイオン濃度を測定するアルミニウムイオン濃度測定装置と、前記アルミニウムイオン濃度測定装置によって測定されたアルミニウムイオン濃度に基づいて前記アルミン酸イオンの濃度、前記被処理水のpH、前記アルミニウムイオン処理部内に添加する前記キレート剤の添加量、及び前記イオン交換樹脂の処理の少なくとも一つを制御する制御装置とを備えたことが好ましい。
【0018】
本発明の水処理方法は、下記一般式(1)で表されるアルミン酸イオン濃度及びpHがそれぞれ所定範囲内である被処理水中から、前記被処理水中に溶存した溶解性シリカを析出させる析出工程と、前記被処理水と析出させた前記溶解性シリカとを固液分離して前記被処理水から前記溶解性シリカを除去された被処理水を得る固液分離工程と、前記固液分離により溶解性シリカが除去された前記被処理水を逆浸透膜濾過部で濾過する濾過工程とを含むことを特徴とする。
[Al(OH) ・・・式(1)
【0019】
この水処理方法によれば、pHが所定範囲の被処理水中に存在するアルミン酸イオンと溶解性シリカとが反応した化合物が被処理水中に析出するので、凝集剤を用いて溶解性シリカを凝集させて除去する場合と比較して被処理水中の溶解性シリカを効率良く除去することが可能となる。したがって、被処理水中の溶解性シリカを効率良く除去でき、しかも、逆浸透膜濾過装置へのアルミニウムイオンの影響を低減できる水処理方法を実現できる。
【0020】
本発明の水処理方法においては、前記被処理水にアルミン酸イオン添加剤を添加することが好ましい。
【0021】
本発明の水処理方法においては、前記アルミン酸イオン添加剤が、アルミン酸ナトリウムであることが好ましい。
【0022】
本発明の水処理方法においては、前記被処理水にpH調整剤を添加して前記被処理水をpH5.5以上にすることが好ましい。
【0023】
本発明の水処理方法においては、予め析出させた前記被処理水に含まれる溶解性シリカを種物質として前記被処理水に添加することが好ましい。
【0024】
本発明の水処理方法においては、前記被処理水にマグネシウムイオン添加剤を添加することが好ましい。
【0025】
本発明の水処理方法においては、前記被処理水の一部を電解して発生したアルミン酸イオン含有水を前記被処理水に前記アルミン酸イオン添加剤として添加することが好ましい。
【0026】
本発明の水処理方法においては、前記逆浸透膜濾過部に供給される前記被処理水に含まれるアルミニウムイオンをアルミニウムイオン処理部で除去することが好ましい。この方法により、アルミニウム系の凝集剤を用いずに溶解性シリカを除去できるので、処理水中のアルミニウム濃度を低減することが可能となる。
【0027】
本発明の水処理方法においては、前記被処理水精製部に導入する被処理水のアルミニウムイオン濃度を測定し、測定したアルミニウムイオン濃度に基づいて前記アルミン酸イオンの濃度、前記被処理水のpH、前記アルミニウムイオン処理部内に添加するキレート剤の添加量、及びイオン交換樹脂の処理の少なくとも一つを制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、被処理水中の溶解性シリカを効率良く除去できる水処理装置及び水処理方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態に係る水処理装置の概略図である。
図2図2は、被処理水のpHと被処理水に対する溶解性シリカの溶解度との関係を示す図である。
図3図3は、アルミン酸イオンの存在下での溶解性シリカの溶解性を示す説明図である。
図4A図4Aは、アルミニウムイオン添加後の被処理水のpHとSiOの濃度との関係を示す図である。
図4B図4Bは、アルミニウムイオン添加後の被処理水のpHとSiOの除去率との関係を示す図である。
図5図5は、第1の実施の形態に係る水処理装置におけるアルミニウムの添加率(mol Al/mol SiO)とSiO除去率との関係を示す図である。
図6A図6Aは、マグネシウムイオン添加後の被処理水中のSiOの濃度の関係を示す図である。
図6B図6Bは、アルミニウムイオン添加後の被処理水中のSiOの除去率の関係を示す図である。
図7図7は、本発明の第2の実施の形態に係る水処理装置の概略図である。
図8図8は、本発明の第3の実施の形態に係る水処理装置の概略図である。
図9図9は、本発明の実施の形態に係る溶解性シリカ除去部の概略図である。
図10図10は、本発明の第1の適用例に係る水処理装置の概略図である。
図11図11は、本発明の第2の適用例に係る水処理装置の概略図である。
図12図12は、本発明の第3の適用例に係る水処理装置の概略図である。
図13図13は、本発明の第4の適用例に係る水処理装置の概略図である。
図14図14は、本発明の実施例及び比較例の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
プラント設備の冷却塔などの冷却水においては、ボイラなどから排出された高温の排ガスと冷却水との間での熱交換により冷却水の一部が蒸発するので、冷却水中の溶解性シリカ(SiO2)が濃縮されてスケールとして析出する場合がある。このため、冷却水中に含まれる溶解性シリカを定期的に析出させて除去して溶解性シリカの濃度を低く保つ必要がある。
【0031】
水中の溶解性シリカを除去するための方法としては、例えば、安価なアルミニウム系の凝集剤(Al(SO)及びポリ塩化アルミニウム([Al(OH)nCl−n]m))を用いた凝集沈殿処理が考えられる。一般に、凝集沈殿処理では、アルミニウム系の凝集剤が正に帯電した水酸化アルミニウム(Al(OH):固体)として析出し、この水酸化アルミニウムに水溶液中で負に帯電したコロイドが凝集して沈殿する。ここで、水酸化アルミニウムは、pH8以上の水中では弱く負に帯電し、pH7以下では強く正に帯電する。このため、アルミニウム系の凝集剤を用いた凝集沈殿では、水酸化アルミニウムが負に帯電するpH8以上ではなく、正に帯電するpH7以下で実施されることが一般的である。
【0032】
本発明者らは、pHが所定範囲であると共にアルミン酸イオン濃度が所定範囲であって、溶解性シリカを含有する被処理水においては、アルミン酸イオンと溶解性シリカとの化合物が被処理水中に析出することに着目した。そして、本発明者らは、アルミン酸イオンと溶解性シリカとの化合物が被処理水中に析出させることにより、被処理水中に含まれる溶解性シリカを従来より効率良く被処理水中から除去できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施の形態に限定されるものではなく、適宜変更して実施可能である。また、以下の各実施の形態は、適宜組み合わせて実施可能である。
【0034】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る水処理装置1の概略図である。図1に示すように、本実施の形態に係る水処理装置1は、溶解性シリカを含有する被処理水W1にpH調整剤11aを添加して被処理水W1のpHを所定範囲とするpH調整剤添加部11と被処理水W1に下記一般式(1)で表されるアルミン酸イオン添加剤を添加して被処理水W1のアルミン酸イオンの濃度を所定範囲とするアルミン酸イオン添加部12と、pHが所定範囲でありアルミン酸イオンの濃度が所定範囲である被処理水W1から溶解性シリカを析出させる溶解性シリカ析出部13と、被処理水W1と被処理水W1から析出させた溶解性シリカとを固液分離して処理水W2を得る固液分離部14と、固液分離部14で溶解性シリカが分離された被処理水W1を濾過して処理水W2及び濃縮水W3とする逆浸透膜濾過部30とを備える。pH調整剤添加部11からのpH調整剤11aの添加量及びアルミン酸イオン添加部12からのアルミン酸イオン添加剤12aの添加量は、制御装置21により制御される。
[Al(OH) ・・・式(1)
【0035】
また、本実施の形態に係る水処理装置1は、固液分離部14で分離された析出物15の少なくとも一部を種物質16aとして溶解性シリカ析出部13に添加する種物質添加部16と、pH調整剤添加部11の上流側に設けられたマグネシウムイオン添加部17を備える。なお、種物質添加部16及びマグネシウムイオン添加部17は、被処理水W1中の溶解性シリカ成分を析出できれば必ずしも設ける必要はない。
【0036】
被処理水W1としては、溶解性シリカを含有するものであれば特に制限はなく、例えば、発電所やプラント設備の冷却塔の冷却水(ブローダウン水)及び半導体製造設備の排水、ボイラ補給水、ボイラ向け補給水製造設備からのシリカを含む排水、井戸水、温泉、地熱発電所の復水、温水、工業排水、鉱山廃水及び油ガス随伴水などの鉱業排水、下水及びその処理水、海水、鹹水、地表水などが挙げられる。被処理水としては、被処理水中に含まれる溶解性シリカを効率良く析出する観点から、pHが5.5以上のものを用いることが好ましい。
【0037】
pH調整剤添加部11は、被処理水W1に各種酸及び各種塩基などのpH調整剤11aを添加して被処理水のpHを所定範囲に調整する。pH調整剤としては、塩酸、硫酸、及びクエン酸などの各種酸、並びに、水酸化ナトリウム、及び水酸化カルシウムなどの各種塩基が挙げられる。被処理水W1のpHとしては、被処理水W1に含まれる溶解性シリカを析出できる範囲であれば特に制限はない。
【0038】
アルミン酸イオン添加部12は、被処理水W1中に上記一般式(1)で表されるアルミン酸イオン添加剤を添加する。このアルミン酸イオン添加剤を被処理水W1中に添加することにより、アルミン酸イオン添加剤と被処理水W1中に含まれる溶解性シリカとの化合物(例えば、MgAl[AlSi10(OH)](OH)、NaAlO・(SiOなど)が析出して析出するので、被処理水W1中に含まれる溶解性シリカを効率良く除去することが可能となる。
【0039】
アルミン酸イオン添加剤としては、被処理水W1中でアルミン酸イオンを生成するものであれば特に制限はなく、例えば、アルミン酸ナトリウム(テトラヒドロキシドアルミン酸ナトリウム)、アルミン酸リチウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カルシウム及びアルミン酸マグネシウムなどの各種アルミン酸塩類、並びに、アルミン酸イオン含有水などが挙げられる。これらの中でも、被処理水W1中の溶解性シリカの除去効率の観点から、アルミン酸ナトリウムが好ましい。
【0040】
溶解性シリカ析出部13の構成は、溶解性シリカを析出できるものであれば特に制限はない。溶解性シリカ析出部13は、例えば、所定の撹拌装置が設けられた混合槽を有するものであってもよく、混合槽を有しないものであってもよい。混合槽を有する溶解性シリカ析出部13では、混合槽にpHが所定範囲に調整された被処理水へ必要に応じてアルミン酸イオン添加剤を添加し、撹拌により混合して溶解性シリカを析出させる。これにより、アルミン酸イオン添加剤が急速に均一に混合され、アルミン酸イオンとシリカの反応時間とが凝集することなく数秒〜数十秒程度で溶解性シリカが析出する。撹拌速度は、緩速で撹拌してもよく急速に撹拌してもよい。撹拌速度100rpm以上として急速に撹拌することにより、混合槽の容積を小さくすることもできる。また、混合槽を有しない溶解性シリカ析出部13では、被処理水W1が流れる配管に設けられた枝管から必要に応じてアルミン酸イオン添加剤をライン薬注・ラインミキシングすることにより、配管内で混合する。この場合、配管内にスタティックミキサやエルボなど、流れを乱す部材を設けることにより撹拌効率を向上することができる。
【0041】
なお、本実施の形態において、溶解性シリカの析出とは、溶解性シリカとアルミン酸イオンとの化合物が液中から固体として析出することを意味する。ここで、析出の態様としては、溶解性シリカとアルミン酸イオンとの化合物が非晶質として析出してもよく、結晶として析出してもよい。また、溶解性シリカ析出部13は、溶解性シリカと被処理水W1との固液分離を促進するために凝集剤を用いてもよい。凝集剤としては、アルミニウム塩、鉄塩、高分子凝集剤などが挙げられる。
【0042】
ここで、本実施の形態に係る水処理装置1における被処理水中における溶解性シリカ(SiO)の溶解度について説明する。図2は、被処理水のpHと被処理水に対する溶解性シリカの溶解度との関係を示す図である。なお、図2においては、溶解性シリカを含む水溶液をアルカリ条件下、25℃にて所定SiO濃度になるよう希釈した後、酸を添加してpHを低減させた場合のSiOの析出を観察した結果を示している。図2に示すように、本実施の形態に係る水処理装置1においては、溶解性シリカが析出するSiO濃度は被処理水のpHが9のときに最少となり、pHが9未満又はpHが9超となることにより溶解性シリカが析出するSiO濃度が増大する傾向がある。
【0043】
図3は、アルミン酸イオンの存在下での溶解性シリカの溶解性を示す説明図である。なお、図3に示す例では、図2に示したpH9での溶解性シリカの飽和溶液である200mg/Lの状態でpHを変化させた例を示している。図3の直線Lは、アルミン酸イオン添加剤としてのアルミン酸ナトリウムの飽和溶解度を示している。図3に示すように、アルミン酸ナトリウムの溶解度(対数表示)は、pHと比例関係にあり、pHの増大に伴ってアルミン酸ナトリウムの溶解度も増大する(図3の直線L参照)。ここで、アルミン酸イオンの存在下では、被処理水W1のpHが11,12では、溶解性シリカは溶解した状態を保っているが、pH10では溶解性シリカが析出物として析出する。つまり、アルミン酸イオンの存在下では、図2に示した溶解性シリカの飽和溶解度以下の状態でも、溶解性シリカが析出物として析出する(図2及び図3の点P1参照)。この結果は、アルミン酸ナトリウムと溶解性シリカとが化合物を形成したために、溶解性シリカの溶解度が低下してアルミン酸ナトリウムと溶解性シリカとの化合物が析出物として析出したためと考えられる。
【0044】
図4Aは、アルミニウムイオン添加後の被処理水W1のpHとSiOの濃度との関係を示す図であり、図4Bは、アルミニウムイオン添加後の被処理水W1のpHとSiOの除去率との関係を示す図である。なお、図4A及び図4Bに示す例では、温度25℃で被処理水中のSiOの濃度を40mg/Lとし、アルミニウム濃度を10mg/L、30mg/L及び60mg/Lとした例について示している。図4A及び図4Bに示すように、被処理水中のアルミニウム濃度が10mg/Lである場合に対して、30mg/Lでは被処理水W1中のSiOの濃度が大幅に低下すると共に、SiOの除去率が大幅に向上することが分かる。また、被処理水W1中のアルミニウム濃度が30mg/Lである場合と60mg/Lである場合とは同等のSiOの濃度及び除去率が得られることが分かる。この結果から、被処理水W1中のアルミニウム濃度は、10mg/L以上で溶解性シリカの除去効果が得られ、溶解性シリカの除去効率の観点及び必要に応じて添加するアルミン酸イオン添加剤の使用量の削減の観点から、20mg/L以上が好ましく、30mg/L以上がより好ましいことが分かる。
【0045】
また、アルミニウムイオン添加後の被処理水W1のpHが5.5未満の範囲では、SiOの濃度が高くなる傾向となる一方で、pHが5.5以上となる範囲では、SiOの濃度が25mg/L以下に急激に低下すると共に、SiOの除去率が急激に増大する。そして、pH9を超えると再びSiOの濃度が増大すると共に、SiOの除去率が低下する傾向となることが分かる。この結果は、アルミン酸イオンは、pH5.5以下では、Al3+として存在し、pH5.5以上ではAl(OH)として存在するので、pH5.5以上の範囲では、Al(OH)と溶解性シリカ(SiO)との化合物が形成されたためと考えられる。以上を考慮すると、この結果から、被処理水W1のpHとしては、被処理水W1中の溶解性シリカの濃度を効率良く低減する観点から、5.5以上が好ましく、6以上がより好ましく、7以上が更に好ましく、8以上がより更に好ましく、また13以下が好ましく、12以下がより好ましく、11以下が更に好ましく、10.5以下がより更に好ましい。以上を考慮すると、pHの範囲としては、5.5以上12以下が好ましく、7以上11以下がより好ましく、8以上10以下が更に好ましい。
【0046】
図5は、本実施の形態に係る水処理装置1におけるアルミニウムの濃度比(mol Al/mol SiO)とSiO除去率との関係を示す図である。なお、図5に示す例では、被処理水のpHを8,9,10とした場合について示している。図5に示すように、本実施の形態に係る水処理装置1においては、アルミニウムの濃度比が0.6(mol Al/mol SiO)程度ではSiOの除去率が60%程度となるが、アルミニウムの添加率が1.0以上となると急激にSiOの除去率が向上し、アルミニウムの添加率が1.7(mol Al/mol SiO)の場合には、90%となる。そして、アルミニウムの添加率が更に増大しても高いSiOの除去率を維持することが分かる。
【0047】
本実施の形態に係る水処理装置1においては、被処理水中に対するアルミン酸イオン濃度比としては、溶解シリカの除去率の観点及びアルミン酸イオン添加剤の使用量を低減する観点から、溶解シリカに対してアルミニウムイオンの濃度比(mol Al/mol SiO)で0.5以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、1.5以上が更に好ましく、また5.0以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、3.0以下が更に好ましい。
【0048】
固液分離部14は、溶解性シリカ析出部13で析出したアルミン酸イオンと溶解性シリカとの化合物と被処理水W1中とを固液分離して処理水W2と析出物15とを得る。固液分離部14としては、被処理水W1中に析出した固体(析出物15)と被処理水W1とを固液分離できるものであれば特に制限はない。固液分離部14としては、例えば、クラリファイヤ、液体サイクロン、砂濾過及び膜分離装置などが挙げられる。ここでの析出物15としては、例えば、被処理水中に含まれるシリカ、アルミニウム及びマグネシウムに基づくMgAl[AlSi10(OH)](OH)及びNaAlSiなどのシリカ化合物、アルミニウム化合物及びマグネシウム化合物が挙げられる。
【0049】
本実施の形態においては、固液分離部14としては、液体サイクロンを用いることが好ましい。これにより、析出物を粒径ごとに分離することが可能となるので、後述する種物質添加部16で添加する種物質16aとして適度な粒径の析出物を用いることが可能となり、効率良く溶解性シリカ成分を析出させることが可能となる。
【0050】
固液分離部14では、固液分離を促進するために凝集剤を用いてもよい。凝集剤としては、鉄系凝集剤及び高分子凝集剤などが挙げられる。これらの中でも、アルミン酸イオンを効率良く除去できる観点から、鉄系凝集剤(FeClなど)を用いることが好ましい。
【0051】
本実施の形態においては、種物質添加部16は、固液分離装置14で分離された析出物であるMgAl[AlSi10(OH)](OH)及びNaAlSiなどのSi−Al化合物を被処理水W1からの溶解性シリカ成分の析出時の種物質として添加する。この種物質の添加により、被処理水W1からの溶解性シリカ成分の析出速度を高めることができるので、被処理水W1中から速やかに溶解性シリカ成分を析出させることが可能となり、被処理水W1の処理量が向上する。なお、本実施の形態においては、溶解性シリカ析出部13に種物質16aを添加する例について説明したが、種物質16aは、溶解性シリカ析出部13の上流側であれば必ずしも溶解性シリカ析出部13内に添加する必要はない。
【0052】
マグネシウムイオン添加部17は、被処理水W1中にマグネシウムイオン添加剤17aを添加して被処理水W1中のマグネシウムイオン濃度を所定範囲とする。これにより、被処理水W1中のマグネシウムイオン濃度を適度な範囲にすることができるので、溶解性シリカ析出部13での析出において、例えば、MgAl[AlSi10(OH)](OH)などのMg−Al−Si化合物が効率良く形成され、処理水W2中の溶解シリカの濃度をより一層低減することができる。さらに、処理水W2中に残存するアルミニウムイオン濃度を低減することもできる。なお、マグネシウムイオン添加剤17aの添加量は、制御装置21によりバルブV3を介して制御される。
【0053】
図6Aは、マグネシウムイオン添加後の被処理水中のSiOの濃度の関係を示す図であり、図6Bは、アルミニウムイオン添加後の被処理水中のSiOの除去率の関係を示す図である。なお、図6A及び図6Bに示す例では、温度25℃、被処理水のpHが9、溶解性シリカの濃度が40mg/Lの被処理水W1にアルミニウムイオン及びマグネシウムイオンを添加した場合の溶解性シリカの濃度及び除去率を示している。
【0054】
図6A及び図6Bに示すように、アルミニウムイオンが0mg/Lの条件下では、マグネシウム濃度が0mg/L及び120mg/Lのいずれでも溶解性シリカの濃度及び除去率に有意差は見られない。一方で、アルミニウムイオンが30mg/Lの条件下では、マグネシウム濃度が0mg/Lでも溶解性シリカの濃度が大幅に減少するが、マグネシウム濃度を120mg/Lとすることにより更に溶解性シリカの濃度が低減すると共に除去率が増大する。この結果は、アルミニウムイオン及びマグネシウムイオンが共存することにより上述したMg−Al−Si化合物が形成され溶解性シリカの析出が促進される相乗効果が発現したためと考えられる。
【0055】
マグネシウムイオン添加剤17aとしては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム及び硫酸マグネシウムなどの各種マグネシウム塩が挙げられる。これらの中でも、溶解性シリカを効率良く析出できる観点から、硫酸マグネシウムの水溶液を用いることが好ましい。
【0056】
被処理水W1中のマグネシウムイオン濃度は、60mg/L以上で溶解性シリカの除去効果が得られ、溶解性シリカの除去効率の観点及び必要に応じて添加するアルミン酸イオン添加剤の使用量の削減の観点から、90mg/L以上が好ましく、120mg/L以上がより好ましいことが分かる。
【0057】
被処理水W1中のマグネシウムイオンの含有量としては、溶解性シリカを効率良く析出する観点から、溶解性シリカに対してマグネシウムの濃度(Mg/SiO)が0超であることが好ましく、1.5以上であることが好ましく、3以上であることが更に好ましく、10以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましく、5以下であることが更に好ましい。
【0058】
電解部18は、水を電気分解して電解水W4にする。電解部18は、アルミニウムで構成された陽極18aと、チタン又はアルミニウムで構成された陰極18bと、陽極18aと陰極18bとの間に設けられた直流電源18cとを備える。この電解部18では、陽極18aでは下記反応式(2)に基づいてアルミニウムイオン(Al3+)が生成し、陰極18bでは、下記反応式(3)に基づいて水酸化物イオン(OH)が生成する。これにより、この電解部18では、下記反応式(4)アルミニウムイオンと水酸化物イオンとが反応してアルミン酸イオン含有水が生成されるので、電解部18がアルミン酸イオンの供給源となる。このアルミン酸イオン含有水をアルミン酸イオン添加剤12aとしてアルミン酸イオン添加部12に供給することにより、他のアルミン酸イオン添加剤を用いることなく、アルミン酸イオン添加剤を供給することが可能となる。電解部18で電気分解する水としては、例えば、被処理水W1、処理水W2及び濃縮水W3などを用いることができる。なお、電解部18は、必ずしも設ける必要はない。
Al → Al3++3e ・・・(2)
2HO+2e → H+2OH ・・・(3)
Al3++4OH→[Al(OH) ・・・(4)
【0059】
なお、電解部18では、陽極18a及び陰極18bをそれぞれアルミニウム電極としてもよい。これにより、直流電源18cの正極及び負極を入れ替えて極性反転させることにより、陽極18a及び陰極18bのそれぞれからアルミニウムイオンを発生されることが可能となる。
【0060】
逆浸透膜濾過部30は、逆浸透膜30aを備えた逆浸透膜装置(RO)である。逆浸透膜濾過部30は、溶解性シリカが除去された被処理水W1を逆浸透膜30aに透過させて処理水W2として供給すると共に、濃縮水W3を排出する。
【0061】
なお、水処理装置1においては、被処理水W1を精製できるものであれば、逆浸透膜濾過部30以外の被処理水精製装置を用いてもよい。被処理水精製装置としては、例えば、ナノ濾過膜(NF)、電気透析装置(ED)、極性転換式電気透析装置(EDR)、電気再生式純水装置(EDI)、静電脱塩装置(CDl)、蒸発器、析出装置及びイオン交換樹脂などを用いることができる。
【0062】
制御装置21は、例えば、CPU(中央演算装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの汎用又は専用のコンピュータ及びこのコンピュータ上で動作するプログラムを利用して実現される。制御装置21は、pH計22で測定した被処理水W1のpHに基づいてバルブV1の開度を調整して被処理水W1に対するpH調整剤11aの添加量を変更して被処理水W1のpHを制御する。また、制御装置21は、アルミニウム濃度計31で測定した被処理水W1中のアルミニウム濃度に基づいてバルブV2の開度を調整して被処理水W1に対するアルミン酸イオン添加剤12aの添加量を変更して被処理水W1中のアルミニウムイオン濃度を制御する。さらに、制御装置21は、アルミニウム濃度計31で測定した被処理水W1中のアルミニウム濃度に基づいてバルブV3の開度を調整して被処理水W1に対するマグネシウムイオン添加剤17aの添加量を変更して被処理水W1中のマグネシウムイオン濃度を制御する。さらに、制御装置21は、アルミニウム濃度計31で測定した被処理水W1中のアルミニウム濃度に基づいて溶解性シリカ析出部13における凝集剤の添加量を制御する。
【0063】
次に、本実施の形態に係る水処理装置1の全体動作について説明する。プラント装置の冷却水などの溶解性シリカを含有する被処理水W1(例えば、pH6.5)は、必要に応じてマグネシウムイオン添加部17からマグネシウムイオン添加剤17aが添加されたマグネシウムイオン濃度が所定範囲内とされた後、必要に応じてpH調整剤添加部11からpH調整剤11aが添加されてpHが所定範囲(例えば、pH8以上10以下)内に制御される。その後、被処理水W1は、必要に応じて溶解性シリカ析出部13でアルミン酸イオン添加部12からアルミン酸イオン添加剤12aが添加される。これにより、被処理水W1は、アルミン酸イオン濃度及びpHが所定範囲内に調整されるので、溶解性シリカ析出部13内で溶解性シリカが析出する。ここでは、制御装置21は、固液分離部14に導入される被処理水W1のpHが所定範囲(例えば、pH8以上10以下)となると共に、マグネシウムイオン濃度が所定範囲となるようにバルブV1,V3の開度を制御する。
【0064】
その後、被処理水W1は、固液分離部14に導入されて膜濾過装置などによって析出物15が除去された後、逆浸透膜濾過部30で濾過されて処理水W2及び濃縮水W3に分離される。ここでは、制御装置21は、Al濃度計31で測定される被処理水W1中のアルミニウムイオン濃度が所定範囲となるように、バルブV2の開度を制御してアルミン酸イオンの添加量を制御する。
【0065】
以上説明したように、本実施の形態に係る水処理装置1によれば、溶解性シリカを含有する被処理水W1中にアルミン酸イオン添加剤12aを添加するので、被処理水中の溶解性シリカが被処理水W1中で凝集せずに析出して析出する。これにより、被処理水中に凝集剤を添加して溶解性シリカを除去する場合と比較して効率良く被処理水中の溶解性シリカの濃度を低減することが可能となるので、被処理水W1中の溶解性シリカを効率良く除去可能な水処理装置1を実現できる。そして、逆浸透膜濾過部30の入口に設けられたAl濃度計31によって測定された被処理水W1中のアルミニウムイオン濃度に基づいてアルミン酸イオン添加剤12aを添加するので、逆浸透膜濾過装置30の逆浸透膜30aへのアルミニウムイオンの影響を防ぐことが可能となり、逆浸透膜30aの劣化を防ぐことも可能となる。
【0066】
なお、本実施の形態では、被処理水W1のpHをpH調整剤添加部11によって所定範囲内に調整する例について説明したが、予めpHが所定範囲内の被処理水W1を用いる場合には、pH調整剤添加部11は必ずしも設ける必要はない。また、本実施の形態では、被処理水W1のアルミン酸イオンの濃度をアルミン酸イオン添加部12によって所定範囲内に調整する例について説明したが、予めアルミン酸イオン濃度が所定範囲内の被処理水W1を用いる場合には、アルミン酸イオン添加部12は必ずしも設ける必要はない。
【0067】
ところで、逆浸透膜濾過装置で被処理水を処理する場合には、アルミニウムイオンに基づく水酸化アルミニウム(Al(OH))の析出によるアルミニウムのスケールに基づく逆浸透膜の閉塞が生じる場合がある。この場合、逆浸透膜濾過装置による処理水量の低減及び被処理水の供給圧力の上昇による逆浸透膜濾過膜の局所的な処理所の濃縮に伴うスケールの析出及び閉塞が発生しやすくなる場合がある。
【0068】
逆浸透膜濾過装置を含む水処理装置では、次亜塩素酸(NaClO)などの塩素根が残留していたり、殺菌などによる微生物濃度の制御のために次亜塩素酸などの塩素を添加する場合がある。これらの塩素は、一般的には、還元剤による還元処理及び活性炭による吸着で除去しているが、塩素根が処理しきれずの逆浸透膜に導入する被処理水に塩素根が残留した場合は、塩素による逆浸透膜の電気的な破壊が生じ、逆浸透膜透過水量の減少及び脱塩率の低下を生じる。ここでは、アルミニウムイオンなどの金属が存在すると、金属による触媒効果によって逆浸透膜の膜面の破壊が加速する可能性がある。
【0069】
さらに、逆浸透膜濾過装置では、逆浸透膜濾過装置の上流側にスケールインヒビターを添加することにより逆浸透膜に対するカルシウム系のスケール(石膏:CaSO、炭酸カルシウム:CaCO)の付着を防ぐことが行われているが、被処理水にアルミニウムイオンが存在すると、スケールインヒビターの効きを悪くなる場合がある。このような理由から、一般的には、逆浸透膜を用いた水処理装置では、アルミ系の薬剤(硫酸バンド、PACポリ塩化アルミ、アルミン酸ソーダなど)は通常用いられず、鉄系の薬剤(塩化鉄FeClなど)が一般には用いられている。
【0070】
本発明者らは、上述した水処理装置1の溶解性シリカ析出部13の後段に、溶解性シリカを除去した被処理水W1中のアルミニウムを析出させるアルミニウムイオン処理部を設けることにより、溶解性シリカを除去した被処理水W1中のアルミニウムイオンに基づく逆浸透膜濾過装置への悪影響を低減することができることを見出した。
【0071】
(第2の実施の形態)
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る水処理装置2の概略図である。図7に示すように、本実施の形態に係る水処理装置2は、固液分離装置14の後段に設けられ、被処理水W1のアルミニウムイオンを処理するAl処理部33と、このAl処理部33の後段に設けられ、被処理水W1にpH調整剤32aを添加して被処理水W1のpHを調整するpH調整剤添加部32を備える。その他の構成については図1に示した水処理装置1と同様のため説明を省略する。
【0072】
Al処理部33は、被処理水W1中のアルミニウムイオンをキレート樹脂、イオン交換樹脂及びキレート剤などによりアルミニウム化合物34として析出させる。これにより、被処理水W1中のアルミニウムイオンの濃度を低減することができるので、後段に設けられた逆浸透膜濾過部30へのアルミニウムイオンに基づく悪影響を低減できる。イオン交換樹脂としては、例えば、各種アニオン交換樹脂と各種カチオン交換樹脂とを適宜組み合わせて用いることができる。アニオン交換樹脂としては、強塩基性アニオン樹脂を用いてもよく弱塩基性アニオン樹脂を用いてもよい。また、カチオン交換性樹脂としては、強酸性カチオン交換樹脂を用いてもよく弱酸性アニオン交換樹脂を用いてもよい。
【0073】
Al処理部33では、以下の第1の処理方法〜第4の処理方法により溶解性シリカが除去された被処理水W1中のアルミニウムイオンの濃度を低減する。第1の処理方法としては、溶解性シリカが除去された被処理水W1のpHを所定範囲に調整し、アルミニウムイオンの飽和溶解度を低下せしめ、被処理水W1中のアルミニウムイオンを不溶化した後、固液分離してアルミニウムイオンする沈殿法が挙げられる。
【0074】
第2の処理方法としては、筒状部材にキレート樹脂を充填したキレート樹脂塔に被処理水W1を通水し、アルミニウムなどの重金属をキレート樹脂に吸着させてアルミニウムイオンを除去するキレート樹脂法が挙げられる。
【0075】
第3の処理方法としては、凝集剤などの液体キレート剤を被処理水W1中に添加し、アルミニウムなどの重金属を被処理水W1に不溶性のキレート錯体として析出させた後、固液分離してアルミニウムイオンを除去する液体キレート法が挙げられる。
【0076】
第4の処理方法としては、下記式(5)〜下記式(7)に示すように、消石灰(Ca(OH))を被処理水W1中に添加し、被処理水W1のpHを増大させると共に、カルシウムイオン及び水酸化物イオンの供給により、被処理水W1に含まれる重炭酸イオン(HCO)から炭酸カルシウム(CaCO)を析出させると共に、マグネシウムイオン(Mg2+)から水酸化マグネシウム(Mg(OH))を析出させて固液分離するコールドライム法が挙げられる。このコールドライム法では、アルミニウムイオンの一部も共沈して除去される。
Ca(HCO+Ca(OH)→2CaCO↓+2HO ・・・(5)
Mg(HCO+2Ca(OH)⇒Mg(OH)↓+2CaCO↓+2HO ・・・(6)
CaCl+NaCO⇒2NaCl+CaCO↓ ・・・(7)
【0077】
なお、第1、第3、第4の処理方法を実施する場合には、Al処理部33には、後段に設けられた固液分離部14とは別体の固液分離装置を設けることが好ましい。固液分離部14とは別に固液分離装置を設けることにより、アルミニウム化合物34を固液分離することができる。
【0078】
また、Al処理部33では、被処理水W1中にスケールインヒビターなどの水処理添加剤を添加してもよい。これにより、被処理水W1に対するアルミニウムイオンの飽和溶解度を向上させることができるので、後段に設けられた逆浸透膜濾過部30の逆浸透膜30aへのアルミニウムイオンに基づく悪影響を低減できる。
【0079】
pH調整装置32は、溶解性シリカが除去された被処理水W1にpH調製剤32aを添加して被処理水W1のpHを減少又は増大させて被処理水W1に対するアルミニウムイオンの飽和溶解度を向上させる。pH調整剤32aとしては、例えば、塩酸、硫酸、及びクエン酸などの各種酸、並びに、水酸化ナトリウム、及び水酸化カルシウムなどの各種塩基が挙げられる。制御装置21は、固液分離部14の後段に設けられたpH計23の測定値に基づいてバルブV4の開度を調整してpH調整剤32aの添加量を調整する。これにより、被処理水W1に対するアルミニウムイオンの飽和溶解度を向上させることができるので、後段に設けられた逆浸透膜濾過部30へのアルミニウムイオンに基づく悪影響を低減できる。
【0080】
pH調整装置32は、被処理水W1にアルカリを添加してアルミニウムの飽和溶解度を増大させる場合には、被処理水W1のpHを0超増加させることが好ましく、+0.1以上増加させることがより好ましく、+0.3以上増加させることが更に好ましく、+1.0以上増加させることがより更に好ましい。また、pH調整装置32は、被処理水W1に酸を添加してアルミニウムの飽和溶解度を増大させる場合には、例えば、被処理水W1のpHが9であれば、被処理水W1のpHを4.2以下とすることにより、アルミニウムの飽和溶解度を増大させることができる。pH調整装置32は、例えば、被処理水W1中のアルミニウム濃度が0.01mg/L程度の場合には、被処理水W1のpHを5.0以下、6.0以上とすることによりアルミニウムの析出を防ぐことができる。
【0081】
pH調整装置32は、例えば、固液分離部14の排出水のpHが9である場合には、pHを4.5以上9以下の範囲とすることにより、過剰のアルミニウムを被処理水W1から析出させることができる。アルミニウムイオンは、pHが5.5のときに溶解度が最少となるので、pH調整剤32aの添加量を調整してpHをpH4.5以上9以下に調整することにより、過剰のアルミニウムがアルミニウム化合物34として被処理水W1から析出する。そして、析出したアルミニウム化合物34は、析出物15と共に固液分離部14で除去することもできる。また、この場合、被処理水W1のpHとしては、逆浸透膜濾過部30に導入する被処理水W1中のアルミニウム濃度を0.05mg/L以下にする観点から、pH4.8以上7.0の範囲がより好ましく、逆浸透膜濾過部30に導入する被処理水W1中のアルミニウム濃度を0.01mg/L以下にする観点から、pH5.0以上6.0以下の範囲が更に好ましい。
【0082】
次に、本実施の形態に係る水処理装置2の全体動作について説明する。まず、被処理水W1から上述した水処理装置1と同様にして析出物15が除去される。その後、析出物15が分離された被処理水W1は、Al処理部33によりキレート樹脂、イオン交換樹脂及びキレート剤などによりアルミニウムイオンが除去される。ここでは、Al処理部33は、スケールインヒビターを添加してアルミニウムイオンの溶解度を上昇させてもよい。その後、被処理水W1は、pH調製剤添加部32によりpH調整剤32aが添加されてpHが所定範囲に調整された後、逆浸透膜濾過部30で処理水W2及び濃縮水W3に分離される。ここでは、制御装置21は、Al濃度計31で測定される被処理水W1中のアルミニウムイオン濃度が所定範囲(例えば、0.01mg/L)となるように、キレート剤などの添加量、イオン交換樹脂の処理などを制御する。また、制御装置21は、析出槽13に添加するアルミン酸イオンの添加量を制御して逆浸透膜濾過部30に導入するアルミニウムイオン濃度を低減してもよい。
【0083】
このように、本実施の形態によれば、固液分離部14の後段に設けられたAl処理部33により被処理水W1のアルミニウムイオンを低減するので、上述した水処理装置1と比較して逆浸透膜濾過部30に導入される被処理水W1のアルミニウムイオン濃度をより低減できる。これにより、逆浸透膜濾過部30の逆浸透膜30aに対するアルミニウムイオンの影響を一層低減することが可能となる。
【0084】
(第3の実施の形態)
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る水処理装置3の概略図である。図8に示すように、本実施の形態に係る水処理装置3は、上述した水処理装置2のAl処理部33が溶解性シリカ析出部13と固液分離部14との間に設けられている。その他の構成については上述した水処理装置2と同一であるので、説明を省略する。
【0085】
このように、本実施の形態によれば、Al処理部33でアルミニウムを析出させて固液分離部14により析出物15と共にアルミニウムイオンを除去するので、上述した水処理装置1と比較して逆浸透膜濾過部30に導入される被処理水W1のアルミニウムイオン濃度をより低減できる。これにより、逆新郎膜濾過部30の逆浸透膜30aに対するアルミニウムイオンの影響を一層低減することが可能となる。
【0086】
なお、上記第6の実施の形態においては、Al処理部33を固液分離部14の後段に設ける構成について説明し、上記第7の実施の形態においては、Al処理部33を固液分離部14の前段に設ける構成について説明したが、Al処理部33は、固液分離部14の前段及び後段の双方に設けてもよい。これにより、固液分離部14の前段に設けられたAl処理部33により被処理水W1中のアルミニウムイオン濃度を低減した後に、固液分離部14で析出物15を分離した後に更に、溶解性シリカが除去された被処理水W1中のアルミニウムイオンをアルミニウム化合物34として除去できるので、処理水精製部20に供給されるアルミニウムイオン濃度をより一層低減することが可能となる。
【0087】
以下、上記実施の形態に係る水処理装置の適用例について説明する。なお、以下においては、図9に示す溶解性シリカ除去部10を各種水処理装置に適用した例について説明する。図9に示すように、この溶解性シリカ除去部10は、被処理水W1中にpH調整剤11aを添加するpH調整剤添加部11と、pH調整剤11aが添加された被処理水W1にアルミン酸イオン添加剤12aを添加するアルミン酸イオン添加部12と、アルミン酸イオンを添加した被処理水W1中の溶解性シリカを析出させる溶解性シリカ析出部13と、析出させた溶解性シリカを固液分離して処理水W2を得る固液分離部14とを備える。
【0088】
(適用例1)
図10は、適用例1に係る水処理装置100の概略図である。図10に示すように、この水処理装置100は、半導体製造用高純度水精製逆浸透プラントの供給水の前処理装置である。水処理装置100は、被処理水W1中の溶解性シリカを除去する溶解性シリカ除去部10と、弱酸カチオン交換樹脂により処理水W2中を処理して重炭酸塩及びアルミニウムイオンを除去する被処理水精製装置としてのカチオン交換装置101と、重炭酸塩及びアルミニウムイオンを除去した処理水W2中の炭酸ガスを除去する脱炭酸部102と、脱炭酸した処理水W2を逆浸透膜103aにより濾過して透過水W100及び濃縮水W101を得る逆浸透膜濾過部103とを備える。
【0089】
逆浸透膜濾過部103を透過した透過水W100は、更にカチオン交換装置、アニオン交換装置などのイオン交換樹脂104で精製され、濾過部105での仕上げ濾過を経た後、UV照射部106で紫外線が照射されて生物を死滅させて精製処理水W102として用いられる。溶解性シリカ除去部10とカチオン交換装置101との間には、溶解性シリカが除去された被処理水W1にNaCOを供給するNaCO供給部107が設けられている。カチオン交換装置101と脱炭酸部102との間には、イオン交換により精製された被処理水W1に酸を供給する酸供給部108が設けられている。脱炭酸部102と逆浸透膜濾過部103との間には、脱炭酸された被処理水W1にアルカリを供給するアルカリ供給部109が設けられている。なお、この水処理装置100においては、溶解性シリカ除去部10は、逆浸透膜濾過部103の上流側であれば配置構成は適宜変更可能である。このように、本実施の形態においては、溶解性シリカ除去部10で処理した処理水W2を、カチオン交換装置101などを経て更に精製して使用することも可能である。
【0090】
(適用例2)
図11は、適用例2に係る水処理装置200の概略図である。図11に示すように、この水処理装置200は、高濃度有機物及びシリカなどの懸濁/溶解固体分を含む排水の処理装置である。この水処理装置200は、溶解性シリカ除去部10Aは、溶解性シリカ析出部13の後段に更に被処理水W1中の溶解性シリカを凝集させる凝集槽201を備える。この凝集槽201では、被処理水W1中に塩化鉄などの凝集剤と共に、アルミン酸イオン添加部12からアルミン酸イオンが添加された被処理水W1中の溶解性シリカを析出する。そして、固液分離部14で析出した溶解性シリカを分離して処理水W2及び析出物15を得た後、マルチメディアフィルタで構成される第1フィルタ202で濾過した後、処理水W2に含まれるアルミニウムイオンを被処理水精製部としてのイオン交換樹脂203で除去する。そして、カートリッジフィルタで構成される第2フィルタ204で濾過した後、逆浸透膜205aを備えた逆浸透膜濾過部205で透過水W200及び濃縮水W201を分離する。このように、本実施の形態においては、溶解性シリカ除去部10で処理した処理水W2を、イオン交換樹脂203などを経て更に生成して使用することも可能である。
【0091】
(適用例3)
図12は、適用例3に係る水処理装置300の概略図である。図12に示すように、この水処理装置300は、溶解性シリカ除去部10の後段に設けられた被処理水精製部としての第1脱塩塔301と、脱塩塔の後段に設けられた脱ガス塔302と、脱ガス塔302の後段に設けられた第2脱塩塔304とを備える。第1脱塩塔301に導入された処理水W2は、第1イオン交換樹脂301a及び第2イオン交換樹脂301bを介してイオン交換された後、塔底部で塩酸が供給されて脱ガス塔302に供給される。脱ガス塔302に供給された処理水W2は、洗浄部302aで洗浄されて塔底部302bに貯留される。脱ガス塔302の塔底部302bに貯留された処理水W2は、ポンプ303を介して第2脱塩塔304に導入されて第1イオン交換樹脂304a及び第2イオン交換樹脂304bを介してイオン交換された後、塔底部で水酸化ナトリウム水溶液が供給されて所定のpHに調整されて処理水W300とされる。このように処理することにより、イオン交換樹脂の消耗率を低減することが可能となる。なお、溶解性シリカ除去部10は、第2脱塩塔304の第2イオン交換樹脂304bの上流側であれば配置構成は適宜変更可能である。このように、本適用例3においては、溶解性シリカ除去部10で処理した処理水W2を、アニオン交換樹脂などを経て更に生成して使用することも可能である。
【0092】
第1脱塩塔301及び第2脱塩塔304の第1イオン交換樹脂301a,304a、第2イオン交換樹脂301b,304bとしては、各種アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを適宜組み合わせて用いることができる。本適用例3では、第1脱塩塔301の第1イオン交換樹脂301a及び第2イオン交換樹脂301bとしては、強酸性カチオン交換樹脂を用いることが好ましく、第2脱塩塔304の第1イオン交換樹脂304a及び第2イオン交換樹脂304bとしては、強塩基性アニオン交換樹脂を用いることが好ましい。
【0093】
なお、上述した適用例3における第1脱塩塔301、脱ガス塔302、及び第3脱塩塔304を備えた水処理装置300の構成は適宜変更可能である。水処理装置300においては、脱ガス塔302及び第3脱塩塔304を省略した構成とすることができる。この場合、第1脱塩塔301は、第1イオン交換樹脂301aとして強酸性カチオン樹脂を備え、第2カチオン交換樹脂301bとして強塩基性アニオン樹脂を備えることが好ましい。このように構成することにより、被処理水W1中のイオン濃度が低い場合に処理水W300を効率良く得ることが可能となる。この場合であっても、溶解性シリカ除去部10により被処理水W1中の溶解性シリカを除去することにより、強塩基性アニオン樹脂の再生に必要な薬品量及び強塩基性アニオン樹脂の使用量を低減することができる。
【0094】
また、水処理装置300においては、第2脱塩塔304の後段に更に処理水W300をポリッシングする第3脱塩塔を設けてもよい。この場合、第3脱塩塔は、第1イオン交換樹脂として強酸性カチオン樹脂を備え、第2カチオン交換樹脂として強塩基性アニオン樹脂を備えることが好ましい。このように構成することにより、被処理水W300の純度が更に向上する。この場合であっても、溶解性シリカ除去部10により被処理水W1中の溶解性シリカを除去することにより、第1脱塩塔301及び第2脱塩塔304の第1イオン交換樹脂301a,304a、第2イオン交換樹脂301b、304bにおける強塩基性アニオン樹脂、並びに、第3脱塩塔における強塩基性アニオン樹脂の再生に必要な薬品量及び強塩基性アニオン樹脂の使用量を低減することができる。
【0095】
(適用例4)
図13は、適用例4に係る水処理装置400の概略図である。図13に示すように、この水処理装置400は、有機物及び無機塩を含む水を処理し、蒸発操作時の水垢付着を低減する水処理装置である。この水処理装置400は、溶解性シリカ除去部10の後段に設けられたイオン交換装置401と、イオン交換装置401でイオン交換された処理水W2に酸を供給する酸供給部402と、イオン交換装置401の後段に設けられた脱ガス部403と、脱ガス部403で脱ガスされた処理水W2にアルカリを添加するアルカリ添加部404と、アルカリ添加部404の後段に設けられた被処理水精製部としての蒸発器405とを備える。
【0096】
イオン交換装置401は、溶解性シリカが除去された被処理水W1をイオン交換により精製する。酸供給部402は、イオン交換により精製された被処理水W1に酸を添加してpHを所定範囲にする。脱ガス部403は、処理水W2中に含まれる炭酸ガスを除去する。アルカリ添加部404は、炭酸ガスが除去された処理水W2にアルカリを添加して処理水W2のpHを増大させる。蒸発器405は、塩基性の処理水W2を蒸発させて蒸発水W400を得ると共に、塔底部から濃縮水を抜き出して晶析器406に供給する。晶析器406では、蒸発器405で結晶が析出しない範囲で濃縮された濃縮水を析出し、析出した固体408は、固液分離部407で分離される。固液分離部407で分離された濃縮液407aは、再び晶析器406に供給される。このように、本実施の形態においては、溶解性シリカ除去部10で処理した処理水W2を、イオン交換装置401及び蒸発器405などを経て更に精製して使用することも可能である。この場合においても、溶解性シリカ除去部10において被処理水W1中の溶解性シリカが低減されているので、イオン交換装置401及び蒸発器405における被処理水W1の精製効率が向上する。
【実施例】
【0097】
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例及び比較例に基づいて本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
【0098】
(実施例)
図1に示した水処理装置を用いて被処理水にアルミン酸ナトリウムを添加して溶解性シリカを除去して精製処理水を製造した。被処理水のpHは10とし、温度は25℃とし、被処理水中の溶解性シリカ濃度は40mg/Lとし、アルミン酸イオンの濃度は157mg/Lとし、マグネシウムイオン濃度は120mg/Lとした。その結果、図14に示すように、被処理水中の溶解性シリカが析出し、処理水中の溶解性シリカの濃度が大幅に低減した(被処理水:40mg/L→処理水0.8mg/L)。また、析出物を蛍光X線分析により組成分析した結果、Mg、Al、Siが析出物中に共存していた。
【0099】
(比較例)
アルミン酸ナトリウムに代えて硫酸アルミニウムを用いたこと以外は実施例と同様にして被処理水を処理した。その結果、図14に示すように、被処理水中の溶解性シリカは析出せず、処理水中の溶解性シリカの濃度は低下しなかった(被処理水:32mg/L→処理水31mg/L)。この結果は、硫酸アルミニウムを用いた場合には、被処理水中にアルミン酸イオンが発生しなかった結果、アルミン酸イオンと溶解性シリカとの化合物が被処理水中に析出しなかったためと考えられる。
【符号の説明】
【0100】
1,2,3,100,200,300,400 水処理装置
10 溶解性シリカ除去部
11 pH調整剤添加部
11a pH調整剤
12 アルミン酸イオン添加部
12a アルミン酸イオン添加剤添加剤
13 溶解性シリカ析出部
14 固液分離部
15 析出物
16 種物質添加部
16a 種物質
17 マグネシウムイオン添加部
17a マグネシウムイオン添加剤
18 電解部
18a 陽極
18b 陰極
18c 直流電源
21 制御装置
22 pH計
30,103,205 逆浸透膜濾過部
30a,103a,205a 逆浸透膜
31 Al濃度計
32 pH調整剤添加部
32a pH調整剤
33 Al処理部
34 アルミニウム
101 カチオン交換装置
102 脱炭酸部
201 凝集槽
202 第1フィルタ
203 イオン交換樹脂
204 第2フィルタ
301 第1脱塩塔
301a,304a 第1イオン交換樹脂
301b,304b 第2イオン交換樹脂
302 脱炭酸塔
302a 洗浄部
302b 塔底部
303 ポンプ
304 第2脱塩塔
401 イオン交換装置
402 酸供給部
403 脱ガス部
404 アルカリ添加部
405 蒸発器
406 晶析器
407 固液分離部
407a 濃縮液
408 固体
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14