特開2015-223557(P2015-223557A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-223557脱水ケーキの消臭方法及び汚泥処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-223557(P2015-223557A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】脱水ケーキの消臭方法及び汚泥処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/00 20060101AFI20151117BHJP
【FI】
   C02F11/00 FZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-110026(P2014-110026)
(22)【出願日】2014年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100112634
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】安永 利幸
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA03
4D059BE10
4D059BE15
4D059BE16
4D059BE37
4D059BE46
4D059BE55
4D059BE56
4D059BE57
4D059CA16
4D059CB04
4D059DA45
4D059DA46
4D059DA70
4D059DB01
4D059DB02
4D059DB26
4D059DB31
4D059DB40
4D059EB11
(57)【要約】
【解決課題】汚泥を即時脱水処理する場合にも適用可能で、少量の薬剤添加量で消臭効果を持続することができる脱水ケーキの消臭方法及び装置を提供する。
【解決手段】汚泥スラリーに亜硝酸塩を添加し、次いで機械脱水して得られた脱水ケーキに、二酸化塩素水溶液を添加することを特徴とする脱水ケーキの消臭方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥スラリーに亜硝酸塩を添加し、次いで機械脱水して得られた脱水ケーキに、二酸化塩素水溶液を添加することを特徴とする脱水ケーキの消臭方法。
【請求項2】
前記亜硝酸塩は亜硝酸ナトリウム水溶液として汚泥に対して200〜400mg/L添加し、前記二酸化塩素水溶液は二酸化塩素濃度が3〜15wt%の範囲となるように脱水ケーキに添加することを特徴とする請求項1に記載の脱水ケーキの消臭方法。
【請求項3】
汚泥スラリーを貯留し濃縮する汚泥貯留及び濃縮槽と、
当該汚泥貯留及び濃縮槽内の汚泥スラリーに亜硝酸塩を添加する亜硝酸塩添加装置と、
亜硝酸塩が添加された汚泥スラリーを脱水して脱水ケーキを得る機械脱水装置と、
亜硝酸塩が添加された汚泥を機械脱水して得られる脱水ケーキに二酸化塩素水溶液を滴下する二酸化塩素滴下装置と、を具備することを特徴とする汚泥処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水、屎尿、排水などの有機性汚水又はこれらから生じる汚泥の処理における消臭方法に関し、特に脱水ケーキの消臭方法に関する。また、本発明は、脱水ケーキの消臭を考慮した汚泥処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下水、屎尿、排水などの有機性汚水及びこれらから生じる汚泥には、硫化水素やメチルメルカプタンなどの臭気成分が含まれる。これら汚水や汚泥の処理には、臭気による労働環境の悪化、処理場周辺への悪臭拡散などの問題がある。汚水、汚泥及び脱水ケーキから発生する臭気を防止するために、種々の臭気除去及び悪臭発生防止方法が検討され、消臭剤が提案されている。
【0003】
代表的な消臭方法として、塩化第二鉄や塩化亜鉛の溶液を汚水や汚泥に添加する方法がある(特許文献1、特許文献2)。しかし、塩化第二鉄や塩化亜鉛を添加すると、脱水ケーキに鉄や亜鉛の金属成分が残留するため、コンポスト原料として脱水ケーキを再利用することができない。
【0004】
また、次亜塩素酸塩などの酸化剤を単独で汚水や汚泥に添加して、臭気成分を酸化分解する方法もある(特許文献3)。しかし、次亜塩素酸塩による消臭効果には即効性はあるものの、持続性がなく、脱水ケーキ保管中に悪臭が発生してしまう。持続性を向上させるためには、次亜塩素酸塩の添加量を多くする必要があり、汚泥性状の変化により脱水が困難になることもある。
【0005】
あるいは、脱水ケーキに過酸化水素等の活性酸を発生する固形化合物を散布する方法がある(特許文献4)。過酸化水素には即効性はあるが、消臭効果の持続性がなく、添加後24時間程度で硫化水素が発生する。
【0006】
さらに、汚泥に亜硝酸塩を添加して硫化水素やメチルメルカプタンの生成を抑制する方法もある(特許文献5、特許文献6)。しかし、亜硝酸塩には即効性がなく、添加後消臭効果の発現までに数時間を要する上に、脱水ケーキに対する消臭効果の持続性は半日程度と短く、持続性を向上させるためには多量の亜硝酸塩の添加が必要である。また、消臭効果の発現までに長時間を要するために、汚泥を即時脱水処理する場合には適用できない。
【0007】
脱水ケーキに亜硝酸塩を添加して、脱水ケーキ中に亜硝酸イオンを残存させる方法もある(特許文献7、特許文献8)。しかし、亜硝酸イオンによる消臭効果の発現には数時間を要するため、汚泥を即時脱水処理する場合には適用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭53-41056号公報
【特許文献2】特開証63-205197号公報
【特許文献3】特開昭52-65972号公報
【特許文献4】特開昭62-121699号公報
【特許文献5】特開2000-202494号公報
【特許文献6】特開2002-028696号公報
【特許文献7】特開2002-186995号公報
【特許文献8】特開2003-094094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、汚泥を即時脱水処理する場合にも適用可能で、少量の薬剤添加量で消臭効果を持続することができる脱水ケーキの消臭方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、亜硝酸塩と二酸化塩素水溶液とを併用することによって、消臭効果の即効性及び持続性を担保できることを知見し、本発明を完成するに至った。本発明の具体的態様は以下のとおりである。
[1]汚泥スラリーに亜硝酸塩を添加し、次いで機械脱水して得られた脱水ケーキに、二酸化塩素水溶液を添加することを特徴とする脱水ケーキの消臭方法。
[2]前記亜硝酸塩は亜硝酸ナトリウム水溶液として汚泥に対して200〜400mg/L添加し、前記二酸化塩素水溶液は二酸化塩素濃度が3〜15wt%の範囲となるように脱水ケーキに添加することを特徴とする[1]に記載の脱水ケーキの消臭方法。
[3]汚泥スラリーを貯留し濃縮する汚泥貯留及び濃縮槽と、
当該汚泥貯留及び濃縮槽内の汚泥スラリーに亜硝酸塩を添加する亜硝酸塩添加装置と、
亜硝酸塩が添加された汚泥スラリーを脱水して脱水ケーキを得る機械脱水装置と、
亜硝酸塩が添加された汚泥を機械脱水して得られる脱水ケーキに二酸化塩素水溶液を滴下する二酸化塩素滴下装置と、を具備することを特徴とする汚泥処理装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、汚泥スラリーに亜硝酸塩を添加することで汚泥中に亜硝酸イオンを拡散させて、汚泥スラリー中での主として硫化水素及びメチルメルカプタンの発生を抑制し、次に亜硝酸塩を添加した後の汚泥スラリーを機械脱水することにより得られた脱水ケーキに二酸化塩素水溶液を添加して臭気を抑制することができる。汚泥スラリーへの亜硝酸塩の添加と脱水ケーキへの二酸化塩素水溶液の添加により、消臭効果の即効性及び持続性の両者が向上する。また、本発明の方法全体において使用する薬剤量は、従来の方法よりも少量でよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の消臭方法の基本フローを示す説明図である。
図2】高分子凝集剤添加及びベルトプレス型脱水装置を使用した汚泥処理装置の実施形態を示す説明図である。
【発明の好ましい実施形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明を更に詳細に説明する。
【0014】
図1に、本発明の消臭方法の基本フローを示す。生物処理工程から排出される汚泥又は汚泥スラリーは、汚泥濃縮槽又は汚泥貯留槽に送られ、当該槽内にて濃縮又は貯留され、次いで、脱水装置に送られて機械脱水されて脱水ケーキとなる。脱水ケーキは、コンベアなどの移送装置によりケーキホッパーなどの収容槽に送られる。
【0015】
図1に示すフローの場合、汚泥濃縮槽又は汚泥貯留槽内の汚泥スラリーに、亜硝酸塩を添加する。次いで、機械脱水後の脱水ケーキに、二酸化塩素水溶液を添加する。二酸化塩素水溶液は、移送装置及び/又は収容槽内の脱水ケーキに滴下することができる。
【0016】
図2に示すフローにおいて、生物処理工程から排出される汚泥又は汚泥スラリーは、汚泥濃縮槽にて濃縮され、濃縮された汚泥は汚泥貯留槽に貯留され、次いで、凝集槽にて凝集剤が添加されて凝集汚泥が形成され、凝集汚泥はベルトプレス装置において機械脱水されて、脱水ケーキとなる。脱水ケーキは、コンベアなどの移送装置によりケーキホッパーなどの収容槽に送られる。
【0017】
図2に示すフローの場合、汚泥濃縮槽、汚泥貯留槽及び凝集剤が添加される前の汚泥スラリーに、亜硝酸塩を添加する。次いで、ベルトプレス装置から排出される脱水ケーキ、移送装置及び/又は収容槽内の脱水ケーキに、二酸化塩素水溶液を添加する。
【0018】
本発明の消臭方法は、汚泥スラリーに亜硝酸塩を添加し、脱水ケーキに二酸化塩素水溶液を添加すればよく、添加のタイミングは特に限定されない。
【0019】
本発明において用いられる亜硝酸塩としては、亜硝酸アンモニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸ルビジウム、亜硝酸セシウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸ストロンチウム、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸ニッケル、亜硝酸銅、亜硝酸銀、亜硝酸亜鉛、亜硝酸タリウムを挙げることができる。これらの亜硝酸塩は1種を単独で用いることができ、また2種以上を混合して用いることできる。これらの亜硝酸塩の中では亜硝酸ナトリウムが効果やコストの面で好ましい。
【0020】
亜硝酸塩の使用に際しては、固体、液体のいずれでも構わないが、取扱い易さの点から水溶液として使用することが好ましい。亜硝酸塩水溶液は、亜硝酸塩濃度を10〜40重量%水溶液とすることが好適である。
【0021】
亜硝酸塩の添加量は、処理する汚泥の性状にもより異なるので一概には言えないが、濃縮前のスラリーに対して10〜1000mg/L、好ましくは50〜500mg/Lである。亜硝酸塩の添加量が10mg/L未満では消臭効果が十分発揮できず、一方、1000mg/Lを超える場合は経済的でない。
【0022】
亜硝酸塩を添加する際に、亜硝酸塩の効果を阻害しない限り、静菌剤、酸化剤、有機系殺菌剤、防菌剤、公知の汚泥用消臭剤などを併用してもよい。静菌剤としては公知の有機静菌剤が使用可能である。例えばピリチオン系化合物、トリアジン系化合物、ホスホニウム系化合物が挙げられるが、静菌効果やコストの観点からピリチオン系化合物が好ましい。ピリチオン系化合物としてはナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、銅塩が挙げられる。酸化剤としては、公知の酸化剤を使用することができ、例えば過酸化水素、過酢酸、過硫酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩、過酸化カルシウムの過酸化物、亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、亜臭素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム、ヨウ素ナトリウム、ヨウ素酸カリウム等のハロゲン系酸化剤或いは過マンガン酸塩などが挙げられる。これらの中でも、ハロゲン系酸化剤が好ましく、特に亜塩素酸ナトリウムが本発明の目的を達成する意味で好ましい。有機系殺菌剤としては、サリチル酸、キノリン、チウラム、イソチアン酸塩が使用できる。防菌剤としては、N−(2−ヒドロキシプロピル)−アミノメタノール、2−(ヒドロキシメチルアミノ)−エタノール、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、ジブロモ−ニトロ−エタノールのアルコール類、クレゾール、4−クロロ−3,5−ジメチルフェノールのフェノール類、グルタルアルデヒド、α−ブロモシンナムアルデヒド等のアルデヒド類、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−S−ヘキサヒドロトリアジン、2−メトキシカルボニルアミノベンツイミダゾール、チアベンダゾール、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、塩酸ポリヘキサメチレンビグアニジン、塩化ベンサルコニウム、塩化セタルコニウム、2,2−ジブロモ−3−ニトロプロピオアミド、ビス(1−オキシ−2ピリジル)ジスルフィド、ヒノキチオールなどを挙げることができる。
【0023】
本発明は、亜硝酸塩を添加した汚泥スラリーを脱水した後に得られる脱水ケーキに二酸化塩素水溶液を添加することを特徴とする。殺菌力の強い二酸化塩素水溶液が脱水ケーキの内部にまで浸透するため、少量の添加で消臭効果が長期的に持続されると考えられる。二酸化塩素水溶液は、二酸化塩素濃度が3〜15wt%、好ましくは3〜10wt%であることが好ましい。二酸化塩素水溶液の添加量は、水溶液中の二酸化塩素濃度及び処理する脱水ケーキの性状にもより異なるので一概には言えないが、例えば、脱水ケーキに対して二酸化塩素を200〜2,000mg/kgとなる量で添加することが好ましく、300〜1,000mg/kgとなる量で添加することがより好ましい。200mg/kg未満では臭気抑制効果の即効性及び持続性が損なわれる可能性があり、2,000mg/kgを越えると経済的ではない。
【0024】
本発明の処理方法は、通常の排水処理において発生する汚泥スラリー及び脱水ケーキに特に制限なく適用することができる。特に、硫化水素及びメチルメルカプタンを生成する汚泥スラリー及び脱水ケーキの消臭に有効であり、汚泥スラリーを機械脱水するまでに長時間貯留することのない排水処理場での適用に有効である。また、脱水ケーキを形成する際の機械脱水としては、ベルトプレス型脱水機、遠心脱水機、フィルタープレス型脱水機(スクリュープレス型脱水機を除く)、真空脱水機など公知の機械脱水装置を用いて行うことができる。
【0025】
通常、機械脱水の前に、汚泥スラリーに凝集剤を添加する。添加される凝集剤としては、亜硝酸塩及び二酸化塩素水溶液の消臭効果を阻害しない限り、通常の凝集剤を使用することができる。たとえば、カチオン系高分子凝集剤、両性高分子凝集剤などの高分子凝集剤を用いることが好ましい。さらに、公知の無機凝集剤、有機高分子凝結剤を単独又は高分子凝集剤との併用で用いることもできる。
【0026】
本発明の汚泥処理装置は、生物処理工程などにおいて発生する汚泥スラリーを濃縮する汚泥濃縮槽、汚泥スラリーを貯留する汚泥貯留槽、汚泥スラリーに凝集剤を添加する凝集剤添加装置、機械脱水装置などの通常の汚泥処理装置の構成に加えて、汚泥スラリーに亜硝酸塩を添加する亜硝酸塩添加装置と、亜硝酸塩が添加された汚泥を機械脱水して得られる脱水ケーキに二酸化塩素水溶液を滴下する二酸化塩素滴下装置と、を具備する。
【0027】
亜硝酸塩添加装置は、市販の薬品タンクに貯留した亜硝酸塩水溶液を、通常の薬注ポンプを使用して注入することができるものであれば特に限定されない。注入率は汚泥貯留槽内の汚泥量や、配管中の汚泥流量に合わせて決定することができる。
【0028】
二酸化塩素滴下装置としては特に限定されず、市販の薬品タンクに貯留した二酸化塩素水溶液を、通常の薬注ポンプを使用して注入することができる。注入率は汚泥ケーキの量に合わせて決定することができる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例および比較例により、本発明の消臭方法を具体的に説明する。
【0030】
[実施例1]
下水処理場から混合生汚泥の汚泥スラリー(pH5.60、SS33.3g/L、VSS90.8%)を200mlビーカーに採取し、亜硝酸ナトリウム40%水溶液を亜硝酸ナトリウムとして300mg/L添加し、スパチュラで攪拌、混合した。1時間経過した後、カチオン系高分子凝集剤エバグロースC−104G(水ing(株)製)をSSに対して0.6wt%となるように添加し、スパチュラで攪拌し凝集させた。凝集汚泥を重力ろ過し、ろ過後の凝集汚泥をピストン型脱水機で5分間脱水し、ケーキ含水率74.5%の脱水ケーキを得た。
【0031】
得られた脱水ケーキ表面に二酸化塩素水溶液(ClO:5wt%)をClO換算で750mg/Lとなるよう満遍なく滴下した後、臭気測定用袋(容量:700ml)に入れ、ゴム栓で密栓した後、シリンジで600mlの無臭空気を注入した。30℃の恒温槽に保管し、所定時間毎に北川式検知管で硫化水素、メチルメルカプタンを測定した。その結果を表1に記載する。
【0032】
[実施例2〜6及び参考例7]
亜硝酸ナトリウムの添加量及び脱水までの時間、二酸化塩素水溶液の添加量を変更した以外は、実施例1と同様に試験を行った。この結果を表1に併記する。
【0033】
[比較例1〜2]
二酸化塩素水溶液を添加しなかった以外は、実施例1と同様に試験を行った。の結果を表1に併記する。
【0034】
[比較例3〜6]
二酸化塩素水溶液に代えて、次亜塩素酸ナトリウム又は亜硝酸ナトリウムを添加した以外は、実施例1と同様に試験を行った。結果を表1に併記する。
【0035】
【表1】
【0036】
亜硝酸ナトリウムのみを汚泥スラリーに添加した場合には、脱水時に、ろ液に流出してしまう為、多量に添加しても48時間後に臭気が発生し始めた(比較例1及び2)。また、亜硝酸ナトリウムを汚泥スラリー及び脱水ケーキに添加した場合には、脱水ケーキが硬いので亜硝酸ナトリウムが内部まで浸透しにくく、臭気抑制効果を発揮するには、二酸化塩素水溶液との併用の場合の2倍以上の添加量が必要である(比較例5及び6)。
【0037】
汚泥スラリーに亜硝酸塩を添加し、脱水ケーキに二酸化塩素水溶液を添加する本発明の方法においては、亜硝酸ナトリウムの添加量が少なくても、脱水ケーキの消臭効果は48時間後でも持続していた(実施例1〜4)。また、汚泥スラリーへの亜硝酸ナトリウムの添加後5分程度の短時間で脱水処理しても、脱水ケーキの消臭効果が48時間経過後でも持続していた(実施例5〜6)。
【0038】
本発明によれば、亜硝酸塩を汚泥スラリーに添加した際には、その時点で亜硝酸塩により汚泥スラリーからの臭気を抑制する消臭効果が発現され、脱水ケーキに二酸化塩素水溶液を滴下又は添加することにより、脱水ケーキからの臭気を抑制することが可能となり、これら2つ相乗的効果により、汚泥の濃縮・貯留から脱水ケーキの移送、収容までの過程において、少ない薬剤使用量で消臭効果を維持することが可能となる。
図1
図2