特開2015-223601(P2015-223601A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新東工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2015223601-自硬性鋳型造型装置 図000003
  • 特開2015223601-自硬性鋳型造型装置 図000004
  • 特開2015223601-自硬性鋳型造型装置 図000005
  • 特開2015223601-自硬性鋳型造型装置 図000006
  • 特開2015223601-自硬性鋳型造型装置 図000007
  • 特開2015223601-自硬性鋳型造型装置 図000008
  • 特開2015223601-自硬性鋳型造型装置 図000009
  • 特開2015223601-自硬性鋳型造型装置 図000010
  • 特開2015223601-自硬性鋳型造型装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-223601(P2015-223601A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】自硬性鋳型造型装置
(51)【国際特許分類】
   B22C 19/04 20060101AFI20151117BHJP
   B22C 13/00 20060101ALI20151117BHJP
   B22C 15/24 20060101ALI20151117BHJP
【FI】
   B22C19/04
   B22C13/00
   B22C15/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-109306(P2014-109306)
(22)【出願日】2014年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】青木 之典
【テーマコード(参考)】
4E094
【Fターム(参考)】
4E094AA22
4E094AA27
4E094AA83
4E094CC12
4E094CC14
4E094DD03
(57)【要約】
【課題】ティーチング時に記憶した記憶データに基づき、造型作業を正確に再現することができる自硬性鋳型造型装置を提供する。
【解決手段】ティーチング記憶手段は、手動によりコンベヤアーム1及び混練アーム2を動かして混練した自硬性鋳物砂を吐出口から鋳枠内に投入するティーチング動作を行なったとき、第1パルス発生器14、第1軸検出器18、第2パルス発生器24、第2軸検出器28からの信号に基づき収集したティーチングデータを、自硬性鋳型の造型作業のシーケンス制御プログラムとして記憶部35に記憶する。造型プレイバック手段は、記憶部35からシーケンス制御プログラムのデータを読み出し、データに基づき第1旋回モータ12、第2旋回モータ22を駆動制御して、コンベヤアーム1及び混練アーム2を旋回させ、混練アーム2の吐出口27から自硬性鋳物砂を鋳枠内に投入して造型作業を再現する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳物砂に硬化剤、粘結剤を添加して混練した自硬性鋳物砂を、鋳枠内に投入して充填し、該自硬性鋳物砂を硬化させ、鋳型を造型する自硬性鋳型造型装置において、
鋳物砂を搬送するコンベヤをアーム部内に有し旋回軸の回りで回動可能に支持されたコンベヤアームと、
該コンベヤアームを旋回駆動する第1旋回モータと、
該第1旋回モータの回転に応じたパルスを発生させる第1パルス発生器と、
該コンベヤアームの旋回時に旋回角度を示す角度信号を発生する複数の検出スイッチを有した第1軸検出器と、
該コンベヤアームの先端部に旋回軸の回りで回動可能に取り付けられ、該コンベヤアーム内のコンベヤにより搬送された鋳物砂を導入し硬化剤、粘結剤とともに該鋳物砂を混練しながら先端部に送り、先端部に設けた吐出口から混練した自硬性鋳物砂を吐出する混練アームと、
該混練アームを該コンベヤアームに対し旋回駆動する第2旋回モータと、
該第2旋回モータの回転に応じたパルスを発生させる第2パルス発生器と、
該混練アームの旋回時に旋回角度を示す角度信号を発生する複数の検出スイッチを有した第2軸検出器と、
手動により該コンベヤアーム及び該混練アームを動かして混練した自硬性鋳物砂を吐出口から鋳枠内に投入するティーチング動作を行なったとき、該第1パルス発生器、該第1軸検出器、該第2パルス発生器、該第2軸検出器からの信号に基づき作成したティーチングデータを、自硬性鋳型の造型作業のシーケンス制御プログラムとして記憶部に記憶するティーチング記憶手段と、
該記憶部から該シーケンス制御プログラムのデータを読み出し、該データに基づき該第1旋回モータと第2旋回モータを駆動制御して、自硬性鋳型の造型作業を実行させる造型プレイバック手段と、
を備え、該ティーチング記憶手段または造型プレイバック手段は、該第1軸検出器及び第2軸検出器から出力される角度検出信号の発生を基点に、該第1パルス発生器または第2パルス発生器から出力されるパルス信号に応じた回転角度データをカウントし、ティーチング記憶動作または造型プレイバック動作を行なうことを特徴とする自硬性鋳型造型装置。
【請求項2】
前記コンベヤアームの旋回時に旋回角度を示す角度信号を発生する第1軸検出器の複数の検出スイッチ、及び混練アームの旋回時に旋回角度を示す角度信号を発生する第2軸検出器の複数の検出スイッチは、少なくとも1つが、前記鋳枠の中央に前記混練アーム先端の吐出口が移動したとき、角度信号を発生するように配置されたことを特徴とする請求項1記載の自硬性鋳型造型装置。
【請求項3】
前記鋳枠には、該鋳枠を振動させる振動テーブルが設けられ、上記混練アーム先端の吐出口から上記自硬性鋳物砂を投入した状態で、ティーチング操作時または造型プレイバック動作時に、該振動テーブルを動作させて、自硬性鋳物砂の細密充填を行なうことを特徴とする請求項1記載の自硬性鋳型造型装置。
【請求項4】
前記ティーチング記憶手段は、ティーチング時、前記第1パルス発生器、第1軸検出器、第2パルス発生器、及び第2軸検出器からの信号に基づき、該吐出口の移動位置のティーチング極座標データを、造型作業のシーケンス制御プログラムとして前記記憶部に記憶し、
造型プレイバック時には、該記憶部に記憶された該吐出口の該ティーチング極座標データに基づき、造型作業が再現されることを特徴とする請求項1記載の自硬性鋳型造型装置。
【請求項5】
前記コンベヤアームと混練アームは水平面上で旋回可能に軸支されて水平2軸回動機構を構成し、該水平2軸回動機構の動作によって該混練アーム先端の吐出口が移動する範囲の上記鋳枠内においてXY座標が設定され、
前記吐出口の移動位置のティーチング極座標データは、該XY座標データに変換されて表示手段に出力され、該吐出口の移動位置が座標表示されることを特徴とする請求項4記載の自硬性鋳型造型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自硬性鋳物砂を鋳枠内に充填して鋳型を製造する自硬性鋳型造型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳物砂に硬化剤、粘結剤を添加して混練した自硬性鋳物砂を、鋳枠内に落下させて充填し、乾燥工程を経ることなく、鋳物砂を硬化させ、鋳型を造型する自硬性鋳型造型装置が知られている。
【0003】
このような自硬性鋳型を製造する自硬性鋳型造型装置を使用して比較的大型の鋳型を造型する場合、模型を入れた鋳枠内に、混練した自硬性鋳物砂を単純に投入した状態では、自硬性鋳物砂が模型の隅々まで均一に充填することができず、空洞などが発生し、鋳型を正確に造型することができない。
【0004】
そのため、自硬性鋳型造型装置を使用して比較的大型の鋳型を造型する場合には、熟練技術者が造型装置を操作して鋳物砂の吐出口を鋳枠上で適正に移動させ且つ鋳物砂をならしながら、自硬性鋳物砂を模型の隅々まで均一に充填するようにして、鋳型の造型が行なわれる。このため、この種の自硬性鋳型造型装置を使用して比較的大型の鋳型を造型する場合、熟練技術者が必須条件となり、熟練技術者が不足する多くの企業においては、充分な生産量で広く実施することが難しい。
【0005】
そこで、従来、下記特許文献1において、自動運転が可能な自硬性鋳型造型機が提案されている。この従来の自硬性鋳型造型機は、自硬性鋳物砂の混練供給用の第1アーム及び第2アームが駆動系のサーボモータにより制御にされて回転可能に設けられ、使用に際しては、先ず、駆動系を使用せずに、熟練技術者がアームを手動で動かしながら、鋳枠内に鋳物砂を投入し、その動きを、アームに取り付けたロータリエンコーダから発生するパルスをカウントして、アームの回転角度を示すパルス数を記憶装置に記憶する。
【0006】
そして、自動運転時には、記憶装置からアームの回転角度を示すパルス数データを読み出し、当該データに基づき、サーボモータを駆動制御して、第1アーム及び第2アームを自動で回転させながら、第2アームの先端に設けた吐出口から自硬性鋳物砂を鋳枠内に投入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−94839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来のこの自硬性鋳型造型機は、最初に熟練技術者が手動で造型作業を実施した際に記憶したデータに基づき、第1アームや第2アームを駆動して、造型作業を再現するように、自動制御で鋳型造型機を運転した場合、使用する再現用のデータは、単純にパルス数をカウントしたデータのみであるため、第1アームや第2アームの駆動部において、駆動用モータの電圧変動、或いは機械的駆動系の潤滑油の粘性の変化などに伴う摩擦抵抗の変化などによって、第2アームの先端に設けた吐出口の位置制御に誤差が生じる。つまり、第1アームや第2アームの駆動部において、駆動用モータの電源電圧の変化や潤滑油の粘性変化による摩擦抵抗の変化があると、仮に同じ時間に同じ指令信号を駆動用モータのサーボ系に供給したとしても、吐出口の位置制御に誤差が生じることとなる。
【0009】
このような自動制御によって移動する吐出口の位置制御の誤差は、アームの回動ごとに累積され、当該誤差が増大すると、自動制御される吐出口の位置が鋳枠の外にずれることもあって、熟練技術者の行なった手動による造型作業を、正確に再現できないばかりでなく、鋳型の造型作業そのものの実施ができない課題があった。
【0010】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、ティーチング時に記憶した記憶データに基づき、造型作業を正確に再現することができる自硬性鋳型造型装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る自硬性鋳型造型装置は、
鋳物砂に硬化剤、粘結剤を添加して混練した自硬性鋳物砂を、鋳枠内に投入して充填し、該自硬性鋳物砂を硬化させ、鋳型を造型する自硬性鋳型造型装置において、
鋳物砂を搬送するコンベヤをアーム部内に有し旋回軸の回りで回動可能に支持されたコンベヤアームと、
該コンベヤアームを旋回駆動する第1旋回モータと、
該第1旋回モータの回転に応じたパルスを発生させる第1パルス発生器と、
該コンベヤアームの旋回時に旋回角度を示す角度信号を発生する複数の検出スイッチを有した第1軸検出器と、
該コンベヤアームの先端部に旋回軸の回りで回動可能に取り付けられ、該コンベヤアーム内のコンベヤにより搬送された鋳物砂を導入し硬化剤、粘結剤とともに該鋳物砂を混練しながら先端部に送り、先端部に設けた吐出口から混練した自硬性鋳物砂を吐出する混練アームと、
該混練アームを該コンベヤアームに対し旋回駆動する第2旋回モータと、
該第2旋回モータの回転に応じたパルスを発生させる第2パルス発生器と、
該混練アームの旋回時に旋回角度を示す角度信号を発生する複数の検出スイッチを有した第2軸検出器と、
手動により該コンベヤアーム及び該混練アームを動かして混練した自硬性鋳物砂を吐出口から鋳枠内に投入するティーチング動作を行なったとき、該第1パルス発生器、該第1軸検出器、該第2パルス発生器、該第2軸検出器からの信号に基づき収集したティーチングデータを、自硬性鋳型の造型作業のシーケンス制御プログラムとして記憶部に記憶するティーチング記憶手段と、
該記憶部から該シーケンス制御プログラムのデータを読み出し、該データに基づき該第1旋回モータと第2旋回モータを駆動制御して、自硬性鋳型の造型作業を実行させる造型プレイバック手段と、
を備え、該ティーチング記憶手段または造型プレイバック手段は、該第1軸検出器及び第2軸検出器から出力される角度検出信号の発生を基点に、該第1パルス発生器または第2パルス発生器から出力されるパルス信号に応じた回転角度データをカウントし、ティーチング記憶動作または造型プレイバック動作を行なうことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、第1軸検出器及び第2軸検出器から出力される角度検出信号の発生を基点に、第1パルス発生器または第2パルス発生器から出力されるパルス信号に応じた回転角度データをカウントし、ティーチング記憶動作または造型プレイバック動作を行なうため、コンベヤアームまたは混練アームが旋回して吐出口が移動し、第1軸検出器または第2軸検出器から出力される角度検出信号の発生ごとに、第1パルス発生器または第2パルス発生器から出力されるパルス信号に応じた回転角度データが補正されることとなり、従来のように吐出口の位置制御の誤差がアームの回動ごとに累積されることはなく、ティーチング時に記憶した記憶データに基づき、造型作業を正確且つ適正に再現することができる。
【0013】
ここで、上記コンベヤアームの旋回時に旋回角度を示す角度信号を発生する第1軸検出器の複数の検出スイッチ、及び混練アームの旋回時に旋回角度を示す角度信号を発生する第2軸検出器の複数の検出スイッチは、少なくとも1つが、前記鋳枠の中央に前記混練アーム先端の吐出口が移動したとき、角度信号を発生するように配置することが好ましい。これによれば、自硬性鋳物砂の投入時に、混練アーム先端の吐出口が通過する頻度の高い鋳枠内の中央部で、第1パルス発生器または第2パルス発生器から出力されるパルス信号に基づく回転角度データが高い頻度で補正され、造型作業を一層正確に再現することができる。
【0014】
また、ここで、上記鋳枠には、該鋳枠を振動させる振動テーブルが設けられ、上記混練アーム先端の吐出口から上記自硬性鋳物砂を投入した状態で、ティーチング操作時または造型プレイバック動作時に、該振動テーブルを動作させて、自硬性鋳物砂の細密充填を行なうように構成することができる。
【0015】
またここで、前記ティーチング記憶手段は、ティーチング時、前記第1パルス発生器、第1軸検出器、第2パルス発生器、及び第2軸検出器からの信号に基づき、該吐出口の移動位置のティーチング極座標データを、造型作業のシーケンス制御プログラムとして前記記憶部に記憶し、造型プレイバック時には、該記憶部に記憶された該吐出口の該ティーチング極座標データに基づき、造型作業が再現されるように構成することができる。これによれば、造型プレイバック作業を正確に且つ適正に再現することができる。
【0016】
またここで、前記コンベヤアームと混練アームは水平面上で旋回可能に軸支されて水平2軸回動機構を構成し、該水平2軸回動機構の動作によって該混練アーム先端の吐出口が移動する範囲の上記鋳枠内においてXY座標が設定され、前記吐出口の移動位置のティーチング極座標データは、該XY座標データに変換されて表示手段に出力され、該吐出口の移動位置が座標表示されるように構成することができる。
【0017】
これによれば、制御操作盤などのディスプレイに表示したXY座標上に、上記XY座標データに基づき、吐出口の移動軌跡をグラフィック表示することができ、作業者は、そのグラフィック表示を見ながら、造型作業のティーチング時または再現時の吐出口の動きを、視覚によって容易に認識することができる。
【0018】
ここで、上記表示手段として、LCDディスプレイ或いは入力機能を備えたタッチパネルディスプレイを使用することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の自硬性鋳型造型装置によれば、ティーチング時に記憶した記憶データに基づき、造型作業を正確に且つ適正に再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態を示す自硬性鋳型造型装置の概略構成正面図である。
図2】同自硬性鋳型造型装置の概略構成平面図である。
図3】造型装置の制御操作盤の構成を示す構成ブロック図である。
図4】制御操作盤の盤面図である。
図5】自硬性鋳型造型装置のティーチング時のフローチャートである。
図6】自硬性鋳型造型装置のティーチング時のフローチャートである。
図7】タッチパネルディスプレイの表示画面の説明図である。
図8】設定されたXY座標上で吐出口を移動させるタッチパネルディスプレイの表示画面の説明図である。
図9】自硬性鋳型造型装置のプレイバック時のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1,2に示す鋳型造型装置は、鋳物砂に硬化剤、粘結剤を添加して混練した自硬性鋳物砂を、鋳枠3内に投入して充填し、自硬性鋳物砂を硬化させ、鋳枠3内で鋳型を造型する自硬性鋳型造型装置である。
【0022】
図1に示すように、鋳枠3内には、造型用の模型4が収容され、鋳枠3は、搬送モータ41により駆動される搬送台車7上に搭載され、所定の造型位置に搬送される。搬送台車7の下側には、空気ダンパ式の昇降器6によって昇降する振動テーブル5が設けられ、振動テーブル5には振動モータ40の回転により振動して鋳枠3を加振する振動装置が取り付けられる。振動装置を設けた振動テーブル5は、鋳枠3内に鋳物砂の供給が完了したとき、空気ダンパ式の昇降器6によって上昇し、真上に位置する模型4の下面に当接し、模型4上の鋳枠3に対し、振動テーブル5により振動を加え、鋳物砂の細密充填が行なわれるようになっている。
【0023】
自硬性鋳型造型装置は、図1,2に示す如く、鋳物砂を搬送するコンベヤをアーム部内に設け、第1旋回軸11の回りで回動可能に支持されるコンベヤアーム1と、コンベヤアーム1を第1旋回軸11の回りで旋回駆動する第1旋回モータ12と、第1旋回モータ12の回転に応じたパルスを発生させる第1パルス発生器14と、コンベヤアーム1の旋回時に所定角度でその角度を示す角度信号を発生する検出スイッチとしての第1軸検出器18と、を備える。
【0024】
また、コンベヤアーム1の先端部に、第2旋回軸21を介して混練アーム2が水平面上で旋回可能に支持される。混練アーム2は、第2旋回軸21の回りで回動可能に取り付けられ、コンベヤアーム1内のスクリューコンベヤ15により搬送された鋳物砂を導入し、内部に設けた混練スクリュー25を混練モータ26により回転駆動し、硬化剤、粘結剤とともに鋳物砂を混練しながら先端部に送り、先端部に設けた吐出口27から、混練した自硬性鋳物砂を吐出するように構成される。この鋳型造型装置は、この混練アーム2と上記コンベヤアーム1とによって、水平2軸の首振り機構を構成し、混練アーム2と上記コンベヤアーム1との旋回によって、先端に設けた吐出口27を、鋳枠3内の任意の位置に、手動により或いは自動的に移動させるように制御が行なわれる。
【0025】
コンベヤアーム1は、床上に立設された旋回支持部10上に垂直に支持された第1旋回軸11を介して、水平面上で旋回可能に軸支され、そのアーム部内にスクリューコンベヤ15が配設される。図1,2に示すように、コンベヤアーム1は第1旋回モータ12の駆動により、第1旋回軸11の回りで所定の角度範囲で旋回可能に軸支される。コンベヤアーム1の先端部は、旋回軸側の元部より僅かに上方となるように傾斜し、そこには鋳物砂を混練アーム2に送出するための送出ダクトが接続される。床上に立設された旋回支持部10の側部には、制御操作盤45が取り付けられる。
【0026】
第1旋回モータ12の回転軸にはその回転角度に応じたパルス信号を発生する第1パルス発生器14が設けられる。第1パルス発生器14で発生し出力されたパルス信号は、後述のプログラマブルロジックコントローラ30に送られ、そのマイクロコンピュータ31がパルス信号をカウントして、コンベヤアーム1の回転角度を算出する。
【0027】
同様に、後述の混練アーム2を第2旋回軸21の回りで旋回駆動する第2旋回モータ22の回転軸には、その回転角度に応じたパルス信号を発生する第2パルス発生器24が設けられる。第2パルス発生器24で発生し出力されたパルス信号は、プログラマブルロジックコントローラ30のマイクロコンピュータ31がパルス信号をカウントして、混練アーム2の回転角度を算出する。マイクロコンピュータ31は、コンベヤアーム1の角度位置データと混練アーム2の角度位置データ、及びアーム長データから、混練アーム2先端の吐出口27の鋳枠上での位置データを、極座標データとして算出する。
【0028】
さらに、コンベヤアーム1の第1旋回軸11の周囲には、第1軸検出器18がコンベヤアーム1の角度位置が所定の角度に達したとき検出信号を出力するように配設される。第1軸検出器18には、複数の検出スイッチとして、3個の第1リミットスイッチ18a、第2リミットスイッチ18b、第3リミットスイッチ18cが、例えば45°の角度間隔をおいて配置される。これらの第1〜第3リミットスイッチによってコンベヤアーム1が原点位置、及び図2の時計方向に45°、90°回転したとき、各々その角度を示す検出信号を出力するようになっている。
【0029】
これらの第1軸検出器18の第1リミットスイッチ18a、第2リミットスイッチ18b、及び第3リミットスイッチ18cから出力される角度検出信号は、コンベヤアーム1の絶対角度を示す基準信号として出力され、第1軸検出器18の角度検出信号は、第1旋回モータ12の回転角度に応じたパルス信号を発生する第1パルス発生器14から出力されるパルス信号のカウント値から算出される角度位置を、補正するように使用される。
【0030】
なお、鋳枠3の中央位置に吐出口27が位置するとき、コンベヤアーム1の回転位置を原点位置と設定し、コンベヤアーム1の回転位置がその原点位置になったとき、第1軸検出器18の第1リミットスイッチ18a、第2リミットスイッチ18b、或いは第3リミットスイッチ18cの何れかが、オンするように設定することが好ましい。これにより、造型作業時に、吐出口27が頻繁に通過する鋳枠3の中央位置をコンベヤアーム1の原点位置とするため、第1軸検出器18の検出信号によって、第1パルス発生器14から出力されるパルス信号のカウント値に基づくアームの角度データを、高い頻度で補正することができ、コンベヤアーム1の角度データの精度をより高くすることができる。
【0031】
なお、図2に示す如く、この実施形態では、第1リミットスイッチ18a、第2リミットスイッチ18b、第3リミットスイッチ18cが、45°の角度間隔をおいて配置され、コンベヤアーム1の原点位置を含む45°毎の角度回転時にその検出信号を出力するようにしたが、勿論、原点位置及び45°の回転位置のみとしてもよく、或いは原点位置を含むより細かい角度、例えば、30°、60°、90°等、或いは20°、40°、60°等、或いは10°、20°、30°等、の角度位置で検出信号を出力するようにしてもよい。また、検出スイッチには、リミットスイッチに代えて、近接スイッチ、光電スイッチなどを使用することもできる。
【0032】
一方、コンベヤアーム1の元部にはコンベヤモータ16が取り付けられ、コンベヤモータ16によりアーム部内のスクリューコンベヤ15は、回転駆動され、砂ホッパー13から供給される鋳物砂をスクリューコンベヤ15の回転により先端部に向けて搬送する構造である。上記のように、コンベヤアーム1の先端部には、混練アーム2が第2旋回軸21を介して水平面上で旋回可能に軸支され、鋳物砂を先端側の混練アーム2に送出するための送出ダクトが、コンベヤアーム1と混練アーム2間に接続される。また、図1に示すように、コンベヤアーム1の元部には、鋳物砂をコンベヤアーム内に供給するために、砂ホッパー13が接続される。
【0033】
さらに、図2に示す如く、混練アーム2の第2旋回軸21の周囲には、コンベヤアーム1の場合と同様、第2軸検出器28が混練アーム2の角度位置が所定の角度に達したとき検出信号を出力するように配設される。第2軸検出器28には、複数の検出スイッチとして、3個の第1リミットスイッチ28a、第2リミットスイッチ28b、第3リミットスイッチ28cが、例えば45°の角度間隔をおいて配置される。これらの第1〜第3リミットスイッチによって混練アーム2が原点位置、及び図2の時計方向に45°、90°回転したとき、各々その角度を示す検出信号を出力するようになっている。
【0034】
これらの第2軸検出器28の第1リミットスイッチ28a、第2リミットスイッチ28b、及び第3リミットスイッチ28cから出力される角度検出信号は、混練アーム2の絶対角度を示す基準信号として出力され、第2軸検出器28の角度検出信号は、第2旋回モータ22の回転角度に応じたパルス信号を発生する第2パルス発生器24から出力されるパルス信号のカウント値から算出される角度位置を、補正するように使用される。
【0035】
また、鋳枠3の中央位置に吐出口27が位置するとき、混練アーム2の回転位置を原点位置と設定し、混練アーム2の回転位置がその原点位置になったとき、第2軸検出器28の第1リミットスイッチ28a、第2リミットスイッチ28b、或いは第3リミットスイッチ28cの何れかが、オンするように設定することが好ましい。これにより、造型作業時に、吐出口27が頻繁に通過する鋳枠3の中央位置を混練アーム2の原点位置とするため、第2軸検出器28の検出信号によって、第2パルス発生器24から出力されるパルス信号のカウント値に基づくアームの角度データを、高い頻度で補正することができ、混練アーム2の角度データの精度をより高くすることができる。
【0036】
上記構成の自硬性鋳型造型装置は、熟練技術者などにより造型作業を実施するとき、その造型作業のティーチングを行なって、一連の鋳型造型作業におけるティーチングデータを、記憶部35に記憶し、プレイバック時に当該データを読み出して、一連の鋳型造型作業を自動的に実施するように、ティーチング機能及びプレイバック機能を有したプログラマブルロジックコントローラ30を備える。
【0037】
プログラマブルロジックコントローラ30は、上記ティーチング記憶手段及び造型プレイバック手段を構成するもので、熟練技術者が手動によりコンベヤアーム1及び混練アーム2を、水平2軸首振り機構により動かし、混練した自硬性鋳物砂を、混練アーム2先端の吐出口27から、鋳枠3内に投入して造型作業のティーチング動作を行なったとき、上記第1パルス発生器14、第1軸検出器18、第2パルス発生器24、第2軸検出器28からの信号に基づき吐出口27の位置データを算出して記録し、それらの移動軌跡データ含むティーチングデータを、自硬性鋳型の造型作業のシーケンス制御プログラムとして、記憶部35に記憶する。
【0038】
なお、上記「手動により」は、制御操作部などのスイッチ盤を、手動操作して、水平2軸首振り機構を動作させ、吐出口を移動させる他に、人が手作業で各種物体を動かす動作も含む概念である。
【0039】
さらに、プログラマブルロジックコントローラ30は、ティーチング記憶手段によって記録されたシーケンス制御プログラムのデータを、プレイバック時、記憶部35から読み出し、それらのデータに基づき第1旋回モータ12と第2旋回モータ22を駆動制御して、ティーチングされた吐出口27の移動軌跡に従って吐出口27を移動させながら、鋳物砂の投入を行い、自硬性鋳型の造型作業を自動的に再現するように動作する。
【0040】
また、上記のように、プログラマブルロジックコントローラ30のマイクロコンピュータ31は、第1軸検出器18及び第2軸検出器28から出力される、絶対位置を示す角度検出信号の発生を基点に、第1パルス発生器14または第2パルス発生器24から出力されるパルス信号に応じた回転角度データをカウントする。これにより、第1パルス発生器14または第2パルス発生器24から出力されるパルス信号に応じた回転角度データの誤差を補正し、誤差の累積を防止するようになっている。
【0041】
図3に示すように、プログラマブルロジックコントローラ30の主要部を構成するマイクロコンピュータ31は、基本プログラムデータに基づき各種処理を実行するCPU32、基本プログラムデータを記憶するROM33、CPU32のワーキングエリア等を構成するRAM34、各種信号の入出力を行なう入出力回路42、時間をカウントするタイマー36を備える。
【0042】
さらに、マイクロコンピュータ31は、ティーチング時に記憶した鋳型造型作業のプログラムデータを記憶するハードディスク、メモリカード、メモリチップ等からなる記憶部35を備える。マイクロコンピュータ31を備えるプログラマブルロジックコントローラ30は、鋳型造型作業に伴うティーチングデータを順に記憶して、一連の造型作業のシーケンス制御プログラムデータを作成記憶し、プレイバック時(再現時)には、シーケンス制御プログラムデータを読み出して、一連の鋳型造型作業を再現するように動作する。
【0043】
このような処理を行なうプログラマブルロジックコントローラ30のマイクロコンピュータ31には、図3の如く、その信号入力側に、上述のコンベヤアーム1の第1旋回軸11の角度位置を検出する第1軸検出器18、混練アーム2の第2旋回軸21の角度位置を検出する第2軸検出器28、第1旋回モータ22の回転軸の回転角度に応じたパルス信号を発生する第1パルス発生器14、第2旋回モータ22の回転軸の回転角度に応じたパルス信号を発生する第2パルス発生器24が接続される。さらに、マイクロコンピュータ31には、ディスプレイコントローラ38を介してタッチパネルディスプレイ37が接続され、プログラマブルロジックコントローラ30のケース表面にタッチパネルディスプレイ37が装着される。
【0044】
タッチパネルディスプレイ37には、図7に示すように、ティーチング時に記憶したプログラムのプログラム番号を表示するプログラム番号表示部70、プログラムのステップ数を表示するステップ数表示部71、ティーチング時に操作してデータを記憶する記録/完了スイッチ表示部72、プレイバック時に操作してプレイバックを実行させる再現/開始スイッチ表示部73、ティーチング、プレイバック以外に作業者が自由にアームを動かすためのフリーランスイッチ表示部74、コンベヤアーム1を左右に回動させるスイッチ表示部75、混練アーム2を左右に回動させるスイッチ表示部76、鋳物砂を混練する混練スイッチ表示部77、その停止スイッチ表示部78、振動テーブル5の振動スイッチ表示部79などが、タッチ操作によりスイッチング可能に表示される。
【0045】
上記のように、鋳型造型装置の駆動系には、コンベヤアーム1を旋回させる第1旋回モータ12、混練アーム2を旋回させる第2旋回モータ22、スクリューコンベヤ15を駆動するコンベヤモータ16、混練スクリュー25を駆動する混練モータ26、振動テーブル5を振動させる振動モータ40、搬送台車7を動かす搬送モータ41が使用され、図3に示すように、これらのモータを駆動制御するモータ駆動制御部39は、制御操作盤45内に設けられ、制御操作盤45の正面にスイッチ盤46(図4)が設けられる。
【0046】
図4に示す如く、制御操作盤45のスイッチ盤46には、非常停止スイッチ50、硬化剤、粘結剤の供給量を変える樹脂供給量スイッチ51、鋳物砂の投入量を変える砂量スイッチ52、プレイバック時にオン操作する再現/開始スイッチ53、プレイバックの休止スイッチ54、混練アーム2の混練を行なう混練/停止スイッチ55、混練の停止スイッチ56、振動テーブル5の振動時の加振力の切換スイッチ57、振動テーブルスイッチ58、搬送台車7の自動起動スイッチ59、コンベヤアーム1の旋回スイッチ60、混練アーム2の旋回スイッチ61、旋回を止める中止スイッチ62、及びそれらのスイッチング時に点灯する表示ランプが設けられる。これらのスイッチ類は、プラグラマブルロジックコントローラ30のタッチパネルディスプレイ37上のスイッチ部と同様に、鋳型造型操作のティーチング時、そのプレイバック時に、スイッチング操作される。
【0047】
さらに、図3に示すように、制御操作盤45内には、モータ駆動制御部39が設けられ、上記第1旋回モータ12、第2旋回モータ22、コンベヤモータ16、混練アーム2の混練モータ26、振動テーブル5の振動モータ40、及び搬送台車7の搬送モータ41が、モータ駆動制御部39に接続される。これらのモータ類は、制御操作盤45のスイッチ盤46に配置されたスイッチ類の操作により、起動・停止操作を行なうことができ、また、上記プログラマブルロジックコントローラ30のタッチパネルディスプレイ37上の、記録/完了スイッチ表示部72、再現/開始スイッチ表示部73、フリーランスイッチ表示部74、コンベヤアーム1用のスイッチ表示部75、混練アーム2用のスイッチ表示部76、鋳物砂混練用の混練スイッチ表示部77、停止スイッチ表示部78、振動テーブル5用の振動スイッチ表示部79などを、タッチ操作して起動・停止操作等を行なうこともできる。
【0048】
次に、上記構成の自硬性鋳型造型装置における造型作業時のティーチング動作を、図5,6に示すフローチャートを参照して説明する。
【0049】
造型作業のティーチングを行なう場合、造型の熟練技術者などの作業者は、手動により、先ずステップ100で、造型装置の初期設定を行なう。初期設定では、制御操作盤45のスイッチ盤46の樹脂供給量スイッチ51を操作して、高または低(硬化剤、粘結剤の供給量の高低)の何れかに設定し、砂量スイッチ52を操作して、鋳物砂の供給量を10tまたは20tに設定する。さらに、加振力の切換スイッチ57を操作して、振動テーブルの振動の加振力を1〜4段階の範囲内で切り換えてセットする。
【0050】
次に、ステップ110において、作業者は、コンベヤアーム1の旋回スイッチ60、混練アーム2の旋回スイッチ61、または、タッチパネルディスプレイ37上のコンベヤアーム1用のスイッチ表示部75、混練アーム2用のスイッチ表示部76を操作して、フリーランの状態にあるコンベヤアーム1と混練アーム2を、第1旋回軸11または第2旋回軸21の回りで旋回させ、混練アーム2先端の吐出口27を、鋳枠3上の開始位置まで移動させる。
【0051】
次に、ステップ120で、作業者が、タッチパネルディスプレイ37上の記録/完了スイッチ表示部72を操作すると、ティーチングの記録モードに入り、記録用の表示ランプが点滅し、その後、記録を開始し、表示ランプは連続点灯となり、混練/停止スイッチ55等を操作して、鋳型造型作業のティーチングを開始する。これにより、コンベヤアーム1から混練アーム2に鋳物砂が供給され(ステップ130)、混練アーム2内に送られた鋳物砂は、そこに硬化剤、粘結剤が混入された状態で、混練され、先端の吐出口27から下方の鋳枠3内に投入されていく(ステップ140)。
【0052】
このような造型作業に伴うティーチング時、コンベヤモータ16や混練モータ26が起動するステップごとに、及び、混練アーム2先端の吐出口27が移動するステップごとに、その操作イベントが時間とともに記録され、また、吐出口27の移動イベントの場合には、第1旋回軸11の回転角度を検出する第1パルス発生器14から出力されるパルス信号、及び第2旋回軸21の回転角度を検出する第2パルス発生器24から出力されるパルス信号をカウントし、吐出口27の移動位置データが算出され、ステップごとに時間とともにメモリに記録されていく。
【0053】
次に、ステップ150で、作業者は、鋳枠3内に冷し金を入れるか否かを判断し、冷し金をセットする必要があれば、次にステップ160に進み、混練アーム2の混練モータ26を停止させ、鋳枠3内への鋳物砂の供給を停止する。そして、この状態で、冷し金を鋳枠3内にセットし(ステップ170)、ステップ180で、混練アーム2の混練モータ26を再起動させ、混練アーム2からの鋳物砂の供給を再開する。
【0054】
次に、ステップ190で、作業者は、鋳枠3内に投入される鋳物砂の量が不足しているか否かを判断し、鋳枠3内の砂量が不足している場合、次に、ステップ200に進み、混練/停止スイッチ55等を操作して、混練モータ26を停止させ、鋳物砂の投入を一時停止する。そして次に、ステップ210で、砂量スイッチ52等を操作して、鋳物砂の供給量を20tに切り換え、ステップ220で、混練モータ26を再起動して、鋳枠3内への鋳物砂の供給を再開する。
【0055】
次に、作業者は、ステップ230にて、鋳枠3内への鋳物砂の充填が完了したか否かを判断し、鋳物砂の充填が完了した場合、次に、ステップ240に進み、スイッチ盤46の昇降スイッチ等を操作して昇降器6を動作させて振動テーブル5を上昇させ、振動テーブル5を模型4の下面に当接させる。次に、ステップ250で、振動テーブルスイッチ58を操作して、振動モータ40を起動し、鋳枠3を振動させる。これにより、鋳枠3内の鋳物砂が振動して、鋳物砂の密度が増し、細密充填が行なわれ、ステップ260にて、所定の振動時間が経過したとき、ステップ270で、振動モータ40を停止させて振動を止め、ステップ280で、昇降器6を動作させて、振動テーブル5を下降させ、模型4の下面から振動テーブル5を離脱させる。
【0056】
そして、作業者は、ステップ290にて、タッチパネルディスプレイ37上の記録/完了スイッチ表示部72を操作して、ティーチングを終了する。このとき、マイクロコンピュータ31では、今回のティーチング動作でメモリに順に記憶された造型作業のティーチングデータが、指定のプログラム番号のエリアに格納される。
【0057】
そして、作業者は、ステップ300にて、鋳枠3内の鋳物砂の砂ならしを行なって表面の砂をならし、次のステップ310で、作業者は、搬送台車7の自動起動スイッチ59をオン操作して搬送台車7を動かす。これにより、鋳枠3及び模型4を載せた搬送台車7が造型位置から所定の位置に搬出され、一連の自硬性鋳型造型の作業を終了する。このような、熟練技術者などの作業者によって実施される一連の造型作業のティーチングデータは、プログラム番号、ファイル名を付して、記憶部35のメモリカードなどに記憶される。
【0058】
一方、上記ティーチング動作によって記憶部35に記憶されたティーチングデータを使用して、鋳型造型作業のプレイバック(再現)を行なう場合、図9のフローチャートに示すように、プログラマブルロジックコントローラ30の制御により、自硬性鋳型造型の作業が自動で実施される。
【0059】
先ず、ステップ400で、プレイバック(再現)を行なおうとする鋳型造型作業のプログラム番号を、プログラマブルロジックコントローラ30のタッチパネルディスプレイ37に入力する。次に、ステップ410で、タッチパネルディスプレイ37を操作して、ステップ数をゼロにリセットし、タイマーをゼロにリセットする。
【0060】
次に、ステップ420で、制御操作盤45のスイッチ盤46の搬送台車の自動起動スイッチ59を操作して、搬送台車7を動かし、鋳枠3及び模型4を所定の造型位置に移動させる。次に、ステップ430で、プログラマブルロジックコントローラ30のマイクロコンピュータ31が、入力したプログラム番号のプログラムデータを記憶部35から読み出し、メモリの再生エリアにセットする。そして、ステップ440で、造型作業のプレイバック(再現)を開始する。
【0061】
プレイバックが開始されると、ティーチング時に記憶されたイベントごとの動作がプレイバックされ、第1旋回モータ12の作動によりコンベヤアーム1が第1旋回軸11を軸に左右に回転し、第2旋回モータ22の作動により混練アーム2が第2旋回軸21を軸に左右に回転し、混練アーム2先端の吐出口27の鋳枠3内における位置がティーチング軌跡に従って順に移動する。
【0062】
その間、コンベヤモータ16の回転駆動によって、鋳物砂がコンベヤアーム1内から混練アーム2に送られ、混練アーム2の混練モータ26の回転により混練スクリュー25が回転して、混練アーム2内の鋳物砂がそこに供給された硬化剤、粘結剤とともに混練され、混練された鋳物砂は、先端の吐出口27から、その動きに従って、鋳枠3内の各部分に投入されていく。
【0063】
このとき、作業者は、鋳枠3内に冷し金を入れるか否かを判断し、冷し金をセットする必要があれば、上記ティーチング時のステップ160〜180と同様に、混練アーム2の混練モータ26を停止させ、鋳枠3内への鋳物砂の供給を停止する。そして、この状態で、冷し金を鋳枠3内にセットし、この後、混練アーム2の混練モータ26を再起動させ、混練アーム2からの鋳物砂の供給を行なう。
【0064】
その間、作業者は、異常発生か否かを判断し(ステップ450)、異常発生がない場合、次にステップ460に進み、プレイバック動作を継続する。このプログラム番号のティーチングデータの全てのステップが再現されたとき、ステップ470に進み、鋳型造型作業の再現を終了する。
【0065】
一方、作業者が、ステップ450で、鋳枠3内への鋳物砂の投入動作時に、異常の発生と判断した場合、次に、制御操作盤45またはプログラマブルロジックコントローラ30を操作して、プレイバック動作を停止し(ステップ480)、コンベヤアーム1と混練アーム2の回転動作を停止し、鋳物砂の鋳枠3内への供給を停止する。
【0066】
この後、作業者は、手動で制御操作盤45またはプログラマブルロジックコントローラ30を操作して、混練アーム2の先端の吐出口27を手動で移動させながら、鋳物砂を鋳枠3内に投入し、手動による造型作業を行なう(ステップ490)。そして、鋳物砂の供給が完了した時点で上記ステップ240〜280と同様に、スイッチ盤46の昇降スイッチ等を操作して昇降器6を動作させて振動テーブル5を上昇させ、振動テーブル5を模型4の下面に当接させる。
【0067】
次に、振動テーブルスイッチ58を操作して、振動モータ40を起動し、鋳枠3を振動させ、鋳枠3を振動させて、内部の鋳物砂を振動させ、鋳物砂の密度を増大させ、細密充填を行なう。そして、所定の振動時間が経過したとき、振動モータ40を停止させて振動を止め、昇降器6を動作させて、振動テーブル5を下降させ、模型4の下面から振動テーブル5を離脱させる。これで、自硬性鋳物砂による鋳型造型作業を終了する(ステップ500)。
【0068】
この状態で作業者は、次に、鋳枠3内の砂ならしを行い(ステップ510)、鋳物砂の上面を平らにならした後、作業者は、制御操作盤45のスイッチ盤46を操作して、搬送台車7を造型位置から移動させ(ステップ520)、造型を終了した鋳枠3及び模型4を所定の場所に搬出する。この時点で、プログラマブルロジックコントローラ30のマイクロコンピュータ31は、ステップ530で、そのメモリの再生エリア内のプログラムデータを消去し、造型作業を終了する。
【0069】
このように、自硬性鋳物砂による鋳型造型作業時、コンベヤアーム1の第1旋回軸11の回転時、第1軸検出器18から出力される角度検出信号の発生を基点に、第1パルス発生器14から出力されるパルス信号に応じた回転角度データをカウントし、混練アーム2の第2旋回軸21の回転時、第2軸検出器28から出力される角度検出信号の発生を基点に、第2パルス発生器24から出力されるパルス信号に応じた回転角度データをカウントし、ティーチング記憶動作または造型プレイバック動作を行なうため、コンベヤアーム1または混練アーム2が旋回して吐出口27が移動し、第1軸検出器18または第2軸検出器28から出力される角度検出信号の発生ごとに、第1パルス発生器14または第2パルス発生器24から出力されるパルス信号に応じた回転角度データが補正される。このため、従来のように吐出口の位置制御の誤差がアームの回動ごとに累積されることはなく、ティーチング時に記憶した記憶データに基づき、造型作業を正確且つ適正に再現することができる。
【0070】
図8は、他の実施形態のプログラマブルロジックコントローラ30のタッチパネルディスプレイ97の説明図を示している。このタッチパネルディスプレイ97では、上段左側に、吐出口27が移動する範囲の鋳枠3内において、XY座標(直交座標)が設定され、各セグメントの座標が数値で表示される。また、タッチパネルディスプレイ97の上段右側には軌跡表示部98が設けられ、ティーチング時に吐出口27が移動した移動軌跡が、鋳枠3の平面座標内で、表示されるようになっている。
【0071】
そして、ティーチング時、第1パルス発生器14、第1軸検出器18、第2パルス発生器24、及び第2軸検出器28からの信号に基づき、吐出口27の移動位置のティーチング極座標データを、造型作業のシーケンス制御プログラムとして記憶部35に記憶する。そして、造型プレイバック時には、記憶部35に記憶された吐出口27のティーチング極座標データに基づき、造型作業を再現する。
【0072】
また、プログラマブルロジックコントローラ30のマイクロコンピュータ31は、水平2軸首振り機構の動作によって、混練アーム2先端の吐出口27が移動する範囲の鋳枠3内において、XY座標(直交座標)を設定し、吐出口27の移動位置のティーチング極座標データをXY座標に変換して、表示手段としてのタッチパネルディスプレイ97に出力する。これにより、吐出口27の移動位置がタッチパネルディスプレイ97に座標表示される。
【0073】
このように、ティーチング時或いはプレイバック時、タッチパネルディスプレイ97に表示されるXY座標上の軌跡表示部98に、XY座標データに基づき、吐出口の移動軌跡がグラフィック表示されるので、作業者は、そのグラフィック表示を見ながら、造型作業のティーチング時または再現時の吐出口27の動きを、視覚によって容易に認識することができる。
【0074】
以上のように、本発明の自硬性鋳型造型装置によれば、ティーチング時に記憶した記憶データに基づき、正確に造型作業を再現することができる。また、駆動制御系に、第1旋回モータ12、第2旋回モータ22、第1パルス発生器14、第2パルス発生器24などを使用して、従来の装置より安価に鋳型造型装置を製造することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 コンベヤアーム
2 混練アーム
3 鋳枠
4 模型
5 振動テーブル
6 昇降器
7 搬送台車
10 旋回支持部
11 第1旋回軸
12 第1旋回モータ
13 砂ホッパー
14 第1パルス発生器
15 スクリューコンベヤ
16 コンベヤモータ
18 第1軸検出器
18a 第1リミットスイッチ
18b 第2リミットスイッチ
18c 第3リミットスイッチ
21 第2旋回軸
22 第2旋回モータ
24 第2パルス発生器
25 混練スクリュー
26 混練モータ
27 吐出口
28 第2軸検出器
28a 第1リミットスイッチ
28b 第2リミットスイッチ
28c 第3リミットスイッチ
30 プログラマブルロジックコントローラ
31 マイクロコンピュータ
32 CPU
33 ROM
34 RAM
35 記憶部
36 タイマー
37 タッチパネルディスプレイ
38 ディスプレイコントローラ
39 モータ駆動制御部
40 振動モータ
41 搬送モータ
42 入出力回路
45 制御操作盤
46 スイッチ盤
50 非常停止スイッチ
51 樹脂供給量スイッチ
52 砂量スイッチ
53 再現/開始スイッチ
54 休止スイッチ
55 混練/停止スイッチ
56 停止スイッチ
57 切換スイッチ
58 振動テーブルスイッチ
59 自動起動スイッチ
60 旋回スイッチ
61 旋回スイッチ
62 中止スイッチ
70 プログラム番号表示部
71 ステップ数表示部
72 記録/完了スイッチ表示部
73 再現/開始スイッチ表示部
74 フリーランスイッチ表示部
75 スイッチ表示部
76 スイッチ表示部
77 混練スイッチ表示部
78 停止スイッチ表示部
79 振動スイッチ表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9