【解決手段】ガラス台12の周囲に原稿を載置する位置を示す第一の図柄13が形成された筐体10と、1以上の印刷ヘッドを有するキャリッジ31と、原稿に表された画像を光学的に読み取るスキャナ機能部30と、原稿の第一面および第二面の両方に印刷可能な両面印刷部を用いて、原稿の第一面に、1以上の印刷ヘッドの印刷位置を検出するための第二の図柄を印刷し、原稿の第二面に、第一の図柄13に類似する第三の図柄61a、61b、61cを、原稿がガラス台12の検査位置に配置されたときに第一の図柄13に近接する位置に印刷するパターン印刷部41と、ガラス台12に載置された原稿に印刷された第二の図柄をスキャナ機能部30を用いてスキャンし、スキャン結果を用いて1以上の印刷ヘッドの印刷位置を調整する調整部42とを備える。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、各図は、必ずしも各寸法あるいは各寸法比等を厳密に図示したものではない。
【0021】
また、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲によって特定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0022】
(実施の形態)
実施の形態のプリンタについて、
図1〜
図7を用いて説明する。
【0023】
本実施の形態のプリンタは、カラー印刷を行うカラー印刷機能、記録媒体の両面に印刷を行う両面印刷部、および、原稿を光学的に読み取るスキャナ等の機能を複合的に備えている。
【0024】
[1−1.構成]
図1は、本実施の形態におけるプリンタの原稿台を含む筐体の上面を示す図である。
図2は、本実施の形態におけるプリンタの構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
本実施の形態のプリンタは、筐体10内に、インクジェットプリンタ機能部20と、スキャナ機能部30と、制御部40と、メモリ50とを備えている。
【0026】
筐体10は、上面にガラス台12が配置された本体部11と、ガラス台12を覆う蓋部(図示せず)とを備えて構成されている。ガラス台12は、原稿を載せる原稿台の一例であり、本体部11の上面に形成された矩形状の開口部を覆うように配置されている。
【0027】
本体部11の上面には、開口部(ガラス台12)の上辺の近傍および左辺の近傍に、原稿を載置する位置を示す第一の図柄13が形成されている。第一の図柄13には、本実施の形態では、原点の位置を示す二等辺三角形13a、B5サイズの用紙の端部の位置を示す文字13bおよび13d、A4サイズの用紙の端部の位置を示す文字13cおよび13eが含まれる。二等辺三角形13aは、開口部の左上角の近傍に形成されている。文字13bおよび13cは、開口部の上辺の近傍に形成されている。文字13dおよび13eは、開口部の左辺の近傍に形成されている。
【0028】
インクジェットプリンタ機能部20は、印刷の実行を行う機能部であり、インクカートリッジを保持するキャリッジの駆動機構、および、記録媒体を搬送する搬送ローラの駆動機構を備えている。また、本実施の形態のインクジェットプリンタ機能部20は、自動両面印刷が可能である。
【0029】
図3は、本実施の形態におけるキャリッジ31の一例を示す図である。
図3に示すように、キャリッジ31は、黒色のインクを搭載したモノクロカートリッジ32と、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)等のインクを搭載したカラーカートリッジ33とを取り付け可能に構成されている。本実施の形態では、モノクロカートリッジ32およびカラーカートリッジ33が印刷ヘッドを有する構成である場合を例に説明するが、これに限るものではない。カートリッジと印刷ヘッドとが一体に設けられていなくても構わないし、キャリッジ31側に印刷ヘッドが設けられていても構わない。
【0030】
キャリッジ31は、筐体10内にX軸に並行に配置されたレールに沿って往復移動するように構成されている。つまり、キャリッジ31は、印刷の実行時に、横方向(
図1のX方向)に往復移動するように構成されている。印刷は、キャリッジ31がX軸の正の方向に移動しているとき、および、キャリッジ31がX軸の負の方向に移動しているときの両方で実行される。
【0031】
スキャナ機能部30は、ガラス台12に載せられた原稿を光学的に読み取るスキャナである。スキャナ機能部30は、ガラス台12の下に配置され、原稿に光を照射する光源(図示せず)と、原稿から反射した反射光を受光する受光部(図示せず)とを備えている。
【0032】
受光部は、Y軸方向にそって並べられた複数の受光素子を備えて構成されており、筐体10内にX軸に並行に配置されたレールに沿って往復移動するように構成されている。スキャナ機能部30は、例えば、A4サイズの原稿を読み取る場合は、上端からA4のY軸方向の端部(文字13eの位置)に相当する位置までの間にある(ガラス台12にセットされた原稿の直下に位置する)受光素子を活性化させる。さらに、スキャナ機能部30は、スキャンを行う受光素子を活性化させた状態で、X軸に沿って左端端部とA4のX軸方向の端部(文字13cの位置)との間を移動する。
【0033】
制御部40は、モノクロカートリッジの印刷ヘッド(第一印刷ヘッドに相当)における印刷の位置またはカラーカートリッジの印刷ヘッド(第二印刷ヘッドに相当)における印刷の位置の調整を含む印刷の制御を行う。制御部40は、
図2に示すように、パターン印刷部41と、調整部42と、印刷部43とを備えている。
【0034】
パターン印刷部41は、両面印刷により、原稿の第一面に、1以上のカートリッジの印刷位置を検出するための位置検出用パターン(第二の図柄に相当)を印刷し、原稿の第二面に、筐体10に形成された第一の図柄13に類似するユーザ支援用の図柄(第三の図柄に相当)を、原稿がガラス台12の検査位置に配置されたときに第一の図柄13が形成された位置に近接する位置に印刷する。
【0035】
ここで、第一の図柄13に類似する第三の図形には、第一の図柄を回転させた図柄、第一の図柄の大きさを変更した図柄、および、第一の図柄の一部(例えば、特徴的な部分)を抜き出した図柄等が含まれていても構わない。また、第一の図柄が表す意味を表した文字、例えば、円形の図柄と“円”という文字等であっても構わないし、第一の図柄が文字である場合に、当該文字を図形で表したもの等であっても構わない。
【0036】
調整部42は、位置ずれの調整を行う場合に、スキャナ機能部30(スキャナ)を用いてガラス台12に載置された原稿の第一面に印刷された位置検出用パターンをスキャンし、スキャン結果を用いて1以上のカートリッジの印刷位置を調整する。より具体的には、調整部42は、印刷のタイミングを調整するための補正値を算出する。
【0037】
印刷部43は、印刷の実行要求があったときに、調整部42により算出された補正値を用いて、印刷のタイミングを調整する。
【0038】
[1−2.動作]
位置ずれの調整について、
図4を用いて説明する。
【0039】
図4は、本実施の形態における位置ずれ調整処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0040】
位置ずれ調整処理は、例えば、カートリッジの交換時、あるいは、ユーザにより位置ずれの調整が指示されたときに行う。なお、位置ずれ調整処理は、一定期間毎、あるいは、一定の印刷枚数毎等、他の任意のタイミングで実行しても構わない。
【0041】
位置ずれ調整処理が開始されると、パターン印刷部41は、両面印刷部を用いて、原稿の第一面に、1以上のカートリッジの印刷位置を検出するための位置検出用パターンを印刷し、原稿の第二面に、筐体10に形成された第一の図柄13に類似するユーザ支援用の図柄を印刷する(S11)。
【0042】
図5Aは、本実施の形態における位置検出用パターンの一例を示す図である。
図5Aに示すように、位置検出用パターンには、複数のパターンP1(第一パターンに相当)と複数のパターンP2(第二パターンに相当)とが含まれる。複数のパターンP1は、モノクロカートリッジ32により印刷された長方形状のパターンである。複数のパターンP2は、カラーカートリッジ33により印刷された長方形状のパターンである。本実施の形態では、複数のパターンP1および複数のパターンP2は、全て同じ大きさおよび形状である。複数のパターンP1および複数のパターンP2は、3行×8列の行列状に配置されている。
図5Aでは、カラーカートリッジの色数が3であることから、パターンP2には、赤(R)のパターンと緑(G)のパターンと青(B)のパターンの3つのパターンが含まれる。パターンP1は全て黒のパターンである。1行目には、黒のパターンP1と赤(R)のパターンP2とが交互に配置されている。2行目には、黒のパターンP1と緑(G)のパターンP2とが交互に配置されている。3行目には、黒のパターンP1と青(B))のパターンP2とが交互に配置されている。
【0043】
図6は、本実施の形態におけるユーザ支援用の図柄の一例を示す図である。
図7は、
図5Aおよび
図6に示す原稿60Aをガラス台に設置した状態を示す図である。なお、
図6および
図7では、表面に印刷された位置検出用パターンと裏面に印刷されたユーザ支援用の図柄との位置関係を示すために、位置検出用パターンも示している。原稿60Aが裏写りしない原稿の場合、位置検出用パターンは、裏面には現れない。
【0044】
図6に示すように、原稿60Aの第二面、つまり、原稿60Aの裏面には、ユーザ支援用の図柄として、
図1に示す筐体10に形成された二等辺三角形13a、文字13cおよび13eに類似する二等辺三角形61a、文字61bおよび文字61cが印刷されている。
図7に示すように、二等辺三角形61aは、原稿60Aがガラス台12上に置かれている場合に、原点を中心として二等辺三角形13aを180度回転させた位置に印刷されている。
図7に示すように、「A4」の文字61bおよび61cは、筐体10に形成された「A4」の文字13cおよび13eの近傍に印刷されている。本実施の形態では、「A4」が印刷されている位置がより明確になるように、矢印の図が加えられている。なお、「B5」の文字13bおよび13dに対応するパターンを追加しても構わないし、「A4」の文字61bおよび61cに代えて「B5」に対応するパターンを印刷しても構わない。
【0045】
なお、本実施の形態では、
図6および
図7に示すように、ユーザ支援用の図柄は、位置検出用パターンに重ならないように配置されている。これにより、例えば、裏写り等が生じた場合でも、位置検出用パターンの読み取りを良好に行うことが可能になる。
【0046】
調整部42は、パターン印刷部41により原稿60Aの第一面に対する位置検出用パターンの印刷および第二面に対するユーザ支援用の図柄の印刷が実行され、原稿60Aが排出された後に、原稿60Aのスキャンを促す処理を行う(S12)。具体的には、例えば、筐体10に表示部がある場合は、「原稿をセットしてスキャンを実行して下さい」等の文章を表示させる。あるいは、プリンタが音声出力機能を備える場合は、上述した文章を音声出力するように構成しても構わない。
【0047】
調整部42は、原稿60Aがガラス台12にセットされ、スキャン要求が行われると(S13の有)、スキャナ機能部30を用いて原稿60Aのスキャンを行う(S14)。
【0048】
調整部42は、原稿60Aにおける位置ずれ量を検出する(S15)。具体的には、調整部42は、
図5Aに示す原稿60AのパターンP1とパターンP2との間隔を検出する。調整部42は、パターンP1とパターンP2との間隔の印刷実行時における設定値G0と、検出された間隔G1との差G0−G1を、位置ずれ量として算出する。
【0049】
上記では、1行目の黒のパターンP1と赤(R)のパターンP2との位置ずれ量の算出方法について説明したが、2行目の黒のパターンP1と緑(G)のパターンP2との位置ずれ量、および、3行目の黒のパターンP1と青(B)のパターンP2との位置ずれ量についても同様の方法を用いて算出する。
【0050】
調整部42は、位置ずれ量が0ではない場合は、位置ずれを補正するための印刷タイミングの調整量の算出を行う(S16)。例えば、
図5Aに示す原稿60Aの場合、黒のパターンP1と赤(R)のパターンP2との位置ずれ量が0ではないことから、印刷位置を位置ずれ量G0−G1でずらすための印刷タイミング、つまり、カラーカートリッジの赤(R)の印刷ヘッドにおけるインク吐出タイミングの調整量ΔT1を算出して、位置ずれ調整処理を終了する。同様に、黒のパターンP1と緑(G)のパターンP2との位置ずれ量が0ではないことから、緑(G)の印刷ヘッドにおけるインク吐出タイミングの調整量を算出する。同様に、黒のパターンP1と青(B)のパターンP2との位置ずれ量が0ではないことから、青(B)の印刷ヘッドにおけるインク吐出タイミングの調整量を算出する。
【0051】
なお、印刷部43は、通常の印刷動作を行う際、キャリッジ31の移動方向に応じて、カラーカートリッジ33の印刷タイミングを調整する。例えば、
図5Aに示すような位置ずれが発生している場合、キャリッジの移動方向がDir1のときは、印刷部43は、調整部42が算出した調整量ΔT1でカラーカートリッジ33の赤(R)の印刷ヘッドにおける印刷タイミングを早めて印刷を行う。キャリッジの移動方向がDir2のときは、印刷部43は、調整部42が算出した調整量ΔT1でカラーカートリッジ33の赤(R)の印刷ヘッドにおける印刷タイミングを遅らせて印刷を行う。これにより、モノクロカートリッジ32とカラーカートリッジ33との印刷の位置ずれを低減して、印刷品質の向上を図ることが可能になる。緑(G)の印刷ヘッドおよび青(B)の印刷ヘッドにおける印刷タイミングも同様に調整する。
【0052】
なお、本実施の形態では、カラーカートリッジ33の赤(R)、緑(G)、青(B)の印刷ヘッドにおける印刷タイミングを調整したが、モノクロカートリッジ32の印刷ヘッドにおける印刷タイミングを調整しても構わない。
【0053】
[1−3.効果等]
本実施の形態では、両面印刷部を利用して原稿の裏面にユーザ支援用の図柄の印刷を行うので、ユーザが原稿をセットする向きを間違える等の操作ミスを低減可能になる。これにより、不要なスキャン等を低減でき、位置ずれ調整処理全体での消費電力を削減することが可能になる。
【0054】
また、本実施の形態では、ユーザ支援用の図柄は、筐体10に形成された第一の図柄に類似するパターンであることから、ユーザが直感的に原稿をセットする方向および位置を把握し易くなる。
【0055】
(変形例1)
変形例1のプリンタについて、
図5Bを用いて説明する。
【0056】
上記実施の形態では、2つのカートリッジの間に生じる印刷の位置ずれを補正するために印刷タイミングを調整したが、本変形例では、キャリッジの移動方向による印刷の位置ずれを調整する。
【0057】
本変形例のプリンタは、実施の形態1と同様に、
図1および
図2に示すように、筐体10内に、インクジェットプリンタ機能部20と、スキャナ機能部30と、制御部40と、メモリ50とを備えている。なお、本変形例のプリンタは、実施の形態のプリンタとは動作が異なるが、筐体10、インクジェットプリンタ機能部20、スキャナ機能部30、制御部40およびメモリ50の構成は同じである。
【0058】
本変形例におけるプリンタの動作について、
図4を用いて説明する。なお、位置ずれ調整処理の実行タイミングは、実施の形態と同じである。
【0059】
位置ずれ調整処理が開始されると、パターン印刷部41は、両面印刷部を用いて、原稿の第一面に位置検出用パターンを印刷し、原稿の第二面にユーザ支援用の図柄を印刷する(S11)。
【0060】
本実施の形態では、位置検出用パターンとして、
図5Bに示すパターンを印刷する。
【0061】
図5Bは、本変形例における位置検出用パターンの一例を示す図である。
図5Bに示すように、本実施の形態の位置検出用パターンには、複数のパターンP3(第三パターンに相当)および複数のパターンP4(第四パターンに相当)が含まれる。複数のパターンP3および複数のパターンP4は、モノクロカートリッジ32の印刷ヘッドにより印刷された同じ大きさの長方形状のパターンであり、2行×8列の行列状に配置されている。複数のパターンP3および複数のパターンP4は、全て黒のパターンである。1行目のパターンP3は、キャリッジ31がDir1の方向に移動しているときに印刷されるパターンであり、2行目のパターンP4は、キャリッジ31がDir2の方向に移動しているときに印刷されるパターンである。
【0062】
ユーザ支援用の図柄は、
図6に示す実施の形態のユーザ支援用の図柄と同じである。
【0063】
調整部42は、パターン印刷部41により原稿60Bの第一面に対する位置検出用パターンの印刷および第二面に対するユーザ支援用の図柄の印刷が実行され、原稿60Bが排出された後に、原稿60Bのスキャンを促す処理を行う(S12)。
【0064】
調整部42は、原稿60Bがガラス台12にセットされ、スキャン要求が行われると(S13の有)、スキャナ機能部30を用いて原稿60Bのスキャンを行う(S14)。
【0065】
調整部42は、原稿60Bにおける位置ずれ量を検出する(S15)。本実施の形態では、調整部42は、
図5Bに示す原稿60BのパターンP3とパターンP4との間隔G2を検出する。調整部42は、間隔G2を位置ずれ量として算出する。位置ずれが生じていない場合、間隔G2は0になる。
【0066】
調整部42は、位置ずれ量が0ではない場合は、位置ずれを補正するための印刷タイミングの調整量の算出を行う(S16)。例えば、
図5Bに示す原稿60Bの場合、位置ずれ量が0ではないことから、モノクロカートリッジ32の印刷ヘッドにおけるインク吐出タイミングの調整量ΔT2を算出して、位置ずれ調整処理を終了する。
【0067】
なお、印刷部43は、通常の印刷動作を行う際、キャリッジ31がDir2方向に移動しているときに、ステップS15で算出した調整量ΔT2でモノクロカートリッジ32の印刷ヘッドにおける印刷タイミングを早めて印刷を行う。これにより、モノクロカートリッジ32におけるキャリッジ31の移動方向による印刷の位置ずれを低減して、印刷品質の向上を図ることが可能になる。
【0068】
本変形例では、キャリッジ31がDir2方向に移動しているときの印刷タイミングを調整したが、キャリッジ31がDir1方向に移動しているときの印刷タイミングを調整しても構わない。
【0069】
また、カラーカートリッジ33が搭載されている場合は、調整量ΔT2を用いてカラーカートリッジ33の個々の印刷ヘッドにおける印刷タイミングを調整しても構わない。あるいは、カラーカートリッジ33の個々の印刷ヘッドにおける位置ずれ量を検出し、当該位置ずれ量からカラーカートリッジ33の個々の印刷ヘッドにおける印刷タイミングを調整しても構わない。
【0070】
本変形例においても、両面印刷部を利用して原稿の裏面にユーザ支援用の図柄の印刷を行うので、ユーザが原稿をセットする向きを間違える等の操作ミスを低減可能になる。本変形例では、キャリッジ31がDir1の方向に移動するときとDir2の方向に移動するときとで、構造的な組み付け誤差による印刷の位置ずれが生じた場合でも、当該位置ずれを精度良く補正することが可能になる。これにより、印刷品質の向上を図ることが可能になる。
【0071】
(変形例2)
実施の形態における2つのカートリッジ間の位置ずれの補正と、変形例1におけるキャリッジ31の移動方向による位置ずれの補正とを同時に行うように構成しても構わない。
【0072】
図5Cは、本変形例における位置検出用パターンの一例を示す図である。
図5Cでは、原稿60Cの裏面の上側に
図5Aのパターンが、下側に
図5Bのパターンが印刷されている。
図9は、
図5Cに示す原稿をガラス台に設置するときのプリンタの一例を示す図である。
【0073】
本変形例では、実施の形態1と同じ手順で調整量ΔT1を算出し、変形例1と同じ手順で調整量ΔT2を算出する。
【0074】
印刷部43は、通常の印刷動作を行う際、例えば、キャリッジ31がDir2方向に移動しているときに、ステップS15で算出した調整量ΔT2でモノクロカートリッジ32の印刷ヘッドにおける印刷タイミングを早めて印刷を行う。
【0075】
さらに、印刷部43は、キャリッジ31の移動方向に応じて、カラーカートリッジ33の印刷ヘッドにおける印刷タイミングを調整する。例えば、キャリッジの移動方向がDir1のときは、印刷部43は、調整量ΔT1でカラーカートリッジ33の個々の印刷ヘッドにおける印刷タイミングを早めて印刷を行う。
【0076】
キャリッジの移動方向がDir2のときは、調整量ΔT1>調整量ΔT2の場合、印刷部43は、調整量ΔT1−調整量ΔT2でカラーカートリッジ33の印刷タイミングを遅らせて印刷を行う。調整量ΔT1<調整量ΔT2の場合、印刷部43は、調整量ΔT2−調整量ΔT1でカラーカートリッジ33の印刷タイミングを早めて印刷を行う。
【0077】
これにより、モノクロカートリッジ32の印刷ヘッドとカラーカートリッジ33の個々の印刷ヘッドとの間の印刷の位置ずれ、および、キャリッジ31の移動方向による印刷の位置ずれの両方を低減して、印刷品質の向上を図ることが可能になる。
【0078】
なお、2つのカートリッジの間の印刷の位置ずれを補正するための印刷タイミングの調整は、モノクロカートリッジ32に対して行っても構わない。あるいは、キャリッジ31の移動方向による位置ずれを補正するための印刷タイミングの調整は、キャリッジ31の移動方向がDir1のときに行っても構わない。
【0079】
本変形例においても、両面印刷部を利用して原稿の裏面にユーザ支援用の図柄の印刷を行うので、ユーザが原稿をセットする向きを間違える等の操作ミスを低減可能になる。また、本変形例では、1度の位置ずれ調整処理で、2つのカートリッジの間の印刷の位置ずれと、キャリッジ31の移動方向による印刷の位置ずれの両方を補正することが可能になる。
【0080】
(変形例3)
実施の形態および変形例1〜3において、ユーザ支援パターンは、筐体10に形成された第一の図柄に類似するパターンとしたが、当該第一の図柄に類似するパターン以外の図が印刷されていても構わない。
【0081】
図8は、本変形例におけるユーザ支援用の図柄の一例を示す図である。
図8に示す原稿60Dには、
図6に示すパターンに加え、「この面を上にして印刷して下さい」の文字が印刷されている。
【0082】
このように構成することにより、さらに、ユーザの操作ミスを低減することが可能になる。
【0083】
以上、本発明の実施の形態に係るプリンタについて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0084】
上記プリンタを構成する制御部40は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムとして構成されても良い。RAMまたはハードディスクドライブには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、制御部40は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0085】
さらに、上記の制御部40を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしても良い。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0086】
さらにまた、上記の制御部40を構成する構成要素の一部または全部は、プリンタに脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしても良い。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしても良い。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしても良い。
【0087】
また、本発明は、上記に示す方法(位置ずれ調整処理)であるとしても良い。また、本発明は、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしても良いし、上記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしても良い。
【0088】
さらに、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしても良い。また、これらの非一時的な記録媒体に記録されている上記デジタル信号であるとしても良い。
【0089】
また、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしても良い。
【0090】
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、上記マイクロプロセッサは、上記コンピュータプログラムに従って動作するとしても良い。
【0091】
また、上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記非一時的な記録媒体に記録して移送することにより、または上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしても良い。
【0092】
さらに、上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしても良い。