(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-223847(P2015-223847A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】車両用ミラーホルダー
(51)【国際特許分類】
B60R 1/06 20060101AFI20151117BHJP
【FI】
B60R1/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-107832(P2014-107832)
(22)【出願日】2014年5月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000147660
【氏名又は名称】株式会社石▲崎▼本店
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上川 裕也
(72)【発明者】
【氏名】藤井 雅之
(72)【発明者】
【氏名】丸山 正嗣
(72)【発明者】
【氏名】安友 政人
【テーマコード(参考)】
3D053
【Fターム(参考)】
3D053FF19
3D053GG06
3D053HH14
3D053HH19
3D053HH55
(57)【要約】
【課題】ミラーに設けた電気部品の端子の接続部分を逃がすようにミラーホルダーに貫通孔を形成する場合に、ハーネス保持部の配設位置の設定自由度を向上させ、端子に接続されるハーネスの取り回しが適切に行えるようにする。
【解決手段】ミラー2を保持するとともに、ミラー2に設けられるヒーター3に端子を接続する接続部分を逃がすための貫通孔43が形成された車両用ミラーホルダー4において、貫通孔43をミラー2とは反対側から覆うように形成された覆い部44が設けられ、覆い部44には、ハーネス11、12を保持するハーネスクリップ46が設けられている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーの裏面が固定されて該ミラーを保持するとともに、該ミラーに設けられる電気部品に端子を接続する接続部分を逃がすための貫通孔が形成された車両用ミラーホルダーにおいて、
上記ミラーホルダーには、上記貫通孔を上記ミラーとは反対側から覆うように形成された覆い部が設けられ、
上記覆い部には、ハーネスを保持するハーネス保持部が設けられていることを特徴とする車両用ミラーホルダー。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ミラーホルダーにおいて、
上記覆い部は、上記貫通孔の周縁部から上記ミラーとは反対側へ向けて膨出するように上記ミラーホルダーに一体成形されていることを特徴とする車両用ミラーホルダー。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用ミラーホルダーにおいて、
単一の上記貫通孔が複数の端子の接続部分を逃がすように開口していることを特徴とする車両用ミラーホルダー。
【請求項4】
請求項2または3に記載の車両用ミラーホルダーにおいて、
上記ハーネス保持部は、上記覆い部の膨出方向先端面に設けられていることを特徴とする車両用ミラーホルダー。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1つに記載の車両用ミラーホルダーにおいて、
上記覆い部の膨出方向先端面は平坦面とされ、
上記ハーネス保持部は上記覆い部の平坦面から突出するように形成され、上記ハーネスは、上記ハーネス保持部と上記覆い部の平坦面とによって挟持されることを特徴とする車両用ミラーホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の側部に配設される車両用サイドミラーのミラーを保持するための車両用ミラーホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特許文献1に開示されているように、車両の側部に配設される車両用サイドミラーは、後方確認用のミラーと、ミラーを保持するミラーホルダーと、ミラーホルダーが取り付けられるハウジングとを備えており、ハウジングがベースを介して車両の側部に配設されるドアに取り付けられるようになっている。特許文献1のミラーの裏側には例えばヒーター等の電気部品が設けられており、このヒーターには電力を供給するための端子が接続される。また、ミラーには、車両後方に存在する車両を検知するシステムの表示部が設けられることがあり、この表示部にも電力を供給するための端子が設けられる。各端子に接続されたハーネスは、ミラーホルダーの裏面に設けられたクリップ状のハーネス保持部によって保持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−10383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、端子は、ヒーター等に対してはんだ付け等により接続され、そのはんだ付けされた部分は例えば絶縁性を有する樹脂で被覆される。従って、端子のヒーター等への接続部分がミラーの裏側に盛り上がることになるので、ミラーホルダーには、端子の接続部分を逃がすように貫通孔を形成する必要がある。
【0005】
ところが、ミラーホルダーの貫通孔が形成されている部分にはハーネス保持部を設けることができないので、ミラーホルダーに貫通孔を形成した場合にはハーネス保持部の配設位置が制限されることになり、ひいてはハーネスの取り回しが適切に行えなくなるという問題がある。特にミラーホルダーに対するミラーやヒーター等の組付バラつきを許容できるようにするためにミラーホルダーの貫通孔を大きめに設定しなければならない場合があり、この場合にはハーネス保持部の配設位置がより一層制限されることになるので、上述した問題が顕著なものとなる。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ミラーに設けた電気部品の端子の接続部分を逃がすようにミラーホルダーに貫通孔を形成する場合に、ハーネス保持部の配設位置の設定自由度を向上させ、端子に接続されるハーネスの取り回しが適切に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、ミラーホルダーの貫通孔をミラーとは反対側から覆うように形成した覆い部を設け、この覆い部にハーネス保持部を設けるようにした。
【0008】
第1の発明は、
ミラーの裏面が固定されて該ミラーを保持するとともに、該ミラーに設けられる電気部品に端子を接続する接続部分を逃がすための貫通孔が形成された車両用ミラーホルダーにおいて、
上記ミラーホルダーには、上記貫通孔を上記ミラーとは反対側から覆うように形成された覆い部が設けられ、
上記覆い部には、ハーネスを保持するハーネス保持部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、電気部品が設けられたミラーをミラーホルダーで保持した際に電気部品に接続される端子の接続部分をミラーホルダーの貫通孔によって逃がすことが可能になる。この貫通孔を覆う覆い部にハーネス保持部を設けているので、貫通孔が形成されている部位にもハーネス保持部を設けることが可能になる。よって、ハーネス保持部の配設位置の設定自由度が向上する。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、
上記覆い部は、上記貫通孔の周縁部から上記ミラーとは反対側へ向けて膨出するように上記ミラーホルダーに一体成形されていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、覆い部がミラーホルダーの貫通孔の形成部位に一体成形されることになるので、貫通孔の形成によって強度低下したミラーホルダーが、部品点数の増加を招くことなく覆い部によって補強される。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、
単一の上記貫通孔が複数の端子の接続部分を逃がすように開口していることを特徴とする。
【0013】
すなわち、複数の端子の接続部分を逃がすように貫通孔を形成すると、貫通孔が大きくなるのでハーネス保持部の配設位置の設定自由度がより一層制限されることになるが、本発明では、貫通孔が大きくても覆い部にハーネス保持部を設けているので、ハーネス保持部の配設位置の設定自由度が低下することはない。また、貫通孔が大きいとミラーホルダーの強度低下が懸念されるが、覆い部を貫通孔の周縁部に一体成形しているので、貫通孔が大きくなっても十分な強度が得られるようになる。
【0014】
第4の発明は、第2または3の発明において、
上記ハーネス保持部は、上記覆い部の膨出方向先端面に設けられていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、ハーネスが覆い部の膨出方向先端面において保持されるので、端子の接続部分とハーネスとが重なるように配置される。
【0016】
第5の発明は、第2から4のいずれか1つの発明において、
上記覆い部の膨出方向先端面は平坦面とされ、
上記ハーネス保持部は上記覆い部の平坦面から突出するように形成され、上記ハーネスは、上記ハーネス保持部と上記覆い部の平坦面とによって挟持されることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、覆い部の平坦面に沿うようにハーネスを配置する場合に、そのハーネスがハーネス保持部と覆い部の平坦面とによって挟持される。
【発明の効果】
【0018】
第1の発明によれば、電気部品に端子を接続する接続部分を逃がすための貫通孔をミラーホルダーに設け、貫通孔をミラーとは反対側から覆う覆い部に、ミラーホルダーに配設されるハーネスを保持するハーネス保持部を設けたので、ハーネス保持部の配設位置の設定自由度を向上させ、端子に接続されるハーネスの取り回しを適切に行うことができる。
【0019】
第2の発明によれば、覆い部が貫通孔の周縁部から膨出するようにミラーホルダーに一体成形されているので、貫通孔が形成されたミラーホルダーの強度を、部品点数の増加を招くことなく十分に確保することができる。
【0020】
第3の発明によれば、複数の端子の接続部分を逃がすように貫通孔を大きく形成した場合であってもハーネス保持部の配設位置の設定自由度を向上させることができ、また、ミラーホルダーの強度を十分に得ることができる。
【0021】
第4の発明によれば、ハーネス保持部を覆い部の膨出方向先端面に設けたので、端子の接続部分とハーネスとが重なるように配置でき、コンパクトにまとめることができる。
【0022】
第5の発明によれば、覆い部の平坦面に沿うように配置したハーネスをハーネス保持部と覆い部の平坦面とによって挟持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態に係る車両用ミラーベースを備えた車両用サイドミラーの分解斜視図である。
【
図2】ミラーを保持した車両用ミラーホルダーを車両前側から見た正面図である。
【
図5】ミラーを保持した車両用ミラーホルダーの貫通孔近傍を拡大して示す斜視図である。
【
図6】車両用ミラーホルダー単体の貫通孔近傍を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用ミラーホルダー4を備えた車両用サイドミラー1の分解斜視図である。車両用サイドミラー1は、図示しないが自動車の側部に配設されるドア(図示せず)の前端部に取り付けられて乗員が後方を確認する場合に使用される、いわゆるドアミラーである。以下の説明では、車両の右側に取り付けられるサイドミラー1について説明するが、左側に取り付けられるサイドミラーは右側のものと左右対称構造である点で異なるだけである。
【0026】
尚、この実施形態の説明では、車両前側を単に「前」といい、また車両後側を単に「後」といい、また車両左側を単に「左」といい、また車両右側を単に「右」というものとする。
【0027】
車両用サイドミラー1は、後方確認用のミラー2と、ミラー2に設けられるヒーター3と、ミラーホルダー4と、ピボットプレート5と、角度調整ユニット6と、ハウジング7と、フレーム8と、ベース9とを備えている。さらに、車両用ドアミラー1は、ヒーター3や角度調整ユニット6に接続されるハーネス10の他、ベース9に設けられるシール材Sも備えている。
【0028】
ミラー2は、使用状態において左右方向に長い形状となっており、表面(使用状態において車両後側の面)が鏡面である。ヒーター3は、ミラー2の裏面(使用状態において車両前側の面)の形状に対応したフィルム状をなしており、ミラー2の裏面に対して図示しない両面テープによって広範囲に亘って貼り付けられている。ヒーター3は、電力の供給によって発熱する発熱体(例えば電熱線)を有する従来周知のものであるので詳細な説明は省略する。
【0029】
尚、図示しないが、ミラー2の裏面には、車両後方に存在する車両を検知するシステムの表示部を設けることもできる。表示部は例えば電力を供給することによって発光するLED等で構成することができる。ミラー2の裏面には、その他にも電力の供給によって作動する各種電気部品を設けることができる。
【0030】
ミラーホルダー4は、詳細は後述するがミラー2を保持するためのものであり、樹脂材を成形してなる。このミラーホルダー4のミラー2とは反対側(前側)にピボットプレート5が固定されている。ピボットプレート5は、その前側に図示しないがピボットを有している。角度調整ユニット6は、ピボットプレート5のピボットが嵌合するピボット嵌合部6aを有している。ピボット嵌合部6aにピボットプレート5のピボットが嵌合した状態で、ピボットプレート5が上下方向及び左右方向に傾動自在となる。角度調整ユニット6は、図示しないが2つの電動モーターを内蔵しており、これらモーターによってピボットプレート5を駆動することによってミラー2を上下方向及び左右方向に傾動させ、このことによってミラー2の角度を調整することができるように構成された従来周知のものである。
【0031】
ハウジング7の後面には、前側へ窪むように形成されたミラー収容凹部7aが形成されている。ミラー収容凹部7aには、角度調整ユニット6、ピボットプレート5、ミラーホルダー4、ヒーター3及びミラー2が収容されるようになっている。角度調整ユニット6がミラー収容凹部7aの内面に固定されている。
【0032】
ハウジング7は、アッパーパネル7cと、アンダーパネル7dとを備えている。アッパーパネル7cは、ハウジング7の本体部分の前側上半部を覆うように形成されている。アンダーパネル7dは、ハウジング7の本体部分の前側下半部を覆うように形成されている。アッパーパネル7c及びアンダーパネル7dはハウジング7の本体部分に対して固定されている。
【0033】
ハウジング7の本体部分の前側はフレーム8に固定されている。フレーム8は、左右方向に延びている。フレーム8の左側には、略上下方向に延びる孔部8aが形成されている。
【0034】
ベース9は略上下方向に延びている。ベース9の基端側である下側は、車両のドアに対して弾性部材からなるシール材Sを介在させた状態で締結固定される。ベース9の先端側は略上下方向に延びる支軸部9aで構成されている。この支軸部9aは、フレーム8の孔部8aに挿入されている。フレーム8は、支軸部9aの軸線周りに回動して使用位置と格納位置とに切り替えられるようになっている。この切替構造は従来周知のものであるので詳細な説明は省略する。
図1中、符号Aは、フレーム8をベース9に付勢するためのスプリングである。スプリングAの内方に支軸部9aが挿通するようになっている。また、符号13は、スプリングAが支軸部9aから抜け出ないようにするためのスプリングストッパーである。また、ベース9の基端部は、ハウジング7の下部に取り付けられるベースカバー14によって覆われるようになっている。
【0035】
ハーネス10は、角度調整ユニット6のモーター及びヒーター3に電力を供給するためのものである。ハーネス10は、上述した表示部等の電気部品が設けられている場合には、それらにも電力を供給できるように構成することができる。ハーネス10の基端部には、図示しないが車両側のハーネスに接続されるコネクタ10cが設けられている。ハーネス10の先端側は角度調整ユニット6のモーターに接続されるモーター接続ハーネス10aと、ヒーター3に接続されるヒーター接続ハーネス10bとに分岐されている。モーター接続ハーネス10a及びヒーター接続ハーネス10bはベース9の支軸部9a内を通ってハウジング7の内部に延びるように配設されている。ハーネス10のコネクタ10c側は、ドアの内部に挿入されるようになっている。
【0036】
図2〜
図5にも示すように、ミラー2の裏面には、ヒーター3を構成する電熱線の導通部分に対してはんだ付け等の方法により接続される第1端子21及び第2端子22が設けられている。第1端子21及び第2端子22の一方が正極端子であり、他方が負極端子である。第1端子21及び第2端子22は、共に前側へ突出する導電性の金属板材で構成され、互いに接近しており、ミラー2の左側上部に位置している。第1端子21は第2端子22の上方に位置するとともに、第2端子22よりも右寄りに位置している。
【0037】
第1端子21のヒーター3との接続部分(第1端子21の基端部)は絶縁性を有する第1樹脂材23で被覆されている。第1樹脂材23は、第1端子21の基端部が埋まるように前側へ膨出しており、はんだ付けされた部分全体を被覆するように、正面視では左右方向に長い略矩形に近似した形状となっている。第1樹脂材23の厚みは、ミラーホルダー4の本体部分の厚みと略同じか、ミラーホルダー4の本体部分の厚みよりも若干厚めに設定されている。また、第2端子22のヒーター3との接続部分も同様な第2樹脂材24で被覆されている。第1樹脂材23と第2樹脂材24との間には上下方向に隙間が設けられている。
【0038】
図5に仮想線で示すように、ヒーター接続ハーネス10bは先端側が2つに分岐しており、第1ヒーター接続ハーネス11と、第2ヒーター接続ハーネス12とを有している。第1ヒーター接続ハーネス11の先端部には、第1端子21に接続されるコネクタ11aが設けられ、第2ヒーター接続ハーネス12の先端部には、第2端子22に接続されるコネクタ12aが設けられている。
【0039】
ミラーホルダー4は、全体としてミラー2の裏面に沿うように形成された板状の本体部41と、本体部41から前側へ突出する環状壁42とを備えている。環状壁42は、前側から見て略円環状に形成されている。本体部41における環状壁42よりも左側の上部には、第1端子21及び第2端子22をヒーター3に接続する接続部分を逃がすための貫通孔43が形成されている。貫通孔43は、第1樹脂材23及び第2樹脂材24を囲む形状とされている。第1樹脂材23が第2樹脂材24よりも右側に位置していることに対応するように、貫通孔43の右縁部は、その上半部が下半部に比べて右に位置するように屈曲している。同様に、貫通孔43の左縁部は、その上半部が下半部に比べて右に位置するように屈曲している。貫通孔43の上縁部及び下縁部は互いに略平行に左右方向に延びている。従って、単一の貫通孔43が第1端子21及び第2端子22を逃がすように本体部41に開口することになる。
【0040】
また、貫通孔43の大きさは、第1樹脂材23及び第2樹脂材24の周縁部との間に隙間ができるように第1樹脂材23及び第2樹脂材24を合わせた形状よりも大きな形状となるように設定されている。これは、ヒーター3や、第1端子21、第2端子22、第1樹脂材23、第2樹脂材24の組付バラつきや製造誤差が生じた場合に、第1樹脂材23及び第2樹脂材24が貫通孔43の周縁部に接触しないようにするための余裕を見込んでいることによる。
【0041】
本体部41には、貫通孔43をミラー2とは反対側(前側)から覆うように形成された覆い部44が設けられている。覆い部44は、貫通孔43の周縁部から前側へ膨出するように本体部41に一体成形されている。すなわち、覆い部44が一体成形されている部分は、貫通孔43の周縁部のうち、上縁部の左半部から左縁部、下縁部の左半部に亘って連続している。
【0042】
図3や
図4に示すように、覆い部44の周壁部44aは、貫通孔43の周縁部から前側へ突出している。この周壁部44aの突出方向先端部に、覆い部44の膨出方向先端面44bが連なっている。覆い部44の先端面44bは平坦面で構成されている。先端面44bの右縁部44cの形状は、貫通孔43の右縁部の形状と略形状とされており、右縁部44cの上半部が下半部よりも右側に位置している。本体部41を前側から見たとき、先端面44bの右縁部44cと貫通孔43の右縁部とは左右方向に離れており、これらの間から第1端子21及び第2端子22が突出するようになっている。また、先端面44bの左縁部は、右縁部44cと略同じ形状である。
図6に示すように、覆い部44の先端面44bには、開口部44hが形成されている。開口部44hは、先端面44bの上半部において左寄りに位置している。開口部44hは上下方向に長く延びており、開口部44hの下縁部は先端面44b上下方向中央部近傍に位置する一方、上縁部は先端面44bの上縁部近傍に位置している。
【0043】
覆い部44の先端面44bには、ヒーター接続ハーネス10bを保持するためのハーネスクリップ(ハーネス保持部)46が設けられている。ハーネスクリップ46は、覆い部44の先端面44bから突出するように該先端面44bに一体成形されている。すなわち、ハーネスクリップ46の下端部46aが開口部44hの下縁部と一体化しており、ハーネスクリップ46の下端部46aは開口部44hの下縁部から前側へ突出するように延びた後、上方へ屈曲している。ハーネスクリップ46の本体部46bは、下端部46aから上方へ延びている。この本体部46bは、前側から見たときに覆い部44の開口部44hと重なるように位置している。ハーネスクリップ46の本体部46bの先端部には、覆い部44の開口部44hに接近する側に屈曲する屈曲部46cが設けられている。
【0044】
第1ヒーター接続ハーネス11及び第2ヒーター接続ハーネス12は、径方向に移動させることにより、ハーネスクリップ46の屈曲部46c側からハーネスクリップ46と覆い部44の先端面44bとの間に挿入され、ハーネスクリップ46と先端面44bとによって径方向に挟持されるようになっている。第1ヒーター接続ハーネス11及び第2ヒーター接続ハーネス12は、ハーネスクリップ46と覆い部44の先端面44bとで挟持された状態で、ハーネスクリップ46の屈曲部46cよりも下側に位置しているのでハーネスクリップ46から離脱しにくい。
【0045】
以上説明したように、この実施形態に係るミラーホルダー4によれば、ヒーター3が設けられたミラー2をミラーホルダー4で保持した際にヒーター3に接続される第1端子21及び第2端子22の接続部分をミラーホルダー4の貫通孔43によって逃がすことができる。この貫通孔43を覆う覆い部44にハーネスクリップ46を設けているので、貫通孔43が形成されている部位にもハーネスクリップ46を設けることができる。よって、ハーネスクリップ46の配設位置の設定自由度が向上し、第1端子21及び第2端子22に接続されるハーネス11、22の取り回しを適切に行うことができる。
【0046】
また、覆い部44がミラーホルダー4の貫通孔43が形成された部位に一体成形されることになるので、貫通孔43の形成によって強度低下したミラーホルダー4を、部品点数の増加を招くことなく覆い部44によって補強できる。
【0047】
また、この実施形態では、第1端子21及び第2端子22の接続部分を逃がすように貫通孔43を形成しているので貫通孔43が大きくなっているが、貫通孔43が大きくても覆い部44にハーネスクリップ46を設けているので、ハーネスクリップ46の配設位置の設定自由度が低下することはない。また、貫通孔43が大きいとミラーホルダー4の強度低下が懸念されるが、覆い部44を貫通孔43の周縁部に一体成形しているので、貫通孔43が大きくなっても十分な強度が得られる。
【0048】
上記実施形態では、ミラーホルダー4の貫通孔43を、第1端子21及び第2端子22の接続部分を逃がすように大きく形成しているが、これに限らず、一方の端子のみ逃がすように小さく形成してもよい。
【0049】
また、貫通孔43は、車両後方に存在する車両を検知するシステムの表示部に接続される端子や、その他、電気部品に接続される端子を逃がすように形成することもできる。
【0050】
また、ハーネスクリップ46の形状は上記した形状に限られるものではなく、任意の形状にすることができる。
【0051】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上説明したように、本発明に係る車両用ミラーホルダーは、例えば自動車の側部に配設されるサイドミラーに適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 車両用サイドミラー
2 ミラー
3 ヒーター(電気部品)
4 ミラーホルダー
10 ハーネス
43 貫通孔
44 覆い部
44b 先端面
46 ハーネスクリップ(ハーネス保持部)