特開2015-223995(P2015-223995A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-223995(P2015-223995A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】撮影用無人飛行体
(51)【国際特許分類】
   B64C 25/06 20060101AFI20151117BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20151117BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20151117BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20151117BHJP
   B64C 25/32 20060101ALI20151117BHJP
   B64C 25/58 20060101ALI20151117BHJP
【FI】
   B64C25/06
   B64C39/02
   B64C27/08
   B64D47/08
   B64C25/32
   B64C25/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-111414(P2014-111414)
(22)【出願日】2014年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100080296
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】石橋 久義
(57)【要約】
【課題】調査対象部の撮影を安定に行える撮影用無人飛行体を提供する。
【解決手段】本発明に係る撮影用無人飛行体2は、無人飛行体20と、無人飛行体20に搭載された撮影装置30と、無人飛行体に設けられた3本以上の脚40とを備え、飛行しながら調査対象部を撮影する撮影用無人飛行体であって、調査対象部に脚40の脚端部42を接触させた状態で調査対象部を撮影することにより、調査対象部に対する撮影姿勢を維持可能なように構成されたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人飛行体と、無人飛行体に搭載された撮影装置と、無人飛行体に設けられた3本以上の脚とを備え、飛行しながら調査対象部を撮影する撮影用無人飛行体であって、
調査対象部に脚の脚端部を接触させた状態で調査対象部を撮影することにより、調査対象部に対する撮影姿勢を維持可能なように構成されたことを特徴とする撮影用無人飛行体。
【請求項2】
脚は、調査対象部に脚端部が接触した状態で調査対象部に押し付けられた場合に撓むように構成され、調査対象部上において撮影用無人飛行体を移動させたい任意の方向とは反対側に位置する脚を撓ませて当該撮影用無人飛行体の機体を傾けることによって当該撮影用無人飛行体を任意の方向に推進させるための推進力が当該撮影用無人飛行体に付与されるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の撮影用無人飛行体。
【請求項3】
脚端部は、調査対象部上を転動可能な車輪を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮影用無人飛行体。
【請求項4】
脚は無人飛行体の機体より上方に突出し、無人飛行体が上昇して調査対象部としての構造物の下面まで移動した場合に、脚端部が当該下面に接触するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の撮影用無人飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人飛行体(UAV(Unmanned Aerial Vehicle))に撮影装置を搭載した撮影用無人飛行体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラやビデオカメラ等の撮影装置を搭載した撮影用無人飛行体を用いて撮影を行うことが知られている(例えば特許文献1乃至3等参照)。
一方、近年、トンネル、橋梁、ダム、道路等のインフラストラクチャーの老朽化が顕在化してきており、これらインフラストラクチャーの調査対象部の劣化状況を上述した撮影用無人飛行体を用いて撮影し、当該撮影データを検証して当該調査対象部の補修等が必要か否かを判断することも試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−269413号公報
【特許文献2】特開2006−027331号公報
【特許文献3】特開2006−027448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の撮影用無人飛行体は、調査対象部から離れて空中に浮いた状態で調査対象部を撮影するので、安定性が悪い。特に撮影用無人飛行体が風を受けた場合に煽られるので、撮影用無人飛行体の撮影姿勢が不安定になり、調査対象部の撮影を安定に行うことができないという課題があった。
本発明は、調査対象部の撮影を安定に行える撮影用無人飛行体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る撮影用無人飛行体は、無人飛行体と、無人飛行体に搭載された撮影装置と、無人飛行体に設けられた3本以上の脚とを備え、飛行しながら調査対象部を撮影する撮影用無人飛行体であって、調査対象部に脚の脚端部を接触させた状態で調査対象部を撮影することにより、調査対象部に対する撮影姿勢を維持可能なように構成されたので、調査対象部の撮影を安定に行える撮影用無人飛行体となる。
また、脚は、調査対象部に脚端部が接触した状態で調査対象部に押し付けられた場合に撓むように構成され、調査対象部上において撮影用無人飛行体を移動させたい任意の方向とは反対側に位置する脚を撓ませて当該撮影用無人飛行体の機体を傾けることによって当該撮影用無人飛行体を任意の方向に推進させるための推進力が当該撮影用無人飛行体に付与されるように構成されたので、調査対象部上において撮影用無人飛行体を容易に移動させることが可能となる。
また、脚端部は、調査対象部上を転動可能な車輪を備えたので、調査対象部上において撮影用無人飛行体をより容易に移動させることが可能となる。
さらに、脚は無人飛行体の機体より上方に突出し、無人飛行体が上昇して調査対象部としての構造物の下面まで移動した場合に、脚端部が当該下面に接触するように構成されたので、調査対象部としての構造物の下面の撮影を安定に行え、かつ、当該下面上で撮影用無人飛行体を容易に移動させることが可能な撮影用無人飛行体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】撮影用無人飛行体を示す斜視図(実施形態1)。
図2】(a)は撮影用無人飛行体による調査対象部の撮影状態を示す図、(b)は撮影用無人飛行体が調査対象部上を移動する移動時の状態を示す図(実施形態1)。
図3】撮影用無人飛行体の移動時の状態を示す図(実施形態2)。
図4】撮影用無人飛行体を備えた無人飛行撮影装置を示す図(実施形態3)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
図1に示すように、実施形態1による撮影用無人飛行体2は、無人飛行体20と、調査対象部10を撮影するためのカメラやビデオカメラ等の撮影装置30と、3本以上の脚40とを備えた構成である。
即ち、撮影用無人飛行体2は、無人飛行体20と、無人飛行体20に搭載された撮影装置30と、無人飛行体20に設けられた脚40とを備え、飛行しながら調査対象部10を撮影する。
調査対象部10は、例えば、従来、コンクリート構造物のひび割れ等の目視検査において足場を必要としていた高架橋の橋梁床版の下面やトンネルの天井面等のコンクリート劣化状況調査対象面である。
【0008】
無人飛行体20は、少なくとも、機体21と、複数のローター(回転翼)22と、各ローター22の図外のモーター等の回転駆動源と、各ローター22の回転及び停止を制御する図外の制御装置と、ランディングギア29と、を備えた構成である。
【0009】
尚、無人飛行体20は、制御方式として、自律制御飛行タイプ、あるいは、遠隔操縦によって飛行する遠隔操縦制御タイプ等があり、どちらの制御タイプのものを用いても構わない。
また、無人飛行体20は、電源供給方式として、図外の電源を搭載した電源搭載タイプと、後述するように電源ケーブルを介して電源が供給される外部電源タイプ等があり、どちらの電源供給タイプのものを用いても構わない。
自律制御飛行タイプの場合、例えば、図外のGPS受信機(GPS衛星から送信された電波を受信するGPSアンテナと、GPSアンテナで受信した電波に基づいてGPS受信機を搭載した無人飛行体20の位置情報を算出するGPSモジュールとを備える)及びジャイロセンサーと、図外の制御装置とを備え、プログラミングされた設定ルートを飛行するために、制御装置がGPS受信機及びジャイロセンサーから入力した無人飛行体20の位置情報や姿勢情報に基づいて各ローター22の回転及び停止を制御することによって自律飛行を行うように構成されている。
遠隔操縦制御タイプの場合、図外の制御装置と図外の遠隔操縦機とを備え、制御装置が遠隔操縦機からの指令を受信して各ローター22の回転及び停止を制御することによって遠隔操縦による飛行を行うように構成されている。
【0010】
無人飛行体20は、例えば図1に示すように、放射状に配置される6個のローター22を同時にバランスよく回転させることによって飛行する、例えばマルチローターヘリコプターと呼ばれる無人飛行体である。
尚、後述するように、無人飛行体20の各ローター22の回転中心軸28と機体中心軸21Cとが互いに平行である場合、各ローター22の回転数を上げて各ローター22を同じ回転数で回転させることで無人飛行体20は機体中心軸21Cを垂直に維持しながら上昇し、各ローター22の回転数を下げて各ローター22を同じ回転数で回転させることで無人飛行体20は機体中心軸21Cを垂直に維持しながら下降する。また、各ローター22の回転数を異ならせて機体21を傾けることで無人飛行体20は水平面上を移動する水平移動動作を行うことが可能なように構成されている。
【0011】
機体21は、例えば、上述した制御装置、GPSアンテナ、GPSモジュール等の制御系構成部品を搭載した機体中央部23と、機体中央部23より突出するように設けられたローター支持アーム部24とを備えた構成である。ローター支持アーム部24は、一端が機体中央部23に連結された中空棒体25と、中空棒体25の他端に取り付けられたローターを回転可能に支持するローター支持部26とを備えた構成である。ローター支持部26は、例えば図外のモーターが収納されて固定されたケースにより構成され、このモーターの回転軸とローター22の回転中心部27とが連結されている。中空棒体25内に配線されて制御線の一端が機体中央部内に導かれて制御装置と接続され、かつ、当該制御線の他端がローター支持部内に導かれてモーターと接続されることで、制御装置がローター22の回転及び停止を制御可能に構成されている。
例えば、各ローター22の回転中心軸28は、互いに平行で、かつ、1つの円周上に位置され、1つの円周上に等しい間隔を隔てて設けられる。
【0012】
ランディングギア29は、例えばローター支持アーム部24に連結されて機体21よりも下方に突出するように設けられ、着陸時に胴体をささえるとともに着陸時の衝撃を吸収するための部位である。
【0013】
撮影装置30は、例えば機体21の上方を撮影可能なように機体中央部23の上面に設けられる。
【0014】
脚40は、調査対象部10に接触可能であるとともに調査対象部10に接触した状態で調査対象部10に押し付けられた場合に撓むように構成される。
脚40は、一端が機体中央部23の上面に連結された脚部41と、脚部41の他端に設けられた脚端部(脚40の先端部)42とを備えた構成である。
脚部41は、可撓性を有した棒体、例えば1mm〜2mmのピアノ線等により構成される。
脚端部42は、例えば、面上を全方向に転動可能なように構成されたキャスター(車輪)により構成される。
脚40は、例えばローター22の数に対応した数だけ設けられる。例えば図1に示すように、6個のローター22を備える場合、6本の脚40を備え、各脚部41は、一端がそれぞれ各ローター支持アーム部24の一端の上方に位置するように設けられる。
各脚40の脚部41は、各ローター22の回転中心軸28が位置する上述した1つの円周を持つ円の中心を通過して前記回転中心軸28と平行な機体中心軸21Cを中心軸とする逆円錐の円錐面上に沿って上下方向に延長するように設けられている。
各脚端部42の上端が、前記機体中心軸21Cと直交する同一平面上に形成される当該同一平面と前記機体中心軸21Cとの交差点を中心とする円の円周上に位置されるように構成されている。
即ち、脚40は、無人飛行体20の機体21より上方に突出し、撮影用無人飛行体2が上昇して調査対象部10としての構造物の下面まで移動した場合に、脚40の上端部を形成する脚端部42が当該調査対象部10としての構造物の下面に接触可能に形成され、当該下面に接触した状態で当該下面に押し付けられた場合に撓むように構成されており、調査対象部10としての下面上において撮影用無人飛行体2を移動させたい任意の方向とは反対側に位置する脚40を撓ませて当該撮影用無人飛行体2の機体21を傾けることによって当該撮影用無人飛行体2を任意の方向に推進させるための推進力Fが当該撮影用無人飛行体2に付与されるように構成されている。
【0015】
次に、図2に基づき、撮影用無人飛行体2を用いた調査対象部10の調査方法について説明する。
まず、撮影用無人飛行体2を調査対象部10としての例えば橋梁床版の下面まで飛ばし、撮影用無人飛行体2の各脚40の各脚端部42が橋梁床版の下面と接触するように撮影用無人飛行体2をホバリングさせながら、撮影装置30で当該橋梁床版の下面(調査対象部10)の一部分を撮影する(図2(a)参照)。
その後、橋梁床版の下面において上述した一部分とは別の部分を撮影する場合に、撮影用無人飛行体2を移動させたい方向とは反対側に位置するローター22の出力を増加させて出力を増加させたローター22側を上昇させると、図2(b)に示すように、当該上昇した側の脚40の脚部41が撓むことで機体21が傾いて(例えば機体中心軸21Cが橋梁床版の下面と垂直な状態から垂直でない状態に傾いて)ローター22による揚力の反力が傾斜する(当該反力の方向が橋梁床版の下面と垂直な状態から垂直でない状態となる)ことで橋梁床版の下面と平行な推力成分による推進力Fが発生するため、橋梁床版の下面に沿って撮影用無人飛行体2を移動させたい方向に移動させることができる。
即ち、撮影用無人飛行体2を調査対象部10まで飛行させて調査対象部10に脚端部42を接触させた状態で撮影用無人飛行体2を移動させたい任意の方向とは反対側に位置するローター22の出力を増加させて脚40を撓ませて機体21を調査対象部10としての橋梁床版の下面に平行な状態から傾けることで当該撮影用無人飛行体2に当該橋梁床版の下面(調査対象部10)に沿った方向の推進力Fが付与され、撮影用無人飛行体2を移動させたい方向に移動させることができる。
【0016】
実施形態1の撮影用無人飛行体2によれば、3本以上の脚40の脚端部42を調査対象部10に接触させた状態で調査対象部10を撮影することができるので、調査対象部10から離れて空中に浮いた状態で調査対象部を撮影する従来の撮影用無人飛行体と比べて、撮影用無人飛行体2が風を受けた場合でも、撮影用無人飛行体2の撮影姿勢が安定に維持され、調査対象部10の撮影を安定に行うことができる撮影用無人飛行体2を得ることができる。
また、脚40は、調査対象部10に脚端部42が接触した状態で調査対象部10に押し付けられた場合に撓むように構成され、調査対象部10上において撮影用無人飛行体2を移動させたい任意の方向とは反対側に位置する脚40を撓ませて当該撮影用無人飛行体2の機体21を傾けることによって当該撮影用無人飛行体2を任意の方向に推進させるための推進力が当該撮影用無人飛行体2に付与されるように構成されたので、調査対象部10上において撮影用無人飛行体2を容易に移動させることが可能となる。特に、各脚40の脚部41が、機体中心軸21Cを中心軸とする逆円錐の円錐面上に沿って上下方向に延長するように、機体中央部23から上方に向けて放射状に設けられているため、脚40を撓ませ易い構成となるので、撮影用無人飛行体2を移動させたい方向に移動させるための推進力Fが発生しやすくなり、調査対象部10上において撮影用無人飛行体2をより容易に移動させやすくなる。
また、脚端部42が、調査対象部10上を転動可能な車輪(キャスター)を備えたので、調査対象部10上において撮影用無人飛行体2をより容易に移動させることが可能となる。
また、脚40は無人飛行体2の機体21より上方に突出し、無人飛行体20が上昇して橋梁床版の下面(構造物下面(調査対象部10))まで移動した場合に、脚端部42が当該橋梁床版の下面に接触するように構成されたので、当該橋梁床版の下面の撮影を安定に行え、かつ、当該橋梁床版の下面上で撮影用無人飛行体2を容易に移動させることが可能な撮影用無人飛行体2を提供できる。
【0017】
実施形態2
図3に示すように、実施形態1の脚部41よりも撓みにくい脚部41Aと、脚部41の他端に設けられた脚端部42Aと、一端が機体中央部の上面に連結されて他端が脚部41Aの一端と連結された可撓性連結部43とを有した可撓性脚40Aを備えた撮影用無人飛行体2であってもよい。可撓性連結部43としては、例えば、コイルばね、ゴム等の弾性体を用いればよい。
実施形態2の撮影用無人飛行体2の場合、可撓性連結部43が撓むことで、実施形態1と同様な効果が得られる。
【0018】
尚、脚端部42は、調査対象部10上を転動可能な車輪でなくても、調査対象部10上を移動しやすい材料で形成されていればよい。
【0019】
また、撮影用無人飛行体2は、脚40を3本備えた構成の場合、安定性を得るために、3本の脚40が、機体中心軸21Cと直交する同一平面上に形成される当該同一平面と前記機体中心軸21Cとの交差点を中心とする円の円周上に互いに等間隔を隔てて設けられていることが好ましい。また、この場合、調査対象部10に沿って撮影用無人飛行体2を移動させたい方向に容易に移動させることができるように、3本の脚40の位置に対応してローター22を3つ備えた撮影用無人飛行体2とすることが好ましい。
【0020】
また、無人飛行体20の機体21より下方に突出する3本以上の脚40を設けるとともに、機体21の下面に撮影装置30を設けることで、調査対象部10としての上面を撮影及び当該上面上を移動可能なように構成された撮影用無人飛行体2としてもよいし、無人飛行体20の機体21より横方向に突出する3本以上の脚40を設けるとともに、機体21の側面に撮影装置30を設けることで、調査対象部10としての縦面を撮影及び当該縦面上を移動可能なように構成された撮影用無人飛行体2としてもよい。
【0021】
実施形態3
次に図4に基づいて上述した撮影用無人飛行体2備えた無人飛行撮影装置1について説明する。
無人飛行撮影装置1、上述した撮影用無人飛行体2と、撮影用無人飛行体2から離れた地面、道路、床等の設置面3に設置された外部電源4と、撮影用無人飛行体2に搭載された図外の電気機器と外部電源4とを接続した電線5と、外部電源4と撮影用無人飛行体2との間に設けられて電線5を支持する線支持用無人飛行体6と、線支持用無人飛行体6に搭載された図外の電気機器と外部電源4とを接続した電線7と、を備えて構成され、撮影用無人飛行体2を上述した調査対象部10に近づくように飛行させて撮影用無人飛行体2に搭載されている撮影装置で調査対象部10を撮影する装置である。
【0022】
線支持用無人飛行体6の機体を構成する無人飛行体は、撮影用無人飛行体2の無人飛行体20と同じものを使用すればよい。
【0023】
撮影用無人飛行体2に搭載された電気機器は、ローター22を回転させるモーター、撮影装置、その他、電源が必要な電気機器である。
線支持用無人飛行体6に搭載された電気機器は、ローター22を回転させるモーター、その他、電源が必要な電気機器である。
外部電源4は、大型バッテリー、発電機、商用電源等である。
【0024】
図4に示すように、例えば、無人飛行撮影装置1が、1つの撮影用無人飛行体2と2つの線支持用無人飛行体6A;6Bを用いて構成され、かつ、撮影用無人飛行体2に搭載された電気機器と設置面3に設置された外部電源4とを接続する電線5として100mの長さの電源ケーブルを用いる場合について説明する。
【0025】
この場合、例えば、当該電線5の一端に設けられた図外のコネクタが外部電源4の図外のコネクタに接続された電源接続箇所5aから35m離れた箇所を1つ目の線支持用無人飛行体6Bに固定するとともに、当該電線5の電源接続箇所5aから70m離れた箇所を2つ目の線支持用無人飛行体6Aに固定し、当該電線5の他端に設けられた図外のコネクタを撮影用無人飛行体2に搭載された図外の電気機器のコネクタに接続する。
また、2つ目の線支持用無人飛行体6Aに搭載された電気機器と外部電源4とを接続する電線7Aとして70m以上の長さの電源ケーブルを用い、当該電線7Aの一端に設けられた図外のコネクタが外部電源4の図外のコネクタに接続された電源接続箇所7aから35m離れた箇所を1つ目の線支持用無人飛行体6Bに固定するとともに、当該電線7Aの他端に設けられた図外のコネクタを2つ目の線支持用無人飛行体6Aに搭載された図外の電気機器のコネクタに接続する。
さらに、1つ目の線支持用無人飛行体6Bに搭載された電気機器と外部電源4とを接続する電線7Bとして35m以上の長さの電源ケーブルを用い、当該電線7Bの一端に設けられた図外のコネクタが外部電源4の図外のコネクタに接続され、かつ、当該電線7Bの他端に設けられた図外のコネクタを1つ目の線支持用無人飛行体6Bに搭載された図外の電気機器のコネクタに接続する。
【0026】
以上のように構成された無人飛行撮影装置1を用いて調査対象部10を撮影する場合について説明する。
各無人飛行体2;6A;6Bを自律飛行させたり、あるいは、各無人飛行体2;6A;6Bを遠隔操縦することによって、例えば図4に示すように、1つの撮影用無人飛行体2と2つの線支持用無人飛行体6A;6Bとをそれぞれ個別に飛行させる。この場合、各無人飛行体2;6A;6B間の距離が、各無人飛行体2;6A;6B間の電線の長さ以上にならないように制御される。
即ち、撮影用無人飛行体2を調査対象部10に近づくように飛行させ、当該撮影用無人飛行体2と2つ目の線支持用無人飛行体6Aとの距離がこれら無人飛行体2;6A間の電線5の長さ以上にならないようにして2つ目の線支持用無人飛行体6Aが撮影用無人飛行体2に追従するように当該2つ目の線支持用無人飛行体6Aを飛行させる。さらに、2つ目の線支持用無人飛行体6Aと1つ目の線支持用無人飛行体6Bとの距離がこれら無人飛行体6A;6B間の電線5や電線7Aの長さ以上にならないようにして1つ目の線支持用無人飛行体6Bが2つ目の線支持用無人飛行体6Aに追従するように当該1つ目の線支持用無人飛行体6Bを飛行させる。
そして、撮影用無人飛行体2は、調査対象部10を撮影した後、当該撮影したデータを図外の撮影データ収集装置に送る。検証者は、撮影データ収集装置に送られてきた撮影データを検証して調査対象部10の補修等が必要か否かを判断する。
【0027】
無人飛行撮影装置1によれば、撮影用無人飛行体2に搭載された電気機器に外部電源4から電気を供給し続けることが可能となるので、撮影用無人飛行体2に搭載された撮影装置による長時間撮影が可能となる。従って、調査対象部10の調査をより正確、かつ、精密に行うことが可能となる。
【0028】
実施形態4
撮影用無人飛行体2に搭載された図外の制御装置と撮影用無人飛行体2の図外の遠隔操縦装置とを接続する図外の操縦用信号線、及び、撮影用無人飛行体2に搭載された図外の撮影装置と撮影用無人飛行体2から離れた位置に設けられた図外の撮影データ収集装置とを接続する図外の撮影データ用信号線のうちの1つ以上の信号線を備え、当該1つ以上の信号線が線支持用無人飛行体6によって支持された構成とすることで、高度な操縦や大量の撮影データの転送が可能となり、調査対象部10の調査をより正確、かつ、より精密に行うことが可能となる。
【0029】
実施形態5
無人飛行体に、電線が巻出し可能に巻取られたリール(巻取枠)を用いるようにしてもよい。例えば、線支持用無人飛行体6Aや線支持用無人飛行体6Bに電線が巻出し可能に巻取られたリールを設けるようにすれば、撮影用無人飛行体2にリール(巻取枠)を設ける場合に比べて撮影用無人飛行体2を軽量化できるので好ましい。
【0030】
尚、撮影用無人飛行体2、及び、線支持用無人飛行体6の機体を構成する無人飛行体は、上述したマルチローターヘリコプターに限らず、空中において静止、又は、静止状態に近い飛行が可能な無人飛行体であれば良い。
【符号の説明】
【0031】
2 撮影用無人飛行体、10 調査対象部、20 無人飛行体、21 機体、
30 撮影装置、40 脚、42 脚端部。
図1
図2
図3
図4