特開2015-224095(P2015-224095A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2015224095-プラグ輸送システム 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-224095(P2015-224095A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】プラグ輸送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 53/06 20060101AFI20151117BHJP
【FI】
   B65G53/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-108765(P2014-108765)
(22)【出願日】2014年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101982
【弁理士】
【氏名又は名称】久米川 正光
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 将弘
【テーマコード(参考)】
3F047
【Fターム(参考)】
3F047AA00
3F047AB06
3F047BA02
3F047CA06
3F047CA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】輸送管の振動や騒音を抑制するプラグ輸送システムを提供する。
【解決手段】搬送元タンク2と、処理対象物をプレスにて脱水することによって、処理対象物を粉流体と搾汁とに分離する脱水プレス部3と、断続的な高圧気体によって、脱水プレス部3より供給された粉流体を搬送先にプラグ輸送する輸送管4と、搬送先タンク5と、圧送エア供給部6と、処理対象物から分離・抽出された搾汁を回収し、この回収物を用いてプラグ輸送される粉流体を加水する加水処理部7とにより構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグ輸送システムにおいて、
処理対象物をプレスにて脱水することによって、前記処理対象物を粉流体と搾汁とに分離する脱水プレス部と、
断続的な高圧気体によって、前記脱水プレス部より供給された粉流体を搬送先にプラグ輸送する輸送管と、
前記処理対象物から分離された搾汁を回収し、当該回収物を用いて、前記プラグ輸送される粉流体を加水する加水処理部と
を有することを特徴とするプラグ輸送システム。
【請求項2】
前記加水処理部は、前記プラグ輸送される粉流体に対して、前記回収物を噴射する噴射ノズルを有することを特徴とする請求項1に記載されたプラグ輸送システム。
【請求項3】
前記加水処理部は、前記プラグ輸送される粉流体に対する加水量を調整する流量制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載されたプラグ輸送システム。
【請求項4】
前記輸送管の搬送先までの間において、加水された粉流体を再度プレスにて脱水することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載されたプラグ輸送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱水プレスされた粉流体をプラグ輸送するプラグ輸送システムに係り、特に、プラグ輸送における輸送管の振動・騒音対策に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜3に示すように、従来から、輸送効率が高い輸送方式の一つとして、プラグ輸送と呼ばれる輸送方式が知られている。プラグ輸送とは、輸送管内へ押し出された粉流体を断続的に高圧気体で切断し、輸送管内に気体の部分(気体プラグ)と粉流体の部分(粉流体プラグ)とを交互に形成することによって、粉流体を輸送する方式をいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−310419号公報
【特許文献2】特開昭63−106230号公報
【特許文献3】特開昭60−223720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ビールの製造過程において、仕込工程の濾過槽で麦汁を濾過することによって生じた糖化粕(麦芽粕)は、糖化粕処理場において処理すべく、糖化粕処理場に輸送される。しかしながら、糖化粕の輸送方式としてプラグ輸送を採用した場合、糖化粕の移送に伴い、輸送管に振動が生じ、それに起因して騒音が生じることがあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、プラグ輸送における輸送管の振動や騒音を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、本発明は、脱水プレス部と、輸送管と、加水処理部とを有するプラグ輸送システムを提供する。脱水プレス部は、処理対象物をプレスにて脱水することによって、処理対象物を粉流体と搾汁とに分離する。輸送管は、断続的な高圧気体によって、脱水プレス部より供給された粉流体を搬送先にプラグ輸送する。加水処理部は、処理対象物から分離された搾汁を回収し、この回収物を用いて、プラグ輸送される粉流体を加水する。
【0007】
ここで、本発明において、加水処理部は、プラグ輸送される粉流体に対して、回収物を噴射する噴射ノズルを有していてもよいし、プラグ輸送される粉流体に対する加水量を制御する流量制御を行ってもよい。また、輸送管の搬送先までの間において、加水された粉流体を再度プレスにて脱水することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、脱水プレスされた粉流体を加水して、粉流体の含水率を調整することによって、プラグ輸送時における輸送管の振動や騒音の発生を抑制できる。また、この加水のために、脱水プレスによって処理対象物から分離・抽出した搾汁を用いることで、加水用の新水(水道水等)の使用量を抑制できるので、節水が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、本実施形態に係るプラグ輸送システムの構成図である。このプラグ輸送システム1は、一例として、ビールを製造する際の中間生成物である麦汁を濾過する工程で生じた糖化粕(麦芽粕)を、場所的に離れた糖化粕処理場にエア圧送するための工場設備として用いられる。プラグ輸送システム1は、搬送元タンク2と、脱水プレス部3と、輸送管4と、搬送先タンク5と、圧送エア供給部6とよりなる基本構成に、加水処理部7を追加したものである。搬送元タンク2には、麦汁の濾過工程で生じた糖化粕(処理対象物)が随時移送され、これが貯留される。この搬送元タンク2の底部には、脱水プレス部3を経由して、糖化粕を輸送管4に導くためのスクリューコンベア2aが設けられている。
【0010】
図2は、脱水プレス部3の概略的な要部断面図である。この脱水プレス部3は、スクリューコンベア2aと一体で回転する円錐台状のプレス体3aと、このプレス体3aの外周に固定されたパイプ状の筒状体3bとによって構成されている。プレス体3aは、輸送管4aに向かって径が徐々に大きくなるようなテーパー形状を有している。また、筒状体3bの表面には、多数のスクリーン孔3c(微細孔)が形成されている。スクリューコンベア2aの回転によって、スクリューコンベア2aの軸方向に糖化粕が移送されるにつれて、径方向内側のプレス体3aと径方向外側の筒状体3bとの間に存在する隙間(プレス空間)が徐々に狭くなり、これによって、糖化粕が徐々にプレスされていく。このプレスによって、糖化粕から搾り出された搾汁は、筒状体3bのスクリーン孔3cを介して糖化粕から分離され、所定の流路を経由して、加水処理部7aの搾汁貯留槽7aに貯留される。一方、搾汁の分離・抽出によって粉流体となった脱水プレス後の糖化粕は、スクリューコンベア2aによって更に移送され、輸送管4内に押し出される。
【0011】
輸送管4に供給された粉流体は、断続的な高圧気体によって、輸送管4に沿ってプラグ輸送され、糖化粕処理場内の搬送先タンク5に貯留される。具体的には、圧送エア供給部6は、エアコンプレッサにて生成された高圧エアを、逆止弁6を介して輸送管4内に断続的に供給する。スクリューコンベア2aによって輸送管4内へ押し出された粉流体は、圧送エア供給部6より供給された断続的な高圧エアによって周期的に切断され、気体の部分(気体プラグ)と、粉流体の部分(粉流体プラグ)とを交互に形成しながら、輸送管4内を移動する。
【0012】
脱水プレス部3と逆止弁9との間には、ナイフゲートバルブ8が設けられている。このナイフゲートバルブ8は、輸送管4内に粉流体の詰まりが発生した場合、スクリューコンベア2aの一時的な停止ととともに閉鎖されることによって、輸送管4内の粕払い(詰まりの解消処理)を行うために設けられている。
【0013】
加水処理部7は、糖化粕から分離された搾汁を回収し、この回収物たる搾汁を用いて、プラグ輸送される粉流体を加水して、その含水率を調整する。この加水処理部7は、搾汁貯留槽7aと、ポンプ7bと、噴射ノズル7cとによって構成されている。搾汁貯留槽7aには、脱水プレス部3での脱水プレスによって、糖化粕より分離された搾汁が貯留される。ポンプ7bは、搾汁貯留槽7aに貯留された搾汁を吸い出して、加圧された状態で噴射ノズル7cに供給する。噴射ノズル7cは、その噴射口が輸送管4内に臨んでおり、ポンプ7bによって供給された加圧搾汁を輸送管4内に噴射する。その結果、輸送管4内を流れる粉流体は、噴射ノズル7cによる搾汁の噴射によって、全体が均一に加水される。搬送先に搬送された粉流体は、輸送管4の搬送先までの間に設けられた脱水プレス部(図示せず)によって再度脱水プレスされた後、搬送先タンク5に貯留され、最終的に、飼料用途等に供される。
【0014】
図3は、変形例に係る加水処理部7の構成図である。この変形例では、含水率の異なる複数種のプラグ輸送が行われることを前提に、品種別に加水量を最適化すべく、プラグ輸送される粉流体に対する加水量を調整する流量制御(FIC制御)が行われる。加水処理部7は、上述した貯留槽7a、ポンプ7bおよび噴射ノズル7cよりなる図1の構成に、流量センサ7d、指示調整器7e(FIC)および流量制御弁7fを追加したものである。指示調整器7eは、流量センサ7dによって検出された測定値(実際の流量)が、作業者によって指示された指示値(目標値)になるように、流量制御弁7fの開度をフィードバック制御する。
【0015】
本発明者は、上述したプラグ輸送時に発生する輸送管の振動や騒音の問題について鋭意検討した結果、振動や騒音の大きさは、麦芽品種によって異なり、振動の少ない麦芽品種の粕は、他のものに比べて多少含水率が高いという事実を見出した。本実施形態によれば、脱水プレス部3によって脱水プレスされた粉流体をプラグ輸送する際、加水処理部7によって粉流体を加水し、粉流体の含水率を調整することによって、振動や騒音の発生を抑制することができる。これは、粉流体に含有されている水分によって、輸送管4内を流れる粉流体(プラグ)に適度な摩擦抵抗が生じ、輸送管4内における急激な圧力変動が抑制されるからであると考えられる。本発明者が行った実験によれば、振動や騒音は粉流体の含水率が高くなるにつれて減少し、含水率が80〜81重量%以上では殆ど減少しなくなるという結果が得られた。このことから、加水処理部7による加水率の調整は、輸送管4内を流れる粉流体の最終的な含水率が約80重量%になるように行うことが好ましい。
【0016】
また、本実施形態によれば、脱水プレスによって糖化粕から分離した搾汁を、輸送管4を流れる粉流体に添加すれば、既存の設備の改良を最低限に抑制でき、含水率調整用の新水(水道水等)の使用量を抑制(全く使用しないことを含む)できるので、節水が可能となる。
【0017】
さらに、本実施形態によれば、噴射ノズル7cを用いて粉流体への加水を行っているので、輸送管4内を流れる粉流体を均一に加水することができ、その結果、輸送管4における振動や騒音の発生をより効果的に抑制することができる。
【0018】
なお、本実施形態のように、脱水プレス後に粉流体を再度加水する手法に代えて、脱水プレス部3におけるプレス圧を弱めることによって、含水率を調整する手法も考えられる。プレス圧を弱める方法としては、例えば、プレス体3aのテーパーを緩くして上記プレス空間を広げたり、スクリーン孔3cを埋めたりするといった改良が考えられる。しかしながら、これらの場合、プレス空間内に充填されている糖化粕がエア抜け防止のためのシール材として十分に機能せず、輸送管4内に供給された高圧の圧送エアが脱水プレス部3を逆流し、プラグ輸送が実現できなくなるといった別の問題が生じるほか、既存の脱水プレス部3を改造するためのコストが嵩むといった問題もある。本実施形態では、脱水プレス部3自体の構成を変更する必要はないので、これらの問題が本来的に生じない点で、プレス圧を弱める方法よりも優れている。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、ビールの製造過程で生じる糖化粕のみならず、様々な目標物の生成過程で生じる各種の処理対象物を含めて、脱水プレスされた粉流体のプラグ輸送において、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 プラグ輸送システム
2 搬送元タンク
2a スクリューコンベア
3 脱水プレス部
3a プレス体
3b 筒状体
3c スクリーン孔
4 輸送管
5 搬送先タンク
6 圧送エア供給部
7 加水処理部
7a 搾汁貯留槽
7b ポンプ
7c 噴射ノズル
7d 流量センサ
7e 指示調整器
7f 流量制御弁
8 ナイフゲートバルブ
9 逆止弁
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2014年6月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱水プレスされた粉流体をプラグ輸送するプラグ輸送システムに係り、特に、プラグ輸送における輸送管の振動・騒音対策に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜3に示すように、従来から、輸送効率が高い輸送方式の一つとして、プラグ輸送と呼ばれる輸送方式が知られている。プラグ輸送とは、輸送管内へ押し出された粉流体を断続的に高圧気体で切断し、輸送管内に気体の部分(気体プラグ)と粉流体の部分(粉流体プラグ)とを交互に形成することによって、粉流体を輸送する方式をいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−310419号公報
【特許文献2】特開昭63−106230号公報
【特許文献3】特開昭60−223720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ビールの製造過程において、仕込工程の濾過槽で麦汁を濾過することによって生じた糖化粕(麦芽粕)は、糖化粕処理場において処理すべく、糖化粕処理場に輸送される。しかしながら、糖化粕の輸送方式としてプラグ輸送を採用した場合、糖化粕の移送に伴い、輸送管に振動が生じ、それに起因して騒音が生じることがあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、プラグ輸送における輸送管の振動や騒音を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、本発明は、脱水プレス部と、輸送管と、加水処理部とを有するプラグ輸送システムを提供する。脱水プレス部は、処理対象物をプレスにて脱水することによって、処理対象物を粉流体と搾汁とに分離する。輸送管は、断続的な高圧気体によって、脱水プレス部より供給された粉流体を搬送先にプラグ輸送する。加水処理部は、処理対象物から分離された搾汁を回収し、この回収物を用いて、プラグ輸送される粉流体を加水する。
【0007】
ここで、本発明において、加水処理部は、プラグ輸送される粉流体に対して、回収物を噴射する噴射ノズルを有していてもよいし、プラグ輸送される粉流体に対する加水量を制御する流量制御を行ってもよい。また、輸送管の搬送先までの間において、加水された粉流体を再度プレスにて脱水することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、脱水プレスされた粉流体を加水して、粉流体の含水率を調整することによって、プラグ輸送時における輸送管の振動や騒音の発生を抑制できる。また、この加水のために、脱水プレスによって処理対象物から分離・抽出した搾汁を用いることで、加水用の新水(水道水等)の使用量を抑制できるので、節水が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るプラグ輸送システムの構成図
図2】脱水プレス部の概略的な要部断面図
図3】変形例に係る加水処理部の構成図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施形態に係るプラグ輸送システムの構成図である。このプラグ輸送システム1は、一例として、ビールを製造する際の中間生成物である麦汁を濾過する工程で生じた糖化粕(麦芽粕)を、場所的に離れた糖化粕処理場にエア圧送するための工場設備として用いられる。プラグ輸送システム1は、搬送元タンク2と、脱水プレス部3と、輸送管4と、搬送先タンク5と、圧送エア供給部6とよりなる基本構成に、加水処理部7を追加したものである。搬送元タンク2には、麦汁の濾過工程で生じた糖化粕(処理対象物)が随時移送され、これが貯留される。この搬送元タンク2の底部には、脱水プレス部3を経由して、糖化粕を輸送管4に導くためのスクリューコンベア2aが設けられている。
【0011】
図2は、脱水プレス部3の概略的な要部断面図である。この脱水プレス部3は、スクリューコンベア2aと一体で回転する円錐台状のプレス体3aと、このプレス体3aの外周に固定されたパイプ状の筒状体3bとによって構成されている。プレス体3aは、輸送管4aに向かって径が徐々に大きくなるようなテーパー形状を有している。また、筒状体3bの表面には、多数のスクリーン孔3c(微細孔)が形成されている。スクリューコンベア2aの回転によって、スクリューコンベア2aの軸方向に糖化粕が移送されるにつれて、径方向内側のプレス体3aと径方向外側の筒状体3bとの間に存在する隙間(プレス空間)が徐々に狭くなり、これによって、糖化粕が徐々にプレスされていく。このプレスによって、糖化粕から搾り出された搾汁は、筒状体3bのスクリーン孔3cを介して糖化粕から分離され、所定の流路を経由して、加水処理部7aの搾汁貯留槽7aに貯留される。一方、搾汁の分離・抽出によって粉流体となった脱水プレス後の糖化粕は、スクリューコンベア2aによって更に移送され、輸送管4内に押し出される。
【0012】
輸送管4に供給された粉流体は、断続的な高圧気体によって、輸送管4に沿ってプラグ輸送され、糖化粕処理場内の搬送先タンク5に貯留される。具体的には、圧送エア供給部6は、エアコンプレッサにて生成された高圧エアを、逆止弁6を介して輸送管4内に断続的に供給する。スクリューコンベア2aによって輸送管4内へ押し出された粉流体は、圧送エア供給部6より供給された断続的な高圧エアによって周期的に切断され、気体の部分(気体プラグ)と、粉流体の部分(粉流体プラグ)とを交互に形成しながら、輸送管4内を移動する。
【0013】
脱水プレス部3と逆止弁9との間には、ナイフゲートバルブ8が設けられている。このナイフゲートバルブ8は、輸送管4内に粉流体の詰まりが発生した場合、スクリューコンベア2aの一時的な停止ととともに閉鎖されることによって、輸送管4内の粕払い(詰まりの解消処理)を行うために設けられている。
【0014】
加水処理部7は、糖化粕から分離された搾汁を回収し、この回収物たる搾汁を用いて、プラグ輸送される粉流体を加水して、その含水率を調整する。この加水処理部7は、搾汁貯留槽7aと、ポンプ7bと、噴射ノズル7cとによって構成されている。搾汁貯留槽7aには、脱水プレス部3での脱水プレスによって、糖化粕より分離された搾汁が貯留される。ポンプ7bは、搾汁貯留槽7aに貯留された搾汁を吸い出して、加圧された状態で噴射ノズル7cに供給する。噴射ノズル7cは、その噴射口が輸送管4内に臨んでおり、ポンプ7bによって供給された加圧搾汁を輸送管4内に噴射する。その結果、輸送管4内を流れる粉流体は、噴射ノズル7cによる搾汁の噴射によって、全体が均一に加水される。搬送先に搬送された粉流体は、輸送管4の搬送先までの間に設けられた脱水プレス部(図示せず)によって再度脱水プレスされた後、搬送先タンク5に貯留され、最終的に、飼料用途等に供される。
【0015】
図3は、変形例に係る加水処理部7の構成図である。この変形例では、含水率の異なる複数種のプラグ輸送が行われることを前提に、品種別に加水量を最適化すべく、プラグ輸送される粉流体に対する加水量を調整する流量制御(FIC制御)が行われる。加水処理部7は、上述した貯留槽7a、ポンプ7bおよび噴射ノズル7cよりなる図1の構成に、流量センサ7d、指示調整器7e(FIC)および流量制御弁7fを追加したものである。指示調整器7eは、流量センサ7dによって検出された測定値(実際の流量)が、作業者によって指示された指示値(目標値)になるように、流量制御弁7fの開度をフィードバック制御する。
【0016】
本発明者は、上述したプラグ輸送時に発生する輸送管の振動や騒音の問題について鋭意検討した結果、振動や騒音の大きさは、麦芽品種によって異なり、振動の少ない麦芽品種の粕は、他のものに比べて多少含水率が高いという事実を見出した。本実施形態によれば、脱水プレス部3によって脱水プレスされた粉流体をプラグ輸送する際、加水処理部7によって粉流体を加水し、粉流体の含水率を調整することによって、振動や騒音の発生を抑制することができる。これは、粉流体に含有されている水分によって、輸送管4内を流れる粉流体(プラグ)に適度な摩擦抵抗が生じ、輸送管4内における急激な圧力変動が抑制されるからであると考えられる。本発明者が行った実験によれば、振動や騒音は粉流体の含水率が高くなるにつれて減少し、含水率が80〜81重量%以上では殆ど減少しなくなるという結果が得られた。このことから、加水処理部7による加水率の調整は、輸送管4内を流れる粉流体の最終的な含水率が約80重量%になるように行うことが好ましい。
【0017】
また、本実施形態によれば、脱水プレスによって糖化粕から分離した搾汁を、輸送管4を流れる粉流体に添加すれば、既存の設備の改良を最低限に抑制でき、含水率調整用の新水(水道水等)の使用量を抑制(全く使用しないことを含む)できるので、節水が可能となる。
【0018】
さらに、本実施形態によれば、噴射ノズル7cを用いて粉流体への加水を行っているので、輸送管4内を流れる粉流体を均一に加水することができ、その結果、輸送管4における振動や騒音の発生をより効果的に抑制することができる。
【0019】
なお、本実施形態のように、脱水プレス後に粉流体を再度加水する手法に代えて、脱水プレス部3におけるプレス圧を弱めることによって、含水率を調整する手法も考えられる。プレス圧を弱める方法としては、例えば、プレス体3aのテーパーを緩くして上記プレス空間を広げたり、スクリーン孔3cを埋めたりするといった改良が考えられる。しかしながら、これらの場合、プレス空間内に充填されている糖化粕がエア抜け防止のためのシール材として十分に機能せず、輸送管4内に供給された高圧の圧送エアが脱水プレス部3を逆流し、プラグ輸送が実現できなくなるといった別の問題が生じるほか、既存の脱水プレス部3を改造するためのコストが嵩むといった問題もある。本実施形態では、脱水プレス部3自体の構成を変更する必要はないので、これらの問題が本来的に生じない点で、プレス圧を弱める方法よりも優れている。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、ビールの製造過程で生じる糖化粕のみならず、様々な目標物の生成過程で生じる各種の処理対象物を含めて、脱水プレスされた粉流体のプラグ輸送において、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 プラグ輸送システム
2 搬送元タンク
2a スクリューコンベア
3 脱水プレス部
3a プレス体
3b 筒状体
3c スクリーン孔
4 輸送管
5 搬送先タンク
6 圧送エア供給部
7 加水処理部
7a 搾汁貯留槽
7b ポンプ
7c 噴射ノズル
7d 流量センサ
7e 指示調整器
7f 流量制御弁
8 ナイフゲートバルブ
9 逆止弁