【解決手段】搬送されてきた用紙を排出する排出ローラ42と、排出された用紙が積載される排紙トレイ30を有する排紙装置10において、排出ローラによる用紙の排出中に、排出される用紙の先端が排紙トレイに積載された積載用紙に接触を開始する位置Gが、積載用紙の先端から所定の範囲F内になるように、少なくとも排紙トレイに積載された用紙の積載量に応じて、用紙の排出角度θを制御する制御部を備える。
前記制御部は、前記排出される用紙厚みが厚い程、または排出方向に沿った用紙長さが長い程、前記接触を開始する位置が前記所定の範囲内で前記積載用紙の先端に近づくように、前記用紙の排出角度を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の排紙装置。
【背景技術】
【0002】
排紙装置において、排紙が排紙トレイに揃った状態で積載されるよう、積載時の排紙の乱れを防ぐ技術が提案されている。例えば、排出角度を浅くして、排出される用紙の先端が積載用紙に接触してから載置されるよう構成された排紙装置がある。
図11及び
図12は、そのような排紙装置の例である。用紙が積載用紙に接触しない状態で排出ローラとの接触が解除されて排出されると、用紙が自由落下して積載用紙に到達する。すると、積載用紙に到達した用紙の位置がばらつき、その結果排紙揃えが悪化する。そこで、積載された用紙に接触させた状態で排紙して落下させないようにすることで、排紙揃え悪化を防止することができる。
【0003】
図11Aは、積載用紙がない状態での用紙排出の様子を示す図である。排紙装置100は、排出された用紙200を積載する排紙トレイ102、用紙200を上下で挟持して排出する一対の排出ローラ対104を有する。なお、方向については、排出される用紙200の移動に合わせて、図示の通り、左方向を下流、右方向を上流と呼ぶ。
【0004】
排出ローラ対104により、用紙200は、S方向に向かって、下流側に下向きになるような排出角度で排紙トレイ102に排出される。そして、排出される用紙200は、排出ローラ対104での搬送途中に、先端が排紙トレイ102と接触を開始する。なお、排出角度は、排出ローラ対104の角度等により決定される。
【0005】
図11Bは、積載用紙210が少ない状態での用紙排出の様子を示す図である。積載用紙210が少ない状態では、排出される用紙200の先端は、
図11Aとほぼ同じ位置で、積載用紙210の最上面と接触を開始する。接触開始位置と積載用紙210の先端位置との距離をRとする。Rが、排出される用紙200が積載用紙210の最上面と接触する接触長になる。
【0006】
図11Cは、積載用紙210が多くなった状態での排紙の様子を示す図である。積載用紙210の積載量(積載枚数)が多くなると、排出される用紙200の先端の接触開始位置が、上流側に移動する。つまり、積載用紙210が少ない状態に比べて、接触長Rが長くなる。積載用紙210の積載量が多くなると、排出される用紙200が積載用紙210の最上面と接触する時間が長くなるため、積載用紙210の最上面の用紙が、排出される用紙200によって、T方向に押し出される量が多くなる。これにより、排紙揃えが悪化する。このように、
図11に示す排紙装置100では、落下による排紙揃え悪化を防止することができるが、積載量(積載枚数)が多い場合に、押し出しによる排紙揃え悪化を招いてしまう。
【0007】
図12は、用紙200のサイズが大きい場合に、排紙揃えが悪化する様子を示す図である。例えば、
図12Aは用紙200がA4サイズの場合で、
図12Bは用紙200がA3サイズの場合である。用紙200がA3サイズになると、A4サイズの場合に比べて接触長Rが長くなり、排出される用紙200が積載用紙210の最上面と接触する時間も長くなる。従って、積載量が同じであっても、用紙200のサイズが大きくなると、排紙揃えが悪化する。
【0008】
また、積載量が増加した場合に接触開始位置が上流側に移動してしまう排紙装置100を
図11で説明したが、積載量に依らずに接触開始位置を安定させるために、積載量に応じて排紙トレイ102を下降させるようにした排紙装置150も提案されている。
【0009】
図13は、その例である。
図13Aは、積載用紙210の積載量が少ない状態を示し、
図13Bは、積載用紙210の積載量が多い状態を示す。
図13Bに示すように、排紙装置150では、積載用紙210の積載高さの増加を検知して、その増加分だけ排紙トレイ102をモータ等で下降させる。これにより、接触長Rを、積載用紙210の積載量に関わらず、ほぼ一定にすることができ、積載量の影響による排紙揃えの悪化を防止することができる。排紙トレイ102を下降させる排紙装置としては、例えば特許文献1に記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に従って本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態が適用される排紙装置10の側面図で、排紙に係る主要な構造を示す図である。なお、本実施形態では、画像形成装置1に設けられる排紙装置10を例にする。
【0018】
画像形成装置1は、簡単に説明すると、用紙に文字・画像等の情報を形成するための印刷部(不図示)、印刷部に供給する用紙を格納する用紙格納部(不図示)、装置内部で用紙を搬送する搬送部(不図示)と、画像形成された用紙を排出する排紙装置10等を備えるものである。
【0019】
排紙装置10は、排紙トレイ30、排出ローラユニット40、排紙搬送路46及び搬送ローラ48を有する。図面上の左右方向については、排出される用紙200の移動に合わせて、左方向を下流、右方向を上流と呼ぶ。また、用紙200や積載用紙210で、それぞれ下流側の端部を先端、上流側の端部を後端と呼ぶ。
【0020】
排紙トレイ30は、排出ローラユニット40から排出された用紙200を積載して保持するものである。排紙トレイ30は、用紙200が載置される面として、上流側から順番に、第1面30a、第2面30b及び第3面30cを有する。
【0021】
排出ローラユニット40は、画像形成装置1から搬送されてきた用紙200を、排紙トレイ30に排出するものである。排出ローラユニット40は、用紙200を上下で挟持して搬送する一対の排出ローラ対42と、排出ローラ対42の角度を変更する角度調整部44を有する。角度調整部44は、用紙200が所定の排出角度で排出されるように、排出ローラ対42の角度を変更するものである。角度調整部44の詳細は、
図6、7で説明する。
【0022】
排出ローラ対42は、搬送されてきた用紙を排出するものであって、下側の駆動ローラ42aと上側の従動ローラ42bの組からなる。従動ローラ42bはバネ等により所定の力量で駆動ローラ42aに押圧される。駆動ローラ42aは、不図示の駆動モータ及び駆動モータからの伝達系により回転される。
【0023】
排紙搬送路46は、画像形成装置1の印刷部から送られてきた用紙200を排出ローラ対42まで導くよう設けられた用紙200の通路である。搬送ローラ48は、排紙搬送路46に適宜設けられて、1対のローラで用紙200を挟持して排出ローラ対42まで移送するものである。
【0024】
図1は、積載用紙210の積載量(積載枚数)が少ない状態で、用紙200の先端200aが積載用紙210に接触を開始した状態を示す。排出ローラ対42から排出された用紙200の先端200aは、用紙200の後端200bが排出ローラ対42のニップ点Nに達していない状態で、積載用紙210に接触する。
【0025】
用紙200の排出方向Eが水平方向のX軸になす角度を、排出角度θとする。なお、
図1では、θをθ
1と表記する。そして、用紙200の先端200aと積載用紙210の最上面との接触開始位置Gから、積載用紙210の先端210aまでの距離が、用紙200が積載用紙210と排出中に接触する接触長Fとなる。
【0026】
角度調整部44は、排出ローラ対42の角度によって、排出角度θを調整する。角度調整部44は、接触長Fが所定の距離(範囲)となるような接触開始位置Gに、用紙200の先端200aが到達するような排出角度θに、排出ローラ対42の角度を調整する。
【0027】
駆動ローラ42aと従動ローラ42bの中心を通る線をローラ傾き線42cとし、ローラ傾き線42cに直交する方向(90°)が、用紙200の排出方向Eに一致するとする。なお、排出方向Eは、排出ローラ対42の押圧力や摩擦係数の影響も受けるので、排出方向Eは、ローラ傾き線42cに直交する方向(90°)に対してずれが生ずる可能性がある。しかし、排出方向Eは排出ローラ対42の角度によって支配的に定まるので、以下では、ローラ傾き線42cに直交する方向が排出方向Eになるものとする。従って、鉛直方向のY軸に対するローラ傾き線42cの角度が、排出角度θ(θ
1)と等しくなる。
【0028】
なお、角度調整部44は、排出ローラ対42以外の手段でも排出角度θを調整することが可能であるが、それについては、
図8〜
図10で説明する。
用紙200の押上げによる積載用紙210の排紙揃えの悪化を低減するためには、接触開始位置Gを積載用紙210の先端210aに近づけて、接触長Fを小さくすることが望ましい。用紙200による積載用紙210の押上げ時間(距離)が短くなるからである。
【0029】
しかし、紙である用紙200の排出方向Eにはバラツキが出るため、接触開始位置Gを積載用紙210の先端210aぎりぎりになるように設定すると、用紙200が積載用紙210の先端210aを通り過ぎて、落下して積載用紙210に載置される場合が出る。積載用紙210に落下して載置されると、排紙が乱れて、排紙揃えが悪化する。
【0030】
そのため、接触開始位置Gは、積載用紙210の先端210aの近傍で、かつ用紙200と積載用紙210との接触が確実な位置に設定される。例えば、接触開始位置Gは、積載用紙210の先端210aから代表的な用紙長の1/4〜1/8に設定される。具体的には、用紙サイズがA4で、縦方向に排出される(用紙長=297mm)とすると、F=37〜74mmとなる。
【0031】
図2は、排紙装置10の排出角度制御に関するブロック図である。排紙装置10は、CPU20、メモリ22、積載量検出センサ28a、用紙厚検出センサ28b、用紙サイズ検出センサ28c、モータドライバ24及びモータ26を有する。
【0032】
CPU20は、制御プログラムを読込んで、排紙装置10全体を制御する制御部である。ただし、CPU20は、排紙装置10専用ではなく、画像形成装置1のCPUと兼用するものであってもよい。メモリ22は、排紙装置10の制御処理を実行する制御プログラムを格納する不揮発性の記憶部である。また、メモリ22は、積載量や用紙の種類に対応する排出角度が予め設定されたテーブル22aを記憶する。
【0033】
積載量検出センサ28aは、排紙トレイ30に積載された積載用紙210の高さ(積載量)を検出するものである。積載量検出センサ28aは、積載用紙210の最上面の位置を検出する光学センサや積載用紙210の重量を計測する重量センサでもよいし、あるいは用紙の枚数をカウントするための用紙通過を検出するセンサでもよい。
【0034】
用紙厚検出センサ28bは、排出される用紙200の厚さを検出するものである。用紙厚検出センサ28bは、非接触式あるいは接触式いずれでも良い。用紙サイズ検出センサ28cは、排出される用紙200サイズ、特に排出方向のサイズを検出するものである。用紙サイズ検出センサ28cは、例えば、搬送路内で用紙先端と後端の通過を検出して、そのタイミングをCPU20に通知するものである。CPU20は、用紙の通過時間からサイズを算出することができる。なお、CPU20は、画像形成装置1から別途検出された用紙サイズのデータを取得して利用してもよく、この場合には用紙サイズ検出センサ28cは不要となる。
【0035】
CPU20は、積載量検出センサ28a、用紙厚検出センサ28b及び用紙サイズ検出センサ28cからの各データにより用紙積載量及び用紙の種類を判断して、テーブル22aを参照して、排出角度θを算出する。CPU20は、設定した排出角度θから変更角度を計算し対応するモータ26の回転角度を算出して、モータドライバ24に通知する。CPU20は、積載用紙210の積載量だけあるいは用紙の種類だけに応じて、用紙200の排出角度θを制御するようにしてもよい。また、用紙の種類としては、用紙サイズ、厚さ、排出方向の長さの少なくとも1つだけでもよく、更に他の属性(表面性)に関するものであってもよい。なお、CPU20は、制御部とも呼ぶ。
【0036】
換言すれば、CPU20は、排出ローラ対42による用紙200の排出中に、排出される用紙200の先端200aが排紙トレイ30に積載された積載用紙210に接触を開始する位置が、積載用紙210の先端から所定の範囲内(接触長F)になるように、少なくとも排紙トレイ30に積載された積載用紙210の積載量に応じて、用紙200の排出角度θを制御するものである。
【0037】
モータドライバ24は、CPU20からの指示に基づき、モータ26を駆動するものである。モータ26は角度調整部44に含まれ、モータドライバ24からの駆動信号により排出ローラ対42の角度を変更する。モータ26は、例えばステップモータで、入力されたステップ数に応じた角度分回転される。
【0038】
図3は、
図1の状態から積載用紙210の積載量が増加した状態を示す図である。接触長Fが、積載用紙210の積載量が増加しても変化しないように、角度調整部44により、排出ローラ対42の角度(排出角度θ)がθ
1よりもより上向きのθ
2になるように調整される。CPU20は、積載量検出センサ28aにより積載用紙210の積載量を検知して、テーブル22aを参照して積載量に応じた排出角度θを算出して、モータ26の回転量を計算してモータドライバ24に回転量を通知する。モータドライバ24からの駆動によりモータ26が所定量回転されて、排出ローラ対42の角度がθ
2に変更される。
【0039】
積載用紙210の積載量が増加した場合でも、排出角度θが上向きに変更され、接触長Fが一定範囲内に維持されるので、用紙200による積載用紙210の押上げ時間が長くなることがなく、用紙200による押上げによる排紙揃えが悪化を防止することができる。
【0040】
図4は、
図1の状態に対して、大きい用紙サイズの用紙が使用された状態を示す図である。例えば、
図1での用紙サイズがA4で、
図4での用紙サイズがA3の場合である。用紙200のサイズが大きくなると、排紙トレイ30に対する接触開始位置Gは同じであるが、積載用紙210の先端210aが下流側に伸びることで、接触長Fが増加する。接触長Fを一定範囲内にするため、対応して接触開始位置Gを下流側に移動させる必要がある。
図1でのサイズの小さい積載用紙210と同様の接触長Fになるように、排出角度θ
1が下流側に向かって上向きな排出角度θ
3に変更される。
【0041】
図5は、積載量と用紙の種類に対する排出ローラ対42の角度(排出角度θ)の関係を、グラフ化した図である。テーブル22aの一部をグラフ化したものである。用紙200のサイズや厚さに関わらず、積載量の増加に応じて、排出角度θを増加させる。また、用紙200のサイズが大きい場合、つまり排出方向に沿った用紙長さが長くなる場合には、同じ積載量であっても、排出角度θを上げる。
図4で示した例である。
【0042】
また、用紙サイズが同じであっても用紙200の厚さが厚い場合には、排出角度θを大きく設定する。用紙200が厚くなると、腰が強くなり押上げ力が増すので、その分だけ、接触長Fを短く設定するためである。なお、
図5で示す数値は一例である。実際の排出角度θは、排出ローラ対42の角度だけでなく、排出ローラ対42の押圧力や排出ローラ対42の材質あるいは用紙の質等にも影響されるので、これらのパラメータにより排出ローラ対42の角度は変化する。
【0043】
前述のように、CPU20は、積載量検出センサ28a、用紙厚検出センサ28b及び用紙サイズ検出センサ28cにより、積載量や用紙の種類を判断して、テーブル22aを参照して、排出ローラ対42の角度を算出する。
【0044】
図6は、排出ローラユニット40の角度調整部44の第1の例である。第1の例の角度調整部44は、カムによって排出ローラ対42の角度を変更するものである。
図6は、
図1とは逆に、用紙200が右方向に排出するような方向から、排出ローラユニット40を見た斜視図である。
【0045】
排出ローラユニット40は、排出ローラ対42と角度調整部44を有する。駆動ローラ42aと従動ローラ42bからなる排出ローラ対42は、2組設けられる。駆動ローラ42aを支持するローラ軸53aと従動ローラ42bを支持するローラ軸53bが設けられ、ローラ軸53aとローラ軸53bを回動支持するローラフレーム52が、左右端に設けられる。
【0046】
左右のローラフレーム52は、対称な形状である。ローラフレーム52は、底面部52aと、底面部52aから垂直に伸びローラ軸53aとローラ軸53bを支持する軸支持部52bと、軸支持部52bの上部に設けられローラ軸53aの軸方向に平行に伸びる側面部52cを有する。
【0047】
左右のローラフレーム52のそれぞれの軸支持部52bのローラ軸53aの近傍に、左右外側方向に向かってフレーム軸54が設けられる。左右のフレーム軸54は、一部が破線で示されるベース部材90に軸支される。ベース部材90は、排紙装置10に固定される。また、左右のローラフレーム52の底面部52aには、それぞれ付勢バネ56の一端が係止される。付勢バネ56の他端はベース部材90に係止される。以上により、排出ローラ対42は、フレーム軸54を中心として回動自在にベース部材90に支持され、かつフレーム軸54を中心に反時計方向(α
1方向)に付勢される。
【0048】
また、排出ローラ対42の角度を変更するためのモータ26がローラフレーム52の近傍に設けられる。モータ26もベース部材90に固定される。モータ26の出力軸に、複数のギヤの組み合わせからなる伝達部58が設けられ、伝達部58の伝達軸60に、2つの同一形状のカム62が結合される。伝達軸60は、ベース部材90に回動自在に支持される。
【0049】
2つのカム62は、ローラフレーム52の側面部52cに対応する位置に、同一位相の角度で設けられる。ローラフレーム52は、α
1方向に付勢されているので、カム62がローラフレーム52の側面部52cに当接する。
【0050】
このような構成により、モータドライバ24の駆動によるモータ26の所定回転によりカム62の角度が変化し、対応してローラフレーム52がローラ軸53aの近傍に設けられたフレーム軸54を中心としてα
2方向に回動する。そして、左右のローラフレーム52の回動角に応じて排出ローラ対42の角度が変更される。
【0051】
図7は、排出ローラユニット40の角度調整部44の第2の例である。第2の例の角度調整部44は、リンクによって排出ローラ対42の角度を変更するものである。第1の例と同一部分の説明は省略し、異なる点を中心に説明する。
【0052】
左右のローラフレーム52の軸支持部52bに、ローラフレーム52のリンクピン55が、ローラ軸53aと平行な方向で設けられる。伝達軸60には、カム62の代わりにリンク70が左右に1つずつ設けられる。リンク70は、細長形状で、内部に細長いリンク溝70aが形成される。リンク70は、伝達軸60に固定して設けられ、リンク70のリンク溝70aにリンクピン55が嵌合する。
【0053】
モータ26の回転により伝達軸60がβ
1方向に回動されたとする。対応してリンク70も伝達軸60を中心にβ
2方向に回動する。リンク70の回動により、リンク70のリンク溝70aに嵌合するリンクピン55が左下方向に移動され、リンクピン55の移動に応じてローラフレーム52がβ
3方向に回動する。これによって、排出ローラ対42は、上向きの角度に変更される。
【0054】
次に、排出角度の調整手段の他の例を説明する。上記の実施形態では、角度調整部44について、排出ローラの角度を変更して排出角度の調整する構成を説明したが、排出角度の調整はこれに限るものではない。以下に、他の排出角度の調整手段を簡単に説明する。
【0055】
図8は、排紙ガイドによる排出角度の調整例を示す図である。
図1と同一箇所には同一符号を付し、説明は省略する。
図8Aは、積載量が少ない状態で、
図8Bは積載量が多い状態である。排紙ガイド80は、排出口に設けられ、排出ローラ対42から排出される用紙200をガイドするものである。
【0056】
排紙ガイド80には、角度を調整する角度調整部44aが設けられる。角度調整部44aは、
図6、
図7で説明したような機構で、排出ローラ対42の代わりに、排紙ガイド80の角度を調整する。CPU20の制御により、用紙の積載量や用紙の種類に応じて排紙ガイド80の角度が調整される。積載量の増加に応じて、角度調整部44aは、排紙ガイド80の角度を上向きに方向に調整し(J
1方向)、排出角度θを大きくする。用紙200の排出方向Eが上向きに変更されて、接触長Fが積載量に関わらず一定になる。用紙の種類に対しても、同様である。
【0057】
図9は、排紙ウィングによる排出角度の調整例を示す図である。
図9Aは、積載量が少ない状態で、
図9Bは積載量が多い状態である。排紙ウィング82は、排出口の左右に設けられ、排出ローラ対42から排出される用紙200の左右をガイドするものである。
【0058】
排紙ウィング82の上下位置を調整する位置調整部91が設けられる。CPU20の制御により、用紙の積載量や用紙の種類に応じて排紙ウィング82の上下位置が調整される。積載量が多くなると、排紙ウィング82を上昇させ(J
2方向)、排出方向Eを上向きにする。用紙200の排出方向Eが上向きに変更されて、接触長Fが積載量に関わらず一定になる。用紙の種類に対しても、同様である。
【0059】
図10は、従動ローラによる排出角度の調整例を示す図である。
図10Aは、積載量が少ない状態で、
図10Bは積載量が多い状態である。従動ローラ42bの角度を調整する角度調整部44bが設けられる。
図1等の例では、排出ローラ対42全体を回動させたが、
図10の例では、駆動ローラ42aの位置は変えずに、駆動ローラ42aに対する従動ローラ42bの押圧角度を変える。つまり、ニップ点Nを上流側に移動させる。
【0060】
角度調整部44bは、
図6、
図7で説明したような機構で、排出ローラ対42全体の代わりに、従動ローラ42bの押圧角度を調整する。積載量の増加に応じて、従動ローラ42bをJ
3方向に回動させ、排出方向Eを上向きにする。用紙200の排出方向Eが上向きに変更されて、接触長Fが、積載量に関わらず一定になる。用紙の種類に対しても、同様である。
【0061】
以上説明した実施形態によれば、少なくとも以下のような効果が奏される。
・省スペースで簡単な構成にて、排紙揃え精度を向上させることができる。
・また、用紙同士の擦れによる印字汚れを低減させることもできる。
・また、用紙同士の擦れに起因する用紙ジャム発生を防止することもできる。
【0062】
なお、上記実施形態では、排出角度の制御が、制御プログラムを読込んだCPU20によるソフトウェア処理により実現される例を説明したが、制御部は、一部または全部をハードウェアで構成してもよい。
【0063】
また、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。