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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-224132(P2015-224132A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】群管理エレベータ装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20151117BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20151117BHJP
【FI】
   B66B1/18 N
   B66B3/00 M
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-112129(P2014-112129)
(22)【出願日】2014年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】前原 知明
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 貴大
(72)【発明者】
【氏名】西田 武央
(72)【発明者】
【氏名】会田 敬一
【テーマコード(参考)】
3F002
3F303
【Fターム(参考)】
3F002AA07
3F002BA01
3F002CA01
3F002FA06
3F002GB03
3F303AA05
3F303BA05
3F303CA03
3F303CA14
3F303CB22
3F303CB31
3F303DC22
(57)【要約】
【課題】
利用客が割り当てられたエレベータ号機に確実に乗り込むことができる群管理エレベータ装置を提供する。
【解決手段】
複数のエレベータ号機A〜Dと、乗場階床に位置する行き先階登録装置2と、行き先階登録装置2の操作によって登録される行き先階に複数のエレベータ号機のいずれかを割り当てる群管理制御装置とを備え、群管理制御装置は、複数の身体障害の属性に対する複数の制御情報を記憶するデータ記憶部と、利用客の身体障害の属性を判定する身体障害属性判定部とを備え、身体障害属性判定部によって判定される利用客の身体障害の属性に対応する制御情報として利用客の移動時間をデータ記憶部から抽出して、抽出された移動時間に基づいて、複数のエレベータ号機の内のいずれかを行き先階に割り当てる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエレベータ号機と、乗場階床に位置する行き先階登録装置と、前記行き先階登録装置の操作によって登録される行き先階に前記複数のエレベータ号機のいずれかを割り当てる群管理制御装置と、を備える群管理エレベータ装置において、
前記群管理制御装置は、
複数の身体障害の属性に対する複数の制御情報を記憶するデータ記憶部と、
利用客の身体障害の属性を判定する身体障害属性判定部と、
を備え、
前記身体障害判定部によって判定される前記利用客の身体障害の属性に対応する制御情報を前記データ記憶部から抽出して、抽出された前記制御情報に基づいて、前記複数のエレベータ号機の内のいずれかを前記行き先階に割り当てることを特徴とする群管理エレベータ装置。
【請求項2】
請求項1において、前記身体障害属性判定部は、前記行き先階登録装置を操作する利用客の画像に基づいて前記身体障害の属性を判定することを特徴とする群管理エレベータ装置。
【請求項3】
請求項1において、前記身体障害属性判定部は、利用客が携帯するデータ記憶装置から読み取られるデータに基づいて前記身体障害の属性を判定することを特徴とする群管理エレベータ装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項において、
前記制御情報は、前記行き先階登録装置から前記エレベータ号機までの移動時間を含み、
前記群管理制御装置は、前記移動時間経過後に前記乗場階床に乗りかごが到着するエレベータ号機を前記行き先階に割り当てることを特徴とする群管理エレベータ装置。
【請求項5】
請求項4において、前記群管理制御装置は、前記移動時間経過後における前記利用客の待ち時間を考慮して、前記エレベータ号機を前記行き先階に割り当てることを特徴とする群管理エレベータ装置。
【請求項6】
請求項4において、前記移動時間は、前記複数のエレベータごとに設定されることを特徴とする群管理エレベータ装置。
【請求項7】
請求項4において、
前記制御情報は、さらに、利用客が乗りかごに乗り込むために要する乗り込み時間を含み、
前記群管理制御装置は、前記行先階に割り当てられたエレベータ号機のドア開時間よりも前記乗り込み時間が長い場合に、前記ドア開時間を延長することを特徴とする群管理エレベータ装置。
【請求項8】
請求項7において、前記行先階に割り当てられたエレベータ号機の前における利用客の画像に基づいて前記乗り込み時間を補正することを特徴とする群管理エレベータ装置。
【請求項9】
請求項4において、利用客の体調に基づいて前記移動時間を補正することを特徴とする群管理エレベータ装置。
【請求項10】
請求項7において、利用客の体調に基づいて前記乗り込み時間を補正することを特徴とする群管理エレベータ装置。
【請求項11】
請求項4において、前記群管理制御装置は、乗りかご内に利用客が乗り込める空スペースを有するエレベータ号機を前記行き先階に割り当てることを特徴とする群管理エレベータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体障害に配慮した群管理エレベータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
身体障害に配慮した群管理エレベータ装置に関する従来技術として、特許文献1および特許文献2に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の技術においては、エレベータ利用客が、乗場近くに設置されるフロア選択用スイッチボタンを操作すると、視覚障害に配慮して、行き先階または行き先階群のアナウンスが開始される。利用客が目的とする行き先階または行き先階群がアナウンスされたら、利用客は再度ボタンを操作する。この時、群管理エレベータ装置は、利用客によるボタンの再操作前において最後にアナウンスされた行き先階または行き先階群を、エレベータ群内のいずれかのエレベータ号機に割り当て、そのエレベータ号機を特定するための音をかご特定装置から発生させる。
【0004】
また特許文献2に記載の技術においては、行き先階予約装置に車椅子ボタンを設け、自他バンク判定処理部は、他のエレベータバンクがサービスする行き先階と判定すると共に、車椅子ボタンの操作を検出したとき、割り当て登録処理をせず、入力操作された行き先階予約装置に他のバンクへの移動を促す情報を表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2007−537962号公報
【特許文献2】特開2012−254852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術では、特定の身体障害に対しては、エレベータの円滑な利用を可能にするが、他の身体障害に対しては、必ずしもエレベータを使い易くすることができないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、複数の身体障害に配慮し、利用客が割り当てられたエレベータ号機の乗りかごに確実に乗り込むことができる群管理エレベータ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明による群管理エレベータ装置は、複数のエレベータ号機と、乗場階床に位置する行き先階登録装置と、行き先階登録装置の操作によって登録される行き先階に複数のエレベータ号機のいずれかを割り当てる群管理制御装置とを備えるものであって、群管理制御装置は、複数の身体障害の属性に対する複数の制御情報を記憶するデータ記憶部と、利用客の身体障害の属性を判定する身体障害属性判定部とを備え、身体障害属性判定部によって判定される利用客の身体障害の属性に対応する制御情報をデータ記憶部から抽出して、抽出された制御情報に基づいて、複数のエレベータ号機の内のいずれかを行き先階に割り当てる。
【発明の効果】
【0009】
本発明による群管理エレベータ装置によれば、複数の身体障害の属性に対応する複数の制御情報に基づいてエレベータ号機を行き先階に割り当てるので、利用客が割り当てられたエレベータ号機の乗りかごに確実に乗り込むことができる。
【0010】
なお、上述した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1である群管理エレベータ装置の乗場を示す斜視図である。
図2図1の行き先階登録装置における操作面の構成例を示す正面図である。
図3】実施例1の群管理エレベータ装置の制御システムを示すブロック図である。
図4】実施例1の群管理エレベータ装置における行き先階登録の処理動作を示すフローチャートである。
図5】実施例1の効果が生じる状況の一例を示す。
図6】データテーブルの一例を示す。
図7】データテーブルの一例を示す。
図8】利用客の体調に関する情報を発信するセンサの一例を示す。
図9】本発明の実施例2である群管理エレベータ装置における行き先階登録装置の近傍を示す。
図10】本発明の実施例3である群管理エレベータ装置の制御システムを示すブロック図である。
図11】かご内スペース判定部での判定処理のために使用されるスペース判定装置の一例を示す概略構成図である。
図12】本発明の実施例4である群管理エレベータ装置におけるかご内スペース判定装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1である群管理エレベータ装置の乗場を示す斜視図である。
【0014】
本実施例の群管理エレベータ装置は、複数(図1では4台)のエレベータ号機(A〜D)と、乗場階床における乗場内あるいは乗場入口の近辺に固定的に配置される集中配置型の行き先階登録装置2と、乗り場呼びに応答したエレベータ号機の乗りかごの到着を上下方向別に知らせる到着灯3と、各エレベータ号機の乗場ドア上に配置され、音声あるいは文字表示によって情報を出力する出力装置4とを有している。なお、乗場呼びは、後述するように、行き先階登録のために行き先階登録装置2の操作面1が操作される時に登録される。
【0015】
本実施例においては、乗場空間の両側に、2台ずつエレベータ号機が配置される。隣り合う2台のエレベータ号機の間に位置する壁面には、行き先階登録装置10が設けられる。エレベータ利用客は、行き先階登録装置2による行き先階登録を失念した場合や、行き先階登録装置2により登録した行き先階を変更したい場合などに、行先階登録装置10によって、行き先階を登録すること、あるいは登録し直すことができる。
【0016】
さらに、本実施例は、行き先階登録装置2または行き先階登録装置10を操作して行き先階登録を行っている利用客を撮影する画像カメラ5を備えている。画像カメラ5は、身体障害の属性(車椅子使用,松葉杖使用,視覚障害)を識別するための画像データを取得する。
【0017】
図2は、図1の行き先階登録装置2における操作面1の構成例を示す正面図である。行き先階登録装置2の操作面1には、行き先階を登録する際に利用客が押す複数の数値ボタン(図2ではテンキー)からなる階床ボタン7と、行き先階の登録を行う利用客が身体障害を通知する場合に押す身体障害通知ボタン8と、利用客が押した行き先階を表示したり、登録された行き先階、および行き先階登録装置2が設置された階床の乗場呼びに割り当てられたエレベータ号機を示す文字や記号を表示したり、身体障害通知ボタン8が操作されたとき、前記のようにして行き先階および乗場呼びに割り当てられたエレベータ号機を示す音声案内を出力したりする表示出力部6と、を有している。なお、検出部24は、後述する実施例2(図9)におけるICカード23のデータを読み取るためのカードリーダ部である。
【0018】
図3は、本実施例の群管理エレベータ装置の制御システムを示すブロック図である。
【0019】
本制御システム30において、画像カメラ5や、図2に示した出力部6,階床ボタン7,身体障害通知ボタン8からの信号が群管理制御装置31の制御部18に取り込まれる。制御部18は、取り込まれた信号に基づいて、通常の制御として、到着灯制御部20によって到着灯(図1中の符号3)を制御したり、出力案内制御部19により各エレベータ号機の出力装置(図1中の符号4)を制御したりする。
【0020】
また、制御部18は、身体障害通知ボタン8からの信号に基づいて、記憶部17から読み込む身体障害対応制御用ソウトウェアに従って、群管理制御装置31の各部を制御して、次のように機能させる。
【0021】
身体障害確認部9は、身体障害通知ボタン8からの信号に基づいて、身体障害を確認する。このように、本実施例においては、身体障害確認部9および身体障害通知ボタン8によって、身体障害確認装置が構成される。身体障害確認部9が身体障害を確認すると、身体障害属性判定部10は、画像カメラ5からの画像データを画像処理して身体障害の属性を判定する。身体障害属性判定部10は、属性として、車いす使用,松葉杖使用,視覚障害を識別する。本実施例においては、このように、画像カメラ5および身体障害属性判定部10によって身体障害属性判定装置が構成される。
【0022】
移動時間抽出部12は、身体障害属性判定部10によって判定された身体障害の属性に対応する制御情報、すなわち利用客のエレベータ号機前までの移動時間を、移動時間データ記憶部11から抽出する。ここで、移動時間データ記憶部11は、身体障害の属性ごとに、行き先階登録装置2から各エレベータ号機までの移動時間と乗りかご内への乗りこみに要する時間を記憶している。号機割り当て部13は、移動時間抽出部12によって抽出された利用客の移動時間を考慮して、利用客の待ち時間を短縮できるエレベータ号機を選択して、そのエレベータ号機を、登録された行き先階および利用客が居る階床の乗場呼びに割り当てる。
【0023】
出力通知部14は、割り当てられたエレベータ号機の番号や名称などの識別情報を、行き先階登録装置2の出力部6によって文字表示や音声によって出力する。ドア開閉調整部16は、身体障害属性判定部10によって判定された身体障害の属性に応じて、号機割り当て部13によって割り当てられたエレベータ号機のドア開閉を制御するように、エレベータ号機制御盤15に制御指令を与える。
【0024】
図4は、本実施例の群管理エレベータ装置における行き先階登録の処理動作を示すフローチャートである。本図4は、利用客が、行き先階を登録するために、行き先階登録装置2の階床ボタン7および身体障害通知ボタン8を操作する場合における処理動作を示す。
【0025】
本実施例の群管理エレベータ装置の群管理制御装置31は、エレベータ装置が稼働している時には行き先階登録装置2を監視しており、一監視動作として、行き先階登録装置2からの通知信号の有無に基づいて、身体障害通知ボタン8が押圧されたか否かを判定している(ステップS1)。身体障害通知ボタン8が押圧されたと判定されると、身体障害に配慮した制御用ソフトウェアが作動される(ステップS1,YES)。身体障害通知ボタン8が押圧されたことが判定されなければ、行き先階登録装置2の監視が継続される(ステップS1,NO)。
【0026】
群管理制御装置31は、身体障害通知ボタン8が押圧操作されたと判定すると(ステップS1,YES)、次に、行き先階登録装置2からの行き先階信号の有無に基づいて、行き先階登録装置2の階床ボタン7が押圧されたか否かを判定する(ステップS2)。階床ボタン7が押圧されたと判定すると(ステップS2,YES)、出力通知部14が行き先階登録装置2の出力部6に、行き先階信号が示す階床識別情報を文字表示あるいは音声により出力する。この時点で、号機割り当て部13は、上記のように、階床ボタン6に基づいて好適なエレベータ号機の割り当てを行う機能を有するが、身体障害確認部9によって身体障害が確認されているため、行き先階および乗場呼びにエレベータ号機を割り当てる処理を保留する。
【0027】
次に、群管理制御装置31は、エレベータ号機の割り当てに先だって、身体障害確認部9からの確認信号を受けた身体障害属性判定部10を用いて、画像カメラ5から取得した画像データに画像処理を施すことにより、身体障害の属性、本実施例では、車椅子使用,松葉杖使用,視覚障害を識別する判定を行う(ステップS3)。例えば、取得した画像と、車椅子使用,松葉杖使用,視覚障害の基準画像との一致度を計測するような公知の画像処理を適用することができる。なお、身体障害の属性は、これらの属性に限らず、エレベータ利用状況や運転制御の仕方に応じて、適宜、集約あるいは細分して設定することができる。例えば、車椅子使用,松葉杖使用をまとめて、肢体不自由としても良い。
【0028】
次に、群管理制御装置31は、移動時間抽出部12を用いて、移動時間データ記憶部11に予め格納された移動時間データの中から、ステップS3における属性判定結果に対応する制御情報として、操作中の行き先階登録装置2の前から各エレベータ号機まで移動するのに要する時間データおよび乗り込み時間データを抽出する(ステップS4)。その後、移動時間抽出部12によって、移動時間データは号機割り当て部13に送信され、乗り込み時間データドア開閉時間調整部16に送信される。
【0029】
次に、群管理制御装置31は、号機割り当て部13を用いて、号機割り当て部13が受け取った移動時間データおよびエレベータ号機制御盤15から送信されるエレベータ号機の運転状態に基づいて、利用客が到着した乗りかごに確実に乗車することができると共に利用客の待ち時間を低減できるような好適なエレベータ号機を選択して、行き先階および乗場呼びに割り当てる(ステップS5)。ここで、群管理制御装置31は、移動時間が経過した後に、乗場階床に乗りかごが到着する運転状態にあるエレベータ号機を割り当てる。
【0030】
さらに、群管理制御装置31は、割り当てられたエレベータ号機に関するデータ、例えばエレベータ号機の番号や名称などの識別データを、出力通知部14を介して行き先階登録装置2に送信すると共に、割り当てたエレベータ号機を制御している号機エレベータ制御盤15へ、行き先階および乗場呼びに関する信号を送信する。行き先階登録装置2において受信したエレベータ号機の識別データは、文字表示や音声によって出力部6から出力され、行き先階登録装置2を操作した利用客に通知される(ステップS6)。なお、エレベータ号機の識別データは、ドア開閉時間調整部16にも送信される。
【0031】
さらに、群管理制御装置31は、ドア開閉時間調整部16を用いて、上記のようにドア開閉時間調整部16が受信した乗り込み時間データとエレベータ号機の識別データに基づいて、身体障害の属性に応じた乗り込み時間と、割り当てられたエレベータ号機のドア開閉時間とを比較して、ドアの開閉時間を延長すると判断したら、ドア開閉を調整する指令を、割り当てられたエレベータ号機のエレベータ号機制御盤15へ送信する。
【0032】
上述したような本実施例によれば、身体障害の属性に応じて、利用客が行き先階登録装置2の位置から割り当てられたエレベータ号機の前まで移動するのに要する時間を考慮して、好適なエレベータ号機を割り当てることができる。これにより、利用客が、エレベータ号機前まで移動するのに時間を要しても、到着した乗りかごに確実に乗ることができる。
【0033】
このような本実施例の効果が生じる状況の一例を図5に示す。本図は、行き先階登録装置2の近傍を示す。なお、行き先階登録装置2における検出部24(図2参照)は省略されている。
【0034】
図5において、利用客21は、行き先階登録装置2の位置から割り当てられたエレベータ号機Bの前まで、歩いて5秒で移動できるとする。また、利用客22は、同じ行き先階登録装置2およびエレベータ号機B間を、車椅子や松葉杖を使用して、15秒で移動できるとする。この時、エレベータ群管理制御装置が、従来通り乗場における利用客の待ち時間を考慮して、5秒後に乗りかごが到着するエレベータ号機Bを割り当てたとすると、利用客21は乗り込むことができるが、利用客22は、エレベータ号機Bの乗りかごが出発した後にエレベータ号機前に到達するので、乗り遅れてしまう。これに対し、エレベータ群管理制御装置が、身体障害の属性に応じた移動時間を考慮して、エレベータ号機Bを割り当てれば、乗りかごが、移動時間経過後、すなわち利用客22がエレベータ号機Bの前に到達した時点以降に、乗りかごが乗場階床に到着するので、利用客2は乗り遅れることが無い。しかも、エレベータ群管理制御装置は、待ち時間が移動時間以上の範囲で、より短縮されるように、エレベータ号機を割り当てる。このため、エレベータ号機Bの前に到達後における利用客22の待ち時間が低減される。
【0035】
なお、本実施例において、群管理制御装置は、移動時間データとして、複数の身体障害の属性と移動時間を関係づけたデータテーブルを予め記憶している。図6は、データテーブルの一例を示す。本例のように、各属性に対して移動時間が設定される。
【0036】
ここで、同じ属性でも、行き先階登録装置から各エレベータ号機までの距離の違いによって移動時間が異なることを考慮して、データテーブルにおいて、複数の身体障害の属性および複数エレベータ号機に対して、移動時間が関係づけられていても良い。このようなデータテーブルの一例を図7に示す。本例のように、各属性に対し、エレベータ号機ごとに移動時間が設定される。これにより、例えば8台というような多数のエレベータ号機を備えるエレベータバンクにおいても、利用客が確実に乗りかごに乗り込むことができる。
【0037】
さらに、本実施例における群管理制御装置は、図3に示したように、身体障害の属性に応じて号機割り当て部13で割り当てたエレベータ号機のドア開閉を制御するようにエレベータ号機制御盤15に指令を与えるドア開閉調整部16を備えている。このドア開閉調整部16は、身体障害の属性に応じて抽出した乗り込み時間と、号機割り当て部13で割り当てたエレベータ号機のドア開時間とを比較して、乗り込み時間の方が長ければ、ドア開時間を延長するようにドア開時間を調整する。ここで、属性に応じた乗り込み時間は、移動時間と同様に、図6のようなデータテーブルによって設定される。
【0038】
なお、ドア開閉調整部16は、ドア開時間が延長されている時に、乗りかご内の操作盤に設けられる戸閉ボタンが操作された場合、戸閉ボタンを無効にする機能を備えても良い。また、ドア開閉調整部16がエレベータ号機制御盤15に指令信号を与えているとき、対応するエレベータ号機を身体障害対応の専用運転に切り替えるようにすることもできる。
【0039】
上述したような、データテーブルにおいて、身体障害の詳細な属性や利用客の属性、例えば、車椅子の大きさ,大人か子供かなどに応じて、属性をさらに細分化しても良い。なお、細分化された属性についても、画像カメラ5によって取得される、行き先階登録装置2を操作する利用客の画像に基づいて判定される。また、図6または図7に示すデータテーブルを用いて割り当てられたエレベータ号機の前まで移動した利用客の画像を取得し、取得した画像に基づいて、車椅子の大きさ,大人か子供かなどを判定し、判定結果に基づいて、予め記憶された乗り込み時間の値を補正するようにしても良い。例えば、車椅子の大きさが所定の大きさを越える場合に、乗り込み時間の値をα(>1)倍した値を用いる。
【0040】
上述したような、移動時間や乗り込み時間は、利用客の体調によって適宜補正しても良い。例えば、群管理制御装置は、利用客の体調が悪いと判定したら、エレベータ号機割り当て処理において、データテーブルに設定された値をβ(>1)倍した値を用いる。
【0041】
図8は、利用客の体調に関する情報を発信するセンサの一例を示す。本例は、手首に装着するリストバンド型センサ40であり、健康管理に用いられる。なお、図8では、バンド部分41は一部図示が省略されている。このセンサは、脈拍や体温などを計測するセンサを備え、センサで検出されたデータを無線信号によって発信する。群管理制御装置は、受信した無線信号から利用客の体温や脈拍などの体調に関する情報を取得し、この情報から利用客の体調を判定する。なお、リストバンド型に限らず、身体に装着するウェアラブルセンサが適用できる。
【実施例2】
【0042】
図9は、本発明の実施例2である群管理エレベータ装置における行き先階登録装置の近傍を示す。また、本図は図6と同様の状況を示している。なお、以下、主に、実施例1と異なる点について説明する。
【0043】
本実施例2において、群管理制御装置は、行き先階登録装置2の身体障害通知ボタン8に代えて、利用客が携帯する行き先階登録用のICカード23を行き先階登録装置2の検出部24で検出したときに、身体障害を確認する。
【0044】
ICカード23には、カード情報として予め身体障害の属性データや行き先階床データを記憶させておく。群管理制御装置は、ICカード23を検出したときに読み取られる各データを用いて、身体障害の属性を判定すると共に、行き先階登録を行う。
【0045】
群管理制御装置は、ICカードの識別データと関連付けて階床データを記憶し、ICカード23を検出したときに階床データを抽出して、その階床データを用いて行き先階登録処理を実行しても良い。
【0046】
なお、ICカード23に代えて、携帯端末装置などを用いても良い。また、ICカードのデータは、利用客がICカード23を検出部24にかざした時に読み取られるようにしても良いし、利用客が検出部23などの検出装置に近づいた時に、利用客による特段の操作を要することなく自動的に読み取られるようにしても良い。
【実施例3】
【0047】
図10は、本発明の実施例3である群管理エレベータ装置の制御システムを示すブロック図である。
【0048】
本実施例における群管理制御装置は、図3に示した構成に加え、移動時間抽出部12によって身体障害属性毎の移動時間データを抽出した後、乗りかご内に利用客が乗り込むスペースが存在するか否かを判定するかご内スペース判定部29を備えている。その他の構成は、図3の構成と同一であるから、同等物に同一符号を付けて詳細な説明は省略する。
【0049】
号機割り当て部13でエレベータ号機を割り当てる前に、かご内スペース判定部29によって、各エレベータ号機の乗りかご内に、利用客が乗り込むことができる空スペースが存在するか否かが判定される。かご内スペース判定部29から、乗り込みスペースが存在すると判定されたエレベータ号機を示す信号を受け取った号機割り当て部13は、行き先階および乗場呼びにエレベータ号機を割り当てる際、かご内スペース判定部29によって空スペースが存在すると判定されたエレベータ号機だけを割り当て対象として、好適なエレベータ号機を割り当てる。従って、利用客は、割り当てられたエレベータ号機の乗りかごに確実に乗り込むことができる。ここで、スペースの大きさを身体障害の属性に応じて設定すれば、乗りかご内に、属性に応じた十分な空スペースを有するエレベータ号機を割り当てることができる。これにより、利用客の乗り心地が向上する。
【0050】
図11は、上述したかご内スペース判定部29での判定処理のために使用されるスペース判定装置の一例を示す概略構成図である。乗りかご25内にカメラ26を設置し、上述したかご内スペース判定部29は、カメラ26で撮影した画像データを画像処理して、乗りかご25内における空スペース27が存在するか否かを判定する。
【実施例4】
【0051】
図12は、本発明の実施例4である群管理エレベータ装置におけるかご内スペース判定装置を示す概略構成図である。本実施例4は、かご内スペース判定装置の構成が実施例3と異なるが、他の構成については実施例3と同じである。
【0052】
本実施例4において、乗りかご25は、積載荷重を検出する荷重検出装置28を有している。上述したかご内スペース判定部29は、この荷重検出装置28の検出値に基づいて乗りかご25内に利用客が乗り込むことができる空スペースが存在するか否かを判定する。
【0053】
かご内スペース判定部29は、荷重検出装置28による検出値,許容積載荷重,平均体重などから空スペースの有無や広さを判定し、利用客が乗り込むために十分な空スペースを有するエレベータ号機を特定する。号機割り当て部13は、エレベータ号機を割り当てる際、かご内スペース判定部29から判定結果を受け、十分な空スペースが検出されたエレベータ号機だけを割り当て対象とする。これにより、実施例3と同様に、利用客の乗り心地が向上する。
【0054】
尚、本発明は、上述した実施例に限定するものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。またある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【0055】
例えば、行き先階登録装置2において、身体障害通知ボタン8を属性毎に設け、押されたボタンからの通知信号によって、身体障害の属性を判定しても良い。
【0056】
また、図1における画像カメラ5は、行き先階登録装置2に取り付けても良い。
【符号の説明】
【0057】
1 操作面
2 行き先階登録装置
3 到着灯
4 出力装置
5 画像カメラ
6 出力部
7 階床ボタン
8 身体障害通知ボタン
9 身体障害確認部
10 身体障害属性判定部
11 移動時間データ記憶部
12 移動時間抽出部
13 号機割り当て部
14 出力通知部
15 エレベータ号機制御盤
16 ドア開閉時間調整部
17 記憶部
18 制御部
19 出力案内制御部
20 到着灯制御部
21 利用客
22 利用客
23 ICカード
24 検出部
25 乗りかご
26 カメラ
27 空スペース
28 荷重検出装置
29 かご内スペース判定部
30 制御システム
31 群管理制御装置
40 リストバンド型センサ
41 バンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12