特開2015-224133(P2015-224133A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-224133(P2015-224133A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】エレベータシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20151117BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20151117BHJP
   B66B 13/14 20060101ALI20151117BHJP
【FI】
   B66B1/14 G
   B66B1/14 L
   B66B3/00 M
   B66B13/14 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-112136(P2014-112136)
(22)【出願日】2014年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】前原 知明
(72)【発明者】
【氏名】西田 武央
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 貴大
(72)【発明者】
【氏名】会田 敬一
【テーマコード(参考)】
3F002
3F303
3F307
【Fターム(参考)】
3F002AA07
3F002BA01
3F002CA01
3F303BA05
3F303CB22
3F303CB30
3F303CB31
3F307BA06
3F307EA28
3F307EA29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】身障者か否かを的確に判別し、使い勝手がよいエレベータシステムを提供する。
【解決手段】少なくとも1基のエレベータ号機と、身障者通知ボタン8を有する乗り場行き先階登録装置2と、画像取得部と、ドア開閉時間調整部17と、を備えたエレベータシステムにおいて、身障者通知ボタン8の操作に伴う通知信号を検出する身障者操作判定部12と、身障者操作判定部12が通知信号を検出したときは、画像取得部により撮影した利用者の画像データと登録データとを比較し、画像データと登録データとが合致しないときは当該利用者が健常者であると判定し身障者対応を解除する解除信号を出力し、かつ、画像データと登録データとが合致したときは当該利用者が身障者であると判定し身障者対応の継続信号を出力する誤操作判定部13と、を有し、ドア開閉時間調整部17は、解除信号を受信したときは、エレベータ号機のドア開延長時間を無効にする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1基のエレベータ号機と、
乗り場に設置され利用者が身障者の場合に操作される身障者通知ボタンを有する乗り場行き先階登録装置と、
前記乗り場行き先階登録装置からの行き先階登録操作に応じてエレベータの動作を調整する制御装置と、
利用者の画像を取得する画像取得部と、
乗り場ドアが開いている時間の延長及び短縮をすることが可能なドア開閉時間調整部と、
を備えたエレベータシステムにおいて、
前記制御装置は、
前記身障者通知ボタンの操作に伴う通知信号を検出する身障者操作判定部と、
身障者に関連する登録データを格納している登録データ格納部と、
前記身障者操作判定部が前記通知信号を検出したときは、前記画像取得部により撮影した利用者の画像データと前記登録データとを比較し、前記画像データと前記登録データとが合致しないときは当該利用者が健常者であると判定し身障者対応を解除する解除信号を出力し、かつ、前記画像データと前記登録データとが合致したときは当該利用者が身障者であると判定し身障者対応の継続信号を出力する誤操作判定部と、を有し、
前記ドア開閉時間調整部は、前記解除信号を受信したときは、前記エレベータ号機のドア開延長時間を無効にすることを特徴とするエレベータシステム。
【請求項2】
前記誤操作判定部は、前記画像データを解析して前記利用者の移動時間又は移動速度を算出し、前記移動時間又は前記移動速度と前記登録データと比較する、請求項1記載のエレベータシステム。
【請求項3】
さらに、前記登録データ格納部の身障者に関連する登録データを更新するためのデータを収集する登録データ学習部を備えた、請求項1記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記画像取得部は、赤外線センサ又は距離測定センサである、請求項1記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記誤操作判定部は、身障者が所持する身障者証明用携行品又は当該身障者の生体情報に対応する、前記登録データ格納部に登録された移動時間データの情報を受けた場合に前記継続信号を出力する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り場で行き先階登録を行うエレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、次の4件がある。
【0003】
特許文献1には、身障者として視覚障害者を配慮したエレベータ装置として、視覚障害者向けの一つのボタンを備えたフロア選択ステーションにより、ボタンの一回目の操作で行き先階または行き先階群のアナウンスを開始し、ボタンの二回目の操作で最後にアナウンスされた行き先階または行き先階群を選択し割り当て、その後、各フロアで隣接して配置されたかご特定装置からかごを特定するための音を発する構成が開示されている。
【0004】
特許文献2には、行き先階予約装置に車椅子ボタンを設け、自他バンク判定処理部は、他のエレベータバンクがサービスする行き先階と判定すると共に、車椅子ボタンの操作を検出したとき、割り当て登録処理をせず、入力操作された行き先階予約装置に他のバンクへの移動を促す情報を表示する表示処理部を設けた群管理エレベータ装置が開示されている。
【0005】
特許文献3には、乗場出入口付近に車椅子検出装置を設け、車椅子検出装置が車椅子の存在を検出することにより、身障者用乗場呼び釦が有効となるエレベータであって、テレビカメラを用い、画像認識処理技術を適用するものが開示されている。
【0006】
特許文献4には、各階乗場に車椅子専用乗場押釦とカメラと車椅子専用運転の表示装置を設け、かご内には車椅子専用かご操作盤とカメラと連動するモニターTVと車椅子専用運転の表示装置を設け、車椅子専用乗場押釦による呼び登録により、車椅子専用運転に切替える制御手段と、乗場呼び階のカメラを作動させる制御手段とを備え、車椅子利用客を確認する機能を有する車椅子兼用エレベータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2007−537962号公報
【特許文献2】特開2012−254852号公報
【特許文献3】特開平05−147835号公報
【特許文献4】特開平06−080319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3に記載の技術は、省エネルギーの点から車椅子検出装置を設けたものであり、車椅子検出装置は、身障者用乗場呼び釦が押された後に動作する構成となっている。よって、身障者用乗場呼び釦が押されない場合には動作しないため、動作を開始するまでの立ち上がり時間等が考慮されていない。このため、使い勝手の点で改善の余地があるものと考えられる。
【0009】
特許文献4に記載の技術は、基本的には、デパート、駅ビル等の商業ビルで専用運転手付きエレベータを想定したものであり、運転手なしの場合には金属検知器を設けて車椅子利用客を検知するものである。
【0010】
本発明の目的は、身障者か否かを的確に判別し、身障者にとっても健常者にとっても使い勝手がよいエレベータシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、少なくとも1基のエレベータ号機と、乗り場に設置され利用者が身障者の場合に操作される身障者通知ボタンを有する乗り場行き先階登録装置と、乗り場行き先階登録装置からの行き先階登録操作に応じてエレベータの動作を調整する制御装置と、利用者の画像を取得する画像取得部と、乗り場ドアが開いている時間の延長及び短縮をすることが可能なドア開閉時間調整部と、を備えたエレベータシステムにおいて、制御装置は、身障者通知ボタンの操作に伴う通知信号を検出する身障者操作判定部と、身障者に関連する登録データを格納している登録データ格納部と、身障者操作判定部が通知信号を検出したときは、画像取得部により撮影した利用者の画像データと登録データとを比較し、画像データと登録データとが合致しないときは当該利用者が健常者であると判定し身障者対応を解除する解除信号を出力し、かつ、画像データと登録データとが合致したときは当該利用者が身障者であると判定し身障者対応の継続信号を出力する誤操作判定部と、を有し、ドア開閉時間調整部は、解除信号を受信したときは、エレベータ号機のドア開延長時間を無効にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、身障者か否かを的確に判別し、身障者通知ボタンの誤操作を判別し、身障者にとっても健常者にとっても使い勝手がよいエレベータシステムを提供することができる。なお、上述した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1のエレベータの乗り場を示す概略斜視図である。
図2図1の乗り場行き先階登録装置を示す正面図である。
図3図1の複数のエレベータ号機を制御する群管理システムを示すブロック構成図である。
図4図3の群管理システムの身障者対応プログラムにおける処理手順を示すフローチャートである。
図5】実施例2のエレベータの乗り場を示す模式構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のエレベータシステムの実施形態について説明する。
【0015】
後述の実施例においては、複数のエレベータ号機を備えた群管理エレベータシステムについて説明するが、1基のエレベータを制御する場合であっても、本発明の制御装置を適用することにより、無用な待ち時間を省略して運転することができる。
【0016】
以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、エレベータの乗り場の例を示す概略斜視図である。ここでは、4基のエレベータ号機を備えた群管理エレベータシステム(以下、「群管理エレベータ」ともいう。)について説明する。本明細書において「群管理エレベータシステム」とは、複数のエレベータ号機を備え、各エレベータ号機を利用者の便宜を図るべく効率よく運転するための制御装置を有するものをいう。本実施例においては、群管理エレベータシステムは、4基のエレベータ号機を備えているが、これに限定されるものではなく、エレベータ号機が3基でも5基以上であってもよい。
【0018】
本図においては、エレベータホールの乗り場ドア101a、101b、101c、101dと、エレベータホールの壁面に設けた乗り場行き先階登録装置1と、エレベータホールに設けた乗り場行き先階登録装置2と、を示している。このほか、エレベータホールの壁面には、到着灯3と、出力案内装置4と、カメラ5bと、が設けてある。
【0019】
乗り場行き先階登録装置1は、乗り場ドア101a、101b、101c、101dのそれぞれの近くの壁面に配置した分散配置型であってもよい。
【0020】
本図の場合、乗り場行き先階登録装置2もカメラ5a(内蔵カメラ)を有している。
【0021】
乗り場行き先階登録装置1は、乗り場の壁面に配置され、行き先階を登録するために使用される。乗り場行き先階登録装置2は、エレベータホールの入口部又は中央部の1か所に配置した集中配置型であり、乗り場行き先階登録装置1とは異なる位置に配置され、行き先階を登録するために使用される。到着灯3は、どのエレベータ号機が乗り場呼びに応じて到着するかを方向別に知らせる(上階行き又は下階行きの別を表示する。)。出力案内装置4は、各エレベータ号機に配置してあり、各エレベータ号機の停止階を表示する。乗り場行き先階登録装置2は、エレベータホールの壁面の一か所に配置してもよい。
【0022】
カメラ5bは、乗り場行き先階登録装置1又は乗り場行き先階登録装置2(主に乗り場行き先階登録装置1)を操作する状況を撮影する。カメラ5bは、撮影する方向を変えることもできる。なお、カメラ5bの設置位置は、乗り場ドア101a、101b、101c、101dの近傍に限らず、乗り場行き先階登録装置1の近傍、或いは乗り場行き先階登録装置1に組み込まれていても良い。さらに、カメラ5bは、通常の動画を撮影するものの代わりに、赤外線センサや距離測定センサなどの各種センサを用いても良い。
【0023】
一方、カメラ5aは、乗り場行き先階登録装置2を操作する人を撮影する。
【0024】
図2は、図1の乗り場行き先階登録装置2を拡大して示す正面図である。
【0025】
乗り場行き先階登録装置2は、その入力状況や行き先階登録後のエレベータ号機の割り当て結果その他の案内を表示する出力部6(出力表示部)、行き先階を登録する際に押されることになる複数の階床ボタン7、行き先階の登録を行う利用者が身障者である場合に押されるように割り付けられた身障者通知ボタン8などを有している。乗り場行き先階登録装置2は、このほか、出力部6に表示する内容等を音声で出力する音声出力部を備えていてもよい(乗り場行き先階登録装置2に内蔵されているため、図示していない。)。また、出力部6に表示する代わりに、音声出力部からの音声のみで案内をするものであってもよい。
【0026】
また、カメラ5aは、利用者が階床ボタン7又は身障者通知ボタン8を押す前に、乗り場行き先階登録装置2に接近する段階における画像を取得するものであってもよい。その場合、その画像の情報から利用者が身障者かどうかを判別してもよい。身障者かどうかの判別基準は、車椅子の車輪、利用者が持っている杖等である。判別は、取得した画像(動画)を解析することにより行うことができる。
【0027】
さらに、利用者が乗り場行き先階登録装置2から離れた後の画像を、主として、カメラ5bから取得し、この画像の情報から利用者が身障者かどうかを判定してもよい。
【0028】
なお、乗り場行き先階登録装置2は、図示のものに限らず種々の構成を採用することができる。
【0029】
図3は、図1の複数のエレベータ号機を制御する群管理システムを示すブロック構成図である。
【0030】
図3に示す群管理システムは、受信部9と、身障者対応処理部11と、健常者対応処理部10と、エレベータ号機割当部16と、記憶部19と、演算部20と、乗り場各部制御部18と、エレベータ号機制御盤21と、を備えている。身障者対応処理部11は、身障者操作判定部12と、誤操作判定部13と、登録データ格納部14と、登録データ学習部15と、を含む。身障者対応処理部11は、身障者通知ボタン8からの信号が受信部9に入力された場合に作動し、身障者であることを考慮した処理を行う。
【0031】
受信部9は、乗り場行き先階登録装置2の階床ボタン7及び身障者通知ボタン8から信号(通知信号)を受け、身障者操作判定部12に伝えるようになっている。また、カメラ5a、5bで撮影した画像は、誤操作判定部13に送られる。
【0032】
通常の制御においては、受信部9において階床ボタン7の操作信号を取り込み、健常者対応処理部10によるエレベータ号機の割り当て処理が行われ、それに関連して乗り場各部制御部18が到着灯3や出力案内装置4などの制御信号を発信するようになっている。
【0033】
身障者操作判定部12は、身障者通知ボタン8からの信号に基づいて利用者が身障者であることを判定する。そして、エレベータ号機割当部16及び誤操作判定部13に身障者信号を出力する。
【0034】
誤操作判定部13は、身障者操作判定部12が身障者であると判定した場合に、カメラ5a、5bから操作している利用者に関する画像データを取得し、画像データを処理することにより、操作している利用者が健常者か身障者かを判定する。さらに、身障者であると判定した場合には、画像データを処理することにより、操作している身障者の属性(車椅子使用者、松葉杖使用者、視覚障害者など)を検出する。なお、カメラ5a、5bは、赤外線センサや距離測定センサなどの各種センサを用いてもよい。
【0035】
誤操作判定部13は、登録データ格納部14から情報を受け、判定処理に使用することができるようになっている。登録データ格納部14は、身障者に関連する登録データを予め格納している。登録データ学習部15は、登録データ格納部14の身障者に関連する登録データを群管理エレベータの使用状況に応じて更新するためのデータを収集する。
【0036】
誤操作判定部13は、身障者操作判定部12から身障者信号を受けたとき、後述するタイミングでカメラ5a、5bの画像データを取得し、画像解析処理を行って利用者が身障者か健常者かを判定してエレベータ号機割当部16に信号を送信する。
【0037】
エレベータ号機割当部16は、身障者操作判定部12から身障者信号を受けたときは身障者対応の割当処理を行い、ドア開閉時間調整部17を通してエレベータ号機制御盤21に身障者に対応したドア開延長時間となるように指令信号を与える。また、エレベータ号機割当部16は、所定のタイミングで誤操作判定部13からの追加信号を取得する。エレベータ号機割当部16は、身障者操作判定部12に続いて誤操作判定部13からの同じ身障者としての継続信号を受けたとき、身障者対応を継続する。しかし、誤操作判定部13から健常者としての解除信号を受けたときは、ドア開閉時間調整部17から身障者対応のドア開延長時間を取り消し、健常者対応とする指令信号を、既に割り当てられているエレベータ号機のエレベータ号機制御盤21に送る。
【0038】
よって、ドア開閉時間調整部17は、乗り場ドアが開いている時間の延長及び短縮をすることができる。
【0039】
乗り場各部制御部18は、エレベータ号機割当部16で割り当てたエレベータ号機の信号を出力部6に送る。
【0040】
記憶部19は、上述の身障者対応処理及び健常者対応処理を含む制御プログラムや学習データを格納している。演算部20は、号機割当処理プログラムに従って各部を制御するための制御信号を算出する。
【0041】
なお、制御装置は、本図に示す身障者操作判定部12と、誤操作判定部13と、登録データ格納部14と、登録データ学習部15と、を含むものであり、さらに、受信部9、健常者対応処理部10、乗り場各部制御部18、記憶部19、演算部20及びエレベータ号機割当部16を含んでいてもよい。ドア開閉時間調整部17及びエレベータ号機制御盤21は、制御装置に含まれるものであってもよいし、制御装置とは別の装置として配置されていてもよい。
【0042】
上述した誤操作判定部13は、種々の構成を採用することができるが、ここでは、乗り場各部制御部18により出力部6に割り当てられたエレベータ号機が通知された後、乗り場行き先階登録装置2から移動を始めて割り当てられたエレベータ号機近傍にまで移動する利用者を撮影したカメラ5a、5bからの画像データを取得し、画像解析を行い、その実測移動時間を抽出する。その後、誤操作判定部13は、登録データ格納部14内に予め格納されている身障者に対応した移動時間データを取得し、この移動時間データと、先の実測移動時間とを比較する。比較の結果、実測移動時間の方が長い場合、誤操作はなく、利用者は身障者と判定し、エレベータ号機割当部16に身障者対応としての継続信号を出力する。これを受けたエレベータ号機割当部16は、先の決定を変えることはない。しかし、移動時間データと先の実測移動時間とを比較した結果、実測移動時間の方が短い場合、誤操作すなわち健常者と判定し、エレベータ号機割当部12に健常者としての解除信号を出力する。
【0043】
図4は、図3の群管理システムの身障者対応プログラムにおける処理手順を示すフローチャートである。以下では、図1〜3の符号も付記して説明する。
【0044】
群管理システムは、乗り場行き先階登録装置2を監視している。乗り場行き先階登録装置2の身障者通知ボタン8が押され、次に、乗り場行き先階登録装置2の階床ボタン7が押されたとする。
【0045】
身障者操作判別部12は、群管理制御装置の受信部9を通して信号を受けたとき、身障者による行き先階登録が行われたと判別し、身障者対応処理が開始される(ステップS1)。
【0046】
身障者操作判別部12は、誤操作判定部13とエレベータ号機割当部16とに身障者信号を送信する(ステップS2)。これを受けたエレベータ号機割当部16は、身障者を考慮しながらふさわしいエレベータ号機の割当処理を行う(ステップS3)。一方、身障者信号を受けた誤操作判定部13は、所定のタイミングになるまで待機状態となる(ステップS4)。
【0047】
エレベータ号機割当部16は、割当処理を完了すると、乗り場各部制御部18を通して乗り場行き先階登録装置2の出力部6に割り当てた号機情報を表示または音声で出力して、利用者に通知する(ステップS5)。次いで、誤操作判定部13は、登録データ格納部14から予め格納されている身障者に対応する登録移動時間を抽出する(ステップS6)。
【0048】
一方、誤操作判定部13は、例えばエレベータ号機割当部16から出力部6への通知信号を受けたとき、ステップS7で所定のタイミングに達したと判定する(ステップS7)。乗り場のカメラ5から画像データを取得し、この画像データを画像解析処理することにより、乗り場行き先階登録装置2から所定の位置までに達するまでの実測移動時間を抽出する(ステップS8)。この画像データは、乗り場行き先階登録装置2の出力部6を見てから割り当てられたエレベータ号機近傍へと移動して行く利用者の情報が含まれている。
【0049】
その後、誤操作判定部13は、登録移動時間と実測移動時間とを比較する(ステップS9)。
【0050】
実測移動時間が登録移動時間以上である場合、利用者が身障者と最終判断し、身障者対応の継続信号をエレベータ号機割当部16に送信する(ステップS10)。これを受けたエレベータ号機割当部16は、ドア開閉時間調整部17に調整信号を送ることなく継続状態とする。
【0051】
一方、ステップS9の比較で、登録移動時間よりも実測移動時間が短い場合、利用者が健常者であると最終判断し、身障者対応の解除信号をエレベータ号機割当部16に送信する(ステップS11)。これを受けたエレベータ号機割当部16は、ドア開閉時間調整部17を通してエレベータ号機制御盤21にドア開延長時間を解除して健常者対応に戻す調整指令信号を送る。エレベータ号機制御盤21では、指令信号に基づいてドア開延長時間など身障者対応部分のうち現時点で調整可能なものを解除する。
【0052】
なお、ステップS9の比較で、誤操作判定部13は、登録移動時間と実測移動時間とを比較したが、関連する他の要素、例えば移動速度や画像データ解析処理によって身障者の特徴、つまり車椅子、杖、松葉杖などの特徴が検出されるかどうかに置き換えても同様の効果を得ることができる。
【0053】
このような群管理エレベータは、乗り場行き先階登録装置2でのいたずらや間違いなどの誤操作を、エレベータ号機の割り当て結果を乗り場行き先階登録装置2の出力部6へ通知した後の利用者の移動に関するデータと、登録データ格納部14に予め格納した身障者データとを比較することにより判定するようにしているため、乗り場行き先階登録装置2での操作を複雑にすることなく、確実に検出することができる。この検出によって誤操作と判定された場合、割り当てられたエレベータ号機のドア開放延長信号を無効にし、健常者対応をしているため、誤操作によってドア開放延長することなく群管理エレベータの効率的な運転を行うことができる。また、誤操作でないと判定された場合、身障者対応を継続するため、身障者に優しいサービスを提供することができる。
【0054】
また、図3に示すように、登録データ学習部15によって群管理エレベータの実際の運用における移動時間データを蓄積し、登録データ格納部14に置き換えることができる。このため、登録データ格納部14に格納した登録移動時間データは一層現実的なものとなり、身障者と判別する精度を高めることができる。
【実施例2】
【0055】
図5は、他の実施例のエレベータの乗り場を示す模式構成図である。
【0056】
本図においては、乗り場ドア111a、111b、111cの手前に乗り場行き先階登録装置2が設置されている。乗り場行き先階登録装置2は、詳細を強調するために拡大して表している。
【0057】
実施例1においては、乗り場行き先階登録装置2の身障者通知ボタン8及び身障者操作判定部12によって、行き先階登録操作を行っている利用者が身障者と判定する身障者対応処理部11を構成しているが、本実施例で身障者22に予め行き先階登録用のICカード、携帯端末装置、又は、これらに類する身障者証明用携行品23を所持させている。この身障者証明用携行品23を乗り場行き先階登録装置2の検出部24で検出したときに、行き先階登録操作を行っている利用者が身障者であると判定する身障者対応処理部11を構成している。なお、身障者証明用携行品23の代わりに、カメラ5a、5bで撮影した虹彩、カメラ5a、5b又は検出部24で撮影した指紋などの生体情報であってもよい。本発明においてカメラ5a、5b又は検出部24は、「画像取得部」として機能するものであってもよい。
【0058】
身障者証明用携行品23として利用する場合、図3に示す身障者対応処理部11に、身障者証明用携行品23の固有情報毎に身障者属性や階床などの個人データを関連付けて格納した個人データ格納部を追加し、乗り場行き先階登録装置2で当該固有情報を検出したときに、これらの個人データを抽出するように構成することもできる。
【0059】
したがって、身障者対応処理部11は、乗り場行き先階登録装置2で身障者証明用携行品23などの固有情報を検出したときに利用者が身障者であると判定する装置として活用するだけでなく、固有情報に対応する個人データを読み出して予め登録した行き先階を登録する乗り場行き先階登録装置として利用することもできる。
【0060】
また、身障者証明用携行品23などの固有情報を検出したとき、誤操作判定部13による処理が行われないように無効信号を与えてもよいし、行き先階ボタン7や身障者通知ボタン8の操作を省略しても良い。さらに、固有情報から個人データである移動時間データを選択してもよい。
【0061】
尚、本発明は、上述した実施例に限定するものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。またある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1、2:乗り場行き先階登録装置、3:到着灯、4:出力案内装置、5a、5b:カメラ、6:出力部、7:階床ボタン、8:身障者通知ボタン、9:受信部、10:健常者対応処理部、11:身障者対応処理部、12:身障者操作判定部、13:誤操作判定部、14:登録データ格納部、15:登録データ学習部、16:エレベータ号機割当部、17:ドア開閉時間調整部、18:乗り場各部制御部、19:記憶部、20:演算部、21:エレベータ号機制御盤、22:身障者、23:身障者証明用携行品、24:検出部、26:身障者証明用携行品検出部、27:無効信号、101a、101b、101c、101d、111a、111b、111c:乗り場ドア。
図1
図2
図3
図4
図5