【解決手段】テラス屋根1は、複数の支柱と、建物2の壁面2Aから隙間を介して配置される屋根20と、隙間塞ぎ材30とを備える。屋根20の第1枠材23は、上方に突出した係止片部231と、壁面2Aに対向する側面232に形成された被係合部233とを備える。隙間塞ぎ材30は、シート状の塞ぎ材本体31と、塞ぎ材本体31の下面から突設された第1突片部32と、塞ぎ材本体31の下面から突設されて第1突片部32よりも下方まで延長された第2突片部33と、第2突片部33に形成された係合部34とを備える。係止片部231は、第1突片部32および第2突片部33間に配置され、第2突片部33は側面232に沿って配置され、係合部34は被係合部233に係合される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記独立構造体では、施工現場において、屋根の端部枠に閉鎖部材の取付枠および中間金具を取り付けるために、端部枠に係止した中間金具および端部枠にねじをねじ込んで固定しなければならない。このねじ締め作業は、屋根の端部枠と建物の壁面との間の狭い空間である揺動撓み空隙に、ねじ締め用の工具を配置して作業しなければならず、施工作業性が低下する。
さらに、閉鎖部材が破損、劣化して交換する場合は、工具等を用いて前記ねじを外して前記取付枠および中間金具を端部枠から取り外し、新しい閉鎖部材に前記取付枠および中間金具を嵌合し、さらに前記取付枠および中間金具を端部枠に係止してねじを締めて固定しなければならず、施工作業性が低下する。
【0006】
本発明の目的は、独立構造体と建物の壁面との隙間を塞ぐ隙間塞ぎ材の取付作業および取外作業を容易に行うことができる独立構造体および隙間塞ぎ材の取付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の独立構造体は、複数の支柱と、前記支柱に支持され、かつ、建物の壁面から隙間を介して配置される屋根と、前記屋根に取り付けられて、前記建物の壁面に当接し前記隙間を塞ぐ隙間塞ぎ材とを備え、前記屋根は、前記建物の壁面に沿って配置される枠材を有し、前記枠材は、前記枠材の上面から上方に突出した係止片部と、前記建物の壁面に対向する側面に形成された被係合部とを備え、前記隙間塞ぎ材は、シート状の塞ぎ材本体と、前記塞ぎ材本体の下面から突設された第1突片部と、前記塞ぎ材本体の下面から突設されて前記第1突片部よりも前記建物の壁面側に配置され、前記第1突片部よりも下方まで延長された第2突片部と、前記第2突片部に形成された係合部とを備え、前記係止片部は、前記第1突片部および第2突片部間に配置され、前記第2突片部は、前記枠材の側面に沿って配置され、前記係合部は、前記被係合部に係合されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、隙間塞ぎ材の第1突片部および第2突片部間に、屋根の枠材の係止片部を配置させ、さらに、第2突片部に形成された係合部を枠材の被係合部に係合することで、隙間塞ぎ材を屋根の枠材に取り付けることができる。このため、隙間塞ぎ材を枠材にねじ止めする必要が無いため、独立構造体の支柱および屋根を施工した後でも、隙間塞ぎ材を屋根の枠材に容易に取り付けることができる。また、隙間塞ぎ材を交換のために取り外す場合も、ねじ止めされていないので、容易に取り外すことができる。したがって、隙間塞ぎ材の取付作業および取外作業を容易に行うことができる。
【0009】
また、隙間塞ぎ材のねじ止めが不要であるため、ねじ止め用の工具を使用する必要が無い。このため、屋根および建物の壁面間の狭い隙間においても、施工作業者は隙間塞ぎ材を枠材部分に持ち上げて容易に取付作業を行うことができる。
さらに、第1突片部および第2突片部間の隙間に係止片部に配置することで、隙間塞ぎ材を係止することができる。このため、係合部を被係合部に係合させる際に、施工作業者は隙間塞ぎ材を両手で保持している必要が無く、一人の作業者でも隙間塞ぎ材の取付作業を行うことができる。
【0010】
本発明の独立構造体において、前記第2突片部は、前記係合部よりも下方に延長された把持部を備えることが好ましい。
本発明によれば、第2突片部が把持部を備えているので、施工作業者は第2突片部の把持部を把持して隙間塞ぎ材を持ち上げることができる。このため、隙間塞ぎ材の持ち上げ作業を容易に行うことができる。
さらに、第2突片部が係合部よりも下方に延長されているので、第2突片部の把持部を枠材の側面に当接させることで、隙間塞ぎ材の回転を規制することができる。
【0011】
本発明の独立構造体において、前記枠材は、押出形材で構成され、前記被係合部は、前記枠材の側面に開口された凹条溝で構成され、前記係合部は、前記凹条溝内に挿入されて係合される突起部で構成されていることが好ましい。
本発明によれば、枠材を押出形材で構成したので、枠材の側面に開口する凹条溝を押出成形時に同時に形成できる。このため、被係合部を後から穴開け加工などで形成する場合に比べて、製造工程を少なくでき、製造コストも低減できる。
係合部も凹条溝内に係合する突起部で構成すればよいので、容易に製造できる。さらに、突起部を凹条溝内に押し込むことで、係合部を被係合部に係合できるので、係合作業を容易に行うことができる。
【0012】
本発明の独立構造体において、前記塞ぎ材本体の建物の壁面側の先端部は、前記建物の壁面に当接して上方に向かって配置され、前記塞ぎ材本体の下面において、前記建物の壁面に近接した位置には、水切片部が下方に向かって突設されていることが好ましい。
本発明によれば、塞ぎ材本体の先端部を上方に湾曲させた状態で建物の壁面に当接させているので、塞ぎ材本体の先端部が下方に垂れ下がることを容易に防止できる。
さらに、水切片部が突設されているので、建物の壁面および塞ぎ材本体間に浸入し、塞ぎ材本体の裏面を伝わって流れる雨水を、水切片部で下方に落下させることができる。このため、壁面に沿って雨水を落下させることができ、雨水が落下する位置を壁面近傍に限定できる。
【0013】
本発明の独立構造体において、前記隙間塞ぎ材は、合成樹脂成形品で構成されていることが好ましい。
本発明によれば、隙間塞ぎ材の塞ぎ材本体、第1突片部、第2突片部、係合部を、合成樹脂で一体に成形できるので、取付枠や中間金具などを別途用意する必要が無く、コストを低減できる。
【0014】
本発明は、複数の支柱と、前記支柱に支持され、かつ、建物の壁面から隙間を介して配置され、前記建物の壁面に沿って配置される枠材を有する屋根と、を備える独立構造体に、前記建物の壁面に当接し前記隙間を塞ぐ隙間塞ぎ材を取り付ける隙間塞ぎ材の取付方法であって、前記枠材は、前記枠材の上面から上方に突出した係止片部と、前記建物の壁面に対向する側面に形成された被係合部とを備え、前記隙間塞ぎ材は、シート状の塞ぎ材本体と、前記塞ぎ材本体の下面から突設された第1突片部と、前記塞ぎ材本体の下面から突設されて前記第1突片部よりも前記建物の壁面側に配置され、前記第1突片部よりも下方まで延長された第2突片部と、前記第2突片部に形成された係合部とを備え、前記隙間塞ぎ材の前記第1突片部および第2突片部間に前記係止片部を配置させ、前記第2突片部を前記枠材の側面に沿った状態にして、前記係合部を前記被係合部に係合することを特徴とする。
本発明によれば、前記独立構造体と同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、独立構造体と建物の壁面との隙間を塞ぐ隙間塞ぎ材の取付作業および取外作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜3において、テラス屋根1は、建物1階のテラス窓の外側に設けられたテラスを覆う屋根であり、建物2の壁面2Aに固定されていない独立構造体である。
独立構造体であるテラス屋根1は、建物2の壁面2Aに沿って間隔を空けて立設される一対の支柱10と、支柱10に支持される屋根20と、建物2の壁面2Aに当接し屋根20と壁面2Aとの間の隙間を塞ぐ隙間塞ぎ材30とを備えている。
【0018】
支柱10は、アルミ製で断面矩形とされた中空の押出形材によって形成されている。このような支柱10は、地中に設けられる独立した基礎Fに下端が埋設された状態で立設されている。
【0019】
屋根20は、支柱10の上端に固定された梁21と、梁21に支持される屋根フレーム22と、屋根フレーム22に保持される屋根葺き材28とを備えている。
前記梁21は、支柱10に対して建物2の壁面2A側の端部が上方に、他方の端部が下方となるように斜めに傾斜された状態で取り付けられている。梁21は、アルミ製で断面矩形とされた中空の押出形材によって形成されている。
【0020】
屋根フレーム22は、前記壁面2Aに対して所定の隙間寸法を介して配置された壁側の第1枠材23と、壁から最も離れた位置に配置された第2枠材24と、第1枠材23および第2枠材24間に並行に配置された中間枠材25と、各枠材23〜25の長手方向端面に当接して固定された左右の側枠材26と、左右の側枠材26間に並行に配置されて前記各枠材23〜25上に載置固定された複数の保持枠27とを備えている。
第1枠材23、第2枠材24、中間枠材25は、壁面2Aに平行に配置され、前記梁21上に載置されてネジで固定されている。
側枠材26および保持枠27は、屋根20の傾斜方向に沿って、つまり壁面2Aに直交する方向に沿って配置され、前記各枠材23〜25上に載置されてネジで固定されている。
屋根葺き材28は、ポリカーボネート板や熱線遮断ポリカーボネート板で構成され、前記屋根フレーム22に保持されている。
【0021】
このような屋根20は、屋根面が梁21に沿って傾斜した片流れ屋根として形成されている。つまり、屋根20は、建物2の壁面2A側の第1枠材23が高く、第2枠材24側が低くなるように傾斜されている。
【0022】
屋根20の第2枠材24には軒樋が取り付けられ、一方の支柱10には前記軒樋に連結する竪樋が取り付けられている。これらの軒樋、竪樋によって雨樋40が構成されている。このような雨樋40の構成は周知であるため、説明を省略する。
【0023】
[第1枠材の構成]
屋根20の第1枠材23は、
図4、5に示すように、第1枠材23の上面から上方に突出した係止片部231と、前記建物2の壁面2Aに対向する側面232に形成された被係合部233とを備える。
係止片部231は、前記側面232の延長線上に配置され、上端は壁面2Aから離れる方向つまり第2枠材24側に向かう方向に折曲されている。
側面232は、前記係止片部231の下端部から連続して形成され、下方に向かうにしたがって壁面2Aから離れるように湾曲されている。
被係合部233は、側面232に開口され、側面232の長手方向に連続する凹条溝で形成されている。すなわち、被係合部233は、互いに近接する方向に突設された一対の突出片部2331と、突出片部2331の基端部に連続するコ字状の区画部2332とで囲まれた凹条溝である。
なお、第1枠材23および第2枠材24は、アルミニウムなどの金属製の押出形材であり、第1枠材23は
図4に示す断面形状で連続して形成されている。従って、係止片部231、側面232、被係合部233も第1枠材23の長手方向に沿って連続して形成されている。
【0024】
[隙間塞ぎ材]
隙間塞ぎ材30は、シート状の塞ぎ材本体31と、前記塞ぎ材本体31の下面から突設された第1突片部32と、前記塞ぎ材本体31の下面から突設されて前記第1突片部32よりも前記建物2の壁面2A側に配置され、前記第1突片部32よりも下方まで延長された第2突片部33と、前記第2突片部33に形成された係合部34とを備える。
【0025】
塞ぎ材本体31は、平面矩形シート状に形成されている。塞ぎ材本体31の長辺側は、前記壁面2Aおよび第1枠材23に平行に配置され、その長さ寸法は、第1枠材23の長手方向の寸法つまり屋根20の幅寸法に応じて設定されている。
塞ぎ材本体31の短辺側は、前記壁面2Aおよび第1枠材23に直交する方向に沿って配置されている。そして、塞ぎ材本体31の短辺方向の長さ寸法は、前記壁面2Aおよび第1枠材23間の隙間寸法よりも大きく設定されている。
ここで、壁面2Aおよび第1枠材23間の隙間寸法は、テラス屋根1が風などで揺れた場合でも、第1枠材23が壁面2Aにぶつかることがない寸法に設定すればよい。そして、塞ぎ材本体31の短辺方向の長さ寸法は、テラス屋根1が揺れた場合に、塞ぎ材本体の先端部311が壁面2Aから離れて下方に落ちることがない寸法に設定すればよい。
例えば、前記壁面2Aおよび第1枠材23間の隙間寸法が100mm程度であれば、塞ぎ材本体31の短辺方向の長さ寸法は、130〜160mm程度に設定されている。
【0026】
塞ぎ材本体31の第1枠材23側の端縁の近傍には、塞ぎ材本体31の下面から下方に第1突片部32が突設されている。第1突片部32は、塞ぎ材本体31の長辺方向に沿って連続して形成されている。
第1突片部32の突出寸法は、第1枠材23の係止片部231の突出寸法とほぼ同じ寸法に設定されている。
【0027】
塞ぎ材本体31の下面には、第1枠材23に並行に配置された第2枠材24が突設されている。
第2突片部33は、第1突片部32の壁面2A側の位置から突設されている。このため、第1突片部32および第2突片部33間には凹溝が形成され、この凹溝部分に前記係止片部231が配置可能とされている。
第2突片部33は、第1突片部32よりも下方まで延長されて形成されている。本実施形態では、第2突片部33の突出寸法は、第1突片部32の突出寸法の約3倍程度とされている。
第2突片部33は、係止片部231および側面232に沿って配置され、係止片部231および側面232に当接している。
【0028】
第2突片部33の第1枠材23側の面には、係合部34が形成されている。係合部34は、第2突片部33の側面から突設された断面矢印状のアンカークリップ(突起部)で構成され、隙間塞ぎ材30の全長に渡って形成されている。すなわち、係合部34は、係合部34の先端部から基端部側に斜めに延長された一対の爪部341を備え、この爪部341が前記被係合部233内に押し込まれ、爪部341の先端が突出片部2331に当接することで係合されている。なお、被係合部233の奥行き寸法は、被係合部233内に押し込まれた係合部34の先端が区画部2332に当接しない寸法に設定されている。すなわち、係合部34の先端が区画部2332に当接すると、係合部34全体を被係合部233内に押し込むことができない可能性があるためである。
そして、第2突片部33の係合部34が形成された位置から下方の部分、つまり第2突片部33の先端側で、施工作業者が把持する把持部331が構成されている。
【0029】
隙間部分に隙間塞ぎ材30を配置する際に、
図4に示すように、塞ぎ材本体31の壁面2A側の先端部311を、壁面2Aに沿って上方に向かって湾曲させた状態で配置している。
この際、塞ぎ材本体31の下面において、前記壁面2Aに近接する部分には、下方に向かって水切片部35が突設されている。水切片部35が設けられているため、壁面2Aおよび隙間塞ぎ材30間から浸入した雨水などが、塞ぎ材本体31の下面を伝わって流れても、前記水切片部35の先端から壁面2Aに沿って落下させることができる。
【0030】
このような構造の隙間塞ぎ材30は、熱可塑性エラストマー等の合成樹脂で成形された合成樹脂成形品である。
【0031】
[テラス屋根の施工手順]
以下、テラス屋根1の施工手順について説明する。
先ず、施工現場にて支柱10、屋根20を施工して独立構造体であるテラス屋根1を施工する。テラス屋根1の施工手順は、例えば、施工現場で支柱10,梁21、屋根フレーム22を組み立てた後、基礎Fの打設に併せて支柱10を立設する。基礎Fが固まった後に、屋根フレーム22に屋根葺き材28を取り付けて屋根20を完成させる。
次に、隙間塞ぎ材30および雨樋40を取り付け、テラス屋根1を完成させる。
【0032】
[隙間塞ぎ材の取付手順]
次に、隙間塞ぎ材30の取付手順について
図5を参照して説明する。
施工作業者は、隙間塞ぎ材30の第2突片部33の下端部つまり把持部331を持って、隙間塞ぎ材30を屋根20の第1枠材23部分に持ち上げる。そして、
図5(A)、(B)に示すように、第1突片部32を係止片部231の裏面側(壁面2Aに対向する表面側とは反対側)に引っ掛けるように係止する。
すなわち、第1突片部32および係合部34間の隙間部分に係止片部231の上端部分を差し込み、その状態で第2突片部33を引き下げることで、
図5(B)に示すように、第1突片部32および第2突片部33間の凹溝部分に係止片部231を配置する。
【0033】
次に、施工作業者は、
図5(B)の状態から、隙間塞ぎ材30の第2突片部33を第1枠材23側に押し込み、係合部34を被係合部233内に押し込む。すると、係合部34の爪部341が突出片部2331に当接して弾性変形し、被係合部233内に移動する。これにより、
図5(C)に示すように、係合部34の爪部341が元の状態に戻って広がり、爪部341の先端が突出片部2331の内面に当接することで、係合部34が被係合部233に係合する。
また、施工作業者は、
図4に示すように、塞ぎ材本体31を、その先端部311が上方に向かうように壁面2Aに当接させる。
これにより、隙間塞ぎ材30に対して、荷重や風圧によって、先端部311が下方に向かう方向に力が加わった場合は、係止片部231を中心にして隙間塞ぎ材30は下方に回転しようとするが、第2突片部33の下端が側面232に当接することで前記回転を規制することができる。
一方で、隙間塞ぎ材30に対して、荷重や風圧によって、先端部311が上方に向かう方向に力が加わった場合は、係止片部231を中心にして隙間塞ぎ材30は上方に回転しようとするが、係合部34の爪部341が被係合部233の突出片部2331に当接することで前記回転を規制することができる。
【0034】
[隙間塞ぎ材の取外手順]
隙間塞ぎ材30を長期間使用して劣化した場合や、台風などで物がぶつかって破損した場合には、隙間塞ぎ材30を取り外して交換する必要がある。この場合、施工作業者は、第2突片部33および側面232間に治具を差し込むことで、あるいは、第2突片部33を手で掴んで、第2突片部33を側面232から離れる方向に移動する。すると、係合部34の爪部341が突出片部2331に当接し、この状態でさらに第2突片部33を移動すると、突出片部2331が係合部34の先端側に折れ曲がり、係合部34を被係合部233から外すことができる。係合部34が被係合部233から外れたら、施工作業者は、隙間塞ぎ材30を持ち上げて、
図5(A)のように、係止片部231を第1突片部32および第2突片部33間の溝から外すことで、隙間塞ぎ材30を第1枠材23から取り外すことができる。
その後、新しい隙間塞ぎ材30を前記取付手順の通りに第1枠材23に取り付けることで、隙間塞ぎ材30の交換作業を完了できる。
【0035】
[本実施形態の効果]
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)隙間塞ぎ材30の第1突片部32および第2突片部33間に、第1枠材23の係止片部231を配置させ、さらに、係合部34を第1枠材23の被係合部233に係合することで、隙間塞ぎ材30を屋根20の第1枠材23に取り付けることができる。このため、隙間塞ぎ材30を第1枠材23にねじ止めする必要が無く、支柱10および屋根20を施工した後でも、隙間塞ぎ材30を第1枠材23に容易に取り付けることができる。また、隙間塞ぎ材30を交換のために取り外す場合も、ねじ止めされていないので、容易に取り外すことができる。したがって、隙間塞ぎ材30の取付作業および取外作業を容易に行うことができる。
【0036】
(2)隙間塞ぎ材30のねじ止めが不要であるため、屋根20および建物2の壁面2A間の狭い隙間で工具を使用する必要が無い。このため、施工作業者は、狭い隙間部分でも、隙間塞ぎ材30を第1枠材23に容易に取り付けることができる。特に、第1突片部32を係止片部231に係止させ、第2突片部33の係合部34を被係合部233に押し込む作業のみで隙間塞ぎ材30を取り付けることができる。このため、施工作業者は、脚立や作業台を用意する必要が無く、取付作業性を向上できる。
(3)さらに、第1突片部32および第2突片部33間の隙間に係止片部231に配置して隙間塞ぎ材30を係止してから、係合部34を被係合部233に押し込めばよいので、係合部34を被係合部233に係合させる際に、施工作業者は隙間塞ぎ材30を両手で保持している必要が無く、一人の作業者で隙間塞ぎ材30の取付作業を行うことができる。このため、施工作業者も少なくでき、施工コストを低減できる。
【0037】
(4)施工作業者は、第2突片部33の把持部331を把持して隙間塞ぎ材30を持ち上げることができる。このため、隙間塞ぎ材30の持ち上げ作業を容易に行うことができる。
さらに、第2突片部33が係合部34よりも下方に延長されているので、第2突片部33の把持部331を第1枠材23の側面232に当接させることで、隙間塞ぎ材30の回転を規制することができる。特に、被係合部233の奥行き寸法を大きくして、係合部34の先端が区画部2332に当接しないようにしているため、第2突片部33を係合部34よりも下方に延長していない場合は、係合部34が区画部2332に当接する状態まで隙間塞ぎ材30が回転する可能性がある。これに対して、本実施形態では、第2突片部33を第2突片部33の形成位置よりも下方に延長しているので、第2突片部33が側面232に当接する状態で回転を規制することができる。
【0038】
(5)第1枠材23を押出形材で構成したので、第1枠材23の側面232に開口する凹条溝(被係合部233)を押出成形時に同時に形成できる。このため、被係合部233を後から穴開け加工などで形成する場合に比べて、製造工程を少なくでき、製造コストも低減できる。
隙間塞ぎ材30の係合部34も凹条溝内に係合する突起部で構成すればよいので、容易に製造できる。さらに、係合部34を凹条溝内に押し込むことで、係合部34を被係合部233に係合できるので、係合作業を容易に行うことができる。
【0039】
(6)塞ぎ材本体31の先端部311を上方に湾曲させた状態で建物2の壁面2Aに当接させているので、塞ぎ材本体31の先端部311が下方に垂れ下がることを容易に防止できる。
さらに、水切片部35が突設されているので、建物2の壁面2Aおよび塞ぎ材本体31間に浸入し、塞ぎ材本体31の裏面を伝わって流れる雨水を、水切片部35で下方に落下させることができる。
【0040】
(7)隙間塞ぎ材30を熱可塑性エラストマーなどの合成樹脂成形品で構成しているので、塞ぎ材本体31、第1突片部32、第2突片部33、係合部34、水切片部35を一体に成形できる。このため、隙間塞ぎ材30として、取付枠や中間金具などを別途用意する必要が無く、コストを低減できる。
【0041】
[変形例]
なお、本発明は以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
例えば、テラス屋根1を建物の入り隅部分に設置した場合には、入り隅部分の2つの壁面2Aに対向する第1枠材23および側枠材26に隙間塞ぎ材30を取り付ければよい。この場合、側枠材26も第1枠材23と同様に、係止片部231、側面232、被係合部233を備える構成とすればよい。
【0042】
前記実施形態では、第2突片部33を係合部34の下方に延長して把持部331としていたが、把持部331を設けずに第2突片部33の下端部に係合部34を形成するようにしてもよい。特に、被係合部233の形成位置が、係止片部231から離れている場合には、第2突片部33の突出寸法も長くなるため、係合部34の下方まで延長しない構成を採用できる。
【0043】
前記実施形態では、被係合部233を第1枠材23の全長に渡って形成された凹条溝で構成していたが、側面232に一定間隔で穴を形成して被係合部233を形成してもよい。この場合、隙間塞ぎ材30の係合部34も一定間隔で形成すればよい。
【0044】
本発明の隙間塞ぎ材30は、合成樹脂成形品の一体成形物に限定されず、例えば、第1突片部32、第2突片部33、係合部34を備える取付部と、シート状の本体部とを別部材で形成してもよい。
本発明の独立構造体は、テラス屋根1に限らず、自動車や自転車等を駐車するスペースを覆うものでもよい。また、公共建築物等に沿って設けられた歩道などを覆うものでもよい。要するに、建物の壁面に沿って設けられるが、建物に連結されずに独立して設置される構造体であればよい。