特開2015-224700(P2015-224700A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-224700(P2015-224700A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】防振装置の製造方法および防振装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 1/38 20060101AFI20151117BHJP
【FI】
   F16F1/38 F
   F16F1/38 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-109314(P2014-109314)
(22)【出願日】2014年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000177900
【氏名又は名称】山下ゴム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 新
(72)【発明者】
【氏名】小島 成雄
(72)【発明者】
【氏名】古屋 雅史
【テーマコード(参考)】
3J059
【Fターム(参考)】
3J059AB11
3J059AD04
3J059BA42
3J059BA73
3J059BC06
3J059EA04
(57)【要約】
【課題】ゴム弾性体の耐久性の向上を図る。
【解決手段】内筒2に中間筒3を外装し、内筒2の外周面と中間筒3の内周面とに内側ゴム弾性体5を加硫接着することで内筒側アッシー20を形成する内筒側アッシー形成工程と、内筒側アッシー20の中間筒3を縮径させる中間筒絞り工程と、外筒4の内周面に外側ゴム弾性体6を加硫接着して外筒側アッシー40を形成する外筒側アッシー形成工程と、内筒側アッシー20の中間筒3の外周面および外筒側アッシー40の外側ゴム弾性体6の内周面の少なくとも一方に接着層7を形成する接着層形成工程と、内筒側アッシー20に外筒側アッシー40を外装する組付工程と、接着層7を介して内筒側アッシー20と外筒側アッシー40とを固着する固着工程と、を備える構成とした。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内筒に中間筒を外装し、前記内筒の外周面と前記中間筒の内周面とに内側ゴム弾性体を加硫接着することで内筒側アッシーを形成する内筒側アッシー形成工程と、
前記内筒側アッシーの前記中間筒を縮径させる中間筒絞り工程と、
前記外筒の内周面に前記外側ゴム弾性体を加硫接着して外筒側アッシーを形成する外筒側アッシー形成工程と、
前記内筒側アッシーの前記中間筒の外周面および前記外筒側アッシーの前記外側ゴム弾性体の内周面の少なくとも一方に接着層を形成する接着層形成工程と、
前記内筒側アッシーに前記外筒側アッシーを外装する組付工程と、
前記接着層を介して前記内筒側アッシーと前記外筒側アッシーとを固着する固着工程と、を備えることを特徴とする防振装置の製造方法。
【請求項2】
加熱接着性の接着剤で前記接着層を形成し、
前記組付工程後に前記外筒を縮径させ、
その後、前記固着工程を加熱環境下で行うことを特徴とする請求項1に記載の防振装置の製造方法。
【請求項3】
内筒と、
前記内筒の周囲を囲む中間筒と、
前記中間筒の周囲を囲む外筒と、
前記内筒と前記中間筒との間に介装される内側ゴム弾性体と、
前記中間筒と前記外筒との間に介装される外側ゴム弾性体と、を備えた防振装置であって、
前記中間筒と前記外側ゴム弾性体との間に接着層が設けられていることを特徴とする防振装置。
【請求項4】
前記中間筒の軸方向両端部には、前記外側ゴム弾性体で覆われない領域が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の防振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振装置の製造方法および防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の防振装置として、特許文献1に開示されたものが知られている。この防振装置は、内筒と、内筒の周囲を囲む中間筒と、中間筒の周囲を囲む外筒と、を備えている。内筒と中間筒との間には内側ゴム弾性体が配置され、また、中間筒と外筒との間には外側ゴム弾性体が配置されている。この防振装置では、振動源側に内筒が接続され、被振動源側に外筒が接続される。
【0003】
防振装置の製造手順は次のとおりである。まず、内筒、中間筒および外筒をそれぞれ成形型に設置する。設置後、内筒と中間筒との間に未加硫状態の内側ゴム弾性体を注入し、また、中間筒と外筒との間に未加硫状態の外側ゴム弾性体を注入する。注入後、内側ゴム弾性体と外側ゴム弾性体に対して加硫を行う。この加硫によって、内側ゴム弾性体が内筒と中間筒とに接着し、外側ゴム弾性体が中間筒と外筒とに接着する。
このような防振装置では、1つの成形型により防振装置を製造することができるため、防振装置の生産効率を上げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−9555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の防振装置では、加硫接着後にゴム弾性体に残留する引張応力を除去するとともにおよび荷重負荷時の引張応力を低減して耐久性の向上を図る目的で、加硫接着後のゴム弾性体に対して圧縮力を付与している。一般的に、ゴム弾性体に圧縮力を付与する作業は、外筒を絞り加工して外筒を縮径することで行われている。
しかしながら、特許文献1の防振装置では、外筒の内側に中間筒が配置されているので、外筒を絞り加工しても中間筒の内側の内側ゴム弾性体が圧縮され難い。したがって、特許文献1の防振装置では、内側ゴム弾性体に引張応力が残留してしまうため、内側ゴム弾性体の耐久性を向上させ難い。
【0006】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、ゴム弾性体の耐久性の向上を図ることができる防振装置の製造方法および防振装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明の防振装置の製造方法は、内筒に中間筒を外装し、前記内筒の外周面と前記中間筒の内周面とに内側ゴム弾性体を加硫接着することで内筒側アッシーを形成する内筒側アッシー形成工程と、前記内筒側アッシーの前記中間筒を縮径させる中間筒絞り工程と、前記外筒の内周面に前記外側ゴム弾性体を加硫接着して外筒側アッシーを形成する外筒側アッシー形成工程と、前記内筒側アッシーの前記中間筒の外周面および前記外筒側アッシーの前記外側ゴム弾性体の内周面の少なくとも一方に接着層を形成する接着層形成工程と、前記内筒側アッシーに前記外筒側アッシーを外装する組付工程と、前記接着層を介して前記内筒側アッシーと前記外筒側アッシーとを固着する固着工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明では、内筒、中間筒および内側ゴム弾性体からなる内筒側アッシーと、外筒および外側ゴム弾性体からなる外筒側アッシーとを別々に成形し、両アッシーを組み合わせる前に、中間筒を縮径している。内筒側アッシー形成工程後の内側ゴム弾性体には、引張応力が残留するものの、中間筒を縮径することによって、引張応力を低減し、あるいは引張応力を除去して圧縮応力を発生させることができる。
このように、本発明によれば、内筒と中間筒との間に内側ゴム弾性体が配置され、中間筒と外筒との間に外側ゴム弾性体が配置される防振装置において、内側ゴム弾性体に残留する引張応力を低減あるいは除去することができるので、耐久性の向上を図ることができる。
また、外側ゴム弾性体は、その内周面が中間筒に拘束されていない状態で外筒の内周面に加硫接着されるので、引張応力が残留し難くなり、ひいては、耐久性が向上する。
【0009】
また、加熱接着性の接着剤で前記接着層を形成した場合には、前記組付工程後に前記外筒を縮径させ、その後、前記固着工程を加熱環境下で行うことが好ましい。このようにすることで、中間筒と外側ゴム弾性体との間で接着層が加圧に加えて加熱された状態になるので、内筒側アッシーと外筒側アッシーとを強固に固着することができる。また、外筒の縮径によって外側ゴム弾性体に圧縮応力を与えることも可能になり、したがって、耐久性の向上を図ることも可能になる。
【0010】
本発明の防振装置は、内筒と、前記内筒の周囲を囲む中間筒と、前記中間筒の周囲を囲む外筒と、前記内筒と前記中間筒との間に介装される内側ゴム弾性体と、前記中間筒と前記外筒との間に介装される外側ゴム弾性体と、を備えた防振装置であって、前記中間筒と前記外側ゴム弾性体との間に接着層が設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明では、接着層を介して中間筒と外側ゴム弾性体とが固着され、中間筒と外筒とが一体に組み付けられるので、接着層を有さないものに比べて、中間筒と外筒との間のねじり入力に対する剛性を向上させることができる。
また、本発明の防振装置を製造する際には、上記の製造手法を採用できる。上記の製造方法を採用すれば、各ゴム弾性体に残留する引張応力を好適に低減することができるので、耐久性の向上を図ることができる。
【0012】
また、中間筒の軸方向両端部に外側ゴム弾性体で覆われない領域を形成するのがよい。このようにすることで、中間筒の軸方向両端部において、外側ゴム弾性体の剥がれる起点を減らすことができる。したがって、耐久性が向上する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、防振装置の耐久性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る防振装置を示す斜視図である。
図2】防振装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図3】(a)は図2(a)のA−A線断面図、(b)は端部の拡大断面図である。
図4】外側ゴム弾性体が加硫接着された外筒を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
図5】(a)〜(f)は製造方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について適宜図面を参照して説明する。まず、本発明の製造方法の対象となる防振装置の構造について説明する。
本実施形態に係る防振装置1は、例えば、自動車に備わる図示しない振動源と車体フレーム(車体)との間に取り付けられる。なお、本実施形態における上下方向は、図1に示される方向を基準とする。
【0016】
防振装置1は、図1に示すように、内筒2、中間筒3、外筒4を備えて構成される。内筒2、中間筒3および外筒4は、いずれも金属製の円筒状部材で構成されている。内筒2は、中間筒3に挿入されており、中間筒3は、外筒4に挿入されている。すなわち、外筒4は、中間筒3を囲んでおり、中間筒3は、外筒4の内側において内筒2を囲んでいる。内筒2と中間筒3との間には、図2(a)、図3(a)に示すように、内側ゴム弾性体5が介装されている。また、中間筒3と外筒4との間には、外側ゴム弾性体6が介装されている。これにより、内筒2と外筒4とが弾性的に結合されている。
なお、以下の説明では、内筒2、中間筒3および内側ゴム弾性体5を一体的に組み付けてなるユニットを内筒側アッシー20と称し、外筒4および外側ゴム弾性体6を一体的に組み付けてなるユニットを外筒側アッシー40と称する場合がある。
【0017】
内筒2は、図1図2(a)、図3(a)に示すように、中心部に貫通孔2aが形成された円筒体からなり、例えば、図示しない車体フレームに取り付けられる。内筒2の軸方向の寸法は、中間筒3および外筒4の軸方向の寸法よりも大きく形成されている。内筒2の両端部は、中間筒3および外筒4の両端部から突出している。
【0018】
中間筒3は、内筒2よりも大径に形成されている。中間筒3は、内筒2よりも薄肉の円筒体からなり、内筒2の上下両端部を露出させた状態で内筒2の外周面を覆っている。中間筒3の軸方向の寸法は、外筒4の軸方向の寸法よりも大きく形成されている。中間筒3の両端部は、外筒4の両端部から突出している。
内筒2と中間筒3とは、内側ゴム弾性体5を介して連結されている。
中間筒3の軸方向両端部には、図3(a)(b)に示すように、外側ゴム弾性体6で覆われない環状の領域S1が形成されている。
【0019】
外筒4は、中間筒3よりも大径に形成されている。外筒4は、内筒2よりも薄肉の円筒体からなり、中間筒3の上下両端部を露出させた状態で中間筒3の外周面を覆っている。
中間筒3と外筒4とは、外側ゴム弾性体6を介して連結されている。
【0020】
内側ゴム弾性体5は、図2(a)、図3(a)に示すように、内筒2の外周面と中間筒3の内周面に加硫接着されており、内筒2と中間筒3とを弾性的に連結している。なお、図中符号51は、未加硫状態の内側ゴム弾性体5(内側ゴム弾性体5の素となるゴム素材)の注入路であり、図示しない金型の注入口に対応している。ここで、中間筒3の上下両端部近傍まで内側ゴム弾性体5を設ける場合には、注入路51は必ずしも設けなくてもよい。
【0021】
外側ゴム弾性体6は、中間筒3と外筒4とを弾性的に連結している。外側ゴム弾性体6は、外筒4の内周面に対して加硫接着されており、また、中間筒3の外周面に対して接着層7を介して接着されている。本実施形態では、内側ゴム弾性体5と外側ゴム弾性体6とで特性を異ならせている。内側ゴム弾性体5と外側ゴム弾性体6とは、後記する2色成形により成形される。
外側ゴム弾性体6は、図4(a)(b)に示すように、肉薄部6eと、肉厚部6cと、これらの境界部分となる段差部6bと、を有している。肉薄部6eは、図3(b)に示すように、中間筒3の外周面(接着層7)に対して間隔を空けて対向配置される。また、肉厚部6cは、接着層7(図3(b)参照)に接触している。つまり、中間筒3の外周面の高さ方向中間部分は、外側ゴム弾性体6の肉厚部6cによって覆われるが、その上下の部分(領域S1、肉薄部6eに対向する部分)は、外側ゴム弾性体6で覆われない。
【0022】
なお、図中符号61は、未加硫状態の外側ゴム弾性体6(外側ゴム弾性体6の素となるゴム素材)の注入路であり、図示しない金型の注入口に対応している。ここで、外筒4の上下両端部近傍まで外側ゴム弾性体6を設ける場合には、注入路61は必ずしも設けなくてもよい。
【0023】
接着層7は、中間筒3の外周面に接着剤を塗布することで形成されている。なお、接着層7は、外側ゴム弾性体6の内周面に接着剤を塗布することで形成してもよい。
本実施形態では、接着剤として、熱を加えることによって接着する加熱接着性のものを採用している。具体的には、エポキシ樹脂系やアクリル樹脂系等の接着剤である。
【0024】
次に、防振装置1の製造方法について、図5各図を参照しつつ、適宜、図1図4を参照して説明する。
防振装置1の製造方法は、内筒側アッシー形成工程と、中間筒絞り工程と、外筒側アッシー形成工程と、接着層形成工程と、組付工程と、固着工程とを備えている。
【0025】
内筒側アッシー形成工程は、内筒側アッシー20を形成する工程である。内筒側アッシー形成工程では、図5(a)に示すように、まず、内筒2に中間筒3を外装した状態(中間筒3に内筒2を挿入した状態)で、内筒2および中間筒3を所定の成形型(不図示)に入れる。そして、内筒2と中間筒3との間に未加硫状態のゴム素材を注入し、従来から使用されている所定の加硫装置(不図示)によって、ゴム素材に加硫を行う。こうして、内筒2と中間筒3との間に内側ゴム弾性体5(図5では不図示)が成形される。
この内筒側アッシー形成工程を行うと、図3(a)に示すように、内筒2の外周面と中間筒3の内周面とに内側ゴム弾性体5を介設してなる内筒側アッシー20が作成される。内側ゴム弾性体5は、内筒2の外周面および中間筒3の内周面に加硫接着された状態となっている。なお、加硫接着は、加熱環境下で実施されるので、内筒側アッシー20が常温に冷却されると、内側ゴム弾性体5に引張応力(引張ひずみ)が残留する。
【0026】
内筒側アッシー20を冷却したら、中間筒絞り工程を行う。
中間筒絞り工程は、図5(b)に示すように、中間筒3を縮径する工程である。本実施形態の中間筒絞り工程では、内筒側アッシー20を図示しない縮径用治具に装着し、中間筒3を縮径する。
中間筒3を縮径すると、内側ゴム弾性体5の残留引張応力が低減あるいは除去される。なお、本実施形態では、内側ゴム弾性体5の残留引張応力を除去するだけでなく、内側ゴム弾性体5に圧縮応力を付与する。
【0027】
外筒側アッシー形成工程は、外筒側アッシー40を形成する工程である。なお、外筒側アッシー形成工程は、内筒側アッシー形成工程とは別に実施される工程である。どちらの工程を先に行ってもよいし、両工程を並行して行ってもよい。
外筒側アッシー形成工程では、図5(d)に示すように、外筒4の内周面に外側ゴム弾性体6を加硫接着する。具体的には、まず、外筒4の中に所定の成形型(不図示)を挿入する。そして、外筒4の内周面と成形型の外周面との間に未加硫状態のゴム素材を注入し、従来から使用されている所定の加硫装置(不図示)によって、ゴム素材に加硫を行う。その後、成形型を脱型すると、図4(a)に示すように、外筒4の内周面に外側ゴム弾性体6が配置された外筒側アッシー40が作成される。外側ゴム弾性体6は、外筒4の内周面に加硫接着された状態となっている。
ここで、外側ゴム弾性体6は、その内周面が開放される状態で外筒4に接着されるので、冷却しても引張応力が残留し難い。
【0028】
接着層形成工程は、内筒側アッシー20の中間筒3の外周面および外筒側アッシー40の外側ゴム弾性体6の内周面の少なくとも一方に接着層を形成する工程である。本実施形態では、図5(c)に示すように、中間筒3の外周面に接着剤を塗布し、接着層7を形成する。
【0029】
接着層7が形成された内筒側アッシー20と、外筒側アッシー40とが準備できたら、組付工程を行う。
組付工程は、内筒側アッシー20に外筒側アッシー40を外装する工程である。すなわち、組付工程は、図5(e)に示すように、外筒側アッシー40の内部に、接着層7が形成された内筒側アッシー20を挿入(軽圧入)する工程である。
【0030】
組付工程を行ったら、固着工程を行う。固着工程では、図5(f)に示すように、縮径用治具(図示略)に装着して外筒4を縮径する。外筒4を縮径することで、外側ゴム弾性体6に残留する引張応力が除去される一方で、圧縮応力が付与される。
本実施形態では、加熱接着性の接着剤を使用しているので、組み合わされた内筒側アッシー20および外筒側アッシー40は、所定の温度に保たれた図示しない恒温槽中に所定時間入れて加熱処理する。接着層7は、中間筒3と外側ゴム弾性体6とに挟まれて加圧されているので、中間筒3の外周面と外側ゴム弾性体6の内周面とが接着層7を介して強固に接着される。
以上の工程を経て、内筒側アッシー20と外筒側アッシー40とが一体化された防振装置1が製造される。
【0031】
以上説明した本実施形態の防振装置1の製造方法によれば、内筒2、中間筒3および内側ゴム弾性体5からなる内筒側アッシー20と、外筒4および外側ゴム弾性体6からなる外筒側アッシー40とを別々に成形し、両アッシーを組み合わせる前に、中間筒3を縮径している。内筒側アッシー形成工程後の内側ゴム弾性体5には、引張応力が残留するものの、中間筒3を縮径することによって、引張応力を低減し、あるいは引張応力を除去して圧縮応力を発生させることができる。
このように、本実施形態によれば、内筒2と中間筒3との間に内側ゴム弾性体5が配置され、中間筒3と外筒4との間に外側ゴム弾性体6が配置される防振装置1において、内側ゴム弾性体5に残留する引張応力を低減あるいは除去することができるので、耐久性の向上を図ることができる。
また、外側ゴム弾性体6は、その内周面が中間筒3に拘束されていない状態で外筒4の内周面に加硫接着されるので、引張応力が残留し難くなり、ひいては、耐久性が向上する。
【0032】
また、組付工程後に外筒4を縮径させ、その後、固着工程を加熱環境下で行うので、中間筒3と外側ゴム弾性体6との間で接着層7が加圧された状態になる。これにより、内筒側アッシー20と外筒側アッシー40とを強固に固着することができる。また、外筒4の縮径によって外側ゴム弾性体6に圧縮応力を与えることも可能になり、したがって、耐久性の向上を図ることも可能になる。
【0033】
本実施形態の防振装置1では、接着層7を介して中間筒3と外側ゴム弾性体6とが固着され、中間筒3と外筒4とが一体に組み付けられるので、接着層7を有さないものに比べて、中間筒3と外筒4との間のねじり入力に対する剛性を向上させることができる。
また、本実施形態の防振装置1を製造する際には、上記の製造手法を採用できる。上記の製造方法を採用すれば、各ゴム弾性体5,6に残留する引張応力を好適に低減することができるので、耐久性の向上を図ることができる。
【0034】
また、中間筒3の軸方向両端部に外側ゴム弾性体6で覆われない領域S1が形成されているので、中間筒3の軸方向両端部において、外側ゴム弾性体6の剥がれる起点を減らすことができる。したがって、耐久性が向上する。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
前記実施形態では、内側ゴム弾性体5と外側ゴム弾性体6とで特性を異ならせたが、これに限られることはなく、内側ゴム弾性体5と外側ゴム弾性体6とで同じ特性のものを用いてもよい。
また、加熱接着性の接着剤に限られることはなく、その他、接着強度の高い接着剤であれば、種々の特性を備えた接着剤を用いることができる。
また、接着層7は、中間筒3の外周面と外側ゴム弾性体6の内周面との両方に設けてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 防振装置
2 内筒
3 中間筒
4 外筒
5 内側ゴム弾性体
6 外側ゴム弾性体
7 接着層
S1 領域
図1
図2
図3
図4
図5