特開2015-224828(P2015-224828A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-224828(P2015-224828A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20151117BHJP
   F25B 43/00 20060101ALI20151117BHJP
【FI】
   F25B49/02 520F
   F25B43/00 L
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-110070(P2014-110070)
(22)【出願日】2014年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】南 淳哉
(72)【発明者】
【氏名】岡 昌弘
(57)【要約】
【課題】レシーバを有する複数の熱源ユニットと利用ユニットとが接続されることによって構成される冷媒回路を備えた冷凍装置において、誤検知なく過充填検知を行えるようにする。
【解決手段】各レシーバ(28a、28b)には、レシーバ液面検知管(43a、43b)を接続し、各レシーバ液面検知管(43a、43b)には、ガス抜き弁(42a、42b)を設けている。そして、ここでは、過充填検知運転時に、熱源ユニット(2a、2b)間の冷媒の偏流の有無を検知するための状態量である偏流検知状態量を熱源ユニット(2a、2b)間で比較して、偏流検知状態量間の関係が非偏流条件を満たす場合に、ガス抜き弁(42a、42b)を開けてレシーバ(28a、28b)内の液面が所定位置まで達しているかどうかを検知することで、冷媒回路(10)に冷媒が過充填されているかどうかを判定する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(21a、21b)と熱源側熱交換器(24a、25a、24b、25b)とレシーバ(28a、28b)とを有する複数の熱源ユニット(2a、2b)と、利用側熱交換器(52a、52b、52c、52d)を有する利用ユニット(3a、3b、3c、3d)とが接続されることによって構成される冷媒回路(10)を備えた冷凍装置において、
前記各レシーバに、前記レシーバ内の液面が所定位置まで達しているかどうかを検知するためのレシーバ液面検知管(43a、43b)を接続し、
前記各レシーバ液面検知管に、開閉可能なガス抜き弁(42a、42b)を設け、
前記冷媒回路に冷媒が過充填されているかどうかを判定するための冷凍サイクル運転である過充填検知運転を行い、
前記過充填検知運転時に、前記複数の熱源ユニット間の冷媒の偏流の有無を検知するための状態量である偏流検知状態量を前記複数の熱源ユニット間で比較して、前記偏流検知状態量間の関係が非偏流条件を満たす場合に、前記ガス抜き弁を開けて前記レシーバ内の液面が所定位置まで達しているかどうかを検知することで、前記冷媒回路に冷媒が過充填されているかどうかを判定する、
冷凍装置(1)。
【請求項2】
前記過充填検知運転は、前記利用側熱交換器(52a、52b、52c、52d)を冷媒の蒸発器として機能させ、かつ、前記各熱源側熱交換器(24a、25a、24b、25b)を冷媒の放熱器として機能させる運転である、
請求項1に記載の冷凍装置(1)。
【請求項3】
前記偏流検知状態量は、冷媒の放熱器として機能する前記各熱源側熱交換器(24a、25a、24b、25b)の出口における冷媒の過冷却度、又は、前記過冷却度に等価な状態量である、
請求項2に記載の冷凍装置(1)。
【請求項4】
前記非偏流条件を満たすとともに、前記冷媒回路(10)のうち前記複数の熱源ユニット(2a、2b)と前記利用ユニット(3a、3b、3c、3d)とを接続する液冷媒連絡管(7)を含む前記レシーバ(28a、28b)と前記利用側熱交換器(52a、52b、52c、52d)との間の部分が液冷媒で満たされる液充満条件を満たす場合に、前記ガス抜き弁(42a、42b)を開ける、
請求項2又は3に記載の冷凍装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置、特に、圧縮機と熱源側熱交換器とレシーバとを有する複数の熱源ユニットと、利用側熱交換器を有する利用ユニットとが接続されることによって構成される冷媒回路を備えた冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1(特開2006−292212号公報)に示すように、圧縮機と熱源側熱交換器とレシーバとを有する熱源ユニットと、利用側熱交換器を有する利用ユニットとが接続されることによって構成される冷媒回路を備えた空気調和装置(冷凍装置)がある。この冷凍装置では、レシーバが所定液面まで達しているかどうかを検知するためのレシーバ液面検知管がレシーバに接続されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
冷凍装置では、上記のレシーバ液面検知管を用いて、冷媒回路に冷媒が過充填されているかどうかを判定することが考えられる。例えば、冷媒の過充填が発生しているものと判定できる液面位置にレシーバ液面検知管を接続し、この液面位置をレシーバの所定液面とする。そして、冷媒回路に冷媒が過充填されているかどうかを判定するための冷凍サイクル運転である過充填検知運転を行った際に、レシーバ液面検知管によってレシーバが所定液面まで達している場合には、冷媒の過充填が発生しているものと判定するのである。
【0004】
しかし、冷凍装置として複数の熱源ユニットを接続した構成を採用した場合には、冷媒が熱源ユニット間で偏流するおそれがあり、いずれかの熱源ユニットに冷媒が偏ると、冷媒回路に規定量の冷媒が充填されており冷媒の過充填が発生していないにもかかわらず、所定液面まで達しているレシーバを有する熱源ユニットが存在するものと判定される場合があり、冷媒が過充填されているものと誤検知するおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、レシーバを有する複数の熱源ユニットと利用ユニットとが接続されることによって構成される冷媒回路を備えた冷凍装置において、誤検知なく過充填検知を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点にかかる冷凍装置は、圧縮機と熱源側熱交換器とレシーバとを有する複数の熱源ユニットと、利用側熱交換器を有する利用ユニットとが接続されることによって構成される冷媒回路を含んでいる。各レシーバには、レシーバ内の液面が所定位置まで達しているかどうかを検知するためのレシーバ液面検知管を接続し、各レシーバ液面検知管には、開閉可能なガス抜き弁を設けている。そして、ここでは、冷媒回路に冷媒が過充填されているかどうかを判定するための冷凍サイクル運転である過充填検知運転を行い、過充填検知運転時に、複数の熱源ユニット間の冷媒の偏流の有無を検知するための状態量である偏流検知状態量を複数の熱源ユニット間で比較して、偏流検知状態量間の関係が非偏流条件を満たす場合に、ガス抜き弁を開けてレシーバ内の液面が所定位置まで達しているかどうかを検知することで、冷媒回路に冷媒が過充填されているかどうかを判定する。
【0007】
ここでは、上記のように、複数の熱源ユニットを接続した構成において、レシーバ液面検知管によって過充填検知を行うにあたり、レシーバ液面検知管のガス抜き弁を開けて過充填検知を行うタイミングを、熱源ユニット間で冷媒の偏流が発生していないとみなせる非偏流条件を満たした後にしている。
【0008】
これにより、ここでは、熱源ユニット間で冷媒の偏流が発生していない状態でレシーバ液面検知管による過充填検知を誤検知なく行うことができる。
【0009】
第2の観点にかかる冷凍装置は、第1の観点にかかる冷凍装置において、過充填検知運転が、利用側熱交換器を冷媒の蒸発器として機能させ、かつ、各熱源側熱交換器を冷媒の放熱器として機能させる運転である。
【0010】
ここでは、上記のように、過充填検知運転として、各熱源ユニットの熱源側熱交換器を冷媒の放熱器として機能させる運転を採用することで、過充填検知運転時に、多くの液冷媒を熱源側熱交換器に溜めた状態にして、各熱源ユニットのレシーバに液冷媒が極力溜まらない状態を作り出すようにしている。
【0011】
これにより、ここでは、過充填が発生していない場合で、かつ、複数の熱源ユニット間の冷媒の偏流が発生していない場合には、各熱源ユニットのレシーバの液面が所定液面よりも低い液面位置で安定した運転状態に保ち、そして、複数の熱源ユニット間の冷媒の偏流が発生した場合や過充填が発生した場合には、レシーバの液面の変化が明確に現れるようにすることができる。
【0012】
第3の観点にかかる冷凍装置は、第2の観点にかかる冷凍装置において、偏流検知状態量が、冷媒の放熱器として機能する各熱源側熱交換器の出口における冷媒の過冷却度、又は、過冷却度に等価な状態量である。
【0013】
ここでは、上記のように、各熱源ユニットの熱源側熱交換器に溜まる液冷媒の量に応じて変化が発生する各熱源側熱交換器の出口における冷媒の過冷却度、又は、過冷却度に等価な状態量を偏流検知状態量としている。
【0014】
これにより、ここでは、過充填検知運転時に、各熱源ユニットのレシーバに溜まる液冷媒の量に対して大きく影響を及ぼす各熱源ユニットの熱源側熱交換器に溜まる液冷媒の量を比較することによって、非偏流条件を満たすかどうかを正確に判定することができる。
【0015】
第4の観点にかかる冷凍装置は、第2又は第3の観点にかかる冷凍装置において、非偏流条件を満たすとともに、冷媒回路のうち複数の熱源ユニットと利用ユニットとを接続する液冷媒連絡管を含むレシーバと利用側熱交換器との間の部分が液冷媒で満たされる液充満条件を満たす場合に、ガス抜き弁を開ける。
【0016】
ここでは、上記のように、過充填検知運転時に、熱源側熱交換器と同様に多くの液冷媒が溜まる液管部分(液冷媒連絡管を含むレシーバと利用側熱交換器との間の部分)にも確実に液冷媒を溜めた状態にして、各熱源ユニットのレシーバに液冷媒が極力溜まらない状態を作り出すようにしている。
【0017】
これにより、ここでは、過充填が発生していない場合で、かつ、複数の熱源ユニット間の冷媒の偏流が発生していない場合には、各熱源ユニットのレシーバの液面が所定液面よりも低い液面位置で安定した運転状態に保ち、そして、複数の熱源ユニット間の冷媒の偏流が発生した場合や過充填が発生した場合には、レシーバの液面の変化が明確に現れるようにすることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0019】
第1の観点にかかる冷凍装置では、熱源ユニット間で冷媒の偏流が発生していない状態でレシーバ液面検知管による過充填検知を誤検知なく行うことができる。
【0020】
第2の観点にかかる冷凍装置では、過充填が発生していない場合で、かつ、複数の熱源ユニット間の冷媒の偏流が発生していない場合には、各熱源ユニットのレシーバの液面が所定液面よりも低い液面位置で安定した運転状態に保ち、そして、複数の熱源ユニット間の冷媒の偏流が発生した場合や過充填が発生した場合には、レシーバの液面の変化が明確に現れるようにすることができる。
【0021】
第3の観点にかかる冷凍装置では、過充填検知運転時に、各熱源ユニットのレシーバに溜まる液冷媒の量に対して大きく影響を及ぼす各熱源ユニットの熱源側熱交換器に溜まる液冷媒の量を比較することによって、非偏流条件を満たすかどうかを正確に判定することができる。
【0022】
第4の観点にかかる冷凍装置では、過充填が発生していない場合で、かつ、複数の熱源ユニット間の冷媒の偏流が発生していない場合には、各熱源ユニットのレシーバの液面が所定液面よりも低い液面位置で安定した運転状態に保ち、そして、複数の熱源ユニット間の冷媒の偏流が発生した場合や過充填が発生した場合には、レシーバの液面の変化が明確に現れるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明にかかる冷凍装置の一実施形態としての冷暖同時運転型空気調和装置の概略構成図(熱源ユニットについては1台だけを詳細に図示)である。
図2】本発明にかかる冷凍装置の一実施形態としての冷暖同時運転型空気調和装置の概略構成図(熱源ユニットだけを図示)である。
図3】レシーバ及びその周辺の構造を示す概略図である。
図4】通常運転モードの冷房運転における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
図5】通常運転モードの暖房運転における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
図6】通常運転モードの冷暖同時運転(蒸発負荷主体)における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
図7】通常運転モードの冷暖同時運転(放熱負荷主体)における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
図8】試運転モードの過充填検知運転のフローチャートである。
図9】試運転モードの過充填検知運転における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明にかかる冷凍装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、本発明にかかる冷凍装置の具体的な構成は、下記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0025】
(1)冷凍装置(冷暖同時運転型空気調和装置)の構成
図1は、本発明にかかる冷凍装置の一実施形態としての冷暖同時運転型空気調和装置1の概略構成図(熱源ユニット2aだけを詳細に図示)である。図2は、本発明にかかる冷凍装置の一実施形態としての冷暖同時運転型空気調和装置の概略構成図(熱源ユニット2a、2bだけを図示)である。冷暖同時運転型空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の室内の冷暖房に使用される装置である。
【0026】
冷暖同時運転型空気調和装置1は、主として、複数(ここでは、2台)の熱源ユニット2a、2bと、複数(ここでは、4台)の利用ユニット3a、3b、3c、3dと、各利用ユニット3a、3b、3c、3dに接続される接続ユニット4a、4b、4c、4dと、接続ユニット4a、4b、4c、4dを介して熱源ユニット2a、2bと利用ユニット3a、3b、3c、3dとを接続する冷媒連絡管7、8、9とを有している。すなわち、冷暖同時運転型空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、熱源ユニット2a、2bと、利用ユニット3a、3b、3c、3dと、接続ユニット4a、4b、4c、4dと、冷媒連絡管7、8、9とが接続されることによって構成されている。そして、冷暖同時運転型空気調和装置1は、各利用ユニット3a、3b、3c、3dが個別に冷房運転又は暖房運転を行うことが可能になっており、暖房運転を行う利用ユニットから冷房運転を行う利用ユニットに冷媒を送ることで利用ユニット間において熱回収を行うこと(ここでは、冷房運転と暖房運転とを同時に行う冷暖同時運転を行うこと)が可能になるように構成されている。しかも、冷暖同時運転型空気調和装置1では、上記の熱回収(冷暖同時運転)も考慮した複数の利用ユニット3a、3b、3c、3d全体の熱負荷に応じて、熱源ユニット2a、2bの熱負荷をバランスさせるように構成されている。
【0027】
<利用ユニット>
利用ユニット3a、3b、3c、3dは、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等、又は、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。利用ユニット3a、3b、3c、3dは、冷媒連絡管7、8、9及び接続ユニット4a、4b、4c、4dを介して熱源ユニット2a、2bに接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0028】
次に、利用ユニット3a、3b、3c、3dの構成について説明する。尚、利用ユニット3aと利用ユニット3b、3c、3dとは同様の構成であるため、ここでは、利用ユニット3aの構成のみ説明し、利用ユニット3b、3c、3dの構成については、それぞれ、利用ユニット3aの各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」、「c」又は「d」の添字を付して、各部の説明を省略する。
【0029】
利用ユニット3aは、主として、冷媒回路10の一部を構成しており、利用側冷媒回路13a(利用ユニット3b、3c、3dでは、それぞれ、利用側冷媒回路13b、13c、13d)を有している。利用側冷媒回路13aは、主として、利用側流量調節弁51aと、利用側熱交換器52aとを有している。
【0030】
利用側流量調節弁51aは、利用側熱交換器52aを流れる冷媒の流量の調節等を行うために、利用側熱交換器52aの液側に接続された開度調節が可能な電動膨張弁である。
【0031】
利用側熱交換器52aは、冷媒と室内空気との熱交換を行うための機器であり、例えば、多数の伝熱管及びフィンによって構成されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器からなる。ここで、利用ユニット3aは、ユニット内に室内空気を吸入して、熱交換した後に、供給空気として屋内に供給するための室内ファン53aを有しており、室内空気と利用側熱交換器32aを流れる冷媒とを熱交換させることが可能である。室内ファン53aは、室内ファンモータ54aによって駆動される。
【0032】
また、利用ユニット3aは、利用ユニット3aを構成する各部51a、54aの動作を制御する利用側制御部50aを有している。そして、利用側制御部50aは、利用ユニット3aの制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、リモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行ったり、熱源ユニット2a、2bとの間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0033】
<熱源ユニット>
熱源ユニット2a、2bは、ビル等の屋上等に設置されており、冷媒連絡管7、8、9を介して利用ユニット3a、3b、3c、3dに接続されており、利用ユニット3a、3b、3c、3dとの間で冷媒回路10を構成している。
【0034】
次に、熱源ユニット2a、2bの構成について説明する。尚、熱源ユニット2aと熱源ユニット2bとは同様の構成であるため、ここでは、熱源ユニット2aの構成のみ説明し、熱源ユニット2bの構成については、それぞれ、熱源ユニット2aの各部を示す符号末尾の添字「a」の代わりに、「b」の添字を付して、各部の説明を省略する。
【0035】
熱源ユニット2aは、主として、冷媒回路10の一部を構成しており、熱源側冷媒回路12a(熱源ユニット2bでは、熱源側冷媒回路12b)を有している。熱源側冷媒回路12aは、主として、圧縮機21aと、複数(ここでは、2つ)の熱交切換機構22a、23aと、主熱源側熱交換器としての2つの熱源側熱交換器24a、25aと予冷熱交換器35aとからなる熱源側熱交換器と、冷媒冷却器36aと、2つの熱源側熱交換器24a、25aに対応する熱源側流量調節弁26a、27aと、予冷熱交換器35a及び冷媒冷却器36aに対応する冷媒冷却側流量調節弁37aと、レシーバ28aと、ブリッジ回路29aと、高低圧切換機構30aと、液側閉鎖弁31aと、高低圧ガス側閉鎖弁32aと、低圧ガス側閉鎖弁33aとを有している。
【0036】
圧縮機21aは、ここでは、冷媒を圧縮するための機器であり、例えば、圧縮機モータ21aaをインバータ制御することで運転容量を可変することが可能なスクロール型等の容積式圧縮機からなる。
【0037】
第1熱交切換機構22aは、主熱源側熱交換器としての第1熱源側熱交換器24aを冷媒の放熱器として機能させる場合(以下、「放熱運転状態」とする)には圧縮機21aの吐出側と第1熱源側熱交換器24aのガス側とを接続し(図1及び図2の第1熱交切換機構22aの実線を参照)、第1熱源側熱交換器24aを冷媒の蒸発器として機能させる場合(以下、「蒸発運転状態」とする)には圧縮機21aの吸入側と第1熱源側熱交換器24aのガス側とを接続するように(図1及び図2の第1熱交切換機構22aの破線を参照)、熱源側冷媒回路12a内における冷媒の流路を切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。また、第2熱交切換機構23aは、主熱源側熱交換器としての第2熱源側熱交換器25aを冷媒の放熱器として機能させる場合(以下、「放熱運転状態」とする)には圧縮機21aの吐出側と第2熱源側熱交換器25aのガス側とを接続し(図1及び図2の第2熱交切換機構23aの実線を参照)、第2熱源側熱交換器25aを冷媒の蒸発器として機能させる場合(以下、「蒸発運転状態」とする)には圧縮機21aの吸入側と第2熱源側熱交換器25aのガス側とを接続するように(図1及び図2の第2熱交切換機構23aの破線を参照)、熱源側冷媒回路12a内における冷媒の流路を切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。そして、第1熱交切換機構22a及び第2熱交切換機構23aの切り換え状態を変更することによって、第1熱源側熱交換器24a及び第2熱源側熱交換器25aは、個別に冷媒の蒸発器又は放熱器として機能させる切り換えが可能になっている。
【0038】
主熱源側熱交換器としての第1熱源側熱交換器24aは、冷媒と室外空気との熱交換を行うための機器であり、例えば、多数の伝熱管及びフィンによって構成されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器からなる。第1熱源側熱交換器24aは、そのガス側が第1熱交切換機構22aに接続され、その液側が第1熱源側流量調節弁26aに接続されている。また、主熱源側熱交換器としての第2熱源側熱交換器25aは、冷媒と室外空気との熱交換を行うための機器であり、例えば、多数の伝熱管及びフィンによって構成されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器からなる。第2熱源側熱交換器25aは、そのガス側が第2熱交切換機構23aに接続され、その液側が第2熱源側流量調節弁27aに接続されている。
【0039】
予冷熱交換器35aは、冷媒と室外空気との熱交換を行うための機器であり、例えば、多数の伝熱管及びフィンによって構成されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器からなる。予冷熱交換器35aは、熱源側熱交換器の一部(すなわち、熱源側熱交換器のうち主熱源側熱交換器としての熱源側熱交換器24a、25aを除いた部分)を構成しており、圧縮機21aから吐出される高圧のガス冷媒を常時流すように熱源側冷媒回路12aに設けられている。具体的には、予冷熱交換器35aは、主熱源側熱交換器としての熱源側熱交換器24a、25aとは異なり、熱交切換機構22a、23aのような冷媒の蒸発器又は放熱器として機能させる切り換えを可能にするための機構を介することなく、そのガス側が圧縮機21aの吐出側に接続されている。すなわち、予冷熱交換器35aは、主熱源側熱交換器としての熱源側熱交換器24a、25aとは異なり、常時冷媒の放熱器として機能するようになっている。
【0040】
ここでは、第1熱源側熱交換器24aと第2熱源側熱交換器25aと予冷熱交換器35aとが一体の熱源側熱交換器として構成されている。そして、熱源ユニット2aは、ユニット内に室外空気を吸入して、熱交換した後に、ユニット外に排出するための室外ファン34aを有しており、室外空気と熱源側熱交換器24a、25a、35aを流れる冷媒とを熱交換させることが可能である。室外ファン34aは、回転数制御が可能な室外ファンモータ34aaによって駆動される。
【0041】
冷媒冷却器36aは、予冷熱交換器35aにおいて放熱した冷媒と電装品20aaとの熱交換を行うことで電装品20aaを冷却する機器であり、予冷熱交換器35aの液側、すなわち、予冷熱交換器35aの下流側に接続されている。冷媒冷却器36aは、例えば、冷媒流路が形成された金属製の部材を電装品20aaに接触させることによって構成されている。ここで、電装品20aaは、熱源ユニット2aを構成する各部を制御するための電気部品であり、後述の熱源側制御部20aを構成している。そして、冷媒冷却器36aによって冷却が必要な電装品20aaとしては、圧縮機モータ21aaを制御するためのインバータを構成するパワー素子やリアクタ等の高発熱電気部品が挙げられる。このような高発熱電気部品は、圧縮機21aの運転容量が大きくなるにつれて、発熱量が大きくなる傾向にある。尚、図1及び図2において、電装品20aaを熱源側制御部20aとは別に図示しているが、これは、冷媒冷却器36aの機能を説明するための便宜を考慮したものである。
【0042】
第1熱源側流量調節弁26aは、第1熱源側熱交換器24aを流れる冷媒の流量の調節等を行うために、第1熱源側熱交換器24aの液側に接続された開度調節が可能な電動膨張弁である。また、第2熱源側流量調節弁27aは、第2熱源側熱交換器25aを流れる冷媒の流量の調節等を行うために、第2熱源側熱交換器25aの液側に接続された開度調節が可能な電動膨張弁である。すなわち、熱源側熱交換器24a、25a、35aのうち予冷熱交換器35aを除いた部分である主熱源側熱交換器としての熱源側熱交換器24a、25aの液側に、各熱源側熱交換器24a、25aを流れる冷媒の流量を調節する熱源側流量調節弁26a、27aが接続されている。
【0043】
冷媒冷却側流量調節弁37aは、予冷熱交換器35a及び冷媒冷却器36aを流れる冷媒の流量の調節等を行うために、冷媒冷却器36aの下流側に接続された開度調節が可能な電動膨張弁である。そして、主熱源側熱交換器としての熱源側熱交換器24a、25aを冷媒の放熱器として機能させる際の熱源側流量調節弁26a、27aの下流側に、すなわち、第1熱源側熱交換器24aを冷媒の放熱器として機能させる際の第1熱源側流量調節弁26aの下流側に、かつ、第2熱源側熱交換器25aを冷媒の放熱器として機能させる際の第2熱源側流量調節弁27aの下流側に、冷媒冷却側流量調節弁37aの出口が接続されている。ここでは、冷媒冷却側流量調節弁37aの出口は、レシーバ28aの出口管28bに合流するように接続されている。
【0044】
レシーバ28aは、熱源側熱交換器24a、25aと利用側冷媒回路13a、13b、13c、13dとの間を流れる冷媒を一時的に溜めるための容器である。レシーバ28aの上部には、レシーバ入口管28aaが設けられており、レシーバ28aの下部には、レシーバ出口管28baが設けられている。また、レシーバ入口管28aaには、開閉制御が可能なレシーバ入口開閉弁28caが設けられている。そして、レシーバ28aの入口管28aa及び出口管28baは、ブリッジ回路29aを介して、熱源側熱交換器24a、25aと液側閉鎖弁31aとの間に接続されている。
【0045】
また、レシーバ28aには、レシーバガス抜き管41aが接続されている。レシーバガス抜き管41aは、レシーバ入口管28aaとは別にレシーバ28aの上部から冷媒を抜き出すように設けられており、レシーバ28aの上部と圧縮機21aの吸入側とを接続している。レシーバガス抜き管41aには、レシーバ28aからガス抜きされる冷媒の流量の調節等を行うために、ガス抜き弁としてのガス抜き側流量調節弁42aが設けられている。ここで、ガス抜き側流量調節弁42aは、開度調節が可能な電動膨張弁からなる。
【0046】
また、レシーバ28aには、図3に示すように、レシーバ28a内の液面がレシーバガス抜き管41を接続した位置よりも下側の所定位置L1まで達しているかどうかを検知するためのレシーバ液面検知管43aが接続されている。ここで、レシーバ液面検知管43aは、レシーバ28aの上下方向の中間付近の部分から冷媒を抜き出すように設けられている。また、液面位置L1は、後述の過充填判定において、冷媒の過充填が発生しているものと判定できる液面位置に対応している。そして、レシーバ液面検知管43aは、キャピラリチューブ43aaを介してレシーバガス抜き管41aに合流しており、ガス抜き側流量調節弁42a等を含む合流部分から下流側の部分がレシーバガス抜き管41aと兼用になっている。ここで、レシーバ液面検知管43aは、レシーバガス抜き管41aのガス抜き側流量調節弁42aが設けられている位置よりも上流側の部分に合流するように設けられている。さらに、レシーバガス抜き管41aには、レシーバ液面検知管43が合流する位置よりも下流側に、レシーバガス抜き管41aを流れる冷媒を加熱する冷媒加熱器44aが設けられている。ここで、冷媒加熱器44aは、圧縮機21から吐出される高圧のガス冷媒を加熱源としてレシーバガス抜き管41aを流れる冷媒を加熱する熱交換器である。そして、冷媒加熱器44aは、圧縮機21aから吐出された高圧のガス冷媒の一部を分岐して熱源側熱交換器24a、25a、35aの一部である予冷熱交換器35aに送る冷媒管とレシーバガス抜き管41aとを接触させることによって構成される配管熱交換器や二重管熱交換器等からなる。すなわち、冷媒加熱器44aは、圧縮機21aから吐出される高圧のガス冷媒が常時流れる予冷熱交換器35aの上流側に接続されている。そして、冷凍サイクル運転時において、圧縮機21aから吐出される高圧のガス冷媒の一部が分岐されて、冷媒加熱器44a、予冷熱交換器35a、冷媒冷却器36a及び冷媒冷却側流量調節弁37aを通じて、レシーバ出口管28baに合流する流れが得られ、レシーバガス抜き管41aから抜き出される冷媒は、この圧縮機21aから吐出される高圧のガス冷媒の一部によって加熱されるようになっている。
【0047】
ブリッジ回路29aは、冷媒が熱源側熱交換器24a、25a側から液側閉鎖弁31a側に向かって流れる場合、及び、冷媒が液側閉鎖弁31a側から熱源側熱交換器24a、25a側に向かって流れる場合のいずれにおいても、レシーバ入口管28aaを通じてレシーバ28a内に冷媒を流入させ、レシーバ出口管28baを通じてレシーバ28a内から冷媒を流出させる機能を有する回路である。ブリッジ回路29aは、4つの逆止弁29aa、29ba、29ca、29daを有している。そして、入口逆止弁29aaは、熱源側熱交換器24a、25a側からレシーバ入口管28aaへの冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。入口逆止弁29baは、液側閉鎖弁31a側からレシーバ入口管28aaへの冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。すなわち、入口逆止弁29aa、29baは、熱源側熱交換器24a、25a側又は液側閉鎖弁31a側からレシーバ入口管28aaに冷媒を流通させる機能を有している。出口逆止弁29caは、レシーバ出口管28baから液側閉鎖弁31a側への冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。出口逆止弁29daは、レシーバ出口管28baから熱源側熱交換器24a、25a側への冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。すなわち、出口逆止弁29ca、29daは、レシーバ出口管28baから熱源側熱交換器24a、25a側又は液側閉鎖弁31a側に冷媒を流通させる機能を有している。
【0048】
高低圧切換機構30aは、圧縮機21aから吐出された高圧のガス冷媒を利用側冷媒回路13a、13b、13c、13dに送る場合(以下、「放熱負荷運転状態」とする)には、圧縮機21aの吐出側と高低圧ガス側閉鎖弁32aとを接続し(図1及び図2の高低圧切換機構30aの破線を参照)、圧縮機21aから吐出された高圧のガス冷媒を利用側冷媒回路13a、13b、13c、13dに送らない場合(以下、「蒸発負荷運転状態」とする)には、高低圧ガス側閉鎖弁32aと圧縮機21aの吸入側とを接続するように(図1及び図2の高低圧切換機構30aの実線を参照)、熱源側冷媒回路12a内における冷媒の流路を切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。
【0049】
液側閉鎖弁31a、高低圧ガス側閉鎖弁32a及び低圧ガス側閉鎖弁33aは、外部の機器・配管(具体的には、冷媒連絡管7、8及び9)との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁31aは、ブリッジ回路29aを介してレシーバ入口管28aa又はレシーバ出口管28baに接続されている。高低圧ガス側閉鎖弁32aは、高低圧切換機構30aに接続されている。低圧ガス側閉鎖弁33aは、圧縮機21aの吸入側に接続されている。
【0050】
また、熱源ユニット2aには、各種のセンサが設けられている。具体的には、圧縮機21aの吸入側における冷媒の圧力を検出する吸入圧力センサ71aと、圧縮機21aの吐出側における冷媒の圧力を検出する吐出圧力センサ73aと、レシーバ28aと熱源側熱交換器24a、25aとの間を流れる冷媒の温度を検出する第1液管温度センサ74と、レシーバガス抜き管41aを流れる冷媒の温度を検出するガス抜き側温度センサ75aと、レシーバ28aと液側閉鎖弁31aとの間の冷媒の温度を検出する第2液管温度センサ80とが設けられている。ここでは、ガス抜き側温度センサ75は、冷媒加熱器44の出口における冷媒の温度を検出するようにレシーバガス抜き管41に設けられている。また、熱源ユニット2aは、熱源ユニット2aを構成する各部21aa、22a、23a、26a、27a、28ca、30a、34aa、37a、42aの動作を制御する熱源側制御部20aを有している。そして、熱源側制御部20aは、熱源ユニット2aの制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、利用ユニット3a、3b、3c、3dの利用側制御部50a、50b、50c、50dとの間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0051】
<接続ユニット>
接続ユニット4a、4b、4c、4dは、ビル等の室内に利用ユニット3a、3b、3c、3dとともに設置されている。接続ユニット4a、4b、4c、4dは、冷媒連絡管9、10、11とともに、利用ユニット3、4、5と熱源ユニット2a、2bとの間に介在しており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0052】
次に、接続ユニット4a、4b、4c、4dの構成について説明する。尚、接続ユニット4aと接続ユニット4b、4c、4dとは同様の構成であるため、ここでは、接続ユニット4aの構成のみ説明し、接続ユニット4b、4c、4dの構成については、それぞれ、接続ユニット4aの各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」、「c」又は「d」の添字を付して、各部の説明を省略する。
【0053】
接続ユニット4aは、主として、冷媒回路10の一部を構成しており、接続側冷媒回路14a(接続ユニット4b、4c、4dでは、それぞれ、接続側冷媒回路14b、14c、14d)を有している。接続側冷媒回路14aは、主として、液接続管61aと、ガス接続管62aとを有している。
【0054】
液接続管61aは、液冷媒連絡管7と利用側冷媒回路13aの利用側流量調節弁51aとを接続している。
【0055】
ガス接続管62aは、高低圧ガス冷媒連絡管8に接続された高圧ガス接続管63aと、低圧ガス冷媒連絡管9に接続された低圧ガス接続管64aと、高圧ガス接続管63aと低圧ガス接続管64aとを合流させる合流ガス接続管65aとを有している。合流ガス接続管65aは、利用側冷媒回路13aの利用側熱交換器52aのガス側に接続されている。高圧ガス接続管63aには、開閉制御が可能な高圧ガス開閉弁66aが設けられており、低圧ガス接続管64aには、開閉制御が可能な低圧ガス開閉弁67aが設けられている。
【0056】
そして、接続ユニット4aは、利用ユニット3aが冷房運転を行う際には、低圧ガス開閉弁67aを開けた状態にして、液冷媒連絡管7を通じて液接続管61aに流入する冷媒を利用側冷媒回路13aの利用側流量調節弁51aを通じて利用側熱交換器52aに送り、利用側熱交換器52aにおいて室内空気との熱交換によって蒸発した冷媒を、合流ガス接続管65a及び低圧ガス接続管64aを通じて、低圧ガス冷媒連絡管9に戻すように機能することができる。また、接続ユニット4aは、利用ユニット3aが暖房運転を行う際には、低圧ガス開閉弁67aを閉止し、かつ、高圧ガス開閉弁66aを開けた状態にして、高低圧ガス冷媒連絡管8を通じて高圧ガス接続管63a及び合流ガス接続管65aに流入する冷媒を利用側冷媒回路13aの利用側熱交換器52aに送り、利用側熱交換器52aにおいて室内空気との熱交換によって放熱した冷媒を、利用側流量調節弁51a及び液接続管61aを通じて、液冷媒連絡管7に戻すように機能することができる。この機能は、接続ユニット4aだけでなく、接続ユニット4b、4c、4dも同様に有しているため、接続ユニット4a、4b、4c、4dによって、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dは、個別に冷媒の蒸発器又は放熱器として機能させる切り換えが可能になっている。
【0057】
また、接続ユニット4aは、接続ユニット4aを構成する各部66a、67aの動作を制御する接続側制御部60aを有している。そして、接続側制御部60aは、接続ユニット60aの制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、利用ユニット3aの利用側制御部50aとの間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0058】
以上のように、利用側冷媒回路13a、13b、13c、13dと、熱源側冷媒回路12a、12bと、冷媒連絡管7、8、9と、接続側冷媒回路14a、14b、14c、14dとが接続されて、冷暖同時運転型空気調和装置1の冷媒回路10が構成されている。そして、冷暖同時運転型空気調和装置1では、圧縮機21a、21bと熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bとレシーバ28a、28bとを有する複数(ここでは、2つ)の熱源ユニット2a、2bと、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dを有する利用ユニット3a、3b、3c、3dとが接続されることによって構成されている。そして、ここでは、各熱源ユニット2a、2bのレシーバ28a、28bには、レシーバ28a、28b内の液面が所定位置L1まで達しているかどうかを検知するためのレシーバ液面検知管43a、43bを接続し、各レシーバ液面検知管43a、43bには、開閉可能なガス抜き弁としてのガス抜き側流量調節弁42a、42bを設けている。
【0059】
(2)冷凍装置(冷暖同時運転型空気調和装置)の動作
次に、冷暖同時運転型空気調和装置1の動作について説明する。
【0060】
冷暖同時運転型空気調和装置1の運転モードは、大まかには、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dから要求される熱負荷に応じた冷凍サイクル運転である通常運転モードと、装置の据え付け後やメンテナンス後の最初に行う冷凍サイクル運転を含む試運転モードとに分けることができる。
【0061】
そして、通常運転モードとしては、冷房運転と、暖房運転と、冷暖同時運転(蒸発負荷主体)と、冷暖同時運転(放熱負荷主体)とがある。ここで、冷房運転は、冷房運転(すなわち、利用側熱交換器が冷媒の蒸発器として機能する運転)を行う利用ユニットだけが存在し、利用ユニット全体の蒸発負荷に対して熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bを冷媒の放熱器として機能させる運転である。暖房運転は、暖房運転(すなわち、利用側熱交換器が冷媒の放熱器として機能する運転)を行う利用ユニットだけが存在し、利用ユニット全体の放熱負荷に対して熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bを冷媒の蒸発器として機能させる運転である。冷暖同時運転(蒸発負荷主体)は、冷房運転(すなわち、利用側熱交換器が冷媒の蒸発器として機能する運転)を行う利用ユニットと暖房運転(すなわち、利用側熱交換器が冷媒の放熱器として機能する運転)を行う利用ユニットとが混在し、利用ユニット全体の熱負荷が蒸発負荷主体である場合に、この利用ユニット全体の蒸発負荷に対して第1熱源側熱交換器24a、24bを冷媒の放熱器として機能させる運転である。冷暖同時運転(放熱負荷主体)は、冷房運転(すなわち、利用側熱交換器が冷媒の蒸発器として機能する運転)を行う利用ユニットと暖房運転(すなわち、利用側熱交換器が冷媒の放熱器として機能する運転)を行う利用ユニットとが混在し、利用ユニット全体の熱負荷が放熱負荷主体である場合に、この利用ユニット全体の放熱負荷に対して熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bを冷媒の蒸発器として機能させる運転である。
【0062】
また、試運転モードには、過充填検知運転がある。ここで、過充填検知運転は、冷媒回路10に冷媒が過充填されているかどうかを判定するための冷凍サイクル運転であり、この過充填検知運転時に、冷媒回路10に冷媒が過充填されているかどうかを判定する。
【0063】
尚、これらの運転モードを含む冷暖同時運転型空気調和装置1の動作は、上記の制御部20a、20b、50a、50b、50c、50d、60a、60b、60c、60dによって行われる。
【0064】
<通常運転モード>
−冷房運転−
通常運転モードの冷房運転の際、例えば、利用ユニット3a、3b、3c、3dの全てが冷房運転(すなわち、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dの全てが冷媒の蒸発器として機能する運転)を行い、熱源側熱交換器24、25が冷媒の放熱器として機能する際、空気調和装置1の冷媒回路10は、図4に示されるように構成される(冷媒の流れについては、図4の冷媒回路10に付された矢印を参照)。
【0065】
具体的には、熱源ユニット2a、2bにおいては、第1熱交切換機構22a、22bを放熱運転状態(図2及び図4の第1熱交切換機構22a、22bの実線で示された状態)に切り換え、第2熱交切換機構23a、23bを放熱運転状態(図2及び図4の第2熱交切換機構23a、23bの実線で示された状態)に切り換えることによって、熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bを冷媒の放熱器として機能させるようになっている。また、高低圧切換機構30a、30bを蒸発負荷運転状態(図2及び図4の高低圧切換機構30a、30bの実線で示された状態)に切り換えている。また、熱源側流量調節弁26a、27a、26b、27bは、開度調節され、レシーバ入口開閉弁28ca、28cbは、開状態になっている。また、冷媒冷却側流量調節弁37a、37bは、開度調節されて、予冷熱交換器35a、35bに圧縮機21a、21bから吐出される高圧のガス冷媒が流れるようになっている。また、ガス抜き弁としてのガス抜き側流量調節弁42a、42bは、必要に応じて開度調節されるが、基本的には全閉状態になっている(このため、図4においても冷媒の流れを図示しない)。接続ユニット4a、4b、4c、4dにおいては、高圧ガス開閉弁66a、66b、66c、66d、及び、低圧ガス開閉弁67a、67b、67c、67dを開状態にすることによって、利用ユニット3a、3b、3c、3dの利用側熱交換器52a、52b、52c、52dの全てを冷媒の蒸発器として機能させるとともに、利用ユニット3a、3b、3c、3dの利用側熱交換器52a、52b、52c、52dの全てと熱源ユニット2の圧縮機21の吸入側とが高低圧ガス冷媒連絡管8及び低圧ガス冷媒連絡管9を介して接続された状態になっている。利用ユニット3a、3b、3c、3dにおいては、利用側流量調節弁51a、51b、51c、51dは、開度調節されている。
【0066】
このような冷媒回路10において、圧縮機21a、21bで圧縮され吐出された高圧のガス冷媒は、熱交切換機構22a、23a、22b、23bを通じて、主熱源側熱交換器としての熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bに送られる。また、圧縮機21a、21bで圧縮され吐出された高圧のガス冷媒は、冷媒加熱器44a、44bを介して、予冷熱交換器35a、35bにも送られる。そして、熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bに送られた高圧のガス冷媒は、熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bにおいて、室外ファン34a、34bによって供給される熱源としての室外空気と熱交換を行うことによって放熱する。そして、熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bにおいて放熱した冷媒は、熱源側流量調節弁26a、27a、26b、27bにおいて流量調節された後、合流して、入口逆止弁29aa、29ab及びレシーバ入口開閉弁28ca、28cbを通じて、レシーバ28a、28bに送られる。また、予冷熱交換器35a、35bに送られた高圧のガス冷媒も、予冷熱交換器35a、35bにおいて、室外ファン34a、34bによって供給される熱源としての室外空気と熱交換を行うことによって放熱する。そして、予冷熱交換器35a、35bにおいて放熱した冷媒は、冷媒冷却器36a、36bに送られて、電装品20aa、20abを冷却する。冷媒冷却器36a、36bを通過した冷媒は、冷媒冷却側流量調節弁37a、37bにおいて流量調節された後、レシーバ出口管28ba、28bbに送られる。そして、レシーバ28a、28bに送られた冷媒は、レシーバ28a、28b内に一時的に溜められた後、レシーバ出口管28ba、28bbに送られ、出口逆止弁29ca、29cb及び液側閉鎖弁31a、31bを通じて、液冷媒連絡管7に送られて合流する。
【0067】
そして、液冷媒連絡管7に送られて合流した冷媒は、4つに分岐されて、各接続ユニット4a、4b、4c、4dの液接続管61a、61b、61c、61dに送られる。そして、液接続管61a、61b、61c、61dに送られた冷媒は、利用ユニット3a、3b、3c、3dの利用側流量調節弁51a、51b、51c、51dに送られる。
【0068】
そして、利用側流量調節弁51a、51b、51c、51dに送られた冷媒は、利用側流量調節弁51a、51b、51c、51dにおいて流量調節された後、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dにおいて、室内ファン53a、53b、53c、53dによって供給される室内空気と熱交換を行うことによって蒸発して低圧のガス冷媒となる。一方、室内空気は、冷却されて室内に供給されて、利用ユニット3a、3b、3c、3dの冷房運転が行われる。そして、低圧のガス冷媒は、接続ユニット4a、4b、4c、4dの合流ガス接続管65a、65b、65c、65dに送られる。
【0069】
そして、合流ガス接続管65a、65b、65c、65dに送られた低圧のガス冷媒は、高圧ガス開閉弁66a、66b、66c、66d及び高圧ガス接続管63a、63b、63c、63dを通じて、高低圧ガス冷媒連絡管8に送られて合流するとともに、低圧ガス開閉弁67a、67b、67c、67d及び低圧ガス接続管64a、64b、64c、64dを通じて、低圧ガス冷媒連絡管9に送られて合流する。
【0070】
そして、ガス冷媒連絡管8、9に送られた低圧のガス冷媒は、2つに分岐されて、ガス側閉鎖弁32a、32b、33a、33b及び高低圧切換機構30a、30bを通じて、圧縮機21a、21bの吸入側に戻される。
【0071】
このようにして、冷房運転における動作が行われる。尚、利用ユニット3a、3b、3c、3dのいくつかが冷房運転(すなわち、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dのいくつかが冷媒の蒸発器として機能する運転)を行う等によって、利用側熱交換器52a、52b、52c、52d全体の蒸発負荷が小さくなる場合には、熱源側熱交換器24、25の一方(例えば、第1熱源側熱交換器24a、24b)だけを冷媒の放熱器として機能させる運転が行われる。
【0072】
−暖房運転−
通常運転モードの暖房運転の際、例えば、利用ユニット3a、3b、3c、3dの全てが暖房運転(すなわち、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dの全てが冷媒の放熱器として機能する運転)を行い、熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bが冷媒の蒸発器として機能する際、空気調和装置1の冷媒回路10は、図5に示されるように構成される(冷媒の流れについては、図5の冷媒回路10に付された矢印を参照)。
【0073】
具体的には、熱源ユニット2a、2bにおいては、第1熱交切換機構22a、22bを蒸発運転状態(図2及び図5の第1熱交切換機構22a、22bの破線で示された状態)に切り換え、第2熱交切換機構23a、23bを蒸発運転状態(図2及び図5の第2熱交切換機構23a、23bの破線で示された状態)に切り換えることによって、熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bを冷媒の蒸発器として機能させるようになっている。また、高低圧切換機構30a、30bを放熱負荷運転状態(図2及び図5の高低圧切換機構30a、30bの破線で示された状態)に切り換えている。また、熱源側流量調節弁26a、27a、26b、27bは、開度調節され、レシーバ入口開閉弁28ca、28cbは、開状態になっている。また、冷媒冷却側流量調節弁37a、37bは、開度調節されて、予冷熱交換器35a、35bに圧縮機21a、21bから吐出される高圧のガス冷媒が流れるようになっている。また、ガス抜き弁としてのガス抜き側流量調節弁42a、42bは、必要に応じて開度調節されるが、基本的には全閉状態になっている(このため、図5においても冷媒の流れを図示しない)。接続ユニット4a、4b、4c、4dにおいては、高圧ガス開閉弁66a、66b、66c、66dを開状態にし、低圧ガス開閉弁67a、67b、67c、67dを閉状態にすることによって、利用ユニット3a、3b、3c、3dの利用側熱交換器52a、52b、52c、52dの全てを冷媒の放熱器として機能させるとともに、利用ユニット3a、3b、3c、3dの利用側熱交換器52a、52b、52c、52dの全てと熱源ユニット2の圧縮機21の吐出側とが高低圧ガス冷媒連絡管8を介して接続された状態になっている。利用ユニット3a、3b、3c、3dにおいては、利用側流量調節弁51a、51b、51c、51dは、開度調節されている。
【0074】
このような冷媒回路10において、圧縮機21a、21bで圧縮され吐出された高圧のガス冷媒は、高低圧切換機構30a、30b及び高低圧ガス側閉鎖弁32a、32bを通じて、高低圧ガス冷媒連絡管8に送られて合流する。また、圧縮機21a、21bで圧縮され吐出された高圧のガス冷媒は、冷媒加熱器44a、44bを介して、予冷熱交換器35a、35bにも送られる。そして、予冷熱交換器35a、35bに送られた高圧のガス冷媒は、予冷熱交換器35a、35bにおいて、室外ファン34a、34bによって供給される熱源としての室外空気と熱交換を行うことによって放熱する。そして、予冷熱交換器35a、35bにおいて放熱した冷媒は、冷媒冷却器36a、36bに送られて、電装品20aa、20abを冷却する。冷媒冷却器36a、36bを通過した冷媒は、冷媒冷却側流量調節弁37a、37bにおいて流量調節された後、レシーバ出口管28ba、28bbに送られる。
【0075】
そして、高低圧ガス冷媒連絡管8に送られて合流した高圧のガス冷媒は、4つに分岐されて、各接続ユニット4a、4b、4c、4dの高圧ガス接続管63a、63b、63c、63dに送られる。高圧ガス接続管63a、63b、63c、63dに送られた高圧のガス冷媒は、高圧ガス開閉弁66a、66b、66c、66d及び合流ガス接続管65a、65b、65c、65dを通じて、利用ユニット3a、3b、3c、3dの利用側熱交換器52a、52b、52c、52dに送られる。
【0076】
そして、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dに送られた高圧のガス冷媒は、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dにおいて、室内ファン53a、53b、53c、53dによって供給される室内空気と熱交換を行うことによって放熱する。一方、室内空気は、加熱されて室内に供給されて、利用ユニット3a、3b、3c、3dの暖房運転が行われる。利用側熱交換器52a、52b、52c、52dにおいて放熱した冷媒は、利用側流量調節弁51a、51b、51c、51dにおいて流量調節された後、接続ユニット4a、4b、4c、4dの液接続管61a、61b、61c、61dに送られる。
【0077】
そして、液接続管61a、61b、61c、61dに送られた冷媒は、液冷媒連絡管7に送られて合流する。
【0078】
そして、液冷媒連絡管7に送られて合流した冷媒は、2つに分岐されて、液側閉鎖弁31a、31b、入口逆止弁29ba、29bb及びレシーバ入口開閉弁28ca、28cbを通じて、レシーバ28a、28bに送られる。そして、レシーバ28a、28bに送られた冷媒は、レシーバ28a、28b内に一時的に溜められた後、レシーバ出口管28ba、28bbに送られ、出口逆止弁29da、29dbを通じて、熱源側流量調節弁26a、27a、26b、27bの両方に送られる。そして、熱源側流量調節弁26a、27a、26b、27bに送られた冷媒は、熱源側流量調節弁26a、27a、26b、27bにおいて流量調節された後、熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bにおいて、室外ファン34a、34bによって供給される室外空気と熱交換を行うことによって蒸発して低圧のガス冷媒になり、熱交切換機構22a、23a、22b、23bに送られる。そして、熱交切換機構22a、23a、22b、23bに送られた低圧のガス冷媒は、合流して、圧縮機21a、21bの吸入側に戻される。
【0079】
このようにして、暖房運転における動作が行われる。尚、利用ユニット3a、3b、3c、3dのいくつかが暖房運転(すなわち、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dのいくつかが冷媒の放熱器として機能する運転)を行う等によって、利用側熱交換器52a、52b、52c、52d全体の放熱負荷が小さくなる場合には、熱源側熱交換器24、25の一方(例えば、第1熱源側熱交換器24a、24b)だけを冷媒の蒸発器として機能させる運転が行われる。
【0080】
−冷暖同時運転(蒸発負荷主体)−
通常運転モードの冷暖同時運転(蒸発負荷主体)の際、例えば、利用ユニット3a、3b、3cが冷房運転し、かつ、利用ユニット3dが暖房運転し(すなわち、利用側熱交換器52a、52b、52cが冷媒の蒸発器として機能し、かつ、利用側熱交換器52dが冷媒の放熱器として機能する運転)を行い、第1熱源側熱交換器24a、24bが冷媒の放熱器として機能する際、空気調和装置1の冷媒回路10は、図6に示されるように構成される(冷媒の流れについては、図6の冷媒回路10に付された矢印を参照)。
【0081】
具体的には、熱源ユニット2a、2bにおいては、第1熱交切換機構22a、22bを放熱運転状態(図2及び図6の第1熱交切換機構22a、22bの実線で示された状態)に切り換えることによって、第1熱源側熱交換器24a、24bを冷媒の放熱器として機能させるようになっている。また、高低圧切換機構30a、30bを放熱負荷運転状態(図2及び図6の高低圧切換機構30a、30bの破線で示された状態)に切り換えている。また、第1熱源側流量調節弁26a、26bは、開度調節され、第2熱源側流量調節弁27a、27bは、閉状態になっており、レシーバ入口開閉弁28ca、28cbは、開状態になっている。また、冷媒冷却側流量調節弁37a、37bは、開度調節されて、予冷熱交換器35a、35bに圧縮機21a、21bから吐出される高圧のガス冷媒が流れるようになっている。また、ガス抜き弁としてのガス抜き側流量調節弁42a、42bは、必要に応じて開度調節されるが、基本的には全閉状態になっている(このため、図4においても冷媒の流れを図示しない)。接続ユニット4a、4b、4c、4dにおいては、高圧ガス開閉弁66d、及び、低圧ガス開閉弁67a、67b、67cを開状態にし、かつ、高圧ガス開閉弁66a、66b、66c、及び、低圧ガス開閉弁67dを閉状態にすることによって、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cを冷媒の蒸発器として機能させ、かつ、利用ユニット3dの利用側熱交換器52dを冷媒の放熱器として機能させるとともに、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cと熱源ユニット2の圧縮機21の吸入側とが低圧ガス冷媒連絡管9を介して接続された状態になり、かつ、利用ユニット3dの利用側熱交換器52dと熱源ユニット2の圧縮機21の吐出側とが高低圧ガス冷媒連絡管8を介して接続された状態になっている。利用ユニット3a、3b、3c、3dにおいては、利用側流量調節弁51a、51b、51c、51dは、開度調節されている。
【0082】
このような冷媒回路10において、圧縮機21a、21bで圧縮され吐出された高圧のガス冷媒は、その一部が、高低圧切換機構30a、30b及び高低圧ガス側閉鎖弁32a、32bを通じて、高低圧ガス冷媒連絡管8に送られて合流し、残りが、第1熱交切換機構22a、22bを通じて、第1熱源側熱交換器24a、24bに送られる。また、圧縮機21a、21bで圧縮され吐出された高圧のガス冷媒は、冷媒加熱器44a、44bを介して、予冷熱交換器35a、35bにも送られる。
【0083】
そして、高低圧ガス冷媒連絡管8に送られて合流した高圧のガス冷媒は、接続ユニット4dの高圧ガス接続管63dに送られる。高圧ガス接続管63dに送られた高圧のガス冷媒は、高圧ガス開閉弁66d及び合流ガス接続管65dを通じて、利用ユニット3dの利用側熱交換器52dに送られる。
【0084】
そして、利用側熱交換器52dに送られた高圧のガス冷媒は、利用側熱交換器52dにおいて、室内ファン53dによって供給される室内空気と熱交換を行うことによって放熱する。一方、室内空気は、加熱されて室内に供給されて、利用ユニット3dの暖房運転が行われる。利用側熱交換器52dにおいて放熱した冷媒は、利用側流量調節弁51dにおいて流量調節された後、接続ユニット4dの液接続管61dに送られる。
【0085】
また、第1熱源側熱交換器24a、24bに送られた高圧のガス冷媒は、第1熱源側熱交換器24a、24bにおいて、室外ファン34a、34bによって供給される熱源としての室外空気と熱交換を行うことによって放熱する。そして、第1熱源側熱交換器24a、24bにおいて放熱した冷媒は、第1熱源側流量調節弁26a、26bにおいて流量調節された後、入口逆止弁29aa、29ab及びレシーバ入口開閉弁28ca、28cbを通じて、レシーバ28a、28bに送られる。また、予冷熱交換器35a、35bに送られた高圧のガス冷媒も、予冷熱交換器35a、35bにおいて、室外ファン34a、34bによって供給される熱源としての室外空気と熱交換を行うことによって放熱する。そして、予冷熱交換器35a、35bにおいて放熱した冷媒は、冷媒冷却器36a、36bに送られて、電装品20aa、20abを冷却する。冷媒冷却器36a、36bを通過した冷媒は、冷媒冷却側流量調節弁37a、37bにおいて流量調節された後、レシーバ出口管28ba、28bbに送られる。そして、レシーバ28a、28bに送られた冷媒は、レシーバ28a、28b内に一時的に溜められた後、レシーバ出口管28ba、28bbに送られ、出口逆止弁29ca、29cb及び液側閉鎖弁31a、31bを通じて、液冷媒連絡管7に送られて合流する。
【0086】
そして、利用側熱交換器52dにおいて放熱して液接続管61dに送られた冷媒は、液冷媒連絡管7に送られて、第1熱源側熱交換器24a、24bにおいて放熱して液冷媒連絡管7に送られて合流した冷媒とさらに合流する。
【0087】
そして、液冷媒連絡管7において合流した冷媒は、3つに分岐されて、各接続ユニット4a、4b、4cの液接続管61a、61b、61cに送られる。そして、液接続管61a、61b、61cに送られた冷媒は、利用ユニット3a、3b、3cの利用側流量調節弁51a、51b、51cに送られる。
【0088】
そして、利用側流量調節弁51a、51b、51cに送られた冷媒は、利用側流量調節弁51a、51b、51cにおいて流量調節された後、利用側熱交換器52a、52b、52cにおいて、室内ファン53a、53b、53cによって供給される室内空気と熱交換を行うことによって蒸発して低圧のガス冷媒となる。一方、室内空気は、冷却されて室内に供給されて、利用ユニット3a、3b、3cの冷房運転が行われる。そして、低圧のガス冷媒は、接続ユニット4a、4b、4cの合流ガス接続管65a、65b、65cに送られる。
【0089】
そして、合流ガス接続管65a、65b、65cに送られた低圧のガス冷媒は、低圧ガス開閉弁67a、67b、67c及び低圧ガス接続管64a、64b、64cを通じて、低圧ガス冷媒連絡管9に送られて合流する。
【0090】
そして、低圧ガス冷媒連絡管9に送られた低圧のガス冷媒は、2つに分岐されて、ガス側閉鎖弁33a、33bを通じて、圧縮機21a、21bの吸入側に戻される。
【0091】
このようにして、冷暖同時運転(蒸発負荷主体)における動作が行われる。尚、冷房運転を行う利用ユニット(すなわち、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器)の数が少なくなる等によって、利用側熱交換器52a、52b、52c、52d全体の蒸発負荷が小さくなる場合には、第2熱源側熱交換器25を冷媒の蒸発器として機能させることで、第1熱源側熱交換器24a、24bの放熱負荷と第2熱源側熱交換器25a、25bとの蒸発負荷とを相殺して熱源側熱交換器24a、25a、24b、25b全体の放熱負荷を小さくする運転が行われる。
【0092】
<冷暖同時運転モード(放熱負荷主体)>
通常運転モードの冷暖同時運転(蒸発負荷主体)の際、例えば、利用ユニット3a、3b、3cが暖房運転し、かつ、利用ユニット3dが冷房運転し(すなわち、利用側熱交換器52a、52b、52cが冷媒の放熱器として機能し、かつ、利用側熱交換器52dが冷媒の蒸発器として機能する運転)を行い、熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bが冷媒の蒸発器として機能する際、空気調和装置1の冷媒回路10は、図7に示されるように構成される(冷媒の流れについては、図7の冷媒回路10に付された矢印を参照)。
【0093】
具体的には、熱源ユニット2a、2bにおいては、第1熱交切換機構22a、22bを蒸発運転状態(図2及び図7の第1熱交切換機構22a、22bの破線で示された状態)に切り換え、第2熱交切換機構23a、23bを蒸発運転状態(図2及び図7の第2熱交切換機構23a、23bの破線で示された状態)に切り換えることによって、熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bを冷媒の蒸発器として機能させるようになっている。また、高低圧切換機構30a、30bを放熱負荷運転状態(図2及び図7の高低圧切換機構30a、30bの破線で示された状態)に切り換えている。また、熱源側流量調節弁26a、27a、26b、27bは、開度調節され、レシーバ入口開閉弁28ca、28cbは、開状態になっている。また、冷媒冷却側流量調節弁37a、37bは、開度調節されて、予冷熱交換器35a、35bに圧縮機21a、21bから吐出される高圧のガス冷媒が流れるようになっている。また、ガス抜き弁としてのガス抜き側流量調節弁42a、42bは、必要に応じて開度調節されるが、基本的には全閉状態になっている(このため、図5においても冷媒の流れを図示しない)。接続ユニット4a、4b、4c、4dにおいては、高圧ガス開閉弁66a、66b、66c、及び、低圧ガス開閉弁67dを開状態にし、かつ、高圧ガス開閉弁66d、及び、低圧ガス開閉弁67a、67b、67cを閉状態にすることによって、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cを冷媒の放熱器として機能させ、かつ、利用ユニット3dの利用側熱交換器52dを冷媒の蒸発器として機能させるとともに、利用ユニット3dの利用側熱交換器52dと熱源ユニット2の圧縮機21の吸入側とが低圧ガス冷媒連絡管9を介して接続された状態になり、かつ、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cと熱源ユニット2の圧縮機21の吐出側とが高低圧ガス冷媒連絡管8を介して接続された状態になっている。利用ユニット3a、3b、3c、3dにおいては、利用側流量調節弁51a、51b、51c、51dは、開度調節されている。
【0094】
このような冷媒回路10において、圧縮機21a、21bで圧縮され吐出された高圧のガス冷媒は、高低圧切換機構30a、30b及び高低圧ガス側閉鎖弁32a、32bを通じて、高低圧ガス冷媒連絡管8に送られて合流する。また、圧縮機21a、21bで圧縮され吐出された高圧のガス冷媒は、冷媒加熱器44a、44bにも送られる。そして、予冷熱交換器35a、35bに送られた高圧のガス冷媒は、予冷熱交換器35a、35bにおいて、室外ファン34a、34bによって供給される熱源としての室外空気と熱交換を行うことによって放熱する。そして、予冷熱交換器35a、35bにおいて放熱した冷媒は、冷媒冷却器36a、36bに送られて、電装品20aa、20abを冷却する。冷媒冷却器36a、36bを通過した冷媒は、冷媒冷却側流量調節弁37a、37bにおいて流量調節された後、レシーバ出口管28ba、28bbに送られる。
【0095】
そして、高低圧ガス冷媒連絡管8に送られて合流した高圧のガス冷媒は、3つに分岐されて、各接続ユニット4a、4b、4cの高圧ガス接続管63a、63b、63cに送られる。高圧ガス接続管63a、63b、63cに送られた高圧のガス冷媒は、高圧ガス開閉弁66a、66b、66c及び合流ガス接続管65a、65b、65cを通じて、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cに送られる。
【0096】
そして、利用側熱交換器52a、52b、52cに送られた高圧のガス冷媒は、利用側熱交換器52a、52b、52cにおいて、室内ファン53a、53b、53cによって供給される室内空気と熱交換を行うことによって放熱する。一方、室内空気は、加熱されて室内に供給されて、利用ユニット3a、3b、3cの暖房運転が行われる。利用側熱交換器52a、52b、52cにおいて放熱した冷媒は、利用側流量調節弁51a、51b、51cにおいて流量調節された後、接続ユニット4a、4b、4cの液接続管61a、61b、61cに送られる。
【0097】
そして、液接続管61a、61b、61c、61dに送られた冷媒は、液冷媒連絡管7に送られて合流する。
【0098】
液冷媒連絡管7において合流した冷媒は、その一部が、接続ユニット4dの液接続管61dに送られ、残りが、2つに分岐されて、液側閉鎖弁31a、31b、入口逆止弁29ba、29bb及びレシーバ入口開閉弁28ca、28cbを通じて、レシーバ28a、28bに送られる。
【0099】
そして、接続ユニット4dの液接続管61dに送られた冷媒は、利用ユニット3dの利用側流量調節弁51dに送られる。
【0100】
そして、利用側流量調節弁51dに送られた冷媒は、利用側流量調節弁51dにおいて流量調節された後、利用側熱交換器52dにおいて、室内ファン53dによって供給される室内空気と熱交換を行うことによって蒸発して低圧のガス冷媒となる。一方、室内空気は、冷却されて室内に供給されて、利用ユニット3dの冷房運転が行われる。そして、低圧のガス冷媒は、接続ユニット4dの合流ガス接続管65dに送られる。
【0101】
そして、合流ガス接続管65dに送られた低圧のガス冷媒は、低圧ガス開閉弁67d及び低圧ガス接続管64dを通じて、低圧ガス冷媒連絡管9に送られる。
【0102】
そして、低圧ガス冷媒連絡管9に送られた低圧のガス冷媒は、2つに分岐されて、ガス側閉鎖弁33a、33bを通じて、圧縮機21a、21bの吸入側に戻される。
【0103】
また、レシーバ28a、28bに送られた冷媒は、レシーバ28a、28b内に一時的に溜められた後、レシーバ出口管28ba、28bbに送られ、出口逆止弁29da、29dbを通じて、熱源側流量調節弁26a、27a、26b、27bの両方に送られる。そして、熱源側流量調節弁26a、27a、26b、27bに送られた冷媒は、熱源側流量調節弁26a、27a、26b、27bにおいて流量調節された後、熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bにおいて、室外ファン34a、34bによって供給される室外空気と熱交換を行うことによって蒸発して低圧のガス冷媒になり、熱交切換機構22a、23a、22b、23bに送られる。そして、熱交切換機構22a、23a、22b、23bに送られた低圧のガス冷媒は、合流して、圧縮機21a、21bの吸入側に戻される。
【0104】
このようにして、冷暖同時運転(放熱負荷主体)における動作が行われる。尚、暖房運転を行う利用ユニット(すなわち、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器)の数が少なくなる等によって、利用側熱交換器52a、52b、52c、52d全体の放熱負荷が小さくなる場合には、第1熱源側熱交換器24a、24bを冷媒の放熱器として機能させることで、第1熱源側熱交換器24a、24bの放熱負荷と第2熱源側熱交換器25a、25bの蒸発負荷とを相殺して熱源側熱交換器24a、25a、24b、25b全体の蒸発負荷を小さくする運転が行われる。
【0105】
<試運転モード>
次に、試運転モードの過充填検知運転における動作について、図2図8及び図9を用いて説明する。ここで、図8は、試運転モードの過充填検知運転のフローチャートである。図9は、試運転モードの過充填検知運転における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
【0106】
ここでは、現地において、冷媒が予め充填された熱源ユニット2a、2bと、利用ユニット3a、3b、3c、3dと、接続ユニット4a、4b、4c、4dとを、冷媒連絡管7、8、9を介して接続して冷媒回路10を構成した後に、冷媒連絡管7、8、9の長さに応じて不足する冷媒を冷媒回路10内に追加充填した後の試運転を例にして説明する。
【0107】
まず、熱源ユニット2a、2bの閉鎖弁31a、31b、32a、32b、33a、33bを開けて、熱源ユニット2a、2bに予め充填された冷媒を冷媒回路10内に充満させる。
【0108】
次に、サービスマン等が、リモコン(図示せず)や制御部20a、20b、50a、50b、50c、50d等を通じて、試運転モードの過充填検知運転を行うように指令を出すと、下記のステップST1からステップST4の手順で過充填検知運転が行われる。
【0109】
過充填検知運転の開始指令がなされると、ステップST1の過充填検知運転が開始される。この過充填検知運転は、冷媒回路10に冷媒が過充填されているかどうかを判定するための冷凍サイクル運転であり、ここでは、通常運転モードの冷房運転(図4参照)と同様に、利用ユニット3a、3b、3c、3dの全てが冷房運転を行い(すなわち、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dの全てが冷媒の蒸発器として機能し)、かつ、複数の熱源ユニット2a、2bの全ての熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bが冷媒の放熱器として機能する運転(以下、「全利用ユニット冷房運転」とする)である。そして、この全利用ユニット冷房運転を行うと、冷媒回路10内を循環する冷媒の状態が安定し、多くの液冷媒を熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bに溜めた状態にして、各熱源ユニット2a、2bのレシーバ28a、28bに液冷媒が極力溜まらない状態が作り出される。
【0110】
また、この過充填検知運転では、全利用ユニット冷房運転を行うとともに、下記のような冷媒回路10内を循環する冷媒の状態をさらに安定させるための機器制御を行うようにしてもよい。具体的には、冷媒回路10における高圧(ここでは、吐出圧力センサ73a、73bによって検出される冷媒の圧力を使用)が目標高圧になるように、室外ファン34a、34bの回転数を制御(以下、「高圧制御」とする)してもよい。また、冷媒回路10における低圧(ここでは、吸入圧力センサ71a、71bによって検出される冷媒の圧力を使用)が目標低圧になるように、圧縮機21a、21bの運転容量を制御(以下、「低圧制御」とする)してもよい。また、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器52a、52b、52c、52dの出口における冷媒の過熱度が目標過熱度になるように、利用側流量調節機構51a、51b、51c、51dの開度を制御(以下、「過熱度制御」とする)してもよい。ここで、高圧制御を行うと、冷媒回路10における高圧が安定することによって、冷媒回路10における高圧部分(例えば、熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bや液冷媒連絡管7等)における冷媒量がさらに安定する。また、低圧制御及び過熱度制御を行うと、冷媒回路10における低圧や冷媒の乾き度が安定することによって、冷媒回路10における低圧部分(例えば、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dやガス冷媒連絡管8、9等)における冷媒量がさらに安定する。すなわち、高圧制御、低圧制御及び過熱度制御を行うことによって、冷媒回路10内を循環する冷媒の状態の安定度合いをさらに向上させることができる。
【0111】
このように、ステップST1において、全利用ユニット冷房運転を伴う過充填検知運転を開始すると、上記のように、多くの液冷媒が熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bに溜まり、その溜まり具合は、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bの出口における冷媒の過冷却度SCa、SCb(ここでは、吐出圧力センサ73a、73bによって検出される冷媒の圧力を冷媒の飽和温度に換算し、この飽和温度を第1液管温度センサ74によって検出される冷媒の温度から差し引いた温度差を使用)の値として現れるようになる。ここで、過冷却度SCaは、熱源ユニット2aの熱源側熱交換器24a、25aの出口における過冷却度であり、過冷却度SCbは、熱源ユニット2bの熱源側熱交換器24b、25bの出口における過冷却度である。すなわち、各熱源ユニット2a、2bの熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bに溜まる液冷媒の量に応じて、各熱源ユニット2a、2bの熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bの出口における冷媒の過冷却度SCa、SCbに変化が発生するようになる。
【0112】
ここで、後述のステップST2、ST3の判定処理を行わずに、各熱源ユニット2a、2bに設けられたレシーバ液面検知管43a、43bを用いて、冷媒回路10に冷媒が過充填されているかどうかを判定することも考えられる。すなわち、冷媒の過充填が発生しているものと判定できる液面位置L1にレシーバ液面検知管43a、43bを接続しておき、この液面位置L1をレシーバ28a、28bの所定液面として、後述のステップST4と同様に、ガス抜き弁としてのガス抜き側流量調節弁42a、42bを開けてレシーバ28a、28bが所定液面L1まで達しているかどうかを検知し、レシーバ28a、28bが所定液面L1まで達している場合には、冷媒の過充填が発生しているものと判定するのである。
【0113】
しかし、この空気調和装置1では、複数(ここでは、2つ)の熱源ユニット2a、2bを接続した構成を採用しているため、冷媒が熱源ユニット2a、2b間で偏流するおそれがあり、いずれかの熱源ユニットに冷媒が偏ると、冷媒回路10に規定量の冷媒が充填されており冷媒の過充填が発生していないにもかかわらず、所定液面L1まで達しているレシーバを有する熱源ユニットが存在するものと判定される場合があり、冷媒が過充填されているものと誤検知するおそれがある。
【0114】
そこで、ここでは、ステップST4の過充填検知に先立って、ステップST2において、過充填検知運転時に、複数(ここでは、2つ)の熱源ユニット2a、2b間の冷媒の偏流の有無を検知するための状態量である偏流検知状態量を複数の熱源ユニット2a、2b間で比較して、偏流検知状態量間の関係が非偏流条件を満たすかどうかを判定するようにしている。ここで、偏流検知状態量としては、各熱源ユニット2a、2bの熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bの出口における冷媒の過冷却度SCa、SCbを採用している。なぜなら、上記のように、各熱源ユニット2a、2bの熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bの出口における冷媒の過冷却度SCa、SCbが各熱源ユニット2a、2bの熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bに溜まる液冷媒の量に応じて変化が発生する状態量であり、この各熱源ユニット2a、2bの熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bに溜まる液冷媒の量が、各熱源ユニット2a、2bのレシーバ28a、28bに溜まる液冷媒の量に対して大きく影響を及ぼすからである。
【0115】
具体的には、熱源ユニット2a側の過冷却度SCaと熱源ユニット2b側の過冷却度SCbとを比較して、例えば、所定の過冷却度差ΔSC以内の温度差であれば、熱源ユニット2a、2b間で偏流が発生しておらず、非偏流条件を満たしているものと判定する。尚、熱源ユニットが3台以上接続されている場合には、例えば、過冷却度SCが最も大きいものと最も小さいものとを比較して、所定温度差ΔSC以内の温度差であれば、熱源ユニット間で偏流が発生しておらず、非偏流条件を満たしているものと判定する。また、偏流検知状態量としては、各熱源ユニット2a、2bの熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bの出口における冷媒の過冷却度SCa、SCbに限定されるものではなく、過冷却度SCa、SCbに等価な状態量であれば、他の状態量であってもよい。
【0116】
また、ここでは、ステップST2の判定処理に加えて、ステップST3において、冷媒回路10のうち複数(ここでは、2つ)の熱源ユニット2a、2bと利用ユニット3a、3b、3c、3dとを接続する液冷媒連絡管7を含むレシーバ28a、28bと利用側熱交換器52a、52b、52c、52dとの間の部分が液冷媒で満たされる液充満条件を満たすかどうかを判定するようにしている。具体的には、第2液管温度センサ80a、80bによって検出される冷媒の温度と吐出圧力センサ73a、73bによって検出される冷媒の圧力を換算して得られる冷媒の飽和温度とを比較して、例えば、第2液管温度センサ80a、80bによって検出される冷媒の温度のほうが低い場合には、液充満条件を満たしているものと判定する。ここで、液充満条件を満たすかどうかの判定を行うのは、過充填検知運転時に、熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bと同様に多くの液冷媒が溜まる液管部分にも確実に液冷媒を溜めた状態にして、各熱源ユニット2a、2bのレシーバ28a、28bに液冷媒が極力溜まらない状態を作り出すようにするためである。
【0117】
そして、ステップST2、ST3の判定処理を行って、非偏流条件及び液充満条件の両方を満たした後に、ステップST4の処理に移行する。
【0118】
そして、ステップST4では、各熱源ユニット2a、2bにおいて、ガス抜き弁としてガス抜き側流量調節弁42a、42bを開けてレシーバ28a、28b内の液面が所定位置L1まで達しているかどうかを検知することで、冷媒回路10に冷媒が過充填されているかどうかを判定する。具体的には、各熱源ユニット2a、2bのレシーバ28a、28bのいずれかにおいて、所定液面L1まで達しているものがあれば、過充填が発生しているものと判定し、各熱源ユニット2a、2bのレシーバ28a、28bのいずれにおいても、所定液面L1まで達しているものがなければ、過充填が発生しておらず、規定量の冷媒が冷媒回路10に充填されているものと判定する。このように、ここでは、上記のように、複数の熱源ユニット2a、2bを接続した構成において、レシーバ液面検知管43a、43bによって過充填検知を行うにあたり、レシーバ液面検知管43a、43bのガス抜き弁としてのガス抜き側流量調節弁42a、42bを開けて過充填検知を行うタイミングを、熱源ユニット2a、2b間で冷媒の偏流が発生していないとみなせる非偏流条件を満たした後にしている。
【0119】
尚、レシーバ液面検知管43a、43bによるレシーバ28内の液面検知は、以下のようにして行われる。まず、レシーバ液面検知管43a、43bは、ガス抜き側流量調節弁42a、42bが開状態になると、図3及び図9に示すように、レシーバ28a、28bの所定の高さ位置L1から冷媒を抜き出す。ここで、レシーバ液面検知管43a、43bから抜き出された冷媒は、レシーバ28a、28b内の液面が所定の高さ位置L1よりも低い場合は、ガス状態となり、レシーバ28a、28b内の液面が所定の高さ位置L1以上である場合は、液状態となる。
【0120】
次に、レシーバ液面検知管43a、43bから抜き出された冷媒は、図3及び図9に示すように、レシーバガス抜き管41a、41bから抜き出された冷媒と合流する。ここで、レシーバガス抜き管41a、41bから抜き出された冷媒は、レシーバ28a、28b内の液面が高さ位置L2(図3参照)より低い場合には、ガス状態である。このため、レシーバ液面検知管43a、43bから抜き出された冷媒がガス状態である場合には、レシーバガス抜き管41a、41bから抜き出された冷媒と合流した後にレシーバガス抜き管41a、41bを流れる冷媒も、ガス状態となる。一方、レシーバ液面検知管43a、43bから抜き出された冷媒が液状態である場合には、レシーバガス抜き管41a、41bから抜き出された冷媒と合流した後にレシーバガス抜き管41a、41bを流れる冷媒は、ガス冷媒に液冷媒が混入した気液二相状態となる。そして、レシーバ液面検知管43a、43bから抜き出された冷媒が合流した後のレシーバガス抜き管41a、41bを流れる冷媒は、ガス抜き側流量調節弁42a、42bによって圧縮機21a、21bの吸入側における冷媒の圧力近くまで減圧される。このガス抜き側流量調節弁42a、42bによる減圧操作によって、レシーバガス抜き管41a、41bを流れる冷媒は、減圧操作前の冷媒の状態に応じた温度降下が発生することになる。すなわち、レシーバガス抜き管41a、41bを流れる冷媒がガス状態である場合には、減圧操作による温度降下は小さく、気液二相状態である場合には、減圧操作による温度降下は大きくなる。このため、ここでは採用していないが、ガス抜き側流量調節弁42a、42bで減圧操作された後のレシーバガス抜き管41a、41bを流れる冷媒の温度を使用して、レシーバ液面検知管43a、43bから抜き出された冷媒が液状態であるかどうか(レシーバ28a、28b内の液面が高さ位置L1まで達しているかどうか)を検知することもできる。
【0121】
次に、ガス抜き側流量調節弁42a、42bで減圧操作された後のレシーバガス抜き管41a、41bを流れる冷媒は、図3及び図9に示すように、冷媒加熱器44a、44bに送られて、圧縮機21a、21bの吐出側と予冷熱交換器35a、35bとの間を流れる高圧のガス冷媒と熱交換を行って加熱される。この冷媒加熱器44a、44bによる加熱操作によって、レシーバガス抜き管41a、41bを流れる冷媒は、加熱操作前の冷媒の状態に応じた温度上昇が発生することになる。すなわち、ガス抜き側流量調節弁42a、42bで減圧操作された後のレシーバガス抜き管41a、41bを流れる冷媒がガス状態である場合には、加熱操作による温度上昇が大きく、気液二相状態である場合には、減圧操作による温度上昇が小さくなる。このため、ここでは、ガス抜き側温度センサ75a、75bによって、冷媒加熱器44a、44bで加熱操作された後のレシーバガス抜き管41a、41bを流れる冷媒の温度を検出して、この検出された冷媒の温度を使用して、レシーバ液面検知管43a、43bから抜き出された冷媒が液状態であるかどうか(レシーバ28a、43b内の液面が高さ位置L1まで達しているかどうか)を検知している。具体的には、ガス抜き側温度センサ75a、75bによって検出された冷媒の温度から吸入圧力センサ71a、71bによって検出された冷媒の圧力を換算することによって得られる冷媒の飽和温度を差し引くことによって、冷媒加熱器44a、44bで加熱操作された後のレシーバガス抜き管41a、41bを流れる冷媒の過熱度を得る。そして、この冷媒の過熱度が所定の温度差以上である場合には、レシーバ液面検知管43a、43bから抜き出された冷媒がガス状態である(レシーバ28a、43b内の液面が高さ位置L1まで達していない)と判断し、この冷媒の過熱度が所定の温度差に達しない場合には、レシーバ液面検知管43a、43bから抜き出された冷媒が液状態である(レシーバ28a、28b内の液面が高さ位置L1まで達している)と判定する。
【0122】
このようにして、試運転モードの過充填検知運転における動作が行われる。
【0123】
(3)冷凍装置(冷暖同時運転型空気調和装置)の特徴
冷暖同時運転型空気調和装置1には、以下のような特徴がある。
【0124】
<A>
ここでは、上記のように、複数(ここでは、2つ)の熱源ユニット2a、2bを接続した構成において、レシーバ液面検知管43a、43bによって過充填検知を行うにあたり、レシーバ液面検知管43a、43bのガス抜き弁としてのガス抜き側流量調節弁42a、42bを開けて過充填検知を行うタイミングを、熱源ユニット2a、2b間で冷媒の偏流が発生していないとみなせる非偏流条件を満たした後にしている。
【0125】
これにより、ここでは、熱源ユニット2a、2b間で冷媒の偏流が発生していない状態でレシーバ液面検知管43a、43bによる過充填検知を誤検知なく行うことができる。
【0126】
<B>
ここでは、上記のように、過充填検知運転として、各熱源ユニット2a、2bの熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bを冷媒の放熱器として機能させる運転を採用することで、過充填検知運転時に、多くの液冷媒を熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bに溜めた状態にして、各熱源ユニット2a、2bのレシーバ28a、28bに液冷媒が極力溜まらない状態を作り出すようにしている。
【0127】
また、ここでは、上記のように、過充填検知運転時に、熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bと同様に多くの液冷媒が溜まる液管部分(液冷媒連絡管7を含むレシーバ28a、28bと利用側熱交換器52a、52b、52c、52dとの間の部分)にも確実に液冷媒を溜めた状態にして、各熱源ユニット2a、2bのレシーバ28a、28bに液冷媒が極力溜まらない状態を作り出すようにしている。
【0128】
これにより、ここでは、過充填が発生していない場合で、かつ、複数(ここでは、2つ)の熱源ユニット2a、2b間の冷媒の偏流が発生していない場合には、各熱源ユニット2a、2bのレシーバ28a、28bの液面が所定液面L1よりも低い液面位置で安定した運転状態に保ち、そして、複数の熱源ユニット2a、2b間の冷媒の偏流が発生した場合や過充填が発生した場合には、レシーバ28a、28bの液面の変化が明確に現れるようにすることができる。
【0129】
<C>
ここでは、上記のように、各熱源ユニット2a、2bの熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bに溜まる液冷媒の量に応じて変化が発生する各熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bの出口における冷媒の過冷却度SCa、SCb、又は、過冷却度SCa、SCbに等価な状態量を偏流検知状態量としている。
【0130】
これにより、ここでは、過充填検知運転時に、各熱源ユニット2a、2bのレシーバ28a、28bに溜まる液冷媒の量に対して大きく影響を及ぼす各熱源ユニット2a、2bの熱源側熱交換器24a、25a、24b、25bに溜まる液冷媒の量を比較することによって、非偏流条件を満たすかどうかを正確に判定することができる。
【0131】
(4)変形例
上記の実施形態では、本発明が適用される冷凍装置として、冷暖同時運転型空気調和装置1の構成例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、冷暖切換運転型空気調和装置等の他の冷凍装置であっても、レシーバを有する複数の熱源ユニットと利用ユニットとが接続された構成であれば、本発明を適用することが可能である。
【0132】
また、上記の実施形態では、レシーバ液面検知管43a、43bが、レシーバガス抜き管41a、41bと兼用で設けられており、ガス抜き側流量調節弁42a、42bが液面検知時に開けられるガス抜き弁としても機能しているが、これに限定されるものではない。例えば、レシーバ液面検知管43a、43bがレシーバガス抜き管41a、41bから独立して設けられており、この独立設置されたレシーバ液面検知管43a、43bにガス抜き弁が設けられていてもよい。この際、ガス抜き弁は、電動膨張弁ではなく、電磁弁等の開閉制御が可能な弁であってもよい。また、レシーバ液面検知管43a、43bには、冷媒加熱器44a、44bが設けられているが、その加熱源は、圧縮機21a、21bから吐出された高圧のガス冷媒に限定されず、レシーバ出口管28ba、28bbを流れる液冷媒等であってもよい。
【0133】
また、上記の実施形態では、各熱源ユニット2a、2bにおいて、複数の熱源側熱交換器が設けられているが、これに限定されるものではなく、1つだけであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、圧縮機と熱源側熱交換器とレシーバとを有する複数の熱源ユニットと、利用側熱交換器を有する利用ユニットとが接続されることによって構成される冷媒回路を備えた冷凍装置に対して、広く適用可能である。
【符号の説明】
【0135】
1 冷暖同時運転型空気調和装置(冷凍装置)
2a、2b 熱源ユニット
3a、3b、3c、3d 利用ユニット
7 液冷媒連絡管
10 冷媒回路
21a、21b 圧縮機
24a、25a、24b、25b 熱源側熱交換器
28a、28b レシーバ
42a、42b ガス抜き側流量調節弁(ガス抜き弁)
43a、43b レシーバ液面検知管
52a、52b、52c、52d 利用側熱交換器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0136】
【特許文献1】特開2006−292212号公報
図1
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