(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-225166(P2015-225166A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】光学素子
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20151117BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20151117BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20151117BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1343
G02B5/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-109172(P2014-109172)
(22)【出願日】2014年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(72)【発明者】
【氏名】秋元 隆
(72)【発明者】
【氏名】船引 伸夫
【テーマコード(参考)】
2H042
2H088
2H092
【Fターム(参考)】
2H042AA04
2H042AA16
2H042AA21
2H088EA42
2H088EA45
2H088HA01
2H088HA02
2H088HA04
2H088HA24
2H088MA20
2H092GA03
2H092GA13
2H092GA20
2H092NA25
2H092PA01
2H092RA03
(57)【要約】
【課題】電極の形状を最適化することにより、検知対象物が移動する場合や、検知対象物が小さい場合であっても、適切にこれを検知し得るようにし、光学センサとしての機能を充分に発揮できる光学素子を提供する。
【解決手段】第1電極2を有する第1ガラス基板3と、複数の第2電極4を有する第2ガラス基板5と、第1ガラス基板3と第2ガラス基板5との間に介在された液晶層6とを備え、第1電極2と第2電極4との間で電位差を生じさせ、液晶分子の配向を制御する光学素子1であって、複数の第2電極4におけるそれぞれの内側端部4aの間に存する隙間領域4bが、非円形状をなすことにより、この隙間領域4bを透過した光は、焦点位置で集光することがない。そのため、検知対象物が移動する場合や、検知対象物が小さい場合であっても適切にこれを検知することができ、光学センサとしての機能が充分に発揮される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極を有する第1ガラス基板と、複数の第2電極を有する第2ガラス基板と、前記第1ガラス基板と前記第2ガラス基板との間に介在された液晶層とを備え、
前記第1電極と前記第2電極との間で電位差を生じさせ、液晶分子の配向を制御して光の進行方向を変化させる光学素子であって、
前記複数の第2電極におけるそれぞれの内側端部の間に存する隙間領域が、非円形状をなすことを特徴とする光学素子。
【請求項2】
前記複数の第2電極におけるそれぞれの内側端部は、直線状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記隙間領域は、多角形状をなしていることを特徴とする請求項2に記載の光学素子。
【請求項4】
前記複数の第2電極は、8個以下であることを特徴とする請求項3に記載の光学素子。
【請求項5】
前記隙間領域は、ライン状をなしていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
【請求項6】
前記隙間領域は、直線状をなしていることを特徴とする請求項5に記載の光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡素な構造で光の進行方向を変化させ得る光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶の特徴を利用した光学素子は、薄型軽量の平板型素子として、目覚ましい発展を続けている。一般に、ネマティック液晶と呼ばれる液晶は、液体のような流動性を持っており、液晶に電圧を印加することによって液晶分子が、電界の方向に配向するという性質を有している。この性質を利用することで種々の電圧可変型の光学素子が提案されている。
【0003】
液晶を利用した平板型の光学素子として例えば、下記特許文献1に開示されている液晶レンズがある。この液晶レンズは、第1電極を有する第1基板と、当該第1電極と対向する面に、円形状の孔が形成された第2電極を有する第2基板と、第1基板と第2基板との間に第1電極と対向して収容された液晶層とを備えている。第2電極は、当該第2電極に形成された孔の半径方向に複数分割されている。また、第2基板の反対側の面には、第3電極が配置されている。
【0004】
この液晶レンズは、第2電極に電圧を印加し、さらに、第3電極に、第2電極に印加している電圧とは独立した別の電圧を印加することにより、第3電極に、第1電極と第2電極との間に生じている電位差とは別の電位差を生じさせ、これにより、液晶層中の液晶分子の配向を制御している。つまり、第3電極に印加する電圧を制御することで、液晶レンズの焦点距離を変化させている。また、第2電極は、孔の半径方向に複数分割されているため、第2電極に印加する電圧を制御すれば、液晶レンズの焦点位置が変化することになる。従って、この液晶レンズは、第2電極及び第3電極にそれぞれに印加する電圧を制御することで焦点位置を三次元的に移動制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−91826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1の液晶レンズにおいては、焦点位置にある検知対象物に対しては、高感度に検知することができるが、焦点位置から外れると検知感度が著しく低下する。この場合、電極に印加する電圧を制御することにより、焦点位置を移動させて、検知対象物に焦点位置を合わせることで、検知対象物を検知することが可能であるが、検知対象物が移動する場合や、検知対象物が小さい場合には、検知対象物に焦点位置を合わせることは困難である。そのため、特許文献1の液晶レンズは、光学センサとしての機能を充分に発揮することができず、これを光学センサとして使用することは実質的に不可能である。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑み、電極の形状を最適化することにより、検知対象物が移動する場合や、検知対象物が小さい場合であっても、適切にこれを検知し得るようにし、光学センサとしての機能を充分に発揮できる光学素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明は、第1電極を有する第1ガラス基板と、複数の第2電極を有する第2ガラス基板と、第1ガラス基板と第2ガラス基板との間に介在された液晶層とを備え、第1電極と第2電極との間で電位差を生じさせ、液晶分子の配向を制御する光学素子であって、複数の第2電極におけるそれぞれの内側端部の間に存する隙間領域が、非円形状をなすことに特徴づけられる。
【0009】
このような構成によれば、第2電極に印加する電圧を制御することにより、それら第2電極間における電位差に応じて、第1電極と第2電極との間に介在させた液晶層中の液晶分子の配向を局所的に制御して、液晶層を透過する光の進行方向を変化させることができる。この場合、光学素子に形成された複数の第2電極の内側端部によって形成される隙間領域は、非円形状をなしていることにより、液晶層を透過した光は、焦点位置で集光することがない。そのため、検知対象物が移動する場合や、検知対象物が小さい場合であっても適切にこれを検知することができる。従って、光学センサとしての機能が充分に発揮される。
【0010】
上記の構成において、複数の第2電極におけるそれぞれの内側端部は、直線状をなしていることが好ましい。
【0011】
このようにすれば、隙間領域を容易且つ確実に非円形状とすることができる。
【0012】
この場合、隙間領域は、多角形状をなしていても良い。
【0013】
このようにすれば、液晶層を透過する光の進行方向を変化させる自由度が高められ、自在に光の進行方向を変化させることができる。
【0014】
複数の第2電極は、8個以下であることが好ましい。
【0015】
このようにすれば、複数の第2電極の相互間に形成される隙間の電極の内側端部で形成される隙間領域が円形状となることを確実に防止することができる。すなわち、8個を超えれば、隙間領域が円形状に近づくため、隙間領域が非円形状であることによる既述の効果を充分に確保できなくなる恐れがある。しかし、8個以下であれば、このような不具合を確実に回避することができる。
【0016】
また、隙間領域は、ライン状をなしていても良い。
【0017】
このようにすれば、第2電極を2個で構成することができ、第2電極の構成を簡素化することができる。
【0018】
また、上記の構成において、隙間領域は、直線状をなしていても良い。
【0019】
このようにすれば、隙間領域を極めて容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように本発明によれば、複数の第2電極におけるそれぞれの内側端部の間に存する隙間領域を非円形状とすることで、この液晶層を透過した光が、焦点位置に集光することがない。そのため、検知対象物が移動する場合や、検知対象物が小さい場合であっても、適切にこれを検知することが可能となり、光学センサとしての機能を充分に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1(a)は、本発明の第一実施形態に係る光学素子の縦断正面図であり、
図1(b)は、
図1(a)の光学素子の平面図である。
【
図3】本発明の第二実施形態に係る光学素子であって、第2電極の形成パターンを示す平面図である。
【
図4】本発明の第三実施形態に係る光学素子であって、第2電極の形成パターンを示す平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る光学素子の変形例を示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る光学素子を図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1(a)は、本発明の第一実施形態に係る光学素子1の縦断正面図を例示している。同図に示すように、この光学素子1は、主たる構成要素として、第1電極2を有する第1ガラス基板3と、第2電極4を有する第2ガラス基板5と、第1ガラス基板3及び第2ガラス基板5を透過する光の進行方向を変化させる液晶層6とを備える。
【0024】
第1ガラス基板3の上面には、透光性を有する透明な第1電極2が形成されると共に、第2ガラス基板5の下面には、透光性を有する透明な第2電極4が形成されている。第1電極2及び第2電極4は、電圧が印加されることによって、液晶層6に電位差を生じさせ、液晶分子を配向させるものである。この液晶分子の配向によって、液晶層6中を透過する光L1が屈折される。第1電極2及び第2電極4の構成材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(以下、ITO)、酸化錫、酸化亜鉛等の透光性導電部材が挙げられる。
【0025】
また、第1電極2の液晶層6に接する面には、液晶分子を一方向に配向させる図示しない配向膜が配置されると共に、第2電極4の液晶層6と対向する面には、透明な絶縁層7が配置され、且つ、絶縁層7の内部には高抵抗膜8が配置されている。また、絶縁層7の液晶層6に接する面にも、図示しない配向膜が配置されている。なお、第1電極2に配置された配向膜と、絶縁層7に配置された配向膜とは、ぞれぞれ液晶分子が配向するとき、その配向方向が異なるように形成されている。
【0026】
第1電極2と絶縁層7との間には、第1ガラス基板3及び第2ガラス基板5間に上下二層の液晶層6を形成する液晶層形成体9が配置されている。本実施形態の光学素子1に組み込まれる液晶層形成体9は、2種類の透明なガラス板9a、9bが3枚積層された状態で形成されている。詳述すると、液晶層形成体9は、長孔状(長円形状)の貫通孔9cが形成された有孔ガラス板9aと、貫通孔9cが形成されていない仕切りガラス板9bとで構成されており、2枚の有孔ガラス板9aが、仕切りガラス板9bを介して上下両面側に接合されると共に、二つの同一形状及び同一面積の貫通孔9cが仕切りガラス板9bの上下両面側に配列されている。
【0027】
液晶層形成体9をこのような構成とすることで、第1ガラス基板3と第2ガラス基板5は、所定の厚みを保ったまま接合され、且つ、仕切りガラス板9bの下面側と第1ガラス基板3における第1電極2の形成面との間、及び、仕切りガラス板9bの上面側と絶縁層7との間に、液晶を封止するための空間が形成される。この二つの空間に液晶が封止されることにより、第1ガラス基板3と第2ガラス基板5との間に液晶層6が二層形成される。
【0028】
また、第1ガラス基板3及び第2ガラス基板5における液晶層形成体9との接合面には、例えば、アルミニウム等がスパッタリングで蒸着されている。そのため、第1電極2及び第2電極4に所定の条件下で電圧を印加し、陽極接合することで、第1ガラス基板3と第2ガラス基板5は、液晶層形成体9を介して離間した状態で接合される。
【0029】
図1(b)は、本発明の第一実施形態に係る光学素子1の平面図である。同図に示すように、この光学素子1には、2個の第2電極4が第2ガラス基板5に形成されており、左右両側にそれぞれ配置されている。これらの第2電極4における内側端部4aの間に存する隙間領域4bは、非円形状をなしている。詳述すると、2個の第2電極4は、それぞれ矩形で且つ同一面積とされ、これらの電極の内側端部4aは、直線状となるように形成されると共に、これら内側端部4aの間に存する隙間領域4bは、ライン状、特に直線状をなすように形成されている。また、第1電極2及び2個の第2電極4は、第2ガラス基板5から僅かに露出しており、この部分に電圧を印加することで、第1電極2と第2電極4との間に電位差が生じる。なお、本実施形態に係る光学素子1では、第1電極2がアースとして機能する。
【0030】
次に、上記の構成を備えた光学素子1を用いて光の進行方向を変化させる作用効果について説明する。
【0031】
図1(a)に示すように、第1ガラス基板3に形成された第1電極2をアースすると共に、第2ガラス基板5における左右両側の2個の第2電極4には、ぞれぞれ電圧V
L、V
Rを印加する。同図では、左側の第2電極4に電圧V
Lを印加し、右側の第2電極4に電圧V
Rを印加する。なお、電圧V
L、V
Rはぞれぞれ別々の電圧供給部から供給される。
【0032】
これにより、第1電極2と左側の第2電極4との間には、電位差V
Lが生じると共に、第1電極2と右側の第2電極4との間には、電位差V
Rが生じる。この電位差V
L、V
Rを制御することで、第2電極4の内側端部4aの間に存する隙間領域4bを境に、液晶層6中の液晶分子の配向は、電位差V
L、V
Rに応じて局所的に変化する。そのため、光学素子1の下方側から進入した光L1は、液晶層6を透過する時、電位差V
L、V
Rに応じて配向した液晶分子によって屈折される。
【0033】
このとき、第2ガラス基板5に形成された2個の第2電極4の内側端部4aの間に存する隙間領域4bは、直線状をなすため、液晶層6を透過した光(以下、屈折光L2と呼ぶ)は、焦点位置で集光することがない。つまり、
図2に示すように、光学素子1の下方側から隙間領域4bに向かって進入した光L1は、液晶層6を透過する時に、第1電極2及び第2電極4間の電圧差V
L、V
Rに起因して配向した液晶分子によって屈折するが、この屈折光は、焦点位置で集光することなく、屈折した方向に直進する。また、第2電極4に印加する電圧V
L、V
Rの差によって、屈折光L2の進行方向を左右に変化させることができる(
図1参照)。
【0034】
このように、本発明の第一実施形態に係る光学素子1は、第2ガラス基板5の左右両側に形成された第2電極4に印加する電圧V
L、V
Rを制御し、第1電極2及び第2電極4間に電位差V
L、V
Rを生じさせ、液晶層6中の液晶分子を配向させることによって、液晶層6を透過する光L1を屈折させることができる。このとき、第2電極4に印加する電圧V
L、V
Rの差を変化させることによって、屈折光L2の進行方向を左右方向に適宜変化させることができる。これにより、本発明に係る光学素子1は、光学センサとして実用的であり、例えば、人感センサ、距離検知センサ、形状測定用センサ等各種の用途に適用可能である。
【0035】
図3は、本発明の第二実施形態に係る光学素子1であって、第2電極4の形成パターンを例示した平面図である。本発明の第二実施形態に係る光学素子1が第一実施形態に係る光学素子1と相違する点は、第2ガラス基板5に4個の第2電極4が形成され、それぞれの第2電極4における内側端部4aの間に存する隙間領域4bが、略正方形となっている点である。同図に示すように、この第2ガラス基板5の左右両側及び上下両側には、それぞれ第2電極4が配置されると共に、各第2電極4における内側端部4aは、直線状をなすように形成されている。これにより、光学素子1の下方側から進入した光L1は、各第2電極4に印加した電圧(この場合は、電圧V
L、V
R、V
U、V
D)によって、進行方向が左右方向のみならず、上下方向にも変化させることができ、光の進行方向を変化させる自由度を高めることができる。つまり、光の進行方向を自在に変化させることできる。従って、本発明に係る光学素子1の光学センサとしての実用性がより高められ、光学素子1の適用範囲を拡大することができる。なお、その他の構成要素については、既述の第一実施形態と同一であるので、両者に共通する構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0036】
また、
図4は、本発明の第三実施形態に係る光学素子1であって、第2電極4の形成パターンを例示した平面図である。本発明の第三実施形態に係る光学素子1が、上記第一実施形態及び第二実施形態に係る光学素子1と相違する点は、第2ガラス基板5に6個の第2電極4が形成され、それぞれの第2電極4における内側端部4aの間に存する隙間領域4bが略正六角形となっている点である。同図に示すように、第2ガラス基板5の上側には、第2電極4が3個形成されている。この3個の第2電極4にはそれぞれ電圧V
UL、V
U、V
URが印加される。同様に、第2ガラス基板5の下側にも、第2電極4が3個形成されており、この3個の第2電極4にはそれぞれ電圧V
DL、V
D、V
DRが印加される。このように、第2電極4の個数を増加させた場合、各第2電極4に印加する電圧をそれぞれ制御することで、既述のように、光の進行方向を変化させる自由度をさらに高めることができ、光の進行方向をより自在に変化させることが可能となる。
【0037】
ここで、第2ガラス基板5に形成する第2電極4の数を8個以下とすることで、第2電極4の相互間に形成される隙間の電極の内側端部4aで形成される隙間領域4bが円形状となることを確実に防止することができる。すなわち、第2電極4の数が8個を超える場合、隙間領域4bが円形状に近づくため、屈折光L2は、焦点位置で集光され易くなり、隙間領域4bが非円形状であることによる既述の効果を充分に確保できなくなる。そのため、第2ガラス基板5に形成する第2電極4の個数を8個以下とすることで、このような不具合を確実に回避することができる。なお、第2ガラス基板5に形成する第2電極4の個数は、好ましくは、2個、4個又は6個であり、より好ましくは、2個又は4個である。なお、その他の構成要素については、既述の第一実施形態及び第二実施形態と同一であるので、両者に共通する構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0038】
また、
図5は、本発明の一実施形態に係る光学素子1の第2ガラス基板5上に拡散レンズとしての凹シリンドリカルレンズ10を配置した状態を例示している。同図に示すように、本発明の一実施形態に係る光学素子1の第2ガラス基板5上に、凹シリンドリカルレンズ10を配置することにより、光学素子1で屈折された屈折光L2は、さらに屈折され、光の進行方向をより大きく変化させることができる。なお、拡散レンズとしては、凹シリンドリカルレンズ10のほか、例えば、凹レンズ等を適宜使用することができる。その他の構成要素については、既述の実施形態と同一であるので、両者に共通する構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0039】
本発明の第一実施形態に係る光学素子1は、この他にも、第1ガラス基板3と第2ガラス基板5との間に、液晶層6が一層形成されたものであってもよい(図示省略)。この場合、第1電極2と絶縁層7との間には、液晶層形成体9として、例えば、既述の有孔ガラス板9aを配置する。このようにすれば、第1ガラス基板3と第2ガラス基板5とは、有孔ガラス板9aによって所定の厚みを保ったまま接合でき、且つ、第1ガラス基板3における第1電極2の形成面と、第2ガラス基板5に配置された絶縁層7との間の空間に液晶を封止することで、第1ガラス基板3と第2ガラス基板5との間に一層の液晶層6が形成される。液晶層6が一層の場合、光学素子1に入射した光L1は、液晶層6を1回透過するのみであるため、光の進行方向の変化量は小さくなるが、光学素子1の構造を簡素化することができる。
【0040】
また、液晶層形成体9を構成する有孔ガラス板9aに形成された貫通孔9cの形状は、長孔形状(長円形状)の他に、矩形状、円形状及び多角形状等、第2ガラス基板5の形状に合わせて適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 光学素子
2 第1電極
3 第1ガラス基板
4 第2電極
4a 内側端部
4b 隙間領域
5 第2ガラス基板
6 液晶層
7 絶縁層
8 高抵抗膜
9 液晶層形成体
9a 有孔ガラス板
9b 仕切りガラス板
9c 貫通孔