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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-225281(P2015-225281A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】レーザー装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20151117BHJP
   G02B 27/22 20060101ALN20151117BHJP
【FI】
   G02B26/10 C
   G02B27/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-111001(P2014-111001)
(22)【出願日】2014年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和浩
【テーマコード(参考)】
2H045
2H199
【Fターム(参考)】
2H045AB00
2H045BA12
2H045DA11
2H045DA41
2H199BA32
2H199BB20
(57)【要約】
【課題】走査部が停止した場合にレーザー光が出射されていても安全性を損なうことがないレーザー装置を提供する。
【解決手段】レーザー光源と、前記レーザー光源から出射されるレーザー光を走査する走査部と、前記走査部が停止した状態で外部に出射される所定方向のレーザー光を減衰させる減衰部と、を備えるレーザー装置としている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光源と、
前記レーザー光源から出射されるレーザー光を走査する走査部と、
前記走査部が停止した状態で外部に出射される所定方向のレーザー光を減衰させる減衰部と、を備えることを特徴とするレーザー装置。
【請求項2】
前記走査部により走査されたレーザー光を反射させる反射部材を更に備え、
前記減衰部は、前記反射部材に設けられた貫通孔であることを特徴とする請求項1に記載のレーザー装置。
【請求項3】
前記反射部材のレーザー光の入射側とは反対側に配された光検出部と、
自装置の起動のときに前記走査部を停止させる停止制御部と、
自装置の起動のときに前記レーザー光源を発光させる発光制御部と、
自装置の起動のときに前記光検出部による検出信号に基づき、前記レーザー光源の発光を禁止するか否かを切替える禁止制御部と、
を更に備えることを特徴とする請求項2に記載のレーザー装置。
【請求項4】
前記減衰部は、前記走査部により走査されたレーザー光が外部に出射されるまでの光路の途中に配された入射光を散乱反射させる散乱反射部であることを特徴とする請求項1に記載のレーザー装置。
【請求項5】
前記走査部により走査されたレーザー光を反射させる反射部材を更に備え、
前記散乱反射部は、前記反射部材の反射面の一部を覆うマスク部であることを特徴とする請求項4に記載のレーザー装置。
【請求項6】
前記走査部により走査されたレーザー光を透過させる出射窓を更に備え、
前記散乱反射部は、前記出射窓の表面を一部覆うマスク部であることを特徴とする請求項4に記載のレーザー装置。
【請求項7】
前記走査部は、レーザー光を垂直方向に走査させる第1の走査部と、レーザー光を水平方向に走査させる第2の走査部と、を含み、
前記第1の走査部と前記第2の走査部のうち前記第1の走査部のみが停止した状態で走査されるレーザー光の軌跡に対応した第1のライン部と、前記第1の走査部と前記第2の走査部のうち前記第2の走査部のみが停止した状態で走査されるレーザー光の軌跡に対応した第2のライン部と、を前記散乱反射部は含むことを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載のレーザー装置。
【請求項8】
前記走査部により走査されたレーザー光を透過させる出射窓と、
前記出射窓の光入射側、且つ走査範囲外に配された光検出部と、
自装置の起動のときに前記走査部を停止させる停止制御部と、
自装置の起動のときに前記レーザー光源を発光させる発光制御部と、
自装置の起動のときに前記光検出部による検出信号に基づき、前記レーザー光源の発光を禁止するか否かを切替える禁止制御部と、
を更に備えることを特徴とする請求項4〜請求項7のいずれか1項に記載のレーザー装置。
【請求項9】
画像光を発光する画像光発光部と、前記画像光発光部による画像光を空間に光学像として結像させる結像部と、前記光学像付近に位置する操作物によって反射されたレーザー光を受光する光検出部と、を更に備え、
前記走査部により走査されたレーザ光は、前記光学像を照射することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のレーザー装置。
【請求項10】
前記減衰部の大きさは、前記操作物よりも小さくしていることを特徴とする請求項10に記載のレーザー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザー光を走査する走査部(スキャナ)を備えたレーザー装置が知られている。
【0003】
レーザー光を扱う機器においては、その安全性が重要となっているが、例えば走査部が何らかの原因で停止した場合、その停止位置において、レーザー光の単位面積当たりの照射量が通常値を大きく超え、安全性が損なわれる恐れがあった。例えば、停止位置で照射されたレーザー光によってユーザーの目が負傷する危険性があった。
【0004】
そこで、例えば特許文献1には、走査部が停止した場合に、その異常を検出し、レーザー光の照射を停止させるレーザー装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−31266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、走査部の停止原因がシステム制御部の暴走であった場合、確実にレーザー光の照射を停止できない可能性があった。
【0007】
上記問題点に鑑み、本発明は、走査部が停止した場合にレーザー光が出射されていても安全性を損なわないレーザー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明のレーザー装置は、
レーザー光源と、
前記レーザー光源から出射されるレーザー光を走査する走査部と、
前記走査部が停止した状態で外部に出射される所定方向のレーザー光を減衰させる減衰部と、を備える構成としている。
【0009】
また、上記構成において、前記走査部により走査されたレーザー光を反射させる反射部材を更に備え、前記減衰部は、前記反射部材に設けられた貫通孔であることとしてもよい。
【0010】
このような構成によれば、走査部が停止した場合にレーザー光は貫通孔を通過するので、反射部材により反射して外部へ出射されることを抑止できる。
【0011】
また、上記構成において、
前記反射部材のレーザー光の入射側とは反対側に配された光検出部と、
自装置の起動のときに前記走査部を停止させる停止制御部と、
自装置の起動のときに前記レーザー光源を発光させる発光制御部と、
自装置の起動のときに前記光検出部による検出信号に基づき、前記レーザー光源の発光を禁止するか否かを切替える禁止制御部と、を更に備えることとしてもよい。
【0012】
このような構成によれば、経年変化等によりレーザ光の出射角度が変化し、自装置の起動のときに、走査部を停止させた状態でレーザー光を試験的に発光させたが、レーザー光が貫通孔を通過する光量が減少し、光検出部により検出される光量が低下した場合、安全性の確保のため、レーザー光源の発光を禁止できる。
【0013】
また、上記構成において、前記減衰部は、前記走査部により走査されたレーザー光が外部に出射されるまでの光路の途中に配された入射光を散乱反射させる散乱反射部であることとしてもよい。
【0014】
更に、上記構成において、前記走査部により走査されたレーザー光を反射させる反射部材を更に備え、前記散乱反射部は、前記反射部材の反射面の一部を覆うマスク部であることとしてもよい。
【0015】
このような構成によれば、走査部が停止した状態でレーザー光はマスク部で散乱反射されてから外部へ出射されるので、外部に所定方向へ出射されるレーザー光を減衰させることができる。
【0016】
また、上記構成において、前記走査部により走査されたレーザー光を透過させる出射窓を更に備え、前記散乱反射部は、前記出射窓の表面を一部覆うマスク部であることとしてもよい。
【0017】
このような構成によれば、走査部が停止した状態でレーザー光はマスク部で散乱反射されて出射窓の内側方向へ戻るので、外部に所定方向へ出射されるレーザー光をほぼ無くして減衰させることができる。
【0018】
また、上記いずれかの構成において、前記走査部は、レーザー光を垂直方向に走査させる第1の走査部と、レーザー光を水平方向に走査させる第2の走査部と、を含み、
前記第1の走査部と前記第2の走査部のうち前記第1の走査部のみが停止した状態で走査されるレーザー光の軌跡に対応した第1のライン部と、前記第1の走査部と前記第2の走査部のうち前記第2の走査部のみが停止した状態で走査されるレーザー光の軌跡に対応した第2のライン部と、を前記散乱反射部は含むこととしてもよい。
【0019】
このような構成によれば、走査部において第1の走査部と第2の走査部のうち一方のみが停止した場合でも、レーザー光を第1のライン部または第2のライン部によって散乱反射させることで安全性を確保することができる。
【0020】
また、上記いずれかの構成において、
前記走査部により走査されたレーザー光を透過させる出射窓と、
前記出射窓の光入射側、且つ走査範囲外に配された光検出部と、
自装置の起動のときに前記走査部を停止させる停止制御部と、
自装置の起動のときに前記レーザー光源を発光させる発光制御部と、
自装置の起動のときに前記光検出部による検出信号に基づき、前記レーザー光源の発光を禁止するか否かを切替える禁止制御部と、を更に備えることとしてもよい。
【0021】
このような構成によれば、経年変化等によりレーザ光の出射角度が変化し、自装置の起動のときに、走査部を停止させた状態でレーザー光を試験的に発光させたが、レーザー光が散乱反射部に入射せず、光検出部により検出される光量が低下した場合、安全性の確保のため、レーザー光源の発光を禁止できる。
【0022】
また、上記いずれかの構成において、画像光を発光する画像光発光部と、前記画像光発光部による画像光を空間に光学像として結像させる結像部と、前記光学像付近に位置する操作物によって反射されたレーザー光を受光する光検出部と、を更に備え、
前記走査部により走査されたレーザ光は、前記光学像を照射することとしてもよい。
【0023】
このような構成によれば、ユーザーが光学像を観察しながら操作する、即ちユーザーがレーザー光の出射側に位置することが前提となる仮想的な入力インタフェースにおいて、走査部が停止した場合にユーザー側へ所定方向に出射されるレーザー光を減衰させることができ、有意義に安全性を確保することができる。
【0024】
また、上記構成において、前記減衰部の大きさは、前記操作物よりも小さくしていることしてもよい。
【0025】
このような構成によれば、通常のレーザー光の走査時において、仮想的な入力インタフェースの操作性低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のレーザー装置によると、走査部が停止した場合にレーザー光が出射されていても安全性を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1実施形態に係る仮想的入力インタフェース装置の概略構成(側面図)を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る反射素子集合基板による画像の結像を示す斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る反射素子集合基板の一部概略平面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る反射素子集合基板の一部概略斜視図である。
図5図3におけるA−A線断面を示す断面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係るプロジェクタユニットの詳細構成を含む仮想的入力インタフェース装置のブロック構成図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る折り曲げミラーに対するレーザー光の入射の様子を示す側面図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る折り曲げミラーに対するレーザー光の入射の様子を示す正面図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る仮想的入力インタフェース装置の概略構成(側面図)を示す図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る折り曲げミラーに対するレーザー光の入射の様子を示す側面図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る折り曲げミラーの正面図である。
図12】本発明の第3実施形態に係る折り曲げミラーの正面図である。
図13】本発明の第4実施形態に係る折り曲げミラー及び出射窓に対するレーザー光の入射の様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1実施形態>
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る仮想的入力インタフェース装置の概略構成(側面図)を図1に示す。
【0029】
図1に示す仮想的入力インタフェース装置10(レーザー装置の一例)は、2面コーナーリフレクタアレイ基板(反射素子集合基板)1と、液晶表示部2と、プロジェクタユニット3と、光検出器4と、折り曲げミラー5と、出射窓6と、光検出部7を備えている。
【0030】
図2に概略斜視図を示すように、2面コーナーリフレクタアレイ基板1(結像部の一例)は、液晶表示部2(画像光発光部の一例)により表示された画像の光学像Sを空中に結像させて、それを観察者が見ることができるようにするものである。2面コーナーリフレクタアレイ基板1の構成を具体的に図3図5を用いて説明する。
【0031】
2面コーナーリフレクタアレイ基板1の一部概略平面図を図3に示す。また、2面コーナーリフレクタアレイ基板1の一部概略斜視図を図4に示す。
【0032】
2面コーナーリフレクタアレイ基板1は、基板1Aに対して、基板1Aの主面を垂直方向に貫通する正方形状の貫通孔1Bが平面視で千鳥状に配置されて形成される構成となっている。貫通孔1Bの平らな内壁面のうち直交する2つに、それぞれ鏡面M1及びM2を2面コーナーリフレクタとして形成している。
【0033】
図3におけるA−A線断面を図5に示す。図5に示すように、基板1Aの一方の主面F2側にある空間内に配された点光源oから出射された光線は、2面コーナーリフレクタ(鏡面M1及びM2)にて2回反射して、屈曲しつつ基板1Aを透過する。点光源oから出射されて異なる2面コーナーリフレクタに向かうそれぞれの光線は、2面コーナーリフレクタにて2回反射された後、点光源oが配された側の基板1Aの主面F2と反対側の主面F1側の空間において1点の光学像pに結像される。
【0034】
画像の光を面発光する液晶表示部2は点光源の集合であると捉えることができる。従って、基板1Aの一方の主面F2側にある空間(図2における主面F2の下方の空間)に配された液晶表示部2により面発光された画像光の光線は、2面コーナーリフレクタでの反射により、他方の主面F1側の空間(図2における主面F1の上方の空間)において液晶表示部2と対称な位置に光学像Sとして結像される。これにより、観察者であるユーザーは、空中に画像が表示されている感覚を得ることができる。
【0035】
次に、プロジェクタユニット3の詳細について図6も参照しつつ説明する。図6に示すように、プロジェクタユニット3は、光源制御部31と、赤外レーザーダイオード(赤外LD)32と、コリメータレンズ33と、アパーチャー34と、ビームスプリッター35と、光検出部36と、垂直走査ミラー37と、水平走査ミラー38と、走査ミラー駆動制御部39を備えている。
【0036】
赤外LD32によって出射された赤外レーザー光は、コリメータレンズ33によって略平行光に変換され、アパーチャー34の開口部によって絞られる。アパーチャー34によって絞られた後の赤外レーザー光は、ビームスプリッター35によって一部が反射されて光検出部36によって受光され、一部はビームスプリッター35を透過して垂直走査ミラー37へ入射される。
【0037】
光源制御部31は、光検出部36からの検出信号に基づき、赤外LD32の発光パワーを一定とするように赤外LD32に供給する駆動電流を制御する。
【0038】
また、レーザー光を垂直方向に走査するよう偏向可能な垂直走査ミラー37に入射されて反射された赤外レーザー光は、レーザ光を水平方向に走査するよう偏向可能な水平走査ミラー38に入射されて反射し、プロジェクタユニット3の筐体外部へ出射される。走査ミラー駆動制御部39が、垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38の駆動制御を行う。なお、垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38は、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーによって構成される。このような垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38の偏向によって赤外レーザー光は2次元的に走査される。
【0039】
このようにプロジェクタユニット3によって2次元的に走査された赤外レーザー光は、図7及び図8に示すように、折り曲げミラー5によって反射されて光路を折り曲げられる(図7及び図8の破線部)。折り曲げミラー5によって反射された赤外レーザー光は、出射窓6を透過して光学像Sを裏面から照射する(図1)。従って、赤外レーザー光は、光学像Sに対して2次元的に走査される。
【0040】
ここで、光学像Sの観察者であるユーザーが操作物(指など)を光学像S付近に位置させると、赤外レーザー光が操作物によって散乱反射し、光検出器4によって受光される。ここで、図6に示す仮想的入力インタフェース装置10が備える制御装置8は、光検出器4によって赤外レーザー光が検出されたタイミングでの垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38の駆動状態に基づき、操作物によって反射された赤外レーザー光の光学像Sにおける照射位置の画像を判断し、当該画像に応じた制御を行う。これにより、ユーザーが光学像Sにおいて操作した画像に応じた動作が行われることとなり、仮想的入力インタフェースとしての機能が実現される。
【0041】
以上のように通常時はプロジェクタユニット3から2次元的に走査された赤外レーザー光が出射されるのであるが、走査ミラー駆動制御部39における断線又はショートの発生等によって垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38の走査のための偏向動作が停止され、所定の偏向位置で静止してしまう場合が生じる。このような場合に、図7及び図8に示すように、垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38によって反射されてプロジェクタユニット3から出射される赤外レーザー光L1が通過するような貫通孔51が折り曲げミラー5に設けられる。
【0042】
即ち、垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38が停止した状態で折り曲げミラー5の反射面にて反射されて外部へ所定方向に出射される赤外レーザー光をなくすことで減衰させる減衰部として貫通孔51は機能する。
【0043】
これにより、何らかの原因で垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38が停止した場合にプロジェクタユニット3から赤外レーザー光が出射されたとしても、折り曲げミラー5における反射によって光学像S側へ赤外レーザー光が向かうことを防止できる。従って、光学像Sの観察者であるユーザーの目が負傷する可能性を回避することができる。
【0044】
なお、通常時の赤外レーザー光の走査中には、赤外レーザー光は一部貫通孔51を通過して光学像S側へ向かわないことになる。しかしながら、貫通孔51の大きさを操作物よりも小さくすることで、操作性が損なわれることは抑制される。例えば、貫通孔51の面積を、指などの先端部の正面視の面積より小さくすればよい。
【0045】
更に、本実施形態では、仮想的入力インタフェース装置10の起動時に制御装置8は次のような制御を行う。制御装置8は、走査ミラー駆動制御部39に対して垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38の駆動を停止するよう指令し、光源制御部31に対しては試験的に赤外LD32から赤外レーザー光を発光するよう指令する。これにより、停止した垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38によって赤外レーザー光が反射され、プロジェクタユニット3から出射される。
【0046】
次に、制御装置8は、折り曲げミラー5の裏面側に配されたフォトダイオード等である光検出部7からの検出信号に基づき、検出された赤外レーザー光の光量が所定の設定値以上であるか否かを判定する。もし光量が設定値以上であった場合は、制御装置8は、光源制御部31による赤外レーザー光の発光、及び走査ミラー駆動制御部39による走査ミラー駆動を許可する通常モードに移行する。つまり、以降、プロジェクタユニット3による赤外レーザー光の走査が可能となる。
【0047】
一方、光量が設定値より低かった場合は、制御装置8は、光源制御部31による赤外レーザー光の発光、及び走査ミラー駆動制御部39による走査ミラー駆動を禁止するモードへ移行する。つまり、以降、プロジェクタユニット3からの赤外レーザー光の出射は行われない。
【0048】
プロジェクタユニット3における赤外LD32や光学部品は例えば接着剤を用いて固定されており、経年変化によってプロジェクタユニット3からの赤外レーザー光の出射角度が変化する場合がある。出射角度が変化せず、垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38が停止した状態で出射される赤外レーザー光が貫通孔51を通過すれば、光検出部7により検出される光量は設定値以上となる。この場合は、安全性が保たれているので、上述のように、赤外レーザー光の走査が許可される。
【0049】
一方、経年変化によって赤外レーザー光の出射角度が変化した場合は、垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38が停止した状態で出射される赤外レーザー光の貫通孔51を通過する光量が低下し、光検出部7により検出される光量が設定値未満となる。
【0050】
このときに、仮に、赤外レーザー光の走査を許可すれば、もし何らかの原因で垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38が停止したときに赤外レーザー光が折り曲げミラー5によって反射され、光学像S側へ向かうこととなり、安全性を損なう結果となる。そこで、上述のように、光源制御部31による赤外レーザー光の発光を禁止することにより、安全性が損なわれることを防いでいる。
【0051】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態に係る仮想的入力インタフェース装置の概略構成(側面図)を図9に示す。図9に示した仮想的入力インタフェース装置10’の構成における第1実施形態との相違点としては、折り曲げミラー5’と光検出部7’となる。
【0052】
本実施形態では、図10に示すように、プロジェクタユニット3において垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38が停止した場合にプロジェクタユニット3から出射される赤外レーザー光L2が入射されて散乱反射させるマスク部51’が折り曲げミラー5’に設けられる。図11は、レーザー光の入射側から視た折り曲げミラー5’の正面図を示しており、折り曲げミラー5’の表面を一部、略円形状に覆うマスク部51’は、拡散素材から構成される。
【0053】
このような構成により、何らかの原因で垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38が停止した場合にプロジェクタユニット3から赤外レーザー光が出射されたとしても、マスク部51’によって散乱反射されてから光学像S側へ向かうので、単位面積当たりの照射量が軽減され、安全性を損なうことが無い。即ち、垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38が停止した状態で仮に折り曲げミラー5’の反射面にて反射されて外部へ所定方向に出射される赤外レーザー光を減衰させる減衰部としてマスク部51’は機能する。
【0054】
なお、通常時の赤外レーザー光の走査中には、赤外レーザー光は一部、マスク部51’によって散乱反射されることになる。しかしながら、マスク部51’の大きさを操作物(指など)よりも小さくすることで、操作性が損なわれることは抑制できる。例えば、マスク部51’の面積を、指などの先端部の正面視の面積より小さくすればよい。
【0055】
更に、本実施形態では、図10に示すように、出射窓6の内側(レーザー光の入射側)、且つ赤外レーザー光の走査範囲外に光検出部7’が配置されている。
【0056】
仮想的入力インタフェース装置10’の起動時に制御装置8は、第1実施形態と同様に、垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38を停止させた状態で赤外レーザー光をプロジェクタユニット3から試験的に出射させる。
【0057】
そして、制御装置8は、光検出部7’からの検出信号に基づき、検出された赤外レーザー光の光量が所定の設定値以上であるか否かを判定する。もし光量が設定値以上であった場合は、制御装置8は、赤外レーザー光の走査を許可する通常モードに移行する。一方、光量が設定値より低かった場合は、制御装置8は、赤外レーザー光の出射及び走査を禁止するモードに移行する。
【0058】
先述したように、経年変化によってプロジェクタユニット3からの赤外レーザー光の出射角度が変化する場合があるが、もし変化していない場合、垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38が停止した状態で出射された赤外レーザー光は、マスク部51’に入射されて散乱反射され、光検出部7’によって検出される(図10のハッチング部)。この場合は、安全性が保たれているので、赤外レーザー光の走査が許可される。
【0059】
一方、赤外レーザー光の出射角度が変化した場合は、垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38が停止した状態で出射された赤外レーザー光は、折り曲げミラー5のマスク部51’以外の反射面にて反射される。光検出部7’は、走査範囲外に配置されるので、反射されたレーザー光を受光しない。この場合、仮に赤外レーザー光の走査を許可すれば、もし何らかの原因で垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38が停止したときに赤外レーザー光が折り曲げミラー5によって反射され、光学像S側へ向かうこととなり、安全性を損なう結果となる。そこで、上述のように、赤外レーザー光の発光を禁止することにより、安全性が損なわれることを防いでいる。
【0060】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、先述の第2実施形態の変形例となる。本実施形態は、第2実施形態との相違点として、図12に示すような折り曲げミラー5’ ’を備えている(図12はレーザー光の入射側から視た正面図)。
【0061】
図12に示すように、折り曲げミラー5’ ’には、反射面の一部を覆うようにマスク部51’ ’が設けられる。マスク部51’ ’は、ライン部M1とライン部M2から成る。
【0062】
左右に伸びるライン部M1は、プロジェクタユニット3における走査ミラーのうち垂直走査ミラー37のみが停止した状態で水平走査ミラー38は走査のための偏向動作を行っている場合にプロジェクタユニット3から出射される赤外レーザー光が照射される軌跡に対応している。
【0063】
また、上下に伸びるライン部M2は、プロジェクタユニット3における走査ミラーのうち水平走査ミラー38のみが停止した状態で垂直走査ミラー37は走査のための偏向動作を行っている場合にプロジェクタユニット3から出射される赤外レーザー光が照射される軌跡に対応している。
【0064】
このような実施形態により、何らかの原因でプロジェクタユニット3において垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38のうちいずれか一方のみが停止した場合でも、プロジェクタユニット3から出射された赤外レーザー光は、マスク部51’ ’によって散乱反射されてから光学像S側へ向かうので、安全性を損なうことが無い。なお、垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38の両方が停止した場合は、出射された赤外レーザー光は、ライン部M1とM2の交差部において散乱反射される。
【0065】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態の変形例となり、図13に示すように、折り曲げミラー50及び出射窓60が構成の相違点である。
【0066】
図13では、折り曲げミラー50ではなく、出射窓60の表面(レーザー光の入射側)の一部を覆うようにマスク部601が設けられている。何らかの原因でプロジェクタユニット3における垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38が停止した場合にプロジェクタ3から出射される赤外レーザー光は、折り曲げミラー50で反射され、出射窓60に設けられたマスク部601に入射されて散乱反射され、出射窓60の内側へ戻される。このようにしても、安全性を損なうことを防ぐことができる。即ち、垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38が停止した状態で仮に出射窓60を透過して外部へ所定方向に出射される赤外レーザー光をなくすことで減衰させる減衰部としてマスク部601は機能する。
【0067】
また、本実施形態では、光検出部70は、出射窓60の内側、且つレーザー光の走査範囲外に配置される。そして、仮想的入力インタフェース装置の起動時に垂直走査ミラー37及び水平走査ミラー38を停止させた状態で試験的にプロジェクタユニット3から赤外レーザー光を出射させる。もしレーザー光がマスク部601によって散乱反射され、光検出部70で検出される光量が設定値以上となれば、安全性が保たれているとして、赤外レーザー光の走査が許可される。
【0068】
一方、経年変化による出射角度の変化により、レーザー光がマスク部601以外の出射窓60の表面に入射して透過し、光検出部70によって検出される光量が設定値未満となった場合は、安全性を確保するため、赤外レーザー光の出射及び走査が禁止される。
【0069】
なお、本実施形態の変形例として、出射窓60に設けられるマスク部は、図12で示したような2つのライン部により構成されるものでもよい。また、マスク部は、出射窓60の出射側の表面に設けてもよい。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変形が可能である。
【0071】
例えば、以上の実施形態では仮想的入力インタフェース装置を例として説明したが、赤外レーザー光の代わりにRGBの合成レーザー光をプロジェクタユニットによって走査したものをスクリーンに照射させるプロジェクタ装置に適用してもよい。但し、この場合、ユーザーがスクリーンとプロジェクタ装置の間に入った場合の安全性を高めることができるが、このような状況は比較的少ないともいえる。一方、上述した仮想的入力インタフェース装置の場合は、空間に結像された光学像Sをユーザーが観察すること、即ち、レーザー光の出射側にユーザーが位置することが前提となるので、安全性を確保することの重要性が増す。
【符号の説明】
【0072】
1 2面コーナーリフレクタアレイ基板(反射素子集合基板)
2 液晶表示部
3 プロジェクタユニット
4 光検出器
5 折り曲げミラー
6 出射窓
7 光検出部
8 制御装置
10 仮想的入力インタフェース装置
31 光源制御部
32 赤外レーザーダイオード
33 コリメータレンズ
34 アパーチャー
35 ビームスプリッター
36 光検出部
37 垂直走査ミラー
38 水平走査ミラー
39 走査ミラー駆動制御部
51 貫通孔
5’、5’ ’ 折り曲げミラー
50 折り曲げミラー
51’、51’ ’ マスク部
M1、M2 ライン部
60 出射窓
70 光検出部
601 マスク部
S 光学像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図13