特開2015-225542(P2015-225542A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-225542(P2015-225542A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】決済端末
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/06 20120101AFI20151117BHJP
   G06Q 20/32 20120101ALI20151117BHJP
   G06Q 40/02 20120101ALI20151117BHJP
   G07F 7/08 20060101ALI20151117BHJP
   G07G 1/12 20060101ALI20151117BHJP
【FI】
   G06Q20/06 120
   G06Q20/32
   G06Q40/02 140
   G07F7/08 R
   G07F7/08 L
   G07G1/12 321P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-110489(P2014-110489)
(22)【出願日】2014年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 敏雄
【テーマコード(参考)】
3E044
3E142
5L055
【Fターム(参考)】
3E044AA20
3E044BA06
3E044CA01
3E044CB01
3E044DE01
3E142EA18
3E142FA08
3E142FA22
3E142GA06
3E142GA17
3E142HA03
3E142JA01
5L055AA15
5L055AA64
5L055BB32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】決済端末のユーザの利便性が損なわれることを抑制する技術を提供する。
【解決手段】決済端末10は、他の決済端末60を検出可能であると共に検出された決済端末60と通信可能なNFCI/F16と、制御部18と、電子マネー決済を行うための設定データ40を記憶するメモリ24と、を有している。制御部18は、メモリ24内の設定データ40を用いて電子マネー決済を実行し、NFCI/F16が決済端末60を検出する場合において、NFCI/F16を介して決済端末60から設定データの送信を要求するデータ要求信号を受信し、データ要求信号が受信された場合に、メモリ24に決済不能フラグを記憶させ、データ要求信号が受信された場合に、メモリ24内の設定データ40を、NFCI/F16を介して、決済端末60に送信する。制御部18は、メモリ24に決済不能フラグが記憶されている場合に、電子マネー決済を実行しないように構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子マネー決済を行うための決済端末であって、
他の決済端末を検出可能であると共に検出された他の決済端末と通信可能な通信インターフェースと、
制御装置と、
電子マネー決済を行うための設定データを記憶するメモリと、を有しており、
制御装置は、
メモリ内の設定データを用いて電子マネー決済を実行する決済実行部と、
通信インターフェースが他の決済端末を検出する場合において、通信インターフェースを介して当該他の決済端末から設定データの送信を要求する要求信号を受信する信号受信部と、
要求信号が受信された場合に、メモリに決済不能フラグを記憶させる記憶制御部と、
要求信号が受信された場合に、メモリ内の設定データを、通信インターフェースを介して、他の決済端末に送信するデータ送信部を備え、
決済実行部は、メモリに決済不能フラグが記憶されている場合に、電子マネー決済を実行しない、
決済端末。
【請求項2】
制御装置は、
通信インターフェースが他の決済端末を検出する場合に、通信インターフェースを介して当該他の決済端末に要求信号を送信する信号送信部と、
要求信号が送信された場合に、通信インターフェースを介して、他の決済端末から設定データを受信するデータ受信部と、をさらに備える、
請求項1の決済端末。
【請求項3】
設定データが他の決済端末に供給された後に、設定データがメモリから消去される、
請求項1又は2の決済端末。
【請求項4】
メモリは、不揮発メモリと揮発メモリとを有し、
不揮発メモリは設定データを記憶しており、
記憶制御部は、要求信号が受信されると、さらに、不揮発メモリ内の設定データを揮発メモリに記憶させるとともに、不揮発メモリ内から設定データを消去し、
データ送信部は、揮発メモリ内の設定データを、通信インターフェースを介して、他の決済端末に送信し、
決済実行部は、不揮発メモリ内の設定データを用いて電子マネー決済を実行可能であり、揮発メモリ内の設定データを用いて電子マネー決済を実行不可能である、
請求項1から3のいずれか一項の決済端末。
【請求項5】
決済端末は、さらに、メモリに電力を供給するための充電池を有している、
請求項4の決済端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、電子マネー決済を行うための決済端末に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、プリペイドカードを消費金額に応じて処理するシステムを開示する。特許文献1のシステムは、プリペイドカードをセットして利用する読書装置と、プリペイドカードの消費金額を管理する決済センタを備える。読書装置は、セットされたプリペイドカードの残高を、消費金額に応じて更新し、売上情報を生成して決済センタに送信する。特許文献1の技術では、一の読書装置が故障した場合、ユーザは、他の読書装置にプリペイドカードをセットすることにより、他の読書装置を利用できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−242832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子マネー決済を行うための決済システムも存在する。従来、電子マネー決済を行うための決済システムでは、電子マネー決済を行うための決済端末と、決済端末と通信可能に接続され、電子マネー決済を行うための設定データを記憶するセンタサーバを備える。決済端末のユーザは、センタサーバの提供者に、設定データの利用申込みを行う。センタサーバは、申込みが行われた決済端末に関する情報を登録し、その決済端末のための設定データを決済端末に供給する。決済端末は、センタサーバから設定データを取得し、取得された設定データを利用して、電子マネー決済を実行する。
【0005】
電子マネー決済を行うための設定データは、その性質上、ユーザが複製して複数個の決済端末で同時に利用することができないように制限されている。そのため、従来の技術では、決済端末が故障した場合のように、第1の決済端末での電子マネー決済を終了し、新たに第2の決済端末での電子マネー決済を開始する場合、プリペイドカードを他の端末にセットすれば済む上記特許文献1の技術とは異なり、ユーザは、センタサーバの提供者に、第1の決済端末での設定データの利用を終了する申込みを行うとともに、新たに第2の決済端末で設定データを利用するための申込みを行う必要がある。センタサーバは、申込みに従い、第1の決済端末での設定データの利用を終了する処理、及び、第2の決済端末に新たに設定データを供給する処理を行う必要がある。この場合、センタサーバにおける利用終了処理、及び、設定データの新規供給処理に長期間を要するおそれがある。ユーザの希望するタイミングで第2の決済端末に設定データが供給されない可能性があり、ユーザの利便性が損なわれる可能性がある。
【0006】
本明細書では、従来の技術と比べて、決済端末のユーザの利便性が損なわれることを抑制することができる技術を提供する。
【0007】
本明細書が開示する決済端末は、電子マネー決済を行うための決済端末である。決済端末は、他の決済端末を検出可能であると共に検出された他の決済端末と通信可能な通信インターフェースと、制御装置と、電子マネー決済を行うための設定データを記憶するメモリと、を有している。制御装置は、メモリ内の設定データを用いて電子マネー決済を実行する決済実行部と、通信インターフェースが他の決済端末を検出する場合において、通信インターフェースを介して当該他の決済端末から設定データの送信を要求する要求信号を受信する信号受信部と、要求信号が受信された場合に、メモリに決済不能フラグを記憶させる記憶制御部と、要求信号が受信された場合に、メモリ内の設定データを、通信インターフェースを介して、他の決済端末に送信するデータ送信部を備える。決済実行部は、メモリに決済不能フラグが記憶されている場合に、電子マネー決済を実行しない。
【0008】
上記の構成によると、一の決済端末での電子マネー決済を終了し、新たに他の決済端末での電子マネー決済を開始する場合に、一の決済端末及び他の決済端末のユーザが、センタサーバの提供者に、一の決済端末における設定データの利用終了の申込み、及び、他の決済端末における設定データの利用申込みを行う必要がない。センタサーバにおいて新たに処理が行われることを待つ必要もない。そのため、ユーザの希望するタイミングで他の決済端末に設定データを供給することができる。従って、センタサーバが、一の決済端末における設定データの利用終了処理と、他の決済端末への設定データの供給処理とを行うのを待たなければならない従来の技術と比べて、ユーザの利便性が損なわれることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施例の決済システムの構成を模式的に示す図。
図2】第1実施例の決済端末10の制御部18が実行するデータ送信処理を示すフローチャート。
図3】第1実施例の決済端末60の制御部68が実行するデータ受信処理を示すフローチャート。
図4】第1実施例の決済端末10と他の決済端末60との間で実行される処理の具体例を示すシーケンスチャート。
図5】第2実施例の決済端末10の制御部18が実行するデータ送信処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に示す技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。
【0011】
(特徴1)制御装置は、通信インターフェースが他の決済端末を検出する場合に、通信インターフェースを介して当該他の決済端末に要求信号を送信する信号送信部と、要求信号が送信された場合に、通信インターフェースを介して、他の決済端末から設定データを受信するデータ受信部と、をさらに備えてもよい。
【0012】
この構成によると、決済端末は、ユーザの希望するタイミングで、他の決済端末から適切に設定データを取得することができる。
【0013】
(特徴2)設定データが他の決済端末に供給された後に、設定データがメモリから消去されてもよい。
【0014】
この構成によると、決済端末のメモリ内に設定データを残さないようにすることができる。1個の設定データが、複数個の決済端末で同時に利用される状況が発生することを防止することができる。
【0015】
(特徴3)メモリは、不揮発メモリと揮発メモリとを有していてもよい。不揮発メモリは設定データを記憶していてもよい。記憶制御部は、要求信号が受信されると、さらに、不揮発メモリ内の設定データを揮発メモリに記憶させるとともに、不揮発メモリ内から設定データを消去してもよい。データ送信部は、揮発メモリ内の設定データを、通信インターフェースを介して、他の決済端末に送信してもよい。決済実行部は、不揮発メモリ内の設定データを用いて電子マネー決済を実行可能であり、揮発メモリ内の設定データを用いて電子マネー決済を実行不可能であってもよい。
【0016】
この構成によると、決済端末は、他の決済端末から要求信号が受信されると、不揮発メモリ内の設定データを揮発メモリに記憶させ、不揮発メモリ内から設定データを消去することにより、決済端末において設定データを用いで電子マネー決済を実行できない状態に移行させることができる。また、揮発メモリ内に記憶された設定データは、決済端末への電源供給が遮断された時点で消去される。そのため、揮発メモリ内の設定データが他の決済端末に送信された後に、決済端末への電源供給を遮断すれば、決済端末内に設定データを残さないようにすることができる。1個の設定データが、複数個の決済端末で同時に利用される状況が発生することを適切に防止することができる。
【0017】
(特徴4)決済端末は、さらに、メモリに電力を供給するための充電池を有していてもよい。
【0018】
この構成によると、揮発メモリ内に記憶された設定データを他の決済端末に送信している間に、決済端末への電源供給が遮断される場合であっても、決済端末は、充電池から供給される電力を利用して設定データの送信を継続することができる。他の決済端末への設定データの送信を適切に行うことができる。また、不揮発メモリ内の設定データが揮発メモリに記憶され、不揮発メモリ内の設定データが消去された後に、充電池の蓄電量が閾値以下に低下すると、揮発メモリ内の設定データが自動的に消去される。従って、この場合も、1個の設定データが複数個の決済端末で同時に利用される状況が発生することを適切に防止することができる。
【0019】
(第1実施例)
(システム構成;図1
図1に示す決済システム2は、決済端末10と、POS(Point Of Sales)端末50と、決済媒体100と、決済端末60と、POS端末90と、を備える。決済システム2は、例えば、商店内で利用されるシステムであって、商品の販売に伴う決済を行うシステムである。決済システム2を用いて商店内で決済を行う場合、まず、ユーザ(商店の店員)がPOS端末50を操作し、顧客が購入を希望する商品の金額(即ち、決済金額)、顧客が決済に利用することを希望する電子マネーの種類等、決済に必要な決済情報を入力する。POS端末50は、入力された決済情報を決済端末10に送信する。決済端末10は、受信した決済情報を記憶する。その後、顧客が、自身が所有する決済媒体100を決済端末10に近づけると、決済端末10とその決済媒体100との間で通信が行われ、必要な決済が行われる。
【0020】
決済端末10は、操作部12と、表示部14と、NFC(Near Fiele Communication)インターフェース16と、制御部18と、充電池20と、有線インターフェース22と、メモリ24と、を備える。以下では、インターフェースのことを「I/F」と記載する。
【0021】
操作部12は、複数のキーを備える。決済端末10のユーザ(例えば、店員)は、操作部12を操作することによって、様々な指示を決済端末10に入力することができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。
【0022】
NFCI/F16は、決済媒体100、及び、他の決済端末60との間で近距離無線通信を実行するためのインターフェースである。NFCI/F16は、図示しないアンテナ及び送受信回路を備えている。NFCI/F16は、決済媒体100及び他の決済端末60を検出可能である。
【0023】
制御部18は、メモリ24内のプログラム32に従って様々な処理を実行する。制御部18は、NFCI/F16を介して、決済媒体100及び他の決済端末60と通信を実行することができる。制御部18が実行する処理の内容は後で詳しく説明する。また、制御部18は、NFCI/F16が決済端末60を検出する場合には、決済端末60からNFCI/F16を介して電力供給を受けて動作することができる。
【0024】
充電池20は、決済端末10への電源供給(図示しない)が遮断された場合において、メモリ24に電力を供給する。
【0025】
有線I/F22は、POS端末50と有線通信を行うためのインターフェースである。決済端末10は、有線I/F22を介して、POS端末50と有線通信可能に接続されている。ただし、制御部18が、後述のデータ送信処理(図2参照)を実行する場合には、有線I/F22にはPOS端末50が接続されていなくてもよい。
【0026】
メモリ24は、不揮発メモリ30と、揮発メモリ34とを有する。不揮発メモリ30は、各種処理(図2のデータ送信処理、図3のデータ受信処理、等)を実行するためのプログラム32を記憶している。また、不揮発メモリ30は、設定データ40を記憶している。揮発メモリ34は、各種処理に伴うデータを一時的に記憶するためのメモリである。
【0027】
設定データとは、決済端末(例えば決済端末10、60)が、決済媒体(例えば決済媒体100)との間で電子マネー決済を行うために用いられるデータである。電子マネー決済の実行を希望する決済端末は、設定データを用いない限り、電子マネー決済を行うことができない。具体的には、設定データには、利用可能な電子マネー種類を示す種類情報、電子マネー種類毎に、決済データを暗号化/復号化するための鍵情報、等が含まれている。設定データは、電子マネー決済を行うための設定データを記憶するセンタサーバ(図示しない)によって供給されるデータである。決済端末のユーザは、センタサーバの提供者に、設定データの利用申込みを行う。センタサーバは、申込みが行われた決済端末に関する情報を登録し、その決済端末のための設定データを決済端末に供給する。決済端末は、センタサーバから設定データを取得し、取得された設定データを利用することにより、電子マネー決済を実行することができる。
【0028】
制御部18は、不揮発メモリ30内に記憶されている設定データ40を用いて、決済媒体100との間で電子マネー決済を実行することができる。
【0029】
また、不揮発メモリ30は、決済端末10が行う決済に関連する決済関連情報を記憶するための決済関連情報記憶領域も有している。決済関連情報とは、例えば、決済媒体のID、決済金額、電子マネーの種類、決済時刻等を示す情報である。制御部18は、不揮発メモリ30に記憶されている決済関連情報を定期的にセンタサーバに送信する。
【0030】
POS端末50は、ユーザ(商店の店員)によって操作されるレジ端末である。ユーザは、POS端末50を操作して決済に必要な決済情報を入力することができる。また、ユーザは、POS端末50を操作して、決済端末10に指示を与えることもできる。また、POS端末50は、所定時間毎に、決済端末10から決済関連情報を受信し、受信された決済関連情報を記憶する。
【0031】
決済端末60は、決済端末10と同様の構成を備える端末である。即ち、決済端末60も、決済端末10と同様に、操作部62、表示部64、NFCI/F66、制御部68、充電池70、有線I/F72、及び、メモリ74を備える。メモリ74は、不揮発メモリ80と揮発メモリ84とを備える。不揮発メモリ80は、プログラム32と同様のプログラム82を記憶している。そのため、制御部68は、決済端末10の制御部18と同様の処理を実行することができる。ただし、図1の例では、不揮発メモリ80には設定データが記憶されていない点が決済端末10とは異なる。
【0032】
POS端末90は、POS端末50と同様の構成を備える端末である。
【0033】
決済媒体100は、例えば、顧客が所持するICカード、携帯電話端末等、決済端末10と近距離無線通信を実行可能な媒体である。
【0034】
(決済端末10の制御部18が実行するデータ送信処理;図2
続いて、図2を参照して、本実施例の決済端末10の制御部18が実行するデータ送信処理について説明する。不揮発メモリ30内に設定データ40が記憶されている決済端末10の操作部12で所定のデータ送信準備操作が行われると、制御部18は、図2のデータ送信処理を開始する。他の例では、データ送信準備操作は、決済端末10に接続されているPOS端末50で行われてもよい。
【0035】
S10では、制御部18は、NFCI/F16を介して、他の決済端末60から、設定データの送信を要求するデータ要求信号を受信することを監視する。設定データが記憶されていない決済端末60に接続されているPOS端末90において、設定データ要求操作が行われると、決済端末60は、データ受信処理(図3参照)を開始する。その状態で、決済端末60のNFCI/F66と決済端末10のNFCI/F16とが近距離無線通信可能な範囲内まで近づけられると、決済端末60のNFCI/F66と決済端末10のNFCI/F16との間でNFC接続が確立する。NFC接続が確立すると、決済端末60は、NFCI/F66を介してデータ要求信号を決済端末10に送信する(図3のS32)。制御部18は、NFCI/F16を介して、データ要求信号を受信する。これ以降、決済端末10と決済端末60との間の通信は、確立したNFC接続を介して行われる。制御部18は、データ要求信号を受信すると、S10でYESと判断し、S12に進む。
【0036】
S12では、制御部18は、不揮発メモリ30内に決済不能フラグを記憶させる。決済不能フラグは、設定データ40を用いて電子マネー決済を行うことを不可能にするためのフラグである。制御部18は、不揮発メモリ30内に決済不能フラグが記憶されている場合には、不揮発メモリ30内に設定データ40が記憶されている場合であっても、設定データ40を用いて電子マネー決済を行うことができなくなる。これにより、決済端末10は、不揮発メモリ30内に設定データ40を記憶していても電子マネー決済ができなくなる。
【0037】
次いで、S14では、制御部18は、NFCI/F16を介して、決済端末60に対して、OK信号を送信する。OK信号は、決済端末10が、設定データ40を送信する準備ができていることを示す信号である。
【0038】
次いで、S16では、制御部18は、決済端末60から、設定データの送信開始を要求する送信開始要求信号を受信することを監視する。決済端末60は、上記のOK信号を受信すると、NFCI/F66を介して送信開始要求信号を送信する(図3のS36)。制御部18は、NFCI/F16を介して送信開始要求信号を受信する。制御部18は、送信開始要求信号を受信すると、S16でYESと判断し、S18に進む。
【0039】
S18では、制御部18は、NFCI/F16を介して、決済端末60への設定データ40の送信を開始する。具体的に言うと、制御部18は、不揮発メモリ30内の設定データ40をコピーし、コピーした設定データを、NFCI/F16を介して決済端末60に送信する。その際、制御部18は、設定データ全体を一度に送信するのではなく、一部ずつ複数回に分けて送信する。
【0040】
S18で設定データ40の送信を開始すると、続くS20で、制御部18は、決済端末60から完了通知を受信することを監視する。完了通知を受信するまでは、制御部18は、設定データの送信を継続する。決済端末60は、設定データをすべて受信すると、NFCI/F66を介して、決済端末10に完了通知を送信する(図3のS42)。制御部18は、NFCI/F16を介して完了通知を受信する。制御部18は、完了通知を受信すると、S20でYESと判断する。S20でYESの場合、データ送信処理が終了する。
【0041】
図2のデータ送信処理が終了した後は、不揮発メモリ30内に決済不能フラグが記憶されているため、制御部18は、設定データ40を用いた電子マネー決済を実行不能となる。このように本実施例の決済システムでは、1個の設定データが複数の決済端末で同時に利用可能となることが防止される。
【0042】
なお、制御部18は、S12で決済不能フラグを不揮発メモリ30に記憶させた後に、決済端末60から完了通知を受信する前に(即ち、設定データの送信が完了する前に)、決済端末10と決済端末60との間のNFC接続が切断された場合には、図2のデータ送信処理をエラー終了させる。その際、制御部18は、不揮発メモリ30に記憶させた決済不能フラグを消去する。これにより、設定データの送信が完了する前に、決済端末10と決済端末60との間のNFC接続が切断された場合には、決済端末10が設定データ40を用いて電子マネー決済をできる状態を継続させることができる。送信中の通信状態の悪化により、決済端末10、60の双方で電子マネー決済が行えなくなる事態の発生が防止されている。
【0043】
(決済端末60の制御部68が実行するデータ受信処理;図3
続いて、図3を参照して、本実施例の決済端末60の制御部68が実行するデータ受信処理について説明する。決済端末60の不揮発メモリ80内に設定データが記憶されていない状態で、決済端末60に接続されているPOS端末90において、所定のデータ要求操作が実行されると、制御部68は、図3のデータ受信処理を開始する。他の例では、所定のデータ要求操作は、決済端末60の操作部62によって行われてもよい。
【0044】
S30では、制御部68は、他の決済端末10との間にNFC接続が確立されることを監視する。データ受信処理が開始された後のNFCI/F66が、決済端末10のNFCI/F16と近距離無線通信可能な範囲内まで近づけられると、決済端末60のNFCI/F66と決済端末10のNFCI/F16との間でNFC接続が確立する。NFC接続が確立すると、NFCI/F66は、制御部68にNFC接続が確立したことを通知する。制御部68は、NFCI/F66から通知を受けると、S30でYESと判断し、S32に進む。これ以降、決済端末60と決済端末10との間の通信は、確立したNFC接続を介して行われる。
【0045】
S32では、制御部68は、NFCI/F66を介して、決済端末10にデータ要求信号を送信する。データ要求信号は、上記の通り、決済端末10に設定データの送信を要求するための信号である。
【0046】
次いで、S34では、制御部68は、決済端末10から、OK信号を受信することを監視する。上記の通り、決済端末10は、不揮発メモリ30に決済不能フラグを記憶させた後に、NFCI/F16を介してOK信号を送信する(図2のS12、S14)。制御部68は、NFCI/F66を介してOK信号を受信すると、S34でYESと判断し、S36に進む。
【0047】
S36では、制御部68は、NFCI/F66を介して、決済端末10に、設定データの送信開始を要求する送信開始要求信号を送信する。
【0048】
次いで、S38では、制御部68は、NFCI/F66を介して、決済端末10から送信される設定データの受信を開始する。上記の通り、決済端末10は、送信開始要求信号を受信すると(図2のS16でYES)、NFCI/F16を介して決済端末60に設定データを複数回に分けて送信する。制御部68は、NFCI/F66を介して、決済端末10から送信された設定データを受信すると、受信した設定データを、不揮発メモリ80に記憶させる。
【0049】
S38で設定データの受信を開始すると、続くS40で、制御部68は、設定データをすべて受信することを監視する。制御部68は、受信する設定データに、最後の部分であることを示す情報が含まれている場合に、設定データをすべて受信したと判断する。この場合に、制御部68は、S40でYESと判断し、S42に進む。制御部68は、設定データをすべて受信するまでは、設定データの受信を継続する。
【0050】
S42では、制御部68は、NFCI/F66を介して、決済端末10に完了通知を送信する。S42を終えると、データ受信処理が終了する。
【0051】
図3のデータ受信処理が終了した後は、不揮発メモリ80内に設定データが記憶されているため、制御部68は、設定データを用いた電子マネー決済を実行可能となる。
【0052】
なお、制御部68は、S38で設定データの受信を開始した後、設定データをすべて受信する前に、決済端末10と決済端末60との間のNFC接続が切断された場合には、図3のデータ受信処理をエラー終了させる。その際、制御部68は、不揮発メモリ80に記憶させた設定データの一部を消去する。
【0053】
(具体例;図4
続いて、図4を参照して、決済端末10と決済端末60との間で実行される処理(データ送信処理及びデータ受信処理)の具体例を説明する。図4の例では、決済端末10が決済端末60に設定データを送信する例である。このような処理が行われるのは、例えば、ユーザが、決済端末10での電子マネー決済を終了させ、新たに決済端末60での電子マネー決済を開始することを希望する場合である。
【0054】
まず、ユーザは、決済端末10の操作部12を操作して、所定の設定データ送信準備操作を行う。設定データ送信準備操作が行われると、決済端末10は、データ送信処理(図2)を開始する。また、ユーザは、決済端末60に接続されているPOS端末90を操作して、所定の設定データ要求操作を行う。設定データ要求操作が行われると、決済端末60は、データ受信処理(図3)を開始する。
【0055】
この状態で、決済端末60のNFCI/F66と決済端末10のNFCI/F16とが近距離無線通信可能な範囲内まで近づけられると、決済端末60のNFCI/F66と決済端末10のNFCI/F16との間でNFC接続が確立する(図3のS30でYES)。これ以降、決済端末10と決済端末60との間の通信は、確立したNFC接続を介して行われる。
【0056】
次いで、決済端末60は、データ要求信号を決済端末10に送信する(図3のS32)。
【0057】
決済端末10は、データ要求信号を受信すると(図2のS10でYES)、不揮発メモリ30に決済不能フラグを記憶させる(図2のS12)。次いで、決済端末10は、OK信号を決済端末60に送信する(図2のS14)。
【0058】
決済端末60は、決済端末10からOK信号を受信すると(図3のS34でYES)、送信開始要求信号を決済端末10に送信する(図3のS36)。
【0059】
決済端末10は、送信開始要求信号を受信すると、決済端末60への設定データ40の送信を開始する(S18、S20)。具体的には、決済端末10は、不揮発メモリ30内の設定データをコピーし、コピーした設定データを決済端末60に送信する。図4の例では、決済端末10は、3回に分けて設定データを送信する。
【0060】
決済端末60は、設定データを受信すると、受信した設定データを不揮発メモリ80内に記憶する。決済端末60は、受信した設定データに、最後の部分であることを示す情報が含まれている場合に、設定データをすべて受信したと判断する(図3のS40でYES)。その場合、決済端末60は、決済端末10に完了通知を送信する(図3のS42)。決済端末60は、データ受信処理(図3)を完了する。
【0061】
決済端末10は、完了通知を受信すると(図2のS20でYES)、データ送信処理(図2)を完了する。
【0062】
一方、決済端末10が設定データの送信を開始した後、決済端末60から完了通知を受信する前に(即ち、設定データの送信が完了する前に)、決済端末10と決済端末60との間のNFC接続が切断された場合には、決済端末10は、データ送信処理(図2)をエラー終了させる。その際、決済端末10は、不揮発メモリ30に記憶させた決済不能フラグを消去する。
【0063】
同様に、決済端末60が設定データの受信を開始した後、設定データをすべて受信する前に、決済端末10と決済端末60との間のNFC接続が切断された場合には、決済端末60は、データ受信処理(図3)をエラー終了させる。その際、決済端末60は、不揮発メモリ80に記憶させた設定データの一部を消去する。
【0064】
上述したように、本実施例では、一の決済端末10での電子マネー決済を終了し、新たに他の決済端末60での電子マネー決済を開始する場合に、決済端末10及び決済端末60のユーザが、センタサーバの提供者に、決済端末10における設定データの利用終了の申込み、及び、決済端末60における設定データの利用申込みを行う必要がない。センタサーバにおいて新たに処理が行われることを待つ必要もない。そのため、ユーザの希望するタイミングで決済端末60に設定データを供給することができる。従って、センタサーバが、決済端末10における設定データの利用終了処理と、決済端末60への設定データの供給処理とを行うのを待たなければならない従来の技術と比べて、ユーザの利便性が損なわれることを抑制することができる。
【0065】
また、本実施例では、決済端末10の制御部18は、設定データを決済端末60に送信する際に、不揮発メモリ30内に決済不能フラグを記憶させる(図2のS12)。制御部18は、不揮発メモリ30内に決済不能フラグが記憶されている場合には、不揮発メモリ30内に設定データ40が記憶されている場合であっても、設定データ40を用いて電子マネー決済を行うことができなくなる。これにより、本実施例の決済システムでも、1個の設定データ40が、異なる複数個の決済端末10、60で同時に利用される事態が防止されている。
【0066】
また、本実施例では、決済端末60の制御部68は、NFCI/F66が決済端末10を検出する場合(図3のS30でYES)に、NFCI/F66を介して決済端末10にデータ要求信号を送信し(S32)、その後、決済端末10から設定データを受信する(S38)。決済端末60は、ユーザの希望するタイミングで、他の決済端末10から適切に設定データを取得することができる。
【0067】
決済端末10、60が「決済端末」の一例である。NFCI/F16、66が「通信インターフェース」の一例である。制御部18、68が「制御装置」の一例である。メモリ24、74が「メモリ」の一例である。データ要求信号が「要求信号」の一例である。図2のS10が「信号受信部」が実行する処理の一例である。図2のS12が「記憶制御部」が実行する処理の一例である。図2のS18、S20が「データ送信部」が実行する処理の一例である。図3のS32が「信号送信部」が実行する処理の一例である。図3のS38、S40が「データ受信部」が実行する処理の一例である。
【0068】
(第1実施例の変形例1)
上記の第1実施例の変形例を説明する。第1実施例では、データ送信処理(図2)が終了した後は、不揮発メモリ30内には、設定データ40とともに、決済不能フラグが記憶された状態になる。これに代えて、データ送信処理において、制御部18は、決済端末60から完了通知を受信した後で(S20でYESの後で)、不揮発メモリ30内に記憶されている設定データ40を消去してもよい。
【0069】
制御部18が完了通知を受信した時点(S20でYESの時点)で、既に決済端末60に設定データが記憶されている。そのため、制御部18が、決済端末60から完了通知を受信した後で、不揮発メモリ30内の設定データ40を消去しても、決済端末60が設定データを用いて電子マネー決済を実行できる。本変形例によると、決済端末10の不揮発メモリ30内に設定データ40を残さないようにすることができる。設定データが、複数個の決済端末10、60で同時に利用される状況の発生を適切に防止することができる。本変形例も「設定データが他の決済端末に供給された後に、設定データがメモリから消去される」の一例である。
【0070】
(第1実施例の変形例2)
上記の第1実施例では、決済端末10の操作部12において所定のデータ送信準備操作が行われると、制御部18は、図2のデータ送信処理を開始する。これに代えて、本変形例では、制御部18は、決済端末10に電力が供給される場合に、所定のデータ送信準備操作が行われない場合であっても、図2のデータ送信処理を開始してもよい。即ち、図3のデータ送信処理の開始のトリガが、決済端末10への電力供給であってもよい。決済端末10への電力の供給は、決済端末10が電源に接続される場合と、決済端末10がNFCI/F16を介して、他の決済端末(例えば決済端末60)から電力供給を受ける場合のどちらであってもよい。
【0071】
(第2実施例)
続いて、第2実施例について、第1実施例とは異なる点を説明する。本実施例では、図5に示すように、制御部18が実行するデータ送信処理の内容が第1実施例とは異なる。即ち、本実施例では、制御部18は、決済不能フラグを不揮発メモリ30に記憶させた後に、不揮発メモリ30内の設定データ40を揮発メモリ34に移動させる点が第1実施例とは異なる。なお、本実施例では、制御部68が実行するデータ受信処理(図3参照)の内容は第1実施例と同じである。
【0072】
(決済端末10の制御部18が実行するデータ送信処理;図5
図5を参照して、本実施例の決済端末10の制御部18が実行するデータ送信処理について、第1実施例と異なる点を中心に説明する。
【0073】
S50では、制御部18は、NFCI/F16を介して、他の決済端末60から、設定データの送信を要求するデータ要求信号を受信することを監視する。制御部18は、NFCI/F16を介して決済端末60からデータ要求信号を受信すると、S50でYESと判断してS52に進む。
【0074】
S52では、制御部18は、不揮発メモリ30内に決済不能フラグを記憶させる。
【0075】
続くS54では、制御部18は、不揮発メモリ30内の設定データ40を揮発メモリ34に記憶させる。具体的には、制御部18は、不揮発メモリ30内の設定データ40を揮発メモリ34にコピーする。
【0076】
続くS55では、制御部18は、不揮発メモリ30内の設定データ40を消去する。S55を終えると、設定データ40が、揮発メモリ34にのみ記憶されている状態になる。制御部18は、不揮発メモリ30内の設定データ40を用いて電子マネー決済を実行することができるが、揮発メモリ34内の設定データ40を用いて電子マネー決済を実行することができない。揮発メモリ34内に記憶される設定データ40は、一時的に記憶されている設定データに過ぎず、決済情報の暗号化等の各処理に利用できないように制限されているためである。即ち、本実施例では、S55の処理によって、決済端末10において設定データ40を用いて電子マネー決済を実行できない状態に移行する。
【0077】
S56、S58の各処理は、図2のS14、S16の各処理と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0078】
S60では、制御部18は、NFCI/F16を介して、他の決済端末60への設定データ40の送信を開始する。具体的に言うと、制御部18は、揮発メモリ34内の設定データ40をコピーし、コピーされた設定データを、NFCI/F16を介して決済端末60に複数回に分けて送信する。
【0079】
S60で設定データ40の送信を開始すると、続くS62で、制御部18は、決済端末60から完了通知を受信することを監視する。S62の処理も、図2のS20の処理と同様であるため、詳しい説明を省略する。S62でYESの場合、データ送信処理が終了する。
【0080】
上記の通り、図5のデータ送信処理が終了した時点では、揮発メモリ34内に設定データ40が記憶されているため、制御部18は、設定データ40を用いた電子マネー決済を実行することはできない。また、本実施例では、決済端末10は、充電池20を有する。そのため、図5のデータ送信処理が終了した後に、充電池20の蓄電量が閾値以下に低下することにより、揮発メモリ34内の設定データ40が自動的に消去される。この場合も、1個の設定データが複数個の決済端末10、60で同時に利用される状況が発生することを適切に防止することができる。
【0081】
なお、制御部18は、決済不能フラグを不揮発メモリ30に記憶させ(S52)、不揮発メモリ30内の設定データを揮発メモリ34に記憶させ(S54)、不揮発メモリ30内の設定データ40を消去した後であって(S55)、決済端末60から完了通知を受信する前に(即ち、設定データの送信が完了する前に)、決済端末10と決済端末60との間のNFC接続が切断された場合には、図5のデータ送信処理をエラー終了させる。その際、制御部18は、不揮発メモリ30に記憶させた決済不能フラグを消去する。さらに、制御部18は、揮発メモリ34内の設定データ40を不揮発メモリ30内に戻す。送信中の通信状態の悪化により、決済端末10、60の双方で電子マネー決済が行えなくなる事態の発生が防止されている。
【0082】
さらに、本実施例では、制御部18は、揮発メモリ34内に記憶された設定データを他の決済端末60に送信している間に(S60、S62)、決済端末10への電源供給が遮断される場合であっても、決済端末10は、充電池20から供給される電力を利用して設定データの送信を継続することができる。他の決済端末60への設定データの送信を適切に行うことができる。
【0083】
以上、本実施例について説明した。上記の通り、本実施例では、決済端末10は、他の決済端末60からデータ要求信号を受信すると(図5のS50でYES)、不揮発メモリ30内の設定データ40を揮発メモリ34に記憶させ(S54)、不揮発メモリ30内から設定データ40を消去する(S55)ことにより、決済端末10において設定データ40を用いで電子マネー決済を実行できない状態に移行させることができる。また、揮発メモリ34内に記憶された設定データ40は、決済端末10への電源供給が遮断され、充電池20の蓄電量が閾値以下になった時点で消去される。そのため、揮発メモリ34内の設定データ40が決済端末60に送信された後に、決済端末10への電源供給を遮断すれば、決済端末10内に設定データ40を残さないようにすることができる。1個の設定データ40が、複数個の決済端末10、60で同時に利用される状況が発生することを適切に防止することができる。
【0084】
(第2実施例の変形例1)
上記の第2実施例では、制御部18は、S54で不揮発メモリ30内の設定データ40を揮発メモリ34に記憶させた後、S55で不揮発メモリ30内から設定データ40を消去する。これに代えて、制御部18は、S54の後で不揮発メモリ30内から設定データ40を消去しなくてもよい。即ち、S54の後で、S55をスキップしてS56に進んでもよい。この場合も、図5のデータ送信処理が終了した後は、不揮発メモリ30内に決済不能フラグが記憶されているため、制御部18は、設定データ40を用いた電子マネー決済を実行不能となる。1個の設定データ40が、複数個の決済端末10、60で同時に利用される状況が発生することを防止することができる。
【0085】
(第2実施例の変形例2)
また、制御部18は、S55で不揮発メモリ30内から設定データ40を消去することに代えて、決済端末60から完了通知を受信した後で(S62でYESの後で)、不揮発メモリ30内に記憶されている設定データ40を消去するようにしてもよい。
【0086】
以上、本明細書で開示する技術の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0087】
2:決済システム
10:決済端末
12:操作部
14:表示部
16:NFCI/F
18:制御部
20:充電池
22:有線I/F
24:メモリ
30:不揮発メモリ
32:プログラム
34:揮発メモリ
40:設定データ
50:POS端末
60:決済端末
62:操作部
64:表示部
66:NFCI/F
68:制御部
70:充電池
72:有線I/F
74:メモリ
80:不揮発メモリ
82:プログラム
84:揮発メモリ
90:POS端末
100:決済媒体
図1
図2
図3
図4
図5