【解決手段】勤怠シフトシステム1は、複数の従業者が各々所有する端末であって同従業者の希望する勤怠シフトを含むシフト希望情報をシフト割当サーバ3に送信する従業者端末7と、同端末7から送信されたシフト希望情報を基に勤怠シフト予定を割当てるシフト割当サーバ3と、従業者に固有の生体情報を読取る生体情報読取装置4と、予め登録された従業者の登録生体情報ならびに同装置4が読取った従業者の読取生体情報とその読取日時を基に、複数の従業者それぞれの勤怠実績を管理する勤怠管理サーバ5と、シフト割当サーバ3ならびに勤怠管理サーバ5に通信可能に接続され、勤怠シフト予定と勤怠実績との照合結果を基に各従業者の給与を自動計算する給与計算サーバ6と、を備える。
複数の従業者が各々所有する複数の従業者端末と、これら複数の従業者端末に通信可能に接続されるシフト割当サーバと、を有し、前記従業者の勤怠シフトを割当てるとともに同勤怠シフトに対する実際の勤怠実績を基に適正な給与を自動計算する勤怠シフトシステムにおいて、
前記従業者の希望する勤怠シフトを含むシフト希望情報を前記シフト割当サーバに送信する前記従業者端末と、
前記従業者端末から送信された前記シフト希望情報を集計し、同シフト希望情報に基づいて勤怠シフト予定を割当てる前記シフト割当サーバと、
前記従業者に固有の生体情報を読取る生体情報読取装置と、
あらかじめ登録された前記従業者の登録生体情報ならびに前記生体情報読取装置が読取った同従業者の読取生体情報とその読取日時を基に、前記複数の従業者それぞれの勤怠実績を管理する勤怠管理サーバと、
前記シフト割当サーバならびに前記勤怠管理サーバに通信可能に接続されたサーバであって、前記勤怠シフト予定と前記勤怠実績との照合結果を基に前記複数の従業者それぞれの給与を自動計算する給与計算サーバと、を備え、
前記シフト割当サーバは、
1)前記勤怠シフト予定の割当後における予定労働時間が規定労働時間に到達した従業者よりも、同予定労働時間が前記規定労働時間に満たない従業者に対して優先的に勤怠シフト予定を割当てる労働時間格差是正条件と、
2)前記シフト希望情報において出勤の希望回数が多い従業者よりも、同希望回数が少ない従業者に対して優先的に勤怠シフト予定を割当てる希望回数格差是正条件と、
3)シフト募集の対象期間において割当てられた勤務時間帯の割当数が多い従業者よりも、同勤務時間帯の割当数が少ない従業者に対して優先的に勤怠シフト予定を割当てる割当数格差是正条件と、
4)前記従業者の雇用形態に対して予め定められた所定の順位に従って各従業者に勤怠シフト予定を割当てる雇用形態追従条件と、
を段階的に適用することで前記従業者に前記勤怠シフト予定を割当てる処理を実行するように構成されたことを特徴とする、勤怠シフトシステム。
複数の従業者が各々所有する複数の従業者端末に通信可能に接続されるとともに前記従業者の希望する勤怠シフトを含むシフト希望情報を前記従業者端末から受信し、同シフト希望情報に基づいて勤怠シフト予定を割当てるシフト割当サーバであって、
1)前記勤怠シフト予定の割当後における予定労働時間が規定労働時間に到達した従業者よりも、同予定労働時間が前記規定労働時間に満たない従業者に対して優先的に勤怠シフト予定を割当てる労働時間格差是正条件と、
2)前記シフト希望情報において出勤の希望回数が多い従業者よりも、同希望回数が少ない従業者に対して優先的に勤怠シフト予定を割当てる希望回数格差是正条件と、
3)シフト募集の対象期間において割当てられた勤務時間帯の割当数が多い従業者よりも、同勤務時間帯の割当数が少ない従業者に対して優先的に勤怠シフト予定を割当てる割当数格差是正条件と、
4)前記従業者の雇用形態に対して予め定められた所定の順位に従って各従業者に勤怠シフト予定を割当てる雇用形態追従条件と、
を段階的に適用することで前記従業者に前記勤怠シフト予定を割当てる処理を実行するように構成されたことを特徴とする、シフト割当サーバ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した勤怠シフトなどをはじめとする種々の業務データを管理するために、コンピュータを導入することは今や常識化している。
そのため人事・労務・経理(勤怠シフト割当、勤怠管理、給与計算)などの広い分野で業務負担を省力化すべく、IT(Information Technology)化が図られている。
【0007】
それにも関わらず実際に導入される業務システムは、ほとんどが各機能に特化した業務システムごとに個別的となっており横断的なシステム設計がされておらず、勤怠シフト割当・勤怠管理・給与計算という一連的な処理がスムーズに行われているとは言い難いのが実情となっている。
【0008】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、各従業者の希望を取込んで勤怠シフト予定を割当てる際に従業者間の格差が最小となるように同シフト予定を割当てるとともに、同シフト予定に対する実際の勤怠実績に基づいて適正な給与を自動計算できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
〔第1発明〕
そこで上記の課題を解決するために、本願の第1発明に係る勤怠シフトシステムは、
複数の従業者が各々所有する複数の従業者端末と、これら複数の従業者端末に通信可能に接続されるシフト割当サーバと、を有し、前記従業者の勤怠シフトを割当てるとともに同勤怠シフトに対する実際の勤怠実績を基に適正な給与を自動計算する勤怠シフトシステムにおいて、
前記従業者の希望する勤怠シフトを含むシフト希望情報を前記シフト割当サーバに送信する前記従業者端末と、
前記従業者端末から送信された前記シフト希望情報を集計し、同シフト希望情報に基づいて勤怠シフト予定を割当てる前記シフト割当サーバと、
前記従業者に固有の生体情報を読取る生体情報読取装置と、
あらかじめ登録された前記従業者の登録生体情報ならびに前記生体情報読取装置が読取った同従業者の読取生体情報とその読取日時を基に、前記複数の従業者それぞれの勤怠実績を管理する勤怠管理サーバと、
前記シフト割当サーバならびに前記勤怠管理サーバに通信可能に接続されたサーバであって、前記勤怠シフト予定と前記勤怠実績との照合結果を基に前記複数の従業者それぞれの給与を自動計算する給与計算サーバと、を備え、
前記シフト割当サーバは、
1)前記勤怠シフト予定の割当後における予定労働時間が規定労働時間に到達した従業者よりも、同予定労働時間が前記規定労働時間に満たない従業者に対して優先的に勤怠シフト予定を割当てる労働時間格差是正条件と、
2)前記シフト希望情報において出勤の希望回数が多い従業者よりも、同希望回数が少ない従業者に対して優先的に勤怠シフト予定を割当てる希望回数格差是正条件と、
3)シフト募集の対象期間において割当てられた勤務時間帯の割当数が多い従業者よりも、同勤務時間帯の割当数が少ない従業者に対して優先的に勤怠シフト予定を割当てる割当数格差是正条件と、
4)前記従業者の雇用形態に対して予め定められた所定の順位に従って各従業者に勤怠シフト予定を割当てる雇用形態追従条件と、
を段階的に適用することで前記従業者に前記勤怠シフト予定を割当てる処理を実行するような構成とした。
【0010】
携帯電話は今や固定電話の加入者数を上回るほどに普及しており、またインターネットの技術進展に伴いPC(Personal Computer)を所有している家庭の戸数もかなりの数に上る。
そのため、各従業者も携帯電話・スマートフォン・PC・タブレット端末といった各種の電子端末を所有している確率が高いものと想定される。
【0011】
そこで本願の第1発明に係る勤怠シフトシステムでは、各従業者がそれぞれ所有する電子端末(従業者端末)に着目し、従業者が希望する「勤怠シフト」(勤務希望日・勤務希望時間帯や希望職種)の入力データを同従業者端末から送信して、これらのデータを集計システムに「直接的に反映」させる。
これにより、勤怠シフトを割当てるときの雇用者側の集計負担を少なくできるようにした。
【0012】
なお各勤務時間帯に対する希望の調整に際しては各従業者の勤務時間をより均等とすべく、従業者間の格差がなるべく生じないように「平坦化」を行う。
これにより人数調整にあたっての公平が図られ、雇用者のデータ入力負担・調整負荷を減らすことができる。なお上記「平坦化」にあたっては、遺伝的アルゴリズムなど種々の手法が適用可能である。
また各従業者の希望に最大限沿うべく従業者間の格差が最小化されるように(すなわち、全従業者のうち特定の従業者の希望だけが偏重されることのないように)公平に勤怠シフト予定を割当てる。このようにすることで従業者が働きやすい職場環境の提供につながり、ひいては従業者の労働意欲を高く維持することを期待できる。
さらに副次的な効果として、各従業者の希望を最大限にかなえ従業者間の格差を最小限に抑えることで勤怠シフト割当後の結果に対し従業者の抱く不満も少ないと考えられるため、雇用者側が従業者に対して行うべきシフト調整も最小限の作業量とすることが可能となる。
【0013】
また一般的な勤怠管理システムでは多くの場合、従業者の実際の勤務時間を記録するための手段としてコスト面において安価なタイムカードが使用されるが、本願の第1発明では指紋認証をはじめとする生体認証により勤怠管理を行うシステムを導入する。
このようにすれば従業者本人になりすました他者により勤怠の打刻が行われることなく、本人により勤怠管理システムの打刻がなされたことの確実性を高められる。
【0014】
なお上記「生体情報」とは、指紋・静脈パターン・顔・虹彩・声紋その他の従業者の身体的特徴に由来する各従業者を固有に特定可能な任意の情報を指す。
また「勤怠実績」とは、営業日ごとの勤怠(出勤または欠勤)ならびに出勤時刻・退勤時刻のことを指し、「勤怠実績情報」(
図21参照)とはこれらを含む情報である。
【0015】
さらに第1発明では勤怠シフト予定に対して実際の勤怠実績を自動的に照合し、照合結果を基に「勤怠シフト予定どおりに勤怠がなされた」と判定したときに「給与計算サーバにデータ連携」することが可能である。
これにより、割当てた勤怠シフト予定に対して実際に行われた勤怠状況(打刻実績)が適正であるか否かを確認でき、適正であることの確認を済ませた打刻実績に基づいて適正な給与を算出できる。
また(1)勤怠シフト予定の割当、(2)勤怠打刻、(3)勤怠シフト予定と勤怠実績の突合わせ(すなわち照合)、(4)給与計算、までを一気通貫で総合的に処理することができる。
【0016】
なお給与計算サーバは、勤怠実績に基づいて実働日数もしくは実働時間を算出し、同実働日数に日給をかける計算処理ないしは同実働時間に時給をかける計算処理などにより各従業者の給与を算出すればよい。
【0017】
〔第2発明〕
また上記の課題を解決するために、本願の第2発明に係る勤怠シフトシステムは、本願の第1発明に係る勤怠シフトシステムであって、
前記シフト割当サーバは、
前記勤怠シフト予定の割当後における予定労働時間と、前記シフト希望情報における出勤の希望回数と、前記シフト募集の対象期間において割当てられた勤務時間帯の割当数と、前記雇用形態に対して予め定められた所定の順位とに基づいて所定の割当優先スコアを従業者ごとにそれぞれ算出する処理と、
前記複数の従業者間における同割当優先スコアの大小関係を基に前記勤怠シフト予定を割当てる処理と、を実行するような構成とした。
【0018】
第2発明によれば、勤怠シフト割当を行う上で考慮すべき各種のパラメータ(勤怠シフト予定の割当後における予定労働時間、出勤の希望回数、シフト募集の対象期間における勤務時間帯の割当数、雇用形態)から統一的な評価指標である「割当優先スコア」を算出する。
これにより従業者の様々な個別事情を反映させつつ、なおかつ従業者間の格差が最小となるように勤怠シフト予定を割当てることができる。
【0019】
〔第3発明〕
また上記の課題を解決するために本願の第3発明に係る勤怠シフトシステムは、本願の第1または第2発明に係る勤怠シフトシステムであって、
前記シフト割当サーバは、前記従業者端末からシフト希望情報を送信していない従業者の勤怠シフト予定を、雇用者の手動入力操作に応じて割当てるような構成とした。
【0020】
第3発明によれば、電子端末(従業者端末)を所持していない従業者、もしくは、従業者端末を所有していても同端末の動作不良・故障などによりシフト希望情報を送信できない従業者からの依頼に応じて、雇用者側で従業者が希望する勤怠シフト予定を直接的にシフト割当サーバに反映できる。
【0021】
〔第4発明〕
また上記の課題を解決するために本願の第4発明に係る勤怠シフトシステムは、本願の第1〜第3発明に係る勤怠シフトシステムであって、
前記シフト割当サーバは、
前記従業者に対する各種の配信メールをあらかじめ編集する処理と、
前記配信メールとして編集された入力受付開始メールに対し、前記シフト募集の開始日時ならびに終了日時を自動的に埋込む処理と、を実行し、
前記シフト希望情報の送信を受付ける前に、前記入力受付開始メールを前記複数の従業者端末に対して一斉送信するような構成とした。
【0022】
第4発明によれば個々の従業者が所有する従業者端末に対して「入力受付開始メール」を配信することで、各従業者に対してシフト募集期間の周知徹底を図ることができる。
【0023】
〔第5発明〕
また上記の課題を解決するために本願の第5発明に係る勤怠シフトシステムは、本願の第1〜第4発明のいずれかに係る勤怠シフトシステムであって、
前記シフト割当サーバは、割当てた勤怠シフト予定ならびに各従業者の時給に基づいて、前記勤怠シフト予定に従って同従業者が出勤したときに必要とされる人件費の概算を算出するような構成とした。
【0024】
第5発明によればシフト体制(人員配置)に必要となる人件費の概算をシミュレーションのごとく試算できるため、事業を営む雇用者は店舗や事業の収支状況に見合うようにシフト体制を最適化することができる。
【0025】
〔第6発明〕
また上記の課題を解決するために本願の第6発明に係る勤怠シフトシステムは、本願の第1〜第5発明のいずれかに係る勤怠シフトシステムであって、
前記従業者の保有スキルならびに同従業者の勤怠実績に基づいて、前記従業者それぞれに対する賞罰を査定するための人事評価スコアを算出する人事評価サーバ、をさらに備え、
前記給与計算サーバは、
前記勤怠シフト予定と前記勤怠実績との照合結果を基に計算した給与から、前記人事評価スコアに基づいて算出した賞罰金額を減額または増額させる構成とした。
【0026】
第6発明によれば従業者の保有スキルと勤怠実績に基づいて公正に評価された人事評価結果を、同従業者の実際の給与に反映できる。
【0027】
〔第7発明〕
また上記の課題を解決するために本願の第7発明に係る勤怠シフトシステムは、本願の第1〜第6発明のいずれかに係る勤怠シフトシステムであって、
前記給与計算サーバは、
前記従業者の実働時間から、基本給の支給を受けるために必要な規定労働時間を減算することで残業時間を計算する処理と、
前記規定労働時間における通常の基本時給と残業時の時給割合とを乗算することにより、残業手当時給を計算する処理と、を実行し、
前記残業手当時給に前記残業時間を乗算することで残業手当を計算する構成とした。
【0028】
第7発明によれば店舗の来客数に変動をもたらす一要因となる平日・休日の違いに応じて時給割合を設定したり、従業者に対する負担に影響を与える勤務時間帯の違いに応じて時給割合を設定すること等が可能となる。
【0029】
〔第8発明〕
また上記の課題を解決するために本願の第8発明に係る勤怠シフトシステムは、本願の第1〜第7発明のいずれかに係る勤怠シフトシステムであって、
前記給与計算サーバは、
前記従業者について前記勤怠シフト予定と前記勤怠実績との照合結果に差異がある場合、同従業者の管理者に実績不一致通知をアラート出力する処理と、
前記管理者に対して、不一致理由の確認ならびに承認操作を行わせる処理と、
前記勤怠シフト予定と前記打刻実績が不一致である理由についてメモを保存する処理と、を実行する構成とした。
【0030】
第8発明によれば勤怠シフト予定と前記勤怠実績とが不一致である場合、管理者に対して日々、不一致理由を確認させるとともに承認操作を行わせる。
そのため月末などの締日直前になって、管理者への負担・集中的な負荷(ある程度の期間が経過した事象について記憶内容を思い出したり、従業者に対して管理者が確認すること等をまとめて処理すること)がかかることを回避できる。
またメモ機能により誤りのない確かな事由が記録されることで、締日直前になって管理者がまとめて処理することによる弊害(記憶が薄らぐことにより確認結果が曖昧となること等)をなくすこともできる。
【0031】
〔第9発明〕
上記の課題を解決するために本願の第9発明に係るシフト割当サーバは、
複数の従業者が各々所有する複数の従業者端末に通信可能に接続されるとともに前記従業者の希望する勤怠シフトを含むシフト希望情報を前記従業者端末から受信し、同シフト希望情報に基づいて勤怠シフト予定を割当てるシフト割当サーバであって、
1)前記勤怠シフト予定の割当後における予定労働時間が規定労働時間に到達した従業者よりも、同予定労働時間が前記規定労働時間に満たない従業者に対して優先的に勤怠シフト予定を割当てる労働時間格差是正条件と、
2)前記シフト希望情報において出勤の希望回数が多い従業者よりも、同希望回数が少ない従業者に対して優先的に勤怠シフト予定を割当てる希望回数格差是正条件と、
3)シフト募集の対象期間において割当てられた勤務時間帯の割当数が多い従業者よりも、同勤務時間帯の割当数が少ない従業者に対して優先的に勤怠シフト予定を割当てる割当数格差是正条件と、
4)前記従業者の雇用形態に対して予め定められた所定の順位に従って各従業者に勤怠シフト予定を割当てる雇用形態追従条件と、
を段階的に適用することで前記従業者に前記勤怠シフト予定を割当てる処理を実行するような構成とした。
【0032】
第9発明によれば、第1発明に係るシフト割当サーバと同等の技術的特徴を備えることにより、第1発明の一部機能と同様の効果(勤怠シフト割当における格差が最小化される効果)を奏することができる。
【0033】
なお本願発明に係る勤怠シフトシステムではクラウド技術によりネットワークを介して各種機能(勤怠シフト割当・勤怠管理・給与計算)を提供するため、雇用者側の社内システムから見たときにシフト割当サーバ3・勤怠管理サーバ5・給与計算サーバ6(
図1参照)が物理的に各々異なる装置に機能分散されているか、もしくは同一の装置上に集約されているかは不問である。
またネットワーク構成に関しても、シフト割当サーバ・勤怠管理サーバ・給与計算サーバが互いに異なるネットワーク環境に接続されているか、同一のネットワーク環境に接続されているかについて任意に選択可能である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、
図1乃至
図43を参照して、本発明の勤怠シフトシステムについて説明する。
[実施形態]
本発明の実施形態は、各従業者の希望する勤怠シフトを含む「シフト希望情報」に基づいて、同従業者間の格差が最小化されるように各従業者の希望を取込んだ勤怠シフト予定を割当て、加えて、同勤怠シフト予定に対する実際の勤怠実績を基に適正な給与を自動計算できる勤怠シフトシステムをクラウド技術により構成した例である。
【0036】
また本実施形態では従業者に勤怠シフト予定を割当てる際に、勤怠シフト予定の割当後における予定労働時間が規定労働時間に満たない従業者、またシフト希望情報において出勤の希望回数が少ない従業者、さらにはシフト募集の対象期間において割当てられた勤務時間帯の割当数が少ない従業者それぞれに対する各種の優先条件、ならびに、従業者の雇用形態に応じた優先条件、を段階的に適用する。
これにより勤怠シフト予定の割当において各従業者の勤務時間をより均等とすべく、従業者間の格差がなるべく生じないように「平坦化」を行う。
以下、この内容について詳しく説明する。
【0037】
図1は、本実施形態に係る勤怠シフトシステム1の構成を示すブロック図である。
同
図1に示すように勤怠シフトシステム1は、職場の社内システム2ならびに従業者端末7を、公衆通信回線10を介して通信可能な状態で接続したシステムである。
図1の例において社内システム2は、シフト割当サーバ3を介して公衆通信回線10に接続されている。
なおインターネット等の公衆通信回線10を採用する場合には、例えば、VPN(Virtual Private Network)技術等を利用すればセキュリティレベルを高く確保可能である。
【0038】
上述の社内システム2は、シフト割当サーバ3・生体情報読取装置4・勤怠管理サーバ5・給与計算サーバ6を含むシステムである。社内システム2では、これらのサーバ装置3・5・6が社内ネットワーク20を介して通信可能な状態で接続される。本例では、社内ネットワーク20としてLAN(Local Area network)を採用している。
以下では上記シフト割当サーバ3・勤怠管理サーバ5・給与計算サーバ6については雇用者側(会社ないしは店舗)が所有するものとして説明する。しかしながら、これら各サーバ3・5・6はクラウドサービス提供者の所有物に属してもよく、同サービス提供者により本サーバ3・5・6の機能提供がされてもよい。
【0039】
従業者端末7は、複数の従業者が各々所有する電子端末であり、携帯電話機・スマートフォン・PC・タブレット端末などが該当する。
同端末7は公衆通信回線10を介して、従業者本人が希望するシフト時間帯を含む「シフト希望情報」(
図3参照)をシフト割当サーバ3に対して送信する。
【0040】
「シフト希望情報」に含まれる項目の例としては、以下のような各項目が挙げられる。
1)従業者ID:各従業者を一意に特定可能な識別情報。従業者IDとしては、社員番号を直接採用することも可能である。
2)従業者氏名:各従業者を特定するための氏名である。
3)希望職種:各従業者が労働を希望する職務の種類。
4)出勤希望日:従業者が出勤を希望する日付。
5)出勤希望時刻:上記出勤希望日において、従業者が出勤を希望する時刻。
6)退勤希望時刻:上記出勤希望日において、従業者が退勤を希望する時刻。
7)休暇希望日:従業者が休暇を希望する日付。
上記「シフト希望情報」のデータ形式は、希望職種・希望時間帯(出勤希望時刻〜退勤希望時刻)などの各データ項目をカンマで区切ったCSV(Comma Separated Values)形式など所定形式のデータ列でもよく、任意のデータベースに適合したデータファイルでもよい。
【0041】
なお本例において各従業者は、従業者端末7に表示されたシフト希望入力画面701(
図30参照)を介して、出勤希望日、出勤希望時間帯(出勤希望時間・退勤希望時間)ならびに同希望日・同希望時間帯における希望職種を指定する。
ここで指定されたシフト希望情報が、シフト割当サーバ3が管理するシフト希望情報321(
図3参照)に反映される。
【0042】
図30の画面例では、勤怠シフトの割当を積極的に希望することを表す「○」、同シフトの割当を積極的には希望しないものの指名されたときには応可能であることを表す「△」、対応不可であり勤怠シフトの割当を希望しないことを表す「×」の3種類の記号により出勤の可否を指定する。
従業者により、ある日付の勤務時間帯における職種に対して「×」が指定された場合、同従業者はその指定に係る職種に対する勤怠シフト割当から除外される。
またシフト希望情報をすでに送信済の場合でも入力受付期間中であれば、従業者端末7からは同入力画面701を通じて従業者が自ら希望した勤怠シフトの確認・修正をすることが可能である。
【0043】
図1に示すシフト割当サーバ3は、各従業者端末7からの「シフト希望情報」を従業者端末7ごとに区別して受信する。
またシフト割当サーバ3は、従業者端末7から送信された「シフト希望情報」を集計し、同シフト希望情報に基づいて各従業者1人1人に対して勤怠シフト予定を割当てる。
同サーバ3による「シフト希望情報の電子データ取得」には任意の手法を採用可能であり、従業者端末7から任意の電気通信回線(本例では、公衆通信回線10)を通じて受信することは勿論、DVD(Digital Versatile Disk)等をはじめとする任意の記憶媒体や着脱可能な可搬型メモリを介して読込むようにしてもよい。
【0044】
生体情報読取装置4は、従業者に固有の生体情報(例えば、指紋・静脈パターン・顔・虹彩・声紋など)を読取る装置であり、従業者が職場に出入りする出入口付近など任意の共用スペースに設置される。
また生体情報読取装置4は、読取センサ(図示略)を介して読取った「生体情報」を出力する。
なお本例において同読取装置4は、生体情報として指紋を読取る。指紋用の読取センサは、今日では市販のごく一般的なノートPCなどにも標準装備されるほどに普及が進んでおり、生体情報読取装置4を容易に且つ安価に構成可能なためである。
【0045】
勤怠管理サーバ5は、生体情報読取装置4に接続されている。同サーバ5は、あらかじめ登録された従業者の「登録生体情報」ならびに生体情報読取装置4が読取った同従業者の「読取生体情報」とその読取時刻を基に、複数の従業者それぞれの勤怠実績を管理する。
また同サーバ5は、従業者の給与を算出する上で参考となる各種の「勤怠実績情報」(勤怠の出欠、出勤時刻、退勤時刻など)を表示するよう構成されている。
【0046】
「勤怠実績情報」(
図21参照)に含まれる項目の例としては、以下のような各項目が挙げられる。
1)出勤日:従業者が職場に出勤した日付。
2)出欠:勤怠の出欠。出勤または欠勤のいずれか。
3)出勤時刻:従業者が職場に出勤した時刻。
4)退勤時刻:従業者が職場から退勤した時刻。
5)実働時間:所定の対象期間において、従業者が実際に労働した時間の合計。
6)残業時間:所定の対象期間において、規定労働時間を超えて従業者が労働した時間の合計。
【0047】
図1に示した勤怠管理サーバ5は、指紋読取センサが搭載されたノートPCなどで構成することも可能である。
この場合、指紋読取センサを含む読取機構そのものが「生体情報読取装置4」に相当するため、同装置4と勤怠管理サーバ5を一体的に構成することが可能となる。
【0048】
図1に示す給与計算サーバ6は、シフト割当サーバ3ならびに勤怠管理サーバ5と通信可能に接続されたサーバであって勤怠シフト予定と勤怠実績とを照合し、この照合結果(
図8の勤怠シフト予定情報323と、
図21の勤怠実績情報524の照合結果)を基に複数の従業者それぞれの給与を自動計算する。
また給与計算サーバ6は、従業者の重要なプライバシーに関わる秘匿性・機密性の高い「給与情報」を集中管理する。
給与計算サーバ6は、
図1に示すように本例においては職場(社内)に設置されているが、同サーバ6は社内システム2の外部に設置することも可能である。
【0049】
つぎに、シフト割当サーバ3・勤怠管理サーバ5・給与計算サーバ6の各電気的構成について順次説明する。
これらサーバ3・5・6は、計算処理能力や記憶容量等の規模に相違があるものの装置構成は似通っている。いずれのサーバ3・5・6も
図1に示したごとく、液晶ディスプレイや図示しないプリンタ等を含む出力部35・55・65と、各種の演算処理を実行する装置本体と、キーボード及び図示しないマウスを含む入力部34・54・64と、を備えている。
また装置本体は、演算処理を実行するCPUを中心とした制御機能、ハードディスクドライブ(HDD)・ROM・RAM等を利用する記憶機能、および、各種信号あるいは情報を送受信する通信機能等を有している。
【0050】
まずシフト割当サーバ3の電気的構成について説明する。
図2に示すようにシフト割当サーバ3の装置本体は、演算処理を実行するCPUを含む制御部31のほか、ハードディスクドライブ(HDD)・ROM・RAM等を含む記憶部32、および、各種信号あるいは情報の入出力経路をなす通信ポート(図示略)を含む通信部33を備えている。
通信部33は、公衆通信回線10ならびに社内ネットワーク20に接続され、公衆通信回線10を介して「シフト希望情報」を従業者端末7から受信する。通信部33としては、ネットワークインターフェース・モデム等が使用される。
【0051】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)・ROM(Read Only Memory)・RAM(Random Access Memory)等を有し、ROM・記憶部32に記憶されているアプリケーションプログラムをRAMにロードして実行し、それにより各種の論理的手段を実現する。
シフト割当サーバ3では、シフト希望受付手段311、集計手段312、シフト割当手段313、調整手段314、シフト体制設定手段315およびメール管理手段316が実現される。
【0052】
シフト希望受付手段311は、従業者端末7に対してシフト希望入力画面701(
図30)を提供する。
またシフト希望受付手段311は同画面701を通じて従業者端末7から送信された「シフト希望情報」を受付け、同情報321(
図3)を記憶部32に書込む。
【0053】
なお本例におけるメール管理手段316は、シフト希望受付手段311によるシフト希望情報の収集に先立って「入力受付開始メール」を各従業者端末7に対して一斉配信する。
「入力受付開始メール」は
図29に例示するように、シフト希望入力の受付が開始されたことを各従業者に伝達し、シフト提出を従業者に促すものである。
同入力受付開始メールの文面は、雇用者により任意に変更可能である。さらに同メールには、勤怠シフト募集期間の開始日時や終了日時なども記載される。
【0054】
なお雇用者側の担当者は、記憶部32内のシフト希望情報321を確認することによりシフト希望情報が提出されていない従業者を特定することが可能である。
シフト希望情報が未提出の場合、メール管理手段316は従業者が所有する従業者端末7に対して、シフト希望情報の入力を促すための催促メールなどを適宜送信する。
【0055】
また本例においてシフト希望受付手段311は、「シフト募集設定画面」(
図14参照)を出力部35に表示出力する。
このシフト募集設定画面305(
図14)を介して、シフト募集の対象となる期間、シフト募集の入力受付開始日時ならびにシフト募集の入力受付終了日時(シフト希望情報の提出期限)が設定される。
さらに本例では入力受付開始メールの文面(件名・本文)についても同画面305を通じて編集可能であり、配信メール一覧画面306(
図15参照)に配設された「送信」ボタンを押下したときにメール管理手段316により全従業者端末7への一斉配信が行われる。
このメール配信後にシフト募集の入力受付開始日時が到来すると、従業者端末7によるシフト希望入力が可能となる。
【0056】
なお雇用者によりシフト募集設定画面305(
図14)を通じて入力される「シフト募集の対象期間ならびに同シフト募集の入力受付開始日時・終了日時」は、従業者に対して情報共有が図られるべき内容である。
そのため同画面305にて入力されたこれらの時間的情報は、入力受付開始メール(
図29)に自動反映(自動処理による書込)されるように構成してもよい。
【0057】
本例におけるメール管理手段316は、「配信メール編集機能」を備えている。同機能は、上述した入力受付開始メールをはじめとする各種の配信メールをあらかじめ編集する機能である。
図15に示す配信メール一覧画面306には、配信メールの一覧がリスト表示される。同画面306の一覧から選択された配信メールは、配信メール編集画面307(
図16)を介して修正することが可能である。
【0058】
また配信メール一覧画面306(
図15)からは、各配信メールについて自動配信するか否かを設定したり、自動配信時における配信タイミングを設定することが可能である。同
図15の例では、入力受付開始メールに対し自動配信設定が有効(白地に黒文字のボタン部分)になっている。
なお自動配信タイミングは、メールの配信日時を直接指定するだけでなく、定期的なタイミング(毎週金曜日の午後5時、毎月第2月曜日、各営業日の午前1時など)を指定することも可能である。
【0059】
さらに本例では
図16に示すように配信メール中に変数を埋込むことで、同変数に格納されているデータの値を配信メールに記述することが可能となっている。
図16の例では「% in_start %」という変数にシフト入力受付開始日のデータ値(例えば、2014年2月16日)が格納されており、「% in_end %」という変数にシフト入力受付終了日のデータ値(例えば、2014年2月25日)が格納されている。
また同
図16では「% start %」という変数にシフト募集開始日のデータ値(例えば、2014年3月1日)が格納されており、「% end %」という変数にシフト募集終了日のデータ値(例えば、2014年3月31日)が格納されている。
【0060】
そのため配信メール編集画面307(
図16)において各変数(% start %、% end %、% in_start %、% in_end %)を配信メールに記述することで、雇用者が日付を手入力することなく、ただちに日付情報(各変数内の格納データ)が入力受付開始メール内に自動記述される。
このようにすればシフト入力受付の開始日や終了日、シフト募集対象期間の開始日や終了日などシフト募集に関する予定が変更になった場合でも、変更後の日付をシフト募集設定画面305(
図14)を介してパラメータ設定(すなわち、% in_start %、% in_end %、% start %、% end %などの変数値の変更)をするだけで、配信メール内の情報も同設定に追従して自動的に書換えられる。
そのため雇用者の作業負担が軽減されるだけでなく配信メールにおける情報の誤記といった人為的ミスも未然回避できるため、変更後の日付を誤りなく従業者に対して確実に伝達することが可能となる。
【0061】
図2に示す集計手段312は、「シフト希望情報」を集計し、集計結果を記憶部32内の希望集計情報322(
図4参照)に書込む。
シフト割当手段313は、シフト希望情報321を基に「勤怠シフト予定」を自動的に割当てる。ここでいう「自動的」とは、雇用者の人手による入力操作を介さないことを意味する。
またシフト割当手段313は、割当てた勤怠シフト予定を記憶部32内の「勤怠シフト予定情報」(
図5)に書込む。
【0062】
本例におけるシフト割当手段313は、シフト希望情報321に対して以下の各種条件を段階的に適用することにより勤怠シフト予定を割当てる。本例では、「労働時間格差是正条件」、「希望回数格差是正条件」、「割当数格差是正条件」、「雇用形態追従条件」が適用される。
「労働時間格差是正条件」とは、規定勤務時間に未到達の従業者に対して優先的に勤怠シフト予定を割当てるための条件である。
すなわち勤怠シフト予定の割当後における予定労働時間が規定労働時間に到達した従業者よりも、同予定労働時間が規定労働時間に満たない従業者に対して優先的に勤怠シフト予定を割当てる。
ここで「予定労働時間」とは、勤怠シフト割当処理によって個々の従業者に割当てられた各従業者別の勤務時間帯の時間数の総計のことを指す。
【0063】
「希望回数格差是正条件」とは、シフト希望が少ない従業者に対して、優先的に勤怠シフト予定を割当てるための条件である。
すなわちシフト希望情報において出勤の希望回数(すなわち、
図30に示す出勤希望枠に対する「○」の数)が多い従業者よりも、同希望回数が少ない従業者に対して優先的に勤怠シフト予定を割当てる。
【0064】
「割当数格差是正条件」とは、シフト募集の対象期間内において出勤する勤務時間帯の数が従業者間でなるべく均等になるように、各従業者に勤怠シフト予定を割当てるための条件である。
すなわちシフト募集の対象期間において割当てられた勤務時間帯の割当数が多い従業者よりも、同勤務時間帯の割当数が少ない従業者に対して優先的に勤怠シフト予定を割当てる。
【0065】
「雇用形態追従条件」とは、従業者の雇用形態に対して予め定められた所定の順位に従って、各従業者に勤怠シフト予定を割当てる条件である。「雇用形態追従条件」における順位は、経営方針に応じて任意に決定すればよい。
通常、正社員の方が非正規社員(契約社員・派遣社員・アルバイトなど)に比べて職務上負うべき責任が重いものと想定される。そのため本例では、正社員に対して優先的に勤怠シフト予定が割当てられるよう、正社員に付与される順位の方が非正規社員に与えられる順位よりも高い順位となっている。
すなわち労働時間格差是正条件・希望回数格差是正条件・割当数格差是正条件がすべて同一条件である場合には、雇用形態追従条件の適用により正社員の方が非正規社員よりも優先的に勤怠シフト予定が割当てられる。
【0066】
なおシフト割当手段313は、勤怠シフト予定の割当後における「予定労働時間」と、シフト希望情報321における「出勤の希望回数」と、シフト募集の対象期間において割当てられた「勤務時間帯の割当数」と、雇用形態に対して予め付与された所定の順位とに基づいて「割当優先スコア」を従業者ごとにそれぞれ算出する。
【0067】
本例においては規定勤務時間に未到達の従業者に対する優先処理(労働時間格差是正条件)を実現するために、規定勤務時間に未到達の従業者は、すでに規定労働時間に到達している従業者よりも高い「割当優先スコア」を獲得する。
またシフト希望が少ない従業者に対する優先処理(希望回数格差是正条件)を実現するために、出勤の希望回数が少ない従業者は、それよりも希望回数の多い従業者に比べて高い割当優先スコアを獲得する。
【0068】
さらにシフト募集の対象期間において割当てられた勤務時間帯の割当数が少ない従業者に対する優先処理(割当数格差是正条件)を実現するために、上記勤務時間帯の割当数が少ない従業者は、同割当数が多い従業者よりも高い割当優先スコアを獲得する。
また本例では上述した雇用形態追従条件により、正社員である従業者の方が非正規社員の従業者よりも高い割当優先スコアを獲得する。
【0069】
そしてシフト割当手段313は、複数の従業者間における「割当優先スコアの大小関係」を基に勤怠シフト予定を割当てる。
本例では割当優先スコアによる序列は昇順となっているため、同スコアの数値が大きい従業者の方が同スコアの小さい従業者よりも優先的に勤怠シフト予定が割当てられる。しかしながら割当優先スコアによる序列は降順(すなわち同スコアの数値の少ない従業者ほど優先順位が高くなるもの)でもよい。
【0070】
図2に示す調整手段314は、雇用者の修正操作に応じて、シフト割当手段313が割当てた勤怠シフト予定を修正変更(調整)する。
本例では
図6・
図7に示すシフト調整画面300を介して勤怠シフト予定を修正し、同修正後の勤怠シフト予定により勤怠シフト予定情報323(
図5)を更新する。
なお
図6の例では「3月1日 午前9時〜12時」の時間枠における職種「ホールスタッフ(定員2名)」に対して、希望者として従業者A・B・C・Eの4名が存在するものの、シフト割当手段313による自動割当により定員(2名)どおり従業者AとCにいったん勤怠シフトが割当てられている。
【0071】
ここで本例における勤怠シフトの自動割当処理では、ある勤務時間帯の職種に割当てた従業者の人数が定員に達した場合、その勤務時間帯のその職種については自動割当処理を終了する。そのためシフト交代などのメンバー調整は、シフト調整画面300を介した操作に応じて調整手段314により行われる。
図6の画面例においては自動割当によりホールスタッフの職種に対して従業者AとCにいったん勤怠シフトが割当てられたものの、その後の手動による変更操作により
図7の画面例においては同職種(ホールスタッフ)の人員が従業者AおよびEに変更されている。
なお上記シフト調整画面300における修正結果(シフト割当修正後の従業者の情報)は、勤怠シフト予定情報323(
図8参照)に直ちに反映される。
【0072】
また同
図6の例においては「3月1日 午前9時〜12時」の時間枠における職種「カウンタースタッフ(定員2名)」に対し、希望者は従業者Dの1名のみである。
このように定員に不足が生じている場合にも、シフト調整画面300を介した修正操作に応じて調整手段314が勤怠シフトを調整する。
同時間枠「3月1日 午前9時〜12時」における職種「カウンタースタッフ(定員2名)」に対するシフト調整後の
図7の例では、定員(2名)どおりの人員として従業者D・Gの2名が確保されている。
【0073】
さらにシフト調整画面300では手動のシフト修正操作により、シフト割当手段313による勤怠シフトの自動割当前に、ある特定の従業者を、ある特定の日における特定の勤務時間帯の職種にあらかじめシフト割当することも可能である。
このように自動割当ではなくシフト修正操作によりシフト割当を行った場合、その割当設定状態は自動シフト割当処理によっては妨げられない。
例えば定員3名の勤務枠に対しシフト修正操作により1名の従業者にシフト自動割当が行われた場合、残りの定員2名分に対してのみシフトの自動割当が可能となる。
【0074】
なお
図6・
図7の画面例において「公開」ボタンを押下すると、その押下時点で割当てられている勤怠シフト予定が公衆通信回線10を介して従業者端末7に対して閲覧可能に公開される。
そのため従業者は同端末7を用いて勤怠シフト予定を参照・確認することで、シフト割当サーバ3上にある勤怠シフト予定情報321の修正(例えば、シフト希望の取消、シフト交代など)を雇用者側に依頼することが可能である。
【0075】
なお勤怠シフトの自動割当処理においては、同処理の開始前に全従業者の勤務上限時間・連続勤務日数を一時的に引上げて増やし、できるだけ多くの出勤枠が埋まるような状態に設定してからシフト割当を開始してもよい。
ただし個別事情(例えば、育児や身内の介護など)により勤務上限時間や連続出勤日数を厳守する必要がある従業者については、勤務上限時間・連続勤務日数の引上げ対象から除外することも可能である。
この場合、同除外された従業者を除く残りの従業者についての設定を緩和(勤務上限時間・連続勤務日数の引上げ)した上で、勤怠シフトの自動割当が実行される。
【0076】
また調整手段314は、従業者端末7からシフト希望情報を送信していない従業者の勤怠シフト予定を、雇用者側(管理者など)の入力操作に応じて手動割当できる「シフト手動割当機能」も備えている。同機能により手動割当された勤怠シフト予定は、勤怠シフト予定情報323(
図5)に書込まれる。
いくら電子端末(従業者端末7)の普及が進んでいるとはいえ、従業者の中にはこのような端末7を所持していない者がいるケースは当然想定される。また従業者端末7を所有している場合であっても、同端末7の動作不良・故障などにより勤怠シフト予定の入力期間内にシフト希望情報を送信できないケースも起こり得る。
このようなケース下で従業者からの依頼に応じて、雇用者側で同従業者が希望する勤怠シフト予定を直接的にシフト割当サーバ3に反映できるよう、上述した「シフト手動割当機能」が設けられている。
【0077】
なお上記勤怠シフト予定を割当てるための事前準備として、雇用者側はシフト割当サーバ3を使用して以下の項目ごとにあらかじめパラメータを設定する。これらの設定は、
図2に示すシフト体制設定手段315により実現される。
1)営業カレンダーの設定
2)勤務時間帯の区分設定
3)営業日当日における必要職種の設定
4)各勤務時間帯における職種ごとの定員数の設定
5)職種をこなすために課せられる必要スキルの設定
またシフト体制設定手段315は、以下に掲げる各画面301〜304、306(
図9〜
図12、
図17)を出力部35に表示出力する。
【0078】
上記「営業カレンダーの設定」については、
図9に例示する営業カレンダー設定画面301を介してシフト人数に影響を与えるイベント(休業日、競合店休業日など)を設定可能である。
イベントを設定し、これをカレンダーにマッピングすることにより所定期間(例えば、月間単位)における運営体制を経営戦略的に計画することが可能となる。
【0079】
「勤務時間帯の区分設定」をする場合、雇用者は、シフト割当サーバ3の出力部35に映し出される勤務時間帯設定画面302(
図10参照)を介して、勤務時間帯の時間区分(すなわち同時間帯を画定する勤務開始時刻ならびに勤務終了時刻)を変更することが可能である。
【0080】
「必要職種の設定」は、人員配置設定画面303(
図11参照)を介して行われる。
ここでいう「必要職種」とは、勤怠シフトを割当てる対象期間内の勤務時間帯において出勤希望者を募ることが必要な職種のことを指す。職種の例としては、店舗のカウンタースタッフ・ホールスタッフ・マネージャなどが該当する。
なお同一の職種(例えば、カウンタースタッフなど)であっても、勤務時間帯によって募集を行うケースと、募集を行わないケースが存在する。
【0081】
また「職種ごとの定員数の設定」については上記「人員配置設定画面」(
図11)を介して、各営業日内の勤務時間帯において必要とされる人員数をそれぞれ職種ごとに設定する。
同
図11に例示するように3月1日の午前9時〜午後0時の勤務時間帯において必要なホールスタッフの人員数が2人である場合、同人員数を「2」に設定する。
【0082】
なお職種によっては、その職種をこなすための特殊なスキルやその職種に固有の条件(例えば、従業者が女性であること、従業者が特定の役職に就いていること)が要求されるものもある。
本例では「職種用スキル設定画面」(
図12参照)を介して、業務をこなすために必要なスキル(必要スキルや基本能力)が設定される。
また同職種用スキル設定画面304により「雇用形態制約条件の設定」も可能である。「雇用形態制約条件」とは、業務を割当てられるために必要な雇用形態を限定するための条件である。
【0083】
そして従業者がある職種を希望したときに、同従業者にその職種を任せることが適切であるか判定するために、シフト割当手段313は、
図13に示すような「従業者情報」を参照して勤怠シフト予定の割当を行う。
ここで「従業者情報」とは、従業者と同従業者が保有するスキルとの対応関係を指定する情報である。
上記従業者情報324は、雇用者が従業者を採用(雇用契約の締結)した際にあらかじめ雇用者により登録される。また従業者情報324は、従業者が保有スキルを変更したり、所定の職種を任せることが認定された場合にも更新される。
【0084】
従業者情報324に含まれる項目の例としては、以下のような各項目が挙げられる。
1)雇用形態:シフト割当を行う際に考慮すべき、各従業者の雇用形態の種別。一例としては、正社員・契約社員・派遣社員・アルバイトなどが該当する。
勤怠シフトの割当において、ある職種(例えば、マネージャ)を任されるためには従業者が特定の雇用形態である(例えば、正社員に限定される)ことが割当条件として課されることがある。
【0085】
2)保有スキル:各従業者が保有している、業務をこなす上で必要とされるスキル(能力)。保有スキルとしては、役職(例えば、部長・課長などの管理職)・性別・年齢・体力の優劣・容姿の優劣・責任感の強弱・言葉づかい(接客態度)等の各従業者それぞれのスキル・能力・属性などが該当する。
従業者の保有するスキル(能力)に応じて適材適所に人材を配置するために、ある職種を任されるためには従業者が優れた特定のスキルを有していることが割当条件として課されることもある。
【0086】
さらにシフト体制設定手段315は、割当ポリシー設定画面306(
図17参照)を出力部35に表示出力する。
「割当ポリシー設定」とは、シフト自動割当における各店舗固有の運用ポリシー(従業者の就業形態に対する規定)を設定することを指す。
図17の例では、出勤日における中抜けの禁止(出勤する場合には、勤務時間帯が連続するように勤怠シフトを希望しなければならないことを定めた規則)や、中抜けの許可(同日における間欠的な勤務時間帯の選択を許容する規則)などのようにシフト割当に関する店舗固有の方針を反映することが可能となっている。
また同
図17の例では、深夜の勤務に携わった従業者が翌日の早朝にも連続して勤務に就くことのないよう、従業者に対する配慮がなされている。
【0087】
つぎに勤怠管理サーバ5の電気的構成について説明する。
図18に示すように勤怠管理サーバ5の装置本体は、演算処理を実行するCPUを含む制御部51のほか、ハードディスクドライブ(HDD)・ROM・RAM等を含む記憶部52、および、各種信号あるいは情報の入出力経路をなす通信ポート(図示略)を含む通信部53を備えている。
【0088】
制御部51は、CPU(Central Processing Unit)・ROM(Read Only Memory)・RAM(Random Access Memory)等を有し、ROM・記憶部52に記憶されているアプリケーションプログラムをRAMにロードして実行し、それにより各種の論理的手段を実現する。
勤怠管理サーバ5では、生体情報登録手段511、読取日時特定手段512、生体認証手段513および勤怠実績管理手段514が実現される。
【0089】
生体情報登録手段511は、従業者固有の生体情報について初期登録を行う手段である。生体情報登録手段511により記憶部52にあらかじめ登録された生体情報が「登録生体情報」(
図19(A)参照)となる。
【0090】
読取日時特定手段512は、生体情報読取装置4が読取った従業者の生体情報(以下、「読取生体情報」という。)を同装置4から受信した日時を、その従業者の生体情報の読取日時として特定する。
また上記特定手段512は、先に特定した読取日時を読取生体情報と対応付けて読取生体情報522(
図19(B)参照)に記録する。
【0091】
生体認証手段513は、あらかじめ登録された従業者の「登録生体情報」と、「読取生体情報」とを照合する。
同手段513は上記照合の結果、登録生体情報と読取生体情報とが互いに一致した場合、生体認証が成功したと判定し、登録生体情報と読取生体情報とが互いに一致しない場合、生体認証が失敗したと判定する。
また生体認証手段513は、生体認証の成功・失敗いかんに関わらず同認証結果(成功もしくは失敗)を逐次、読取生体情報の読取日時と対応付けて認証履歴情報(
図20参照)に書込む。
なお
図20の例では、認証履歴情報523は従業者ごとに区別して管理される。
【0092】
勤怠実績管理手段514は、ある従業者について「生体認証が成功」した場合、生体情報読取装置4が同従業者の生体情報を読取った日時(本例では、読取日時特定手段512が特定した読取日時)を、その従業者の出勤時刻または退勤時刻として「勤怠実績情報」(
図21参照)に書込む。
また
図18に示す勤怠実績管理手段514は、シフト割当サーバ3にアクセスするとともに同サーバ3に記憶されている勤怠シフト予定情報323(
図8)を参照して、各従業者の出勤予定日ならびに同出勤予定日ごとの出勤予定時刻・退勤予定時刻を「勤怠実績情報」に記述する。
【0093】
なお勤怠実績管理手段514は、職場の営業カレンダー情報(図示略)に基づいて、日次ごとに現在日が職場の休日にあたるかどうかを判定する。
勤怠実績管理手段514は、現在日が職場の営業日にあたっている場合、同営業日当日において従業者の勤怠シフト予定を参照し、休日設定がされているかどうかを確認する。
勤怠実績管理手段514は、休日設定がされていない(すなわち出勤予定日である)にも関わらず、従業者による同営業日における出勤時刻・退勤時刻の打刻がない場合、欠勤として判定するとともに同判定結果を勤怠実績情報524に書込む。
【0094】
また勤怠実績管理手段514は、現在日が職場の休日にあたっているにも関わらず従業者による勤怠打刻(すなわち生体認証)が行われている場合、同従業者が休日出勤したと判定する。
この場合、上記従業者については通常の営業日と同様に、生体情報の読取日時に基づいて実働時間を算出する。
【0095】
なお本例の勤怠管理システム1には「出勤認識連絡」機能が設けられている。
「出勤認識連絡」機能とは、出勤日の当日に従業者自身が出勤について認識していることを職場の上司などに連絡する機能である。
本例において同機能は、通勤時における自宅出発前にあらかじめ従業者端末7から各従業者が個々にアクセス可能な「スタッフマイページ」(本例では
図31に示す、従業者端末7に対し勤怠管理サーバ5から提供される出勤認識連絡画面702)にアクセスし、同ページ内の出勤認識連絡ボタンを押下することで実現される。
同画面702(
図31)において「送信」可能な状態にある出勤認識連絡ボタンが押下されると、出勤確認連絡が行われたか否かを示す出勤認識ステータスが「送信済」に変化する。
上記ステータスは雇用者側(例えば、従業者の管理者である上司)からも参照可能となっているため、これにより各営業日当日における人員確保が予定通りになされるか否かを職場の同僚が把握できる。
【0096】
なお従業者端末7から「出勤認識連絡」が送信されたかどうかは勤怠管理の一環とみなすことができるため、出勤認識ステータスのデータ値(出勤認識連絡の有無)は勤怠実績管理手段514により勤怠実績情報524(
図21)に書込まれる。
出勤認識連絡の送信の有無は、任意の期間における特定の従業者についての出勤認識連絡履歴(
図21参照)を表示することも可能であり、また特定の日付における全従業者についての出勤認識連絡の送信有無をリスト表示することも可能である。
なお上記「出勤認識連絡」は、電子メール・SMS(Short Message Service)を介して文字情報によりメッセージ送信してもよい。
また
図31に例示したように「スタッフマイページ」には、従業者端末7により同画面702にアクセスした従業者が、「出勤認識連絡機能」以外にも勤怠シフト予定を送信したり、勤怠シフト予定を確認できるように、これら機能へのリンクを配置してもよい。
【0097】
一方、「出勤認識連絡」が送信されてこない場合には営業日当日の人員確保が勤怠シフト予定通りに進行しないおそれがあるため、交代要員の確保など当日の職場運営に支障を来たさないように適宜対策が施される。
なお従業者が必ずしも出勤予定を認識していないケースもある。このような人的ミスを補うべく勤怠実績管理手段514は、勤怠実績情報524内の各従業者の「出勤予定」を確認し、出勤する予定のある従業者に対して出勤予定日の所定日数前に「勤務予定事前通知」(文字情報)をメール・SMSなどにより自動送信してもよい。
【0098】
また従業者が自宅を出発する前に「出勤認識連絡」を送信したにも関わらず、通勤途中に生じた特殊事情(例えば、従業者本人の急な体調不良や、交通渋滞・人身事故などによる交通機関の遅延・麻痺)により出勤予定時刻までに職場に出勤できないことも起こりうる。
このような場合にも運営体制を確保するために、勤怠シフト予定が元々割当てられていなかった他の従業者に急きょ出勤を要請したりする必要が生じる。
そのため、出勤認識連絡の送信後にも、その後の事情変更を上司などに連絡し情報共有を図ることができるよう、従業者端末7から勤怠管理サーバ5に対し出勤状況更新通知をメール・SMSによりメッセージ送信できるようにしてもよい。
【0099】
図18に示す記憶部52は、各種データやプログラムを記憶するものであり、フラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリやハードディスクドライブ(HDD)等が使用される。
記憶部52には、生体情報読取装置4による生体情報の読取日時を基に生成した「勤怠実績情報」(
図21)が集約的に保管されている。
「勤怠実績情報」とは、従業者と、勤怠シフト予定に対して同従業者により行われた実働実績とを対応付ける情報である。
【0100】
勤怠実績情報524のデータ構造は任意でよい。
図21の例では従業者の識別情報に対して、日付と、日次ごとの勤怠シフト予定と、同予定に対する実際の勤怠状況(出勤または欠勤の実績)と、出勤時刻・退勤時刻とが対応付けられている。
なお勤怠実績情報の項目のうち勤怠シフト予定(各従業者の出勤予定日・出勤予定時刻・退勤予定時刻など)については、シフト割当サーバ3の勤怠シフト予定情報323(
図5)を参照して書込まれる。
【0101】
通信部53は所定のデータ伝送規格に則って、勤怠管理サーバ5以外の任意の外部機器と通信を行う。
本例において通信部53は生体情報読取装置4とUSB(Universal Serial Bus)接続されており、同読取装置4が読取った「読取生体情報」を受信する。
また通信部53は社内ネットワーク20に接続され、勤怠実績情報524に対する給与計算サーバ6からのアクセスを受付ける。社内ネットワーク20接続用の通信部53としては、ネットワークインターフェース・モデム等が使用される。
【0102】
入力部54は、勤怠管理業務に携わる担当者(例えば、人事労務部門の担当者など)による操作を受付ける情報入力手段である。
出力部55は、任意の画像・情報を出力する手段であり、本例では液晶ディスプレイを用いる。
また本例の勤怠管理サーバ5は、勤怠実績情報524を適宜印刷出力可能なプリンタ(図示略)を出力部55として備えている。紙媒体に印刷された勤怠実績情報524は、給与明細書(
図27)等とともに従業者に配布される。
【0103】
つぎに給与計算サーバ6の電気的構成について説明する。
図22に示すように給与計算サーバ6の装置本体は、演算処理を実行するCPUを含む制御部61のほか、ハードディスクドライブ(HDD)・ROM・RAM等を含む記憶部62、および、各種信号あるいは情報の入出力経路をなす通信ポート(図示略)を含む通信部63を備えている。
【0104】
通信部63は、社内ネットワーク20に接続され、同ネットワーク20を介してシフト割当サーバ3・勤怠管理サーバ5にアクセス可能である。本例において通信部63は、シフト割当サーバ3が記憶している「勤怠シフト予定情報323」ならびに勤怠管理サーバ5が記憶している「勤怠実績情報524」にアクセスする。
通信部63としては、ネットワークインターフェース、モデム等が使用される。
【0105】
制御部61は、CPU(Central Processing Unit)・ROM(Read Only Memory)・RAM(Random Access Memory)等を有し、ROM・記憶部62に記憶されているアプリケーションプログラムをRAMにロードして実行し、それにより各種の論理的手段を実現する。
給与計算サーバ6では、給与計算手段611が実現される。
【0106】
給与計算手段611は、勤怠シフト予定情報323(
図5)と勤怠実績情報524(
図21)とを照合し、これらの照合結果から勤怠実績照合情報621(
図23参照)を生成する。
なお本例では勤怠シフト予定情報323と打刻実績(勤怠実績情報524)の照合結果に差異がある場合、給与計算手段611は、担当者(従業者の管理者である上司など)に対して「実績不一致通知」(
図24参照)をアラート出力する。
【0107】
ここで通常の勤怠管理(本実施形態のような実績不一致通知がされない管理手法)では、管理者がシフト予定と勤怠実績の不一致理由を従業者に口頭や電子メールで確認し、不一致の理由が判明したときに承認するという運用が想定される。
このような運用の下では、勤怠実績の集計日(いわゆる締日)直前が到来したときに管理者が、自己の管理する従業者それぞれの勤怠実績について「勤怠シフト予定によれば出勤が予定されていなかったにも関わらず、出勤した理由」や「残業が特に必要ないと思われる日に従業者が残業していた理由」などを慌てて確認するといった事態がしばしば起こり得る。
そのため管理者が従業者に問いただすことで実績が不一致となった理由が判明した場合でも、同理由を問いただした管理者の記憶が薄らいでしまうことで最終的に曖昧となってしまうことも多い。
【0108】
しかしながら本システム1によれば給与計算手段611は管理者に対して日々、不一致理由を確認させるとともに承認操作を行わせる。さらに承認時には不一致理由を文字情報で保存する機能も提供されるため、管理者が確認した内容(勤怠シフト予定と打刻実績が不一致である理由)についてメモを残すことが可能である。
そのため月末などの締日直前になって、ある程度の期間が経過した事象について記憶内容を思い出したり、従業者に対して管理者が確認すること等をまとめて処理する等といった管理者への負担や集中的な負荷がかかることを回避できる。
またメモ機能により誤りのない確かな事由が記録されることで、締日直前になって管理者がまとめて処理することによる弊害(記憶が薄らぐことにより確認結果が曖昧となること等)をなくすこともできる。
【0109】
また給与計算手段611は、同照合結果を基に複数の従業者それぞれの給与を自動計算する。
さらに給与計算手段611は、従業者の重要なプライバシーに関わる秘匿性・機密性の高い「給与情報」(
図26参照)を集中管理する。
なお給与計算手段611については必ずしも、同手段611自体が給与計算処理を行うように構成する必要はない。
同手段611は、給与を算出するために必須の情報(実際の勤務時間数など)を、すでに企業側に導入された給与計算ソフトウェアにより取込可能な任意のデータ形式(CSV(Comma-Separated Values)形式など)で出力するように構成してもよい。
【0110】
記憶部62は、各種データやプログラムを記憶するものであり、フラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリやハードディスクドライブ(HDD)等が使用される。
この記憶部62には、勤怠シフト予定情報323ならびに勤怠実績情報524を基に生成した「勤怠実績照合情報」(
図23)、ならびに、この勤怠実績照合情報621から導出された「給与情報」(
図26)が集約的に保管されている。
【0111】
「給与情報」とは、従業者と、同従業者の勤務実績・実働時間を基に算出した所定期間(例えば、ひと月単位)における給与との対応関係を指定する情報である。
給与情報622のデータ構造は任意でよい。
図26の例では従業者の識別情報(従業者IDや従業者氏名)に対して、給与算出の対象期間・同期間における実働時間・規定労働時間に対する残業時間などが対応付けられている。
上記「規定労働時間」とは、基本給の支給を受けるために必要な労働時間である。同規定労働時間は、必ずしも全従業者に対して一律的な値をとるものではなく、雇用形態などに応じて異なる時間数であってもよい。
また上記「残業時間」とは実働時間から規定労働時間を差引いた時間数であり、残業手当の支給額を算定するときの評価指標である。
【0112】
なお給与計算手段611による残業手当の計算は、上記残業時間に対して「残業手当時給」を乗算することで行われる。
この「残業手当時給」は、あらかじめ残業手当時給として定められた金額を直接利用することもできるが、それ以外にも規定労働時間における通常の基本時給に、残業時の時給割合(例えば、125%など)を乗算することで求めてもよい。
ここで「時給割合」とは、基本時給に対しての、任意の勤務時間帯における時給の相対的な割合(重み付け)のことを指す。
同時給割合の算出に用いる基本時給としては、規定労働時間における通常の基本時給(平日昼間における時給)が選択される。
【0113】
給与計算手段611は、上記時給割合を設定するためのユーザインタフェースとして時給割合設定画面601(
図25参照)を出力部65に表示出力する。
同画面601(
図25)を介して雇用者は、店舗の来客数に変動をもたらす一要因となる平日・休日の違いに応じて時給割合を設定したり、従業者に対する負担に影響を与える勤務時間帯(早番・深夜番など)の違いに応じて時給割合を設定すること等が可能となる。
【0114】
図22に示す入力部64は、給与計算業務に携わる担当者(例えば、経理部門の担当者)による操作を受付ける情報入力手段である。
出力部65は任意の画像・情報を出力する手段であり、本例では液晶ディスプレイを用いる。
また本例の給与計算サーバ6は、給与計算結果を含む給与明細書(
図27参照)を適宜印刷出力可能なプリンタ(図示略)を出力部65として備えている。紙媒体に印刷された給与情報は、個々の従業者本人に配布される。
【0115】
つぎに従業者端末7の電気的構成について説明する。
図28に示すように従業者端末7の装置本体は、演算処理を実行するCPUを含む制御部71のほか、ハードディスクドライブ(HDD)・ROM・RAM等を含む記憶部72、および、各種信号あるいは情報の入出力経路をなす通信ポート(図示略)を含む通信部73を備えている。
通信部73は公衆通信回線10に接続され、「シフト希望情報」をシフト割当サーバ3に送信する。通信部73としては、ネットワークインターフェース・モデム等が使用される。
【0116】
制御部71は、CPU(Central Processing Unit)・ROM(Read Only Memory)・RAM(Random Access Memory)等を有し、ROM・記憶部72に記憶されているアプリケーションプログラムをRAMにロードして実行し、それにより各種の論理的手段を実現する。
従業者端末7では、シフト希望申請手段711が実現される。
【0117】
シフト希望申請手段711は、シフト割当サーバ3に対し、従業者が希望するシフトを申請する手段である。具体的には、シフト希望申請手段711はシフト希望情報をシフト割当サーバ3に送信することにより上記シフト申請を行う。本例において同シフト希望情報の入力は、シフト希望入力画面701(
図30参照)を介して行われる。
またシフト希望申請手段711は、シフト希望情報721を記憶部72へ書込む。
なおシフト希望情報の入力受付を開始する前にシフト割当サーバ3は、各従業者端末7に対して入力受付開始メール(
図29)を送信する。
【0118】
つぎに、本実施形態に係る勤怠シフトシステム1の動作について説明する。
まず従業者は、自らの勤怠シフト予定を検討する。この検討に際しては、雇用形態(正社員、アルバイト社員、派遣社員、契約社員など)、スキル、職場における評価・実績その他の要素が勘案される。
上記検討の結果、希望する職種と出勤希望日時(日付と勤務時間帯)が決まった場合、
図32に示すように勤怠シフトを割当てるための「シフト割当処理」(ステップS1)を行う。同処理において勤怠シフト予定を自動的に割当てた結果、ある時間枠の出勤希望者が定員に達しない場合には、雇用者側で適宜調整が行われる。
【0119】
その後、雇用者側において、勤怠シフト予定に対する日々の勤怠実績を管理する「勤怠管理処理」(ステップS2)を行う。
そして勤怠管理の締日(給与算出の対象期間の期日)が到来すると、各従業者それぞれの適正な給与を自動計算するための「給与計算処理」(ステップS3)が行われる。
以下、上記ステップS1〜S3の処理について詳細に説明する。
【0120】
まず「シフト割当処理」(
図32のステップS1)における各構成要素の動作を説明する。
図33に示すように、従業者端末7からシフト希望申請が要求されると(ステップS11)、シフト割当サーバ3は本要求を受付ける(ステップS12)。
なおシフト希望申請時、従業者端末7はシフト割当サーバ3に対して「シフト希望情報」を送信する。シフト割当サーバ3は、同端末7からシフト希望申請がされた旨を電子メール・音声ガイドなどにより担当者(人事担当者など)に通知する。
【0121】
続いてシフト割当サーバ3によるシフト希望情報321(
図3)の集計が行われ(ステップS13)、集計結果(
図4の希望集計情報322)を基に勤怠シフト予定の自動割当が行われる(
図33のステップS14)。
なお自動的に勤怠シフト予定を割当てた結果、ある時間枠の出勤希望者が定員に達しない場合には、雇用者側により適宜シフト調整(ステップS15)が行われる。
同調整は、シフト割当サーバ3の出力部35に映し出されたシフト調整画面300(
図6・
図7参照)を通じて、入力部34を介した雇用者のデータ修正操作により、先に割当てた勤怠シフト予定を修正変更することで行われる。
【0122】
なお補足的事項として、上記シフト割当処理(
図33)に先立って行われるシフト割当サーバ3の事前設定処理について説明しておく。
図34に示すようにシフト割当サーバ3(シフト体制設定手段315)は、職場の営業予定日を定める営業カレンダーを決定するために一般的な暦においてイベント設定を行う(ステップS101)。これにより、営業日が設定される。
つぎに同手段315は、勤務時間帯の区分け(各勤務時間帯の勤務開始時刻と勤務終了時刻)を設定する(ステップS102)。勤務時間帯は、店舗側の経営方針・事業計画に従って任意の時間枠(時間的長さ・勤務時間帯の数)に設定可能である。
【0123】
さらにシフト体制設定手段315は、各営業日ごとの勤務時間帯それぞれにおいて確保が必要な人員数を、それぞれの職種別に設定する(ステップS103)。これらステップS101〜S103の設定により、人的資源の配分に直結するシフト体制を構築することができる。
またシフト体制設定手段315は、各職種をこなすために必要とされる必要スキルを職種ごとに設定する(ステップS104)。
以上で、従業者端末7から収集したシフト希望情報に基づいて勤怠シフト予定を自動的に割当てるための事前設定が終了する。
【0124】
つぎに「勤怠管理処理」(
図32のステップS2)における各構成要素の動作を説明する。
職場に出勤した従業者は、身体の所定部位(本例では、指紋)を生体情報読取装置4にかざす。これにより
図35に示すように、同装置4にて読取センサ(図示略)により生体情報(本例では指紋情報)が読取られる(ステップS21)。
その後、生体情報読取装置4は上記「読取生体情報」を勤怠管理サーバ5に送信する(ステップS22)。このとき同サーバ5は、同装置4から読取生体情報を受信した旨を電子メール・音声ガイドなどにより担当者(人事労務担当者など)に通知してもよい。
【0125】
勤怠管理サーバ5は、生体情報読取装置4から同従業者の生体情報を受信した日時を、その従業者の生体情報の読取日時として特定する(ステップS23)。
また勤怠管理サーバ5は、あらかじめ登録された従業者の「登録生体情報」と、生体情報読取装置4が読取った従業者の「読取生体情報」とを照合する(ステップS24)。
【0126】
勤怠管理サーバ5は上記照合(生体認証)の結果、登録生体情報と読取生体情報とが互いに一致した場合、生体認証が成功したと判定し、登録生体情報と読取生体情報とが互いに一致しない場合、生体認証が失敗したと判定する。
なお生体認証手段513は、生体認証の成功・失敗いかんに関わらず同認証結果(成功もしくは失敗)を認証履歴情報523(
図20)に書込む(ステップS25)。
【0127】
勤怠実績管理手段514は、ある従業者について「生体認証が成功」した場合、生体情報読取装置4が同従業者の生体情報を読取った日時(本例では、
図35のステップS23にて特定した読取日時)を、その従業者の出勤時刻または退勤時刻として勤怠実績情報524(
図21)に書込む(ステップS26)。
なお勤怠管理上の締日(給与算出の対象期間の期日)が到来すると、各従業者の給与を自動計算するための「給与計算処理」に移行する。
【0128】
以下、「給与計算処理」(
図32のステップS3)における各構成要素の動作を説明する。
図36に示すように給与計算サーバ6は、シフト割当サーバ3内の勤怠シフト予定情報323の参照(ステップS31)ならびに勤怠管理サーバ5内の勤怠実績情報524の参照(ステップS32)を行う。
【0129】
続いて給与計算サーバ6は、これらの情報323・524を照合し、同照合結果を基に複数の従業者それぞれの給与を自動計算する(ステップS33)。
また給与計算サーバ6は、計算した給与を含む給与情報622を記憶部62に書込むことで(ステップS34)、従業者の重要なプライバシーに関わる秘匿性・機密性の高い同情報622を集中管理する。
【0130】
図36のステップS33における給与計算手段611の給与計算手法は、職場の給与体系に応じて任意の手法を採用すればよい。
図26に示した給与情報622の例では、給与計算手段611は、実働時間が規定労働時間に達しているか否かを判定するために、実働時間から規定労働時間を差引くことで同規定労働時間に対する「残業時間」を算出する。
【0131】
この「残業時間が正値」であれば規定労働時間を超えて労働が行われていることになるため、給与計算手段611は、同残業時間に残業手当時給を乗算することで残業手当を計算する。
そして給与計算手段611は残業手当と基本給を加えることで、対象期間における給与合計を計算する。ここでいう「基本給」とは、規定労働時間分の労働に対して支給されるべき給与のことを指す。
単位時間あたりの残業に対する労働対価である「残業手当時給」は、規定労働時間における通常の基本時給と、同基本時給に対する残業手当時給の時給割合とを乗算することで求められる。
本例では時給割合設定画面601(
図25)により基本時給に対する相対値である時給割合をあらかじめ設定することで、残業手当時間を計算する。
【0132】
一方、「残業時間が負値」であれば対象期間における実働時間が規定労働時間を下回っていたことになるため、給与計算手段611は、実働時間の不足分を基本給から差引くことで給与合計を計算する。
また規定労働時間に対する残業時間が「0」であるときには残業手当の支給は不要であるため、規定労働時間に基本給の時給を乗算して得られた基本給がそのまま給与合計となる。
さらに通勤手当・家族手当・住宅手当のように従業者の個別事情や雇用者側の福利厚生内容に応じた任意の手当が支給される場合、同手当の支給額を加算することで給与合計を算出すればよい。
【0133】
なお給与を支給した事実を証明するための証憑として、従業者に対し雇用者から給与明細書(紙媒体)を配布することが通例である。
これに対応するために本例における給与計算サーバ6は、ステップS33で算出した給与計算結果を含む給与明細書(
図27)を出力部65(プリンタ)で紙媒体に印刷出力する(
図36のステップS35)。
以上で本勤怠シフトシステム1における、(1)勤怠シフト予定の割当、(2)生体認証による勤怠管理、(3)勤怠シフト予定と勤怠実績の照合、(4)給与計算、までの一連の処理が終了する。
【0134】
以上説明したように、本実施形態に係る勤怠シフトシステム1によれば近年の電子端末の飛躍的な普及状況に着目し、従業者が個々に所有する従業者端末を活用することで、これまで成し得なかった勤怠シフト予定の割当スキームを実現している。
【0135】
このようにすれば雇用者側の享受するメリットとして、勤怠シフト予定を割当てるときの集計負担・入力負担を大幅に軽減することができる。
また勤怠シフト予定の割当に際しては、従業者間の格差がなるべく生じないよう「平坦化」を行うことで人数調整における公平が図られ、従業者にとっても働きやすい職場環境が提供される。そのため職場の雰囲気がより良く改善されたり、従業者の労働意欲が高く維持されることも期待できる。
【0136】
さらに勤怠管理にあたっては、他者による従業者本人への成りすましが極めて困難な生体認証により勤怠打刻を行うため本人により打刻されたことの確実性が高まり、勤怠実績のデータ信頼性も向上できる。
また割当てた勤怠シフト予定に対して勤怠実績が適正であることを確認した上で、同勤怠実績に基づいて適正な給与を算出できる。
【0137】
[変形例:人事評価サーバ]
上述した勤怠実績照合情報621は、あらかじめ割当てられた勤怠シフト予定に従ってどの程度忠実に出勤が行われたかを表すため従業者の勤務に対する意識や職場への貢献度が反映されるものであり、そのデータ分析により各従業者の責任感などを垣間見ることができると考えられる。そのため、勤怠実績照合情報621に基づいて人事評価を行うことも可能である。
そこで
図37に示すように勤怠シフトシステム1Aは、実施形態1の構成(
図1)に加えて人事評価サーバ8をさらに備えるように構成してもよい。
【0138】
図38に示すように人事評価サーバ8は、計算処理能力や記憶容量等の規模は相違するものの装置の基本構成は上述した各サーバ3・5・6とほぼ同様である。
制御部81は、CPU・ROM・RAM等を有し、ROM・記憶部82に記憶されているアプリケーションプログラムをRAMにロードして実行し、それにより各種の論理的手段を実現する。
人事評価サーバ8では、人事評価手段811が実現される。
【0139】
人事評価手段811は、給与計算サーバ6内の勤怠実績照合情報621やシフト割当サーバ3内の従業者情報324に記述された必要スキルなどを基に、個々の従業者の人事評価を行う。
本例において同人事評価は「人事評価スコアの加点・減点」により行われる。
【0140】
例えば勤怠実績照合情報621の参照により、出勤予定にも関わらず欠勤した場合には「−2点」だけ人事評価スコアを減点したり、遅刻・早退した場合には「−1点」だけ人事評価スコアを減点すればよい。
一方、休日出勤した場合であったり、欠勤予定にも関わらず出勤した場合にはシフト体制の欠員を補完したと考えられるため、「+2点」を人事評価スコアに加点してもよい。
また必要スキル(基本能力)のうち、体力の優劣・容姿の優劣・身だしなみの良否・責任感の強弱・言葉づかい(接客態度)その他の各種スキル要素に応じて、所定の点数分だけ人事評価スコアを加点ないしは減点してもよい。
【0141】
なお人事評価手段811が算出した人事評価スコアは、人事評価情報821(
図40参照)に書込まれる。
さらに本例では勤怠実績照合情報621(
図23)にも、賞罰を査定するための元となる上記「人事評価スコア」が書込まれる。
同人事評価スコアに対して1スコアあたりの単位賞罰金額を乗算することで最終的な賞罰金額を算出することができ、さらにこの賞罰金額を給与から減額ないしは増額させることで従業者に対する雇用者の人事評価を実際の給与に反映できる。
【0142】
なお賞罰の評価指標(人事評価スコア)となりうる査定項目(査定カテゴリと、同カテゴリに属する査定内容)は、任意の項目数(例えば、100項目)まで入力可能に構成すればよい。
この査定カテゴリのうち「勤務態度」に関連する査定内容の例としては、遅刻・早退・欠勤・代替出勤などが挙げられる。
また査定カテゴリのうち「身なり」に関連する査定内容の例としては、服装・身なり・髪型などが挙げられる。
【0143】
以下、「人事評価処理」における各構成要素の動作を説明する。
図39に示すように人事評価サーバ8は、給与計算サーバ6内の勤怠実績照合情報621の参照(ステップS41)ならびにシフト割当サーバ3内の従業者情報324の参照(ステップS42)を行う。
続いて人事評価サーバ8はこれらの情報323・621を参照し、勤怠シフト予定に対する勤怠実績や従業者のスキル・能力に基づいて個々の従業者の人事評価スコアを算出する(ステップS43)。
また人事評価サーバ8は、同評価スコアを含む人事評価情報821(
図40)を記憶部82に書込むことで(
図39のステップS44)、従業者の重要なプライバシーに関わる秘匿性・機密性の高い同情報821を集中管理する。
なお人事評価結果を各従業者に提示する場合には適宜、上記人事評価情報821を出力部85(プリンタ)により紙媒体に印刷出力する(ステップS45)。
【0144】
上記実施形態に係る勤怠シフトシステムを基礎として人事評価サーバ8を構築した場合、ともすれば評価者の主観に偏りやすい人事評価制度において、実際の勤怠実績データを加味して人事評価を行うことで同評価結果の客観性を高めることができる。
【0145】
[変形例:人件費の概算見積機能]
本発明に係るシステムでは勤怠シフト予定の割当が完了した場合、「どの雇用形態に属する従業者が、どの職種について、どの程度の時間だけ勤務する予定にあるか」を可視化することが可能となる。
そのためシフト自動割当後の調整をも含む勤怠シフト予定の最終的な割当がシフト割当サーバ3により行われた段階で、給与計算サーバ6(給与計算手段611)が「従業者ごとの予定労働時間と時給の積を合計」することにより、雇用者側は各営業日ごとに必要とされる「人件費を事前に把握」することが可能である。
【0146】
なお昼間時の時給に対する夜間時給の時給割当が一定となっている場合には、昼間時の時給に上記「時給割合」を乗算することにより、従業者の各雇用形態に応じた複雑な計算を行うことなく一律的に人件費の概算を計算することが可能である。
例えば、昼間時の時給(100%)に対する夜間時給の時給割合が125%である場合、昼間時における総人件費に同時給割合を乗じることで直ちに夜間の総人件費が算出できる。
【0147】
さらに「人件費の概算見積機能」においては、勤怠シフトに関しても勤怠シフト予定に対する労働実績を照合したように、人件費の概算に対して実際にかかった人件費(従業者に支払った給与)を比較した人件費対照画面602(
図41参照)を給与計算サーバ6に表示出力してもよい。
このような人件費の概算をシミュレーションにより事前把握することは、経営コストのうち主たる部分を人件費が占めるサービス業などの業種において事業計画を立てる上で特に有用性が発揮される。
【0148】
本例において給与計算手段611による人件費の概算見積機能は、上述した「時給割合設定機能」ならびに「勤怠シフト割当機能」を利用して実現される。
「人件費の概算見積機能」によれば
図41に示すように、個々の従業者単位、店舗単位、勤務時間帯単位(早番・中番・遅番など)等の任意の単位で分けたときの人件費の概算を、任意の期間を指定して出力することが可能となる。
さらに人件費データ(人件費の概算と、実際にかかった人件費)を数年分保持しておくことで、過去にさかのぼって人件費を参照可能である。このように人件費データの履歴情報を蓄積すれば、現在かかっている人件費に対して前年の同時期における人件費などを比較できるため、人的コストの推移を経営分析することが可能となる。
【0149】
[変形例:シフト希望情報]
上述した「シフト希望情報」は、ある特定の勤務時間帯における「職種ごとに出勤の可否」を指定するものに限定されず、
図42に示すように各職種の分け隔てなく単に同勤務時間帯における「出勤の可否」のみを指定する形式でもよい。
従業者端末7が上記「出勤の可否」のみを指定した場合、シフト割当手段313は、従業者情報324(
図13)に記述された各従業者の保有スキルを参照し、各職種の人的資源になり得る従業者を同職種ごとにそれぞれ判定する。その上で、同手段313は勤怠シフト予定の自動割当を実行する。
【0150】
なお従業者のなかには従業者端末7によるシフト希望情報の入力を煩わしく感じる者もいるものと想定されるが、この第1変形例に係るシフト希望情報321A(
図42)によれば、各従業者は全勤務時間帯における全職種に対して出勤の可否を指定する作業から解放される。
そのためシフト希望情報の入力にあたり全従業者に過大な負担を強いることを回避でき、ひいては各従業者に対するストレスの大幅な低減が図られる。
【0151】
さらに
図43に示すようにシフト希望情報321Bは、各勤務時間帯における出勤の可否に加えて同勤務時間帯における勤務開始希望時刻・勤務終了希望時刻を指定できるようなものでもよい。
このようにすれば勤務時間帯の中途からでも出勤することが可能となるため、従業者に対してより柔軟な就業形態を提供可能となり、職場環境がより一層働きやすいものとなる。
【0152】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が理解し得る各種の変形が可能である。