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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-225570(P2015-225570A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20151117BHJP
【FI】
   G06F3/041 650
   G06F3/041 660
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-110973(P2014-110973)
(22)【出願日】2014年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】富士通テン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】次山 元也
(72)【発明者】
【氏名】前畑 実
(72)【発明者】
【氏名】加藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】石川 智章
(57)【要約】
【課題】表面部材の主面に沿ってタッチセンサを配置しつつ、タッチ操作の検出感度に関する部分間の差を緩和する。
【解決手段】操作パネル1は、タッチ操作の対象となる第1主面5aとこの第1主面の逆側の第2主面5bとを有する表面部材5と、第2主面5bに沿って配置され第1主面5aに対するタッチ操作を検出するタッチセンサ6とを備えている。そして、第2主面5bは左右方向(X軸方向)のみに関して曲がった二次曲面である一方で、第1主面5bは左右方向(X軸方向)を含む二以上の方向に関して曲がった三次曲面となっている。表面部材5の第2主面5bが二次曲面であるため、この第2主面5bに沿ってタッチセンサ6を配置できる。これとともに、表面部材5の厚みの部分間の差を緩和できるため、タッチ操作の検出感度に関する部分間の差を緩和できる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ操作を受け付ける操作装置であって、
前記タッチ操作の対象となる第1主面と、該第1主面の逆側の第2主面とを有する表面部材と、
前記第2主面に沿って配置され、前記第1主面に対する前記タッチ操作を検出するタッチセンサと、
を備え、
前記第2主面は、第1方向のみに関して曲がった曲面であり、
前記第1主面は、前記第1方向を含む二以上の方向に関して曲がった曲面であることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の操作装置において、
前記表面部材の前記第1方向に沿った断面において、前記第1主面と前記第2主面とは略同一の形状であることを特徴とする操作装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の操作装置において、
前記第1主面は、前記第1方向と該第1方向に直交する第2方向とに関して曲がった曲面であり、
前記第2主面が平面と仮定した場合に、前記表面部材の前記第1方向に沿った断面における前記第1主面と前記第2主面との間隔の部分間の差は、前記表面部材の前記第2方向に沿った断面と比較して大きいことを特徴とする操作装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の操作装置において、
前記タッチセンサは、フィルム状の部材を前記第1方向に曲げて形成されることを特徴とする操作装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載の操作装置において、
前記タッチセンサは、前記第2主面に対する印刷により形成されることを特徴とする操作装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の操作装置において、
前記タッチ操作に用いる画像を表示するディスプレイ、
をさらに備えることを特徴とする操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ操作を受け付ける技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネル機能を有する操作装置が知られている。このような操作装置においては、ディスプレイの表示画面にタッチ操作の対象となる操作面が重ねて配置される。ユーザは、表示画面に表示されたコマンドボタン等の画像に重なる操作面上の位置に対してタッチ操作を行うことで、操作装置を用いて各種の指示を行うことができる。
【0003】
なお、本明細書で説明する技術に関連する技術を開示した文献として特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−244336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような操作装置として、表面部材の表側の主面が操作面となり、表面部材の裏側の主面に沿ってタッチセンサが配置された構造の操作装置が知られている。タッチセンサは、操作装置の操作面(表面部材の表側の主面)に対するユーザのタッチ操作を検出する。
【0006】
近年、美的外観などの観点から、操作装置の操作面を、二以上の方向に関して曲がった複雑な曲面(三次曲面)にすることが検討されている。一般には、タッチセンサとしてフィルム状の部材が採用される。したがって、表面部材の裏側の主面を操作面と同様の複雑な曲面とすると、この裏側の主面に沿ってタッチセンサを配置できなくなる。
【0007】
これに対し、タッチセンサを配置できるように、表面部材の裏側の主面を平面とすることも考えられる。しかしながら、この場合には、操作面の部分間で表面部材の厚みが異なるため、タッチ操作の検出感度に関して部分間の差が生じる。その結果、操作装置の操作性が悪化する可能性がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、表面部材の主面に沿ってタッチセンサを配置しつつ、タッチ操作の検出感度に関する部分間の差を緩和する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、タッチ操作を受け付ける操作装置であって、前記タッチ操作の対象となる第1主面と、該第1主面の逆側の第2主面とを有する表面部材と、前記第2主面に沿って配置され、前記第1主面に対する前記タッチ操作を検出するタッチセンサと、を備え、前記第2主面は、第1方向のみに関して曲がった曲面であり、前記第1主面は、前記第1方向を含む二以上の方向に関して曲がった曲面である。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の操作装置において、前記表面部材の前記第1方向に沿った断面において、前記第1主面と前記第2主面とは略同一の形状である。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の操作装置において、前記第1主面は、前記第1方向と該第1方向に直交する第2方向とに関して曲がった曲面であり、前記第2主面が平面と仮定した場合に、前記表面部材の前記第1方向に沿った断面における前記第1主面と前記第2主面との間隔の部分間の差は、前記表面部材の前記第2方向に沿った断面と比較して大きい。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の操作装置において、前記タッチセンサは、フィルム状の部材を前記第1方向に曲げて形成される。
【0013】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の操作装置において、前記タッチセンサは、前記第2主面に対する印刷により形成される。
【0014】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の操作装置において、前記タッチ操作に用いる画像を表示するディスプレイ、をさらに備えている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1ないし6の発明によれば、表面部材の第1主面が複雑な曲面の場合であっても、表面部材の第2主面に沿ってタッチセンサを配置できる。これとともに、表面部材の厚みの部分間の差を緩和できるため、タッチ操作の検出感度に関する部分間の差を緩和できる。
【0016】
また、特に請求項2の発明によれば、表面部材の第1方向に沿った断面の厚みを略一定にすることができ、タッチ操作の検出感度に関する部分間の差を効果的に緩和できる。
【0017】
また、特に請求項3の発明によれば、第2主面が平面と仮定した場合に表面部材の断面の厚みの差が大きくなる方向に関して、その厚みの差を緩和できる。このため、タッチ操作の検出感度に関する部分間の差を効果的に緩和できる。
【0018】
また、特に請求項4の発明によれば、表面部材の第2主面の形状に沿ってタッチセンサを容易に配置できる。
【0019】
また、特に請求項5の発明によれば、比較的単純な印刷方式を採用してタッチセンサを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、車載表示装置の外観を示す図である。
図2図2は、車載表示装置が搭載される車両の車室内の様子を示す図である。
図3図3は、操作パネルの構成を示す分解斜視図である。
図4図4は、表面部材の形状を説明する図である。
図5図5は、操作パネルの製造過程を示す図である。
図6図6は、第1の実施の形態の操作パネルを示す斜視図である。
図7図7は、操作パネルの上下方向に沿った断面図である。
図8図8は、操作パネルの左右方向に沿った断面図である。
図9図9は、第1比較例を説明する図である。
図10図10は、第2比較例を説明する図である。
図11図11は、操作パネルとディスプレイとの接合手法を説明する図である。
図12図12は、操作パネルとディスプレイとの接合手法を説明する図である。
図13図13は、操作パネルとディスプレイとの接合手法を説明する図である。
図14図14は、第2の実施の形態の操作パネルを示す斜視図である。
図15図15は、タッチセンサの回路を形成する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。以下、ユーザのタッチ操作を受け付ける操作装置の例として、自動車などの車両に搭載され、車両の車室内で利用される車載表示装置について説明する。
【0022】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.車載表示装置の概要>
図1は、本実施の形態に係る車載表示装置10の外観を示す図である。車載表示装置10は、例えば、目的地までのルートを案内するナビゲーション機能、及び、車室内に音を出力するオーディオ機能などを備えている。また、車載表示装置10は、ユーザ(主に車両のドライバ)のタッチ操作を受け付けるタッチパネル機能を備えており、ユーザは、車載表示装置10の操作面4に対してタッチ操作を行うことで車載表示装置10に各種の指示を行うことができる。なお以下、車載表示装置10の奥行方向(前後方向)に関して操作面4の側を「表側」、操作面4とは逆側を「裏側」と表現する。
【0023】
車載表示装置10は主として、操作パネル1と、ディスプレイ2と、本体部3とを備えている。
【0024】
ディスプレイ2は、ルート案内用の画像などユーザに必要な各種の画像を、その表示画面21に表示する。また、ディスプレイ2は、タッチ操作に用いるアイコンやコマンドボタンなどの画像(以下、「タッチ用画像」という。)も表示画面21に表示する。
【0025】
操作パネル1は、ユーザの操作を受け付ける操作面4を含んでいる。操作パネル1は、透過部材で構成されており、表示画面21を含むディスプレイ2の表側の主面に重なるように配置される。したがって、ユーザは、ディスプレイ2の表示画面21に表示されるタッチ用画像などの画像を、操作パネル1の操作面4を介して視認できる。
【0026】
操作パネル1は、操作面4に対するタッチ操作を検出する機能を備えている。操作パネル1は、表示画面21に表示されたタッチ用画像に向けたタッチ操作とともに、操作パネル1に設けられたボタン43に向けたタッチ操作も検出する。また、操作パネル1の操作面4の上部には、ユーザの操作を受け付ける物理的なボタン41,42が設けられる。ユーザは、これらのボタン41,42,43、及び、表示画面21に表示されたタッチ用画像を利用して車載表示装置10に各種の指示を行うことができる。
【0027】
本体部3は、車載表示装置10を統括的に制御する制御部をその内部に有している。制御部は、ディスプレイ2に映像信号を送出して、ディスプレイ2の表示画面21に各種の画像を表示させる。また、制御部は、操作パネル1で受け付けたユーザの操作に応じた動作を行うように、車載表示装置10の各部を制御する。
【0028】
なお、以下の説明においては、図中に示す三次元直交座標系(XYZ)を用いて、適宜、方向や向きを示すこととする。この直交座標系は、車載表示装置10に対して相対的に固定される。X軸方向は左右方向、Y軸方向は奥行方向、Z軸方向は上下方向に相当する。+X側が表示画面21の左側、−X側が表示画面21の右側となる。また、+Y側が表側、−Y側が裏側、+Z側が上側、−Z側が下側となる。
【0029】
図2は、車載表示装置10が搭載される車両の車室内の様子を示しており、図中の右側が車両の前方側に相当する。図1に示すように、車載表示装置10は、車両の内装の一部であるセンターコンソール91に、ユーザの操作を受け付ける操作面4を車室内に露出した状態で取り付けられている。ユーザは、車両の座席92に着座した状態で、このようにセンターコンソール91に取り付けられた車載表示装置10を利用する。
【0030】
美的外観などの観点から、センターコンソール91のユーザに対向するパネル面91aは、全体として滑らかな曲面となっている。車載表示装置10の操作面4は、このパネル面91aの一部となるように形状が定められており、曲面となっている。
【0031】
<1−2.操作パネルの概要>
以下、このような曲面の操作面4を有する操作パネル1について説明する。図3は、操作パネル1の構成を示す分解斜視図である。図に示すように、操作パネル1は主に、表面部材5とタッチセンサ6とを備えている。
【0032】
表面部材5は、ガラスまたはプラスチック等の光透過性のあるカバー部材であり、「オーバレイ」とも呼ばれる。表面部材5は、第1主面5aと、その逆側の第2主面5bとを有している。表面部材5の表側(+Y側)の第1主面5aは、車載表示装置10の操作面4となり、ユーザのタッチ操作の対象となる。
【0033】
また、タッチセンサ6は、検出方式として例えば静電容量方式を採用し、静電容量の変化に基づいてユーザのタッチ操作のタッチ位置を検出するセンサである。タッチセンサ6は、表面部材5の裏側(−Y側)の第2主面5bに配置され、表面部材5の表側(+Y側)の第1主面5a(すなわち、操作面4)に対するタッチ操作を検出する。タッチセンサ6は、操作面4における表示画面21に対応する領域、及び、ボタン43に対応する領域をカバーするように配置され(図1参照。)、これら双方の領域へのタッチ操作を検出する。
【0034】
タッチセンサ6は、部品としては、任意に曲げることが可能な、光透過性のある透明なフィルム状の部材である。タッチセンサ6は、曲面に曲げられた状態で、表面部材5の裏側(−Y側)の第2主面5bに沿って配置される(詳細後述。)。
【0035】
<1−3.表面部材の形状>
次に、表面部材5の形状についてより詳細に説明する。図4は、表面部材5の形状を説明する図である。図4は、表面部材5の表側(+Y側)からみた正面図とともに、表面部材5の2つの断面図を示している。図4の右方は、正面図のA−A位置における上下方向(Z軸方向)に沿った断面図である。図4の下方は、正面図のB−B位置における左右方向(X軸方向)に沿った断面図である。
【0036】
なお、断面図においては、表面部材5等の形状の理解を容易にするため、曲面の曲率、及び、奥行方向(Y軸方向)の幅を実際よりも強調して示している(以降の図においても同様。)。
【0037】
また、以下の説明では、互いに異なる二以上の方向に関して曲がった曲面を「三次曲面」と称し、一つの方向のみに関して曲がった曲面を「二次曲面」と称する。「三次曲面」は、例えば球の表面など、平面を曲げることでは得られない比較的複雑な曲面である。一方、「二次曲面」は、例えば円筒の表面など、平面を曲げて得られる比較的単純な曲面である。
【0038】
図4に示すように、操作面4となる表面部材5の第1主面5aは、上下方向(Z軸方向)及び左右方向(X軸方向)に関して曲がった三次曲面となっている。図4の右方に示すように、上下方向(Z軸方向)に関して、第1主面5aは表側(+Y側)に凸となるように円弧状に曲がっている。この曲率半径Rは、例えば1600mmである。一方、図4の下方に示すように、左右方向(X軸方向)に関して、第1主面5aは表側(+Y側)に凸となるように円弧状に曲がっている。この曲率半径Rは、例えば3000mmである。
【0039】
これに対し、表面部材5の第2主面5bは、左右方向(X軸方向)のみに関して曲がった二次曲面となっている。図4の右方に示すように、第2主面5bは、上下方向(Z軸方向)に関して曲がっておらず、上下方向(Z軸方向)に沿って直線状となっている。一方、図4の下方に示すように、左右方向(X軸方向)に関して、第2主面5bは表側(+Y側)に凸となるように円弧状に曲がっている。
【0040】
これにより、図4の右方に示すように、表面部材5の上下方向(Z軸方向)に沿った断面においては、第1主面5aと第2主面5bとの形状が異なっている。この断面の形状は、かまぼこ型となっている。これに対して、図4の下方に示すように、表面部材5の左右方向(X軸方向)に沿った断面においては、第1主面5aと第2主面5bとは略同一の形状となっている。
【0041】
フィルム状の部材であるタッチセンサ6は三次曲面に成形できない。このため、仮に表面部材5の第2主面5bが第1主面5aと同一の三次曲面であった場合には、タッチセンサ6を第2主面5bに沿って配置することはできない。これに対して、本実施の形態では、表面部材5の第2主面5bが二次曲面である。このため、タッチセンサ6をこの第2主面5bと略同一の形状の二次曲面となるように成形できることから、タッチセンサ6を第2主面5bに沿って配置できる。
【0042】
図5に示すように、操作パネル1の製造過程においては、フィルム状の部材であるタッチセンサ6が、左右方向(X軸方向)に関して、表側(+Y側)に凸となるように円弧状に曲げられる。これにより、タッチセンサ6が、表面部材5の裏側(−Y側)の第2主面5bと略同一の形状の二次曲面に成形される。そして、例えば、OCR(光学透明樹脂/Optical Clear Resin)及びOCA(光学透明接着剤/Optical Clear Adhesive)などの接着剤を用いて、成形されたタッチセンサ6が表面部材5の第2主面5bに接合される。これにより、図6に示すように、操作パネル1においては、表面部材5の第2主面5bに沿ってタッチセンサ6が配置される。
【0043】
図7は、図4のA−A位置に相当する操作パネル1の上下方向(Z軸方向)に沿った断面図である。また、図8は、図4のB−B位置に相当する操作パネル1の左右方向(X軸方向)に沿った断面図である。これらの図に示すように、二次曲面に成形されたタッチセンサ6は、表面部材5の第2主面5bに沿って隙間なく密着して配置される。
【0044】
ところで、表面部材の第2主面を平面とし、この平面の第2主面に沿ってタッチセンサ6を接合する態様も考えられる。図9は、第1比較例となる、この態様の表面部材50の形状を説明する図である。図9においては、図4と同様に、表面部材50の表側(+Y側)からみた正面図とともに、表面部材50の2つの断面図を示している。なお以下、表面部材の第1主面と第2主面との奥行方向(Y軸方向)の間隔を、表面部材の「厚み」と称する。
【0045】
この第1比較例の表面部材50においても、表面部材50の第1主面50aは、本実施の形態の表面部材5(図4参照。)と同一の三次曲面である。その一方で、表面部材50の第2主面50bは平面となっている。これにより、表面部材50の上下方向(Z軸方向)に沿った断面とともに、左右方向(X軸方向)に沿った断面の形状も、かまぼこ型となっている。このため、表面部材50においては、表面部材50の「厚み」に関して部分間で比較的大きな差(ばらつき)が生じる。第1比較例の表面部材50の最大の「厚み」は例えば5.5mmであり、最小の「厚み」は例えば2mmである。
【0046】
表面部材の「厚み」は、第2主面に沿って配置されるタッチセンサ6における、第1主面に対するタッチ操作に関する検出感度に影響を与える。したがって、この第1比較例の表面部材50においては、タッチセンサ6の検出感度に関して部分間で比較的大きな差(ばらつき)が生じることとなる。その結果、第1比較例の表面部材50を採用した場合には、車載表示装置10の操作性が悪化する可能性がある。
【0047】
これに対して、本実施の形態の表面部材5(図4参照。)では、第2主面5bは左右方向(X軸方向)に関して曲がった曲面である。そして、表面部材5の左右方向(X軸方向)の断面において第1主面5aと第2主面5bとは略同一の形状となっている。したがって、この断面においては、表面部材5の「厚み」に関して部分間で差がなく略一定となる。
【0048】
これにより、表面部材5の全体としても、表面部材5の「厚み」に関する部分間の差(ばらつき)を緩和することができる。本実施の形態の表面部材5の最大の「厚み」は例えば3mmであり、最小の「厚み」は例えば2mmである。その結果、タッチセンサ6の検出感度に関する部分間の差(ばらつき)を緩和でき、車載表示装置10の操作性を向上することができる。
【0049】
また、第2主面を、左右方向(X軸方向)ではなく、上下方向(Z軸方向)のみに関して曲げた二次曲面とする態様も考えられる。図10は、第2比較例となる、この態様の表面部材51の形状を説明する図である。図10においては、図4と同様に、表面部材51の表側(+Y側)からみた正面図とともに、表面部材51の2つの断面図を示している。
【0050】
この第2比較例の表面部材51においても、表面部材51の第1主面51aは、本実施の形態の表面部材5(図4参照。)と同一の三次曲面である。その一方で、図10の下方に示すように、表面部材51の第2主面51bは、左右方向(X軸方向)に関して曲がっておらず、左右方向(X軸方向)に沿って直線状となっている。また、図10の右方に示すように、上下方向(Z軸方向)に関して、第2主面51bは表側(+Y側)に凸となるように円弧状に曲がっている。これにより、表面部材5の上下方向(Z軸方向)の断面において第1主面51aと第2主面51bとは略同一の形状となっている。
【0051】
このような第2比較例の表面部材51においても、表面部材5の「厚み」に関する部分間の差をある程度は緩和できる。しかしながら、本実施の形態の表面部材5(図4参照。)の方が、表面部材5の「厚み」に関する部分間の差を大きく緩和できる。
【0052】
表面部材5の「厚み」に関する部分間の差は、第2主面が平面と仮定した場合に、上下方向(Z軸方向)と左右方向(X軸方向)とのうち、表面部材5の断面の「厚み」の部分間の差が大きい方向に第2主面を曲げたほうが効果的に緩和できる。
【0053】
第2主面が平面と仮定した場合とは、図9に示す態様に相当する。第2主面が平面と仮定した場合において、図9に示すように、表面部材の上下方向(Z軸方向)に沿った断面に注目すると、最大の「厚み」はT11、最小の「厚み」がT12となり、断面の「厚み」の部分間の差D1はT11とT12との差で求められる。また、表面部材の左右方向(X軸方向)に沿った断面に注目すると、最大の「厚み」はT21、最小の「厚み」がT22となり、断面の「厚み」の部分間の差D2はT21とT22との差で求められる。
【0054】
そして、左右方向(X軸方向)の断面の「厚み」の部分間の差D2は、上下方向(Z軸方向)の断面の「厚み」の部分間の差D1と比較して大きい。このため、第2主面が左右方向(X軸方向)のみに曲がった曲面であるほうが、第2主面が上下方向(Z軸方向)のみに曲がった曲面であるよりも、「厚み」に関する部分間の差を効果的に緩和できる。
【0055】
本実施の形態の表面部材5(図4参照。)では、第2主面5bは左右方向(X軸方向)のみに関して曲がった曲面であることから、「厚み」に関する部分間の差を効果的に緩和できる。このため、タッチセンサ6の検出感度に関する部分間の差(ばらつき)を効果的に緩和できることになる。
【0056】
なお、上記では説明を簡単にするため、表面部材の全体に関する「厚み」を考慮していたが、表面部材においてタッチセンサ6が配置される領域のみに関する「厚み」を考慮することがより望ましい。
【0057】
<1−4.操作パネルとディスプレイとの接合>
このように操作パネル1は、表面部材5とタッチセンサ6とを貼り合わせて構成されるが、タッチセンサ6が配置された操作パネル1の裏側(−Y側)の面は二次曲面となっている。車載表示装置10の製造過程においては、平面の表示画面21を有するディスプレイ2を、このような二次曲面となる操作パネル1の裏側(−Y側)の面に対して接合する必要がある。以下、操作パネル1にディスプレイ2を接合する手法について説明する。
【0058】
まず、図11に示すように、操作パネル1の裏側(−Y側)の面に対して、フレーム71が、例えばOCRを用いて貼付される。フレーム71は、その中央部分に奥行方向(Y軸方向)に開口した開口部71aを有する枠状の部材である。このフレーム71の貼付により、操作パネル1及びフレーム71に囲まれた開口部71aにおいて、液体を収容可能な容器状の空間が形成される。
【0059】
次に、図12に示すように、ディスペンサなどを用いて液体のOCR72がフレーム71の開口部71aに流し込まれる。この液体のOCR72は、開口部71aの全体を満たすように充填される。次に、奥行方向(Y軸方向)の両側から紫外線が照射され、フレーム71の開口部71aに充填されたOCR72が硬化される。その結果、フレーム71の開口部71aに、光透過性のある樹脂体73が形成される。この樹脂体73の裏側(−Y側)の面は平面となる。
【0060】
次に、図13に示すように、樹脂体73の裏側(−Y側)の面に、例えばOCRを用いてディスプレイ2が貼付される。この際、ディスプレイ2の表示画面21が、樹脂体73の裏側(−Y側)の面に対向する。樹脂体73の裏側(−Y側)の面は平面であるため、平面であるディスプレイ2の表示画面21と樹脂体73の裏側(−Y側)の面とを容易に貼付することができる。
【0061】
以上のように、本実施の形態の操作パネル1は、タッチ操作の対象となる第1主面5aとこの第1主面の逆側の第2主面5bとを有する表面部材5と、第2主面5bに沿って配置され第1主面5aに対するタッチ操作を検出するタッチセンサ6とを備えている。そして、第2主面5bは左右方向(X軸方向)のみに関して曲がった二次曲面である一方で、第1主面5bは左右方向(X軸方向)を含む二以上の方向に関して曲がった三次曲面となっている。
【0062】
表面部材5の第2主面5bが二次曲面であるため、表面部材5の第1主面5aが複雑な三次曲面の場合であっても、表面部材5の第2主面5bに沿ってタッチセンサ6を配置できる。これとともに、左右方向(X軸方向)に関して表面部材5の「厚み」の部分間の差を緩和できるため、タッチ操作の検出感度に関する部分間の差を緩和できる。
【0063】
また、表面部材5の左右方向(X軸方向)に沿った断面において、第1主面5aと第2主面5bとは略同一の形状である。このため、表面部材5の左右方向(X軸方向)に沿った断面の「厚み」を略一定にすることができ、タッチ操作の検出感度に関する部分間の差を効果的に緩和できる。
【0064】
また、第1主面5bは、左右方向(X軸方向)と、この左右方向(X軸方向)に直交する上下方向(Z軸方向)とに関して曲がった曲面である。そして、第2主面5bが平面と仮定した場合に、表面部材5の左右方向(X軸方向)に沿った断面における第1主面5aと第2主面5bとの間隔の部分間の差は、表面部材5の上下方向(Z軸方向)に沿った断面と比較して大きい。
【0065】
このため、第2主面5bが平面と仮定した場合に表面部材5の断面の「厚み」の差が大きくなる方向に関して、その「厚み」の差を緩和できることから、タッチ操作の検出感度に関する部分間の差を効果的に緩和できる。
【0066】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態の車載表示装置10の構成は、第1の実施の形態と略同様であるが一部が相違している。このため、以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0067】
図14は、第2の実施の形態の操作パネル1aの裏側(−Y側)の面を示す斜視図である。図に示すように、第2の実施の形態の操作パネル1aにおいても、表面部材5の裏側(−Y側)の第2主面5bに沿ってタッチセンサ61が配置されている。ただし、このタッチセンサ61の形成手法は、第1の実施の形態と異なっている。第1の実施の形態では、タッチセンサ6はフィルム状の部材を曲げて形成されていた。これに対して、第2の実施の形態では、タッチセンサ61は、表面部材5の第2主面5bに対する印刷によって形成されている。
【0068】
表面部材5の形状は、第1の実施の形態と同一である。したがって、表面部材5の第2主面5bは、左右方向(X軸方向)のみに関して曲がった二次曲面となっている。このため、版及びスキージを用いる印刷方式(例えば、シルクスクリーン)や、印刷ローラを用いた印刷方式などの周知の印刷方式を採用して、タッチセンサ61の回路(パターン)を形成することができる。タッチセンサ61の回路は、例えば、銀ナノワイヤーやカーボンナノチューブなどを含んでいる。
【0069】
図15は、表面部材5の第2主面5bに、印刷ローラ8を用いてタッチセンサ61の回路を形成する様子を示す図である。第2主面5bは、左右方向(X軸方向)に関して曲がっているが、上下方向(Z軸方向)に沿って直線状である。このため、図に示すように、印刷ローラ8の軸8aを上下方向(Z軸方向)に沿って配置することで、印刷ローラ8を第2主面5bへ接触させることができる。そして、この印刷ローラ8は、第2主面5bへの接触状態を維持したまま、左右方向(X軸方向)に移動させることができる。これにより、表面部材5の第2主面5bに沿ってタッチセンサ61を形成できる。
【0070】
なお、タッチセンサの回路の形成に印刷を用いる場合には、印刷対象となる表示部材の第2主面が三次曲面のときであってもタッチセンサを形成することは技術的には可能である。ただし、この場合は、印刷ヘッドを三軸に移動可能なインクジェット方式など、比較的複雑な印刷方式を採用する必要がある。この場合、製造コストが高くなり、歩留まりも悪化する可能性がある。
【0071】
これに対して、本実施の形態では、印刷対象となる表示部材5の第2主面5bが二次曲面であるため、比較的単純な印刷手法を採用することができる。このため、製造コストを低減でき、歩留まりも向上できる。
【0072】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施の形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
【0073】
上記実施の形態において説明した、左右方向と上下方向とは入れ替えてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態では、操作面4となる表面部材5の第1主面5aは、上下方向及び左右方向の二方向に関して曲がった三次曲面であったが、三以上の方向に曲がった三次曲面であってもよい。この場合において、表面部材5の第2主面5bは、第1主面5aが曲がる三以上の方向のいずれか一の方向のみに関して曲がるようにすればよい。
【0075】
また、上記実施の形態では、表面部材5の主面は円弧状に曲がっていたが、例えば、S字状など他の形状に曲がるようにしてもよい。
【0076】
また、上記第2の実施の形態では、表面部材5の第2主面5bにタッチセンサ61を形成していた。これに対し、表面部材5の第2主面5bに隙間なく密着して当接する二次曲面の透明部材を配置し、この透明部材の表側(+Y側)の面にタッチセンサ61を印刷により形成するようにしてもよい。
【0077】
また、上記実施の形態では、操作装置は、自動車などの車両に搭載される車載表示装置と説明したが、家庭、店舗、オフィス、工場などの他の場所で使用される操作装置であってもよい。また、操作装置は、スマートフォンやタブレット端末などの可搬性装置であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 操作パネル
2 ディスプレイ
4 操作面
5 表面部材
5a 第1主面
5b 第2主面
6 タッチセンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15