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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-225575(P2015-225575A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】介護システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20151117BHJP
   G08B 21/04 20060101ALI20151117BHJP
   H04W 4/02 20090101ALI20151117BHJP
【FI】
   G08B25/04 K
   G08B21/04
   H04W4/02 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-111066(P2014-111066)
(22)【出願日】2014年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 宗彦
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5K067
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086BA01
5C086BA07
5C086CA06
5C086CA25
5C086CB27
5C086DA01
5C086DA08
5C086EA11
5C086EA13
5C086FA06
5C086FA17
5C087AA01
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA21
5C087AA37
5C087AA44
5C087BB20
5C087BB72
5C087BB74
5C087BB75
5C087DD03
5C087DD24
5C087DD29
5C087DD30
5C087EE18
5C087FF02
5C087FF16
5C087GG08
5C087GG14
5C087GG20
5C087GG30
5C087GG35
5C087GG51
5C087GG66
5K067AA35
5K067BB04
5K067BB21
5K067DD20
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067EE35
5K067FF03
5K067JJ56
(57)【要約】
【課題】要介助者の徘徊行動(異常行動)を検知して所定の報知を行う介護システムを提供すること
【解決手段】通信装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記通信装置の位置情報の変化に基づいて行動態様を特定する行動態様特定部と、異常行動態様が予め設定される異常行動態様設定部と、前記行動態様と前記異常行動態様との比較結果に基づいて前記行動態様が前記異常行動態様に該当することを報知する報知制御部と、を備える
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記通信装置の位置情報の変化に基づいて行動態様を特定する行動態様特定部と、
異常行動態様が予め設定される異常行動態様設定部と、
前記行動態様と前記異常行動態様との比較結果に基づいて前記行動態様が前記異常行動態様に該当することを報知する報知制御部と、
を備える介護システム。
【請求項2】
前記異常行動態様設定部には複数の異常行動態様が設定され、各異常行動態様について前記行動態様との比較の有効/無効が設定可能である請求項1に記載の介護システム。
【請求項3】
前記報知制御部による報知は、前回の報知から少なくとも所定時間の空けて実行される請求項1又は請求項2に記載の介護システム。
【請求項4】
前記異常行動態様は特定の二地点を所定回数以上往復する行動態様である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の介護システム。
【請求項5】
前記異常行動態様は居住施設又は自室以外の特定の地点で所定時間以上留まる行動態様である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の介護システム。
【請求項6】
前記異常行動態様は居住施設又は自室を通過する行動態様である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の介護システム。
【請求項7】
前記異常行動態様は所定時間以上移動を継続する行動態様である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の介護システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認知症を患う者等の介助を要する者(以下、要介助者と称する)の異常行動を検知する介護システムに関する。
【背景技術】
【0002】
認知症の周辺症状の中で代表的な症状に徘徊行動がある。徘徊行動は本人の意識外で行われるため、その結果、事故や衰弱など自他に対して危険が発生する可能性がある。従って、要介助者の徘徊行動をいち早く察知し、危険を未然に防ぐ必要がある。
【0003】
特許文献1には、時間帯と当該時間帯において被監視者がいるべき位置とが関連付けられて記憶された行動エリアマップを参照して、被監視者が特定の時間帯において、いるべき位置とは異なる位置にいる場合に監視者が所持する端末に警告情報が送信されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−281694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
認知症を患っていても正常な判断の下で外出することがあり、その場合は要介助者の行動を制限する必要はない。しかしながら特許文献1の行動監視システムによれば、要介助者(被監視者)が正常な判断の下で外出しているか否かを問わず、時間帯と位置とが一致しない場合には必ず警告情報が介助者(監視者)に送信されることになり、介助者は要介助者の行動が徘徊行動か否かを判断することができない。
【0006】
本発明は上述した問題点に鑑み、要介助者の徘徊行動(異常行動)を検知して所定の報知を行う介護システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の介護システムは、通信装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記通信装置の位置情報の変化に基づいて行動態様を特定する行動態様特定部と、異常行動態様が予め設定される異常行動態様設定部と、前記行動態様と前記異常行動態様との比較結果に基づいて前記行動態様が前記異常行動態様に該当することを報知する報知制御部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
また上記構成の介護システムにおいて、前記異常行動態様設定部には複数の異常行動態様が設定され、各異常行動態様について前記行動態様との比較の有効/無効が設定可能であることが望ましい。
【0009】
また上記構成の介護システムにおいて、前記報知制御部による報知は、前回の報知から少なくとも所定時間の空けて実行されることが望ましい。
【0010】
また上記構成の介護システムにおいて、前記異常行動態様は特定の二地点を所定回数以上往復する行動態様であることが望ましい。
【0011】
また上記構成の介護システムにおいて、前記異常行動態様は居住施設又は自室以外の特定の地点で所定時間以上留まる行動態様であることが望ましい。
【0012】
また上記構成の介護システムにおいて、前記異常行動態様は居住施設又は自室を通過する行動態様であることが望ましい。
【0013】
また上記構成の介護システムにおいて、前記異常行動態様は所定時間以上移動を継続する行動態様であることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通信装置の位置情報の変化に基づいて特定される行動態様と、予め設定される異常行動態様とが比較されて、行動態様が異常行動態様に該当する場合に報知が行われる。従って、行動態様が異常行動態様に該当しない場合には報知が行われない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】介護システムの第1例を示す概念図
図2】第1の通信装置の構成を示すブロック図
図3】第2の通信装置の構成を示すブロック図
図4】地図情報の第1例を示す図
図5】異常行動態様情報テーブルの第1例を示す図
図6】異常行動検知の流れを示す第1のフローチャート
図7】異常行動検知の流れを示す第2のフローチャート
図8】介護システムの第2例を示す概念図
図9】情報処理装置の構成を示すブロック図
図10】異常行動検知の流れを示す第3のフローチャート
図11】介護システムの第3例を示す概念図
図12】通信装置の構成を示すブロック図
図13】地図情報の第2例を示す図
図14】異常行動態様情報テーブルの第2例を示す図
図15】異常行動検知の流れを示す第4のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
以下に本発明の介護システムについて図面を参照して説明する。なお、本実施形態及び以降の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために介護システムの一例を示すものであって、本発明をこれら介護システムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の介護システムにも等しく適応し得るものである。
【0017】
図1は本実施形態の介護システムを示す概念図である。介護システムは、要介助者が所持する第1の通信装置10、介助者が所持する第2の通信装置20を含んで構成される。第1の通信装置10及び第2の通信装置20とは通信基地局(以下、単に「基地局」と称することもある。)を介して無線にて情報の送受信の通信を行う。また、第1の通信装置10はGPS衛星からGPS信号を受信する。
【0018】
図2は第1の通信装置10の構成を示すブロック図である。第1の通信装置10は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信可能であり、且つ、基地局と無線通信可能な通信装置である。第1の通信装置10としては要介助者が所持し忘れることがないよう、要介助者が日常的に使用するものであることが望ましく、例えば、眼鏡、杖、シルバーカー等に上記機能(GPS信号受信機能及び基地局との通信機能)を設けたものであってもよいし、通常これらの機能を有する携帯無線通信端末(携帯電話機)等であってもよい。本実施形態では第1の通信装置10として携帯無線通信端末を例に説明する。
【0019】
第1の通信装置10は、制御部11、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信するGPS信号受信部12、基地局と無線通信を行う通信部13、記憶部14、及び、報知部15を備える。
【0020】
制御部11は第1の通信装置10全体を制御する制御手段である。制御部11は図示しないCPUとROMとRAMとを含んでいる。ROMには制御部11が実行するソフトウェア及びプログラム、ソフトウェア及びプログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種ソフトウェアおよびプログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、ROM、RAM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。
【0021】
GPS信号受信部12はGPS衛星から送信されるGPS信号を受信し、制御部11に出力する。制御部11は取得したGPS信号に基づいて自装置10の現在位置(緯度、経度)を特定し、当該位置情報を記憶部14に格納する。
【0022】
通信部13は基地局から携帯電話用電波を受信し、復調等の処理をして制御部11に出力し、或いは、制御部11から入力されたデータに変調等の処理をして基地局に送信する。これにより通信部13は基地局を介して、他の通信装置の通信部との間で情報の送受信を行うことができる。
【0023】
報知部15は制御部11に制御されて所定の報知を行う報知手段である。制御部11は要介助者の行動が異常行動に該当する場合に報知部15を制御する。報知部15としては、音声出力部(スピーカ)及び/又は画像表示部(ディスプレイ)が例示され、要介助者の行動が異常行動に該当する場合に、音声出力部から要介助者の行動が異常行動であることを示す音声を発し、或いは、要介助者の行動が異常行動であることを示す画像を画像表示部に表示する。
【0024】
図3は第2の通信装置20の構成を示すブロック図である。第2の通信装置20は、基地局と無線通信可能な通信装置である。第2の通信装置20は第1の通信装置10と同様特に限られるものではない。本実施形態では第2の通信装置20として携帯無線通信端末を例に説明する。
【0025】
第2の通信装置20は、制御部21、基地局と無線通信を行う通信部22、記憶部23、及び、報知部24を備える。
【0026】
制御部21は第2の通信装置20全体を制御する制御手段である。制御部21は図示しないCPUとROMとRAMとを含んでいる。ROMには制御部21が実行するソフトウェア及びプログラム、ソフトウェア及びプログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種ソフトウェアおよびプログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、ROM、RAM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。
【0027】
通信部22は基地局から携帯電話用電波を受信し、復調等の処理をして制御部21に出力し、或いは、制御部21から入力されたデータを変調等の処理をして基地局に送信する。これにより通信部22は基地局を介して、他の通信装置の通信部との間で情報の送受信を行うことができる。
【0028】
記憶部23は通信部22を介して取得した第1の通信装置10の位置情報を格納する記憶手段である。さらに、記憶部23には、地図情報、異常行動態様と位置情報の変化のパターンとが対応付けられた異常行動態様情報、報知履歴情報(詳細は後述)、発信履歴情報(詳細は後述)が格納される。図4は記憶部23に格納される地図情報の一例を示す図である。図5は記憶部23に格納される異常行動態様情報の一例を示す図である。
【0029】
図4に示すように地図情報には要介助者が安全に行動できる安全エリア情報が設定され、当該安全エリア内において少なくとも居住施設情報及び要介助者が立ち寄る場所情報(図4では病院、スーパー、公園の位置情報)が含まれる。
【0030】
図5に示すように異常行動態様には5つの類型が定められている。なお、図5に示す異常行動態様の類型は例示であって、当該類型に限定されるものではない。第1の類型は往復行動パターンであり、例えば、公園とスーパーとの間を何往復も移動する(特定の二地点を所定回数以上往復する)行動パターンである。第2の類型はループ行動パターンであり、例えば、スーパーと病院と公園を何周も周回する(特定の経路を所定回数以上同一方向に通過する)行動パターンである。第3の類型は留まりパターンであり、居住施設以外の場所(特に公園や施設等のランドマーク以外の場所)において第1の設定時間以上留まる(特定の地点で所定時間以上留まる)行動パターンである。第4の類型は自宅健忘パターンであり、現在位置がスーパーから居住施設となったにもかかわらず、その後移動を継続している(特定の地点を通過する)行動パターンである。第5の類型は目的地健忘パターンであり、第2の設定時間以上移動を継続している行動パターン、及び/又は、安全エリア外に移動した(所定時間以上移動を継続する)行動パターンである。
【0031】
報知部24は制御部21に制御されて所定の報知を行う報知手段である。制御部21は要介助者の行動が異常行動に該当する場合に報知部24を制御する。報知部24としては、音声出力部(スピーカ)及び/又は画像表示部(ディスプレイ)が例示され、要介助者の行動が異常行動である場合に、音声出力部から要介助者の行動が異常行動であることを示す音声を発し、或いは、要介助者の行動が異常行動であることを示す画像を画像表示部に表示する。
【0032】
以下、図6を参照して本実施形態の介護システムについて説明する。図6は本実施形態の介護システムにおける要介助者の異常行動報知の流れを示すフローチャートである。なお、本実施形態の介護システムは、介助者が所持する第2の通信装置20が居住施設外における要介助者の異常行動を検知する介護システムに関するものであり、第2の通信装置20の制御部21の処理能力を考慮すれば、在宅介護等、介助者が要介助者を一対一で介助し、或いは、ごく少人数の要介助者を介助する場面が想定される。
【0033】
ステップS01において制御部11は自装置10(言い換えれば自装置10を所持する要介助者)の現在位置が居住施設(自宅)外であるか否かを判定する。現在位置が居住施設外であるか否かの判定は、GPS信号受信部12が受信するGPS信号に基づいて特定される位置情報に基づくこととしてもよいし、第1の通信装置10が居住施設内において家庭内ネットワークに接続されている場合に、当該家庭内ネットワークとの接続状態に基づく(すなわち家庭内ネットワークに非接続状態であれば現在位置が居住施設外であると判定する)こととしてもよい。自装置10の現在位置が居住施設外であれば(ステップS01のY)、ステップS02に移行し、自装置10の現在位置が居住施設内であれば(ステップS01のN)ステップS01に戻る。
【0034】
ステップS02において制御部11はGPS信号受信部12が受信するGPS信号に基づいて自装置10の位置情報を算出してステップS03に移行する。なお、ステップS01において、GPS信号受信部12が受信するGPS信号に基づいて自装置10の現在位置が居住施設外か否かを判定している場合には、当該ステップにおいて位置情報を特定しているため、ステップS02の処理は省略することとしてもよい。
【0035】
ステップS03において制御部11は通信部13を介して、ステップS02で算出した位置情報を基地局に対して送信し、ステップS01に戻る。なお、本ステップにおいて制御部11は自装置10の位置情報を基地局に対して送信すると共に、自装置10の位置情報を記憶部14に格納することとしてもよい。制御部11によるステップS01〜S03の処理は自装置10の現在位置が居住施設内になるまで繰り返し行われる。
【0036】
ステップS11において制御部21は通信部22が基地局を介して第1の通信装置10の位置情報を受信したか否かを判定する。通信部22が基地局を介して第1の通信装置10の位置情報を受信していれば(ステップS11のY)ステップS12に移行し、通信部22が基地局を介して第1の通信装置10の位置情報を受信していなければ(ステップS11のN)はステップS11に戻る。ステップS12において制御部11はステップS11において通信部22が受信した第1の通信装置10の位置情報を記憶部23に格納し、ステップS13に移行する。
【0037】
ステップS13において制御部21は、記憶部23に記憶されている第1の通信装置10の位置情報の変化のパターンと、記憶部23に記憶されている異常行動態様に対応付けられた位置情報の変化パターンとを比較して、第1の通信装置10の位置情報の変化のパターンが異常行動態様に該当するか否かを判定する。第1の通信装置10の位置情報の変化のパターンが異常行動態様に該当する場合(ステップS13のY)はステップS14に移行し、第1の通信装置10の位置情報の変化のパターンが異常行動態様に該当しない場合(ステップS13のN)はステップS11に戻る。
【0038】
ステップS14において制御部21は現在時刻前の所定時間内に報知部24を制御して、異常行動態様に該当した通信装置(本実施形態では第1の通信装置10)に関する所定の報知を行っていたか否かを判定する。本ステップの判定は、記憶部23に記憶される報知履歴情報に基づいて行われる。報知履歴情報には、少なくとも、異常行動態様に該当する通信装置情報(通信装置固有の識別情報であってもよいし、当該通信装置を所持する要介助者の氏名等であってもよい)、及び、報知を行った時刻情報が含まれ、他に、異常行動態様の類型情報が含まれていてもよい。現在時刻前の所定時間内に報知部24を制御して第1の通信装置10に関する所定の報知を行っていた場合(ステップS14のY)にはステップS11に戻り、現在時刻前の所定時間内に報知部24を制御して第1の通信装置10に関する所定の報知を行っていなかった場合(ステップS14のN)にはステップS15に移行する。
【0039】
ステップS15において制御部21は現在時刻前の所定時間内に第2の通信装置20から第1の通信装置10に対して発信が行われていたか否かを判定する。本ステップの判定は、記憶部23に記憶される発信履歴情報に基づいて行われる。発信履歴情報には、少なくとも、発信先の通信装置情報(通信装置固有の識別情報であってもよいし、当該通信装置を所持する要介助者の氏名等であってもよい)、及び、発信を行った時刻情報が含まれ、他に、通信態様(メール通信、通話通信等)情報、通話通信時間情報、メール送信に対する返信情報が含まれていてもよい。現在時刻前の所定時間内に、第2の通信装置20から第1の通信装置10に対して発信が行われていた場合(ステップS15のY)にはステップS11に戻り、現在時刻前の所定時間内に、第2の通信装置20から第1の通信装置10に対して発信が行われていなかった場合(ステップS15のN)にはステップS16に移行する。ステップS14における所定時間と本ステップにおける所定時間としては同時間が設定されていてもよいし、異なる時間が設定されていてもよい。
【0040】
ステップS16において制御部21は報知部24を制御して、要介助者が異常行動状態であることを示す所定の報知を行う。報知部24を介して行われる所定の報知としては、例えば、音声出力部を介して所定の警告音を発し、及び/又は、画像表示部に「要介助者が危険です!」等の画像を表示する。
【0041】
本実施形態では、短期間に連続して報知が行われないようにステップS14にて所定時間内に報知履歴がある場合に報知を行わないようにし、また、報知履歴がない場合であっても要介助者に電話等で連絡を行っている場合には要介助者の現状を把握していると考えられるためステップS15において所定時間内に発信履歴がある場合に報知を行わないこととした。しかしながら変形例として、ステップS14及びステップS15を設けない構成としてもよく、また、要介助者の認知症の進行度や要介護度(介護認定の取得状況)を鑑みてステップS14及びステップS15の処理を実行するか否かを選択可能な構成としてもよい。
【0042】
また、ステップS15において所定時間内に発信履歴がある場合に報知を行わないこととしたが、発信履歴情報に、通話通信時間情報(要介助者と通話した時間を示す情報)又はメール送信に対する返信情報(要介助者へのメール送信に対する要介助者からのメール返信があったことを示す情報)が含まれる場合には、当該情報にも基づいて要介助者との連絡の有無を判定することとしてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、第1の通信装置10の位置情報の変化のパターンが異常行動態様に該当する場合に、制御部21が報知部24を制御して所定の報知を行うこととしたが、異常態様行動に該当することを示す情報を基地局を介して第1の通信装置10に送信し、制御部11が報知部15を制御して所定の報知を行うこととしてもよいし、また、制御部11及び制御部21が夫々報知部15及び報知部24を制御して所定の報知を行うこととしてもよい。報知部15を介して行われる所定の報知としては、要介助者の周囲に存在する人に対して要介助者が危険な状態にあることを示す報知であることが望ましく、例えば、音声出力部を介して所定の警告音を発したり、「保護して下さい」などの音声出力を行う。また、画像表示部に「危険状態!!」等の画像を表示する。
【0044】
本実施形態によれば、居住施設外において、要介助者(要介助者が所持する通信装置)の位置情報の変化のパターン(行動態様)が異常行動態様に該当する場合に報知が行われる。
【0045】
なお、本実施形態においては、制御部11及びGPS受信部12が位置情報取得部として機能し、制御部21が行動態様特定部及び報知制御部として機能し、記憶部23が異常行動態様設定部として機能する。
【0046】
<第2実施形態>
第1実施形態では介助者が所持する第2の通信装置20が、要介助者の異常行動を検知することとしたが、要介助者が所持する第1の通信装置10が、要介助者の異常行動を検知することとしてもよい。
【0047】
本実施形態においては記憶部14に第1の通信装置10の位置情報、地図情報、異常行動態様と位置情報の変化のパターンとが対応付けられた異常行動態様情報、異常行動情報の送信履歴情報(詳細は後述)、着信履歴情報(詳細は後述)が格納される。
【0048】
以下、図7を参照して本実施形態の介護システムについて説明する。図7は本実施形態の介護システムにおける要介助者の異常行動報知の流れを示すフローチャートである。
【0049】
ステップS21において制御部11は自装置10の現在位置が居住施設外であるか否かを判定する。本ステップの判定方法は図6のステップS01と同様である。自装置10の現在位置が居住施設外であれば(ステップS21のY)、ステップS22に移行し、自装置10の現在位置が居住施設内であれば(ステップS21のN)ステップS21に戻る。
【0050】
ステップS22において制御部11はGPS信号受信部12が受信するGPS信号に基づいて自装置10の位置情報を算出してステップS23に移行する。ステップS23において制御部11はステップS22で算出した位置情報を記憶部14に格納し、ステップS24に移行する。
【0051】
ステップS24において制御部11は、記憶部14に記憶されている自装置10の位置情報の変化のパターンと、記憶部14に記憶されている異常行動態様に対応付けられた位置情報の変化パターンとを比較して、自装置10の位置情報の変化のパターンが異常行動態様に該当するか否かを判定する。自装置10の位置情報の変化のパターンが異常行動態様に該当する場合(ステップS24のY)はステップS25に移行し、自装置10の位置情報の変化のパターンが異常行動態様に該当しない場合(ステップS24のN)はステップS21に戻る。
【0052】
ステップS25において制御部11は現在時刻前の所定時間内に自装置10の行動態様が異常行動態様に該当することを示す情報を基地局を介して他の通信装置(本実施形態では第2の通信装置20)に送信したか否かを判定する。本ステップの判定は、記憶部14に記憶される異常行動情報の送信履歴情報に基づいて行われる。異常行動情報の送信履歴情報には、少なくとも、異常行動態様に該当することを示す情報の送信先の通信装置の識別情報(通信装置固有の識別情報であってもよいし、当該通信装置を所持する介助者の氏名等であってもよい)、及び、送信した時刻情報が含まれ、他に、異常行動態様の類型情報が含まれていてもよい。現在時刻前の所定時間内に異常行動情報を第2の通信装置20に送信していた場合(ステップS25のY)にはステップS21に戻り、現在時刻前の所定時間内に異常行動情報を第2の通信装置20に送信していなかった場合(ステップS25のN)にはステップS26に移行する。
【0053】
ステップS26において制御部11は現在時刻前の所定時間内に第2の通信装置20から着信があったか否かを判定する。本ステップの判定は、記憶部14に記憶される着信履歴情報に基づいて行われる。着信履歴情報には、少なくとも、発信元の通信装置の識別情報(通信装置固有の識別情報であってもよいし、当該通信装置を所持する介助者の氏名等であってもよい)、及び、着信した時刻情報が含まれ、他に、通信態様(メール通信、通話通信等)情報、通話通信時間情報、メール受信に対する返信情報が含まれていてもよい。現在時刻前の所定時間内に第2の通信装置20から着信があった場合(ステップS26のY)にはステップS21に戻り、現在時刻前の所定時間内に第2の通信装置20から着信がなかった場合(ステップS26のN)にはステップS27に移行する。ステップS25における所定時間と本ステップにおける所定時間としては同時間が設定されていてもよいし、異なる時間が設定されていてもよい。
【0054】
なお、ステップS26において現在時刻前の所定時間内に第2の通信装置20から着信があったか否かを判定しているが、着信履歴情報に通話通信時間情報(介助者と通話した時間を示す情報)又はメール受信に対する返信情報(介助者からのメール受信に対して要介助者がメール返信したことを示す情報)が含まれる場合には、当該情報にも基づいて介助者からの着信の有無を判定することとしてもよい。
【0055】
ステップS27において制御部11は基地局を介して、異常行動情報を第2の通信装置20に送信する。
【0056】
ステップS31において制御部21は通信部22が基地局を介して第1の通信装置10から異常行動情報を受信したか否かを判定する。通信部22が基地局を介して第1の通信装置10から異常行動情報を受信していれば(ステップS31のY)ステップS32に移行し、通信部22が基地局を介して第1の通信装置10から異常行動情報を受信していなければ(ステップS31のN)ステップS31に戻る。
【0057】
ステップS32において制御部21は報知部24を制御して、要介助者が異常行動状態であることを示す所定の報知を行う。本ステップにおける所定の報知は図6のステップS16と同様である。
【0058】
なお、第1実施形態と同様に変形例として、ステップS25及びステップS26を設けない構成としてもよく、また、ステップS25及びステップS26の処理を実行するか否かを選択可能な構成としてもよい。また、制御部11が報知部15を制御して所定の報知を行うこととしてもよいし、また、制御部11及び制御部21が夫々報知部15及び報知部24を制御して所定の報知を行うこととしてもよい。
【0059】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0060】
なお、本実施形態においては、制御部11及びGPS受信部12が位置情報取得部として機能し、制御部11が行動態様特定部として機能し、記憶部14が異常行動態様設定部として機能し、制御部21が報知制御部として機能する。
【0061】
<第3実施形態>
第1実施形態において制御部21は一人又は少人数の要介助者の行動態様が異常行動態様に該当するか否かを判定し、第2実施形態において制御部11は一人(自装置を所持する要介助者)の行動態様が異常行動態様に該当するか否かを判定するものであり、処理負荷が小さく、情報処理能力が比較的低い通信装置であっても円滑に対応可能である。一方で、特に第1実施形態のように要介助者の行動態様を介助者側で監視する場合、監視対象となる要介助者が多人数となる介護施設において、介助者が所持する通信端末で全ての要介助者の行動態様が異常行動態様に該当するか否かを判定するのは処理負荷が大きくなってしまい、円滑な処理が困難になる。そこで本実施形態では情報処理能力の高い情報処理装置にて要介助者の行動態様を監視する。
【0062】
図8は本実施形態の介護システムを示す概念図である。介護システムは、要介助者が所持する第1の通信装置10、介助者が所持する第2の通信装置20、介護施設に設置される情報処理装置30を含んで構成される。第1の通信装置10及び第2の通信装置20とは通信基地局(以下、単に「基地局」と称することもある。)を介して無線にて情報の送受信の通信を行う。また、第1の通信装置10、第2の通信装置20及び情報処理装置30はインターネットを介して無線にて情報の送受信の通信を行う。また、第1の通信装置10はGPS衛星からGPS信号を受信する。
【0063】
第1の通信装置10及び第2の通信装置20の基本構成は図2及び図3に示す第1の通信装置10及び第2の通信装置20と同様である。但し、本実施形態において第1の通信装置10及び第2の通信装置20は、夫々、インターネットサーバと通信を行う通信部(不図示、明細書内において夫々通信部16、通信部25と称する)を備える。
【0064】
図9は情報処理装置30の構成を示すブロック図である。情報処理装置30は制御部31、インターネットサーバと通信を行う通信部32及び記憶部33を備える。
【0065】
制御部31は情報処理装置30全体を制御する制御手段である。制御部31は図示しないCPUとROMとRAMとを含んでいる。ROMには制御部31が実行するソフトウェア及びプログラム、ソフトウェア及びプログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種ソフトウェアおよびプログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、ROM、RAM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。
【0066】
通信部32は無線通信、例えば、無線LANを用いてインターネットサーバと通信を行う。なお、無線LANはIEEE802.11a,b,g,nのいずれの方式であってもよい。また、無線通信は無線LANに限られたものではなく、他の無線通信方式であっても同様に構成することが可能である。
【0067】
記憶部33は通信部32を介して取得した第1の通信装置10の位置情報を格納する記憶手段である。さらに、記憶部33には、地図情報、異常行動態様と位置情報の変化のパターンとが対応付けられた異常行動態様情報、異常行動情報の送信履歴情報が格納される。
【0068】
以下、図10を参照して本実施形態の介護システムについて説明する。図10は本実施形態の介護システムにおける要介助者の異常行動報知の流れを示すフローチャートである。
【0069】
ステップS41において制御部11は自装置10の現在位置が居住施設外であるか否かを判定する。本ステップの判定方法は図6のステップS01と同様である。自装置10の現在位置が居住施設外であれば(ステップS41のY)、ステップS42に移行し、自装置10の現在位置が居住施設内であれば(ステップS41のN)ステップS41に戻る。
【0070】
ステップS42において制御部11はGPS信号受信部12が受信するGPS信号に基づいて自装置10の位置情報を算出してステップS43に移行する。ステップS43において制御部11は通信部16を介して、ステップS42で算出した位置情報をインターネットサーバに対して送信し、ステップS41に戻る。なお、本ステップにおいて制御部11は位置情報をインターネットサーバに対して送信すると共に、位置情報を記憶部14に格納することとしてもよい。制御部11によるステップS41〜S43の処理は自装置10の現在位置が居住施設内になるまで繰り返し行われる。
【0071】
ステップS51において制御部31は通信部32がインターネットサーバを介して第1の通信装置10の位置情報を受信したか否かを判定する。通信部32がインターネットサーバを介して第1の通信装置10の位置情報を受信していれば(ステップS51のY)ステップS52に移行し、通信部32がインターネットサーバを介して第1の通信装置10の位置情報を受信していなければ(ステップS51のN)はステップS51に戻る。ステップS52において制御部11はステップS51において通信部32が受信した第1の通信装置10の位置情報を記憶部33に格納し、ステップS53に移行する。
【0072】
ステップS53において制御部31は、記憶部33に記憶されている第1の通信装置10の位置情報の変化のパターンと、記憶部33に記憶されている異常行動態様に対応付けられた位置情報の変化パターンとを比較して、第1の通信装置10の位置情報の変化のパターンが異常行動態様に該当するか否かを判定する。第1の通信装置10の位置情報の変化のパターンが異常行動態様に該当する場合(ステップS53のY)はステップS54に移行し、第1の通信装置10の位置情報の変化のパターンが異常行動態様に該当しない場合(ステップS53のN)はステップS51に戻る。
【0073】
ステップS54において制御部31は現在時刻前の所定時間内に第1の通信装置10の行動態様が異常行動態様に該当することを示す情報をインターネットサーバを介して他の通信装置(本実施形態では第2の通信装置20)に送信したか否かを判定する。本ステップの判定は、記憶部33に記憶される異常行動情報の送信履歴情報に基づいて行われる。
【0074】
異常行動情報の送信履歴情報には、少なくとも、異常行動態様が検知された通信装置の識別情報(通信装置固有の識別情報であってもよいし、当該通信装置を所持する要介助者の氏名等であってもよい)、異常行動態様に該当することを示す情報の送信先の通信装置の識別情報(通信装置固有の識別情報であってもよいし、当該通信装置を所持する介助者の氏名等であってもよい)、及び、送信した時刻情報が含まれ、他に、異常行動態様の類型情報が含まれていてもよい。現在時刻前の所定時間内に異常行動情報を第2の通信装置20に送信していた場合(ステップS54のY)にはステップS51に戻り、現在時刻前の所定時間内に異常行動情報を第2の通信装置20に送信していなかった場合(ステップS54のN)にはステップS55に移行する。
【0075】
ステップS55において制御部31はインターネットサーバを介して、異常行動情報を第2の通信装置20に送信する。
【0076】
ステップS61において制御部21は通信部25がインターネットサーバを介して情報処理装置30から異常行動情報を受信したか否かを判定する。通信部25がインターネットサーバを介して情報処理装置30から異常行動情報を受信していれば(ステップS61のY)ステップS62に移行し、通信部25がインターネットサーバを介して情報処理装置30から異常行動情報を受信していなければ(ステップS61のN)ステップS61に戻る。
【0077】
ステップS62において制御部21は現在時刻前の所定時間内に第2の通信装置20から第1の通信装置10に対して発信が行われていたか否かを判定する。本ステップの判定は、記憶部23に記憶される発信履歴情報に基づいて行われる。現在時刻前の所定時間内に、第2の通信装置20から第1の通信装置10に対して発信が行われていた場合(ステップS62のY)にはステップS61に戻り、現在時刻前の所定時間内に、第2の通信装置20から第1の通信装置10に対して発信が行われていなかった場合(ステップS62のN)にはステップS63に移行する。
【0078】
ステップS63において制御部21は報知部24を制御して、要介助者が異常行動状態であることを示す所定の報知を行う。
【0079】
なお、第1実施形態及び第2実施形態と同様に変形例として、ステップS54及びステップS62を設けない構成としてもよく、また、ステップS54及びステップS62の処理を実行するか否かを選択可能な構成としてもよい。また、制御部11が報知部15を制御して所定の報知を行うこととしてもよいし、また、制御部11及び制御部21が夫々報知部15及び報知部24を制御して所定の報知を行うこととしてもよい。
【0080】
また、情報処理装置30が報知部(不図示)を備えていてもよく、その場合、情報処理装置30が備え、或いは情報処理装置30に接続された音声出力部を介して所定の警告音を発し、及び/又は、画像表示部に「要介助者が危険です!」等の画像を表示する。
【0081】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する。加えて、介護施設に入居する多数の要介助者の夫々に対して行動態様の監視が可能である。
【0082】
なお、本実施形態においては、制御部11及びGPS受信部12が位置情報取得部として機能し、制御部31が行動態様特定部として機能し、記憶部33が異常行動態様設定部として機能し、制御部21が報知制御部として機能する。
【0083】
<第4実施形態>
第1実施形態〜第3実施形態では居住施設外における要介助者の異常行動を検知する介護システムについて説明したが、異常行動は居住施設外に限られるものではなく、居住施設内でも起こる可能性がある。本実施形態は、居住施設内における要介助者の異常行動を検知する介護システムであり、第1実施形態の変形例として説明するが、第3実施形態にも適用可能である。
【0084】
図11は本実施形態の介護システムを示す概念図である。介護システムは、人感センサ群、要介助者が所持するIDタグ50、無線モジュール60、及び、介助者が所持する通信装置70を含んで構成される。
【0085】
人感センサ群は複数の人感センサ40から構成され、居住施設内の様々な位置に取り付けられる。人感センサ40は要介助者が所持するIDタグ(RFIDタグ)50の情報を読み取り可能なタグリーダーである。IDタグ50には当該IDタグ50を所持する要介助者の識別情報(要介助者の氏名、他の要介助者と区別するための情報等)が含まれる。
【0086】
人感センサ群、無線モジュール60及び通信装置70は近距離無線通信に接続されており、例えば、ZigBee(登録商標)と呼ばれるシステムを使用することができる。ZigBee(登録商標)はIEEE802.15.4に準拠した通信規格であり、消費電力が少なくセンサネットワークを構築するには最適とされている。当然ながら近距離無線通信はZigBee(登録商標)で構築されるものと限られるわけではなく、他の無線通信方式で構築されてもよく、あるいは、有線を用いたネットワークで構築されても良い。無線モジュール60は人感センサ群から送信された情報を受信し、通信装置70に送信する。
【0087】
図12は通信装置70の構成を示すブロック図である。通信装置70は、制御部71、センサネットワークと無線通信を行う通信部72、記憶部73、及び、報知部74を備える。
【0088】
制御部71は通信装置70全体を制御する制御手段である。制御部71は図示しないCPUとROMとRAMとを含んでいる。ROMには制御部71が実行するソフトウェア及びプログラム、ソフトウェア及びプログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種ソフトウェアおよびプログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、ROM、RAM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。
【0089】
通信部72はセンサネットワークと通信を行う。記憶部73は通信部72を介して取得したIDタグ50に関する情報を格納する記憶手段である。通信部72を介して取得したIDタグ50に関する情報には、IDタグ50の識別情報(IDタグ50の固有の識別情報であってもよいし、IDタグ50を所持する要介助者の氏名等であってもよい)、IDタグ50の現在位置情報及び/又はIDタグ50から情報を読み取った人感センサ40の位置情報)、及び、人感センサ40がIDタグ50から情報を読み取った時刻情報が含まれる。さらに、記憶部73には、地図情報、異常行動態様と位置情報の変化のパターンとが対応付けられた異常行動態様情報、報知履歴情報が格納される。図13は記憶部73に格納される地図情報の一例を示す図である。図14は記憶部73に格納される異常行動態様情報の一例を示す図である。
【0090】
図13に示すように地図情報には少なくとも、要介助者の自室情報を含む各部屋の属性情報(図13ではトイレ、風呂、リビングの位置情報)が含まれる。
【0091】
図14に示すように異常行動態様には5つの類型が定められている。なお、図14に示す異常行動態様の類型は例示であって、当該類型に限定されるものではない。第1の類型は往復行動パターンであり、例えば、リビングと風呂場との間を何往復も移動する行動パターンである。第2の類型はループ行動パターンであり、例えば、リビングとトイレと風呂を何周も周回する行動パターンである。第3の類型は留まりパターンであり、自室以外の場所(特に風呂場及びトイレ)において第1の設定時間以上留まる行動パターンである。第4の類型は自室健忘パターンであり、現在位置が風呂場から自室の前或いは自室内となったにもかかわらず、自室外を移動し続ける行動パターンである。第5の類型は目的地健忘パターンであり、第2の設定時間以上移動を継続している行動パターンある。
【0092】
報知部74は制御部71に制御されて所定の報知を行う報知手段である。制御部71は要介助者の行動が異常行動に該当する場合に報知部74を制御する。
【0093】
以下、図15を参照して本実施形態の介護システムについて説明する。図15は本実施形態の介護システムにおける要介助者の異常行動報知の流れを示すフローチャートである。
【0094】
ステップS71において制御部71は通信部72がセンサネットワークを介してIDタグ50に関する情報を受信したか否かを判定する。通信部72がセンサネットワークを介してIDタグ50に関する情報を受信していれば(ステップS71のY)ステップS72に移行し、通信部72がセンサネットワークを介してIDタグ50に関する情報を受信していなければ(ステップS71のN)ステップS71に戻る。ステップS72において制御部71はステップS71において通信部72が受信したIDタグ50に関する情報を記憶部73に格納し、ステップS73に移行する。
【0095】
ステップS73において制御部71は、記憶部73に記憶されているIDタグ50に関する情報に含まれるIDタグ50の位置情報の変化のパターンと、記憶部73に記憶されている異常行動態様に対応付けられた位置情報の変化パターンとを比較して、IDタグ50の位置情報の変化のパターンが異常行動態様に該当するか否かを判定する。IDタグ50の位置情報の変化のパターンが異常行動態様に該当する場合(ステップS73のY)はステップS74に移行し、IDタグ50の位置情報の変化のパターンが異常行動態様に該当しない場合(ステップS73のN)はステップS71に戻る。
【0096】
ステップS74において制御部71は現在時刻前の所定時間内に報知部74を制御して、異常行動態様に該当したIDタグ(本実施形態ではIDタグ50)に関する所定の報知を行っていたか否かを判定する。本ステップの判定は、記憶部73に記憶される報知履歴情報に基づいて行われる。報知履歴情報には、少なくとも、異常行動態様に該当するIDタグ情報(IDタグ固有の識別情報であってもよいし、当該IDタグを所持する要介助者の氏名等であってもよい)、及び、報知を行った時刻情報が含まれ、他に、異常行動態様の類型情報が含まれていてもよい。現在時刻前の所定時間内に報知部74を制御してIDタグ50に関する所定の報知を行っていた場合(ステップS74のY)にはステップS71に戻り、現在時刻前の所定時間内に報知部74を制御してIDタグ50に関する所定の報知を行っていなかった場合(ステップS74のN)にはステップS75に移行する。
【0097】
ステップS75において制御部71は報知部74を制御して、要介助者が異常行動状態であることを示す所定の報知を行う。
【0098】
なお、第1実施形態〜第3実施形態と同様に変形例として、ステップS74を設けない構成としてもよく、また、ステップS74の処理を実行するか否かを選択可能な構成としてもよい。
【0099】
また、本実施形態では居住施設内における要介助者の位置を特定する方法として、IDタグ50と人感センサ群を用いることとしたがこれに限られるものではない。例えば、屋内GPSを用いて要介助者の位置を特定することとしてもよい。
【0100】
また、本実施形態では要介助者がIDタグを所持することとしたが、第1実施形態〜第3実施形態と同様に通信装置を所持することとしてもよい。その場合、第2実施形態にも適用可能であり、また、要介助者が所持する通信装置の報知部により所定の報知を行うこととしてもよい。
【0101】
本実施形態によれば、居住施設内において、要介助者(要介助者が所持する通信装置)の位置情報の変化のパターン(行動態様)が異常行動態様に該当する場合に報知が行われる。
【0102】
なお、本実施形態においては、制御部71及び通信部72が位置情報取得部として機能し、制御部71が行動態様特定部として機能し、記憶部73が異常行動態様設定部として機能し、制御部71が報知制御部として機能する。
【0103】
<補足>
介護システムとして、居住施設外における異常行動検知と居住施設内における異常行動検知の双方を実行することとしてもよい。その場合、特定の要介助者の位置情報に関して、居住施設内の位置情報と居住室外の位置情報とは異なる情報として記憶部に格納され、夫々の位置情報の変化のパターンと、居住施設内外に応じて定められる異常行動態様に対応付けられた位置情報の変化パターンとを比較して異常行動を検知する。
【0104】
また、第1実施形態〜第3実施形態では、地図情報に安全エリア情報、居住施設情報、及び、要介助者が立ち寄る場所情報が含まれ、第4実施形態では、地図情報に自室情報を含む各部屋の各部屋の属性情報が含まれることとしたが、これらの情報を有さず、或いは、居住施設情報又は自室情報のみを有することとしてもよい。
【0105】
前者の場合、図5に示す第4の類型の異常行動態様の判定が困難であるが、例えば、第4の類型として高速移動パターンを定めることとしてもよい。高速移動パターンとは、短時間で所定距離以上を移動している場合、例えば新幹線に乗車した場合が挙げられる。また、同様に、図14に示す第4の類型の異常行動態様の判定が困難であるが、例えば、第4の類型として不退室パターンを定めることとしてもよい。不退室パターンとは自室に所定時間以上留まっているパターンであり、当該所定時間は自室内にて倒れているような可能性がある時間が設定される。すなわち、通常であれば定期的にキッチンやトレイに行くために自室を退室するはずであるにも関わらず、例えば6時間以上自室に留まっている場合に本類型に該当する。
【0106】
また、本実施形態では図5及び図14に示す第1の類型〜第5の類型のいずれかに該当する場合に所定の報知が行われるが、いずれかの類型について要介助者の認知症の進行度や要介護度(介護認定の取得状況)等を考慮して介助者が問題ないと考える場合や、事情を把握している場合(例えば映画館やリビングにおける映画鑑賞等、居住施設や自室以外の場所で長時間留まることを知っている場合)において一部の類型に該当した場合に報知を行わないように設定可能であることとしてもよい。
【0107】
各記憶部に記憶される第1の通信装置10の位置情報、報知履歴情報、異常行動情報の送信履歴情報、及び、着信履歴情報は、第1の通信装置10の現在位置が居住施設内となった場合に削除することとしてもよい。また、各記憶部に記憶されるIDタグ50の位置情報、報知履歴情報、発信履歴情報は、IDタグ50の現在位置が居住施設内となった場合に削除することとしてもよい。
【符号の説明】
【0108】
10 第1の通信装置
20 第2の通信装置
30 情報処理装置
40 人感センサ
50 IDタグ
60 無線モジュール
70 通信装置
図5
図6
図7
図10
図13
図14
図15
図1
図2
図3
図4
図8
図9
図11
図12