都市指標とインフラ指標の組合せごとに相関度を算出し、当該都市の課題である都市指標を選択することで、当該都市のインフラ指標のKPIを重要度とともに算出する方法を提供することにある。
受け付けたデータを処理する演算処理部と、演算処理部に接続され、都市毎に複数の都市指標と、複数のインフラ指標が格納された記憶装置と、を有し、演算処理部は、複数の都市指標のうち、指定された都市指標と、指定された都市指標に関するインフラ指標との相関度を算出し、相関度を前記インフラ指標毎に合計して重要度を算出する構成を有する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態などについて説明する。
【0016】
図1は、本発明を実施するための実施形態の一例を示すKPI特定システム100の全体構成図である。KPI特定システム100は、KPI特定装置300と、1乃至複数のセンシング装置200と、以上の装置間をつなぐ通信路400と、を有する。
【0017】
通信路400は、例えば有線LAN(Local Area Network)や無線LANなどといった規格の通信路や、携帯電話網である。
【0018】
次に、センシング装置200は、例えばPC(Personal Computer)やノートPC、携帯電話などにセンサ(電力計、交通流計測器、水質測定器、窒素酸化物濃度計測器、騒音計など)を内蔵・外付けした装置である。センシング装置200は、少なくとも演算処理を行うCPU201と、メモリ202と、記憶装置203と、通信インタフェース204と、センサ205と、を有する。通信インタフェース204は、例えば有線LANカードや無線LANカードなどといったインタフェースや、携帯電話アンテナであり、KPI特定装置300と通信路400を介して通信する。センサ205は、例えば電力計や交通流計測器、水質測定器、窒素酸化物濃度計測器、騒音計などであり、センシングデータ(電力量データ、交通流データ、水質データ、窒素酸化物濃度データ、騒音データなど)を対象物290から読み取る。記憶装置203は、例えばハードディスクやフラッシュメモリなど、プログラムやデータを記憶する装置であり、プログラムとして少なくともセンシングプログラム210を含み、データとして少なくとも都市名260と、ソースデータ名270と、を含む。
【0019】
都市名260は、当該センシング装置200がセンシングする(センシングデータを取得する)都市の名前であり、入力装置280などにより予め設定される。
【0020】
ソースデータ名270は、当該センシング装置200がセンシングするデータの名前(電力量、交通流、水質、窒素酸化物濃度、騒音など)であり、入力装置280などにより予め設定される。
【0021】
センシングプログラム210は、センサ205を介してセンシングデータを読み取り、都市名260とソースデータ名270、センシング日時を付加してソースデータを生成し、そのソースデータを通信インタフェース204を介してKPI特定装置300に通知するためのプログラムである。センシングプログラム210は、メモリ202に読み込まれ、CPU201に実行されることにより、処理が実行される。なお、ソースデータとは、後述する指標値算出のソースとなるデータのことであり、上述の通り、センシングデータに都市名とソースデータ名、センシング日時を付加したデータである。
【0022】
次に、KPI特定装置300は、例えばPCなどといった装置であり、複数の都市のソースデータを管理し、またソースデータから指標値を算出、管理し、都市を評価する指標とインフラを評価する指標のすべての組合せについて相関度を算出し、インフラ指標のKPIを特定したい都市に対し、前記相関度を用いてインフラ指標のKPIを特定するものである。KPI特定装置300は、少なくともCPU301と、メモリ302と、記憶装置303と、通信インタフェース304と、入力装置305と、表示装置306と、から構成される。通信インタフェース304は、例えば有線LANカードや無線LANカードなどといったインタフェースであり、センシング装置200と通信路400を介して通信する。入力装置305は、例えば入力ボタンやタッチパネル、キーボード、マウスなど、装置操作者が当該KPI特定装置300に各種入力を行う装置である。表示装置306は、例えば液晶ディスプレイなど、装置操作者に当該KPI特定装置300が処理結果を表示する装置である。記憶装置303は、例えばハードディスクやフラッシュメモリなど、プログラムやデータを記憶する装置であり、プログラムとして少なくともソースデータ管理プログラム310と、算出式管理プログラム320と、指標値算出プログラム330と、KPI特定プログラム340と、を含み、データとして少なくとも都市名管理DB345と、ソースデータ管理DB350と、算出式管理DB360と、指標値管理DB370と、相関度管理DB380と、KPI管理DB390と、を含む。
【0023】
都市名管理DB345は、当該KPI特定装置300がソースデータ、ひいては指標値を管理する都市の名前を1以上管理するためのデータである。都市名管理DB345の構成は、後述する
図2の説明に示される。なお、都市名管理DB345の各レコードは、表示装置306に表示しながら入力装置305などにより予め設定される。
【0024】
ソースデータ管理DB350は、1以上の管理対象の都市のソースデータを管理するためのデータである。ソースデータ管理DB350の構成は、後述する
図3の説明に示される。
【0025】
算出式管理DB360は、前記ソースデータから後述の指標値を算出するための算出式を管理するためのデータである。算出式管理DB360の構成は、後述する
図4の説明に示される。
【0026】
指標値管理DB370は、前記算出式に基づき、前記ソースデータから算出された指標値を管理するためのデータである。ここで指標値とは、都市を評価する都市指標(GDPなど)の指標値と、インフラを評価するインフラ指標(停電率、水道普及率など)の指標値とを含む。指標値管理DB370の構成は、後述する
図5の説明に示される。
【0027】
相関度管理DB380は、前記都市指標と前記インフラ指標の組合せごとに、相関度を管理するためのデータである。相関度管理DB380の構成は、後述する
図6の説明に示される。
【0028】
KPI管理DB390は、インフラ指標のKPIを特定したい都市に対し、前記相関度を用いて特定されたインフラ指標のKPIを管理するためのデータである。KPI管理DB390の構成は、後述する
図7の説明に示される。
【0029】
ソースデータ管理プログラム310は、CPU301により、センシング装置200において生成され、通知されたソースデータを、通信インタフェース304を介して受信し、ソースデータ管理DB350に登録する、および、表示装置306に表示しながら、ソースデータを入力装置305などにより登録するためのプログラムである。
【0030】
算出式管理プログラム320は、CPU301により、表示装置306に表示しながら、算出式を入力装置305などにより登録するためのプログラムである。
【0031】
指標値管理プログラム330は、CPU301により、都市名管理DB345、算出式管理DB360、ソースデータ管理DB350を参照して指標値を算出し、それを指標値管理DB370に登録する指標値算出処理を実行するためのプログラムである。指標値算出処理の詳細は、後述する
図9の説明に示される。
【0032】
KPI特定プログラム340は、CPU301により、指標値管理DB370を参照して、都市指標とインフラ指標の組合せごとに相関度を算出し、それを相関度DB380に登録し、そしてインフラ指標のKPIを特定したい都市に対し、前記相関度を用いて特定したインフラ指標のKPIをKPI管理DB390に登録するKPI特定処理を実行するためのデータである。KPI特定処理の詳細は、後述する
図10の説明に示される。
【0033】
記憶装置303が記憶するプログラムは、メモリ302に読み込まれ、CPU301に実行されることにより、それぞれの処理が実行される。
【0034】
図2は、都市名管理DB345の構成図である。レコードのフィールドとして少なくとも都市名345aを含む。
【0035】
都市名345aは、当該KPI特定装置300においてソースデータ、ひいては指標値を管理する都市の名前が1以上設定される。
【0036】
図3は、ソースデータ管理DB350の構成図である。ソースデータ管理DB350は、レコードのフィールドとして、少なくとも都市名350aと、ソースデータ名350bと、ソースデータ値350cと、日時350dと、を含む。各レコードには、センシング装置200(センシングプログラム210)において生成され、KPI特定装置300に通知されたソースデータ、および入力装置305から入力されたソースデータが登録される。
【0037】
CPU301は、都市名350aに、当該ソースデータがセンシングされた都市名を設定する。
【0038】
CPU301は、ソースデータ名350bに、当該ソースデータの名前を設定する。例えば「交通流」「NOX濃度」などである。
【0039】
CPU301は、ソースデータ値350cに、当該ソースデータの値を設定する。例えばソースデータ名「交通流」に対して「10km/h」などの値、ソースデータ名「NOX濃度」に対して「30ppb」などの値を設定する。
【0040】
CPU301は、日時350dに、当該ソースデータが生成された日時を設定する。
なお、センシング装置200において生成され、当該KPI特定装置300に通知されたソースデータについて、前記ソースデータに含まれる都市名260、ソースデータ名270、センシングデータ、センシング日時はそれぞれ、新たなレコードの都市名350a、ソースデータ名350b、ソースデータ値350c、日時350dに登録される。
【0041】
図4は、算出式管理DB360の構成図である。算出式管理DB360は、レコードのフィールドとして少なくとも指標種別360aと、指標名360bと、算出式360cと、優先度360dと、推定フラグ360eと、を含む。各レコードには、算出式ごとにレコードが登録される。
【0042】
指標種別360aは、当該算出式の種別が設定される。具体的には、当該算出式が都市を評価する都市指標のものであれば「都市指標」、当該算出式がインフラを評価するインフラ指標のものであれば「インフラ指標」という値を設定する。
【0043】
指標名360bは、当該算出式で算出する指標の名前が設定される。例えば「ピーク時平均移動速度」「NOX基準超過日数」などである。
【0044】
算出式360cは、当該算出式、すなわち指標名360bの指標値を算出するための算出式が設定される。例えば指標名「NOX基準超過日数」に対して「「NOX濃度」の60ppb超の超過日数」という算出式を設定する。
【0045】
なお、一つの指標名について、算出式は一つとは限らず、複数の算出式が設定されることがあり得る。例えば指標名「ピーク時平均移動速度」に対して、「交通流」の8時台平均」「交通流」の最小値」「交通流」の下位1/4平均」という3つの算出式が設定されることが可能である。
【0046】
優先度360dは、CPU301によって、一つの指標名について、設定されている1乃至複数の算出式について、算出に用いる優先度を、優先度が高いものから順に1から設定される。
【0047】
推定フラグ360eは、CPU301によって、算出式で指標値を算出する方法が一般的な方法であれば「OFF」、推定に基づく方法であれば「ON」が設定される。ここで、推定に基づく方法とは、ソースデータが不足しており一般的な方法では指標値を算出することが困難な場合に、他のソースデータを利用して代替的に指標値を算出する方法である。
【0048】
図5は、指標値管理DB370の構成図である。指標値管理DB370は、レコードのフィールドとして少なくとも都市名370aと、指標種別370bと、指標名370cと、指標値370dと、年次370eと、推定フラグ370fと、を含む。各レコードは、指標値算出プログラム330を実行するCPU301によって、算出された指標値情報が適宜登録される。
【0049】
都市名370aは、当該指標値に対応する都市名が設定される。
【0050】
指標種別370bは、前記指標種別360a同様、当該指標値に対応する指標の種別が設定される。
【0051】
指標名370cは、前記指標名360b同様、当該指標値に対応する指標の名前が設定される。
【0052】
指標値370dは、指標値算出プログラム330を実行するCPU301によって算出された当該指標値が設定される。
【0053】
年次370eは、当該指標値の年次が設定される。
【0054】
推定フラグ370fは、前記推定フラグ360eに基づき、当該指標値が推定に基づく方法で算出されていれば「ON」を、それ以外であれば「OFF」が設定される。
【0055】
図6は、相関度管理DB380の構成図である。相関度管理DB380は、レコードのフィールドとして少なくとも都市指標名380aと、インフラ指標名380bと、相関度380cと、推定フラグ380dと、を含む。各レコードには、都市指標とインフラ指標の組合せごとにレコードが設定される。
【0056】
都市指標名380aは、都市指標の指標名が設定される。ここで、都市指標とは、都市を評価する指標であり、前記算出式管理DB360の指標種別360aが「都市指標」である指標名360bのことである。
【0057】
インフラ指標名380bは、インフラ指標の指標名が設定される。ここで、インフラ指標とは、インフラを評価する指標である。インフラ指標は、前記算出式管理DB360の指標種別360aが「インフラ指標」である指標名360bのことである。
【0058】
相関度380cは、当該レコードの都市指標とインフラ指標の相関度が設定される。なお、相関度について詳しくは、後述する
図10の説明で示す。
【0059】
推定フラグ380dは、前記相関度を算出する際、前記指標値管理DB370の推定フラグ370fが「ON」のものを用いて算出されていれば「ON」が設定され、それ以外であれば「OFF」が設定される。
【0060】
図7は、KPI管理DB390の構成図である。KPI管理DB390は、レコードのフィールドとして少なくともKPI390aと、重要度390bと、を含む。各レコードには、KPI特定プログラム340によって特定されたKPI情報が適宜登録される。
【0061】
KPI390aは、KPI特定プログラム340によって特定されたインフラ指標のKPIが設定される。ここで設定されるKPIは、前記相関度管理DB380のインフラ指標名380bと同様である。
【0062】
重要度390bは、当該KPIの重要度が設定される。なお、重要度について詳しくは、後述する
図10の説明で示す。
【0063】
図8は、表示装置360に表示される相関表示画面の画面図である。相関度管理DB380の内容を抜粋して表示したものである。すなわち、横軸を都市指標名380a、縦軸をインフラ指標名380bとしたマトリックスの各セルに、前記都市指標名380aと前記インフラ指標名380bの組合せごとに相関度380cを表示したものである。なお、前記相関度380cのレコードの推定フラグ380dが「ON」であれば、推定である旨が併せて表示される。
【0064】
図9は、指標値算出処理のフロー図である。当該フローに従って、指標値算出プログラム330によって、CPU301は、都市名管理DB345、算出式管理DB360、ソースデータ管理DB350で管理するデータをもとに指標値を算出し、結果を指標値管理DB370に登録する。
【0065】
まず、入力装置305により処理の実行や、例えば一時間間隔のスケジュールなどにより開始される(S3301)。
【0066】
指標値算出プログラム330によって、CPU301は、都市名管理DB345からすべての都市名345aを読み取り(S3302)、読み取った都市名345aの一つずつについて、以下の処理を実行する(S3303)。ここで、未処理の都市名345aがなくなれば、指標値算出処理を終了する(S3308)。
【0067】
CPU301は、算出式管理DB360を参照し、指標名360bごとに以下のステップS3305、S3306、S3307を実行する。なお、当該都市名345aについて、未算出の指標名360bがなくなれば、ステップS3303に遷移し、次の都市名345aに関する処理に移る(S3304)。なお、ステップS3304をはじめて実行する際には、ステップS3305に遷移する。
【0068】
ステップS3305において、CPU301は、算出式管理DB360を参照し、当該指標名360bに対応する算出式360cのうち、後述するステップS3306で未確認のもののうち優先度360dが最も高い(すなわち、優先度360dの値が1に最も近い)レコードを取得する。例えば、指標名360bが「ピーク時平均移動速度」の場合、優先度360dが1である算出式360c「交通流」の8時台平均」になる。なお、ここで新たにレコードが取得できなくなれば、当該指標名の指標値を「null」とし、ステップS3307と同様の処理にて、指標値管理DB370に登録する。
【0069】
次に、CPU301は、ステップS3305で取得したレコードの算出式360cに記載のソースデータを、ソースデータ管理DB350を参照して取得する。例えば、都市名が「横浜」の処理を実行中であり、算出式360cが「交通流」の8時台平均」のとき、ソースデータ管理DB350から、ソースデータ名350bが「交通流」であり、日時350dが8時台であるレコードが取得される。ここで、該当するレコードが取得できなかった場合、ステップS3305に遷移し、次の算出式360cに関する処理に移る(S3306)。
【0070】
次に、CPU301は、ステップS3306で取得したレコードのソースデータ値350cに対し、ステップS3305で取得した算出式360cの処理を年次ごとに実行し、結果を指標値管理DB370に登録し、ステップS3304に遷移する(S3307)。ここで指標値管理DB370に登録されるレコードの都市名370a、指標種別370b、指標名370c、指標値370d、年次370e、推定フラグ370fにはそれぞれ、当該都市名345a、ステップS3305で取得したレコードの指標種別360a、同指標名360b、当該ステップで算出した指標値、前記指標値の年次、推定フラグが設定される。なお、推定フラグ370fの設定方法については、
図5の説明で上述したように、推定フラグ360eに基づき、指標値が推定に基づく方法で算出されていれば「ON」を、それ以外であれば「OFF」が設定される。
【0071】
図10は、KPI特定処理のフロー図である。KPI特定プログラム340により、CPU301は、指標値管理DB370で管理するデータをもとに相関度とKPIを算出し、結果をそれぞれ相関度管理DB380、KPI管理DB390に登録する。また、CPU301は、適宜入力装置305から入力を受け付け、出力装置306に表示する。
【0072】
まず、入力装置305により処理の実行を指示されることなどにより開始される(S3401)。
【0073】
次に、CPU301は、インフラ指標のKPIを特定したい都市について、KPI特定装置300で各種データが管理されている他の都市群とのクラスタリングを行い、同一クラスタの都市群を特定するための1以上の指標名と、前記指標名に対応する当該都市の指標値の入力を、入力装置305から受け付ける(S3402)。なお、前記指標名は、指標値管理DB370の指標名370cに設定されているものから選択される。
【0074】
次に、CPU301は、指標値管理DB370を参照し、ステップS3402で指定された1以上の指標名に対応するレコードを、都市名370aの違いによらずすべて取得する。ただし、都市名370a、指標名370cの組合せが同一のレコードが複数取得される場合は、年次370eが最新のもののみを取得するものとする(S3403)。
【0075】
次に、CPU301は、ステップS3403で取得したレコードから都市名370a、指標名370c、指標値370dを取得し、指標名370cの種類数の次元のデータ・クラスタリングを指標値370dに対し行い、同一クラスタの都市群を特定する(S3404)。なお、ここで採用するデータ・クラスタリングの手法としては、ウォード法やK平均法など、各種あり得る。
【0076】
データ・クラスタリングの手法としてK平均法を採用した場合を例に具体的に説明すると、まずステップS3402で入力された指標名の数(=n)の次元のデータA
0=(a
01,…,a
0n)を生成する。例えば、指標名370cのうち、「NOX基準超過日数」と、「救急車平均到着時間」が選択されている場合、n=2となり、2次元のデータとなる。a
01,…,a
0nには、ステップS3402で指定された指標名370cに対応する指標値370dが格納される。
【0077】
次に、ステップS3403で取得されたm個のレコードについて、レコードごとにA
0と同じルールでn次元のデータA
1=(a
11,…,a
1n)、…、A
m=(a
m1,…,a
mn)を生成する。ここで、A
0、…、A
mの各次元には、同一の指標名に対応する指標値が格納される。
【0078】
図11は、指標名370cのうち、「NOX基準超過日数」と、「救急車平均到着時間」が選択されている場合における、指標名370cと指標値370dの関係を示したものである。簡単のために、都市名370aを4都市のみにしている。この場合、A
0=(15、5)、A
1=(14、3)、A
2=(18、4)、A
3=(10、7)となる。
【0079】
次に、A
0、…、A
mについて、各次元(j=1〜n)ごとに値を0〜100で正規化するために、各次元ごとに値の最大値a
j(max)、最小値a
j(min)を特定し、i=0〜m、j=1〜nのすべての組合せついてA
ij=(a
ij−a
j(min))×100/(最大値a
j(max)−最小値a
j(min))を算出し、A
0、…、A
mのa
ijをA
ijに置き換える。
図11の例では、j=1となるNOX基準超過日数では、最大値a
1(max)=18、最小値a
1(min)=10となるので、
A
01=(15−10)×100/(18−10)=62.5
となる。同様に計算した結果は、
図12のようになる。
【0080】
次に、クラスタ分割する数Kを指定し、A
0、…、A
mにランダムにクラスタ番号(1〜K)を割り振り、各クラスタごとに各次元の値を算術平均することにより重心V
k(k=1〜K)を求める。そして、A
0、…、A
mのそれぞれについて、重心V
k(k=1〜K)とのユークリッド距離を求め、最もユークリッド距離の近い重心V
kのクラスタ番号に割り振りなおす。ここでA
0、…、A
mのすべてについて、クラスタ番号の割り振りなおしが発生しなければクラスタリングは終了とし、そうでなければ重心V
kを求める処理を繰り返し行う。
【0081】
以上により、A
0と同一のクラスタに含まれるn次元のデータが同一クラスタの都市群のデータである。ここで上記でクラスタ分割する数Kを指定しているが、デフォルトの値として2を予め格納しておき、その値を用いる方法も考えられる。また、クラスタ分割する数を明示することなく、適切なクラスタ分割数を推定してクラスタリングするX−means法という手法も考案されており、その手法を用いる方法も考えられる。
【0082】
次に、CPU301は、ステップS3404で同一クラスタと特定された1以上の都市について、指標値管理DB370を参照し、対応する都市名370cに該当するすべてのレコードを取得する。ただし、都市名370a、指標名370cの組合せが同一のレコードが複数取得される場合は、年次370eが最新のもののみを取得するものとする(S3405)。
【0083】
次に、CPU301は、ステップS3405で取得されたレコードから指標種別370b、指標名370c、指標値370dを取得し、都市指標名とインフラ指標名の組合せごとに相関分析を行い、結果を相関度管理DB380に登録する(ステップS3406)。ここで相関度管理DB380に登録されるレコードの都市指標名380a、インフラ指標名380b、相関度380c、推定フラグ380dにはそれぞれ、前記都市指標名、前記インフラ指標名、当該ステップで算出した前記都市指標名と前記インフラ指標名の組合せの相関分析結果、推定フラグが設定される。なお、推定フラグ380dの設定方法については、
図6の説明ですでに示している。また、ここで採用する相関分析の手法としては、ピアソンの積率相関の手法を用い、0.4未満の値を0とする手法や、CLD(Casual Loop Diagram)に基づく手法など、各種あり得る。
【0084】
相関分析の手法としてピアソンの積率相関の手法を採用した場合を例に具体的に説明する。まず、ステップS3405で取得されたすべてのレコードから、都市指標(指標種別370bが「都市指標」の各指標。例:指標名370cが「NOX基準超過日数」の指標)−インフラ指標(指標種別370bが「インフラ指標」の各指標。例:指標名370cが「ピーク時平均移動速度」の指標)の組合せごとに、都市指標の指標値370d(=p)とインフラ指標の指標値370d(=q)の組合せデータ(p、q)を生成し、(変数pと変数qの共分散)/(変数pの標準偏差×変数qの標準偏差)を算出し、それを都市指標−インフラ指標の当該組合せの相関係数とする。
【0085】
なお、ここで算出される相関係数の値範囲は−1〜1であるが、正の相関が小さいとして、0.4未満の値を0としてもよい。また、正の相関が無いとして、0未満の値を0としてもよい。また、0未満の値を負の相関があるとして、正の相関の組合せとは別の取り扱いにて、以降の処理を行うバリエーションもあり得る。
【0086】
次に、CPU301は、相関度管理DB380の内容をもとに、
図8に示す相関表示画面を表示装置306に出力する。そして、KPI特定プログラム340により、今般インフラ指標のKPIを特定したい都市が課題と想定する1以上の都市指標名の指定を、入力装置305より受け付ける(S3407)。
【0087】
次に、CPU301は、ステップS3407で指定された1以上の都市指標名に対応するレコードを相関度管理DB380からすべて読み取り、インフラ指標名380bが同一のレコードごとに、相関度380cを加算し、結果をKPI管理DB390に登録する。ここでKPI管理DB390に登録されるレコードのKPI390a、重要度390bにはそれぞれ、前記インフラ指標名380b、当該ステップで算出した前記インフラ指標名380bに関し加算された相関度380cである(S3408)。
【0088】
なお、当該ステップで重要度が高い(例えば重要度が上位3位まで)と特定されたKPI(=インフラ指標)について、各インフラ指標を算出するために要するソースデータを、算出式管理DB360において指標名360bが当該インフラ指標と一致するレコードをすべて取得し、優先度360dの高いものから(すなわち1から)順に算出式360cに含まれるソースデータの当該都市分がソースデータ管理DB350に格納されているか調べ、あればそのソースデータを送信したセンシング装置200のセンシングプログラム210にセンシングのタイミング・精度を上げるよう指示を出し、センシング装置200から送信されてきた高頻度・高精度なソースデータを入力装置305に表示することもあり得る。
【0089】
以上で、CPU301は、KPI特定プログラム340のKPI特定処理を終了する(S3409)。
【0090】
上記の実施例によれば、都市指標とインフラ指標の組合せごとに相関度を算出し、当該都市の課題である都市指標を選択することで、当該都市のインフラ指標のKPIを重要度とともに算出する方法を提供することができる。
【0091】
さらに、以上の説明では、都市指標とインフラ指標を例にとり説明したが、各種指標へ応用することができる。例えば、電力に関する指標を用いて、障害判断や保守運用に役立てることができる。
【0092】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能である。また、実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。