【解決手段】本発明に係るプロジェクタ装置1は、ユーザによるスクリーン30へのタッチ操作を検出するプロジェクタ装置であって、レーザ光源117R、117G、117Bと、受光部50と、レーザ光源117R、117G、117Bから出力されたレーザ光が受光部50に到達するまでの光路上に配置され、偏光A又は偏光Bの光を出力する液晶素子20と、液晶素子20より光路の下流に配置され、偏光Bの光を偏光Aの光よりも高い透過率で透過する偏光板40と、液晶素子20によって偏光Aの光が出力されている場合に受光部50で受光された光強度と、液晶素子20によって偏光Bの光が出力されている場合に受光部50で受光された光強度とを用いて、タッチ操作を検出する制御部113とを備える。
前記制御部は、前記偏光切替器によって前記第1偏光方向の光が出力されている場合、前記プロジェクタ装置の外部環境の変化に応じて、当該偏光切替器が出力するレーザ光の偏光方向を前記第2偏光方向に切り替えさせる
請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロジェクタ装置。
前記制御部は、前記偏光切替器によって前記第1偏光方向の光が出力されている場合、前記ユーザの指示に応じて、当該偏光切替器が出力する光の偏光方向を前記第2偏光方向に切り替えさせる
請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロジェクタ装置。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲によって特定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0031】
(実施の形態)
[プロジェクタ装置の概略構成]
まず、
図1を参照しながら、実施の形態に係るプロジェクタ装置の概略構成について説明する。
図1は、実施の形態に係るプロジェクタ装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【0032】
図1に示すように、本実施の形態のプロジェクタ装置1は、プロジェクタ本体部10、液晶素子20(偏光切替器)、スクリーン30(投影面)、偏光板40、受光部50、及び、ハウジング60を備えている。ここで、本実施の形態のプロジェクタ装置1は、VUI機能を有するレーザ光走査型のプロジェクタ装置であり、ユーザによるスクリーン30へのタッチ操作を検出する。さらに、本実施の形態のプロジェクタ装置1は、スクリーン30の後方からスクリーン30に画像を投影する、いわゆるリアプロジェクション型のプロジェクタ装置である。
【0033】
プロジェクタ本体部10は、スクリーン30の後方に配置されている。プロジェクタ本体部10は、スクリーン30に向けてレーザ光を走査することにより、スクリーン30に画像(例えば、キーボード又は操作パネル等の画像)を投影する。このプロジェクタ本体部10の機能的構成については後述する。
【0034】
液晶素子20は、プロジェクタ本体部10内の後述する光源から出力されたレーザ光が受光部50に到達するまでの光路上に配置され、偏光A(第1偏光方向)又は偏光B(第2偏光方向)の光を出力する。具体的には、液晶素子20は、当該光源から出力されたレーザ光が入射され、入射した光を旋光させることにより偏光Aの光及び偏光Bの光のいずれか一方を選択的に出力する。つまり、液晶素子20は、入射したレーザ光を旋光させることにより、出力するレーザ光の偏光方向を偏光Aと偏光Bとで切り替える。
【0035】
例えば、液晶素子20は、印加される電圧に応じて、偏光A又は偏光Bの光を出力する。ここで、偏光Aは例えば水平偏光、偏光Bは例えば垂直偏光である。
【0036】
この液晶素子20は、例えば、液晶分子と、当該液晶分子を挟み込むように配置された2つの配光膜とを有する。各配光膜は平行に設けられた複数の溝が形成され、一方の配光膜の各溝と他方の配光膜の各溝とが直交するように形成されている。例えば、レーザ光が入射する側の配光膜の各溝は、垂直方向に延びて形成され、レーザ光が出射する側の配光膜の各溝は、水平方向に延びて配置されている。
【0037】
このような液晶素子20は、2つの配光膜間に電圧が印加された場合には、透過するレーザ光の偏光方向を実質的に変えることなく透過し、当該電圧が印加されない場合には、透過するレーザ光の偏光方向を実質的に90度回転(旋光)させて透過する。つまり、液晶素子20は、プロジェクタ本体部10の光源から出力されたレーザ光の偏光方向と同一の偏光方向のレーザ光、又は、当該光源から出力されたレーザ光の偏光方向に直交する偏光方向のレーザ光を出力する。
【0038】
スクリーン30は、ハウジング60の前面に設けられている。スクリーン30は、プロジェクタ本体部10からのレーザ光をスクリーン30の後方から前方に向けて(すなわち、プロジェクタ本体部10側からユーザ側に向けて)透過及び拡散させるように構成されている。具体的には、スクリーン30は、レーザ光を透過させるために半透明の樹脂(例えば、塩化ビニル等)で形成されている。さらに、スクリーン30は、レーザ光を拡散させるために複数の拡散レンズ(図示せず)を有している。スクリーン30の形状は、例えば、ハウジング60の前面の形状に対応した平面形状に構成されている。
【0039】
ここで、スクリーン30の裏面(プロジェクタ本体部10側の面)は、プロジェクタ本体部10から液晶素子20を介して入射したレーザ光を正反射(鏡面反射)する。つまり、スクリーン30で反射されたレーザ光の偏光方向は、スクリーン30に入射したレーザ光の偏光方向、すなわち、液晶素子20から出力されたレーザ光の偏光方向と実質的に等しくなる。
【0040】
偏光板40は、スクリーン30から受光部50までのレーザ光の光路上かつ液晶素子20より光路の下流に配置され、偏光B(第2偏光方向)の光を偏光A(第1偏光方向)の光よりも高い透過率で透過する。
【0041】
受光部50は、スクリーン30及び偏光板40の後方に配置されている。受光部50は、例えばフォトダイオード等で構成されており、ユーザの手指等により反射されたレーザ光を受光する。受光部50は、受光したレーザ光の光強度を示す情報をプロジェクタ本体部10の制御部(後述する)に送信する。
【0042】
ハウジング60の内部には、プロジェクタ本体部10、液晶素子20、偏光板40及び受光部50が収納されている。ハウジング60の前面は、平面形状に構成されている。ハウジング60は、例えばテーブル上等に設置される。
【0043】
上述したプロジェクタ装置1は、例えば次のようにして使用される。プロジェクタ本体部10からのレーザ光がスクリーン30に向けて走査されることにより、スクリーン30に画像が投影される。例えば、スクリーン30にキーボードの画像が投影されている場合に、ユーザが画像に含まれる入力キーの画像を手指等でタッチすることにより、当該入力キーの操作を実行することができる。なお、ユーザは、スクリーン30の前方からスクリーン30にタッチする。
【0044】
[プロジェクタ装置の動作の概要]
次に、プロジェクタ装置1の動作の概要について、説明する。
【0045】
プロジェクタ装置1は、ユーザによるスクリーン30へのタッチ操作を検出するための通常入力モードと、スクリーン30によるレーザ光の反射のキャリブレーションを行うためのキャリブレーションモードとを有する。
【0046】
上述したように、スクリーン30の裏面(プロジェクタ本体部10側の面)は、プロジェクタ本体部10から液晶素子20を介して入射したレーザ光を正反射(鏡面反射)する。ここで、スクリーン30による反射光の光強度には、当該反射光のスクリーン30における反射位置によってバラつきが生じる。これにより、スクリーン30に一様な画像(例えば、白画像)を表示している場合であっても、受光部50で受光される光強度は一様にならず、スクリーン30上の位置に応じてバラつく恐れがある。
【0047】
そこで、プロジェクタ装置1は、キャリブレーションモードにおいて、スクリーン30によるレーザ光の反射のバラつきを取得し、通常入力モードにおいて、キャリブレーションモードで取得した当該反射のバラつきを用いて、タッチ操作を検出する。
【0048】
このような動作により、本実施の形態に係るプロジェクタ装置1は、ユーザによるスクリーン30へのタッチ操作の検出精度を向上させることができる。なお、プロジェクタ装置1の動作の詳細については、後述する。
【0049】
[プロジェクタ本体部の機能的構成]
次に、
図2を参照しながら、上述したプロジェクタ本体部10の機能的構成について説明する。
図2は、プロジェクタ本体部10の機能的構成を示すブロック図である。
【0050】
図2に示すように、プロジェクタ本体部10は、制御部113、記憶部114、画像処理部115、3つのレーザ光源117R,117G及び117B(3つのレーザ光源117R,117G及び117Bの各々は光源を構成する)、2つのダイクロイックミラー118及び119、レンズ120、光源制御部121、LDドライバ122、投影部123、ミラー制御部124並びにミラードライバ125を有している。
【0051】
制御部113は、プロジェクタ本体部10の各構成要素を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)である。制御部113は、偏光A(第1偏光方向)又は偏光B(第2偏光方向)を示す制御信号を液晶ドライバ116へ出力することにより、液晶素子20から出力されるレーザ光の偏光方向を切り替える。具体的には、制御部113は、通常入力モードにおいて、当該液晶素子20に偏光A(第1偏光方向)のレーザ光を出力させ、キャリブレーションモードにおいて、液晶素子20に偏光B(第2偏光方向)のレーザ光を出力させる。
【0052】
さらに、制御部113は、通常入力モードにおいて受光部50で受光された光強度(第1光強度)と、キャリブレーションモードにおいて受光部50で受光された光強度(第2光強度)とを用いて、タッチ操作を検出する。言い換えると、制御部113は、液晶素子20によって偏光A(第1偏光方向)のレーザ光が出力されている場合において受光部50で受光された光強度(第1光強度)と、液晶素子20によって偏光B(第2偏光方向)のレーザ光が出力されている場合において受光部50で受光された光強度(第2光強度)とを用いて、タッチ操作を検出する。
【0053】
さらに具体的には、制御部113は、スクリーン30におけるレーザ光の走査位置毎に、通常入力モードにおいて受光部50で受光された光強度(第1光強度)と、キャリブレーションモードにおいて受光部50で受光された光強度(第2光強度)とを用いて、タッチ操作を検出する。
【0054】
さらに具体的には、制御部113は、キャリブレーションモードにおいて受光部50で受光された光強度(第2光強度)を用いてタッチ操作を検出するための閾値レベルを補正し、補正した閾値レベルと通常入力モードにおいて受光部50で受光された光強度(第1光強度)とを比較することによりタッチ操作を検出する。
【0055】
上記の制御部113は、具体的には、キャリブレーションデータ生成部131と、タッチ操作を検出する操作検出部132とを備える。
【0056】
キャリブレーションデータ生成部131は、キャリブレーションモードにおける1フレームの画像に対応して受光部50で受光された光強度であるスクリーンデータを、キャリブレーションデータとして生成する。さらに、生成したキャリブレーションデータを記憶部114に記憶させる。
【0057】
操作検出部132は、記憶部114に記憶されているキャリブレーションデータと、通常入力モードにおいて受光部50で受光された1フレームの画像に対応する光強度であるスクリーンデータとからタッチ操作を検出する。具体的には、操作検出部132は、記憶部114に記憶されているキャリブレーションデータを用いて、タッチ操作を検出するための閾値レベルを補正し、補正した閾値レベルと通常入力モードにおけるスクリーンデータとを比較することによりタッチ操作を検出する。より具体的には、操作検出部132は、スクリーン30におけるレーザ光の走査位置(座標)毎に、通常入力モードにおけるスクリーンデータ(第1光強度)と、キャリブレーションモードにおけるスクリーンデータ(第2光強度)とを用いて、タッチ操作を検出する。
【0058】
例えば、操作検出部132は、通常入力モードにおけるスクリーンデータが補正した閾値レベルより大きい場合に「タッチ操作有り」と判定する。一方、通常入力モードにおけるスクリーンデータが補正した閾値レベル以下の場合に「タッチ操作無し」と判定する。
【0059】
また、操作検出部132は、タッチ操作を検出(「タッチ操作有り」と判定)した場合、受光部50が受光したレーザ光の光強度を示す情報に基づいて、画像に対するユーザのタッチ操作の位置を取得する。具体的には、操作検出部132は、タッチ操作を検出した場合、受光部50がレーザ光を受光した時間情報及びレーザ光の走査軌跡に基づいて、受光部50が受光したレーザ光が画像のどの位置を走査されていたかを特定することによって、画像に対するユーザのタッチ操作の位置(座標)を取得する。
【0060】
記憶部114は、キャリブレーションデータ生成部131によって生成されたキャリブレーションデータを記憶する、例えば、メモリである。
【0061】
画像処理部115は、外部から入力された画像信号に基づいて、画像の投影を制御する。具体的には、画像処理部115は、外部から入力された画像信号に基づいて、光源制御部121を介して3つのレーザ光源117R,117G及び117Bの各々によるレーザ光の照射を制御するとともに、ミラー制御部124を介して投影部123によるレーザ光の走査を制御する。
【0062】
液晶ドライバ116は、制御部113からの制御信号に応じて液晶素子20へ印加する電圧を切り替えることにより、液晶素子20から出力されるレーザ光の偏光方向を偏光A(第1偏光方向)と偏光B(第2偏光方向)とで切り替えさせる。
【0063】
例えば、液晶ドライバ116は、制御部113からの制御信号が偏光A(第1偏光方向)を示す場合、液晶素子20に対して電圧を印加しない。これにより、キャリブレーションモードにおいて、液晶素子20は、レーザ光源117R,117G及び117Bから出力されたレーザ光の偏光方向を変えることなく透過する。
【0064】
一方、液晶ドライバ116は、当該制御信号が偏光B(第2偏光方向)を示す場合、液晶素子20に対して電圧を印加する。これにより、通常入力モードにおいて、液晶素子20は、レーザ光源117R,117G及び117Bから出力されたレーザ光を90度変化させて(旋光させて)透過する。
【0065】
3つのレーザ光源117R,117G及び117Bはそれぞれ、特定の波長の単色色成分のレーザ光を出力するレーザダイオード(LD)である。具体的には、レーザ光源117Rは赤色成分のレーザ光を出力し、レーザ光源117Gは緑色成分のレーザ光を出力し、レーザ光源117Bは青色成分のレーザ光を出力する。なお、3つのレーザ光源117R,117G及び117Bの各々から出力されるレーザ光は、例えば直線偏光のレーザ光である。例えば、当該レーザ光は、偏光A(第1偏光方向)に偏光されている。
【0066】
2つのダイクロイックミラー118及び119はそれぞれ、特定の波長のレーザ光のみを反射し、その他の波長のレーザ光を透過する光学的性質を有している。具体的には、ダイクロイックミラー118は、緑色成分のレーザ光のみを反射し、且つ、その他の色成分のレーザ光を透過する。ダイクロイックミラー119は、赤色成分のレーザ光のみを反射し、且つ、その他の色成分のレーザ光を透過する。
【0067】
ダイクロイックミラー118は、レーザ光の光路の上流側に配置され、ダイクロイックミラー119は、レーザ光の光路の下流側に配置されている。レーザ光源117Gからの緑色成分のレーザ光は、ダイクロイックミラー118で反射され、レーザ光源117Bからの青色成分のレーザ光は、ダイクロイックミラー118を透過する。これにより、緑色成分のレーザ光及び青色成分のレーザ光がダイクロイックミラー118において合成される。
【0068】
さらに、レーザ光源117Rからの赤色成分のレーザ光は、ダイクロイックミラー119で反射され、上述のように合成された緑色成分のレーザ光及び青色成分のレーザ光は、ダイクロイックミラー119を透過する。これにより、赤色成分のレーザ光、緑色成分のレーザ光及び青色成分のレーザ光がダイクロイックミラー119において合成される。
【0069】
レンズ120は、上述のようにダイクロイックミラー119において合成されたレーザ光を集光するための集光レンズである。
【0070】
光源制御部121は、画像処理部115からの制御信号に基づいてLDドライバ122を駆動することにより、3つのレーザ光源117R,117G及び117Bの各々によるレーザ光の照射を制御する。具体的には、光源制御部121は、投影部123がレーザ光を走査するタイミングに合わせて、画像の各画素に対応する色のレーザ光を3つのレーザ光源117R,117G及び117Bの各々から照射させるように制御する。
【0071】
投影部123は、画像をスクリーン30に投影するためのものであり、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー123aで構成されている。MEMSミラー123aは、水平方向に比較的高速で走査され、且つ、垂直方向に比較的低速で走査される。MEMSミラー123aは、レンズ120からのレーザ光を自己の振れ角に応じた方向に反射する。MEMSミラー123aが水平方向及び垂直方向にそれぞれ走査されることにより、レーザ光がスクリーン30に向けて水平方向及び垂直方向にそれぞれ走査され、スクリーン30に画像が投影される。
【0072】
ミラー制御部124は、画像処理部115からの制御信号に基づいてミラードライバ125を駆動することにより、MEMSミラー123aの振れ角を制御する。
【0073】
以上のように構成されたプロジェクタ装置1は、液晶素子20によって偏光A(第1偏光方向)の光が出力されている場合に受光部50で受光された光強度と、液晶素子20によって偏光B(第2偏光方向)の光が出力されている場合に受光部50で受光された光強度とを用いて、タッチ操作を検出する。
【0074】
[比較例との対比]
ここで、本実施の形態の比較例について
図3A及び
図3Bを用いて説明し、当該比較例の問題について述べる。
図3Aは、通常入力モードにおける比較例に係るプロジェクタ装置の状態を説明するための模式図である。
図3Bは、キャリブレーションモードにおける比較例に係るプロジェクタ装置の状態を説明するための模式図である。
【0075】
これらの図に示す比較例に係るプロジェクタ装置は、本実施の形態に係るプロジェクタ装置1と比較して、液晶素子20を備えない点が異なる。
【0076】
図3Aに示すように、通常入力モードでは、プロジェクタ本体部10から出力された偏光A(第1偏光方向)のレーザ光は、偏光方向を変えることなくスクリーン30によって反射される。したがって、スクリーン30からの反射光は偏光板40によって実質的に遮断され、受光部50で受光されにくくなる。ただし、ユーザによるタッチ操作がある場合には、例えばユーザの手指からの反射光が拡散光となることにより、反射光の一部が偏光板40を透過し、受光部50で受光される。したがって、比較例に係るプロジェクタ装置では、通常入力モードにおいて受光部50で受光された光強度を用いて、ユーザのタッチ操作を検出することができる。
【0077】
しかしながら、上述したように、スクリーン30による反射光の光強度には、当該反射光のスクリーン30における反射位置によってバラつきが生じる。これにより、スクリーン30に一様な画像(例えば、白画像)を表示している場合であっても、受光部50で受光される光強度は、スクリーン30上の位置に応じてバラつく恐れがある。これにより、例えば、スクリーン30の中央部において、タッチ操作をしていなくても「タッチ操作有り」と判定されたり、スクリーン30の周縁部において、タッチ操作をしていても「タッチ操作無し」と判定されたりする恐れがある。つまり、タッチ操作の検出精度が劣化するという問題がある。
【0078】
そこで、比較例に係るプロジェクタ装置は、
図3Bに示すように、キャリブレーションモードにおいて、スクリーン30に紙931を接触させることにより、スクリーン30によるレーザ光の反射のキャリブレーションを行う。具体的には、スクリーン30に紙931を接触させて当該紙931からの反射光(拡散光)を受光し、受光した反射光の光強度分布を用いることにより、当該キャリブレーションを行う。
【0079】
しかしながら、このような比較例に係るプロジェクタ装置では、キャリブレーションモードにおいて、スクリーン30に紙931を取り付ける必要があるため、キャリブレーションを行うための作業が煩雑である。また、ユーザの手を煩わせることなく、自動でスクリーン30に紙931をセットできる構成を用いた場合には、プロジェクタ装置が大型化してしまう。
【0080】
これに対して、本実施の形態では、通常入力モードとキャリブレーションモードとで、液晶素子20が出力するレーザ光の偏光方向を切り替える。これにより、作業を煩雑化することなく、かつ、プロジェクタ装置を大型化することなく、キャリブレーションを実行することができる。つまり、作業の煩雑化及びプロジェクタ装置の大型化を抑制しつつ、ユーザによるスクリーン30へのタッチ操作の検出精度を向上させることができる。
【0081】
また、比較例に係るプロジェクタ装置では、通常の画像(例えば、メニュー画像)を表示している期間に、1フレームだけキャリブレーションするような動作を行うことは困難である。
【0082】
これに対して、本実施の形態では、液晶素子20が出力するレーザ光の偏光方向を切り替えるだけでキャリブレーションすることができるので、通常の画像を表示している期間に、1フレームだけキャリブレーション用の画像(例えば、白画像)を表示してキャリブレーションを実行することができる。これにより、キャリブレーションによるプロジェクタ装置1の表示品質への影響を抑制することができる。
【0083】
[プロジェクタ装置の動作の詳細]
以下、本実施の形態に係るプロジェクタ装置の動作について、
図4A〜
図7を用いて詳細に説明する。
図4Aは、通常入力モードにおける本実施の形態に係るプロジェクタ装置の状態を説明するための模式図である。
図4Bは、キャリブレーションモードにおける本実施の形態に係るプロジェクタ装置の状態を説明するための模式図である。
【0084】
図4A及び
図4Bに示すように、本実施の形態では、通常入力モードとキャリブレーションモードとで、液晶素子20から出力される光の偏光方向を切り替える。
【0085】
具体的には、
図4Aに示すように、通常入力モードにおいて、液晶素子20は入射したレーザ光の偏光方向を変更させることなく出力する。つまり、プロジェクタ本体部10から出力された偏光A(第1偏光方向)のレーザ光は、偏光方向を変えることなくスクリーン30によって反射される。したがって、スクリーン30からの反射光は偏光板40によって実質的に遮断され、受光部50で受光されにくくなる。ただし、ユーザによるタッチ操作がある場合には、例えばユーザの手指からの反射光が拡散光となることにより、反射光の一部が偏光板40を透過し、受光部50で受光される。
【0086】
一方、
図4Bに示すように、キャリブレーションモードにおいて、液晶素子20は入射したレーザ光の偏光方向を90度変化させて出力する。つまり、プロジェクタ本体部10から出力された偏光A(第1偏光方向)のレーザ光は、液晶素子20によって偏光B(第2偏光方向)へと偏光方向を変えられた後に、スクリーン30によって反射される。したがって、スクリーン30からの反射光は偏光板40によって透過され、受光部50で受光される。
【0087】
制御部113は、このようなキャリブレーションモードにおいて受光部50で受光された光強度を用いて、上述のキャリブレーションデータを生成する。さらに、制御部113は、生成されたキャリブレーションデータを用いて、タッチ操作を検出するための閾値レベルを補正する。また、制御部113は、キャリブレーションモードで生成したキャリブレーションデータを用いて、通常入力モードにおけるタッチ操作を検出する。
【0088】
以下、キャリブレーションモード及び通常入力モードの各々における、制御部113の動作について、
図5〜
図7を用いて説明する。
図5は、キャリブレーションモードにおける本実施の形態に係るプロジェクタ装置の動作を示すフローチャートである。
図6は、本実施の形態において、閾値レベルが補正される様子を説明するための説明図である。
図7は、通常入力モードにおける本実施の形態に係るプロジェクタ装置の動作を示すフローチャートである。
【0089】
まず、キャリブレーションモードにおける制御部113の動作について、説明する。
【0090】
図5に示すように、キャリブレーションモードにおいて、制御部113は、液晶素子20から出力されるレーザ光の偏光方向を偏光B(第2偏光方向)に設定する(S111)。すなわち、制御部113は、偏光Bを示す制御信号を液晶ドライバ116へ出力することにより、液晶素子20から出力されるレーザ光の偏光方向を偏光Bに切り替える。
【0091】
次に、キャリブレーションデータ生成部131は、キャリブレーションモードにおける1フレームの画像に対応して受光部50で受光された光強度であるスクリーンデータを生成する(S112)。
【0092】
これにより、キャリブレーションモードにおいて、受光部50で受光された1フレームの画像に対応する光強度分布が
図6の(a)のような場合、すなわち、
図6の(a)中の矢印線で示されるラインの光強度分布が
図6の(b)で示される場合、キャリブレーションデータ生成部131は、
図6の(c)に示すようなキャリブレーションデータを生成する。例えば、キャリブレーションデータ生成部131は、受光部50で受光された1フレームの画像に対応する光強度分布をAD変換することにより、キャリブレーションデータを生成する。
【0093】
また、キャリブレーションデータ生成部131は、生成したキャリブレーションデータを記憶部114に記憶させる。
【0094】
次に、制御部113は、液晶素子20から出力されるレーザ光の偏光方向を偏光A(第1偏光方向)に設定し(S113)、キャリブレーションモードを終了する。すなわち、制御部113は、偏光Aを示す制御信号を液晶ドライバ116へ出力することにより、液晶素子20から出力されるレーザ光の偏光方向を偏光Aに切り替える。
【0095】
次に、通常入力モードにおける制御部113の動作について、説明する。
【0096】
図7に示すように、通常入力モードにおいて、制御部113(操作検出部132)は、記憶部114に記憶されているキャリブレーションデータを用いて、タッチ操作を検出するための閾値レベルを補正する(S121)。これにより、例えば、
図6の(d)に示すように、補正前の閾値レベルがスクリーン30上の位置に依存しない一定レベルであるのに対し、補正後の閾値レベルは、キャリブレーションモードにおいて受光部50で受光された光強度分布に対応するレベルとなる。
【0097】
次に、操作検出部132は、1フレームの画像に対応して受光部50で受光された光強度であるスクリーンデータを取得する(S122)。
【0098】
次に、操作検出部132は、取得したスクリーンデータが補正後の閾値レベルよりも高いか否かを判定する(S123)。つまり、通常入力モードにおいて受光部50で受光された光強度(第1光強度)が、補正後の閾値レベルよりも高いか否かを判定する。具体的には、操作検出部132は、スクリーン30におけるレーザ光の走査位置毎に、通常入力モードにおける当該走査位置に対応する光強度(第1光強度)が、キャリブレーションモードにおける当該走査位置に対応する光強度(第2光強度)によって補正された閾値レベルよりも高いか否かを判定する。
【0099】
ここで、スクリーンデータが補正後の補正後の閾値レベルよりも高い場合(S123でYes)、操作検出部132は、ユーザからのタッチ操作を検出する(S124)。例えば、操作検出部132は、補正後の閾値レベルよりも高いスクリーンデータの位置であるタッチ位置を示す信号を出力する。
【0100】
一方、スクリーンデータが補正後の補正後の閾値レベル以下である場合(S123でYes)、操作検出部132は、タッチ操作を検出しない。
【0101】
このように、本実施の形態では、液晶素子20によって偏光A(第1偏光方向)の光が透過されている場合に受光部50で受光された光強度を用いてキャリブレーションデータを生成し、生成したキャリブレーションデータを用いて閾値レベルを補正する。これにより、スクリーン30によるレーザ光の反射のキャリブレーションを行うことができるので、ユーザによるスクリーン30へのタッチ操作の検出精度を向上させることができる。
【0102】
[効果]
以上のように、本実施の形態に係るプロジェクタ装置1では、液晶素子20によって偏光Aの光が出力されている場合に受光部50で受光された光強度と、液晶素子20によって偏光Bの光が出力されている場合に受光部50で受光された光強度とを用いて、タッチ操作を検出する。
【0103】
これにより、スクリーン30上の位置によるレーザ光の反射のバラつきを抑制して、タッチ操作を検出することができる。その結果、ユーザによるスクリーン30へのタッチ操作の検出精度を向上することができる。
【0104】
具体的には、本実施の形態に係るプロジェクタ装置1では、液晶素子20は、レーザ光源117R,117G及び117Bからスクリーン30までのレーザ光の光路上に配置されている。
【0105】
また、さらに、本実施の形態に係るプロジェクタ装置1では、スクリーン30におけるレーザ光の走査位置毎に、通常入力モードにおける当該走査位置に対応する光強度(第1光強度)と、キャリブレーションモードにおける当該走査位置に対応する光強度(第2光強度)とを用いて、タッチ操作を検出する。
【0106】
これにより、キャリブレーションモードにおいて受光部50で受光された光強度の分布が一様でない場合であっても、スクリーン30によるレーザ光の反射のキャリブレーションを行うことができる。
【0107】
また、制御部113における操作検出部132は、キャリブレーションデータを用いて閾値レベルを補正する。
【0108】
なお、操作検出部132は、キャリブレーションデータを用いて通常入力モードにおいて取得されたスクリーンデータを補正し、補正後のスクリーンデータと閾値レベルとを比較することによりタッチ操作を検出してもよい。
【0109】
また、偏光A(第1偏光方向)と偏光B(第2偏光方向)とは直交する。
【0110】
これにより、液晶素子20から偏光A(第1偏光方向)の光が出力されている場合に受光部50で受光される光強度と、液晶素子20から偏光B(第2偏光方向)の光が出力されている場合に受光部50で受光される光強度との差を大きく確保することができるので、タッチ操作の検出精度を一層向上させることができる。
【0111】
なお、偏光Aと偏光Bとは、互いに異なる方向であればよく、直交していなくてもよい。具体的には、偏光Aと偏光Bとは、レーザ光の光軸方向から見て、互いに異なる方向であればよい。
【0112】
また、レーザ光源117R,117G及び117Bは、偏光方向が偏光A(第1偏光方向)に実質的に揃えられたレーザ光を出力する。
【0113】
(変形例1)
上述したようなキャリブレーションモードは、いかなる条件に一致した場合に実行されてもよく、例えば、プロジェクタ装置の起動時に実行されてもよい。以下、実施の形態の変形例1として、起動時にキャリブレーションモードを実行するプロジェクタ装置について、
図8を用いて説明する。
図8は、実施の形態の変形例1に係るプロジェクタ装置の動作を示すフローチャートである。
【0114】
なお、以下説明する各変形例では、同一の処理には同一の符号を付して、その説明を省略する場合がある。また、以下説明する通常入力モード処理(S120)は、
図7で説明した通常入力モード時の処理(
図7のS121〜S124)に相当する。また、以下では、
図5で説明したキャリブレーションデータ生成処理(S112)の詳細として、1フレームの画像に対応して受光部50で受光された光強度であるスクリーンデータを取得する処理(112a)と、取得されたスクリーンデータを用いてキャリブレーションデータを生成する処理(112b)と、生成されたキャリブレーションデータを記憶部114に記憶させる処理(112c)とが示されている。
【0115】
同図に示すように、本変形例では、制御部113は、起動処理(S201)の後で、上述したキャリブレーションモード時の処理(S110;
図5のS111〜S113)を実行し、その後、通常入力モード処理(S120)を実行する。ここで、起動処理(S201)とは、プロジェクタ装置1に電源供給が開始されることにより実行される各種の処理であり、例えば、各処理部の立ち上げ処理である。つまり、本変形例において、制御部113は、プロジェクタ装置1が起動する毎に、液晶素子20に偏光B(第2偏光方向)の光を出力させる。
【0116】
次に、本変形例に係るプロジェクタ装置は、1フレームの画像に対応して通常入力モード処理(S120)を実行した後、プロジェクタ装置の終了操作が行われたか否かを判定し(S202)、終了操作が行われていない場合(S202でNo)には上記通常入力モード処理(S120)を繰り返す。一方、終了操作が行われている場合(S202でYes)には、プロジェクタ装置1は動作を停止する。ここで、終了操作とは、例えば、ユーザによるプロジェクタ装置1のシャットダウン操作、又は、電源停止操作等である。
【0117】
このような本変形例のプロジェクタ装置1においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0118】
また、本変形例では、制御部113は、プロジェクタ装置1が起動する毎に、液晶素子20に、偏光B(第2偏光方向)のレーザ光を出力させる。つまり、本変形例に係るプロジェクタ装置1は、当該プロジェクタ装置1の起動毎に、キャリブレーションモードを実行する。
【0119】
これにより、プロジェクタ装置1の停止中に、当該プロジェクタ装置1の状態が変化した場合(例えば、温度変化により各素子が劣化した場合、及び、外部環境の変化が生じた場合等)であっても、タッチ操作の検出精度を向上させることができる。
【0120】
(変形例2)
また、上述したようなキャリブレーションモードは、ユーザからの指示に従って実行されてもよい。以下、実施の形態の変形例2として、ユーザからの指示に従ってキャリブレーションモードを実行するプロジェクタ装置について、
図9を用いて説明する。
図9は、実施の形態の変形例2に係るプロジェクタ装置の動作を示すフローチャートである。
【0121】
同図に示すように、本変形例では、制御部113は、ユーザからのキャリブレーション開始の指示があるか否かを判断する(S301)。ここで、当該指示がある場合(S301でYes)には上述したキャリブレーションモード時の処理(S110;
図5のS111〜S113)を実行し、その後、通常入力モード処理(S120)を実行する。一方、当該指示がない場合(S301でNo)には、通常入力モード処理(S120)を実行する。
【0122】
本変形例では、以上のような処理を、終了操作が行われるまで(S202でYesとなるまで)繰り返す。
【0123】
このような本変形例のプロジェクタ装置1においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0124】
また、本変形例では、制御部113は、液晶素子20によって偏光A(第1偏光方向)のレーザ光が出力されている場合、ユーザの指示に応じて、液晶素子20が出力するレーザ光の偏光方向を偏光B(第2偏光方向)に切り替えさせる。つまり、本変形例に係るプロジェクタ装置1は、ユーザの指示に応じてキャリブレーションモードを実行する。
【0125】
これにより、ユーザが指定するタイミングで、スクリーン30によるレーザ光の反射のキャリブレーションを行うことができる。
【0126】
(変形例3)
また、上述したようなキャリブレーションモードは、受光部50が受光する光のオフセット量の変化に応じて実行されてもよい。以下、実施の形態の変形例3として、光のオフセット量の変化に応じてキャリブレーションモードを実行するプロジェクタ装置について、
図10を用いて説明する。
図10は、実施の形態の変形例3に係るプロジェクタ装置の動作を示すフローチャートである。
【0127】
同図に示すように、本変形例では、制御部113は、受光部50が受光する光のオフセット量の変化が所定量より大きいか否かを判断する(S401)。ここで、当該変化が所定量より大きい場合(S401でYes)には上述したキャリブレーションモード時の処理(S110;
図5のS111〜S113)を実行し、その後、通常入力モード処理(S120)を実行する。一方、当該変化が所定量以下の場合(S401でNo)には、通常入力モード処理(S120)を実行する。
【0128】
具体的には、受光部50は、プロジェクタ装置1の外部からスクリーン30を透過して入射した外光を受光する。また、制御部113は、受光部50で受光された光強度の変化(単位時間当たりの変化量)が所定量より大きい場合に、液晶素子20が出力するレーザ光の偏光方向を偏光B(第2偏光方向)に切り替えさせる。
【0129】
本変形例では、以上のような処理を、終了操作が行われるまで(S202でYesとなるまで)繰り返す。
【0130】
このような本変形例のプロジェクタ装置1においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0131】
また、本変形例では、制御部113は、液晶素子20によって偏光A(第1偏光方向)のレーザ光が出力されている場合、受光部50によって受光された外光の変化に応じて、当該液晶素子20が出力するレーザ光の偏光方向を偏光B(第2偏光方向)に切り替えさせる。つまり、本変形例に係るプロジェクタ装置1は、受光部50が受光する光のオフセット量の変化に応じてキャリブレーションモードを実行する。
【0132】
これにより、プロジェクタ装置1の動作中に、当該プロジェクタ装置1の周囲の光量が変化した場合であっても、タッチ操作の検出精度を向上させることができる。
【0133】
(変形例4)
また、上述したようなキャリブレーションモードは、プロジェクタ装置1の外部環境の変化(例えば、温度変化)に応じて実行されてもよい。以下、実施の形態の変形例4として、外部環境の変化に応じてキャリブレーションモードを実行するプロジェクタ装置1について、
図11を用いて説明する。
図11は、実施の形態の変形例4に係るプロジェクタ装置1の動作を示すフローチャートである。
【0134】
同図に示すように、本変形例では、制御部113は外部センサ入力(例えば、温度センサの変化量が所定量以上であることを示す入力)があるか否かを判断(S501)する。ここで、外部センサ入力がある(例えば、温度センサの変化量が所定量以上である)場合(S501でYes)には上述したキャリブレーションモード時の処理(S110;
図5のS111〜S113)を実行し、その後、通常入力モード処理(S120)を実行する。一方、当該外部センサ入力がない(例えば、温度センサの変化量が所定量未満である)場合(S501でNo)には、通常入力モード処理(S120)を実行する。
【0135】
例えば、制御部113は、プロジェクタ装置1の環境温度を測定する温度センサによって検出された温度の変化量が所定値以上である場合に、液晶素子20が出力するレーザ光の偏光方向を偏光B(第2偏光方向)に切り替えさせる。なお、制御部113によって当該レーザ光の偏光方向を切り替えさせるタイミングは、これに限らず、例えば、当該温度センサによって検出された温度の絶対値が所定値以上の場合であってもよい。
【0136】
本変形例では、以上のような処理を、終了操作が行われるまで(S202でYesとなるまで)繰り返す。
【0137】
このような本変形例のプロジェクタ装置1においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0138】
また、本変形例では、制御部113は、液晶素子20によって偏光A(第1偏光方向)のレーザ光が出力されている場合、プロジェクタ装置1の外部環境の変化に応じて、当該液晶素子20が出力するレーザ光の偏光方向を偏光B(第2偏光方向)に切り替えさせる。つまり、本変形例に係るプロジェクタ装置1は、当該プロジェクタ装置1の外部環境の変化に応じてキャリブレーションモードを実行する。
【0139】
これにより、プロジェクタ装置1の動作中に、当該プロジェクタ装置1の外部環境が変化した場合であっても、タッチ操作の検出精度を向上させることができる。
【0140】
(変形例5)
また、上述したようなキャリブレーションモードは、定期的に実行されてもよい。以下、実施の形態の変形例5として、定期的にキャリブレーションモードを実行するプロジェクタ装置1について、
図12を用いて説明する。
図12は、実施の形態の変形例5に係るプロジェクタ装置1の動作を示すフローチャートである。
【0141】
同図に示すように、本変形例では、制御部113は、所定時間(例えば、10分)が経過したか否かを判断し(S601)、経過した場合(S5601でYes)には上述したキャリブレーションモード時の処理(S110;
図5のS111〜S113)を実行し、その後、通常入力モード処理(S120)を実行する。一方、当該所定時間が経過していない場合(S601でNo)には、通常入力モード処理(S120)を実行する。
【0142】
すなわち、制御部113は、所定のタイミングで、キャリブレーションモードと通常入力モードとを切り替えて実行する。
【0143】
本変形例では、以上のような処理を、終了操作が行われるまで(S202でYesとなるまで)繰り返す。
【0144】
このような本変形例のプロジェクタ装置1においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0145】
また、本変形例では、制御部113は、液晶素子20に偏光A(第1偏光方向)のレーザ光と偏光B(第2偏光方向)のレーザ光とを、所定のタイミングで交互に繰り返し出力させる。つまり、本変形例に係るプロジェクタ装置1は、定期的にキャリブレーションモードを実行する。
【0146】
これにより、プロジェクタ装置1の動作中に、タッチ操作の検出精度を安定して向上させることができる。
【0147】
(その他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係るプロジェクタ装置について説明したが、本発明は、これらの実施の形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、上記各実施の形態及び変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【0148】
例えば、上記説明では、プロジェクタ装置をリアプロジェクション型のプロジェクタ装置で構成したが、これに限定されず、例えばプロジェクタ本体部、受光部及び操作物がいずれもスクリーン30の前方に配置される、いわゆるフロントプロジェクション型のプロジェクタ装置で構成することもできる。
【0149】
また、例えば、本発明に係るプロジェクタ装置の構成は上記説明に示す構成に限らず、液晶素子20は、スクリーン30から受光部50までのレーザ光の光路上に配置されていてもよい。このような構成であっても、上記実施の形態と同様の効果を奏する。
【0150】
また、上記説明では、スクリーン30の裏面(プロジェクタ本体部10側の面)は、入射したレーザ光を鏡面反射するとしたが、これはレーザ光の偏光方向を実質的に変えることなく反射すればよく、入射したレーザ光の一部を透過、他を反射してもよい。
【0151】
また、光源(レーザ光源117R,117G及び117B)から出力されるレーザ光は直線偏光であるとしたが、これに限らず、あらゆる方向に偏光されていてもよく、プロジェクタ装置は、さらに、光源に対してレーザ光の光路の下流側に配置された偏光板を備えてもよい。
【0152】
また、プロジェクタ装置は、レーザ光走査型に限らず、光源から出力された光を液晶パネル等に透過させて投射する構成であってもよい。
【0153】
また、上記説明では、偏光切替器として液晶素子20を例に説明したが、当該偏光切替器は、光源(レーザ光源117R,117G及び117B)から出力されたレーザ光が受光部50に到達するまでの光路上に配置され、偏光A又は偏光Bの光を出力すればよく、例えば、ファラデー効果を利用したファラデー回転子であってもよい。
【0154】
また、上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ、ディスプレイユニット、キーボード及びマウス等から構成されるコンピュータシステムとして構成されてもよい。RAM又はハードディスクドライブには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0155】
さらに、上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM及びRAM等を含んで構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0156】
さらにまた、上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されているとしてもよい。ICカード又はモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM及びRAM等から構成されるコンピュータシステムである。ICカード又はモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、ICカード又はモジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0157】
また、本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、本発明は、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、上記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0158】
さらに、本発明は、上記コンピュータプログラム又は上記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)、半導体メモリ等に記録したものとしてもよい。また、これらの非一時的な記録媒体に記録されている上記デジタル信号であるとしてもよい。
【0159】
また、本発明は、上記コンピュータプログラム又は上記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0160】
また、本発明は、マイクロプロセッサ及びメモリを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、上記マイクロプロセッサは、上記コンピュータプログラムに従って動作するとしてもよい。
【0161】
また、上記プログラム又は上記デジタル信号を上記非一時的な記録媒体に記録して移送することにより、又は、上記プログラム又は上記デジタル信号を上記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。