【解決手段】レンズ移動機構50は、第1の方向に伸びたガイド70(71、72)と、ガイド70により第1の方向にスライド可能にガイドされるレンズ保持部材60と、レンズ保持部材60に対してガイド70に向けた力を加える付勢部材として機能するバネ90と、レンズ保持部材60を、第1の方向にスライドさせる伝達機構80と、を有する。レンズ保持部材60は、ガイド70と対向する側が開いた溝形状であり、溝形状の内壁でガイドを受ける受け部61、64を有する。
光学部品を配置した光ピックアップと、前記光学部品の光軸上に配置された球面収差補正用レンズを、第1の方向にスライドさせるレンズ移動機構と、を備える光ディスク装置であって、
前記レンズ移動機構は、
前記第1の方向に伸びたガイドと、
前記ガイドにより前記第1の方向にスライド可能にガイドされるレンズ保持部材と、
前記レンズ保持部材に対して前記ガイドに向けた力を加える付勢部材と、
前記レンズ保持部材を、前記第1の方向にスライドさせる伝達機構と、を有し、
前記レンズ保持部材は、前記ガイドと対向する側が開いた溝形状であり、前記溝形状の内壁で前記ガイドを受ける受け部を有する、ことを特徴とする光ディスク装置。
前記レンズ移動機構は、前記受け部の開いた側と反対側から、前記レンズ保持部材を抑える押さえ部材を、有することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の光ディスク装置。
光学部品と、前記光学部品の光軸上に配置された球面収差補正用レンズと、前記球面収差補正用レンズを第1の方向にスライドさせるレンズ移動機構と、を備える光ピックアップであって、
前記レンズ移動機構は、
前記第1の方向に伸びたガイドと、
前記ガイドを介して前記第1の方向にスライド可能に保持されたレンズ保持部材と、
前記レンズ保持部材に対して前記ガイドに向けた力を加える付勢部材と、
前記レンズ保持部材を、前記第1の方向にスライドさせる伝達機構と、を有し、
前記レンズ保持部材は、前記ガイドと対向する側が開いた溝形状であり、前記溝形状の内壁で前記ガイドを受ける受け部を有する、ことを特徴とする光ピックアップ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガイドを構成する軸をレンズ保持部材に貫通させる構成では、作業者は、軸をレンズ保持部材に貫通させた後、軸をシャーシに固定しなければならない。また、製品の組み付け段階で何らかの原因により、軸とレンズ保持部材とを分解する必要が生じても、簡単には分解することができない。特に、軸をシャーシに固定するために接着剤や、ネジ等を用いていると、分解の過程で軸やレンズ保持部材を傷づける場合がある。
【0007】
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、組み付け時における作業性を向上することができる光ピックアップ、およびこの光ピックアップを用いた光ディスク装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様では、光学部品を配置した光ピックアップと、前記光学部品の光軸上に配置された球面収差補正用レンズを、第1の方向にスライドさせるレンズ移動機構と、を備える光ディスク装置であって、前記レンズ移動機構は、前記第1の方向に伸びたガイドと、前記ガイドにより前記第1の方向にスライド可能にガイドされるレンズ保持部材と、前記レンズ保持部材に対して前記ガイドに向けた力を加える付勢部材と、前記レンズ保持部材を、前記第1の方向にスライドさせる伝達機構と、を有し、前記レンズ保持部材は、前記ガイドと対向する側が開いた溝形状であり、前記溝形状の内壁で前記ガイドを受ける受け部を有する。
【0009】
ここで、本明細書中で使用される以下の言葉は、以下の意味で用いる。
『ガイド』とは、レンズ保持部材を第1の方向に案内する部材または部位の意味で用いる。そのため、ガイドの形状は、断面が円状の軸状部材に限定されず、断面が多角形状のものも含まれる。また、ガイドは、個別の部品である場合の他、シャーシ等の他の部品の一部であってもよい。
『伝達機構』とは、レンズ保持部材をスライドさせる力を加える機構であり、レンズ保持部材と接触して力を加えるものの他、他の部材を介して間接的にレンズ保持部材をスライドさせる力を加えるものも含まれる。
『付勢部材』とは、レンズ保持部材に対してガイドに向けた外力を加える部材であればどのようなものであってもよく、バネ、ゴム等の弾性部材や、エラストマー等も含まれる。
『溝形状の内壁でガイドを受ける』とは、溝の内壁とガイドの外周部が少なくとも1部で接触した状態を意味する。
【0010】
上記のように構成された発明では、レンズ保持部材のガイドを受ける受け部は、ガイドと対向する側が開いた溝形状であり、溝形状の内壁でガイドを受ける。そして、レンズ保持部材は、付勢部材によりガイド方向に向けた力を加えられている。そのため、レンズ保持部材の受け部の内壁側にガイドを挿入し、付勢部材によりこのレンズ保持部材とガイドとを位置決めすることで、レンズ移動機構を組み立てる。そのため、レンズ移動機構の組み付け時における作業性を向上することができる。
【0011】
本発明の一態様では、前記伝達機構は、モーターと、前記モーターの回転に合わせて前記レンズ保持部材を前記第1の方向に沿って押し出すナット部材と、を有し、
前記ナット部材は、前記レンズ保持部材と係わり、前記レンズ保持部材の前記第1の方向と交差する第2の方向での動きを規制する規制片を有する。
上記のように構成された発明では、ナット部材の規制片によりレンズ保持部材の第2の方向での動きを規制するため、レンズ保持部材がガイドから外れてしまうのを抑制することができる。
【0012】
本発明の一態様では、前記レンズ移動機構は、前記受け部の開いた側と反対側から、前記レンズ保持部材を抑える押さえ部材を、有する。
上記のように構成された発明では、押さえ部材によりレンズ保持部材を抑えることで、レンズ保持部材がガイドから外れてしまうのを抑制することができる。
【0013】
本発明の一態様では、前記受け部の内幅は、前記ガイドの幅と比べて大きい。
上記のように構成された発明では、レンズ保持部材とガイドとの着脱を容易にすることができ、作業性を高めることができる。
【0014】
本発明の一態様では、前記光ピックアップは、前記光学部品を保持するシャーシを有し、前記ガイドは、前記シャーシに一体で形成されている。
上記のように構成された発明では、ガイドを取り付けるための接着剤やネジを必要とせず、組み付けに要する工程を減らすことができる。
【0015】
本発明の一態様では、前記ガイドと前記受け部とは、互いに係わる抜け止め部が形成されている。
上記のように構成された発明では、抜け止め部により、レンズ保持部材がガイドから外れてしまうのを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
1.第1の実施形態:
(1)光ディスク装置の構成
(2)光ピックアップの構成
(3)レンズ移動機構の構成
2.第2の実施形態:
3.第3の実施形態:
4.第4の実施形態:
5.その他の実施形態:
【0018】
1.第1の実施形態:
(1)光ディスク装置の構成
図1は、光ディスク装置を説明する分解斜視図である。
光ディスク装置は、レコーダー、プレーヤー、更には、PCとして構成されている。
図1に示すように、光ディスク装置1は、システムシャーシ2、トラバースアッシー4、クランパー5、を有する。
以下の説明では、光ディスク装置1の前後方向をY方向とし、幅方向をX方向とし、高さ方向をZ方向として記載する。また、Y方向において前方をY1側、後方をY2側とする。そして、X方向において、光ディスク装置1を前方から見た場合の左方向をX1側、右方向をX2側とする。さらに、Z方向の上方をZ1側、下方をZ2側とも記載する。
【0019】
システムシャーシ2は、上部(Z1側)の一部が開口する箱型形状であって、トラバースアッシー4を収容する収容空間を備える。また、システムシャーシ2の前方(Y1側)には、不図示のトレイがY方向にスライド可能に取り付けられている。システムシャーシ2は、樹脂を用いて成形することで形成される。
【0020】
また、システムシャーシ2の前方には、トラバースアッシー4がZ方向に昇降可能に保持されている。トラバースアッシー4は、光ピックアップ10が、主軸12a、副軸12bを介してトラバースシャーシ13に保持されている。すなわち、光ピックアップ10は、主軸12a、副軸12bにより、トラバースシャーシ13に対してY方向にスライド可能に保持されている。光ピックアップ10は、光学式のピックアップヘッドである。また、光ピックアップ10の主軸12aで保持される側には、ティース14が接続されている。ティース14は、スクリューモーター15の回転軸16と噛み合っており、スクリューモーター15の回転に伴って、光ピックアップ10をトラッキング方向(Y方向)に移動させる。
例えば、スクリューモーター15は、DCモーターや、ステッピングモーターである。
【0021】
また、トラバースシャーシ13には、スピンドルモーター(不図示)を介して光ディスクを回転させるターンテーブル17が取り付けられている。スピンドルモーターは、例えば、DCモーターや、ステッピングモーターである。
【0022】
(2)光ピックアップの構造
次に、光ピックアップ10を説明する。
図2、光ピックアップ10の外観を示す斜視図である。
図2は、光ピックアップ10をZ1側から見た図である。また、
図3は、ピックアップシャーシ11に収容された光学部品を説明する図である。
【0023】
図2、
図3に示すように、光ピックアップ10は、ピックアップシャーシ11、半導体レーザー20、21、フォトディテクター22、光学部品30、カバー40、レンズ移動機構50を備える。
【0024】
ピックアップシャーシ11の一方の面(対物レンズ37、38が位置する側の面)には、上方(Z1側)が開口する収容空間S1(図中点線で示す。)が形成されている。この収容空間S1には、半導体レーザー20、21、光学部品30、フォトディテクター22を収容する。収容空間S1には、半導体レーザー20、21、光学部品30、フォトディテクター22を、
図3に示した位置関係に対応させて配置している。また、ピックアップシャーシ11の収容空間S1が開口する側(Z1側)とは反対側(Z2側)の面には、下方(Z2側)が開口する収容空間S2(図中点線で示す)が形成されている。この収容空間S2は、レンズ移動機構50を収容している。また、収容空間S2はその内部で一部が収容空間S1と連続している。そして、ピックアップシャーシ11の収容空間S2が開口する側には、カバー40が取り付けられている。ピックアップシャーシ11は、例えば、樹脂により形成されている。
【0025】
ピックアップシャーシ11の収容空間S1には、波長の異なる2つの半導体レーザー20、21が収容されている。第1の半導体レーザー20は、DVD(Digital Versatical Disk)用のレーザー光(例えば波長650nm帯のレーザー光)とCD(Compact Disc)用のレーザー光(例えば波長780nm帯のレーザー光)とをそれぞれ出力することができる。また、第2の半導体レーザー21は、BD(Blue-ry Disk)用のレーザー光(例えば波長405nm帯のレーザ光)を出射する。
【0026】
ピックアップシャーシ11の収容空間S1には、光学部品30が
図4に示す位置関係を保って収容されている。光学部品30は、回折格子31、偏光ビームスプリッタ32、1/4波長板33、コリメートレンズ34、第1の反射ミラー35、第2の反射ミラー36、対物レンズ37、38、ビームスプリッタ39、不図示のセンサレンズを備える。
【0027】
図3を用いて、メディアに集光される光の光路を説明する。以下では、光ディスクとしてDVDを再生する際のレーザー光の光路を説明する。第1の半導体レーザー20から出射されたレーザー光は、回折格子31によって主光と副光とに分けられる。回折格子を31を経たレーザー光はビームスプリッタ39で反射され、偏光ビームスプリッタ32、1/4波長板33及びコリメートレンズ34を透過する。コリメートレンズ34を透過したレーザー光は、第1の反射ミラー35によって所定角度に反射され、第1の対物レンズ37へと至る。コリメートレンズ34は、球面収差補正用レンズであり、レンズ移動機構50により、光軸に沿ってスライドすることができる。
【0028】
第1の対物レンズ37は、入射したレーザー光を光ディスクの記録面に集光する。そして、光ディスクに集光したレーザー光は記録面で反射し、戻り光と成る。戻り光は第1の対物レンズ37を通過後、第1の反射ミラー35により反射される。第1の反射ミラー35は、レーザー光の光軸に対してミラー面が所定の傾斜角度となるようピックアップシャーシ11に固定されている。そして、コリメートレンズ34、1/4波長板33、偏光ビームスプリッタ32、ビームスプリッタ39を順に透過した戻り光は、フォトディテクター22に集光される。
なお、第2の半導体レーザー21から出射されたレーザー光の光路については、説明を省略する。
【0029】
フォトディテクター22は、集光した光信号を電気信号に変換し、この電気信号を図示しない信号処理部に送信する。信号処理部は、受信した電子信号から、再生信号、フォーカスエラー(FE)信号、トラッキングエラー(TE)信号を生成する。こられ、再生信号、FE信号、TE信号は、光ディスクを再生する際に用いられる。
【0030】
また、光ディスクは、その規格によって、記録層を1層とするものと2層とするものが存在する。記録層を2層とする光ディスクでは、各層までの距離(保護層から記録層までの厚み)が異なるため、球面収差が問題となる。そのため、
図3に示すように、コリメートレンズ34をレンズ移動機構50により光軸に沿ってスライドさせることで、球面収差を補正している。
【0031】
(3)レンズ移動機構の構成
次に、レンズ移動機構50について説明する。
図4は、光ピックアップ10を収容空間S2の開口側(Z2側)から見た図である。また、
図5は、レンズ移動機構50を説明する図である。
図5(a)は、レンズ移動機構50をZ2側から見た上面図である。また、
図5(b)は、
図5(a)のA−A断面での断面図である。そして、
図6は、レンズ保持部材を説明する斜視図である。なお、
図4−
図6では、図示していないが、ピックアップシャーシ11の収容空間S2の開口には、カバー40が取り付けられる。
【0032】
図4に示すように、レンズ移動機構50は、ピックアップシャーシ11の収容空間S2に収容されている。上記のように、レンズ移動機構50は、コリメートレンズ34を、光軸に沿って前後(X方向)にスライドさせる。
レンズ移動機構50は、コリメートレンズ34を保持するレンズ保持部材60と、レンズ保持部材60の第1の方向でのスライドをガイドするガイド(第1のガイド71、第2のガイド72)と、レンズ保持部材60を、第1の方向(X方向)にスライドさせる伝達機構80と、付勢部材として機能するバネ90と、レンズ保持部材60がX1方向に戻る際の力を与える戻りバネ91と、を有している。
【0033】
図4−
図6に示すように、レンズ保持部材60は、第1のガイド受け部61と、ガイド受け部61の一方の端に位置しコリメートレンズ34を固定するレンズ固定部62と、第1のガイド受け部61の他方の端に位置し伝達機構80(リードナット83)からの力を受ける伝達部63と、レンズ固定部62におけるガイド受け部61とは反対側の端に位置する第2のガイド受け部64と、を有している。この第1の実施形態では、レンズ固定部62と伝達部63とは、それぞれガイド受け部61からX2側に下がった位置に位置しているが、これに限定されず、第1のガイド受け部61、レンズ固定部62、伝達部63が直線状に並んでいてもよい。
例えば、レンズ保持部材60は、樹脂により成形される。
【0034】
図5、
図6に示すように、第1のガイド受け部61は、直線状に延びて(図のX方向)、第1のガイド71と対向する側(Z1側)が開いた溝部61aを有する。第1のガイド受け部61の溝部61aの内幅は、第1のガイド71の幅と比べて大きくなっており、この溝部61aに第1のガイド71を挿入することができる。また、第1のガイド受け部61の上方には、バネ90の一端が固定される固定用片65が形成されている。
【0035】
レンズ固定部62は、コリメートレンズ34が収容される開口62aを備える枠形状である。そのため、レンズ固定部62は、この開口62aにコリメートレンズ34を収容させた状態で接着剤を用いて固定させることができる。
【0036】
また、レンズ固定部62の第1のガイド受け部61と反対側の端には、第2のガイド受け部64が形成されている。第2のガイド受け部64は、レンズ固定部62の上部(Z2側)から伸びた突形状である。そのため、第2のガイド受け部64の下面に第2のガイド72の上面を接触させることができる。
【0037】
伝達部63は、薄板状であり、伝達機構80の軸部(後述するリードスクリュー82)が貫通する開口63aが形成されている。また、開口63aは、第1のガイド受け部61の溝部61aと同じ方向(Z1側)が開いており、伝達機構80の軸部を上側から挿入することができる。
【0038】
ガイド(第1のガイド71、第2のガイド72)は、ピックアップシャーシ11の収容空間S2内に、形成されている。
第1のガイド71は、所定の長さを有する断面が円形状の軸により構成されている。また、第1のガイド71は、延設方向がレンズ移動機構50のスライド方向(Y方向)となるようピックアップシャーシ11の軸受けに固定されている。この第1の実施形態では、ガイド70は、接着剤によりピックアップシャーシ11の軸受けに接着されている。
また、第2のガイド72はレンズ移動機構50のスライド方向(X方向)に伸びた板状部材により形成されている。この第1の実施形態では、第2のガイド72は、ピックアップシャーシ11の底面と一体で成形されている。
【0039】
伝達機構80は、ステッピングモーター81と、リードスクリュー82と、ナット部材として機能するリードナット83と、を備える。ステッピングモーター81は、回転軸として機能するリードスクリュー82の軸方向を、レンズ保持部材60の伝達部63に向けた状態でピックアップシャーシ11の収容空間S2に固定されている。また、リードスクリュー82の先端には、リードナット83が螺合している。リードナット83は、矩形状の板状部材であり、ステッピングモーター81が駆動することで、リードスクリュー82が回転し、X方向の位置を変化させる。
【0040】
バネ90は、一端がピックアップシャーシ11に固定され、他端がレンズ保持部材60の固定用片65に固定されている。この第1の実施形態では、バネ90のピックアップシャーシ11側の取り付け位置(Z方向での位置)は、レンズ保持部材60側の固定用片65の位置よりも低くなっている。そのため、バネ90は、レンズ保持部材60に対して下側(Z1側)に力を加えることができる。
【0041】
以上説明したように、この第1の実施形態では、レンズ移動機構50を組み立てる場合、まず、ステッピングモーター81にリードナット83を取り付けた状態で、ピックアップシャーシ11の収容空間S2に固定する。次に、第1のガイド71に戻りバネ91を貫通させた状態で、ピックアップシャーシ11の軸受け部に接着する。次に、ガイド71、72の上側(Z1側)から、レンズ保持部材60を被せる。このとき、溝部61aに第1のガイド71を挿入し、第2のガイド受け部64を第2のガイド72の上方に載せる。そして、バネ90の両端をピックアップシャーシ11とレンズ保持部材60の固定用片65とにそれぞれ固定し、レンズ保持部材60をガイド71、72に位置決めする。さらに、カバー40をピックアップシャーシ11に取り付ける。
【0042】
また、レンズ移動機構50を分解する場合は、ピックアップシャーシ11からカバー40を取外した後、バネ90を取外す。次に、第1のガイド71、第2のガイド72に被せられたレンズ保持部材60をピックアップシャーシ11から取外す。
【0043】
そのため、作業者は、軸をレンズ保持部材60に貫通させた後、軸をピックアップシャーシ11に固定する必要がない。また、製品の組み付け段階で何らかの原因により、レンズ保持部材60とガイド70とを分解する必要が生じても、バネ90を取外すことで、簡単に分解することができる。そのため、レンズ移動機構の組み付け時における作業性を向上することができる。
【0044】
また、第1のガイド受け部61の溝の内幅は、前記ガイドの幅と比べて大きくなっているため、レンズ保持部材60とガイド70との着脱を容易にすることができ、作業性を高めることができる。
【0045】
2.第2の実施形態:
この第2の実施形態では、リードナット83の一端に、レンズ保持部材60の伝達部63の動き(X方向と交差する方向での動き)を規制する規制片83bが形成されている形状が第1の実施形態と比べて異なる。
【0046】
図7は、リードナット83とレンズ保持部材60との関係を示す図である。
図7(a)は、リードナット83を示す斜視図である。また、
図7(b)は、リードナット83と接触しているレンズ保持部材60を示す斜視図である。
【0047】
図7に示すリードナット83の上部には、ネジ穴83aの貫通方向に伸びた規制片83bが形成されている。例えば、規制片83bは、リードナット83と一体で形成されている。
また、伝達部63の上部(Z2側)には、切り欠き部63bが形成されている。この切り欠き部63bは、リードナット83の規制片83bが挿入するだけの幅を備えている。より好ましくは、切り欠き部63bの幅は、切り欠き部63bに規制片83bを挿入した際に、がたつきが生じるほどの幅であることが望ましい。
【0048】
さらに、ピックアップシャーシ11の収容空間S2を塞ぐカバー40には、リードナット83の規制片83bが挿入する溝部41が形成されている。溝部41は、リードナット83のスライド方向(すなわち、X方向)に伸びるよう形成されている。この第2の実施形態では、カバー40は、レンズ保持部材60をZ2側に抑える押さえ部材としても機能する。
【0049】
上記構成のレンズ移動機構50では、リードナット83にステッピングモーター81からの駆動力が伝えられX方向にスライドする際、リードナット83の規制片83bがレンズ保持部材60の切り欠き部63bと接触しながら前進する。また、リードナット83の規制片83bはカバー40の溝部41に挿入しており、リードナット83は溝部41にガイドされながら前進する。そのため、リードナット83の規制片83bがレンズ保持部材60のX方向と交差する動き(例えば、Y方向の動き)を規制し、レンズ保持部材60がガイド70から外れてしまうのを抑制することができる。
【0050】
また、レンズ移動機構50は、第1のガイド受け部61の開いた側と反対側から、レンズ保持部材60を抑えるカバー(押さえ部材)40を、有する。そのため、カバー40によりレンズ保持部材60を抑えることで、レンズ保持部材60がガイド70から外れてしまうのを抑制することができる。
【0051】
3.第3の実施形態:
この第3の実施形態では、ガイド(第1のガイド71)がピックアップシャーシ11に一体で成形されている構成が第1、第2の実施形態と比べて異なる。
【0052】
図8は、第3の実施形態において、レンズ移動機構50を説明する断面図である。
図8に示す第1のガイド171は、ピックアップシャーシ11の底面から出た(Z2側に出た)片により形成されている。すなわち、第1のガイド171は、ピックアップシャーシ11に対して一体で形成されている。なお、ピックアップシャーシ11の底面には、第1の実施形態と同様の形状の第2のガイド72も形成されている。
【0053】
図8に示す第1のガイド171は、断面が釣鐘型の片により形成されている。また、レンズ保持部材60は第1の実施形態と同様に、第1のガイド171が挿入する溝部61aを備える第1のガイド受け部61を有している。また、第1のガイド受け部61の溝部61aの内幅は、第1のガイド171の幅と比べて大きくなっている。
【0054】
上記のように構成された第3の実施形態にかかるレンズ移動機構50の組み立てでは、第1の実施形態と比べて、第1のガイド171をピックアップシャーシ11に固定する工程を省略することができる。また、第1のガイド171をピックアップシャーシ11に固定するための接着剤やネジ等を用いる必要がないため、レンズ移動機構50を分解する場合でも、レンズ保持部材60を傷つけてしまうことがない。
そのため、レンズ移動機構の組み付け時における作業性を向上することができる。
【0055】
4.第4の実施形態
この第4の実施形態では、ガイドとレンズ保持部材60の第1のガイド受け部とは、互いに係わる抜け止め部が形成されている構成が他の実施形態と比べて異なる。
【0056】
図9は、第4の実施形態において、レンズ移動機構50を説明する断面図である。
図9に示すレンズ保持部材60の第1のガイド受け部61には、抜け止め部として機能する突部611が形成されている。突部611は、溝部61aの内壁から内向きに出ている。また、突部611は、溝部61aが伸びる方向(X方向)に沿って連続で形成されている。無論、これに限定されず、X方向に不連続に形成されていてもよい。
【0057】
また、第1のガイド71は、抜け止め部として機能する係止部711が形成されている。係止部711は、第1のガイド71の上部に位置、爪状に湾曲した形状である。また、係止部711は、第1のガイド71の伸びる方向(X方向)に連続で形成されている。無論、これに限定されず、X方向に不連続に形成されていてもよい。
【0058】
図9に示す第1のガイド71をレンズ保持部材60の溝部61aに挿入させることで、突部611と係止部711とが互いに係わり、レンズ保持部材60が第1のガイド71から外れてしまうのを抑制することができる。
【0059】
5.その他の実施形態:
ガイド70の形状は、断面が円状の軸状部材に限定されず、断面が多角形状のものも含まれる。
伝達機構として、モーターを用いるものは一例に過ぎない。レンズ保持部材をスライドさせる力を加える機構であれば、レンズ保持部材と接触して力を加えるものの他、他の部材を介して間接的にレンズ保持部材をスライドさせる力を加えるものも含まれる。
付勢部材として、バネを用いたことは一例に過ぎない。レンズ保持部材に対してガイドに向けた外力を加える部材であればどのようなものであってもよく、バネ、ゴム等の弾性部材や、エラストマー等も含まれる。
【0060】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。