【解決手段】レーザー光を照射する光源と、前記レーザー光を光ディスクの記録面に集光させる対物レンズと、前記光源と前記対物レンズとの間の光路を形成するために設けられた複数の光学部品と、を含む光ピックアップ装置であって、前記レーザー光の光量を補正して前記対物レンズに入射する前記レーザー光のRIM強度を、前記記録面を覆って光を透過させる前記光ディスクのカバー層の厚さに応じて決定された第1強度以上、かつ、前記RIM強度の最大値よりも低い所定の第2強度以下にさせる補正膜を、前記複数の光学部品のいずれかに有する。
レーザー光を照射する光源と、前記レーザー光を光ディスクの記録面に集光させる対物レンズと、前記光源と前記対物レンズとの間の光路を形成するために設けられた複数の光学部品と、を含む光ピックアップ装置であって、
前記レーザー光の光量を補正して前記対物レンズに入射する前記レーザー光のRIM強度を、前記記録面を覆って光を透過させる前記光ディスクのカバー層の厚さに応じて決定された第1強度以上、かつ、前記RIM強度の最大値よりも低い所定の第2強度以下にさせる補正膜を、前記複数の光学部品のいずれかに有する、ことを特徴とする光ピックアップ装置。
前記RIM強度は、前記対物レンズの中心部に入射する光強度と前記対物レンズの外縁部に入射する光強度との比であって、前記光ディスクのトラッキング方向に直交する方向おける光強度間の比であることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態として、前記RIM強度は、前記対物レンズの中心部に入射する光強度と前記対物レンズの外縁部に入射する光強度との比であって、前記光ディスクのトラッキング方向に直交する方向における光強度間の比であるとしてもよい。
また、本発明の実施形態として、前記第2強度を0.67とし、カバー層の厚さをtとしたとき前記第1強度Yを式
Y=24.21×t
2−5.44×t+0.72で求めた値としてもよい。
また、本発明の実施形態として、前記t=0.0535mmとしたとき、前記第1強度Y=0.50としてもよい。
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を更に説明する。
(第1実施例)
図1は、光ピックアップ装置10の概略構成を斜視図により示している。光ピックアップ装置10において、光源としての発光素子11は、DVDとCDに対応するレーザーダイオードを備えており、回折格子12に対面している。発光素子11から出射されるレーザー光は、回折格子12を通過してハーフミラー13に入射されその進路を水平面内で90度屈曲されて偏光ビームスプリッタ14に入光する。偏光ビームスプリッタ14を直進して通過した光路上にはコリメータレンズ15が介在され、さらにその先にはDVD側の打ち上げミラー16が配置されているので、レーザー光は90度鉛直方向に屈曲され、波長板17と対物レンズ18を通過してDVD(光ディスク)の記録面に照射される。なお、DVDからの反射光は、対物レンズ18から、波長板17、打ち上げミラー16、コリメータレンズ15、偏光ビームスプリッタ14への経路を進行し、ハーフミラー13に入射する。ハーフミラー13では光の一部は発光素子11側に屈曲されるものの、残りはハーフミラー13を通過して直進し、ホログラム19を経て受光素子20に入光される。
【0014】
また、光ピックアップ装置10には、ブルーレイディスク(BD)に対応して、光源としての発光素子21も備えられており、発光素子21から出射されるレーザー光は偏光ビームスプリッタ14に入光するとその進路を水平面内で90度屈曲され、DVD用のレーザー光と同一の進路を進む。偏光ビームスプリッタ14から出射したレーザー光の光路上にはコリメータレンズ15が介在され、さらにその先のDVD側の打ち上げミラー16に入射する。しかし、ブルーレイディスク用のレーザー光はDVD側の打ち上げミラー16を通過してその先にあるブルーレイディスク用の打ち上げミラー22にて90度鉛直方向に屈曲され、波長板23と対物レンズ24を通過してブルーレイディスク(光ディスク)の記録面に照射される。なお、ブルーレイディスクからの反射光は、対物レンズ24から波長板23、打ち上げミラー22、コリメータレンズ15、偏光ビームスプリッタ14への経路を進行し、ハーフミラー13に入射する。ハーフミラー13では光の一部は発光素子11の側に屈曲されるものの、残りはハーフミラー13を通過して直進し、ホログラム19を経て受光素子20に入光される。なお、ハーフミラー13から打ち上げミラー16,22へと向かう光路の延長上には光軸調整のためのフロントモニタ25が配置されている。
【0015】
回折格子12、ハーフミラー13、ビームスプリッタ14、コリメータレンズ15、打ち上げミラー16,22、波長板17,23は、光源と対物レンズとの間の光路を形成するために設けられた複数の光学部品の例である。なお、コリメータレンズ15は、多層の記録面を有するブルーレイディスクの各層の記録再生に対応するために光路方向に沿って移動する可動レンズである。
【0016】
図2は、光ピックアップ装置10を搭載した光ディスク装置100の概略構成をブロック図により示している。光ディスク装置100は、光ピックアップ装置10と、信号演算器30と、デジタルサーボプロセッサ40と、トラッキングアクチュエータ50と、フォーカスアクチュエータ60と、データ記録再生部70とを有する。光ディスク装置100は、光ディスクDに対してレーザー光を照射することにより、光ディスクDにデータを記録し、また、光ディスクDに記録されているデータを読み出す(再生する)。
【0017】
光ピックアップ装置10の受光部(受光素子20)は、受光した光を電流に変換して、電気信号を信号演算器30に出力する。一方、データ記録再生部70から記録データが入力されると、光ピックアップ装置10は記録データに応じて変調したレーザー光を光ディスクDの記録面に照射し、記録を行う。
【0018】
データ記録再生部70は、信号演算器30から増幅して出力される信号に復調処理、誤り検出及び訂正処理などを施すことにより情報を所定形式のデジタルデータに再生し、映像や音声を外部に出力する。また、データ記録再生部70は、テレビジョン放送受像部や外部装置(図示せず)等から前記記録データが入力されると、RF信号に変換して、上述したように光ピックアップ装置10へ出力する。
【0019】
信号演算器30は、前記受光部から出力される信号から、トラッキングエラー信号とフォーカスエラー信号を生成する。トラッキングエラー信号とフォーカスエラー信号は、信号演算器30から、デジタルサーボプロセッサ40へ入力される。デジタルサーボプロセッサ40は、トラッキングエラー信号に応じて、光ピックアップ装置10が光ディスクDのトラックに追従するように、光ピックアップ10を駆動するトラッキングアクチュエータ50を制御する。また、デジタルサーボプロセッサ40は、光ピックアップ10内に設けられた対物レンズと光ディスクDとの間の距離が適正となるように、フォーカスアクチュエータ60を制御する。
【0020】
次に、光学部品に形成される補正膜と、補正膜によって実現するRIM強度について説明する。
図3は、RIM強度の変化に対する自己記録再生性能(%)の変化を示している。
図3において横軸がRIM強度、縦軸が自己記録再生性能である。ここで、対物レンズ24の中心部に入射する光強度と、対物レンズ24の外縁部に入射する光強度を、それぞれ、I0、I1とすると、対物レンズ24に入射するレーザー光のRIM強度(対物レンズ24の中心部に入射する光強度に対する、対物レンズ24の外縁部に入射する光強度の比)は、I1/I0と表される。RIM強度は、その値が高いほど光強度の分布の均一性が高いことを意味し、最大値は1である。
【0021】
また、本実施例では、ラジアル(rad)方向のRIM強度とタンジェント(tan)方向のRIM強度というものを想定する。rad方向のRIM強度とは、光ディスクDの半径方向(トラッキング方向d1、
図4参照。)におけるI1/I0を指し、tan方向のRIM強度とは、トラッキング方向と直交する、光ディスクDの円の接線方向d2(
図4参照。)におけるI1/I0を指す。本実施例では、tan方向のRIM強度を最適な範囲とするために補正膜を用いる。これは、tan方向のRIM強度が、光ディスクDの記録面に照射されるスポットのtan方向のぼやけ度合いに影響し、当該記録面おけるピットの読込みあるいは記録の精度に影響を与えるからである。従って、特に断らない限り、以下、単にRIM強度と言ったときは、tan方向のRIM強度を指す。
【0022】
自己記録再生性能は、エラー率とも呼べる。つまり、自己記録再生性能は、光ディスク装置100を用いて光ディスクに所定のテストデータを記録し、かつ、当該記録したデータを再生したときのエラー率(テストデータのうち正しく再生できなかった割合)である。
図3の縦軸は、その値が低い程、自己記録再生性能が高いことを示す。また、
図3では、光ディスクのカバー層の異なる厚さt毎の計測結果(t=0.0535mmとしたときの測定結果(▲)、t=0.075mmとしたときの測定結果(■)、t=0.10mmとしたときの測定結果(◆))を示している。
【0023】
図5は、一例として、4層の記録層(L0〜L3)を有する光ディスクD(ブルーレイディスク)の断面を簡易的に示している。光ディスクDは、対物レンズと対面する側(記録面)が、光を透過させるカバー層CGによって覆われている。カバー層CGは、ガラスやフィルム等で形成されている。
図5に示した4層タイプのブルーレイディスクは、カバー層CGの厚さtが0.0535mmである。つまり、カバー層CGの表面から対物レンズに最も近い側の記録層L3までの距離が0.0535mmである。一方、記録層が1層のみのブルーレイディスクでは、カバー層CGの厚さtは、0.10mmである。0.10mmという値は、
図5に示した4層タイプのブルーレイディスクにおける、カバー層CGの表面から対物レンズに最も遠い記録層L0までの距離に等しい。カバー層CGの厚さtは、記録層数が多い光ディスクほど薄い。
図3では、カバー層CGの厚さtが異なる種々の光ディスクを用いて、RIM強度を可変にして自己記録再生性能(%)を測定した結果を示している。
【0024】
図3から判るように、RIM強度が高いほど、自己記録再生性能は高い(エラー率が低い)結果が得られている。また、RIM強度が同じであれば、カバー層CGの厚さtが薄いほど、自己記録再生性能は低い(エラー率が高い)。このような
図3によれば、一定以上の自己記録再生性能を得るには、カバー層CGの厚さtが薄いほど、RIM強度を高くする必要があると言える。
【0025】
本実施例では、自己記録再生性能を示す数値として13.5%(自己記録再生性能のしきい値TH1)以下の値を、良好な自己記録再生性能と定義する。そこで、当該13.5%に対応するRIM強度を、RIM強度の下限値(第1強度)とする。具体的には、カバー層CGの厚さtが、市販されているブルーレイディスクの中でも層数が多い前記4層タイプのブルーレイディスクのカバー層CGの厚さ「0.0535mm」であるときに当該13.5%以下の値が得られるRIM強度を、第1強度として採用する。
図3によれば、第1強度は、約0.50である。
【0026】
図6は、横軸をカバー層CGの厚さtとし、縦軸をRIM強度とし、
図3に示した厚さt(t=0.0535mm、t=0.075mm、t=0.10mm)毎の、前記しきい値TH1としての自己記録再生性能(13.5%)に対応するRIM強度をプロットした結果である。つまり、
図6に示した関数Yは、t(t=0.0535mm、t=0.075mm、t=0.10mm)毎の、前記しきい値TH1としての自己記録再生性能(13.5%)に対応するRIM強度を満足する(あるいは近似した)関数である。言い換えると、関数Yから任意の厚さtに対応する下限値としてのRIM強度が導き出せる。ちなみに、関数Yは下記式(1)により表される。
Y=24.21×t
2−5.44×t+0.72
上述した第1強度としての値「0.50」は、t=0.0535mmとしたときに式(1)から導かれる値でもある。
【0027】
次に、RIM強度の上限値(第2強度)について説明する。
図7は、従来行われていたRIM強度の補正を説明するための図である。
図7上段のグラフは、当該補正を何らしない場合の光強度を示している。
図7上段のグラフ(および下段のグラフ)では、横軸を、前記tan方向における対物レンズ内の位置とし(ただし、−1〜+1に規格化しており、0は対物レンズの中心位置を示す。)、縦軸を光強度としている。
図7上段のグラフに示すように、対物レンズへ入射されるレーザー光は、通常、中心部の光強度が最も高く、外縁に近づくに連れて光強度が弱まっている。
図7上段のグラフでは、中心部の光強度を基準(100%)として各位置の光強度を示している。
【0028】
従来では、
図7下段のグラフに示すような部品透過率(%)を実現させる遮光膜(補正膜の一種)を、光源から対物レンズに到る光路に設けられた光学部品(例えばコリメータレンズ)に形成していた。部品透過率とは、当該光学部品に補正膜を形成することで実現される、当該光学部品を通るレーザー光の透過率である。
図7下段のグラフでは、部品透過率0%は、遮光しないことを意味し、−60%は、60%遮光する(40%透過させる)ことを意味する。このような部品透過率を示す曲線は、
図7上段の曲線を略反転させた形状である。そのため、このような従来手法(
図7)によれば、対物レンズに入射するレーザー光の光強度の分布は極めて均一性が高くなる(RIM強度が、最大値1に極力近づくように補正される)。
【0029】
説明したように、RIM強度を最大値に近づけるほど高い自己記録再生性能が得られるが、RIM強度を高い値へ補正するということは、
図7の説明から判るように、光源から対物レンズへ到達する光量の一部をカットすることでもある(
図7下段のグラフによれば、中心位置に至っては約60%もの光量の損失がある)。このように、対物レンズに入射される光量の損失が大きいと、レーザー光を発する光源の出力自体を上昇させる必要が生じるが、光源の出力を上昇させることで、消費電力増大(運転効率の低下)、光源の寿命短縮、高熱発生、といった様々な問題が生じる。
【0030】
そこで本実施例では、ユーザが満足する自己記録再生性能を得るためにRIM値を最大にまで引き上げる必要は無いという思想の下、上述したような光量の損失を極力少なくするために、RIM強度の最大値よりも低い所定の値を、RIM強度の上限値(第2強度)として採用する。
【0031】
図8は、本実施例におけるRIM強度の範囲を示している。
図8は、横軸をRIM強度とし、一方の縦軸を部品透過率(%)とし、他方の縦軸を自己記録再生性能(%)としている。また、曲線(実線)は、RIM強度と部品透過率との関係を示し、直線(2点鎖線)は、RIM強度とカバー層CGの厚さt=0.0535mmであるときの自己記録再生性能との関係(
図3に示した測定結果(▲)を近似した直線)を示している。
図8における部品透過率は、光源(光源21)から対物レンズ(対物レンズ24)に到る光路に設けられた光学部品(コリメータレンズ15)に補正膜を形成することで実現される、当該光学部品を通るレーザー光の、中心位置(レンズ中心)における透過率である。
図8では、部品透過率100%は、遮光しないことを意味し、80%は、20%遮光する(80%透過させる)ことを意味する。
図8に示すように、部品透過率を下げるほど(光量の損失を多くするほど)RIM強度は上がる。
【0032】
本実施例では、鋭意検討した結果、約80%の部品透過率に対応するRIM強度を、第2強度とする。
図8によれば、第2強度は、約0.67である。
つまり本実施例では、カバー層CGの厚さt=0.0535mmと想定し、RIM強度を、0.50以上かつ0.67以下とする。
【0033】
図11Aおよび
図11Bは、表面に補正膜80を形成した光学部品(コリメータレンズ15)の断面をそれぞれ例示している。
図11Aは、補正膜80として遮光性を有する遮光膜を形成した例であり、
図11Bは、補正膜80として無反射膜を形成した例である。遮光膜は、膜厚を厚くするほど遮光性が高まる膜であり、無反射膜は逆に、膜厚を厚くするほど光の透過性が高まる膜(例えば、ARコート)である。
図11Aの例では、コリメータレンズ15の中心部で補正膜80(遮光膜)を最も厚くし、コリメータレンズ15の外縁部側へ行くほど補正膜80(遮光膜)を薄くしている。
図11Bの例では、コリメータレンズ15の中心部で補正膜80(無反射膜)を最も薄くし、コリメータレンズ15の外縁部側へ行くほど補正膜80(無反射膜)を厚くしている。
【0034】
図11A,11Bいずれの場合でも、例えば、マスキングと、素材(補正膜80の素材)の付着(蒸着等)を繰り返し、当該素材による複数の層を形成することにより、コリメータレンズ15上の位置に応じて膜厚が段階的に異なる補正膜80を形成する。このとき、結果的に得られるRIM強度が第1強度以上かつ第2強度以下の数値範囲に収まるように、膜厚を調整して形成する。なお、
図11A,11Bではコリメータレンズ15の形状を簡易的に示しているが、コリメータレンズ15の表面は実際には曲面である。
【0035】
図12は、本実施例による補正膜80を形成した光学部品(コリメータレンズ15)における部品透過率(%)を、
図7下段のグラフと同じ表示態様で示している。また、
図12には、
図7下段のグラフに示した曲線を参考までに破線で示している。
図12によれば、従来と比較して、光量の損失(
図12において斜線で示した範囲)が大幅に減っていることが判る。
【0036】
このような本実施例によれば、レーザー光の光量を補正して対物レンズに入射するレーザー光のRIM強度を、光ディスクのカバー層CGの厚さtに応じて決定された第1強度(t=0.0535mmとしたとき0.50)以上、かつ、RIM強度の最大値よりも低い所定の第2強度(0.67)以下にさせる補正膜80を、光学部品(コリメータレンズ15)に形成した。これにより、エラー率約13.5%以下という良好な自己記録再生性能(記録再生品質)が得られ、かつ、当該光学部品の中心位置で見たときの光量の損失を約20%以下に抑えることができる。つまり、安価な補正膜80の形成という処理のみで、高い記録再生品質が得られ、かつ、消費電力増大(運転効率の低下)、光源(21)の寿命短縮、高熱発生、といった様々な問題を回避することができる。
【0037】
実施形態は上述の内容に限られるものではなく種々の態様が考えられ、後述するような各実施例を採用可能である。本明細書における実施形態や実施例を適宜組み合わせた構成も、本発明の開示範囲に入る。以下では、既に説明した事項が適宜適用されるものとし、主に、既に説明した事項と異なる点を主に説明する。
【0038】
(第2実施例)
図9は、第2実施例におけるRIM強度の範囲を、
図8と同じ表現態様にて示している。
図9における曲線(実線)は、
図8における曲線(実線)と同じであり、RIM強度と部品透過率との関係を示している。
図9における直線(2点鎖線)は、RIM強度とカバー層CGの厚さt=0.075mmであるときの自己記録再生性能との関係(
図3に示した測定結果(■)を近似した直線)を示している。
【0039】
第2実施例でも、第1実施例と同様に、約80%の部品透過率に対応するRIM強度を第2強度とする。つまり、第2強度は約0.67である。
また、カバー層CGの厚さt=0.075mmとしたとき、前記しきい値TH1としての自己記録再生性能(13.5%)に対応するRIM強度は、前記式(1)によれば、約0.45である。つまり第2実施例では、カバー層CGの厚さt=0.075mmと想定し、RIM強度を、0.45以上かつ0.67以下とする。すなわち、前記4層タイプのブルーレイディスクよりもカバー層CGの厚さtが厚いタイプの光ディスクを使用することを想定した場合、RIM強度の範囲を第1実施例よりも広く設定でき、このような設定した範囲にRIM強度が収まるように、膜厚を調整した補正膜80をコリメータレンズ15に形成する。
【0040】
(第3実施例)
図10は、第3実施例におけるRIM強度の範囲を、
図8,9と同じ表現態様にて示している。
図10における曲線(実線)は、
図8,9における曲線(実線)と同じであり、RIM強度と部品透過率との関係を示している。
図10における直線(2点鎖線)は、RIM強度とカバー層CGの厚さt=0.10mmであるときの自己記録再生性能との関係(
図3に示した測定結果(◆)を近似した直線)を示している。
【0041】
第3実施例でも、第1,2実施例と同様に、約80%の部品透過率に対応するRIM強度を第2強度とする。つまり、第2強度は約0.67である。
また、カバー層CGの厚さt=0.10mmとしたとき、前記しきい値TH1としての自己記録再生性能(13.5%)に対応するRIM強度は、前記式(1)によれば、約0.42である。つまり第3実施例では、カバー層CGの厚さt=0.10mmと想定し、RIM強度を、0.42以上かつ0.67以下とする。すなわち、前記4層タイプのブルーレイディスクよりもカバー層CGの厚さtが厚い1層タイプの光ディスクを使用することを想定した場合、RIM強度の範囲を第1実施例(および第2実施例)よりも広く設定でき、このような設定した範囲にRIM強度が収まるように、膜厚を調整した補正膜80をコリメータレンズ15に形成する。
【0042】
(第4実施例)
tan方向のRIM強度に加え、rad方向のRIM強度についても、第1〜第3実施例で説明したような、カバー層CGの厚さtに応じたいずれかの範囲(第1強度以上、第2強度以下の範囲)に収めさせるように補正膜80を光学部品に形成してもよい。
なお、
図11に例示した補正膜80がコリメータレンズ15の全周に亘って(つまり、
図11に例示した断面を360°回転させて得られる形状で)形成されていれば、対物レンズ24に入射するレーザー光のRIM強度は、tan方向やrad方向を含む全方向で、第1強度以上、第2強度以下の範囲に収められる。一方、コリメータレンズ15表面上で前記tan方向に対応する方向にのみ、
図11に例示した補正膜80の断面が沿って形勢されていれば、tan方向のRIM強度のみ、第1強度以上、第2強度以下の範囲に収められる。
【0043】
(第5実施例)
なお、補正膜80を形成する光学部品は、コリメータレンズ15に限定されない。光ピックアップ装置10は、コリメータレンズ15以外の光学部品(ミラー等)に補正膜80を形成してもよい。
また、少なくとも特許請求の範囲における独立項や請求項2の思想は、光源(21)、対物レンズ24およびブルーレイディスクの組み合わせ以外にも、光源(11)、対物レンズ18およびDVDやCDの組み合わせにも適用できる。
【0044】
さらに、
・上記各実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること、
・上記各実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記各実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること、
・上記各実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記各実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること、
は本発明の一実施例として開示されるものである。