【解決手段】機器本体と、該機器本体に対して着脱される操作部材と、を備えた電子機器であって、前記機器本体に前記操作部材が保持される操作部材保持位置と、前記操作部材の保持が解除される解除位置と、に移動可能な保持部材と、前記機器本体に保持されている前記操作部材を取り外す方向へ押す押し部材と、所定の待機位置と、前記保持部材を前記解除位置へ移動させる作用位置と、に移動可能な解除操作部と、軸方向の付勢力により、前記保持部材を前記解除位置から前記操作部材保持位置の方へ付勢し、捩り方向の付勢力により 前記解除操作部を前記作用位置から前記待機位置の方へ付勢し且つ前記押し部材を前記操作部材を押す方向へ付勢するばねと、を備えた電子機器。
前記ばねは、前記軸方向の付勢力を与えるコイル状のばね本体から前記捩り方向の付勢力を与える両端部が突出したねじりコイルばねである、請求項1に記載の電子機器。
前記機器本体は、前記操作部材を取り付けるための取付面に沿って前記保持部材を摺動可能に保持する保持部材摺動部と、前記取付面と交わる方向へ前記押し部材を摺動可能に保持する押し部材摺動部と、前記保持部材に前記軸方向の付勢力を与える状態で前記ばね本体を収容するばね本体収容部と、を有し、
前記解除操作部は、前記取付面と交わる方向へ移動可能であり、
前記ねじりコイルばねの一端が前記解除操作部に前記捩り方向の付勢力を与える状態で前記解除操作部と当接し、前記ねじりコイルばねの他端が前記押し部材に前記捩り方向の付勢力を与える状態で前記押し部材と当接している、請求項2又は請求項3に記載の電子機器。
前記ねじりコイルばねの一端は、U字状に曲がっており、当該U字状に曲がった先端部にて前記解除操作部と当接する、請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下に説明する実施形態は、本発明を例示するものに過ぎない。
【0011】
(1)電子機器の概要:
まず、
図1〜22を適宜参照して、電子機器の概要を説明する。
【0012】
[態様1](
図1〜22参照)
電子機器1は、機器本体10と、該機器本体10に対して着脱される操作部材20と、を備えている。この電子機器1は、保持部材40、押し部材(50)、解除操作部60、ばね70、を備える。保持部材40は、前記機器本体10に前記操作部材20が保持される操作部材保持位置P1と、前記操作部材20の保持が解除される解除位置P2と、に移動可能である。押し部材(50)は、前記機器本体10に保持されている前記操作部材20を取り外す方向(D1)へ押す。解除操作部60は、前記操作部材保持位置P1にある前記保持部材40を前記解除位置P2に移動させる。軸方向D11の付勢力と捩り方向D21の付勢力のうち一方を第一付勢力F1とし他方を第二付勢力F2として、ばね70は、前記解除位置P2から前記操作部材保持位置P1の方への前記第一付勢力F1を前記保持部材40に加え、前記操作部材20を取り外す方向(D1)への前記第二付勢力F2を前記押し部材(50)に加える。
【0013】
保持部材40には、解除位置P2から操作部材保持位置P1の方への第一付勢力F1がばね70により加えられている。解除操作部60により操作部材保持位置P1にあった保持部材40が解除位置P2に移動すると、機器本体10に対する操作部材20の保持が解除され、ばね70により第二付勢力F2が加えられている押し部材(50)が操作部材20を取り外す方向(D1)へ押す。従って、本態様は、部材を増やさずに共通のばね70で保持部材40と押し部材(50)とを異なる方向へ独立して付勢することが可能となる。
また、解除操作部60は、所定の待機位置P5と、保持部材40を解除位置P2へ移動させる作用位置P6と、に移動可能である。ばね70は、軸方向D11の付勢力により、保持部材40を解除位置P2から操作部材保持位置P1の方へ付勢し、捩り方向D21の付勢力により、解除操作部60を作用位置P6から待機位置P5の方へ付勢し且つ押し部材(50)を操作部材20を押す方向へ付勢するとしてもよい。つまり、部材を増やさずに共通のばね70で保持部材40と解除操作部60と押し部材(50)とを独立して付勢することも可能である。
ここで、保持部材40は、機器本体10側に設けられてもよいし、操作部材20側に設けられてもよい。押し部材(50)も、機器本体10側に設けられてもよいし、操作部材20側に設けられてもよい。解除操作部60も、機器本体10側に設けられてもよいし、操作部材20側に設けられてもよい。ばね70も、機器本体10側に設けられてもよいし、操作部材20側に設けられてもよい。
解除操作部60は、独立した部材でもよいし、電子機器1を構成する部材の一部でもよい。
【0014】
[態様2](
図1〜22参照)
前記ばね70は、前記軸方向D11の付勢力を与えるコイル状のばね本体72から前記捩り方向D21の付勢力を与える両端部74,76が突出したねじりコイルばね70でもよい。このようなねじりコイルばね70を用いると、保持部材40と押し部材(50)とに付勢力を容易に加えることができる。また、このようなねじりコイルばね70を用いると、保持部材40と解除操作部60と押し部材(50)とに付勢力を容易に加えることができる。
【0015】
[態様3](
図1〜22参照)
前記ねじりコイルばね70は、前記軸方向D11において引っ張られることにより前記軸方向D11の付勢力を与える引張コイルばねでもよいが、前記軸方向D11において圧縮されることにより前記軸方向D11の付勢力を与える圧縮コイルばねでもよい。このような圧縮コイルばねを用いると、保持部材40と押し部材(50)とに付勢力をさらに容易に加えることができる。また、このような圧縮コイルばねを用いると、保持部材40と解除操作部60と押し部材(50)とに付勢力をさらに容易に加えることができる。
【0016】
[態様4](
図1〜14,19〜22参照)
前記機器本体10は、前記操作部材20を取り付けるための取付面13に沿って前記保持部材40を摺動可能に保持する保持部材摺動部14を有してもよい。前記機器本体10は、前記取付面13と交わる方向D1,D2へ前記押し部材(50)を摺動可能に保持する押し部材摺動部15を有してもよい。前記機器本体10は、前記保持部材40に前記軸方向D11の付勢力を与える状態で前記ばね本体72を収容するばね本体収容部16を有してもよい。さらに、前記ねじりコイルばね70の一端74が前記ばね本体収容部16に掛止され、前記ねじりコイルばね70の他端76が前記押し部材(50)に前記捩り方向D21の付勢力を与える状態で前記押し部材(50)に掛止されてもよい。本態様は、ばね70を含めて押し部材(50)の移動方向における押し部材(50)の長さが短くて済む電子機器1を提供することができる。
また、解除操作部60は、取付面13と交わる方向へ移動可能であるとしてもよい。さらに、ねじりコイルばね70の一端が解除操作部60に前記捩り方向の付勢力を与える状態で解除操作部60と当接し、ねじりコイルばね70の他端が押し部材(50)に前記捩り方向の付勢力を与える状態で押し部材(50)と当接してもよい。本態様によれば、一つのねじりコイルばね70によって、解除操作部60と押し部材(50)をそれぞれ
取付面13と交わる方向に付勢することができる。
さらに、ねじりコイルばね70の一端は、U字状に曲がっており、当該U字状に曲がった先端部にて解除操作部60と当接するとしてもよい。本態様によれば、解除操作部60に対する制振性が向上し、かつ、当該一端がねじりコイルばね70から延出する方向におけるサイズをコンパクト化できる。
【0017】
[態様5](
図1〜14,19〜22参照)
前記保持部材40は、前記ばね本体72に対して前記軸方向D11へ挿入される第一凸部46を有してもよい。本態様は、ねじりコイルばね70を容易に位置決めすることができる。
【0018】
[態様6](
図15〜18参照)
前記ねじりコイルばね70の一端74が前記ばね本体収容部16に掛止され、前記ねじりコイルばね70の他端76が前記保持部材40に前記捩り方向D21の付勢力を与える状態で前記保持部材40に掛止されてもよい。本態様は、ばね70を含めて保持部材40の移動方向における保持部材40の長さが短くて済む電子機器1を提供することができる。
【0019】
[態様7](
図15〜18参照)
前記押し部材(50)は、前記ばね本体72に対して前記軸方向D11へ挿入される第二凸部56を有してもよい。本態様も、ねじりコイルばね70を容易に位置決めすることができる。
【0020】
[態様8](
図1〜22参照)
前記解除操作部60は、前記操作部材20に設けられ、該操作部材20において前記機器本体10とは反対側の操作面(61)が押されると前記保持部材40の方へ突出する突出部62を有してもよい。前記保持部材40は、前記突出部62と接触する傾斜部44であって該突出部62が突出すると前記保持部材40が前記操作部材保持位置P1から前記解除位置P2に移動する傾斜部44を有してもよい。
また、解除操作部60は、操作部材20に設けられ、機器本体10側を向く第一および第二の突出部(突出部63および突出部62)と、機器本体10とは反対側の操作面(61)とを有し、ばね70は、突出部63に前記捩り方向の付勢力を与える状態で突出部63と当接し、保持部材40は、突出部62と接触する傾斜部44であって、解除操作部60が操作面(61)を押されて待機位置P5から作用位置P6へ移動すると保持部材40が操作部材保持位置P1から解除位置P2へ移動する傾斜部44を有するとしてもよい。
本態様は、操作部材20の取り外し操作をし易い電子機器1を提供することができる。
【0021】
[態様9](
図1〜22参照)
前記電子機器1は、前記操作部材20の側端部の一方22側を前記機器本体10に引っ掛ける側端引掛構造30をさらに備えてもよい。前記保持部材40は、前記操作部材保持位置P1にある場合に前記操作部材20の側端部の他方23側を引っ掛ける引掛部(42)を有してもよい。本態様は、操作部材20の取り外し操作をさらにし易い電子機器1を提供することができる。
【0022】
[態様10](
図1〜22参照)
前記電子機器1が車載用電子機器である態様は、車両の振動によりばね70が他の部材に当たることによる異音が抑制される好適な車載用電子機器を提供することができる。
【0023】
(2)電子機器の説明:
図1,2に示す電子機器1は、機器本体10と操作部材20を備える車載用光ディスク装置とされている。図中、符号D1は前方向、符号D2は後方向、符号D3は上方向、符号D4は下方向、符号D5は左方向、符号D6は右方向、を表す。光ディスクM1には、BD(ブルーレイディスク)、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、等が含まれる。車載用電子機器1においては、盗難防止のため、
図1,3に示すようにフロントの操作部材20を機器本体10に対して脱着させる構成を搭載している。むろん、本発明を適用可能な電子機器は、ラジオといった光ディスク装置以外のオーディオ機器、カーナビやテレビといった映像機器、携帯機器、等でもよく、車載用でなくてもよい。
【0024】
機器本体10は、ケース11とサブパネル12を含み、例えば、光ディスク装置のコントローラとして使用される。
ケース11は、例えば、自動車のインストルメントパネルやダッシュボード等に埋設される。
【0025】
サブパネル12は、例えば、合成樹脂製とされ、車室内に現れる。サブパネル12の前面は、凹状に形成され、操作部材20の取付面13とされている。詳しくは後述するが、
図1に示すサブパネル12の側端部の一方には、側端引掛構造30を構成する延出部31が形成されている。操作部材20を取り付けるための取付面13には、保持部材40の保持フック(引掛部)42,42を通す開口13a,13a、レバー部材(押し部材)50のレバーフック52を通す開口13b、光ディスクM1を挿入するためのディスク挿入口13d、等がサブパネル12の側端部の他方側に形成されている。
詳しくは後述するが、
図5等に示すサブパネル12の背面には、保持部材摺動部14、溝15aを有する押し部材摺動部15、ばね本体収容部16、等が形成されている。
【0026】
操作部材20は、正面部材20Aと背面部材20Bを含み、例えば、合成樹脂製のケース内に各種電子部品が収容されている。
【0027】
正面部材20Aの前面は、複数のボタンといった操作入力部21a、光ディスクM1を挿入するためのディスク挿入口21d、解除操作部60を構成するリリースボタン61、等が設けられた操作面21とされている。操作面21には、液晶表示パネル等が設けられてもよい。
図4に示す背面部材20Bの側端部の他方側には、保持部材40の保持フック42,42を通す開口24a,24a、レバー部材50のレバーフック52を通す開口24b、光ディスクM1を挿入するためのディスク挿入口24d、等が形成されている。
【0028】
図2に示す操作部材20を機器本体10から取り外すためには、操作部材20のリリースボタン61を手で押す操作をすることになる。リリースボタン61が押されると、操作部材20は、機器本体10から解放され、
図3に示すようにサブパネル12から少し押し出される。この状態から操作部材20を手で保持して側端引掛構造30を外すと、機器本体10から操作部材20を取り外すことができる。
【0029】
なお、特開2002-271042号公報に示されるオーディオ機器は、各部材を付勢するために別々のコイルばねが必要である。このように各部材に別々のスプリングを使用する脱着構成においては、部品点数が増え、作業性が悪化し、コストアップとなる。また、特開2006-290006号公報に示される音響装置は、異なる方向へ付勢するためにカム孔を有するレバーガイド部材が別途必要である。
【0030】
以上に対し、本技術は、
図5,6に示すように、フック部(保持部材40)とレバー部(レバー部材50)のスプリングを一体化し部品点数を削減することにより作業性向上及びコストダウンを図っている。従って、本技術は、部材を増やさずに共通のばね70で保持部材40とレバー部材50とを異なる方向へ独立して付勢することが可能である。特に、車載用電子機器の場合、自動車の振動によりばね70が他の部材に当たることによる異音が抑制されるので、本技術は好適である。
【0031】
(3)第一の例:
図1〜14は、電子機器1の第一の例を示している。この電子機器1は、側端引掛構造30、保持部材40、レバー部材(押し部材)50、解除操作部60、共通のばね70、を備える。保持部材40とレバー部材50とは、別体とされ、互いに異なる方向へ摺動可能にサブパネル12の背面に設けられている。第一の例は、フック部(保持部材40)にはコイルばね70の圧縮方向(軸方向D11)の付勢力、レバー部(レバー部材50)には捩り方向D21の付勢力を付与しうる構成にすることで、フック力と押し出し力のそれぞれを微調整可能にしたことを特徴としている。
【0032】
図1に示す側端引掛構造30は、サブパネル12の側端部の一方に形成された延出部31、操作部材20の側端部の一方22に形成されたスリット32、を含む。側端引掛構造30は、操作部材20の側端部の一方22側を機器本体10に引っ掛ける構造である。延出部31は、サブパネル12の側端部の他方へ(右方向D6へ)向かって短く延出している。スリット32は、延出部31の形状に合わせて長手方向を上下方向D3,D4へ向けて形成されている。延出部31をスリット32に挿入するように操作部材20を動かすと、操作部材20の側端部の一方22側が機器本体10に引っ掛かる。なお、サブパネル12に形成されるスリットと操作部材20に形成される延出部とで側端引掛構造30を構成してもよい。
【0033】
図7(a)〜(d)等に示す保持部材40は、本体部41、保持フック(引掛部)42,42、傾斜部44、第一凸部46、を有し、例えば、合成樹脂で形成される。保持部材40は、
図4,5に示すように、取付面13に沿った上下方向D3,D4へ摺動可能とされ、操作部材保持位置P1と解除位置P2(
図10参照)とに移動可能である。保持部材40が上下方向D3,D4へ移動するので、電子機器1の幅方向(左右方向D5,D6)における保持部材40の長さが短くて済み、該幅方向において電子機器1を小型化することができる。
本体部41は、背面側に凹部41a,41aを有する略直方体状に形成されている。
【0034】
保持フック(引掛部)42は、本体部41の正面から前方向D1へ突出した後に上方向D3へ突出し、上下に2箇所設けられている。保持フック42は、
図4,10に示すように、操作部材20の側端部の他方23側にある開口24aに挿入され、保持部材40が操作部材保持位置P1にある場合に開口24aの周縁部を引っ掛ける。
傾斜部44は、本体部41の底面前側から下方へ延出し、下側となるほど前側となる傾斜面を有している。傾斜部44は、
図10等に示す解除操作部60の突出部62と接触する位置にあり、該突出部62が突出すると保持部材40が操作部材保持位置P1から解除位置P2に摺動するように形成されている。従って、解除操作部60の突出部62が後方向D2へ移動して傾斜部44に突き当たると、第一付勢力F1に抗して保持部材40が操作部材保持位置P1から下方向D4へ移動する。
【0035】
第一凸部46は、本体部41の底面前側から下方向D4へ突出し、略円柱状に形成されている。
図5等に示すように、第一凸部46は、ねじりコイルばね70のばね本体72の中空部73に対して下方向D4(軸方向D11)へ挿入されている。保持部材40に第一凸部46があることにより、コイルばね70の位置決めが容易である。
【0036】
図8(a)〜(c)等に示すレバー部材(押し部材)50は、本体部51、レバーフック52、スライダ54,54、を有し、例えば、合成樹脂で形成される。レバー部材50は、
図4,5に示すように、取付面13と交わる前後方向D1,D2へ摺動可能とされ、
図11に示す退避位置P3と
図14に示す進出位置とに移動可能である。従って、レバー部材50は、機器本体10に保持されている操作部材20を取り外す前方向D1へ押す。なお、取付面13と交わる方向は、操作部材20を効率よく押し出す観点から取付面13と直交する方向が好ましいものの、取付面13と直交する方向から45°以内の範囲でずれた方向などでもよい。
本体部51は、左右方向D5,D6へ貫通した穴51a,51aを有する略直方体状に形成されている。
【0037】
レバーフック52は、本体部51の正面から前方向D1へ突出した後に上方向D3へ突出している。レバーフック52は、
図4,11に示すように、操作部材20の側端部の他方23側にある開口24bに挿入され、背面部材20Bのレバー当接部25に接触する位置にあり、開口24bの周縁部を引っ掛ける。なお、機器本体10の中程から上側には光ディスクM1のローダーがあるため、レバーフック52を有するレバー部材50は、機器本体10の下側にあるのが好ましい。
スライダ54,54は、本体部51の側面から左右方向D5,D6へ突出し、略直方体状に形成されている。
図5等に示すように、押し部材摺動部15に対して長手方向を前後方向D1,D2へ向けて形成された溝15a,15aにスライダ54,54が挿入される。従って、スライダ54,54は溝15a,15aに沿って前後方向D1,D2へ摺動可能であり、レバー部材50がサブパネル12の背面に対して前後方向D1,D2へ摺動可能に配置される。
【0038】
図3,13等に示す解除操作部60は、リリースボタン(操作面)61及び突出部62を有し、例えば、弾性を有する合成樹脂で形成される。解除操作部60は、操作部材20に設けられ、後方向D2へ押されることにより操作部材保持位置P1にある保持部材40を解除位置P2に移動させる。
【0039】
リリースボタン(操作面)61は、操作部材20において機器本体10とは反対側の前面右下に設けられている。
突出部62は、後方向D2へ突出し、先端部が縦断面略半円状に形成されている。リリースボタン61が後方向D2へ押されると、突出部62は、保持部材40の方(後方向D2)へ突出し、傾斜部44に突き当たることにより保持部材40を操作部材保持位置P1から下方向D4へ移動させる。
解除操作部60と保持部材40が別体であり、取付面13に沿って移動する保持部材40を取付面13と交わる方向へ移動する解除操作部60で操作することができるので、本技術は、操作部材20の取り外し操作をし易い。
【0040】
図5,6等に示すねじりコイルばね70は、ばね本体72、及び、突出した両端部74,76を有し、例えば、弾性を有する金属線で形成される。ばね70は、ばね本体72の軸方向D11の第一付勢力F1を保持部材40に加え、ばね本体72の中心軸AX1を中心とする捩り方向D21の第二付勢力F2をレバー部材50に加える。第一付勢力F1は、解除位置P2から操作部材保持位置P1の方へ保持部材40を付勢する力である。第二付勢力F2は、操作部材20を取り外す前方向D1へレバー部材50を付勢する力である。従って、ばね70は、別々の部材40,50を別々の方向D3,D1へ付勢する。
【0041】
ばね本体72は、軸方向D11の付勢力を与えるコイル状の部位である。コイル状ばね本体72の金属線間には、隙間が形成されている。従って、ばね本体72は、軸方向D11において圧縮されることにより軸方向D11の外側への付勢力を保持部材40に与える圧縮コイルばねとなる。ばね本体72の中空部73の上側には、保持部材の第一凸部46が挿入される。
ねじりコイルばね70の両端74,76は、ばね本体72から突出し、捩り方向D21の第二付勢力F2を与える。
【0042】
なお、軸方向D11の第一付勢力F1は、線径、巻き数、内径、自由長、及び、荷重長の少なくとも一つを変更することにより調整することができる。捩り方向D21の第二付勢力F2は、線径、有効長、自由時角度、及び、荷重時角度の少なくとも一つを変更することにより調整することができる。これらの付勢力を調整するパラメータを変更することにより、それぞれの方向D11,D21への最適な付勢力の調整が可能であり、設計の簡易化に繋がる。
【0043】
ねじりコイルばね70においてばね本体72の下端から突出した一端74は、他端76よりも短くされ、ばね本体72とともにばね本体収容部16に収容され、ばね本体収容部16に掛止される。ねじりコイルばね70においてばね本体72の上端から突出した他端76は、一端74よりも長くされ、先端部が折れ曲がっている。他端76は、レバー部材50に捩り方向D21の付勢力を与える状態でレバー部材50の背面に掛止されている。あるいは、他端76は、レバー部材50に捩り方向D21の付勢力を与える状態でレバー部材50の背面に当接している。ここで言う当接とは、単に接触している場合やある程度の固定度合をもって係止(あるいは封止)されている場合等を含む。付勢方向においてばね本体72よりも短いばね端部76がレバー部材50を付勢するので、本例は、ばね70を含めてレバー部材50の移動方向(前後方向D1,D2)におけるレバー部材50の長さが短くて済む。
【0044】
図5等に示すように、機器本体10のサブパネル12の背面には、保持部材摺動部14、押し部材摺動部15、ばね本体収容部16、等が設けられている。
【0045】
保持部材摺動部14は、保持部材40の本体部41の背面を上下方向D3,D4へ摺動可能に掛止するフック状に形成され、取付面13に沿って保持部材40を所定範囲内で摺動可能に保持する。押し部材摺動部15は、保持部材摺動部14よりも左右方向D5,D6の内側に配置され、溝15a,15aを有する箱状に形成され、取付面13と交わる前後方向D1,D2へレバー部材50を摺動可能に保持する。ばね本体収容部16は、保持部材摺動部14の下に配置され、開放された上側からばね本体72、ばねの一端74、傾斜部44、及び、第一凸部46が挿入されている。第一凸部46が挿入されたばね本体72が軸方向D11においてばね本体収容部16と保持部材本体部41との間で圧縮されるので、ばね本体収容部16は、保持部材40に軸方向D11の第一付勢力F1を与える状態でばね本体72を収容する。
【0046】
次に、操作部材20の脱着操作について説明する。
図9〜11は、機器本体10に操作部材20が保持されている電子機器1の要部を示す断面図である。
図12〜14は、機器本体10から操作部材20が解放された第一の例の電子機器1の要部を示す断面図である。
図9,12は、電子機器1をばね70の他端76の位置で切断した水平断面図である。
図10,13は、電子機器1を保持部材40の位置で切断した垂直断面図である。
図11,14は、電子機器1をレバー部材50の位置で切断した垂直断面図である。
【0047】
図2,9〜11に示すように機器本体10のサブパネル12に保持されている操作部材20を取り外すためには、まず、解除操作部60のリリースボタン61を手で後方向D2へ押す操作をすることになる。リリースボタン61が押されると、解除操作部60の突出部62が後方向D2へ突出して傾斜部44に突き当たり、ばね本体72の軸方向D11の第一付勢力F1に抗して保持部材40が操作部材保持位置P1から解除位置P2に摺動する。これにより、開口24a,24aの周縁部から保持フック42,42が外れ、操作部材20の保持が解除される。すると、ばね端部76の捩り方向D21の第二付勢力F2が加えられているレバー部材50が退避位置P3から進出位置P4に摺動して操作部材20を前方向D1へ押す。これにより、保持フック42,42が開口24a,24aから抜け、操作部材20は、
図3,12〜14に示すように、側端部の一方22側が機器本体10に引っ掛かった状態で側端部の他方23側がサブパネル12から少し前方向D1へ離隔する。この状態から操作部材20を手で持って操作部材20のスリット32からサブパネル12の延出部31を引き抜くと、機器本体10から操作部材20を取り外すことができる。
【0048】
図1に示すように機器本体10から離脱している操作部材20を取り付けるためには、まず、操作部材20を手で持って操作部材20のスリット32にサブパネル12の延出部31を挿入することになる。
図3,12〜14に示すように側端部の一方22側が機器本体10に引っ掛かった状態となると、手で操作部材20をサブパネル12に向けて後方向D2へ押せばよい。すると、ばね端部76の捩り方向D21の第二付勢力F2に抗してレバー部材50が進出位置P4から退避位置P3に摺動し、保持フック42,42がばね本体72の軸方向D11の第一付勢力F1に抗して開口24a,24aの周縁部を乗り越えて開口24a,24aに挿入される。前記第一付勢力F1により、
図2,9〜11に示すように、保持フック42,42が開口24a,24aの周縁部を掛止し、操作部材20が機器本体10のサブパネル12に取り付けられる。
【0049】
上述した第一の例は、
図5,6に示すようにレバー部(レバー部材50)とフック部(保持部材40)に使用されるばね70を一体構成で構築した特徴を有し、作業性向上及びコストダウンが可能となる。また、ねじりコイルばね70は圧縮方向(軸方向D11)と捩り方向D21にそれぞれ付勢力を掛けられる構成であり、各方向D11,D21の付勢力を上記パラメータにより微調整可能である。従って、第一の例は、部材を増やさずに共通のばね70で両部材40,50を異なる方向D11,D21へ独立して付勢することが可能な有用な技術を提供することができる。
【0050】
(4)第二の例:
第一の例では保持部材40に軸方向D11の付勢力を加えレバー部材50に捩り方向D21の付勢力を加えたが、両部材40,50に加える付勢力を逆にしてもよい。
図15〜18は、電子機器1の第一の例を示している。この電子機器1は、側端引掛構造30、保持部材40、レバー部材(押し部材)50、解除操作部60、共通のばね70、を備える。第二の例は、レバー部(レバー部材50)にはコイルばね70の圧縮方向(軸方向D11)の付勢力、フック部(保持部材40)には捩り方向D21の付勢力を付与しうる構成にすることで、フック力と押し出し力のそれぞれを微調整可能にしたことを特徴としている。なお、ばね70については
図6も参照し、第一の例と同様の箇所については説明を省略する。第三の例も、同様である。
【0051】
保持部材40は、本体部41、保持フック(引掛部)42,42、傾斜部44、第一凸部46、を有している。ここで、
図16,17に示すように、本体部41の底面前側から下方へ延出した第一凸部46には、ばね端部76を掛止する凹部47が形成されている。
【0052】
第二の例のレバー部材(押し部材)50は、レバーフック52があるものの、スライダ54,54の代わりに足部55,55及び第二凸部56を有している。足部55,55は、本体部51の背面から後方向D2へ突出した後に上下方向D3,D4へ突出し、フック状に形成されている。
図15等に示すように、足部55,55の突出端は、ばね本体収容部16の背面部の貫通穴16a,16aに挿入されている。第二凸部56は、本体部51の背面から後方向D2へ突出し、略円柱状に形成されている。
図18等に示すように、第二凸部56は、ねじりコイルばね70のばね本体72の中空部73に対して後方向D2(軸方向D11)へ挿入され、ばね本体収容部16の背面部の貫通穴16bに挿入されている。レバー部材50に第二凸部56があることにより、コイルばね70の位置決めが容易である。
【0053】
ばね70は、ばね本体72の中心軸AX1を中心とする捩り方向D21の第一付勢力F1を保持部材40に加え、ばね本体72の軸方向D11の第二付勢力F2をレバー部材50に加える。第一付勢力F1は、解除位置P2から操作部材保持位置P1の方へ保持部材40を付勢する力である。第二付勢力F2は、操作部材20を取り外す前方向D1へレバー部材50を付勢する力である。ばね本体72は、軸方向D11において圧縮されることにより軸方向D11の外側への付勢力をレバー部材50に与える圧縮コイルばねとなる。ばね本体72の中空部73には、レバー部材の第二凸部56が挿入される。ねじりコイルばね70においてばね本体72の前端から突出した一端74は、他端76よりも短くされ、ばね本体72とともにばね本体収容部16に収容され、ばね本体収容部16に掛止される。ねじりコイルばね70においてばね本体72の後端から突出した他端76は、一端74よりも長くされ、保持部材40に捩り方向D21の付勢力を与える状態で保持部材40の下部にある凹部47に掛止されている。付勢方向においてばね本体72よりも短いばね端部76が保持部材40を付勢するので、本例は、ばね70を含めて保持部材40の移動方向(上下方向D3,D4)における保持部材40の長さが短くて済む。
【0054】
サブパネル12の背面に形成されたばね本体収容部16は、保持部材摺動部14の左に配置され、ばね本体72、及び、ばねの一端74が挿入されている。第二凸部56が挿入されたばね本体72が軸方向D11においてばね本体収容部16とレバー部材本体部51との間で圧縮されるので、ばね本体収容部16は、レバー部材50に軸方向D11の第一付勢力F1を与える状態でばね本体72を収容する。
【0055】
図15,16に示すようにサブパネル12に保持されている操作部材20を取り外すためには、まず、リリースボタン61を後方向D2へ押す操作をすることになる。リリースボタン61が押されると、解除操作部60の突出部62が後方向D2へ突出して傾斜部44に突き当たり、ばね端部76の捩り方向D21の第一付勢力F1に抗して保持部材40が操作部材保持位置P1から解除位置P2に摺動する。これにより、開口24a,24aの周縁部から保持フック42,42が外れ、操作部材20の保持が解除される。すると、ばね本体72の軸方向D11の第二付勢力F2が加えられているレバー部材50が退避位置P3から進出位置P4に摺動して操作部材20を前方向D1へ押す。これにより、保持フック42,42が開口24a,24aから抜け、操作部材20は、
図17,18に示すように、側端部の一方(22)側が機器本体10に引っ掛かった状態で側端部の他方(23)側がサブパネル12から少し前方向D1へ離隔する。この状態から操作部材20を手で持って側端引掛構造(30)を外すと、機器本体10から操作部材20を取り外すことができる。
【0056】
機器本体10から離脱している操作部材20を取り付けるためには、まず、操作部材20を手で持って側端部の一方(22)側を引っ掛けることになる。
図17,18に示すように側端部の一方(22)側が機器本体10に引っ掛かった状態となると、操作部材20をサブパネル12に向けて後方向D2へ押せばよい。すると、ばね本体72の軸方向D11の第二付勢力F2に抗してレバー部材50が進出位置P4から退避位置P3に摺動し、保持フック42,42がばね端部76の捩り方向D21の第一付勢力F1に抗して開口24a,24aの周縁部を乗り越えて開口24a,24aに挿入される。前記第一付勢力F1により、保持フック42,42が開口24a,24aの周縁部を掛止し、
図15,16に示すように、操作部材20がサブパネル12に取り付けられる。
【0057】
上述した第二の例も、ねじりコイルばね70は圧縮方向(軸方向D11)と捩り方向D21にそれぞれ付勢力を掛けられる構成であり、各方向D11,D21の付勢力を上記パラメータにより微調整可能である。従って、第二の例も、部材を増やさずに共通のばね70で両部材40,50を異なる方向D11,D21へ独立して付勢することが可能な有用な技術を提供することができる。
【0058】
(5)第三の例:
第一及び第二の例では保持部材40が上下方向D3,D4へ移動するようにされたが、保持部材の移動方向は上下方向に限定されない。
図19(a),(b)は、電子機器の第三の例を示している。この電子機器の保持部材摺動部14は、操作部材20を取り付けるための取付面(13)に沿って保持部材40を左右方向D5,D6へ摺動可能に保持する。保持部材40は、操作部材保持位置P1と解除位置P2とに移動可能である。保持部材40が左右方向D5,D6へ移動するので、電子機器1の高さ方向(上下方向D3,D4)における保持部材40の長さが短くて済み、該高さ方向において電子機器1を小型化することができる。
【0059】
保持部材40は、本体部41、保持フック(引掛部)42,42、第一凸部46、を有している。保持フック42は、本体部41の正面から前方向D1へ突出した後に右方向D6へ突出し、左右に2箇所設けられている。
図19(b)に示すように、保持フック42は、操作部材20の側端部の他方23側にある開口24aに挿入され、保持部材40が操作部材保持位置P1にある場合に開口24aの周縁部を引っ掛ける。第一凸部46は、本体部41の左側面から左方向D5へ突出し、略円柱状に形成されている。
図19(a)に示すように、第一凸部46は、ねじりコイルばねのばね本体72の中空部に対して左方向D5(軸方向D11)へ挿入されている。
【0060】
ばね70は、ばね本体72の軸方向D11の第一付勢力を保持部材40に加え、ばね本体72の中心軸AX1を中心とする捩り方向D21の第二付勢力をレバー部材50に加える。第一付勢力は、解除位置P2から操作部材保持位置P1の方へ保持部材40を付勢する力である。第二付勢力F2は、操作部材20を取り外す前方向D1へレバー部材50を付勢する力である。ばね70の一端74は、ばね本体72とともにばね本体収容部16に収容され、ばね本体収容部16に掛止される。他端76は、レバー部材50に捩り方向D21の付勢力を与える状態でレバー部材50の背面に掛止されている。
【0061】
第三の例の解除操作部60は、機器本体10に設けられた保持部材40の右側面とされている。この解除操作部60は、第一付勢力に抗して左方向D5へ押されることにより操作部材保持位置P1にある保持部材40を解除位置P2に移動させる。これにより、開口24a,24aの周縁部から保持フック42,42が外れ、操作部材20の保持が解除される。すると、第二付勢力が加えられているレバー部材50が退避位置から進出位置に摺動して操作部材20を前へ押す。これにより、保持フック42,42が開口24a,24aから抜け、操作部材20は、側端部の一方(22)側が機器本体10に引っ掛かった状態で側端部の他方(23)側がサブパネル12から少し前へ離隔する。従って、機器本体10から操作部材20を取り外すことができる。
【0062】
機器本体10から離脱している操作部材20を取り付けるためには、操作部材20を手で持って側端部の一方(22)側を引っ掛け、操作部材20をサブパネル12に向けて後へ押せばよい。すると、第二付勢力に抗してレバー部材50が進出位置から退避位置に摺動し、保持フック42,42が第一付勢力に抗して開口24a,24aの周縁部を乗り越えて開口24a,24aに挿入される。前記第一付勢力により、保持フック42,42が開口24a,24aの周縁部を掛止し、操作部材20がサブパネル12に取り付けられる。
【0063】
上述した第三の例は、解除操作部60の構造を簡素化することができ、部材を減らしてコストダウンを図ることができる有用な技術を提供することができる。
【0064】
(6)第四の例:
図20〜22を用いて第四の例を説明する。第四の例については、第一の例と異なる点を中心に説明する。第四の例では、ばね70の一端74は、
図20に例示するようにばね本体収容部16に収容されず、他端76がばね本体72から突出する方向とほぼ逆側へ突出している。ばね70の一端74は、
図20〜22に例示するように、U字状に曲がっている。
【0065】
第四の例では、解除操作部60は、既に説明した突出部62とともに突出部63を有する。突出部62,63はいずれも、操作部材20から機器本体10側(後方向D2)を向いた部位である。ばね70の一端74は、前記U字状に曲がった先端部にて、解除操作部60の突出部63と当接している。ここで言う当接とは、単に接触している場合やある程度の固定度合をもって係止(あるいは封止)されている場合等を含む。操作部材20やサブパネル12には、突出部63(および突出部62)を通過させるために必要な開口が設けられている。
【0066】
なお、ばね70の一端74は、U字状に曲がって折り返された形状ではなく、全体が直線状にばね本体72から突出するものであってもよい。ただし
図20〜22に例示したようにU字状に曲がっていた方が、解除操作部60に対する制振性(車両の振動による解除操作部60の振動を抑制する機能)が向上し、かつ、当該一端74がばね本体72から延出する方向におけるばね70全体のサイズをコンパクトにすることができる。
【0067】
ばね70は、一端74により、ばね本体72の中心軸AX1を中心とする捩り方向D21の第三付勢力F3を解除操作部60(突出部63)に加える。第三付勢力F3は、作用位置P6から待機位置P5の方へ解除操作部60を付勢する力である。つまり、解除操作部60は、リリースボタン(操作面)61が押されていない状況では第三付勢力F3により待機位置P5を保持し、リリースボタン61が押された場合に限り、第三付勢力F3に抗って後方向D2へ(待機位置P5から作用位置P6へ)移動する。このように、ばね70は、別々の部材40,50,60を別々の方向D3,D1へ付勢する。
【0068】
なお、捩り方向D21の第三付勢力F3も、線径、有効長、自由時角度、及び、荷重時角度の少なくとも一つを変更することにより調整することができる。これらの付勢力を調整するパラメータを変更することにより、最適な付勢力の調整が可能であり、設計の簡易化に繋がる。
【0069】
第四の例における、操作部材20の脱着操作について説明する。
リリースボタン61が後方向D2へ押されると、解除操作部60は、待機位置P5から作用位置P6へ移動する。
図22では、待機位置P5に在る突出部62,63を実線で例示し、作用位置P6に在る突出部62,63を2点鎖線で例示している。
図22では、突出部62,63は互いに離れて描かれているが、いずれも解除操作部60の一部であり、一緒に移動する。解除操作部60が作用位置P6へ移動する過程で、ばね70の一端74は突出部63によって後方向D2へ押される(
図22において2点鎖線で例示した一端74参照)。また、解除操作部60が作用位置P6へ移動する過程で、解除操作部60の突出部62も後方向D2へ移動して(突出して)傾斜部44に突き当たり、この結果、ばね本体72の軸方向D11の第一付勢力F1に抗して保持部材40が操作部材保持位置P1から解除位置P2に摺動する。これにより、開口24a,24aの周縁部から保持フック42,42が外れ、操作部材20の保持が解除される。なお
図22では、図の簡略化のため、保持部材40のうち傾斜部44の位置のみを例示している。
【0070】
操作部材20の保持が解除されると、ばね70の他端76(
図22において実線、2点鎖線それぞれで例示した他端76参照)の捩り方向D21の第二付勢力F2が加えられているレバー部材50が、退避位置P3(
図22において実線で例示したレバー部材50参照)から進出位置P4(
図22において2点鎖線で例示したレバー部材50参照)に摺動して操作部材20を前方向D1へ押す。これにより、保持フック42,42が開口24a,24aから抜け、操作部材20は、
図3等に示すように、側端部の一方22側が機器本体10に引っ掛かった状態で側端部の他方23側がサブパネル12から少し前方向D1へ離隔する。この状態から操作部材20を手で持って操作部材20のスリット32からサブパネル12の延出部31を引き抜くと、機器本体10から操作部材20を取り外すことができる。リリースボタン61を押していた手がリリースボタン61から離れると、解除操作部60は、ばね70の一端74による第三付勢力F3に従って、待機位置P5へ戻る。操作部材20を機器本体10に取り付ける操作は、第一の例と同じである。
【0071】
なお、第一の例や第二の例でも、解除操作部60は何らかの付勢手段(弾性部材)によって付勢されることで、後方向D2へ押されない限り待機位置P1を保持している。つまり、第一の例や第二の例では、解除操作部60を付勢するための部材を、ばね70とは別に設ける必要があった。一方、第四の例によれば、一つのばね70だけで、保持部材40、レバー部材(押し部材)50および解除操作部60のそれぞれを必要な方向へ付勢することができる。つまり第四の例によれば、部材のさらなる削減(解除操作部60を付勢するためにばね70とは別に必要であった部材の削減)により、電子機器1の製造コスト削減に貢献し、かつ、部品数減による組み立て作業の簡易化が実現される。
【0072】
(7)その他変形例:
上述した各部材は、様々な形状が考えられる。例えば、押し部材は、フック形状に限定されず、先端が折れ曲がっていない棒形状や筒形状等でもよい。また、押し部材は、直線的な動きで前方向D1へ進出する以外にも、例えば、サブパネル12の背面側等で所定の軸により軸支され当該軸を中心に回転可能とし、ばね70が生み出す付勢力を受けて回転することにより、先端を操作部材側に進出させて操作部材を押し出すとしてもよい。ねじりコイルばねにおいて捩り方向の付勢力を加える部位は、両端部に限定されず、ダブルトーション形のようにばね本体の途中から突出した部位でもよい。ばねは、圧縮コイルばね以外にも、引張コイルばねでもよい。保持部材の保持フック42の数は、一つでもよいし、3以上でもよい。押し部材のスライダ54の数も、一つでもよいし、3以上でもよい。
【0073】
(8)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、部材を増やさずに共通のばねで保持部材と押し部材とを異なる方向へ独立して付勢することが可能な電子機器等の技術を提供することができる。
また、本発明によると、共通のばねで保持部材と解除操作部と押し部材とを必要な方向へ独立して付勢することが可能な電子機器等の技術を提供することができる。
むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術等でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
【0074】
また、本発明は、前記実施例に限られない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・前記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材及び構成等を置換して適用すること
・前記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって前記実施例の中で開示した部材及び構成等と相互に置換可能な部材及び構成等に置換すること
・前記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が前記実施例の中で開示した部材及び構成等の代用として想定し得る部材及び構成等に置換すること
は、いずれも実施可能である。これらの置換した態様も、本発明に含まれる。