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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-225699(P2015-225699A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】放電ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01T 19/04 20060101AFI20151117BHJP
   H05H 1/24 20060101ALI20151117BHJP
   A61L 9/22 20060101ALI20151117BHJP
【FI】
   H01T19/04
   H05H1/24
   A61L9/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-107895(P2014-107895)
(22)【出願日】2014年5月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 哲也
(72)【発明者】
【氏名】川端 一吉
【テーマコード(参考)】
4C080
【Fターム(参考)】
4C080AA09
4C080BB02
4C080CC01
4C080KK02
4C080MM40
4C080QQ11
4C080QQ17
(57)【要約】
【課題】電圧供給部の出力端子に放電電極を簡易に接続できるようにする。
【解決手段】放電電極(70)に、出力端子(35)を差し込むための差込孔(83)と、それぞれが差込孔(83)の周縁から差込孔(83)の内側へ突出し、差込孔(83)へ進入した出力端子(35)を挟み込む複数の板ばね部(84,85,86)とを形成する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
突起状の出力端子(35)を有する電圧供給部(30)と、該出力端子(35)に接続される平板状の放電電極(70)と、該放電電極(70)に対向する対向電極(60)とを備えた放電ユニット(20)であって、
上記放電電極(70)には、
上記出力端子(35)を差し込むための差込孔(83)と、
それぞれが上記差込孔(83)の周縁から該差込孔(83)の内側へ突出し、該差込孔(83)へ進入した上記出力端子(35)を挟み込む複数の板ばね部(84,85,86)とが形成されている
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項2】
請求項1において、
上記差込孔(83)は、矩形状に形成され、
上記差込孔(83)の対辺(83a,83b)のそれぞれから少なくとも1つの上記板ばね部(84,85)が突出している
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項3】
請求項2において、
上記差込孔(83)の対辺(83a,83b)のそれぞれから複数の上記板ばね部(84,85)が突出し、
上記差込孔(83)の対辺(83a,83b)の一方から突出する第1の板ばね部(84)と他方から突出する第2の板ばね部(85)とが、上記差込孔(83)の対辺(83a,83b)に沿う方向に交互に配置されている
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項4】
請求項2または3において、
上記出力端子(35)は、舌状に形成され、
上記差込孔(83)は、上記板ばね部(84,85)が突出する対辺(83a,83b)が上記出力端子(35)の幅方向に沿うように形成されている
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項5】
請求項1において、
上記差込孔(83)は、円形または楕円形に形成され、
上記複数の板ばね部(86)は、上記差込孔(83)の周縁から該差込孔(83)の中心に向かって延びている
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、
上記電圧供給部(30)は、上記出力端子(35)を有する昇圧部(33)と、該昇圧部(33)が取り付けられる基板部材(31)とを備え、
上記出力端子(35)は、上記昇圧部(33)の本体部(33a)から上記基板部材(31)とは反対側へ突出している
ことを特徴とする放電ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電電極および対向電極を備える放電ユニットに関し、特に、放電電極の固定構造に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、放電電極および対向電極と、両電極間に電圧を印加するための電圧供給部とを備えた放電ユニットが知られている(例えば、特許文献1)。この放電ユニットでは、両電極間でストリーマ放電を行って活性種(例えば、ラジカル、オゾン、高速電子、励起分子等)を生成し、生成した活性種により空気中の被処理成分(有害物質、臭気物質等)を分解・除去することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−296916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、放電電極と対向電極との間に電圧を印加するためには、電圧供給部を両電極に接続する必要がある。ここで、例えば放電電極を電圧供給部の出力端子に接続するために、放電電極に貫通孔を形成すると共に出力端子にねじ穴を設けて、放電電極を出力端子にねじ止めすることが考えられる。しかし、当該ねじ止めを行う場合、ねじを締める作業にある程度の時間を要するため、放電ユニットの生産性が低くなってしまう。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電圧供給部の出力端子に放電電極を簡易に接続できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、突起状の出力端子(35)を有する電圧供給部(30)と、該出力端子(35)に接続される平板状の放電電極(70)と、該放電電極(70)に対向する対向電極(60)とを備えた放電ユニット(20)を対象とする。そして、第1の発明は、上記放電電極(70)には、上記出力端子(35)を差し込むための差込孔(83)と、それぞれが上記差込孔(83)の周縁から該差込孔(83)の内側へ突出し、該差込孔(83)へ進入した上記出力端子(35)を挟み込む複数の板ばね部(84,85,86)とが形成されていることを特徴とする。
【0007】
第1の発明では、電圧供給部(30)の出力端子(35)が放電電極(70)の差込孔(83)に差し込まれる。そして、差込孔(83)へ進入した出力端子(35)は、差込孔(83)の周縁から突出する複数の板ばね部(84,85,86)によって挟み込まれる。これにより、電圧供給部(30)の出力端子(35)に放電電極(70)が接続されると同時に固定される。つまり、電圧供給部(30)の出力端子(35)を放電電極(70)の差込孔(83)に差し込むだけの簡易な作業により、出力端子(35)に対する放電電極(70)の接続と固定が同時に行われる。なお、電圧供給部(30)によって放電電極(70)と対向電極(60)との間に電圧が印加され、両電極(60,70)間でストリーマ放電が生起される。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記差込孔(83)は、矩形状に形成され、上記差込孔(83)の対辺(83a,83b)のそれぞれから少なくとも1つの上記板ばね部(84,85)が突出していることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、矩形状の差込孔(83)の対辺(83a,83b)のそれぞれから突出した板ばね部(84,85)により電圧供給部(30)の出力端子(35)が挟み込まれる。
【0010】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記差込孔(83)の対辺(83a,83b)のそれぞれから複数の上記板ばね部(84,85)が突出し、上記差込孔(83)の対辺(83a,83b)の一方から突出する第1の板ばね部(84)と他方から突出する第2の板ばね部(85)とが、上記差込孔(83)の対辺(83a,83b)に沿う方向に交互に配置されていることを特徴とする。
【0011】
第3の発明では、差込孔(83)の対辺(83a,83b)に沿う方向に交互に配置された第1の板ばね部(84)および第2の板ばね部(85)により電圧供給部(30)の出力端子(35)が挟み込まれる。複数の板ばね部(84,85)によって出力端子(35)が挟み込まれるので、出力端子(35)に対して放電電極(70)がより強固に接続される。
【0012】
第4の発明は、上記第2または第3の発明において、上記出力端子(35)は、舌状に形成され、上記差込孔(83)は、上記板ばね部(84,85)が突出する対辺(83a,83b)が上記出力端子(35)の幅方向に沿うように形成されていることを特徴とする。
【0013】
第4の発明では、板ばね部(84,85)が突出する対辺(83a,83b)が、それぞれ舌状の出力端子(35)の表面または裏面に対向している。このため、出力端子(35)はその表面側および裏面側の両方から板ばね部(84,85)によって挟み込まれる。したがって、出力端子(35)に対して放電電極(70)がより強固に接続される。
【0014】
第5の発明は、上記第1の発明において、上記差込孔(83)は、円形または楕円形に形成され、上記複数の板ばね部(86)は、上記差込孔(83)の周縁から該差込孔(83)の中心に向かって延びていることを特徴とする。
【0015】
第5の発明では、円形または楕円形の差込孔(83)の周縁から延びる板ばね部(86)により電圧供給部(30)の出力端子(35)が挟み込まれる。
【0016】
第6の発明は、上記第1〜第5の発明のいずれか1つにおいて、上記電圧供給部(30)は、上記出力端子(35)を有する昇圧部(33)と、該昇圧部(33)が取り付けられる基板部材(31)とを備え、上記出力端子(35)は、上記昇圧部(33)の本体部(33a)から上記基板部材(31)とは反対側へ突出していることを特徴とする。
【0017】
第6の発明では、例えば、基板部材(31)に昇圧部(33)を上から取り付ける場合に、昇圧部(33)の出力端子(35)に放電電極(70)が上から取り付けられる。これにより、昇圧部(33)と放電電極(70)の取り付け方向を共通化でき、放電ユニット(20)の生産性が向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電圧供給部(30)の出力端子(35)を放電電極(70)の差込孔(83)に差し込むという簡易な作業により、出力端子(35)に放電電極(70)を接続すると同時に固定することができる。したがって、放電ユニット(20)の組立て時間を短縮して、その生産性を向上させることができる。
【0019】
また、上記第3の発明によれば、複数の板ばね部(84,85)によって出力端子(35)を挟み込むので、出力端子(35)に対して放電電極(70)をより強固に接続することができる。
【0020】
また、上記第4の発明によれば、舌状の出力端子(35)を、その表面側および裏面側の両方から板ばね部(84,85)が挟み込むことで、出力端子(35)に対して放電電極(70)をより強固に接続することができる。
【0021】
また、上記第6の発明によれば、放電ユニット(20)の生産において昇圧部(33)と放電電極(70)の取り付け方向を共通化することで、放電ユニット(20)の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施形態に係る空気調和装置の概略の構成図である。
図2図2は、実施形態に係る放電ユニットのケーシングの斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る放電ユニットの内部構造を示す斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る放電ユニットの内部構造を示す上面図である。
図5図5は、実施形態に係る放電処理部の斜視図である。
図6図6は、図5におけるY方向の矢視図である。
図7図7は、図5におけるX方向の矢視図である。
図8図8は、図6におけるA−A断面図である。
図9図9は、実施形態に係る対向電極の斜視図である。
図10図10は、実施形態に係る放電電極の平面図である。
図11図11は、放電電極の接続部の近傍を拡大して示す平面図である。
図12図12は、放電電極の連絡部および接続部と、電圧供給部の電源トランスの近傍を拡大した斜視図である。
図13図13は、図12におけるB−B断面図である。
図14図14は、実施形態の変形例1に係る放電電極の平面図である。
図15図15は、実施形態の変形例1に係る放電電極の接続部の近傍を拡大した平面図である。
図16図16は、実施形態の変形例1に係る放電電極の連絡部および接続部と、電圧供給部の電源トランスの近傍を拡大した斜視図である。
図17図17は、実施形態の変形例1に係る放電電極の接続部の近傍を拡大して示す斜視図である。
図18図18は、実施形態の変形例2に係る放電電極の接続部の近傍を拡大した平面図である。
図19図19は、実施形態の変形例3に係る放電電極の接続部の近傍を拡大した平面図である。
図20図20は、実施形態の変形例4に係る放電電極の接続部の近傍を拡大した平面図である。
図21図21は、その他の実施形態に係る接続ピンおよび接続部の近傍を拡大して示す断面図である。
図22図22は、その他の実施形態に係る接続ピンおよび接続部の近傍を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0024】
本発明に係る放電ユニット(20)は、空気調和装置(10)に搭載されている。空気調和装置(10)は、室内空間(S)の空気の温度を調節する。
【0025】
〈空気調和装置の構成〉
図1に示すように、空気調和装置(10)は、天井(C)の裏面に設置されている。空気調和装置(10)は、横長の箱形の空調用ケーシング(11)を備えている。空調用ケーシング(11)の長手方向の一方の側面には、内気ダクト(12)が接続されている。空調用ケーシング(11)の長手方向の他方の側面には、給気ダクト(13)が接続されている。空調用ケーシング(11)の内部には、空気通路(11a)が形成されている。内気ダクト(12)は、流入端が室内空間(S)に連通し、流出端が空気通路(11a)に連通している。給気ダクト(13)は、流入端が空気通路(11a)に連通し、流出端が室内空間(S)に連通している。
【0026】
空気通路(11a)には、空気流れの上流側(内気ダクト(12)側)から下流側(給気ダクト(13)側)に向かって順に、プレフィルタ(14)、放電ユニット(20)、触媒フィルタ(15)、熱交換器(16)、およびファン(17)が配置されている。プレフィルタ(14)は、空気中の比較的大きな塵埃を捕集する。放電ユニット(20)は、放電に伴い活性種を生成し、この活性種で空気中の有害成分や臭気成分を分解する。放電ユニット(20)の詳細は後述する。
【0027】
触媒フィルタ(15)は、例えばハニカム構造の基材の表面に触媒を担持させたものである。この触媒には、マンガン系の触媒や貴金属系の触媒が用いられる。触媒フィルタ(15)は、放電によって生成する活性種を更に活性化し、空気中の有害成分や臭気成分の分解を促進する。触媒フィルタ(15)には、空気中の有害成分や臭気成分を吸着する吸着剤(例えば活性炭)が担持されている。
【0028】
熱交換器(16)は、空気通路(11a)を流れる空気の加熱と冷却とを行う。具体的に、熱交換器(16)は、図示を省略した冷媒回路に接続されている。冷媒回路では、充填された冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。熱交換器(16)は、その内部を流れる低圧冷媒によって空気を冷却する蒸発器として機能する。また、熱交換器は、その内部を流れる高圧冷媒によって空気を加熱する凝縮器として機能する。ファン(17)は、空気通路(11a)の空気を搬送する。
【0029】
〈放電ユニットの構成〉
放電ユニット(20)は、ストリーマ放電式に構成されている。つまり、放電ユニット(20)は、ストリーマ放電を行うことで低温プラズマを生成し、これに伴い空気中で反応性の高い活性種(高速電子、イオン、ラジカル、オゾン等)を生成する。放電ユニット(20)は、ケーシング(21)と、該ケーシング(21)に収容される電圧供給部(30)および放電処理部(40)とを備えている。
【0030】
〔ケーシング〕
図2に示すように、ケーシング(21)は、横長の略直方体形状に形成されている。ケーシング(21)は、絶縁性の樹脂材料で構成される。ケーシング(21)は、下側ケース部(22)と、該下側ケース部(22)の上部に取り付けられる上側ケース部(23)とで構成されている。ケーシング(21)の内部には、該ケーシング(21)の長手方向(左右方向)の中間部に仕切部(24)が設けられる。仕切部(24)は、ケーシング(21)の内部を左右の2つの空間に仕切っている。これらの空間のうち右側の空間が、機器収容室(26)を構成し、左側の空間が通風路(27)を構成する。なお、仕切部(24)は、詳細は後述する第2支持壁部(51)、第2導電性支持部(93)、およびその周囲に形成される複数のリブ(図示せず)によって構成される。
【0031】
ケーシング(21)の前面の左側の略半分の部位には、2つの横長の流入口(28a,28b)が上下に並んで形成される。これらの流入口(28a,28b)のうち下側の流入口(28a)は、下側ケース部(22)の前面に形成され、上側の流入口(28b)は、上側ケース部(23)の前面下端部に形成される切り欠きによって構成されている。これらの流入口(28a,28b)は、ケーシング(21)の外部と通風路(27)とを連通させている。
【0032】
ケーシング(21)の後面の左側の略半分の部位には、2つの横長の流出口(29)が上下に並んで形成される。これらの流出口(29)のうち下側の流出口(図示省略)は、上側ケース部(23)の後面下端部に形成される切り欠きによって構成され、上側の流出口(29)は、上側ケース部の後面の上縁部に形成されている。これらの流出口(29)は、通風路(27)とケーシング(21)の外部とを連通させている。
【0033】
上側ケース部(23)の右側面の中央部には、ケーシング(21)の内部に向かって凹んだケース側凹部(23a)が形成されている。ケース側凹部(23a)の内部には、電圧供給部(30)のコネクタ(32)が配置される。
【0034】
〔電圧供給部〕
図3および図4に示すように、電圧供給部(30)は、機器収容室(26)に配置され、外部の電源から供給された電源電圧を放電処理部(40)へ供給するように構成される。電圧供給部(30)は、基板(31)と、上記コネクタ(32)と、電源トランス(33)と、アース接続部(34)(図4を参照)とを備えている。基板(31)は、機器収容室(26)の底部近傍に設置されている。基板(31)は、左右に横長の板状に形成され、機器収容室(26)の全域に亘るように配置されている。基板(31)は、本発明の基板部材を構成している。
【0035】
コネクタ(32)は、基板(31)上の右側に設置されている。コネクタ(32)は、上述したようにケース側凹部(23a)の内部に配置され、ケーシング(21)の外部に露出している。コネクタ(32)には、外部電源と電気的に繋がる配線が接続される。
【0036】
電源トランス(33)は、基板(31)上の左側に設置されている。電源トランス(33)は、箱状の本体部(33a)と差込ピン(35)とを有していて、コネクタ(32)を経由して外部から供給された電圧を昇圧するように構成されている。差込ピン(35)は、本体部(33a)の上面の左端部から上方へ突出する突起状の部分である。つまり、差込ピン(35)は、電源トランス(33)の本体部(33a)から基板(31)とは反対側へ突出している。差込ピン(35)は、前後に幅広な舌状に形成され、突端(上端)に向かうにつれてその幅が縮小されている。この差込ピン(35)は、放電電極(70)の接続部(82)に形成された差込孔(83)に差し込まれる。電源トランス(33)は、本発明の昇圧部を構成している。差込ピン(35)は、本発明の出力端子を構成している。
【0037】
電源トランス(33)には、差込ピン(35)の周囲を囲むトランス側周壁部(36)が形成されている。トランス側周壁部(36)は、横断面が矩形状の筒型に形成され、上側が開放されている。アース接続部(34)は、基板(31)上において、電源トランス(33)のトランス側周壁部(36)の後側(背面側)に設置されている。アース接続部(34)は、上方に突出する一対の金属製の爪部(34a)で構成されている。この一対の爪部(34a)の間に、対向電極(60)のアース接点部(65)が挟持される。また、アース接続部(34)およびアース接点部(65)の周囲には、アース側周壁部(54)が形成される(図4を参照)。
【0038】
〔放電処理部〕
図3および図4に示すように、放電処理部(40)は、ケーシング(21)の内部の左側に配置され、ストリーマ放電を生起するように構成される。図5図8にも示すように、放電処理部(40)は、ケーシング(21)の底部に設置される基台部(41)を有している。基台部(41)には、下側から上側に向かって順に、対向電極(60)、放電電極(70)、およびスタビライザ(90)が支持されている。
【0039】
基台部(41)は、絶縁性の樹脂材料から成り、放電電極(70)と対向電極(60)とを絶縁しながら支持している。放電電極(70)および対向電極(60)は、導電性の金属材料で構成される。放電電極(70)は、電圧供給部(30)と電気的に接続され、高電圧が印加される。対向電極(60)は、アース接続部(34)と電気的に接続され、接地状態となっている。電圧供給部(30)から放電電極(70)と対向電極(60)との間に電圧が印加されると、両電極(60,70)の間でストリーマ放電が行われる。スタビライザ(90)は、導電性の樹脂材料から成り、放電電極(70)と同電位になるとともに放電電極(70)の近傍で安定した電界を形成する。
【0040】
[基台部]
図5図8に示すように、基台部(41)は、その外形が左右方向(ケーシング(21))の長手方向に延びる横長形状に形成されている。基台部(41)は、左右方向に横長の枠状の基台部本体(42)を備えている。
【0041】
基台部本体(42)は、横断面が矩形状の枠型に形成されている。基台部本体(42)は、前側に形成される前側壁部(43)と、後側に形成される後側壁部(44)と、左側に形成される第1側壁部(45)と、右側に形成される第2側壁部(46)とが一体に連続して構成されている。
【0042】
第1側壁部(45)は、対向電極(60)の長手方向の一端(左端)を支持している。具体的に、第1側壁部(45)の上端部には、該第1側壁部(45)の外面から内面に亘って左右に延びる2つの溝(45a)が形成されている。各溝(45a)には、対向電極(60)の2つの突板部(62)がそれぞれ1つずつ内嵌している。
【0043】
第1側壁部(45)の上端の内縁には、各突板部(62)を上側から覆うように前後に延びる2つの上端壁部(45b)が形成される。また、第1側壁部(45)の上端の外縁には、各突板部(62)を外部に露出させるように前後に延びる2つの切欠部(45c)が形成される。各切欠部(45c)は、第1側壁部(45)の外縁側(すなわち、突板部(62)の突端側)に形成される。
【0044】
第2側壁部(46)は、対向電極(60)の長手方向の他端(右端)を支持している。具体的に、図8に示すように、第2側壁部(46)には、対向電極(60)の屈曲板部(63)が埋設されている。
【0045】
図5図8に示すように、基台部(41)は、第1底壁部(48)と第1支持壁部(49)とを有している。第1底壁部(48)は、基台部本体(42)の第1側壁部(45)の下端部から左方に延出している。第1支持壁部(49)は、第1底壁部(48)の左端部から上方に延出している。第1支持壁部(49)の上端の幅方向の中間部には、下方に凹んだ第1上側凹部(49a)が形成されている。第1上側凹部(49a)の底面の幅方向の中間部には、さらに下方に凹んだ第1下側凹部(49b)が形成されている。第1下側凹部(49b)の下端部の横断面は、放電電極(70)の長手方向内方に向かうにつれて前後の幅が徐々に狭くなっている。第1下側凹部(49b)には、放電電極(70)の延出部(73)が内嵌している。
【0046】
基台部(41)は、第2底壁部(50)と第2支持壁部(51)とを有している。第2底壁部(50)は、基台部本体(42)の第2側壁部(46)の下部から右方に延出している。第2支持壁部(51)は、第2底壁部(50)の左右方向の中間部から上方に延出している。第2支持壁部(51)の上端の幅方向の中間部には、下方に凹んだ第2上側凹部(51a)が形成されている。第2上側凹部(51a)の底面の幅方向の中間部には、さらに下方にへ凹んだ第2下側凹部(51b)が形成されている。第2下側凹部(51b)の下端部の横断面は、放電電極(70)の長手方向内方へ向かうにつれて前後の幅が徐々に狭くなっている。第2下側凹部(51b)には、放電電極(70)の第1幅広部(76)が内嵌している。
【0047】
第1下側凹部(49b)の底面と第2下側凹部(51b)の底面の高さは概ね等しくなっている。第2下側凹部(51b)の底面は、幅方向(前後方向)に延びて放電電極(70)の第1幅広部(76)を挟持するための下側幅広面(51c)を構成している。
【0048】
基台部(41)は、第1突出板(52)と、第2突出板(53)と、上述したアース側周壁部(54)とを有している。第1突出板(52)は、基台部本体(42)の第2側壁部(46)と第2支持壁部(51)の間に配置され、第2底壁部(50)から上方に突出している。第1突出板(52)は、第2底壁部(50)の前端から後端に亘って前後に延びている。第2突出板(53)は、第2底壁部(50)の右端部から上方に突出している。第2突出板(53)は、第2底壁部(50)の前端から後端に亘って前後方向に延びている。
【0049】
図5に示すように、アース側周壁部(54)は、第2突出板(53)の右面の後部に連続している。アース側周壁部(54)は、左側が開放された横断面Uの字状(コの字状)に形成され、その左側の一対の端部が第2突出板(53)に接続している。これにより、アース接続部(34)およびアース接点部(65)は、第2突出板(53)およびアース側周壁部(54)に囲まれている。
【0050】
[対向電極]
対向電極(60)は、基台部本体(42)の長手方向に沿って延び、該基台部本体(42)に支持されている。図9に示すように、対向電極(60)は、電極本体を構成する対向部(61)と、対向部(61)の左端から突出する上記2つの突板部(62)と、対向部(61)から下方に屈曲した上記屈曲板部(63)とを有している。対向部(61)は、基台部本体(42)に囲まれる矩形板状に形成される。各突板部(62)は、第1側壁部(45)の各溝(45a)に内嵌している。
【0051】
屈曲板部(63)の中央部には、円形穴(63a)が形成されている。図8に示すように、屈曲板部(63)が第2側壁部(46)にモールドされた状態では、円形穴(63a)の内部に第2側壁部(46)を構成する樹脂が充填される。
【0052】
図9に示すように、対向電極(60)は、アース連絡板(64)を有している。アース連絡板(64)は、ケーシング(21)の後面に沿って延びる平板状に形成される。アース連絡板(64)の一端(左端)は、屈曲板部(63)の右後側の角部に連結している。アース連絡板(64)の他端には、矩形穴(64a)が形成されている。なお、矩形穴(64a)に代えて円形状の穴を用いてもよい。アース連絡板(64)では、矩形穴(64a)の右側の端部が、上述したアース接点部(65)を構成する。このアース接点部(65)が、一対の爪部(34a)に挟持されることで、アース接点部(65)がアース接続部(34)に接続され、対向電極(60)が接地状態となる(図4を参照)。
【0053】
[放電電極]
図5に示すように、放電電極(70)は、基台部(41)の長手方向に沿って延び、該基台部(41)の第1支持壁部(49)と第2支持壁部(51)とによって支持されている。放電電極(70)は、全域に亘って厚みが均一となる薄板状(平板状)に形成される。図5図8図10に示すように、放電電極(70)は、左右に延びる細長い矩形状の支持部(71)と、該支持部(71)の前後の側面にそれぞれ支持される複数の放電針(72)とを有している。支持部(71)は、対向部(61)の上方に位置し、該対向部(61)の幅方向(前後方向)の中間部に対向している。
【0054】
本実施形態に係る複数の放電針(72)は、支持部(71)の長手方向に等間隔置きに配列されている。複数の放電針(72)は、支持部(71)の前側面から前方に突出する10本の放電針(72a)と、支持部(71)の後側面から後方に突出する10本の放電針(72b)とで構成されている。各放電針(72)は、通風路(27)を流れる空気流れに沿って延びている。なお、放電針(72a,72b)の本数は単なる例示であり、如何なる本数であってもよい。また、放電針(72)を支持部(71)の幅方向の一方の側面のみに設けてもよい。
【0055】
本実施形態の放電電極(70)では、前側の各放電針(72a)と後側の各放電針(72b)とが前後方向において同軸上に位置している。各放電針(72)は、前後に亘って縦断面が同一形状となる棒状ないし線状に形成されている。前側の各放電針(72a)は互いに平行に配列され、後側の各放電針(72b)も互いに平行に配列されている。各放電針(72)は、対向部(61)と実質的に平行に配置されている。
【0056】
放電電極(70)には、支持部(71)の一端(左端)から前後方向に張り出した延出部(73)が形成されている。延出部(73)の平面形状は、突端側が幅広となる台形状に形成されている。延出部(73)は、第1下側凹部(49b)の下端部に内嵌している。つまり、第1下側凹部(49b)は、延出部(73)の外形に沿った形状をしている。
【0057】
放電電極(70)の他端側(右端側)には、電圧供給部(30)の差込ピン(35)に接続される接続部(82)と、支持部(71)と接続部(82)との間に連続して形成される連絡部(80)とが形成されている。
【0058】
連絡部(80)には、支持部(71)側から接続部(82)側に向かって順に、第1幅広部(76)、第1および第2細長部(77,78)、第2幅広部(79)、および連結部(81)が形成されている。第1幅広部(76)は、支持部(71)の他端(右端)から前後方向の両側に延びている。第1幅広部(76)は、第2下側凹部(51b)の下側幅広面(51c)に設置される。第1幅広部(76)の平面形状は、突端側が幅広となる台形状に形成されている。第1幅広部(76)は、第2下側凹部(51b)の下端部に内嵌している。つまり、第2下側凹部(51b)は、第1幅広部(76)の外形に沿った形状をしている。
【0059】
第1幅広部(76)の両端には、第1細長部(77)の一端と、第2細長部(78)の一端とがそれぞれ接続している。第2幅広部(79)は、第1細長部(77)の他端と第2細長部(78)の他端とに亘るように前後方向に延びている。これにより、連絡部(80)では、第1幅広部(76)と第2幅広部(79)と2つの細長部(77,78)との間に、前後に延びる細長の開口(76b)が形成される。
【0060】
連結部(81)は、第2幅広部(79)の長手方向の中間部から右側に突出して形成される。接続部(82)は、矩形板状に形成され、連結部(81)の右前の角部に連続している。接続部(82)には、前後に長い矩形状の差込孔(83)が形成されている。差込孔(83)の前後方向長さD1は、上述した電源トランス(33)の差込ピン(35)の幅D2よりも長い(D1>D2)。差込孔(83)には、上述した電源トランス(33)の差込ピン(35)が差し込まれる。
【0061】
差込孔(83)の周縁における対向する長辺、すなわち左辺(83a)(対辺)および右辺(83b)(対辺)には、それぞれ複数の板ばね部(84,85)が差込孔(83)の内側へ突出するように形成されている。具体的に、左辺(83a)には、前後に等間隔に並ぶように4つの左側板ばね部(84)が右方に突出するように形成されている。また、右辺(83b)には、前後に等間隔に並ぶように3つの右側板ばね部(85)が左方に突出するように形成されている。左側板ばね部(84)は第1の板ばね部を構成し、右側板ばね部(85)は第2の板ばね部を構成している。なお、各板ばね部(84,85)の数は上記のものに限られない。
【0062】
差込孔(83)の左辺(83a)および右辺(83b)は、前後方向に沿うように形成されている。つまり、差込孔(83)の左辺(83a)および右辺(83b)は、舌状に形成された差込ピン(35)の幅方向(すなわち、差込ピン(35)の突出方向および厚さ方向と直交する方向)に沿うように形成されている。
【0063】
左側板ばね部(84)と右側板ばね部(85)とは、左辺(83a)および右辺(83b)に沿う方向(前後方向)に交互に等間隔に配置されている。図12に示すように、隣り合う右側板ばね部(85)同士(または、隣り合う左側板ばね部(84)同士)の間隔D3(前後方向距離)は、差込ピン(35)の幅D2よりも短い(D3<D2)。左側板ばね部(84)の突端(右端)は、差込孔(83)の左右中央(図10および図11に中心線C1で示す)よりも右側に位置し、右側板ばね部(85)の突端(左端)は、差込孔(83)の左右中央よりも左側に位置している。
【0064】
なお、図10に示す状態は、電源トランス(33)の差込ピン(35)が接続部(82)の差込孔(83)に差し込まれる前の状態である。
【0065】
[スタビライザ]
図5図8に示すように、スタビライザ(90)は、放電電極(70)の上方に配置される。スタビライザ(90)は、放電電極(70)と同電位となる導電性部材を構成している。スタビライザ(90)は、放電電極(70)の放電針(72)の先端から対向電極(60)へ進展するストリーマ放電を安定させるための電界を形成する。
【0066】
スタビライザ(90)は、縦断面視において下側が開放するU字状(コの字状)に形成されている。具体的に、スタビライザ(90)は、導電性中間部(91)と、第1導電性支持部(92)と、第2導電性支持部(93)(導電性支持部)とを有している。
【0067】
導電性中間部(91)は、放電電極(70)の支持部(71)を挟んで対向部(61)と対向する平板状に形成される。つまり、導電性中間部(91)は、支持部(71)および放電針(72)と平行に配置される。導電性中間部(91)は、前側の放電針(72a)の先端、および後側の放電針(72b)の先端を覆うように幅広に形成される。
【0068】
第1導電性支持部(92)は、導電性中間部(91)の長手方向の一端(左端)の下部に連続し、下方へ延出する板状に形成されている。第1導電性支持部(92)は、導電性中間部(91)に連続する板状の第1上側板部(92a)と、該第1上側板部(92a)の下面の幅方向の中間部から下方に突出する第1凸板部(92b)とで構成される。第1導電性支持部(92)は、第1上側板部(92a)が第1支持壁部(49)の第1上側凹部(49a)に嵌合し、第1凸板部(92b)が第1支持壁部(49)の第1下側凹部(49b)に嵌合するように構成される。
【0069】
第2導電性支持部(93)は、導電性中間部(91)の長手方向の他端(右端)の下部に連続し、下方へ延出する板状に形成されている。第2導電性支持部(93)は、導電性中間部(91)に連続する板状の第2上側板部(93a)と、該第2上側板部(93a)の下面の幅方向の中間部から下方に突出する第2凸板部(93b)とで構成される。第2導電性支持部(93)は、第2上側板部(93a)が第2支持壁部(51)の第2上側凹部(51a)に嵌合し、第2凸板部(93b)が第2支持壁部(51)の第2下側凹部(51b)に嵌合するように構成される。第2導電性支持部(93)の第2凸板部(93b)の下面は、幅方向(前後方向)に延びて放電電極(70)の第1幅広部(76)を挟持するための上側幅広面(93c)を構成している。
【0070】
放電電極(70)の第1幅広部(76)は、第2支持壁部(51)の下側幅広面(51c)と第2導電性支持部(93)の上側幅広面(93c)との間に挟持される。
【0071】
放電ユニット(20)では、第2支持壁部(51)と、第2導電性支持部(93)と、その周囲に形成されるケーシング(21)のリブ(図示省略)によって上述した仕切部(24)が構成されている(図5を参照)。
【0072】
−運転動作−
空気調和装置(10)の運転動作について説明する。図1に示す空気調和装置(10)は、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行う。空気調和装置(10)のファン(17)が運転されると、室内空間(S)の空気が、内気ダクト(12)を介して空気通路(11a)へ吸引される。この空気は、プレフィルタ(14)を通過する。プレフィルタ(14)では、空気中の比較的大きな塵埃が捕集される。
【0073】
プレフィルタ(14)を通過した空気は、放電ユニット(20)を通過する(図2を参照)。具体的に、この空気は、ケーシング(21)の流入口(28a,28b)より通風路(27)へ流入する。放電ユニット(20)では、電圧供給部(30)の電源トランス(33)から放電電極(70)へ高電圧が印加される。この結果、放電電極(70)の放電針(72)の先端から対向電極(60)の対向部(61)に向かってストリーマ放電が進展する。また、高電圧は、放電電極(70)と接続するスタビライザ(90)にも印加される。これにより、放電針(72)から対向部(61)へ向かうストリーマ放電が安定する。
【0074】
放電処理部(40)でストリーマ放電が行われると、これに伴い空気中で活性種が生成される。この結果、空気中の有害成分や臭気成分が活性種により酸化・分解され、空気が浄化される。通風路(27)の空気は、活性種とともに流出口(29)からケーシング(21)の外部へ流出し、触媒フィルタ(15)を通過する。触媒フィルタ(15)では、空気中の臭気成分等が吸着される。吸着された臭気成分は、活性種によって分解されることで、吸着剤が再生される。
【0075】
このようにして浄化された空気は、熱交換器(16)で加熱又は冷却された後、給気ダクト(13)を介して室内空間(S)へ供給される。これにより、室内空間(S)の暖房や冷房が行われるとともに、室内空気の清浄化が行われる。
【0076】
−放電電極の電圧供給部への接続−
次いで、放電電極(70)の電圧供給部(30)に対する電気的および機械的な接続について説明する。
【0077】
放電電極(70)を電圧供給部(30)に接続する際には、まず、電源トランス(33)の差込ピン(35)の上方に放電電極(70)の差込孔(83)が位置するように、放電処理部(40)を配置する。その状態から、差込孔(83)に差込ピン(35)が差し込まれるように、放電処理部(40)を下側ケース部(22)の底部に向かって下方へ移動させる。この結果、差込ピン(35)が差込孔(83)へ進入すると共に、差込ピン(35)を挟んで両側に位置する各板ばね部(84,85)が上方へ湾曲し、湾曲した板ばね部(84,85)の間に差込ピン(35)が挟み込まれる(図12および図13を参照)。
【0078】
これにより、放電電極(70)が電圧供給部(30)に対して電気的および機械的に接続される。このように、電圧供給部(30)の差込ピン(35)を放電電極(70)の差込孔(83)に差し込むという簡易な作業により、差込ピン(35)に対する放電電極(70)の接続と固定を同時に行うことができる。
【0079】
なお、放電電極(70)を電圧供給部(30)に接続する際に、放電処理部(40)を下側ケース部(22)の底部に向かって下方へ移動させながら、対向電極(60)のアース接点部(65)をアース接続部(34)の一対の爪部(34a)に挟持させる(図4を参照)。これにより、放電処理部(40)を下側ケース部(22)の内部にセットするだけで、放電電極(70)と電圧供給部(30)の接続と、対向電極(60)の接地とを同時に行うことができる。
【0080】
−実施形態の効果−
本実施形態の放電ユニット(20)では、電圧供給部(30)の差込ピン(35)を板ばね部(84,85)により挟み込むことで放電電極(70)が電圧供給部(30)に接続される。このため、電圧供給部(30)の差込ピン(35)を放電電極(70)の差込孔(83)に差し込むという簡易な作業により、差込ピン(35)に放電電極(70)を接続すると同時に固定することができる。したがって、放電ユニット(20)の組立て時間を短縮して、その生産性を向上させることができる。
【0081】
また、差込孔(83)の前後方向長さD1が差込ピン(35)の幅D2よりも長いので、差込孔(83)と差込ピン(35)の中心位置が前後方向に多少ずれていても、差込孔(83)に差込ピン(35)を差し込んで、該差込ピン(35)を板ばね部(84,85)で挟み込んで固定することができる。
【0082】
また、左側板ばね部(84)の突端は、差込孔(83)の左右中央よりも右側に位置し、右側板ばね部(85)の突端は、差込孔(83)の左右中央よりも左側に位置している。このため、差込孔(83)と差込ピン(35)の中心位置が左右方向に多少ずれていても、差込孔(83)に差込ピン(35)を差し込んで、該差込ピン(35)を板ばね部(84,85)で挟み込んで固定することができる。さらに、例えば各板ばね部(84,85)の突端が差込孔(83)の左右中央に位置している場合に比べて、板ばね部(84,85)と差込ピン(35)との接触面積が大きくなるので、差込ピン(35)に対して放電電極(70)を強固に接続することができる。
【0083】
また、隣り合う右側板ばね部(85)同士の間隔D3が差込ピン(35)の幅D2よりも小さいので、それぞれ少なくとも1つ以上の右側板ばね部(85)および左側板ばね部(84)(本実施形態では、2つの右側板ばね部(85)および2つの左側板ばね部(84))によって差込ピン(35)が挟み込まれる。このため、複数の板ばね部(84,85)によって差込ピン(35)が挟み込まれて、差込ピン(35)に対して放電電極(70)を強固に接続することができる。また、放電ユニット(20)ごとに差込ピン(35)と接続部(82)との相対的な位置が多少異なっていても、差込ピン(35)を板ばね部(84,85)で確実に挟み込むことができ、接続不良や固定不良を抑えることができる。
【0084】
また、差込孔(83)の左辺(83a)および右辺(83b)は、舌状に形成された差込ピン(35)の幅方向に沿うように形成されている。そして、左辺(83a)からは左側板ばね部(84)が右方へ突出し、右辺(83b)からは右側板ばね部(85)が左方に突出している。このため、舌状の差込ピン(35)は、その左面側(表面側)および右面側(裏面側)の両方から板ばね部(84,85)により挟み込まれる。したがって、差込ピン(35)に対して放電電極(70)を強固に接続することができる。
【0085】
また、電源トランス(33)と放電電極(70)とは、双方とも上側から組み付けられる。このため、放電ユニット(20)の生産性を向上させることができる。
【0086】
また、放電処理部(40)を上側から下側ケース部(22)の内部にセットするだけで、放電電極(70)と電圧供給部(30)の接続と、対向電極(60)の接地とを同時に行うことができる。このため、放電ユニット(20)の生産性を向上させることができる。
【0087】
−実施形態の変形例1−
本発明の実施形態の変形例1について説明する。本変形例では、放電電極(70)の差込孔(83)の形状が上記実施形態のものと異なっている。
【0088】
図14は、本変形例に係る放電電極(70)の平面図である。同図に示すように、差込孔(83)は円形に形成されている。差込孔(83)の周縁には、複数の板ばね部(86)が差込孔(83)の中心に向かって延びるように形成されている。隣り合う板ばね部(86)同士の間隔D4は、差込ピン(35)の幅D2よりも短い(D4<D2)(図15および図17を参照)。
【0089】
放電電極(70)の電圧供給部(30)への接続方法は、上記実施形態のものと同様である。差込孔(83)に差込ピン(35)が差し込まれると、図16および図17に示すように、各板ばね部(86)が上方へ湾曲し、湾曲した板ばね部(86)の間に差込ピン(35)が挟み込まれる。ここで、隣り合う板ばね部(86)同士の間隔D4が差込ピン(35)の幅D2よりも短いので、差込ピン(35)の左側面および右側面のそれぞれに複数の板ばね部(86)が当接する。このため、差込ピン(35)に対して放電電極(70)を強固に接続することができる。
【0090】
−実施形態の変形例2−
本発明の実施形態の変形例2について説明する。本変形例では、板ばね部(84,85)の数および形状が上記実施形態のものと異なっている。
【0091】
図18は、本変形例に係る放電電極(70)の接続部(82)の近傍を拡大した平面図である。同図に示すように、差込孔(83)は前後方向に長い矩形状に形成されている。そして、差込孔(83)の周縁における対向する長辺、すなわち左辺(83a)および右辺(83b)には、それぞれ1つの板ばね部(84,85)が差込孔(83)の内側へ突出するように形成されている。具体的に、左辺(83a)には、1つの幅広の左側板ばね部(84)が右方に突出するように形成されている。また、右辺(83b)には、1つの幅広の右側板ばね部(85)が左方に突出するように形成されている。左側板ばね部(84)の突端と右側板ばね部(85)の突端との間隔は、差込ピン(35)の厚さよりも狭い。
【0092】
−実施形態の変形例3−
本発明の実施形態の変形例3について説明する。本変形例では、板ばね部(84,85)の配置が上記実施形態のものと異なっている。
【0093】
図19は、本変形例に係る放電電極(70)の接続部(82)の近傍を拡大した平面図である。同図に示すように、差込孔(83)は前後方向に長い矩形状に形成されている。そして、差込孔(83)の周縁における対向する長辺、すなわち左辺(83a)および右辺(83b)には、それぞれ複数の板ばね部(84,85)が差込孔(83)の内側へ突出するように形成されている。具体的に、左辺(83a)には、前後に等間隔に並ぶように5つの左側板ばね部(84)が右方に突出するように形成されている。また、右辺(83b)には、前後に等間隔に並ぶように5つの右側板ばね部(85)が左方に突出するように形成されている。なお、各板ばね部(84,85)の数は単なる例示であって、その他任意のものであってもよい。
【0094】
左側板ばね部(84)と右側板ばね部(85)とは、互いに向き合っている。向かい合う左側板ばね部(84)の突端と右側板ばね部(85)の突端との間隔は、差込ピン(35)の厚さよりも狭い。また、隣り合う右側板ばね部(85)同士(または、隣り合う左側板ばね部(84)同士)の間隔D5(前後方向距離)は、差込ピン(35)の幅D2よりも小さい(D5<D2)。これにより、放電ユニット(20)ごとに差込ピン(35)と接続部(82)との相対的な位置が多少異なっていても、差込ピン(35)を板ばね部(84,85)で確実に挟み込むことができ、接続不良や固定不良を抑えることができる。
【0095】
−実施形態の変形例4−
本発明の実施形態の変形例4について説明する。本変形例では、放電電極(70)の差込孔(83)の形状が上記実施形態のものと異なっている。
【0096】
図20は、本変形例に係る放電電極(70)の接続部(82)の近傍を拡大した平面図である。同図に示すように、差込孔(83)は前後方向に長い楕円形に形成されている。差込孔(83)の周縁には、複数の板ばね部(86)が差込孔(83)の中心に向かって延びるように形成されている。
【0097】
隣り合う板ばね部(86)同士の間隔D6は、差込ピン(35)の幅D2よりも短い(D6<D2)。このため、放電ユニット(20)ごとに差込ピン(35)と接続部(82)との相対的な位置が多少異なっていても、差込ピン(35)を板ばね部(86)で確実に挟み込むことができ、接続不良や固定不良を抑えることができる。
【0098】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0099】
図21に示すように、差込ピン(35)の左面(表面)および右面(裏面)に、この差込ピン(35)の幅方向(前後方向)に延びる複数の直線状の溝(35a)を上下に並べて形成してもよい。これらの溝(35a)は、差込ピン(35)の幅方向および長さ方向(上下方向)の全長にわたって形成されていることが好ましい。これにより、差込孔(83)に差込ピン(35)を差し込んだときに、湾曲した板ばね部(84,85,86)の突端が当該溝(35a)に引っ掛かるので、差込ピン(35)に対して放電電極(70)をより強固に接続することができる。なお、図22に示すように、差込ピン(35)の幅方向の両端に、該幅方向の内方に延びる楔形の切り欠き(35b)を形成することによっても同様の作用効果を得ることができる。
【0100】
また、差込ピン(35)の左面および右面に粗面加工を施してもよい。これにより、板ばね部(84,85,86)と差込ピン(35)との間の摩擦を大きくして、差込ピン(35)に対して放電電極(70)をより強固に接続することができる。
【0101】
また、上記実施形態のアース側周壁部(54)(図5を参照)の内部に絶縁性の樹脂をモールド成形してもよいし、上記実施形態のトランス側周壁部(36)の内部に絶縁性の樹脂をモールド成型してもよい。これにより、各接続点からの漏れ電流を防止でき、放電電極(70)と対向電極(60)との間の電位差を確実に確保できる。
【0102】
上述した実施形態の空気調和装置(10)は、天井(C)裏に設置されるものである。しかし、例えば壁掛式、天井埋込式、天井吊式等の他の方式の空気調和装置に本発明に係る放電ユニット(20)を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0103】
以上説明したように、本発明は、放電電極および対向電極を備える放電ユニットについて有用である。
【符号の説明】
【0104】
20 放電ユニット
30 電圧供給部
31 基板(基板部材)
33 電源トランス(昇圧部)
33a 本体部
35 差込ピン(出力端子)
60 対向電極
70 放電電極
83 差込孔
83a 左辺(対辺)
83b 右辺(対辺)
84 左側板ばね部(第1の板ばね部)
85 右側板ばね部(第2の板ばね部)
86 板ばね部
図1
図2
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図22