特開2015-225712(P2015-225712A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-225712電子機器の防水接続器具及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-225712(P2015-225712A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】電子機器の防水接続器具及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20151117BHJP
【FI】
   H01R13/52 301H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-108087(P2014-108087)
(22)【出願日】2014年5月26日
(71)【出願人】
【識別番号】504172452
【氏名又は名称】株式会社エクセル電子
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【弁理士】
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】弓立 伸也
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE11
5E087FF02
5E087GG02
5E087JJ01
5E087LL04
5E087LL12
5E087MM04
5E087QQ01
5E087RR04
5E087RR12
(57)【要約】
【課題】外装体と内装される支持部の間から奥側に水が浸入することを高い耐久性で確実に防止することができると共に、長さを短くして小型化することが可能である電子機器の防水接続器具を提供する。
【解決手段】略筒状の外装体と、外装体の奥側に壁状に内装される支持部12と、支持部12で支持されて外装体内に導入されているコンタクト端子13と、外装体と支持部12との間の所定位置に設けられ、外装体と支持部12との間を封止する周状の封止部を備える電子機器の防水接続器具10であり、弾性素材の封止部を支持部12の外周面123の一部から外側への突出するように設け、この突出部分を圧入するようにして封止部を外装体の内面に周状に圧接する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略筒状の外装体と、
前記外装体の奥側に壁状に内装される支持部と、
前記支持部で支持されて前記外装体内に導入されているコンタクト端子と、
前記外装体と前記支持部とが近接する位置で前記外装体と前記支持部との間に設けられ、前記外装体と前記支持部との間を封止する周状の封止部と
を備えることを特徴とする電子機器の防水接続器具。
【請求項2】
前記封止部が弾性素材で形成されて前記支持部に設けられており、
前記封止部を前記外装体の内面に周状に圧接するようにして前記支持部が前記外装体内に圧入されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器の防水接続器具。
【請求項3】
前記支持部の外周面の一部から外側への突出部分を圧入して前記封止部が設けられていることを特徴とする請求項2記載の電子機器の防水接続器具。
【請求項4】
前記封止部がオーリングであり、前記オーリングが前記支持部の定置可能な段差箇所に嵌め込まれていることを特徴とする請求項2又は3記載の電子機器の防水接続器具。
【請求項5】
前記封止部が前記支持部と一体化している弾性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項2又は3記載の電子機器の防水接続器具。
【請求項6】
前記外装体が金属製であることを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の電子機器の防水接続器具。
【請求項7】
前記封止部が、前記支持部の前面側に設けられ、前記外装体の段差部に周状に接着されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器の防水接続器具。
【請求項8】
前記封止部が、前記支持部の前面側に一方の面を、前記外装体の段差部に他方の面を接着される防水両面テープであることを特徴とする請求項7記載の電子機器の防水接続器具。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかに記載の電子機器の防水接続器具が筐体に内装されていることを特徴とする電子機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば多機能携帯電話機、多機能携帯情報端末、携帯用音楽プレーヤー、電子書籍リーダー、音響機器など各種電子機器の電気的な接続に用いられる接続器具に係り、特に防水機能を有する電子機器の防水接続器具及びその防水接続器具を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防水機能を有する電子機器の防水接続器具として、樹脂製で略筒状のケースの奥側寄りの位置に、ケースの内側を閉塞するように支持部が壁状に設けられ、支持部を貫通するようにしてケース内にコンタクト端子が導入されると共に、ケースの奥部の周壁と支持部とで形成される空間に充填材が充填して設けられ、電子機器の筐体に内装される防水コネクタがある(特許文献1参照)。この防水コネクタは、ケースの奥部の充填材により、ケース内に浸入した水がケースと支持部との間から奥側に設置される回路基板に浸入することを防止可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−195125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子機器に内装されるコネクタ等の接続器具には、挿入されるプラグ等が強くこじられたり、こじられる力が何度も付加されたりして、ケースを部分的に或いは全体的に膨らませる力が断続的に加えられる。しかし、上記防水コネクタのように、ケース奥部の空間でケース内面と固着するように充填材を設けて防水する構造では、この断続的に加わる力で、ケース内面から充填材が剥離してケースと充填材との間に隙間が生ずることがある。このような隙間が生ずると奥側への水の浸入を防止することが困難となり、防水性が損なわれてしまう。
【0005】
また、ケースの奥部の周壁と支持部とで形成される空間に充填材を設ける構造では、充填材を充填する空間を確保するため、その長さだけ防水コネクタの長さを長くする必要があり、小型化を阻害する要因ともなる。特に、多機能携帯電話機、多機能携帯情報端末等の小型の電子機器では、コネクタ等の内装される接続器具の小型化が強く求められており、小型化を可能にする構造の接続器具が切望されている。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであり、外装体と内装される支持部の間から奥側に水が浸入することを高い耐久性で確実に防止することができると共に、長さを短くして小型化することが可能である電子機器の防水接続器具及びその防水接続器具を備える電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子機器の防水接続器具は、略筒状の外装体と、前記外装体の奥側に壁状に内装される支持部と、前記支持部で支持されて前記外装体内に導入されているコンタクト端子と、前記外装体と前記支持部とが近接する位置で前記外装体と前記支持部との間に設けられ、前記外装体と前記支持部との間を封止する周状の封止部とを備えることを特徴とする。
これによれば、外装体と支持部との間を周状の封止部で封止して、外装体と支持部との間の防水性を確保することができる。従って、外装体の奥側の空間で充填材を外装体内面と固着することが不要となり、この充填材が断続的に加えられる力で外装体内面から剥離して隙間ができ、防水性が損なわれることがなくなる。そして、周状の封止部は、外装体と支持部との間に挟み込まれるように配置されることから、外装体と内装される支持部の間から奥側に水が浸入することを高い耐久性で確実に防止することができる。また、外装体の奥側の充填材充填用空間が不要となることから、防水接続器具の長さを短くして小型化することができる。従って、防水接続器具の占有面積を小さくし、電子機器内部の使用可能部分を増やすことが可能となり、電子機器内部のより自由なレイアウト設計の実現、電子機器の小型化を図ることができる。
【0008】
本発明の電子機器の防水接続器具は、前記封止部が弾性素材で形成されて前記支持部に設けられており、前記封止部を前記外装体の内面に周状に圧接するようにして前記支持部が前記外装体内に圧入されていることを特徴とする。
これによれば、外装体に部分的に或いは全体的に膨らませる力が加わり、外装体に一時的或いは恒久的な変形が生じた場合にも、外装体内面に圧接されている弾性素材の封止部が外装体内面に追従して防水性を維持することができる。また、封止部を圧接する支持部を外装体内に圧入することにより、外装体内の所定位置に支持部を高い安定性で設置することができる。
【0009】
本発明の電子機器の防水接続器具は、前記支持部の外周面の一部から外側への突出部分を圧入して前記封止部が設けられていることを特徴とする。
これによれば、外周に突出する封止部を外装体内に圧入するようにして支持部、封止部を外装体内に設置することが可能となる。このように設置される構造では、外装体内での封止部、支持部の位置に誤差が生じても外装体と支持部の間の封止がなされて防水性を確保することができ、封止部、支持部の位置精度に余裕を持たせることができる。従って、組立精度を緩和して製造コストを低減することができると共に、不良品を減らして歩留まりを向上することができる。また、支持部の外周面の全体に封止部を設けた場合、外装体への圧入の際に摩擦抵抗が非常に大きくなるのに対して、支持部の外周面の一部に封止部を設けることにより、外装体への圧入の際の摩擦抵抗を減らし、組立作業を容易にすることができる。
【0010】
本発明の電子機器の防水接続器具は、前記封止部がオーリングであり、前記オーリングが前記支持部の定置可能な段差箇所に嵌め込まれていることを特徴とする。
これによれば、低コストで、多様な形状、サイズの外装体や支持部に、外装体と支持部との間の防水封止を行うことができ、汎用性を高めることができる。
【0011】
本発明の電子機器の防水接続器具は、前記封止部が前記支持部と一体化している弾性樹脂で形成されていることを特徴とする。
これによれば、封止部と支持部との間から水が浸入することが全くなくなり、外装体と支持部との間の封止による防水性を一層高めることができる。
【0012】
本発明の電子機器の防水接続器具は、前記外装体が金属製であることを特徴とする。
これによれば、外装体が金属製である場合に、外装体の奥部の周壁と支持部とで形成される空間に樹脂充填材を設ける構造では、外装体が樹脂である場合に比べて樹脂充填材と外装体が剥離しやすく、防水性が損なわれる可能性が高くなるのに対し、金属製の外装体の内面に封止部を周状に圧接することにより、防水の安定性、耐久性を高めることができる。
【0013】
本発明の電子機器の防水接続器具は、前記封止部が、前記支持部の前面側に設けられ、前記外装体の段差部に周状に接着されていることを特徴とする。この支持部の前面側には、支持部の前面や前面側に配置される支持部の隅部に形成される傾斜面など前方を向いて位置する適宜の面が含まれる。
これによれば、支持部の前面側の封止部を外装体の段差部に当接するまで挿入して接着することにより、支持部及び封止部を外装体内の正確な位置に配置して防水封止を行うことができ、製品の均一性を高めることができる。
【0014】
本発明の電子機器の防水接続器具は、前記封止部が、前記支持部の前面側に一方の面を、前記外装体の段差部に他方の面を接着される防水両面テープであることを特徴とする。
これによれば、低コストで、多様な形状、サイズの外装体や支持部に、外装体と支持部との間の防水封止を行うことができ、汎用性を高めることができる。
【0015】
本発明の電子機器は、本発明の電子機器の防水接続器具が筐体に内装されていることを特徴とする。
これによれば、本発明の電子機器の防水接続器具の効果を奏する電子機器を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、防水接続器具の外装体と支持部との間を周状の封止部で封止して、外装体と内装される支持部の間から奥側に水が浸入することを高い耐久性で確実に防止することができる。また、外装体の奥側の空間が不要となることから、防水接続器具の長さを短くして防水接続器具の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態の防水接続器具を示す斜視図。
図2】第1実施形態の防水接続器具を示す正面図。
図3図2のA−A線矢視断面図。
図4図2のB−B線矢視断面図。
図5】本発明の第2実施形態の防水接続器具を示す斜視図。
図6】第2実施形態の防水接続器具を示す正面図。
図7図6のC−C線矢視断面図。
図8図6のD−D線矢視断面図。
図9】本発明の第3実施形態の防水接続器具を示す斜視図。
図10】第3実施形態の防水接続器具を示す正面図。
図11】第3実施形態の防水接続器具の要部縦断面図。
図12】第3実施形態の防水接続器具の要部横断面図。
図13】第1実施形態の防水接続器具の第1変形例を示すA−A線矢視に相当する断面図。
図14】第1実施形態の防水接続器具の第2変形例を示すA−A線矢視に相当する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1実施形態の電子機器の防水接続器具〕
本発明による第1実施形態の電子機器の防水接続器具10は、例えば多機能携帯電話機、多機能携帯情報端末、携帯用音楽プレーヤー、電子書籍リーダーなど携帯型小型電子機器等の電子機器に内装されるものであり、micro―USB規格準拠等の防水コネクタである。
【0019】
第1実施形態の防水接続器具10は、図1図4に示すように、シームレスの略筒状のシェル11を有し、シェル11は略筒状の外装体に相当する。シェル11の奥側には支持部12が壁状に内装され、支持部12は貫通されるように設けられるコンタクト端子13を支持しており、そのコンタクト端子13の前部がシェル11内に導入されている。
【0020】
シェル11は、継ぎ目の無い略四角筒状に形成されており、オス側接続具或いはプラグ挿入側の前部111から前部111より高さ及び幅の大きい後部112に至る段差部113が周面に外側に膨出するようにして周状に形成されている。シェル11は、少なくとも支持部12の前面より前側の領域が非貫通面で形成されており、本例では前部111、段差部113、後部112の全体に亘って貫通部分のない非貫通面で形成されている。
【0021】
支持部12は、絶縁性の硬質樹脂で形成されており、シェル11の奥側を閉塞するように壁状に設けられる。支持部12は、中央に凹みを有する略直方体形の本体121を有し、本体121の一部の前面122を段差部113の内面に当接するようにしてシェル11の後部112に内装されて嵌合されている。また、支持部12の外周面123の一部には、溝と切欠きで構成される周状の凹部124が形成されており、凹部124にオーリング14が嵌め込まれて支持部12にオーリング14が設けられている。オーリング14は周状の封止部に相当し、凹部124はオーリング14を定置可能な段差箇所に相当する。
【0022】
オーリング14は、ゴム或いは軟質樹脂等の弾性素材で形成された断面視略円形の周状であり、支持部12をシェル11に内装する前の状態において、支持部12の外周面123の一部から外側へオーリング14の一部分が突出するように設けられる。そして、支持部12は、オーリング14の突出部分を潰すようにしてシェル11内に圧入され、本実施形態では前面122が段差部113の内面に当接する位置に支持部12を圧入した状態で、オーリング14はシェル11の内面に周状に圧接される。即ち、外装体に相当するシェル11と支持部12との間を封止する周状の封止部に相当するオーリング14が、シェル11と支持部12とが近接する位置でシェル11と支持部12との間に設けられる。
【0023】
更に、支持部12には、複数のコンタクト端子13がインサート成形されて部分的に埋め込まれて且つ本体121を貫通するように設けられており、コンタクト端子13はインサート成形で水密構造となるように支持部12に取り付けられている。図示例のコンタクト端子13は、支持部12の前方に突出する突出部125の片面に沿うように配置されてシェル11内に導入され、プラグ側等の端子と接触導通可能にシェル11内で露出していると共に、本体121の後方から引き出され、図示省略する電子機器の回路基板に接続される。尚、複数のコンタクト端子13の適宜の端子を電源端子、シェル11に導通接続される接地端子とすることが可能である。
【0024】
また、シェル11の前部111の後寄り位置の外周には、一方の側面が段差部113に周状に当接するようにしてシール材15が外嵌して周設されている。シール材15は、エラストマー等の軟質樹脂で略四角枠状のリング状に形成され、断面視略四角形の本体から外側に突出する断面視略山形の突条151を有する。突条151は、防水接続器具10を電子機器の筐体100に内装して取り付ける際に、例えば電子機器の筐体100を構成する筐体本体101と蓋体102に押圧されて筐体100に周状に圧接し、これにより水密構造が形成される(図3参照)。図3において、103はプラグ等の接続具挿入用開口であり、筐体本体101の側壁に設けられている。
【0025】
第1実施形態の防水接続器具10は製造可能な適宜の方法で製造することが可能であり、好適な製造方法としては、例えば金属平板を絞りプレス加工して所定形状の金属製のシェル11を形成すると共に、コンタクト端子13をインサート成形するようにして所定形状の支持部12を射出成形で形成し、支持部12の凹部124にオーリング14を嵌め込む。
【0026】
そして、周状の封止部に相当するオーリング14が設けられている支持部12を外装体に相当するシェル11内に後部112側から挿入する。この際、支持部12の外周面123の一部から外周に突出するオーリング14は、シェル11の内面で潰されるようにしてシェル11の内面を摺動し、シェル11内に圧入される。
【0027】
この支持部12の挿入は、支持部12の前面122が段差部113の内面に当接する位置まで行い、挿入配置したオーリング14はシェル11の内面に周状に圧接され、シェル11と支持部12との間の所定位置に設けられたオーリング14がシェル11と支持部12との間を封止する。その後、シール材15を側面が段差部113に当接するようにして前部111の後寄り位置の外周に嵌め込むことにより、防水コネクタである防水接続器具10が得られる。尚、予めシール材15が外嵌されたシェル11に支持部12を圧入するようにすることも可能である。
【0028】
第1実施形態の防水接続器具10によれば、シェル11と支持部12との間を周状のオーリング14で封止して、シェル11と支持部12との間の防水性を確保することができる。従って、シェル11の奥側の空間で充填材をシェル11の内面と固着することが不要であり、この充填材が断続的に加えられる力でシェル11の内面から剥離して隙間ができ、防水性が損なわれることがない。そして、オーリング14は、シェル11と支持部12との間に挟み込まれるように配置されることから、シェル11と内装される支持部12の間から奥側に水が浸入することを高い耐久性で確実に防止することができる。
【0029】
また、シェル11の奥側の充填材充填用空間が不要であることから、防水接続器具10の長さを短くして小型化することができる。従って、防水接続器具10の占有面積を小さくし、電子機器内部の使用可能部分を増やすことが可能となり、電子機器内部のより自由なレイアウト設計の実現、電子機器の小型化を図ることができる。
【0030】
また、弾性素材のオーリング14をシェル11の内面に周状に圧接することにより、シェル11に部分的に或いは全体的に膨らませる力が加わって、シェル11に一時的或いは恒久的な変形が生じた場合にも、弾性のオーリング14がシェル11の内面に追従して防水性を維持することができる。更に、支持部12をシェル11内に圧入することにより、シェル11内の所定位置に支持部12を高い安定性で設置することができる。
【0031】
また、外周に突出するオーリング14をシェル11内に圧入して支持部12、オーリング14をシェル11内に設置する構造では、シェル11内でのオーリング14、支持部12の位置に誤差が生じてもシェル11と支持部12の間の封止がなされて防水性を確保することができ、オーリング14、支持部12の位置精度に余裕を持たせることができる。従って、組立精度を緩和して製造コストを低減することができると共に、不良品を減らして歩留まりを向上することができる。
【0032】
また、支持部12の外周面123の全体に封止部を設けた場合、シェル11への圧入の際に摩擦抵抗が非常に大きくなるのに対して、支持部12の外周面123の一部にオーリング14を設けることにより、シェル11への圧入の際の摩擦抵抗を減らし、組立作業を容易にすることができる。
【0033】
また、封止部にオーリング14を支持部12に嵌め込む構造により、低コストで、多様な形状、サイズのシェル11や支持部12に防水封止を行うことができ、汎用性を高めることができる。また、外装体が金属製のシェル11である場合、シェル11の奥部の周壁と支持部12とで形成される空間に樹脂充填材を設ける構造では、外装体が樹脂である場合に比べて樹脂充填材と外装体が剥離しやすく、防水性が損なわれる可能性が高くなるのに対し、金属製のシェル11の内面にオーリング14を周状に圧接することにより、防水の安定性、耐久性を高めることができる。
【0034】
〔第2実施形態の電子機器の防水接続器具〕
本発明による第2実施形態の電子機器の防水接続器具20も、第1実施形態と同様、例えば多機能携帯電話機、多機能携帯情報端末、携帯用音楽プレーヤー、電子書籍リーダーなど携帯型小型電子機器等の電子機器に内装されるものであり、micro―USB規格準拠等の防水コネクタである。
【0035】
第2実施形態の防水接続器具20は、図5図8に示すように、樹脂製で略筒状のケース21を有し、ケース21が略筒状の外装体に相当する。ケース21の奥側には支持部22が壁状に内装され、支持部22は貫通されるように設けられるコンタクト端子23を支持しており、そのコンタクト端子23の前部がケース21内に導入されている。また、ケース21の内側には、支持部22による閉塞箇所より前側に金属製のシェル26が装着されており、コンタクト端子23の前部は、シェル26の内側に配置されるようになっている。
【0036】
ケース21は、略四角筒形であり、ポリカーボネート樹脂或いはABS樹脂等の硬質樹脂で形成される。ケース21の前寄りには、外周面に沿って凹溝211が形成されており、凹溝211には後述するシール材25が嵌め込まれて周設されている。ケース21の後部212寄りの内側には段差部213が形成されており、ケース21の後部212の内側の空間は、それよりも前方の部分の内側の空間よりも高さと幅が大きくなっている。
【0037】
支持部22は、絶縁性の硬質樹脂で形成されており、ケース21の奥側を閉塞するように壁状に設けられる。支持部22は、略直方体形の本体221を有し、本体221の前端近傍には、中央領域が前方に突出するようにして略四角柱形の段差部222が形成されており、ケース21の前側部分と嵌合されるようになっている。
【0038】
支持部22は、段差部222より外周側の前面223がケース21の段差部213の内面に当接するようにして、ケース21の後部212に内装されて嵌合されている。また、支持部22の外周面224の一部には、溝で構成される周状の凹部225が形成されており、凹部225にオーリング24が嵌め込まれて支持部22にオーリング24が設けられている。オーリング24は周状の封止部に相当し、凹部225はオーリング24を定置可能な段差箇所に相当する。
【0039】
オーリング24は、ゴム或いは軟質樹脂等の弾性素材で形成された断面視略円形の周状であり、支持部22をケース21に内装する前の状態において、支持部22の外周面224の一部から外側へオーリング24の一部分が突出するように設けられる。そして、支持部22は、オーリング24の突出部分を潰すようにしてケース21内に圧入され、本実施形態では前面223が段差部213の内面に当接する位置に支持部22を圧入した状態で、オーリング24はケース21の内面に周状に圧接される。即ち、外装体に相当するケース21と支持部22との間を封止する周状の封止部に相当するオーリング24が、ケース21と支持部22とが近接する位置でケース21と支持部22との間に設けられる。
【0040】
更に、支持部22には、第1実施形態と同様、複数のコンタクト端子23がインサート成形されて部分的に埋め込まれて且つ本体221を貫通するように設けられており、コンタクト端子23はインサート成形で水密構造となるように支持部22に取り付けられている。図示例のコンタクト端子23は、支持部22の前方に突出する突出部226の片面に沿うように配置されてケース21及びシェル26内に導入され、プラグ側等の端子と接触導通可能にケース21及びシェル26内で露出していると共に、本体221の後方から引き出され、図示省略する電子機器の回路基板に接続される。尚、複数のコンタクト端子23の適宜の端子を電源端子、シェル26に導通接続される接地端子とすることが可能である。
【0041】
また、ケース21に外嵌して周設されているシール材25は、エラストマー等の軟質樹脂で略四角枠状のリング状に形成され、断面視略四角形の本体から外側に突出する断面視略山形の突条251を有する。突条251は、防水接続器具20を電子機器の筐体100に内装して取り付ける際に、例えば電子機器の筐体100を構成するプラグ等の接続具挿入用開口103を有する筐体本体101と蓋体102とに押圧されて筐体100に周状に圧接し、これにより水密構造が形成される(図7参照)。
【0042】
第2実施形態の防水接続器具20は製造可能な適宜の方法で製造することが可能であり、好適な製造方法としては、例えば所定形状のケース21を射出成形で形成すると共に、コンタクト端子23をインサート成形するようにして所定形状の支持部22を射出成形で形成し、支持部22の凹部225にオーリング24を嵌め込む。
【0043】
そして、周状の封止部に相当するオーリング24が設けられている支持部22を外装体に相当するケース21内に後部212側から挿入する。この際、支持部22の外周面224の一部から外周に突出するオーリング24は、ケース21の内面で潰されるようにしてケース21の内面を摺動し、ケース21内に圧入される。尚、本例のケース21の後部212の後端近傍は、支持部22を挿入し易くするため、後端に向かって拡がるようにテーパ状に形成すると好ましい。
【0044】
この支持部22の挿入は、支持部22の前面223がケース21の段差部213の内面に当接する位置まで行い、挿入配置したオーリング24はケース21の内面に周状に圧接され、ケース21と支持部22との間の所定位置に設けられたオーリング24がケース21と支持部22との間を封止する。
【0045】
その後、支持部22の段差部222の側面とケース21の内面との間にシェル26の後端近傍を嵌め込むようにして、シェル26を前方から挿入してケース21に内装する共に、ケース21の凹溝211にシール材25を嵌め込むことにより、防水コネクタである防水接続器具20が得られる。尚、ケース21内にシェル26を内装した状態で、後部212側から支持部22を圧入して支持部22の段差部222の側面とケース21の内面との間にシェル26の後端近傍が嵌合された状態を形成する工程や、或いはシール材25をケース21に取り付けた状態で、支持部22の圧入若しくはシェル26の挿入若しくはその双方を行う工程等とすることも可能である。
【0046】
第2実施形態の防水接続器具20によれば、ケース21と支持部22との間を周状のオーリング24で封止して、ケース21と支持部22との間の防水性を確保することができる。従って、ケース21の奥側の空間で充填材をケース21の内面と固着することが不要であり、この充填材が断続的に加えられる力でケース21の内面から剥離して隙間ができ、防水性が損なわれることがない。そして、オーリング24は、ケース21と支持部22との間に挟み込まれるように配置されることから、ケース21と内装される支持部22の間から奥側に水が浸入することを高い耐久性で確実に防止することができる。
【0047】
また、ケース21の奥側の充填材充填用空間が不要であることから、防水接続器具20の長さを短くして小型化することができる。従って、防水接続器具20の占有面積を小さくし、電子機器内部の使用可能部分を増やすことが可能となり、電子機器内部のより自由なレイアウト設計の実現、電子機器の小型化を図ることができる。
【0048】
また、弾性素材のオーリング24をケース21の内面に周状に圧接することにより、ケース21に部分的に或いは全体的に膨らませる力が加わって、ケース21に一時的或いは恒久的な変形が生じた場合にも、弾性のオーリング24がケース21の内面に追従して防水性を維持することができる。更に、支持部22をケース21内に圧入することにより、ケース21内の所定位置に支持部22を高い安定性で設置することができる。
【0049】
また、第1実施形態と同様に、ケース21内でのオーリング24、支持部22の位置に誤差が生じても防水性を確保でき、オーリング24、支持部22の位置精度に余裕を持たせることができることから、組立精度を緩和して製造コストを低減できると共に、不良品を減らして歩留まりを向上することができる。また、支持部22の外周面224の一部にオーリング24を設けることにより、ケース21への圧入の際の摩擦抵抗を減らし、組立作業を容易にすることができる。
【0050】
〔第3実施形態の電子機器の防水接続器具〕
本発明による第3実施形態の電子機器の防水接続器具30は、例えば多機能携帯電話機、多機能携帯情報端末、携帯用音楽プレーヤーなど携帯型小型電子機器等の電子機器に内装されるものであり、イヤホンジャック等の多極の防水ジャックである。
【0051】
第3実施形態の防水接続器具30は、図9図12に示すように、樹脂製で略筒状のハウジング31を有し、ハウジング31が略筒状の外装体に相当する。ハウジング31の奥側には支持部32が壁状に内装され、支持部32は貫通されるように設けられるコンタクト端子33を支持しており、コンタクト端子33の前部がハウジング31内に導入されている。
【0052】
ハウジング31は、ポリカーボネート樹脂或いはABS樹脂等の硬質樹脂で形成され、ハウジング31の本体311は略四角筒形になっており、プラグ挿入側の前部312は略円筒形になっている。本体311の後部313の内面には、支持部32が当接される段差面314が形成されている。
【0053】
支持部32は、略直方体形で絶縁性の硬質樹脂で形成されており、ハウジング31の奥側を閉塞するように壁状に設けられ、支持部32の前面321の周縁近傍がハウジング31の段差面314に当接するようにして、ハウジング31の後部313に内装されて嵌合されている。
【0054】
支持部32の外周面322の一部には、溝で構成される周状の凹部323が形成されており、凹部323にオーリング34が嵌め込まれて支持部32にオーリング34が設けられている。オーリング34は周状の封止部に相当し、凹部323はオーリング34を定置可能な段差箇所に相当する。
【0055】
オーリング34は、ゴム或いは軟質樹脂等の弾性素材で形成された断面視略円形の周状であり、支持部32をハウジング31に内装する前の状態において、支持部32の外周面322の一部から外周へオーリング34の一部分が突出するように設けられる。そして、支持部32は、オーリング34の突出部分を潰すようにしてハウジング31内に圧入され、本実施形態では前面321が段差面314に当接する位置に支持部32を圧入した状態で、オーリング34はハウジング31の内面に周状に圧接される。即ち、外装体に相当するハウジング31と支持部32との間を封止する周状の封止部に相当するオーリング34が、ハウジング31と支持部32とが近接する位置でハウジング31と支持部32との間に設けられる。
【0056】
また、本実施形態において、支持部32で支持されるコンタクト端子33は、先端の接触点でプラグ側の端子と接触する板バネ状の接触端子部331と、支持部32を貫通するように設けられて支持部32で支持される延長端子部332とから構成される。各々の接触端子部331は、ハウジング31内に形成されている取付溝(図示省略)に一部を嵌め込むようにしてハウジング31内に内装されている。各々の延長端子部332は、支持部32にインサート成形されて部分的に埋め込まれ、インサート成形で水密構造となるように支持部32に取り付けられている。
【0057】
支持部32がハウジング31内の所定位置に圧入された状態では、支持部32の前側において一部が露出している各々の延長端子部332と、ハウジング31に内装されている各々の対応する接触端子部331とが導通接続され、各々のコンタクト端子33が構成される。延長端子部332と接触端子部331とを導通接続する構造は、例えば支持部32の前面側に内側で延長端子部332の先端が露出している係入穴を形成し、係入穴に接触端子部331の後端を挿入するように支持部32を圧入し、係入穴で延長端子部332の先端と接触端子部331の後端とを挟持するようにして圧接して接続する構成、或いは延長端子部332の先端と接触端子部331の後端の何れかを板バネ状にして弾性接触で他方に接続する構成等とすることが可能である。
【0058】
尚、各々のコンタクト端子33を一体的に形成したものとして、その後部を支持部32にインサート成形して支持部32に貫通するように設けられるものとすることも可能であり、この場合には、支持部32の圧入の際に、コンタクト端子33がハウジング31の取付溝に挿入されるようにしてハウジング31内に内装される。
【0059】
そして、コンタクト端子33は、ハウジング31内で先端の接触点でプラグ側の端子と接触可能に露出して設けられると共に、支持部32の後方から引き出され、図示省略する電子機器の回路基板に接続される。このように構成された防水ジャックである防水接続器具30は、第1、第2実施形態と同様、電子機器の筐体100に内装して取り付けられる。
【0060】
第3実施形態の防水接続器具30は製造可能な適宜の方法で製造することが可能であり、好適な製造方法としては、例えば所定形状のハウジング31を射出成形で形成すると共に、コンタクト端子33の延長端子部332或いはコンタクト端子33をインサート成形するようにして所定形状の支持部32を射出成形で形成し、支持部32の凹部323にオーリング34を嵌め込む。
【0061】
そして、周状の封止部に相当するオーリング34が設けられている支持部32を外装体に相当するハウジング31内に後部313側から挿入する。この際、支持部32の外周面322の一部から外周に突出するオーリング34は、ハウジング31の内面で潰されるようにしてハウジング31の内面を摺動し、ハウジング31内に圧入される。
【0062】
支持部32の挿入は、支持部32の前面321がハウジング31の段差面314に当接する位置まで行い、挿入配置したオーリング34はハウジング31の内面に周状に圧接され、ハウジング31と支持部32との間の所定位置に設けられたオーリング34がハウジング31と支持部32との間を封止する。これにより、多極の防水ジャックである防水接続器具30が得られる。
【0063】
尚、コンタクト端子33の延長端子部332を支持部32にインサート成形する場合には、支持部32を挿入する工程の前に、接触端子部331をハウジング31内に内装した後、支持部32を挿入し、所定位置まで挿入した段階で接触端子部331と支持部32にインサート成形された延長端子部332とが圧接されて導通接続される。また、ハウジング31の後端近傍は、第1、第2実施形態と同様に、支持部32を挿入し易くするため、後端に向かって拡がるようにテーパ状に形成してもよい。
【0064】
第3実施形態の防水接続器具30によれば、ハウジング31と支持部32との間を周状のオーリング34で封止して、ハウジング31と支持部32との間の防水性を確保することができる。従って、ハウジング31の奥側の空間で充填材をハウジング31の内面と固着することが不要であり、この充填材が断続的に加えられる力でハウジング31の内面から剥離して隙間ができ、防水性が損なわれることがない。そして、オーリング34は、ハウジング31と支持部32との間に挟み込まれるように配置されることから、ハウジング31と内装される支持部32の間から奥側に水が浸入することを高い耐久性で確実に防止することができる。
【0065】
また、ハウジング31の奥側の充填材充填用空間が不要であることから、防水接続器具30の長さを短くして小型化することができる。従って、防水接続器具30の占有面積を小さくし、電子機器内部の使用可能部分を増やすことが可能となり、電子機器内部のより自由なレイアウト設計の実現、電子機器の小型化を図ることができる。
【0066】
また、弾性素材のオーリング34をハウジング31の内面に周状に圧接することにより、ハウジング31に部分的に或いは全体的に膨らませる力が加わって、ハウジング31に一時的或いは恒久的な変形が生じた場合にも、弾性のオーリング34がハウジング31の内面に追従して防水性を維持することができる。更に、支持部32をハウジング31内に圧入することにより、ハウジング31内の所定位置に支持部32を高い安定性で設置することができる。
【0067】
また、第1、第2実施形態と同様に、ハウジング31内でのオーリング34、支持部32の位置に誤差が生じても防水性を確保でき、オーリング34、支持部32の位置精度に余裕を持たせることができることから、組立精度を緩和して製造コストを低減できると共に、不良品を減らして歩留まりを向上することができる。また、支持部32の外周面322の一部にオーリング34を設けることにより、ハウジング31への圧入の際の摩擦抵抗を減らし、組立作業を容易にすることができる。
【0068】
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明は、各発明、各実施形態の構成の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものを含むものである。そして、下記変形例も包含する。
【0069】
例えば第1〜第3実施形態では、周状の封止部にオーリング14、24、34を用いたが、本発明における周状の封止部には、外装体と支持部との間の所定位置に設けて外装体と支持部との間を封止可能な適宜のものを用いることが可能である。その好適な変形例として、図13に第1実施形態の変形例の防水接続器具10aを示す。
【0070】
図13の防水接続器具10aには、支持部12に凹部124を形成してオーリング14を嵌め込む構成に代えて、支持部12aの凹部124に対応する部分に弾性樹脂で形成された弾性樹脂封止部16aが設けられている。弾性樹脂封止部16aは硬質樹脂で形成された支持部12aと一体化して固着しており、支持部12aの外周面123から外周方向への突出部分を有する。支持部12aがシェル11内に圧入された状態では、弾性樹脂封止部16aの突出部分がシェル11で圧入されることで、弾性樹脂封止部16aはシェル11の内面に周状に圧接される。その他の構成は第1実施形態と同様である。本例では、弾性樹脂封止部16aと支持部12aとの間から水が浸入することが全くなくなり、封止による防水性を一層高めることができる。尚、同様の変形は第2、第3実施形態についても適宜適用可能である。
【0071】
また、周状の封止部を設ける構成は、支持部の外周面から外側に突出するように設ける構成に限定されず、例えば支持部の前面側に突出するように封止部を設ける構成、或いは支持部の前面側と外周側の双方に突出するように周状の封止部を設ける構成等とすることが可能である。その好適な変形例として、図14に第1実施形態の変形例の防水接続器具10bを示す。
【0072】
図14の防水接続器具10bには、支持部12の外周側に凹部124を形成してオーリング14を嵌め込む構成に代えて、支持部12bの前面122に周状の封止部として防水両面テープ17bが設けられている。防水両面テープ17bは、支持部12bの前面122に一方の面を周状に接着され、外装体に相当するシェル11の段差部115の内面に他方の面を周状に接着されている。この構造は、前面が接着面になっている防水両面テープ17bが前面側に設けられている支持部12bをシェル11内に挿入し、防水両面テープ17bの前面をシェル11の段差部115の内面に当接して周状に接着することにより、形成される。その他の構成は基本的に第1実施形態と同様である。
【0073】
本例では、支持部12bの前面側の防水両面テープ17bをシェル11の段差部115に当接するまで挿入して接着することにより、支持部12b及び防水両面テープ17bをシェル11内の正確な位置に配置して防水封止を行うことができ、製品の均一性を高めることができる。更に、防水両面テープ17bを用いることにより、低コストで、多様な形状、サイズのシェル11や支持部12bに防水封止を行うことができ、汎用性を高めることができる。尚、シェル11に接着可能な支持部12bの前面側に設ける周状の封止部は適宜であり、例えば支持部12bの前面側に突出するように支持部12bと一体化した弾性樹脂封止部を設け、その前面側を接着面にしてシェル11の段差部115の内面と接着する構成等とすることが可能である。また、封止部が設けられる支持部の前面側には、支持部の前方を向いて位置する適宜の面が含まれ、支持部12bの前面122の他、例えば前面122の外周近傍で後方に向かって拡径するように傾斜する傾斜面等、支持部の前面側に配置される支持部の隅部に形成される傾斜面が含まれる。また、支持部の前面側に周状の封止部を設ける同様の変形は第2、第3実施形態についても適宜適用可能である。
【0074】
また、外装体側に周状の封止部を予め設けておき、この外装体に支持部を内挿して、支持部を周状の封止部に圧接する若しくは接着する構成としてもよい。例えばシェル11の段差部115と後部113とで構成される隅部に周状のオーリングを嵌めておき、前面の周縁に切欠きで構成される周状の凹部を有する支持部をシェル11に内挿し、断面視L字形の切欠きである周状の凹部にオーリングが嵌め込まれるようにし凹部内側の突出部分でオーリングがシェル11の後部113の内面に周状に圧接される構成、或いはシェル11の段差部115の内面に防水両面テープを周状に接着しておき、この状態で支持部をシェル11に内挿して支持部の前面を防水両面テープに周状に接着する構成等とすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、例えば多機能携帯電話機、多機能携帯情報端末、携帯用音楽プレーヤー、電子書籍リーダーなど各種電子機器の電気的な接続に用いられる防水コネクタとして利用することができる。
【符号の説明】
【0076】
10、10a、10b…防水接続器具 11…シェル 111…前部 112…後部 113…段差部 12、12a、12b…支持部 121…本体 122…前面 123…外周面 124…凹部 125…突出部 13…コンタクト端子 14…オーリング 15…シール材 151…突条 16a…弾性樹脂封止部 17b…防水両面テープ 20…防水接続器具 21…ケース 211…凹溝 212…後部 213…段差部 22…支持部 221…本体 222…段差部 223…前面 224…外周面 225…凹部 226…突出部 23…コンタクト端子 24…オーリング 25…シール材 251…突条 26…シェル 30…防水接続器具 31…ハウジング 311…本体 312…前部 313…後部 314…段差面 32…支持部 321…前面 322…外周面 323…凹部 33…コンタクト端子 331…接触端子部 332…延長端子部 34…オーリング 100…電子機器の筐体 101…筐体本体 102…蓋体 103…接続具挿入用開口

図1
図2
図3
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図7
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図10
図11
図12
図13
図14