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特開2015-225835架空送電線、及び、架空送電線の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-225835(P2015-225835A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】架空送電線、及び、架空送電線の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 5/10 20060101AFI20151117BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20151117BHJP
   C22F 1/04 20060101ALI20151117BHJP
   B21C 1/00 20060101ALI20151117BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20151117BHJP
【FI】
   H01B5/10
   H01B13/00 501Z
   C22F1/04 D
   B21C1/00 C
   C22F1/00 627
   C22F1/00 625
   C22F1/00 630G
   C22F1/00 661A
   C22F1/00 685Z
   C22F1/00 694A
   C22F1/00 630A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-112020(P2014-112020)
(22)【出願日】2014年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】502308387
【氏名又は名称】株式会社ビスキャス
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩田 季志
(72)【発明者】
【氏名】早川 隆博
【テーマコード(参考)】
4E096
5G307
【Fターム(参考)】
4E096EA05
4E096EA12
4E096EA19
4E096KA02
4E096KA09
5G307EA01
5G307EE03
5G307EF10
(57)【要約】
【課題】炭素繊維製の心線を備えた架空送電線において所望の疲労強度を満足できるようにする。
【解決手段】炭素繊維の集合体からなる素線13に、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる被覆層14を設けた心線12によって構成される心線部12と、外層素線16によって構成される外層素線部15とを有する架空送電線であって、心線12は、回転曲げ疲労試験による107回の繰り返し数での疲労限応力が、61.8MPa以上である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素繊維の集合体からなる素線に、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる被覆層を設けた心線によって構成される心線部と、外層素線によって構成される外層素線部とを有する架空送電線であって、
前記心線は、回転曲げ疲労試験による107回の繰り返し数での疲労限応力が、61.8MPa以上であることを特徴とする架空送電線。
【請求項2】
アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる管状体の内部に炭素繊維の集合体からなる素線を設け、前記管状体の内周面と前記炭素繊維の集合体からなる素線の外周面とを接触させるように前記管状体を伸線加工することで、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる被覆層を設けた心線を形成することを特徴とする架空送電線の製造方法。
【請求項3】
前記伸線加工は、1パスあたりの前記管状体の減面率を7%以下とし、前記管状体の総減面率が70%以上とする、請求項2記載の架空送電線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架空送電線、及び、架空送電線の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、架空送電線の引張荷重を担うテンションメンバとして、鋼線に替えて、強度が高く且つ軽量で線膨張係数が小さい炭素繊維の心線を用いたものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1では、多数の炭素繊維を一体に硬化させるために、炭素繊維にエポキシ等の樹脂を含浸させている。また、特許文献2では、蒸着や浸漬等の方法により、アルミを炭素繊維の表面に固着させることで、炭素繊維を集合体に形成し、その後、この集合体をアルミニウムテープ等の外層で被覆したものに伸線加工を施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平4−11297号公報
【特許文献2】特開平4−308610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、高温で使用した場合には樹脂が熱により劣化してしまい、強度が低下するという問題がある。また、引用文献2の構成では、樹脂を用いないため耐熱性の問題は解決されているが、伸線加工した際に、加工硬化によって外層の強度は増加するものの、炭素繊維に固着しているアルミニウム層は加工されず加工硬化によって強度が増加しない。このため、炭素繊維に固着しているアルミ層の疲労強度が小さいことに起因して架空送電線の全体としての疲労強度が低下してしまうという問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、炭素繊維製の心線を備えた架空送電線において所望の疲労強度を満足できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、炭素繊維の集合体からなる素線に、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる被覆層を設けた心線によって構成される心線部と、外層素線によって構成される外層素線部とを有する架空送電線であって、前記心線は、回転曲げ疲労試験による107回の繰り返し数での疲労限応力が、61.8MPa以上であることを特徴とする架空送電線を提供する。
本発明によれば、炭素繊維の素線及びアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる被覆層を備えた心線の107回の繰り返し数での疲労限応力が61.8MPa以上であるため、架空送電線の所望の疲労強度を満足できる。
【0006】
また、本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる管状体の内部に炭素繊維の集合体からなる素線を設け、前記管状体の内周面と前記炭素繊維の集合体からなる素線の外周面とを接触させるように前記管状体を伸線加工することで、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる被覆層を設けた心線を形成することを特徴とする架空送電線の製造方法を提供する。
本発明によれば、炭素繊維の集合体からなる素線の外周に設けられる被覆層の全体を、伸線加工で疲労強度が高められた層とすることができ、架空送電線の疲労強度を向上できる。
上記構成において、前記伸線加工は、1パスあたりの前記管状体の減面率を7%以下とし、前記管状体の総減面率が70%以上であっても良い。
この場合、炭素繊維を断線させずに高い減面率まで伸線加工できるとともに、加工硬化によって高い疲労応力を得ることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る架空送電線、及び、架空送電線の製造方法では、架空送電線の所望の疲労強度を満足できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る架空送電線の断面図である。
図2】心線の構成要素の断面図である。
図3】伸線加工前の被覆層及び炭素繊維の集合体からなる素線を示す模式図である。
図4】心線の伸線工程を示す図である。
図5】心線の疲労強度を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る架空送電線の断面図である。
鉄塔(不図示)間に架設される架空送電線10は、鉄塔間に垂れ下がる架空送電線10の張力を主として受ける心線12を拠り合わせて構成される心線部11と、心線部11の外周に複数の外層素線16を撚り合わせて構成される外層素線部15とを備える。外層素線部15は、純アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成されている。送電の電流は主に導体として配置された外層素線部15を流れる。
【0010】
図2は、心線12の構成要素の断面図である。
図1及び図2に示すように、心線部11は、複数(本実施の形態では7本)の心線12を撚り合わせて構成されている。各心線12は、工業的に用いられる直径が数μm〜10μm程度の炭素繊維の集合体からなる素線13と、この炭素繊維の集合体からなる素線13の表面に被覆されるパイプ状の被覆層14とを備える。すなわち、炭素繊維の集合体からなる素線13は、被覆層14によってまとめられて一体となっており、略円形の断面形状を有する。被覆層14は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成される。
炭素繊維材は、軽量且つ高強度で、線膨張係数が小さいという特徴を有するため、テンションメンバとして炭素繊維材を用いることで、常温域のみならず、高温域においても架空送電線10の弛度を低減できる。
【0011】
被覆層14は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の管状体を伸線加工することで形成されるものであり、伸線加工による加工硬化によって所定の強度及び疲労限度応力を得られるように、所定の減面率まで伸線加工される。被覆層14は、パイプ形状の管状体の内部に炭素繊維の集合体からなる素線13が通された状態で伸線加工され、伸線加工の際に縮径されることで、炭素繊維の集合体からなる素線13の最外周面13aに密着する。すなわち、被覆層14は、伸線加工の際に延ばされて新たに形成された内周面14aがそのまま炭素繊維の集合体からなる素線13の最外周面13aに密着しており、被覆層14の内周面14aと炭素繊維の集合体からなる素線13の最外周面13aとの間には、蒸着や浸漬等によるアルミニウムの層は形成されていない。被覆層14は、伸線加工による加工硬化によって、強度及び疲労強度が増加する。
【0012】
このように、炭素繊維の集合体からなる素線13の最外周面13aに蒸着や浸漬等によるアルミニウム(アルミニウム合金)の層を形成せずに、炭素繊維の集合体からなる素線13の被覆層を伸線加工された被覆層14のみで形成したため、被覆層14の全てを伸線加工の際の加工硬化によって強度及び疲労強度が大きく増加した層にすることができる。このため、架空送電線10の全体としての強度及び疲労強度を増加させることができる。
【0013】
これに対し、炭素繊維の集合体からなる素線の最外周面に設けられる蒸着や浸漬等による従来のアルミニウム(アルミニウム合金)の被覆層(以下、固着層と呼ぶ)は、炭素繊維集合体の外周面に固着して一体化されている。このため、上記固着層の外側に他のアルミニウムの被覆層を設けて当該他のアルミニウムの被覆層を伸線加工したとしても、固着層は、ほとんど塑性変形せず、加工硬化しない。このため、従来の心線(テンションメンバ)は、強度及び疲労強度が低い部分を、炭素繊維集合体の外周面と外側のアルミの被覆層との間に含むことになる。この場合、風による振動に起因する応力によって、疲労強度が低い固着層が割れてしまうことが考えられ、せん断力に対しては比較的弱い特性を備える炭素繊維は、固着層が割れた部分を起点として断線が生じてしまう可能性がある。
【実施例】
【0014】
図3は、伸線加工前の被覆層14及び炭素繊維の集合体からなる素線13を示す模式図である。図3に示すように、実施例では、炭素繊維の集合体からなる素線13としてPAN系の炭素繊維線の束を、アルミニウム合金のテープで覆い、このテープを溶接して被覆層14としてのパイプ17(管状体)を形成することで、炭素繊維の集合体からなる素線13がパイプ17内に通されたパイプ体18を作製した。この状態のパイプ体18のサイズは、外径11.0mm、内径10.4mmであり、炭素繊維の集合体からなる素線13の径(集合体全体の直径)はパイプ体18の内径よりも小さく、パイプ体18の内周部と炭素繊維の集合体からなる素線13との間には空間が存在する。
【0015】
図4は、パイプ体18を伸線して心線12を得るための伸線工程を示す図である。パイプ体18に対し、ダイスを用いた伸線加工を複数回行い、パイプ17の外径を4.5mmとした。各回の伸線加工のダイス通過の前後におけるパイプ17の減面率は、約20%である。また、初期状態の外径11.0mmから外径4.5mmまでの総減面率は、60%である。本実施例では、減面率は、各回(1パス)の伸線加工の前のパイプ体あるいは心線の断面積(長手方向に垂直な断面)をS1、伸線加工後のパイプ体あるいは心線の断面積(長手方向に垂直な断面)をS2としたとき、(S1−S2)*100/S1で求められる。なお、総減面率は、初期状態である外径11.0mmの状態を基準とした減面率である。
次いで、減面率7%の伸線加工を行い、パイプ17の外径を4.5mmから4.2mmとした。パイプ17の外径が4.5mmの状態で、減面率を17%及び12%として伸線加工を行った場合、炭素繊維の集合体からなる素線13に断線が生じた。
【0016】
炭素繊維の集合体からなる素線13は、蒸着や浸漬等によるアルミニウムの層によってまとめられておらず、各炭素繊維間に隙間が存在することで径方向に膨らんだ状態でパイプ17内に設けられている。パイプ17の外径が4.5mmの状態では、径方向に膨らんでいる炭素繊維の集合体からなる素線13は、パイプ17の内周面に接している。この状態で、大きな減面率でパイプ17を伸線加工すると、パイプ17の内側の急激な断面積の変化によって炭素繊維の集合体からなる素線13が断線することがある。本実施例では、総減面率が60%以上の状態において、減面率7%以下の小さな減面率で伸線加工することで、完全にはまとめられていない炭素繊維の集合体からなる素線13がパイプ17に通されている構成であっても、炭素繊維の集合体からなる素線13に断線を生じさせないでパイプ17を伸線加工できることが明らかとなった。
【0017】
続いて、減面率約6%の伸線加工を行い、パイプ17の外径を4.2mmから3.95mmとした。パイプ17の外径が4.5mmの状態で、減面率を8%として伸線加工を行った場合、炭素繊維の集合体からなる素線13に断線が生じた。すなわち、本工程においても、減面率7%以下とすることで、炭素繊維集合体14に断線を生じさせずにパイプ17を伸線加工できた。
その後、減面率7%の伸線加工を行い、パイプ17の外径を3.95mmから3.7mmとした。パイプ17の外径が3.95mmの状態で、減面率を10%として伸線加工を行った場合、炭素繊維集合体14に断線が生じた。
【0018】
最後に、減面率約6%の伸線加工を行い、パイプ17の外径を3.7mmから3.5mmとし、心線12を完成させた。この最後の伸線工程によって、炭素繊維の集合体からなる素線13は、各炭素繊維が密に詰まった状態でまとまるとともに、パイプ17(被覆層14)の内周面14aは炭素繊維の集合体からなる素線13の最外周面13aにほとんど隙間なく密着する。パイプ17の初期状態の外径11.0mmから最終状態の外径3.5mmまでの総減面率は、70%である。また、この状態において、テンションメンバ13の横断面での面積割合は、炭素繊維集合体14が60%であり、パイプ17が40%である。
【0019】
本実施例では、初期状態の外径が11.0mmのパイプ体18に対し、伸線加工の1パスあたりの減面率が7%以下の工程を含む伸線加工を繰り返すことで、総減面率が70%の心線12を得た。この心線12では、被覆層14は、内周面14aを含む全体が伸線加工で加工硬化された層となっており、炭素繊維の集合体からなる素線13の最外周面13aと被覆層14の内周面14aとの間には、蒸着や浸漬等により形成される固着層は存在していない。
【0020】
図5は、心線12の疲労強度を示す図表である。
本実施例では、直径3.5mmまで伸線加工された総減面率が70%の心線12について種々の繰り返し応力で回転曲げ疲労試験を行った。疲労試験は、中村式回転曲げ振動疲労試験機で行った。回転数は2000〜4000rpm、温度は室温(20℃)、応力は線径を変えることで調整した。発明者らは、図5において、「破断あり」の試験結果の近似曲線Fに基づき、繰返し回数が107回以上の場合の心線12の疲労限応力が、63MPaであることを明らかにした。また、繰り返し応力を61.8MPaとして試験を複数回行った結果、繰返し回数が107回以上でも、被覆層14及び炭素繊維の集合体からなる素線13の両方に損傷は生じておらず、心線12は破壊されなかった。従って、繰返し回数が107回以上の場合の心線12の疲労限応力が63MPaであるとしたことは、妥当であると言える。
【0021】
架空送電線の電線材料は、電気学会技術報告(II部)第129号のP.62に記述されているように、繰り返し数:107における疲労限応力が61.8MPa以上必要であることが知られている。本実施例では、繰り返し数:107回での疲労限応力は約64MPaであり、61.8MPaを上回っているため、心線12は架空送電線用として十分な疲労限応力を備えていると言える。
【0022】
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、架空送電線10は、炭素繊維の集合体からなる素線13に、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる被覆層14を設けた心線12によって構成される心線部11と、外層素線16によって構成される外層素線部15とを有し、心線12は、回転曲げ疲労試験による107回の繰り返し数での疲労限応力が、61.8MPa以上である。すなわち、炭素繊維の集合体からなる素線13及びアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる被覆層14を備えた心線12の107回の繰り返し数での疲労限応力が61.8MPa以上であるため、架空送電線10の所望の疲労強度を満足できる。
【0023】
また、架空送電線10は、炭素繊維の集合体からなる素線13及びこれを被覆する被覆層14を備えた心線12からなる心線部11と、外層素線16から形成される外層素線部15とを備え、被覆層14は、伸線加工により形成され、伸線加工された内周面14aが炭素繊維の集合体からなる素線13の最外周面13aに接触するように被覆されている。このため、被覆層14の全体を伸線加工で疲労強度が高められた層とすることができ、架空送電線10の疲労強度を向上できる。
【0024】
さらに、架空送電線10の製造方法では、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる管状体であるパイプ17の内部に炭素繊維の集合体からなる素線13を設け、パイプ17の内周面14aと炭素繊維の集合体からなる素線13の最外周面13aとを接触させるようにパイプ17を伸線加工することで、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる被覆層14を設けた心線12を形成する。
このため、炭素繊維の集合体からなる素線13の最外周面13aに設けられる被覆層14の全体を、伸線加工で疲労強度が高められた層とすることができ、架空送電線10の疲労強度を向上できる。また、被覆層14の伸線加工と同時に、固着層が無い状態で被覆層14を炭素繊維の集合体からなる素線13に簡単に被覆できる。
また、伸線加工は、1パスあたりのパイプ17の減面率を7%以下とし、パイプ17の総減面率が70%以上である。このため、炭素繊維を断線させずに高い減面率まで伸線加工できるとともに、加工硬化によって高い疲労応力を得ることができる。
【0025】
なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
上記実施の形態では、炭素繊維の集合体からなる素線13を、アルミニウム合金のテープで覆い、このテープを溶接してアルミ被覆層15としてのパイプ17を形成するものとして説明したが、これに限らず、パイプ17は他の方法によって形成されても良い。例えば、コンフォーム押出装置に、炭素繊維の集合体からなる素線13を通し、炭素繊維の集合体からなる素線13の周囲にアルミニウム(アルミニウム合金)をパイプ状に連続的に押し出してパイプを形成しても良い。
また、上記実施の形態では、被覆層14の内周面14aは、伸線加工の際に縮径されることで、炭素繊維の集合体からなる素線13の最外周面13aに密着するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、被覆層14の内周面14aが、炭素繊維の集合体からなる素線13をまとめることができる程度に外周面13aに接触している構成としても良い。
【符号の説明】
【0026】
10 架空送電線
11 心線部
12 心線(テンションメンバ)
13 炭素繊維の集合体からなる素線
13a 最外周面(外周面)
14 被覆層
14a 内周面
15 外層素線部
16 外層素線
17 パイプ(管状体)
18 パイプ体
図1
図2
図3
図4
図5