【課題】破壊検知パターンを構成する導体パターン間の隙間を比較的広くしても、プリント基板が取り付けられる装置のセキュリティ性を確保することが可能なプリント基板を提供する。
【解決手段】プリント基板7に形成される破壊検知パターン31は、U1方向に伸びる直線状の直線部分とV1方向に伸びる直線状の直線部分との組合せによって構成される導体パターン32がプリント基板7の外周側から内周側に向かって渦巻き状に巻回されることで形成されている。プリント基板7の厚さ方向から見たときに、導体パターン32の幅の12倍の長さを1辺の長さとするとともに4辺がU1方向またはV1方向と平行になっている正方形を仮想正方形S1とすると、所定の位置に配置される仮想正方形S1の中には、導体パターン32の一部をなす第1パターン部33と第2パターン部34と第3パターン部35と第4パターン部36とからなるパターン部群37が含まれている。
請求項1または2記載のプリント基板として、リジッド基板とフレキシブルプリント基板とを備えるとともに、前記リジッド基板が取り付けられるカードリーダ本体と、前記カードリーダ本体を覆うケース体とを備え、
前記ケース体は、前記リジッド基板の厚さ方向に分割される第1ケース体と第2ケース体とを備え、
前記第1ケース体は、前記リジッド基板を覆い、
前記フレキシブルプリント基板は、前記第2ケース体の内側面の全体を覆うように前記第2ケース体の内側面に貼り付けられていることを特徴とするカードリーダ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
(カードリーダの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。
図2は、
図1に示すカードリーダ1からケース体4を取り外した状態の分解斜視図である。なお、
図2では、ケース本体12の図示を省略している。
【0016】
本形態のカードリーダ1は、ユーザが手動でカード2を操作して、カード2に記録されたデータの読取やカード2へのデータの記録を行う装置である。具体的には、カードリーダ1は、カードリーダ1へのカード2の挿入とカードリーダ1からのカード2の抜取りとを手動で行ってデータの読取や記録を行ういわゆるディップ式のカードリーダである。このカードリーダ1は、たとえば、無人またはセルフサービス方式のガソリンスタンドの給油装置等の上位装置に搭載されて使用される。
【0017】
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。カード2の一方の面には、磁気データが記録される磁気ストライプが形成されている。また、カード2には、ICチップが内蔵されている。カード2の他方の面には、ICチップの外部接続端子が形成されている。なお、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0018】
カードリーダ1は、カードリーダ本体3と、カードリーダ本体3を覆うケース体4とから構成されている。カードリーダ本体3は、カード2に記録された磁気データの読取やカード2への磁気データの記録を行う磁気ヘッド6と、カード2に内蔵されるICチップとデータの通信を行うための複数のIC接点を有するIC接点ブロック(図示省略)とを備えている。カードリーダ本体3には、磁気ヘッド6から引き出されるリード線(図示省略)が接続されるプリント基板7と、IC接点ブロックから引き出されるケーブル(具体的には、フレキシブルプリント基板)が接続されるプリント基板8とが取り付けられている。
【0019】
ケース体4は、カード2の挿入口10が形成される前面カバー11と、ケース本体12とから構成されている。また、カードリーダ本体3は、前面カバー11に固定されるとともにケース本体12に収容される本体フレーム13と、前面カバー11と本体フレーム13との間に配置されるシール部材14とを備えている。シール部材14は、ゴム等によって形成されるとともに、環状に形成されている。
【0020】
本形態では、手動で操作されるカード2は、
図1等に示すX方向に移動する。具体的には、X1方向にカード2が挿入され、X2方向にカード2が抜き取られる。また、X方向に直交する
図1等のY方向は、カードリーダ1内に挿入されたカード2の厚さ方向であり、X方向とY方向とに直交する
図1等のZ方向は、カードリーダ1内に挿入されたカード2の幅方向(短手幅方向)である。以下の説明では、X方向を前後方向、Y方向を左右方向、Z方向を上下方向とする。また、X1方向側を「後(後ろ)」側、X2方向側を「前」側、Y1方向側を「右」側、Y2方向側を「左」側とする。
【0021】
本体フレーム13は、磁気ヘッド6が配置されるヘッド配置部16と、挿入口10から挿入されたカード2の後端側が収容される袋状のカード収容部17と、ヘッド配置部16とカード収容部17との間に形成される隔壁部18と、ヘッド配置部16と隔壁部18との間に形成されシール部材14が配置されるシール配置部19と、挿入口10から挿入されたカード2を案内するためのカード案内部20とを備えている。
【0022】
ヘッド配置部16およびカード案内部20の後端は、シール配置部19の前端に繋がり、シール配置部19の後端は、隔壁部18の前端に繋がり、隔壁部18の後端は、カード収容部17の前端に繋がっている。ヘッド配置部16およびカード案内部20は、シール配置部19から前側に突出するように形成されている。また、ヘッド配置部16とカード案内部20とは、上下方向に隙間をあけた状態で形成されている。カード収容部17には、IC接点ブロックが取り付けられている。カード収容部17の右側面には、プリント基板7が固定され、カード収容部17の左側面には、プリント基板8が固定されている。
【0023】
前面カバー11は、本体フレーム13の、隔壁部18よりも前側の部分を覆っている。前面カバー11の後面側には、鍔状に形成される鍔部11aが形成されている。鍔部11aは、上下方向に長い略長方形の枠状に形成されている。ケース本体12は、その前端が開口する略直方体の箱状に形成されている。ケース本体12は、その前端が鍔部11aの後面に当接した状態で前面カバー11に固定されている。ケース本体12の内部には、本体フレーム13の、隔壁部18よりも後ろ側の部分が配置されており、本体フレーム13の、隔壁部18よりも後ろ側の部分を覆っている。
【0024】
また、ケース本体12は、左右方向に二分割される第1ケース体23と第2ケース体24とから構成されている。第1ケース体23は、ケース本体12の右側部分を構成し、第2ケース体24は、ケース本体12の左側部分を構成している。また、第1ケース体23は、ケース本体12の右側面を構成する右側面部と、ケース本体12の上下の側面の一部を構成する上下側面部と、ケース本体12の後面の一部を構成する後側面部とから構成され、第2ケース体24は、ケース本体12の左側面を構成する左側面部と、ケース本体12の上下の側面の一部を構成する上下側面部と、ケース本体12の後面の一部を構成する後側面部とから構成されている。本形態では、左右方向における第1ケース体23の幅は、左右方向における第2ケース体24の幅よりも狭くなっている。第1ケース体23は、カードリーダ本体3の一部(具体的には、カードリーダ本体3の隔壁部18よりも後ろ側の部分)とプリント基板7とを右側および上下両側から覆っている。第2ケース体24は、カードリーダ本体3の一部(具体的には、カードリーダ本体3の隔壁部18よりも後ろ側の部分)とプリント基板8とを左側および上下両側から覆っている。
【0025】
プリント基板7、8は、剛性を有するリジッド基板である。このプリント基板7、8は、長方形の平板状に形成されている。また、プリント基板7、8は、その厚さ方向が左右方向と一致するように、カードリーダ本体3に固定されている。すなわち、左右方向は、プリント基板7、8の厚さ方向である。
【0026】
プリント基板7は、磁気ヘッド6によってカード2の磁気ストライプから読み取った磁気データの信号(データ信号)や磁気ヘッド6によってカード2の磁気ストライプに記録するデータ信号を伝えるための信号パターンが形成される信号パターン層を備えている。また、プリント基板7は、自身が断線したことおよび短絡したことを検知するための破壊検知パターン31(
図3参照)が形成される破壊検知パターン層を備えている。この破壊検知パターン層は、信号パターン層を覆うように形成されている。破壊検知パターン31の具体的な構成については後述する。
【0027】
プリント基板8は、IC接点によってカード2のICチップから読み取ったデータの信号(データ信号)やIC接点によってカード2のICチップに記録するデータ信号を伝えるための信号パターン等が形成される信号パターン層を備えている。本形態では、第2ケース体24の内側面に、プリント基板としてのフレキシブルプリント基板25(
図6参照、以下、FPC25とする)が貼り付けられている。具体的には、第2ケース体24の内側面に沿って第2ケース体24の内周面の全体を覆うように、第2ケース体24の内側面にFPC25が貼り付けられている。FPC25は、自身が断線したことおよび短絡したことを検知するための破壊検知パターン41が形成される破壊検知パターン層を備えている。また、上述のように、第2ケース体24は、プリント基板8を左側から覆っている。すなわち、プリント基板8は、破壊検知パターン41によって覆われている。そのため、プリント基板8には、破壊検知パターンが形成されていない。FPC25の具体的な構成については以下に説明する。
【0028】
(リジッド基板およびフレキシブルプリント基板の破壊検知パターンの構成)
図3は、
図2に示すプリント基板7の破壊検知パターン31を示す図である。
図4は、
図3に示す破壊検知パターン31の一部の拡大図である。
図5は、
図4に示す破壊検知パターン31の一部の拡大図である。
図6は、
図1に示す第2ケース体24の内側面に貼り付けられるフレキシブルプリント基板25の破壊検知パターン41を示す図である。
図7は、
図6に示す破壊検知パターン41の一部の拡大図である。
図8は、
図6のE部の拡大図である。
【0029】
上述のように、プリント基板7には、破壊検知パターン31が形成されている。破壊検知パターン31は、線状に形成される一対(2本)の導体パターン32が、長方形状に形成されるプリント基板7の外周側から内周側に向かって渦巻き状に巻回されることによって(すなわち、プリント基板7の内周側から外周側に向かって渦巻き状に巻回されることによって)形成されている。長方形状に形成されるプリント基板7の長辺の方向をU1方向とし、U1方向に直交するプリント基板7の短辺の方向をV1方向とすると、導体パターン32は、U1方向に伸びる直線状の直線部分と、V1方向に伸びる直線状の直線部分との組合せによって構成されている。また、導体パターン32の長手方向(導体パターン32の経路方向)に直交する方向における導体パターン32の幅W1(
図5参照)は一定となっている。
【0030】
プリント基板7の厚さ方向から見たときに、導体パターン32の幅W1の12倍の長さを1辺の長さとするとともに、4辺がU1方向またはV1方向と平行になっている正方形を仮想正方形S1とすると、
図4、
図5に示すように、プリント基板7の厚さ方向から見たときに、所定の位置に配置される仮想正方形S1の中には、導体パターン32の一部をなす第1パターン部33と、第2パターン部34と、第3パターン部35と、第4パターン部36とからなるパターン部群37が含まれている。
【0031】
図5に示すように、導体パターン32の、U1方向に沿って引き回されている部分では、第1パターン部33は、U1方向に平行な直線状に形成される第1直線部33aによって構成されている。また、導体パターン32の、U1方向に沿って引き回されている部分では、第2パターン部34は、U1方向に平行な直線状に形成されるとともに第1直線部33aよりも短い第2直線部34aと、U1方向における第2直線部34aの両端のそれぞれに基端が繋がるとともにV1方向に平行でかつ同方向に伸びる直線状の2本の第3直線部34bと、2本の第3直線部34bのそれぞれの先端からU1方向の外側へ伸びる直線状の2本の第4直線部34cとによって構成されている。
【0032】
さらに、導体パターン32の、U1方向に沿って引き回されている部分では、第3パターン部35は、U1方向に平行な直線状に形成されるとともに第2直線部34aよりも短い第5直線部35aと、U1方向における第5直線部35aの両端のそれぞれに基端が繋がるとともにV1方向に平行でかつ第3直線部34bと同方向に伸びる直線状の2本の第6直線部35bと、2本の第6直線部35bのそれぞれの先端からU1方向の外側へ伸びる直線状の2本の第7直線部35cとによって構成されている。また、導体パターン32の、U1方向に沿って引き回されている部分では、第4パターン部36は、U1方向に平行な直線状に形成されるとともに第5直線部35aよりも短い第8直線部36aと、U1方向における第8直線部36aの両端のそれぞれに基端が繋がるとともにV1方向に平行でかつ第3直線部34bと同方向に伸びる直線状の2本の第9直線部36bと、2本の第9直線部36bのそれぞれの先端からU1方向の外側へ伸びる直線状の2本の第10直線部36cとによって構成されている。
【0033】
同様に、導体パターン32の、V1方向に沿って引き回されている部分では、第1パターン部33は、V1方向に平行な直線状に形成される第1直線部33aによって構成されている。また、導体パターン32の、V1方向に沿って引き回されている部分では、第2パターン部34は、V1方向に平行な直線状に形成されるとともに第1直線部33aよりも短い第2直線部34aと、V1方向における第2直線部34aの両端のそれぞれに基端が繋がるとともにU1方向に平行でかつ同方向に伸びる直線状の2本の第3直線部34bと、2本の第3直線部34bのそれぞれの先端からV1方向の外側へ伸びる直線状の2本の第4直線部35cとによって構成されている。
【0034】
さらに、導体パターン32の、V1方向に沿って引き回されている部分では、第3パターン部35は、V1方向に平行な直線状に形成されるとともに第2直線部34aよりも短い第5直線部35aと、V1方向における第5直線部35aの両端のそれぞれに基端が繋がるとともにU1方向に平行でかつ第3直線部34bと同方向に伸びる直線状の2本の第6直線部35bと、2本の第6直線部35bのそれぞれの先端からV1方向の外側へ伸びる直線状の2本の第7直線部35cとによって構成されている。また、導体パターン32の、V1方向に沿って引き回されている部分では、第4パターン部36は、V1方向に平行な直線状に形成されるとともに第5直線部35aよりも短い第8直線部36aと、V1方向における第8直線部36aの両端のそれぞれに基端が繋がるとともにU1方向に平行でかつ第3直線部34bと同方向に伸びる直線状の2本の第9直線部36bと、2本の第9直線部36bのそれぞれの先端からV1方向の外側へ伸びる直線状の2本の第10直線部36cとによって構成されている。
【0035】
導体パターン32の、U1方向に沿って引き回されている部分では、U1方向における第1直線部33aの中心と、U1方向における第2直線部34aの中心と、U1方向における第5直線部35aの中心と、U1方向における第8直線部36aの中心とがU1方向において一致するように、第1パターン部33と第2パターン部34と第3パターン部35と第4パターン部36とがV1方向においてこの順番に並んでいる。また、導体パターン32の、U1方向に沿って引き回されている部分では、V1方向における第1直線部33aと第2直線部34aとの隙間と、V1方向における第2直線部34aと第5直線部35aとの隙間と、V1方向における第5直線部35aと第8直線部36aとの隙間と、導体パターン32の幅W1とが等しくなっている。
【0036】
同様に、導体パターン32の、V1方向に沿って引き回されている部分では、V1方向における第1直線部33aの中心と、V1方向における第2直線部34aの中心と、V1方向における第5直線部35aの中心と、V1方向における第8直線部36aの中心とがV1方向において一致するように、第1パターン部33と第2パターン部34と第3パターン部35と第4パターン部36とがU1方向においてこの順番に並んでいる。また、導体パターン32の、V1方向に沿って引き回されている部分では、U1方向における第1直線部33aと第2直線部34aとの隙間と、U1方向における第2直線部34aと第5直線部35aとの隙間と、U1方向における第5直線部35aと第8直線部36aとの隙間と、導体パターン32の幅W1とが等しくなっている。
【0037】
第3直線部34bの長さと第6直線部35bの長さと第9直線部36bの長さとは等しくなっている。また、第2直線部34aは、第1直線部33aよりも導体パターン32の幅W1と同じ距離短くなっている。第5直線部35aは、第2直線部34aよりも導体パターン32の幅W1の4倍と同じ距離短くなっており、第8直線部36aは、第5直線部35aよりも導体パターン32の幅W1の4倍と同じ距離短くなっている。また、2本の第9直線部36bの隙間は、導体パターン32の幅W1と等しくなっている。すなわち、導体パターン32の、U1方向に沿って引き回されている部分では、U1方向における2本の第9直線部36bの隙間は、導体パターン32の幅W1と等しくなっており、導体パターン32の、V1方向に沿って引き回されている部分では、V1方向における2本の第9直線部36bの隙間は、導体パターン32の幅W1と等しくなっている。
【0038】
また、以上のように第1〜第4パターン部33〜36が形成されているため、導体パターン32の、U1方向に沿って引き回されている部分では、U1方向において、2本の第4直線部34cの間に第5直線部35aが配置されるとともに、V1方向において、第4直線部34cと第5直線部35aとが同じ位置に配置され、U1方向において、2本の第7直線部35cの間に第8直線部36aが配置されるとともに、V1方向において、第7直線部35cと第8直線部36aとが同じ位置に配置されている。同様に、導体パターン32の、V1方向に沿って引き回されている部分では、V1方向において、2本の第4直線部34cの間に第5直線部35aが配置されるとともに、U1方向において、第4直線部34cと第5直線部35aとが同じ位置に配置され、V1方向において、2本の第7直線部35cの間に第8直線部36aが配置されるとともに、U1方向において、第7直線部35cと第8直線部36aとが同じ位置に配置されている。
【0039】
本形態では、第1直線部33aと第4直線部34cとが繋がり、第7直線部35cと第10直線部36cとが繋がるように、かつ、隣り合うパターン部群37の第3直線部34b、第6直線部35bおよび第9直線部36bの伸びる方向(具体的には、第2直線部34a、第5直線部35aおよび第8直線部36aのそれぞれに対して、第3直線部34b、第6直線部35bおよび第9直線部36bのそれぞれが伸びる方向)が異なる方向となるように複数のパターン部群37を組み合わせることで、破壊検知パターン31の一部が構成されている。具体的には、破壊検知パターン31の、プリント基板7の外周側部分と、プリント基板7の中心側部分の一部と、U1方向およびV1方向のいずれか一方に沿って引き回された導体パターン32がU1方向およびV1方向のいずれか他方へ90°に折り曲げられる部分とを除く破壊検知パターン31の一部が、第1直線部33aと第4直線部34cとが繋がり、第7直線部35cと第10直線部36cとが繋がるように、かつ、隣り合うパターン部群37の第3直線部34b、第6直線部35bおよび第9直線部36bの伸びる方向が異なる方向となるように複数のパターン部群37を組み合わせることで構成されている。
【0040】
なお、本形態では、U1方向は第1方向であり、V1方向は第2方向である。また、本形態では、導体パターン32の、U1方向に沿って引き回されている部分では、U1方向は第3方向であり、V1方向は第4方向である。一方、導体パターン32の、V1方向に沿って引き回されている部分では、U1方向は第4方向であり、V1方向は第3方向である。
【0041】
FPC25は、柔軟性を有するフィルム状に形成されている。また、FPC25は、全体として略長方形状に形成されている。FPC25には、上述のように、破壊検知パターン41が形成されている。破壊検知パターン41は、線状に形成される一対(2本)の導体パターン42が、略長方形状に形成されるFPC25の外周側から内周側に向かって渦巻き状に巻回されることによって(すなわち、FPC25の内周側から外周側に向かって渦巻き状に巻回されることによって)形成されている。本形態では、FPC25の外周側から内周側に向かって渦巻き状に巻回された一対の導体パターン42が再びFPC25の内周側から外周側に向かって渦巻き状に巻回されることで破壊検知パターン41が形成されている。
【0042】
また、FPC25は、第2ケース体24の内側面に貼り付けられる基部25aと、基部25aから導体パターン42を引き出すための引出部25bとから構成されている。基部25aは、略長方形状に形成されている。引出部25bは、細長い帯状に形成されている。破壊検知パターン41は、基部25aおよび引出部25bの両方に形成されている。
【0043】
略長方形状に形成される基部25aの長辺の方向をU2方向とし、U2方向に直交する基部25aの短辺の方向をV2方向とすると、導体パターン42は、U2方向に伸びる直線状または略直線状の直線部分と、V2方向に伸びる直線状または略直線状の直線部分との組合せによって構成されている。また、導体パターン42の長手方向(導体パターン42の経路方向)に直交する方向における導体パターン42の幅W2(
図7参照)は一定となっている。
【0044】
FPC25の厚さ方向から見たときに、導体パターン42の幅W2の12倍の長さを1辺の長さとするとともに、4辺がU2方向またはV2方向と平行になっている正方形を仮想正方形S2とすると、プリント基板7と同様に、FPC25の厚さ方向から見たときに、所定の位置に配置される仮想正方形S2の中には、導体パターン42の一部をなす第1パターン部43と、第2パターン部44と、第3パターン部45と、第4パターン部46とからなるパターン部群47が含まれている(
図7参照)。第1〜第4パターン部43〜46のそれぞれは、第1〜第4パターン部33〜36のそれぞれとほぼ同様に構成されている。
【0045】
すなわち、導体パターン42の、U2方向に沿って引き回されている部分では、第1パターン部43は、U1方向に平行な直線状に形成される第1直線部43aによって構成されている。また、導体パターン42の、U2方向に沿って引き回されている部分では、第2パターン部44は、U2方向に平行な直線状に形成されるとともに第1直線部43aよりも短い第2直線部44aと、U2方向における第2直線部44aの両端のそれぞれに基端が繋がるとともにV2方向に略平行でかつ略同方向に伸びる略直線状の2本の第3直線部44bと、2本の第3直線部44bのそれぞれの先端からU2方向の外側へ伸びる略直線状の2本の第4直線部44cとによって構成されている。
【0046】
さらに、導体パターン42の、U2方向に沿って引き回されている部分では、第3パターン部45は、U2方向に平行な直線状に形成されるとともに第2直線部44aよりも短い第5直線部45aと、U2方向における第5直線部45aの両端のそれぞれに基端が繋がるとともにV2方向に略平行でかつ第3直線部44bと略同方向に伸びる略直線状の2本の第6直線部45bと、2本の第6直線部45bのそれぞれの先端からU2方向の外側へ伸びる略直線状の2本の第7直線部45cとによって構成されている。また、導体パターン42の、U2方向に沿って引き回されている部分では、第4パターン部46は、U2方向に略平行な略直線状に形成されるとともに(より具体的には、円弧状に形成されるとともに)第5直線部45aよりも短い第8直線部46aと、U2方向における第8直線部46aの両端のそれぞれに基端が繋がるとともにV2方向に略平行でかつ第3直線部44bと略同方向に伸びる略直線状の2本の第9直線部46bと、2本の第9直線部46bのそれぞれの先端からU2方向の外側へ伸びる略直線状の2本の第10直線部46cとによって構成されている。
【0047】
同様に、導体パターン42の、V2方向に沿って引き回されている部分では、第1パターン部43は、V2方向に平行な直線状に形成される第1直線部43aによって構成されている。また、導体パターン42の、V2方向に沿って引き回されている部分では、第2パターン部44は、V2方向に平行な直線状に形成されるとともに第1直線部43aよりも短い第2直線部44aと、V2方向における第2直線部44aの両端のそれぞれに基端が繋がるとともにU2方向に略平行でかつ略同方向に伸びる略直線状の2本の第3直線部44bと、2本の第3直線部44bのそれぞれの先端からV2方向の外側へ伸びる略直線状の2本の第4直線部44cとによって構成されている。
【0048】
さらに、導体パターン42の、V2方向に沿って引き回されている部分では、第3パターン部45は、V2方向に平行な直線状に形成されるとともに第2直線部44aよりも短い第5直線部45aと、V2方向における第5直線部45aの両端のそれぞれに基端が繋がるとともにU2方向に略平行でかつ第3直線部44bと略同方向に伸びる略直線状の2本の第6直線部45bと、2本の第6直線部45bのそれぞれの先端からV2方向の外側へ伸びる略直線状の2本の第7直線部45cとによって構成されている。また、導体パターン42の、V2方向に沿って引き回されている部分では、第4パターン部46は、V2方向に略平行な略直線状に形成されるとともに(より具体的には、円弧状に形成されるとともに)第5直線部45aよりも短い第8直線部46aと、V2方向における第8直線部46aの両端のそれぞれに基端が繋がるとともにU2方向に略平行でかつ第3直線部44bと略同方向に伸びる略直線状の2本の第9直線部46bと、2本の第9直線部46bのそれぞれの先端からV2方向の外側へ伸びる略直線状の2本の第10直線部46cとによって構成されている。
【0049】
導体パターン42の、U2方向に沿って引き回されている部分では、U2方向における第1直線部43aの中心と、U2方向における第2直線部44aの中心と、U2方向における第5直線部45aの中心と、U2方向における第8直線部46aの中心とがU2方向において一致するように、第1パターン部43と第2パターン部44と第3パターン部45と第4パターン部46とがV2方向においてこの順番に並んでいる。また、導体パターン42の、U2方向に沿って引き回されている部分では、V2方向における第1直線部43aと第2直線部44aとの隙間と、V2方向における第2直線部44aと第5直線部45aとの隙間と、V2方向における第5直線部45aと第8直線部46aとの隙間と、導体パターン42の幅W2とが等しくなっている。
【0050】
同様に、導体パターン42の、V2方向に沿って引き回されている部分では、V2方向における第1直線部43aの中心と、V2方向における第2直線部44aの中心と、V2方向における第5直線部45aの中心と、V2方向における第8直線部46aの中心とがV2方向において一致するように、第1パターン部43と第2パターン部44と第3パターン部45と第4パターン部46とがU2方向においてこの順番に並んでいる。また、導体パターン42の、V2方向に沿って引き回されている部分では、U2方向における第1直線部43aと第2直線部44aとの隙間と、U2方向における第2直線部44aと第5直線部45aとの隙間と、U2方向における第5直線部45aと第8直線部46aとの隙間と、導体パターン42の幅W2とが等しくなっている。
【0051】
第3直線部44bの長さと第6直線部45bの長さと第9直線部46bの長さとは等しくなっている。また、第2直線部44aは、第1直線部43aよりも導体パターン42の幅W2と略同じ距離短くなっている。第5直線部45aは、第2直線部44aよりも導体パターン42の幅W2の4倍と略同じ距離短くなっており、第8直線部36aは、第5直線部45aよりも導体パターン42の幅W2の4倍と略同じ距離短くなっている。また、2本の第9直線部46bの隙間は、導体パターン42の幅W2と略等しくなっている。すなわち、導体パターン42の、U2方向に沿って引き回されている部分では、U2方向における2本の第9直線部46bの隙間は、導体パターン42の幅W2と略等しくなっており、導体パターン42の、V2方向に沿って引き回されている部分では、V2方向における2本の第9直線部46bの隙間は、導体パターン42の幅W2と等しくなっている。
【0052】
また、以上のように第1〜第4パターン部43〜46が形成されているため、導体パターン42の、U2方向に沿って引き回されている部分では、U2方向において、2本の第4直線部44cの間に第5直線部45aが配置されるとともに、V2方向において、第4直線部44cと第5直線部45aとが同じ位置に配置され、U2方向において、2本の第7直線部45cの間に第8直線部46aが配置されるとともに、V2方向において、第7直線部45cと第8直線部46aとが同じ位置に配置されている。同様に、導体パターン42の、V2方向に沿って引き回されている部分では、V2方向において、2本の第4直線部44cの間に第5直線部45aが配置されるとともに、U2方向において、第4直線部44cと第5直線部45aとが同じ位置に配置され、V2方向において、2本の第7直線部45cの間に第8直線部46aが配置されるとともに、U2方向において、第7直線部45cと第8直線部46aとが同じ位置に配置されている。
【0053】
本形態では、第1直線部43aと第4直線部44cとが繋がり、第7直線部45cと第10直線部46cとが繋がるように、かつ、隣り合うパターン部群47の第3直線部44b、第6直線部45bおよび第9直線部46bの伸びる方向(具体的には、第2直線部44a、第5直線部45aおよび第8直線部46aのそれぞれに対して、第3直線部44b、第6直線部45bおよび第9直線部46bのそれぞれが伸びる方向)が異なる方向となるように複数のパターン部群47を組み合わせることで、破壊検知パターン41の一部が構成されている。具体的には、破壊検知パターン41の、基部25aの外周側部分と、基部25aの中心側部分の一部と、U2方向およびV2方向のいずれか一方に沿って引き回された導体パターン42がU2方向およびV2方向のいずれか他方へ90°に折り曲げられる部分と、引出部25b等とを除く破壊検知パターン41の一部が、第1直線部43aと第4直線部44cとが繋がり、第7直線部45cと第10直線部46cとが繋がるように、かつ、隣り合うパターン部群47の第3直線部44b、第6直線部45bおよび第9直線部46bの伸びる方向が異なる方向となるように複数のパターン部群47を組み合わせることで構成されている。
【0054】
なお、本形態では、U2方向は第1方向であり、V2方向は第2方向である。また、本形態では、導体パターン42の、U2方向に沿って引き回されている部分では、U2方向は第3方向であり、V2方向は第4方向である。一方、導体パターン42の、V2方向に沿って引き回されている部分では、U2方向は第4方向であり、V2方向は第3方向である。
【0055】
プリント基板7の導体パターン32の一端とFPC25の導体パターン42の一端とは、直列に接続されている。また、導体パターン32の他端および導体パターン42の他端のいずれか一方は、破壊検知パターン31、41の断線および短絡を検知するための破壊検知回路(図示省略)に接続され、導体パターン32の他端および導体パターン42の他端のいずれか他方は、接地されている。たとえば、プリント基板7の外周端側の角部に配置され一対の導体パターン32の一端を構成する端子32a(
図3参照)と、引出部25bの端部に配置され一対の導体パターン42の一端を構成する端子42a(
図8参照)とが電気的に直列に接続され、プリント基板7の中心側に配置され一対の導体パターン32の他端を構成する端子32bおよび引出部25bの端部に配置され一対の導体パターン42の他端を構成する端子42bのいずれか一方が破壊検知回路に電気的に接続され、端子32bおよび端子42bのいずれか他方が接地されている。
【0056】
また、端子32bおよび端子42bのいずれか一方が破壊検知回路を介して、電源およびバックアップ用の電池に接続されている。カードリーダ1の電源がオンの状態のときには、電源から導体パターン32、42に電力が供給され(すなわち、破壊検知パターン31、41に電力が供給され)、カードリーダ1の電源がオフの状態のときには、バックアップ用の電池から導体パターン32、42に電力が供給される。
【0057】
本形態では、犯罪者がデータを不正に取得するために何らかの行為を行い、破壊検知パターン31、41の断線や短絡が発生して、破壊検知パターン31、41の断線や短絡が破壊検知回路で検知されると、プリント基板7、8に記憶されているデータを消去したりプリント基板7、8を使用不可な状態にしたりする等の所定の処理が実行されて、プリント基板7、8からのデータの不正取得が防止される。
【0058】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、破壊検知パターン31を構成する導体パターン32が上述のように構成されているため、パターン部群37が組み合わされた領域において、導体パターン32同士を入り組ませることが可能になる。同様に、本形態では、破壊検知パターン41を構成する導体パターン42が上述のように構成されているため、パターン部群47が組み合わされた領域において、導体パターン42同士を入り組ませることが可能になる。
【0059】
したがって、本形態では、導体パターン32、42の間の隙間を比較的広くしても、プリント基板7やFPC25がカッター等で切断されたときに破壊検知パターン32、42が切断されやすくなるとともに、プリント基板7やFPC25に何らかの細工が施されたときに破壊検知パターン32、42が短絡しやすくなる。その結果、本形態では、導体パターン32、42の間の隙間を比較的広くしても、プリント基板7およびFPC25が取り付けられるカードリーダ1のセキュリティ性を確保することが可能になる。したがって、本形態では、カードリーダ1のセキュリティ性を確保しつつ、プリント基板7およびFPC25のコストを低減することが可能になるとともに、破壊検知パターン31、41を容易に形成することが可能になる。
【0060】
本形態では、パターン部群37、47を組み合わせることで、破壊検知パターン31、41の一部が構成されている。そのため、本形態では、プリント基板7やFPC25の形状が正方形または長方形以外の複雑な形状に形成されていたり、プリント基板7やFPC25に孔が開いていたりしても、破壊検知パターン31、41を容易に形成することが可能になる。
【0061】
本形態では、プリント基板7の導体パターン32の一端とFPC25の導体パターン42の一端とが直列に接続され、導体パターン32の他端および導体パターン42の他端のいずれか一方が破壊検知回路に接続され、導体パターン32の他端および導体パターン42の他端のいずれか他方が接地されている。そのため、本形態では、プリント基板7に破壊検知パターン31が形成されるとともにFPC25に破壊検知パターン41が形成されていても、カードリーダ1の回路構成を簡素化することが可能になる。
【0062】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0063】
上述した形態では、複数のパターン部群37を組み合わせることで、破壊検知パターン31の一部が構成されているが、複数のパターン部群37を組み合わせることで、破壊検知パターン31の全部が構成されても良い。同様に、上述した形態では、複数のパターン部群47を組み合わせることで、破壊検知パターン41の一部が構成されているが、複数のパターン部群47を組み合わせることで、破壊検知パターン41の全部が構成されても良い。
【0064】
上述した形態では、破壊検知パターン31、41と破壊検知回路とによって、破壊検知パターン31、41の断線および短絡が検知されている。この他にもたとえば、破壊検知パターン31、41と破壊検知回路とによって、破壊検知パターン31、41の断線または短絡の一方のみが検知されても良い。また、上述した形態では、導体パターン32の一端と導体パターン42の一端とが直列に接続されており、破壊検知回路に対して、導体パターン32と導体パターン42とが直列に接続されているが、破壊検知回路に対して、導体パターン32と導体パターン42とが並列に接続されても良い。
【0065】
上述した形態では、プリント基板7に破壊検知パターン31が形成されているが、プリント基板7に破壊検知パターン31が形成されていなくても良い。この場合には、たとえば、破壊検知パターン31と同様の破壊検知パターンが形成されるフレキシブルプリント基板が、第1ケース体23の内周面の全体を覆うように第1ケース体23の内側面に貼り付けられる。また、上述した形態では、第2ケース体24の内周面にFPC25が貼り付けられているが、第2ケース体24の内周面にFPC25が貼り付けられなくても良い。この場合には、たとえば、破壊検知パターン41と同様の破壊検知パターンがプリント基板8に形成される。
【0066】
上述した形態では、カードリーダ1は、手動式のカードリーダであるが、カードリーダ1は、カード2を自動で搬送するカード搬送機構を有するカード搬送式のカードリーダであっても良い。また、上述した形態では、プリント基板7は、カードリーダ1のカードリーダ本体3に取り付けられているが、プリント基板7は、カードリーダ本体3以外の機器に取り付けられても良い。同様に、FPC25は、カードリーダ1のケース体4以外の機器に取り付けられても良い。