【解決手段】部品内蔵基板は、複数の単位基板を積層し、積層方向に複数の電子部品を内蔵してなる多層構造を備え、複数の単位基板は、第1絶縁層を有し、第1電子部品が収容された開口部を備えた第1基板と、第1基板に隣接し、第2絶縁層の第1基板側の面に形成された第1配線層及び第2絶縁層の少なくとも第1基板側に設けられた第1接着層を備えた中間基板とを含み、中間基板の第1配線層と第1電子部品とが第1接着層を介して対向するように配置され積層されている。
前記単位基板として第4絶縁層の一方の面に第3配線層を形成すると共に、前記第4絶縁層を貫通し前記第3配線層と前記第2電子部品とに接続されるビアを形成し、前記第4絶縁層の他方の面側に第2接着層を設けて第3基板を作製する工程を備え、
前記積層する工程では、前記第3基板を前記第2基板と前記中間基板との間に、前記第2配線層と前記第3配線層とが前記第1接着層を介して対向するように配置して積層する
ことを特徴とする請求項7記載の部品内蔵基板の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に用いられるシリコン半導体からなる電子部品では、例えばTj温度(半導体素子温度)が175℃以上になると、半導体素子自体が熱により破壊されてしまう可能性がある。従って、電子部品の運用上のTj温度は、例えば80℃〜100℃の範囲内に収まるように熱設計が行われている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来技術の部品内蔵基板においては、内蔵された電子部品の周囲が、熱伝導係数が約0.2W/mk程度のエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁樹脂材料により覆われた構造を採用している。また、複数の電子部品間にも、絶縁樹脂材料からなる接着層や中間基板などが介在するのみである。
【0007】
この絶縁樹脂材料は、熱伝導係数が約370W/mk程度の銅などの金属材料と比べると、約1/1000倍程度の熱伝導係数を示すものである。このため、電子部品の熱が拡散され難く、放熱特性を考慮した構造設計が必要となるという問題がある。
【0008】
この発明は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、部品内蔵基板全体の薄型化を図りつつ内蔵された電子部品の熱を層内において拡散させて放熱することができる部品内蔵基板及びその製造方法並びに実装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る部品内蔵基板は、複数の単位基板を積層し、積層方向に複数の電子部品を内蔵してなる多層構造の部品内蔵基板であって、前記複数の単位基板は、第1絶縁層を有し、第1電子部品が収容された開口部を備えた第1基板と、前記第1基板に隣接し、第2絶縁層の前記第1基板側の面に形成された第1配線層及び前記第2絶縁層の少なくとも前記第1基板側に設けられた第1接着層備えた中間基板とを含み、前記中間基板の前記第1配線層と前記第1電子部品とが前記第1接着層を介して対向するように配置され積層されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る部品内蔵基板によれば、第1基板に第1接着層を介して隣接する中間基板の第1配線層と第1基板の開口部に収容された第1電子部品とが、第1接着層を介して対向するように配置され積層されている。このため、第1電子部品の熱は第1接着層を通って第1配線層に伝導されるので、第1配線層を通って拡がる状態となり、層内で拡散して放熱することができる。また、第1電子部品は第1基板の開口部に収容されるので、各単位基板間に第1電子部品を収容するための絶縁体スペーサ等を配置する必要がなく、部品内蔵基板全体の薄型化を図ることができる。
【0011】
本発明の一実施形態においては、前記複数の単位基板は、前記中間基板の前記第1基板とは反対側に配置され、第3絶縁層を有し、前記第1電子部品と積層方向に重なる位置に第2電子部品が収容された開口部を備えた第2基板を含み、前記中間基板は、前記第2絶縁層の前記第2基板側の面に形成された第2配線層及び前記第2絶縁層の前記第2基板側に設けられた前記第1接着層を有する。
【0012】
本発明の他の実施形態においては、前記中間基板は、前記第2配線層と前記第2電子部品とが前記第1接着層を介して対向するように配置され積層されている。
【0013】
本発明の更に他の実施形態においては、前記複数の単位基板は、前記第2基板と前記中間基板との間に配置され、第4絶縁層の一方の面に形成された第3配線層及び前記第4絶縁層を貫通し前記第3配線層と前記第2電子部品とを接続するビアを有し、前記第4絶縁層の他方の面側に設けられた第2接着層を備えた第3基板を含み、前記中間基板は、前記第2配線層と前記第3配線層とが前記第1接着層を介して対向するように配置され積層されている。
【0014】
本発明の更に他の実施形態においては、前記中間基板の前記第1及び第2配線層の少なくとも一方は、前記第3基板の前記第3配線層と積層方向に重ならない領域に形成されている。
【0015】
本発明に係る部品内蔵基板の製造方法は、複数の単位基板を積層し、積層方向に複数の電子部品を内蔵してなる多層構造の部品内蔵基板の製造方法であって、前記単位基板として第1絶縁層に第1電子部品が収容される開口部を形成して第1基板を作製する工程と、前記単位基板として第2絶縁層の前記第1基板側に配置される面に第1配線層を形成すると共に、前記第2絶縁層の少なくとも前記第1基板側に第1接着層を設けて中間基板を作製する工程と、前記第1基板の前記開口部に前記第1電子部品を収容し、前記第1基板に対して前記中間基板を前記第1配線層と前記第1電子部品とが前記第1接着層を介して対向するように隣接配置し、前記単位基板を積層方向に複数積層する工程とを備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る部品内蔵基板の製造方法によれば、単位基板として作製された第1基板の開口部に第1電子部品を収容し、この第1基板に対して第1配線層が形成された中間基板を第1接着層を介して隣接配置し、第1配線層と第1電子部品とが第1接着層を介して対向するように単位基板を積層方向に複数積層することで部品内蔵基板を製造するので、上記部品内蔵基板の作用効果と同様の作用効果を奏する部品内蔵基板を容易に製造することができる。
【0017】
本発明の一実施形態においては、前記単位基板として第3絶縁層に第2電子部品が前記第1電子部品と積層方向に重なる位置に収容される開口部を形成して第2基板を作製する工程を備え、前記中間基板を作製する工程では、前記第2絶縁層の前記第2基板側に配置される面に第2配線層を形成すると共に、前記第2絶縁層の前記第2基板側に前記第1接着層を設け、前記積層する工程では、前記第2基板を前記中間基板に対して前記第1基板とは反対側に配置して積層する。
【0018】
本発明の他の実施形態においては、前記積層する工程では、前記第2基板を前記中間基板を介して前記第2電子部品と前記第2配線層とが前記第1接着層を介して対向するように配置して積層する。
【0019】
本発明の更に他の実施形態においては、前記単位基板として第4絶縁層の一方の面に第3配線層を形成すると共に、前記第4絶縁層を貫通し前記第3配線層と前記第2電子部品とに接続されるビアを形成し、前記第4絶縁層の他方の面側に第2接着層を設けて第3基板を作製する工程を備え、前記積層する工程では、前記第3基板を前記第2基板と前記中間基板との間に、前記第2配線層と前記第3配線層とが前記第1接着層を介して対向するように配置して積層する。
【0020】
本発明の更に他の実施形態においては、前記中間基板を作製する工程では、前記第1及び第2配線層の少なくとも一方を、前記第3基板の前記第3配線層と積層方向に重ならない領域に形成する。
【0021】
本発明に係る実装体は、上記部品内蔵基板の表面及び裏面の少なくとも一つの実装面上に他の電子部品を表面実装したものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、部品内蔵基板全体の薄型化を図りつつ内蔵された電子部品の熱を層内において拡散させて放熱することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して、この発明の実施の形態に係る部品内蔵基板及びその製造方法並びに実装体を詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る部品内蔵基板を示す断面図である。
図2は、部品内蔵基板の中間基板を示す上面図である。なお、
図1は
図2におけるA−A’線断面を表した図である。
図1及び
図2に示すように、第1の実施形態に係る部品内蔵基板1は、複数の単位基板を積層して積層方向に複数の電子部品80,90を内蔵してなるものである。
【0026】
部品内蔵基板1は、単位基板としての複数の両面基板10と、中間基板20と、複数の片面基板30とを、例えば熱圧着により一括積層した構造を備えている。この部品内蔵基板1において、中間基板20よりも積層方向の下方側に配置された両面基板10は第1基板として機能する。
【0027】
また、中間基板20よりも積層方向の上方側に配置された両面基板10は第2基板として、またこの第2基板である両面基板10と中間基板20との間に配置された片面基板30は第3基板としてそれぞれ機能する。各電子部品80,90は、各両面基板10に形成された開口部19内に、例えば背面81a,91a側を積層方向の上方側に向けると共に電極形成面81b,91b側を積層方向の下方側に向けた状態でそれぞれ収容されている。
【0028】
なお、第1基板として機能する両面基板10の開口部19内に収容された電子部品80は第1電子部品として機能し、第2基板として機能する両面基板10の開口部19内に収容された電子部品90は第2電子部品として機能する。部品内蔵基板1において内蔵される電子部品80,90は、上記のように2つに限定されるものではなく、更に多く内蔵されてもよい。
【0029】
各両面基板10は、それぞれ例えばフィルム状の第1及び第3絶縁層としての樹脂基材11と、この樹脂基材11の両面側にそれぞれ形成された配線12とを備える。また、各両面基板10は、例えば一方の配線12及び樹脂基材11を貫通するビアホール2内にめっき形成されて各配線12を接続するビア13を備える。
【0030】
また、各両面基板10は、それぞれ所定箇所において樹脂基材11及び配線12を除去した開口部19を備える。開口部19にはそれぞれ電子部品80,90が収容される。なお、第1及び第2基板を両面基板10で構成しない場合は、樹脂基材11と開口部19により第1及び第2基板を構成すれば足りる。
【0031】
中間基板20は、例えば少なくとも一つの両面基板10(
図1においては積層方向の下方側の両面基板10)に隣接し、フィルム状の第2絶縁層としての樹脂基材21と、この樹脂基材21の積層方向の下方側の面及び上方側の面にそれぞれ形成された第1及び第2配線層としての配線22とを備える。
【0032】
また、中間基板20は、樹脂基材21の少なくとも両面基板10側(
図1においては樹脂基材21の両面側)に設けられた第1接着層としての接着層9を備える。更に、中間基板20は、接着層9と共に樹脂基材21を貫通するビアホール3内に充填形成された導電性ペーストからなるビア23を備える。
【0033】
配線22は、
図2に示すように、
図2中破線で囲んだ電子部品80と積層方向に重なる領域29を含めて、樹脂基材21の両面上のほぼ全面に亘ってベタ状態で形成されている。ビア23は、本実施形態においては、配線22と面方向において非接続の状態で形成されている。
【0034】
ビア23は、例えば層間信号伝送用の導電ビアとして機能する。ビア23は、中間基板20において、樹脂基材21の面方向の端部よりやや内側の領域に、端部の外周に沿って所定間隔毎に形成されている。樹脂基材21の積層方向の下方側の面に形成された配線(以下、「下方側の配線」と呼ぶ。)22は、接着層9を介して電子部品80の背面81aと対向配置され、樹脂基材21の積層方向の上方側の面に形成された配線(以下、「上方側の配線」と呼ぶ。)22は、樹脂基材21を介して下方側の配線22と対向配置されている。
【0035】
このため、電子部品80の熱は、背面81a等から一旦接着層9に伝わり、下方側の配線22に伝わった後、この下方側の配線22に沿って面方向に拡がり拡散して放熱される。また、下方側の配線22に伝わった熱は、更に樹脂基材21を介して上方側の配線22に伝わり、同様に上方側の配線22に沿って面方向に拡がって拡散され放熱される。従って、中間基板20の配線22は、電子部品80の熱を層内で拡散する放熱層として機能する。
【0036】
各片面基板30は、それぞれ例えばフィルム状の樹脂基材31と、この樹脂基材31の一方の面に形成された第3配線層としての配線32とを備える。また、各片面基板30は、樹脂基材31の他方の面側に設けられた第2接着層としての接着層9aと、この接着層9a及び樹脂基材31を貫通するビアホール4内に充填形成された導電性ペーストからなるビア33とを備える。なお、部品内蔵基板1の最表層側にそれぞれ配置される片面基板30の外部に露出した配線32上には、所望により例えば半田からなるバンプ49が形成されている。
【0037】
なお、詳細は後述するが、両面基板10及び中間基板20は両面CCL(両面銅張積層板)により、また片面基板30は片面CCL(片面銅張積層板)によりそれぞれ構成することができる。各樹脂基材11,21,31は、それぞれ例えば厚さ約12μm〜25μm程度の低誘電材料の樹脂フィルムにより構成されている。樹脂フィルムとしては、例えばポリイミド(PI)、ポリオレフィン(PO)、液晶ポリマー(LCP)などを用いることができる。
【0038】
配線12,22,32は、例えば樹脂基材11,21,31上にパターン形成された銅箔等の導電材からなる。中間基板20の配線22は、
図2に示すように樹脂基材21上にほぼベタ状に形成されている。部品内蔵基板1に内蔵された電子部品80,90は、例えばトランジスタ、集積回路(IC)、ダイオードなどの半導体素子の能動部品や、抵抗器、コンデンサ、リレー、圧電素子などの受動部品からなる。
【0039】
図1に示す電子部品80,90は、例えば再配線を施したWLP(Wafer Level Package)を示している。各電子部品80,90の電極形成面81b,91b側には、図示しないパッド上に形成された複数の再配線電極81,91が設けられており、これら再配線電極81,91の周囲には図示しない絶縁層が形成されている。
【0040】
ビア23,33は、ビアホール3,4内にそれぞれ充填された導電性ペーストからなる。導電性ペーストは、例えばニッケル、金、銀、銅、アルミニウム、鉄などから選択される少なくとも1種類の低電気抵抗の金属粒子と、錫、ビスマス、インジウム、鉛などから選択される少なくとも1種類の低融点の金属粒子とを含んでいる。
【0041】
導電性ペーストは、これらの金属粒子にエポキシ、アクリル、ウレタンなどを主成分とするバインダ成分を混合したペーストからなる。このように構成された導電性ペーストは、硬化温度が約150℃〜200℃で、硬化後の融点が約260℃以上となる金属焼結型の特性を備える。
【0042】
また、導電性ペーストは、例えば含有された低融点の金属が200℃以下で溶融し合金を形成することができ、特に銅や銀などとは金属間化合物を形成することができる特性を備えている。従って、各ビア23,33と配線12,32との接続部は、一括積層の熱圧着時に金属間化合物により合金化されることとなる。
【0043】
なお、導電性ペーストは、例えば粒子径がナノレベルの金、銀、銅、ニッケルなどのフィラーが、上記のようなバインダ成分に混合されたナノペーストで構成することもできる。導電性ペーストは、その他、上記ニッケルなどの金属粒子が、上記のようなバインダ成分に混合されたペーストで構成することもできる。この場合、導電性ペーストは、金属粒子同士が接触することで電気的接続が行われる特性となる。
【0044】
また、導電性ペーストのビアホール3,4内への充填方法としては、例えば印刷工法、スピン塗布工法、スプレー塗布工法、ディスペンス工法、ラミネート工法、及びこれらを併用した工法などを用いることができる。ビア13は、上述したように樹脂基材11の両面に形成された配線12を層間接続するために、ビアホール2に施されためっきにより構成されている。
【0045】
第1の実施形態に係る部品内蔵基板においては、
図1に示すように、中間基板20を含めて中間基板20から積層方向の下方側に向かって、中間基板20、両面基板10及び片面基板30の順に配置され、中間基板20から積層方向の上方側に向かって、片面基板30、両面基板10及び片面基板30の順に配置された6層に積層されている。
【0046】
中間基板20と下方側の両面基板10及び上方側の片面基板30とは、中間基板20に設けられた接着層9によりそれぞれ接続され、各両面基板10と片面基板30とは、片面基板30に設けられた接着層9aによりそれぞれ接続されている。また、積層方向の最上部に配置された片面基板30を除く各片面基板30は、ビア33の一部が接着層9a側において電子部品80,90の再配線電極81,91と接続されている。
【0047】
また、各片面基板30は、ビア33のその他が配線12又はビア13と接続されて、配線32が樹脂基材31の電子部品80,90側とは反対側に位置する状態で配置されている。接着層9,9aは、例えばエポキシ系やアクリル系などの、揮発成分が含まれた有機系接着材などからなる。
【0048】
このように構成された部品内蔵基板1においては、上述したように電子部品80が収容された両面基板10に接着層9を介して隣接配置される中間基板20の両面に配線22が形成されている。このため、放熱層として機能する配線22には、接着層9や樹脂基材21を介して電子部品80の熱が伝わるので、例えばこの熱を配線22の面方向に層内で拡散して放熱することが可能となる。
【0049】
また、電子部品80,90は両面基板10の開口部19に収容されて積層方向に内蔵されているので、電子部品80,90を内蔵する箇所の厚さを両面基板10の厚さとほぼ同等の厚さに調整することができ、各単位基板間に電子部品80,90を収容するための絶縁体スペーサ等が不要で、部品内蔵基板全体の厚さを抑えて薄型化を図ることができる。
【0050】
更に、簡単な構造の両面基板10、中間基板20及び片面基板30を作製して電子部品80,90を収容した上で、例えば電子部品80の背面81aと下方側の配線22とをサーマルビアにより接続せずに、熱圧着により一括積層して部品内蔵基板1を製造することができるので、製造工程を簡素化することができる。
【0051】
なお、開口部19に収容された電子部品80,90は、その周囲を接着層9,9aにより囲まれ、積層方向の各電子部品80,90間には中間基板20の樹脂基材21が介在している。このため、電子部品80,90のウェハダイが薄くても開口部19内の体積調整が可能で、積層方向の機械的強度を確保してハンドリング性を高め、電子部品80,90間の絶縁信頼性を高めることもできる。
【0052】
次に、第1の実施形態に係る部品内蔵基板1の製造方法について説明する。
図3〜
図6は、部品内蔵基板の製造方法による製造工程を示すフローチャートである。また、
図7〜
図9は、部品内蔵基板を製造工程毎に示す断面図である。まず、
図3を参照しながら片面基板30の製造工程について説明する。
【0053】
図3に示すように、樹脂基材31の一方の面にベタ状態の銅箔などからなる導体層が形成された片面CCLを準備する。そして、この片面CCLの導体上に、例えばフォトリソグラフィによりエッチングレジストを形成した後にエッチングを行い、配線32をパターン形成する(ステップS100)。
【0054】
配線32の形成に関しては、公知のセミアディティブ法によって、例えば樹脂基材31に蒸着又はスパッタリングなどにより導体薄膜を形成後、フォトリソグラフィなどによりめっきレジストを形成した後に電解めっきを行い、めっきレジストの剥離後にエッチングにより先に形成した導体薄膜を除去する方法で配線32を形成してもよい。
【0055】
このステップS100にて用いられる片面CCLは、例えば厚さ約12μm程度の銅箔からなる導体層に、厚さ約25μm程度の樹脂基材31を貼り合わせた構造からなる。この片面CCLとしては、例えば公知のキャスティング法により、銅箔にポリイミドのワニスを塗布してそのワニスを硬化させて作製されたものを用いることができる。
【0056】
その他、片面CCLとしては、ポリイミドフィルム上にシード層をスパッタリングにより形成し、めっきにより銅を成長させて導体層を形成したものや、圧延又は電解銅箔とポリイミドフィルムとを接着材により貼り合わせて作製されたものなどを用いることもできる。
【0057】
なお、樹脂基材31は、必ずしもポリイミドフィルムからなるものである必要はなく、上述したように液晶ポリマーなどのプラスチックフィルムからなるものであってもよい。このことは、樹脂基材11,21についても同様である。また、上記エッチングには塩化第二鉄や塩化第二銅などを主成分とするエッチャントを用いることができる。
【0058】
次に、樹脂基材31の配線32側と反対側の他方の面にラミネートなどにより接着材を貼り付けて(ステップS102)、接着層9aを形成する。このステップS102にて貼り付けられる接着材としては、例えば厚さ約25μm程度のエポキシ系熱硬化性フィルムを用いることができる。
【0059】
接着材の貼り付けには真空ラミネータを用いて、例えば減圧下の雰囲気中にて接着材が硬化しない温度で0.3MPaの圧力により加熱プレスして貼り合わせることが挙げられる。なお、接着層9,9aに用いられる接着材は、上記エポキシ系の熱硬化性樹脂のみならず、アクリル系の接着材や、熱可塑性ポリイミドなどに代表される熱可塑性接着材などであってもよい。また、接着材は、必ずしもフィルム状である必要はなく、ワニス状の樹脂を塗布したものであってもよい。
【0060】
接着層9aを形成したら、接着層9a側から配線32に向かって、例えばUV−YAGレーザ等のレーザ装置を用いてレーザ光を照射し、接着層9a及び樹脂基材31を貫通するビアホール4を所定箇所に形成する(ステップS104)。形成されたビアホール4内には、例えばプラズマデスミア処理が施される。
【0061】
ビアホール4は、その他、炭酸ガスレーザ(CO
2レーザ)やエキシマレーザなどで形成してもよく、ドリル加工や化学的なエッチングなどにより形成してもよい。また、デスミア処理は、CF
4及びO
2(四フッ化メタン+酸素)の混合ガスにより行うことができるが、Ar(アルゴン)などのその他の不活性ガスを用いることもできる。更に、デスミア処理は、いわゆるドライ処理ではなく、薬液を用いたウェットデスミア処理としてもよい。
【0062】
ビアホール4を形成したら、例えばスクリーン印刷などの方法により上述したような構成の導電性ペーストをビアホール4内に充填して(ステップS106)、ビア33を形成する。こうして、配線32及びビア33が形成され接着層9aが備えられた樹脂基材31を有する片面基板30を複数製造する。
【0063】
なお、必要に応じて別途製造した電子部品80,90の再配線電極81,91を、片面基板30の所定のビアに、例えば図示しない電子部品用実装機(マウンタ)を用いて位置合わせする。そして、片面基板30の接着層9a及びビア33の導電性ペーストの硬化温度以下の温度で加熱することによって、電子部品80,90を仮留め接着して搭載する(ステップS108)。このようにして片面基板30及び電子部品80,90が搭載された片面基板30を複数準備しておく。
【0064】
次に、
図4を参照しながら両面基板10の製造工程について説明する。
まず、
図4に示すように、樹脂基材11の両面に導体層が形成された両面CCLを準備し(ステップS200)、所定箇所に上述したようにビアホール2を形成して(ステップS202)、例えばプラズマデスミア処理を行う。
【0065】
次に、樹脂基材11の全面にパネルめっき処理を施して(ステップS204)、導体層上及びビアホール2内にめっき層を形成し、配線12及びビア13の原型を形成する。そして、樹脂基材11の両面にエッチングなどを施して、配線12やビア13などをパターン形成する(ステップS206)。
【0066】
最後に、電子部品80,90が内蔵される部分の樹脂基材11を上述したようなUV−YAGレーザ等のレーザ装置を用いてレーザ光を照射することにより除去し、所定の開口径を有する開口部19を形成して(ステップS208)、電子部品80,90が収容される開口部19を有する両面基板10を複数製造する。
【0067】
次に、
図5を参照しながら中間基板20の製造工程について説明する。
まず、
図7(a)に示すように、例えばポリイミドフィルムからなる樹脂基材21の両面に導体層8が形成された両面CCLを準備する(ステップS300)。そして、
図7(b)に示すように、エッチングなどを施して両面に配線22を形成する(ステップS302)。
【0068】
次に、
図7(c)に示すように、例えば樹脂基材21の両面側に接着材を貼り付けて(ステップS304)、接着層9を形成する。そして、
図7(d)に示すように、各接着層9の表層にマスク材7を貼り付けて(ステップS306)、所定箇所にレーザ光を照射する。
【0069】
これにより、
図7(e)に示すように、マスク材7、接着層9及び樹脂基材21を貫通するビアホール3を形成する(ステップS308)。なお、上記ステップS308においては、後にビア23が形成されるビアホール3内に配線22が露出しないようにビアホール3を形成する。
【0070】
そして、
図7(f)に示すように、形成したビアホール3内に導電性ペーストを充填して(ステップS310)、最後に、
図7(g)に示すように、マスク材7を除去し(ステップS312)、ビア23を形成する。これにより、接着層9及び配線22が両面側に設けられビア23が形成された樹脂基材21を有する中間基板20を製造する。
【0071】
このようにして複数の両面基板10、中間基板20及び複数の片面基板30を作製したら、
図6及び
図8に示すように、各片面基板30に搭載された各電子部品80,90と各両面基板10の開口部19とを位置合わせすると共に、各ビア23,33と各配線12,32とを位置合わせして位置決めし、積層する(ステップS400)。
【0072】
最後に、例えば熱圧着を行う場合は真空プレス機を用いて1kPa以下の減圧雰囲気中にて加熱加圧することで熱圧着により一括積層し(ステップS402)。
図9に示すような部品内蔵基板1を製造する。その後、必要に応じて、最表層の配線32上にバンプ49を形成すれば、
図1に示すような部品内蔵基板1を製造することができる。
【0073】
なお、一括積層時には、層間や開口部19内の接着層9,9aの硬化と同時に、ビアホール3,4内に充填された導電性ペーストの硬化及び合金化が行われる。そして、金属間化合物の合金層により、各配線12,32やビア23,33の接続部の機械的強度を高め、接続信頼性を高めることができる。各基板10,20,30の積層処理は、熱圧着による一括積層に限定されるものではない。
【0074】
図10は、本発明の第1の実施形態に係る部品内蔵基板を備えた実装体を示す断面図である。実装体100は、第1の実施形態に係る部品内蔵基板1の表面及び裏面側に、内蔵された電子部品80,90とは異なる他の電子部品98,99を表面実装したものである。表面実装された各電子部品98,99は、例えば約260℃程度の温度による半田リフロー処理によって形成されたバンプ49を介して、片面基板30の所定箇所の配線32に接続されている。
【0075】
図示の例では、部品内蔵基板1の裏面側に一つの電子部品98が、表面側に二つの電子部品99がそれぞれ表面実装されているが、表面側の二つの電子部品99は、更にモールド樹脂などによる樹脂部材97によって配線32上で封止されている。このように構成された実装体100においても、部品内蔵基板1に内蔵された電子部品80の熱を中間基板20の配線22により層内で拡散して放熱するなど、上述した作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0076】
また、中間基板20が介在するため部品内蔵基板1全体の歪みや変形が抑えられているので、確実に電子部品98,99の表面実装を行うことができる。これと共に、部品内蔵基板1の構成部材に半田を用いていないため、半田リフロー時に基板内部で半田が再溶融することはなく、高い接続信頼性を確保することができる。
【0077】
図11は、本発明の第2の実施形態に係る部品内蔵基板を示す断面図である。
図12は、部品内蔵基板の中間基板を示す上面図である。なお、
図11は
図12におけるB−B’線断面を表した図である。また、以降において、既に説明した部分と重複する箇所には同一の符号を附して説明を割愛することがある。
【0078】
図11及び
図12に示すように、第2の実施形態に係る部品内蔵基板1Aは、中間基板20の上方側の配線22が、積層方向の上方側の電子部品90と接続された片面基板30の配線32と積層方向に重ならない領域に形成されている点が、第1の実施形態に係る部品内蔵基板1と相違している。
【0079】
すなわち、上方側の配線22は、
図12に示すような領域29内において配線32と積層方向に重なる領域29aには形成されないパターンに形成されている。これにより、上記作用効果と同様の作用効果を奏すると共に、中間基板20の上方側の配線22とその直上の片面基板30の電子部品90と接続された配線32とが一括積層時に接触することはなく、電気的接続信頼性をより向上させることができる。
【0080】
図13は、本発明の第3の実施形態に係る部品内蔵基板を示す断面図である。
図14は、部品内蔵基板の中間基板を示す上面図である。なお、
図13は
図14におけるC−C’線断面を表した図である。
図13及び
図14に示すように、第3の実施形態に係る部品内蔵基板1Bは、中間基板20の上方側及び下方側の配線22が、それぞれ積層方向に対向する片面基板30の配線32及び両面基板10の配線12と積層方向に重ならず、且つ各ビア23により囲まれた領域内において例えば格子状パターンにパターン形成されている点が、第2の実施形態に係る部品内蔵基板1Aと相違している。なお、配線22のパターンは、格子状パターンのみならず、放熱設計に基づき種々のパターンで構成することができる。
【0081】
図15は、本発明の第4の実施形態に係る部品内蔵基板を示す断面図である。なお、
図15においては、バンプ49の図示は省略している。
図15に示すように、第4の実施形態に係る部品内蔵基板1Cは、中間基板20の配線22が各ビア23により囲まれた領域内においてほぼベタ状態であり、中間基板20よりも積層方向の上方側における各基板の配置構成が異なる点が、第1の実施形態に係る部品内蔵基板1と相違している。
【0082】
すなわち、部品内蔵基板1Cにおいては、中間基板20よりも積層方向の上方側に向かって、両面基板10及び片面基板30の順に配置されている。また、各両面基板10の開口部に収容された電子部品80,90の背面81a,91a同士が、中間基板20を挟んで積層方向に対向するように積層配置されている。
【0083】
そして、このような構成で部品内蔵基板1の最表層に配置されていた片面基板30が省略されている点が、第1の実施形態に係る部品内蔵基板1とは異なっている。各基板10,20,30の積層配置態様は、積層方向の上方側から下方側又は下方側から上方側に向かって、それぞれ片面基板30、両面基板10、中間基板20、両面基板10及び片面基板30となっている。
【0084】
なお、電子部品90の熱は、例えば接着層9を介して中間基板20の上方側の配線22に伝わり拡散して放熱される。このように、第4の実施形態に係る部品内蔵基板1Cは、複数の電子部品80,90を内蔵しつつ放熱特性を向上させた5層構造の部品内蔵基板を実現することができる。
【0085】
図16は、本発明の第5の実施形態に係る部品内蔵基板を示す断面図である。なお、
図16においては、バンプ49の図示は省略している。
図16に示すように、第5の実施形態に係る部品内蔵基板1Dは、中間基板20の配線22が各ビア23により囲まれた領域内においてほぼベタ状態であり、中間基板20の上方側及び下方側の配線22が、積層方向の上方側及び下方側の電子部品90,80と接続された片面基板30の配線32と積層方向に重ならない領域に形成されており、且つ中間基板20よりも積層方向の下方側における各基板の配置構成が異なる点が、第2の実施形態に係る部品内蔵基板1Aと相違している。
【0086】
すなわち、部品内蔵基板1Dにおいては、中間基板20よりも積層方向の下方側に向かって、片面基板30、両面基板10及び片面基板30の順に配置されている。また、各両面基板10の開口部に収容された電子部品90,80の電極形成面91b,81b同士が、片面基板30、中間基板20及び片面基板30を挟んで積層方向に対向するように積層配置されている。中間基板20に隣接する各片面基板30における電子部品90,80と接続された配線32同士は、接着層9及び樹脂基材21を挟んで対向配置されている。
【0087】
これにより、上記作用効果と同様の作用効果を奏すると共に、中間基板20の上方側及び下方側の配線22とそれぞれの直近の片面基板30の電子部品90,80と接続された配線32とが一括積層時に接触することはなく、電気的接続信頼性をより向上させることができる。
【0088】
これら第2〜第5の実施形態に係る部品内蔵基板1A〜1Dの構成によっても、基板内部に内蔵された電子部品の熱を層内で拡散して放熱し、簡単な製造工程で製造でき部品内蔵基板全体の薄型化を図ることができるという第1の実施形態の作用効果と同様の作用効果を奏することができる。