【実施例】
【0020】
本実施例では、波長可変機能を有しSFP+規格に準拠した光モジュール100の例を説明する。しかしながら、SFP+規格に準拠した例は、小型化された光モジュール100であることを示すものであり、SFP+規格に準拠しない光モジュール100であってもよい。また、光モジュール100は、波長可変機能を有しないものであってもよい。
【0021】
図1及び2は、本実施例の波長可変機能を有しSFP+規格に準拠した光モジュール100の構成の一例を示す図である。
図1は上面を示す平面図であり、
図2はその裏面図である。光モジュール100は、主要光部品であるTOSA21、ROSA22と、送信信号用ドライバIC23と、受信信号用ポストアンプIC24と、制御回路(25、26)を搭載した制御基板27とを有している。本来光モジュール100は上記部品をケース等の構造部品に格納されるが、ここでは図示を省略している。光モジュールは小型化が進んでいるが、TOSA21・ROSA22は機能の集積化が求められているため小型化には限界がある。そのため、TOSA21とROSA22を光モジュール内に横並びに格納した場合は、その他の要素に割り当てる寸法は非常に小さくなる。従って、TOSA21及びROSA22と制御基板27とが接続される箇所は、光ファイバが接続される側とは反対側の一箇所のみとなることが多い。ここで図には示されていないが、TOSA21には波長可変機能を実現するためのIC31(後述)が備わっている。なお、IC31は波長可変機能だけでなく、他の機能を含んでいてもよく、また波長可変機能を含まずに、他の機能のみを含むIC31であってもよい。また、IC31を含まないTOSA21であってもよい。
【0022】
図3は、
図2の破線A部を拡大して示す斜視図であり、
図4は、
図2のIV−IV線に沿った断面を示す図である。なお、
図3及び4ではTOSA21と制御基板27との接続について説明するが、ROSA22であってもよい。この図に示されるように、TOSA21は、外部接続部41を有し、外部接続部41は、外部と信号を送信及び/又は受信する金属パターン端子からなる第1端子46が形成された第1面61と、同様に金属パターン端子からなる第2端子47が形成された第2面62とを有している。
【0023】
上述したように本実施形態に係るTOSA21はIC31を含み、さらに光素子等も含まれており、これらの制御・駆動のために、TOSA21において外部と信号を送受信する金属パターン端子の数は20個となる。同一面上に20個の金属パターン端子を並べて配置することは、限られたスペースにおいて困難なため、
図3に示すような異なる2つの面上に第1端子46及び第2端子47を配置する構造をとっている。なお、本実施形態においては、2つの異なる面(61,62)上にそれぞれ金属パターン端子(46,47)を配置する構成としているが、3以上の異なる面上に配置されるものであってもよい。
【0024】
外部接続部41は積層セラミック構造を有し、配線パターンなどが表面および内部に形成されている。なお、積層セラミック構造に限らずTOSA21内部と外部との電気的に接続する機能を有していれば、他の構造であっても構わない。
図4の第2面62に形成された第2端子47に、ロウ付け等により接続されるリード29はフレキシブル基板(FPC:Flexible printed circuits)32とはんだ等により接続され、フレキシブル基板32の反対側の端子は、制御基板27の金属パターン端子である第4端子49に接続されている。一方、第1面61に形成された第1端子46にロウ付け等により接続されたリード28は一部が山なりに成形(湾曲)された状態で、直接制御基板27の金属パターン端子である第3端子48に接続されている。ここで、第3端子48とリード28とは、はんだ30等により接続され、制御基板27の第4端子49とフレキシブル基板32とは、はんだ付け又はACF(Anisotropic Conductive Film)等による圧着により取付けられる。
【0025】
しかしながら、制御基板27とリード28との接続、及び制御基板27とフレキシブル基板32との接続はこれ以外の方法を適宜用いることができる。ここでリード28及び29は、導電性及び可撓性のある素材からなる信号伝達媒体であり、通常金属で形成されている。本実施形態においては、第2面62の第2端子47とフレキシブル基板32とは、リード29を介して接続されることとしたが、第2端子47とフレキシブル基板32とをリード29を用いずに接続することとしてもよい。この場合には、ACF等により第2端子47とフレキシブル基板32とを圧着することとしてもよいし、はんだ付けによる接続でも構わない。
【0026】
本実施形態の光モジュール100において、第1面61及び第2面62にそれぞれ形成された第1端子46及び第2端子47のうち、10Gbit/sの主信号ラインの高周波信号は第2面62の第2端子47にのみ印加されるものとすることができる。後述する比較例に示されるように、リード28に高周波信号が割り当てられる場合には、外部接続部41と制御基板27との間にギャップができればインピーダンス不整合による特性劣化が懸念される。インピーダンス不整合を回避するために、リードと基板間のギャップをなくそうとすると、各部品間の寸法公差を吸収して、光モジュール外形寸法公差を満たす上で歩留まりが低下することになる。
【0027】
しかしながら、フレキシブル基板32は曲げられた状態であってもインピーダンスをコントロールすることにより高周波信号を(リードと比べると)劣化させることなく伝達することができ、リード28は高周波信号に割り当てられていないため、外部接続部41と基板間にギャップを設けても高周波特性には影響なく、リードを直接制御基板27に接続しても高周波特性への影響はない。リード28を湾曲させる成形については、温度サイクルや振動、衝撃環境下における機械的応力を緩和するためのものであるが、リードにかかる応力が問題とならない場合は、こうした成形を行わなくてもよい。また、インピーダンス不整合が問題とならない等の場合にはリード28に高周波信号を割り当てることとしてもよい。なお、本実施形態において、リード28は第1面61及び第2面62のそれぞれにおいて複数であっても単数であってもよい。
【0028】
[比較例1]
図5には上述の実施形態の比較例1について示されている。
図5は、
図4と同様の視野による断面図である。上述の実施形態と同様に、TOSA21の外部接続部11は例えば積層セラミック構造などであり、外部接続部11には第1端子18が形成された第1面16と、第2端子19が形成された第2面17があり、それぞれ二つのリード12aと12bが接続されている。
【0029】
リード12a,12bは、それぞれ直接制御基板4の第3端子8,第4端子9に接続しており、かつ制御基板4が外部接続部11に物理的に接触しないように接続した(中空Bがある状態)。リード12a,12bと制御基板4上の配線パターンである第3端子8,第4端子9ははんだ2より固定した。このような中空Bを設けた理由は、部品公差などによる接続性の劣化を考慮したためである。しかし、中空BがTOSA21と制御基板4間のインピーダンス不整合の原因となり、高周波特性が劣化した。
【0030】
[比較例2]
図6は、比較例2について説明するための図である。比較例2では、
図5の中空Bがなくなるように、制御基板4を外部接続部11と接触するように接続した。その結果、インピーダンス不整合は改善したが、多数製造した場合に、各々の部品公差の影響などにより生産時の歩留まりが悪化した。例えば、リード12aと12bとの間の間隔と制御基板4の厚みは同寸法となるように設計していたが、部品公差により、例えば制御基板4の厚みが薄い場合などは、はんだ2で接続している領域において、リード12a,12bと制御基板4との間に隙間が生じ、接続性が十分ではないなどの不良が発生した。
【0031】
また、TOSA及び制御基板4は、それぞれ外部機器と物理的に接続されるため、それぞれの位置は規格上においても定められたものであるが、光モジュール内の部品の公差や外部機器の製造上の公差を考慮して、TOSA21と制御基板4との位置関係は、固定的でないことが望ましい。また、フレキシブル基板は高価であり、コスト面において不利であるため、フレキシブル基板を用いることとしても、できるだけ少ない方が望ましい。
【0032】
上述の
図1〜4に示される実施例に係る光モジュール100によれば、TOSA21及び制御基板27間において寸法公差を吸収することができると共に、高周波信号の通信品質を高く保つことができ、かつ低コストとすることができる。
【0033】
また、上述の実施例に係る光モジュール100の構造とすることで、10Gbit/sなどの高周波信号はフレキシブル基板を介して接続しているために、リード29と制御基板27とのギャップによるインピーダンス不整合の影響を抑制することができる。さらに高周波信号が伝達されない側のリード28側はリード28を直接制御基板27に接続するために、フレキシブル基板を用いていない。そのため、高価なフレキシブル基板を用いる枚数を最低限に抑えることができ、低コストが実現できる。さらに、部品寸法公差などによる接続性への影響についても、フレキシブル基板32及び湾曲したリード28により吸収することができ、製造歩留まりの低下を抑制することができる。
【0034】
また上述の実施例では、リード28とフレキシブル基板32は制御基板27の異なる面に接続している。この構造とすることで、外部接続部41と制御基板27との接続間の距離を狭くすることができ、
図4の左右方向のサイズの小型化へ寄与できる。ただし、同一面にリード28とフレキシブル基板32を接続しても本願発明の効果が得られることは言うまでもない。なお、本実施例ではリード28とフレキシブル基板32を同一の制御基板27に接続したが、これに限らず各々を異なる制御基板に接続しても構わない。
【0035】
以上のように、本発明を用いることにより高機能と高生産性を併せ持つ光モジュールを低価格で実現できる。また、小型・低コストで物理的強度及び通信品質を高く保つことができる光モジュールを実現することができる。
【0036】
なお、上述の実施例は金属パターン端子が第1面及び第1面とは異なる第2面に配置された場合であるが、更に第3面に金属パターン端子が形成されている場合には第1面の金属パターン端子にはリードを直接、残りの第2面及び第3面には一枚のフレキシブル基板を使って接続することとしてもよい。
【0037】
また、
図1におけるドライバICとポストアンプICは一体型でも構わない。また、波長可変機能を有しない光モジュールにおいても、多リードのTOSAに適用すれば同様の効果が得られることは言うまでもない。また、多リードのROSAに適用にしても同様の効果が得られることは言うまでもない。加えて、本実施例は10Gbit/s SFP+モジュールであるが、同じ10Gbit/sであるXFPであっても、またビットレートによらず、規格によらず、その他の光モジュールにおいても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0038】
さらに、本実施例では高周波信号を直接制御基板に接続するリード28には伝達させない例を示したが、要求される高周波特性によっては、高周波信号を伝達させても構わない。ただし、好ましくは本実施例のようにフレキシブル基板のみに高周波信号を伝達させることが望ましい。