特開2015-225915(P2015-225915A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-225915(P2015-225915A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/42 20100101AFI20151117BHJP
   H01L 33/38 20100101ALI20151117BHJP
【FI】
   H01L33/00 222
   H01L33/00 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-108996(P2014-108996)
(22)【出願日】2014年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】永松 雄一
(72)【発明者】
【氏名】篠原 裕直
【テーマコード(参考)】
5F141
5F241
【Fターム(参考)】
5F141AA03
5F141AA21
5F141CA04
5F141CA05
5F141CA12
5F141CA40
5F141CA88
5F141CA92
5F141CA93
5F141CA98
5F141CB04
5F141CB15
5F241AA03
5F241AA21
5F241CA04
5F241CA05
5F241CA12
5F241CA40
5F241CA88
5F241CA92
5F241CA93
5F241CA98
5F241CB04
5F241CB15
(57)【要約】
【課題】パッド電極下のAlを含む反射層と、Inを含む酸化物からなる透明電極を有する発光素子であって、透明電極の不透明化を抑えることのできる構造を有する発光素子を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る発光素子1は、発光層12を含む半導体積層体21と、半導体積層体21上に形成されたインジウムを含む酸化物からなる透明電極層14と、透明電極層14上に、透明電極層14に接続するように形成されたパッド電極15と、パッド電極15下に、透明電極層14に接触しないように形成された、Alを含む反射層16と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光層を含む半導体積層体と、
前記半導体積層体上に形成されたインジウムを含む酸化物からなる透明電極層と、
前記透明電極層上に、前記透明電極層に接続するように形成されたパッド電極と、
前記パッド電極下に、前記透明電極層に接触しないように形成された、Alを含む反射層と、
を有する発光素子。
【請求項2】
前記反射層と前記半導体積層体との間に形成された、前記半導体積層体の前記パッド電極の直下の領域の電流を抑制する絶縁性のカレントブロック層をさらに有する、
請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記反射層が、前記透明電極層に形成された孔の内部に形成された、
請求項1又は2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記反射層がAl膜である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項5】
前記透明電極が、IZO、In、ITO、又はIFOからなる、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、p側パッド電極下の低屈折率層と、半導体積層体上の透光性電極を有する発光素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。低屈折率層は、p側パッド電極へ向かう光を反射して、p側パッド電極による光吸収を抑えることができる。また、透光性電極は、p側パッド電極から流入する電流を半導体積層体の全体に広げることができる。
【0003】
また、従来、p側パッド電極下の電流阻止部を有する発光素子が知られている(例えば、特許文献2参照)。電流阻止部は絶縁性材料からなる部材であり、p側パッド電極の直下の電流を抑制して、p側パッド電極の直下の発光層が発光する割合を減少させることにより、p側パッド電極による光吸収を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−192690号公報
【特許文献2】特開2011−210847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された発光素子によれば、低屈折率層を覆うように透光性電極が形成されている。このため、低屈折率層がAlのようなAlを含む材料からなり、透光性電極がIZO(InドープZnO)のようなInを含む酸化物からなる場合、低屈折率層のAlが透光性電極のInを含む酸化物を還元し、透光性電極の表面に金属インジウムが析出する。金属インジウムは不透明であるため、透光性電極の一部が不透明化してしまう。
【0006】
本発明の目的の一つは、パッド電極下のAlを含む反射層と、Inを含む酸化物からなる透明電極を有する発光素子であって、透明電極の不透明化を抑えることのできる構造を有する発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記[1]〜[5]の発光素子を提供する。
【0008】
[1]発光層を含む半導体積層体と、前記半導体積層体上に形成されたインジウムを含む酸化物からなる透明電極層と、前記透明電極層上に、前記透明電極層に接続するように形成されたパッド電極と、前記パッド電極下に、前記透明電極層に接触しないように形成された、Alを含む反射層と、を有する発光素子。
【0009】
[2]前記反射層と前記半導体積層体との間に形成された、前記半導体積層体の前記パッド電極の直下の領域の電流を抑制する絶縁性のカレントブロック層をさらに有する、前記[1]に記載の発光素子。
【0010】
[3]前記反射層が、前記透明電極層に形成された孔の内部に形成された、前記[1]又は[2]に記載の発光素子。
【0011】
[4]前記反射層がAl膜である、前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の発光素子。
【0012】
[5]前記透明電極が、IZO、In、ITO、又はIFOからなる前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の発光素子。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、パッド電極下のAlを含む反射層と、Inを含む酸化物からなる透明電極を有する発光素子であって、透明電極の不透明化を抑えることのできる構造を有する発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施の形態に係る発光素子の垂直断面図である。
図2図2(a)、(b)は、実施の形態に係る発光素子の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔実施の形態〕
(発光素子の構成)
図1は、実施の形態に係る発光素子1の垂直断面図である。図2(a)、(b)は、発光素子1の上面図である。図1に示される断面は、図2(a)、(b)の線分A−Aにおいて発光素子1を切断したときの断面に相当する。
【0016】
図2(a)は、後述するパッド電極15、19を形成する前の上面図である。図2(b)は、パッド電極15、19を形成した後の上面図である。なお、図2(a)においては、後述するバリア層18の図示を省略する。
【0017】
発光素子1は、基板10と、基板10上の半導体積層体21と、半導体積層体21上の透明電極層14と、透明電極層14上に、透明電極層14に接続するように形成されたパッド電極15と、n型半導体層11上に、n型半導体層11に接続するように形成されたパッド電極19と、を有する。
【0018】
発光素子1は、LEDチップやレーザーダイオード等の発光素子である。また、発光素子1は、フェイスアップ型の素子であってもよいし、フェイスダウン型の素子であってもよい。
【0019】
基板10は、例えば、サファイア基板である。
【0020】
半導体積層体21は、n型半導体層11と、n型半導体層11上の発光層12と、発光層12上のp型半導体層13を含む。
【0021】
n型半導体層11、発光層12、およびp型半導体層13は、例えば、それぞれIII族窒化物化合物半導体からなる。III族窒化物化合物半導体は、例えば、AlGaIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の四元系のIII族窒化物化合物半導体である。
【0022】
n型半導体層11は、例えば、n型コンタクト層、n型ESD層、およびn型クラッド層からなる積層構造を有し、それらの各層はSi等のn型ドーパントを含む。
【0023】
発光層12は、例えば、複数の井戸層と複数の障壁層とを含む多重量子井戸構造を有する。例えば、井戸層はInGaNから、障壁層はGaN、InGaN若しくはAlGaNから形成される。
【0024】
p型半導体層13は、例えば、p型クラッド層およびp型コンタクト層からなる積層構造を有し、それらの各層はMg等のp型ドーパントを含む。
【0025】
n型半導体層11、発光層12、およびp型半導体層13は、例えば、有機金属化学気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition : MOCVD)、分子線エピタキシー法(Molecular Beam Epitaxy : MBE)、又はハライド気相エピタキシー法(Halide Vapor Phase Epitaxy : HVPE)により基板10上に結晶をエピタキシャル成長させることにより形成される。なお、n型半導体層11とp型半導体層13の位置は逆であってもよい。
【0026】
透明電極層14は、インジウムを含む酸化物、例えば、IZO(InドープZnO)、In、ITO(SnドープIn)、IFO(FドープIn)、からなる透明な層であり、パッド電極15から流れる電流をp型半導体層13へ均等に拡散させることができる。透明電極層14は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、又はゾルゲル法を用いて形成される。
【0027】
パッド電極15、19は、ボンディングワイヤー等を接続するための電極であり、例えば、Ta/Pt/Auの積層構造を有する。パッド電極15、19を介してn型半導体層11とp型半導体層13との間に電圧を印加することにより、発光層12から光が発せられる。パッド電極15、19は、スパッタリング法等を用いて形成することができる。
【0028】
パッド電極15、19の下には、Alを含む反射層16が形成されている。反射層16は、パッド電極15、19へ向かう発光層12から発せられた光を反射し、パッド電極15、19による光吸収を抑えることができる。反射層16は、スパッタリング法等を用いて形成することができる。
【0029】
反射層16は、例えば、Al膜等のAlを含む金属膜である。
【0030】
パッド電極15と半導体積層体21との間の反射層16は、透明電極層14に接触しない。透明電極層14と反射層16が接触する場合、透明電極層14を構成するインジウムを含む酸化物を反射層16に含まれるAlが還元し、透明電極層14の表面に金属インジウムが析出する。この金属インジウムは不透明であるため、透明電極層14の一部が不透明化し、発光素子1の発光を妨げる。
【0031】
反射層16は、図2(a)、(b)に示されるように、複数の分離した領域を有してもよいが、いずれの領域も、透明電極層14に接触しない。
【0032】
反射層16とパッド電極15、19との間には、Ta等からなるバリア層18が形成されている。バリア層18は、反射層16をパターニングする際に、反射層16がフォトリソグラフィーの現像液により溶けることを防止できる。バリア層18は、反射層16と同じパターンを有する。
【0033】
反射層16の下には、カレントブロック層17が形成されている。カレントブロック層17は、SiO等の絶縁材料からなる絶縁性の層であり、半導体積層体21のパッド電極15の直下の領域の電流を抑制することができる。カレントブロック層17により、パッド電極15に吸収されやすいパッド電極15の直下の領域の発光を抑制し、発光素子1の光取出効率を向上させることができる。
【0034】
また、カレントブロック層17がSiO等の低屈折率材料からなり、p型半導体層13よりも屈折率が低い場合は、p型半導体層13との間において、発光層12から発せられた光を反射して発光素子1の光取出効率を向上させることができる。
【0035】
カレントブロック層17は、高屈折率膜と低屈率膜の交互層から構成される多層膜(DBR)構造を有してもよい。例えば、低屈折率膜としてSiO膜が用いられ、高屈折率膜としてSiO膜よりも屈折率の高い透明膜が用いられる。この場合、より効果的に発光層12から発せられた光を反射することができる。なお、カレントブロック層17と反射層16との間にDBR構造を有する層が形成されてもよい。
【0036】
図2(a)、(b)に示されるように、カレントブロック層17は、パッド電極15の直下の領域を占めるような形状を有する。カレントブロック層17は、パッド電極15と同様の平面形状を有し、パッド電極15よりも若干大きい面積を有することが好ましい。
【0037】
また、カレントブロック層17は、透明電極層14と反射層16に接触し、これらを分離するような位置に形成されているため、透明電極層14と反射層16の接触を防ぐことができる。
【0038】
なお、カレントブロック層17は、半導体積層体21のパッド電極15の直下の領域の電流を抑制するため、透明電極層14上に形成されてはならない。また、反射層16は、カレントブロック層17上に透明電極層14と接触しないように形成される。このため、反射層16は、図1、2に示されるように、透明電極層14に形成された孔の内部に形成されることが好ましい。または、反射層16は、透明電極層14に形成された孔の内部に埋め込まれたカレントブロック層17上に形成されてもよい。いずれの場合であっても、カレントブロック層17の側面は透明電極層14に接触し、上面は反射層16に接触する。
【0039】
カレントブロック層17を設けない場合であっても、透明電極層14に形成された孔の内部に、透明電極層14に接触しないように反射層16を形成することにより、透明電極層14の表面への金属インジウムの析出を抑制することができる。しかしながら、上述のカレントブロック層17による発光素子1の光取出効率の向上効果を得るために、カレントブロック層17を形成することが好ましい。
【0040】
発光素子1の表面は、パッド電極15、19の上面を除いて、SiO等の絶縁材料からなる保護膜20により覆われている。
【0041】
(実施の形態の効果)
上記の実施の形態によれば、反射層16とカレントブロック層17により、発光層12から発せられた光のパッド電極15による吸収を抑えることができる。また、反射層16と透明電極層14をカレントブロック層17で分離することにより、透明電極層14の表面への金属インジウムの析出を抑制し、透明電極層14の不透明化を抑えることができる。このため、発光素子1は、高い光取出効率を有する。
【0042】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。
【0043】
また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0044】
1 発光素子
14 透明電極層
15 パッド電極
16 反射層
17 カレントブロック層
21 半導体積層体
図1
図2