【解決手段】ドレイン面側熱拡散部材41は、半導体素子のドレイン電極に電気的に接続された導体ブロック41aを有する。ゲート・ソース面側熱拡散部材42は、半導体素子のソース電極に電気的に接続された導体ブロック42aと、導体ブロック42aから絶縁され且つ半導体素子のゲート電極に電気的に接続された導体ピン42bと、を有する。半導体素子の一方の面側に配置された配線基板20は、ドレイン面側熱拡散部材41の導体ブロック41aに電気的に接続されたドレイン配線22を有する。半導体素子の他方の面側に配置された配線基板60は、ゲート・ソース面側熱拡散部材42の導体ブロック42aに接続された中間配線62と、導体ピン42bに接続されたゲート配線63とを有する。
第1の面に第1の電極を有し、前記第1の面とは反対側の第2の面に第2の電極および制御電極を有し、前記制御電極に供給される制御信号に応じて前記第1の電極と前記第2の電極との間を導通させる半導体素子と、
前記半導体素子の前記第1の面に接合され、前記第1の電極に電気的に接続された導体部分を有する第1の熱拡散部材と、
前記半導体素子の前記第2の面に接合され、前記第2の電極に電気的に接続された第1の導体部分および前記第1の導体部分から絶縁され且つ前記制御電極に電気的に接続された第2の導体部分を有する第2の熱拡散部材と、
前記第1の熱拡散部材の前記半導体素子との接合面とは反対側の面に接合された少なくとも1層の配線基板であって、前記第1の熱拡散部材の前記導体部分に電気的に接続された第1の配線を有する第1の配線基板と、
前記第2の熱拡散部材の前記半導体素子との接合面とは反対側の面に接合された少なくとも1層の配線基板であって、前記第2の熱拡散部材の前記第1の導体部分に電気的に接続された第2の配線および前記第2の熱拡散部材の前記第2の導体部分に電気的に接続された第3の配線を有する第2の配線基板と、
を含む半導体モジュール。
前記第1の配線基板および前記第2の配線基板は、それぞれ、2層の配線基板によって構成され、前記2層の配線基板のうちの前記半導体素子から近い側に配置された配線基板の配線を形成する導体の厚さが、前記2層の配線基板のうちの前記半導体素子から遠い側に配置された配線基板の配線を形成する導体の厚さよりも厚い
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の半導体モジュールを複数備え、当該複数の半導体モジュールをヒートシンクを間に挟んで積層するとともに、当該複数の半導体モジュールの各々の前記半導体素子を直列接続して構成された直列ユニットを含む
半導体スイッチ。
前記直列ユニットを複数備え、当該複数の直列ユニットを構成する複数の半導体モジュールがマトリックスアレイを形成するように、各直列ユニットを構成する複数の半導体モジュールの各々を、他の直列ユニットを構成する対応する半導体モジュールの各々と並列接続して構成された
請求項14に記載の半導体スイッチ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、開示の技術の実施形態の一例を図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体モジュール10の等価回路図である。半導体モジュール10は、4つの半導体素子Q11、Q12、Q21およびQ22を含んで構成されている。なお、以降において、4つの半導体素子Q11、Q12、Q21およびQ22を区別しない場合またはこれらを総称する場合には、半導体素子Qと表記する。
【0014】
本実施形態において、各半導体素子Qは、大電流容量かつ高耐圧のNチャネル型の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)である。しかしながら、これに限定されるものではなく、各半導体素子Qは、IGBTやバイポーラトランジスタ等の他のデバイスであってもよい。また、半導体素子QとしてSiCデバイスを使用することを想定しているが、これに限定されるものではなく、Si、Ge、GaN等の他の材料からなる半導体デバイスを使用することも可能である。
【0015】
半導体モジュール10において、半導体素子Q11とQ12とが並列に接続され、半導体素子Q21とQ22とが並列に接続されている。半導体素子Q11およびQ12からなるペアは、半導体素子Q21およびQ22からなるペアと直列接続されている。すなわち、半導体モジュール10において、複数の半導体素子Qは、所謂2in1構成とされている。複数の半導体素子を並列接続したペア同士を直列することで、単一の半導体素子同士を直列接続した場合と比較して電流容量を増大させることが可能である。
【0016】
半導体素子Q11およびQ12のゲートは、ゲート端子G1に接続されている。半導体素子Q11およびQ12のドレインは、ドレイン端子D1に接続されている。半導体素子Q11およびQ12のソースは、中間端子C、制御信号基準端子SG1および半導体素子Q21およびQ22のドレインに接続されている。半導体素子Q11およびQ12は、制御信号基準端子SG1およびゲート端子G1を介して外部から供給される制御信号に応じて互いに同じタイミングでオンオフする。
【0017】
半導体素子Q21およびQ22のゲートは、ゲート端子G2に接続されている。半導体素子Q21およびQ22のソースは、ソース端子S2に接続されるとともに制御信号基準端子SG2に接続されている。半導体素子Q21およびQ22は、制御信号基準端子SG2およびゲート端子G2を介して外部から供給される制御信号に応じて互いに同じタイミングでオンオフする。
【0018】
半導体モジュール10を例えば、インバータ用途で使用する場合には、複数の半導体モジュール10を用いる。複数の半導体モジュール10の各ドレイン端子D1を電源の正極に接続し、各ソース端子S2を電源の負極に接続し、各中間端子Cを負荷に接続する。そして、各半導体モジュール10において半導体素子Q11およびQ12からなるペアと、半導体素子Q21およびQ22からなるペアを互いに異なるタイミングでオンオフさせる。
【0019】
一方、半導体モジュール10を半導体スイッチとして使用する場合には、ドレイン端子D1を電流経路の高圧側に接続し、ソース端子S2を電流経路の低圧側に接続し、半導体素子Q11およびQ12からなるペアと、半導体素子Q21およびQ22からなるペアを同時にオンオフさせる。
【0020】
図2は、半導体モジュール10の構成を示す断面図である。
図3Aは、
図2における3A−3A線に沿った断面を矢印Aの方向から眺めた平面図である。
図3Bは、
図2における3B−3B線に沿った断面を矢印Bの方向から眺めた平面図である。
【0021】
半導体モジュール10において、各半導体素子Qの上面および下面には、導体を含んで構成されるドレイン面側熱拡散部材41またはゲート・ソース面側熱拡散部材42が接合されている。具体的には、
図2に示すように、半導体素子Q11の下面(ドレイン面P2)にドレイン面側熱拡散部材41が接合され、上面(ゲート・ソース面P2)にゲート・ソース面側熱拡散部材42が接合されている。また、半導体素子Q21の下面(ゲート・ソース面P1)にゲート・ソース面側熱拡散部材42が接合され、上面(ドレイン面P2)にドレイン面側熱拡散部材41が接合されている。半導体素子Q12およびQ22は、
図2には示されていないが、
図3Aおよび
図3Bから明らかなように、半導体素子Q12の下面(ドレイン面P2)にドレイン面側熱拡散部材41が接合され、上面(ゲート・ソース面P1)にゲート・ソース面側熱拡散部材42が接合されている。半導体素子Q22の下面(ゲート・ソース面P1)にゲート・ソース面側熱拡散部材42が接合され、上面(ドレイン面P2)にドレイン面側熱拡散部材41が接合されている。
【0022】
半導体素子Qの下面に接合されたドレイン面側熱拡散部材41またはゲート・ソース面側熱拡散部材42の、半導体素子Qとの接合面とは反対側の面は、配線基板20に接合されている。配線基板20は、絶縁基板21と、絶縁基板21の表裏に形成された配線を含んで構成されている。絶縁基板21の半導体素子Q側の面には、ドレイン配線22、ソース配線23およびゲート配線24が設けられている。絶縁基板21の半導体素子Q側の面とは反対側の面にはスルーホール25を介してソース配線23と電気的に接続された裏面配線26が設けられている。
【0023】
配線基板20の裏面配線26は、配線基板30に接合されている。配線基板30は、絶縁基板31と、絶縁基板31の表裏に形成された配線を含んで構成されている。絶縁基板31の半導体素子Q側の面には、ソース配線32が設けられ、ソース配線32は裏面配線26に接続されている。絶縁基板31の半導体素子Q側の面とは反対側の面には半導体モジュール10のいずれの端子にも電気的に接続されていないダミー配線33が設けられている。
【0024】
一方、半導体素子Qの上面に接合されたドレイン面側熱拡散部材41またはゲート・ソース面側熱拡散部材42の、半導体素子Qとの接合面とは反対側の面は、配線基板60に接合されている。配線基板60は、絶縁基板61と、絶縁基板61の表裏に形成された配線を含んで構成されている。絶縁基板61の半導体素子Q側の面には、中間配線62およびゲート配線63が設けられている。絶縁基板61の半導体素子Q側の面とは反対側の面には半導体モジュール10のいずれの端子にも電気的に接続されていないダミー配線64が設けられている。
【0025】
配線基板60のダミー配線64は、配線基板70に接合されている。配線基板70は、絶縁基板71と、絶縁基板71の表裏に形成された配線を含んで構成されている。絶縁基板71の半導体素子Q側の面には、半導体モジュール10のいずれの端子にも電気的に接続されていないダミー配線72が設けられている。絶縁基板71の半導体素子Q側の面とは反対側の面には半導体モジュール10のいずれの端子にも電気的に接続されていないダミー配線73が設けられている。
【0026】
このように、半導体モジュール10において、各半導体素子Qの上面側および下面側には、それぞれ、2層構成の配線基板が設けられている。各半導体素子Qの下面側に配置されたドレイン配線22、ソース配線23、裏面配線26およびソース配線32と、各半導体素子Qの上面側に配置された中間配線62とが平行に対向するように、配線基板20、30、60および70は、互いに平行に配置されている。
【0027】
各半導体素子Qを間に挟んで対向配置された配線基板20と配線基板60との間には、各半導体素子Qの外周を囲む環状の枠体80が設けられている。配線基板20、60および枠体80によって画定される空間には、高熱伝導性および高絶縁性を兼ね備えた固体粒子81を含有するゲル状の絶縁樹脂82が充填されている。すなわち、各半導体素子Qは、固体粒子81を含有するゲル状の絶縁樹脂82の内部に埋設されている。固体粒子81として例えばダイアモンドパウダーを好適に用いることができる。固体粒子81は、粒径が異なる少なくとも2種類の粒子の混合物であることが好ましい。固体粒子81が異なる複数の粒径を含むことで、絶縁樹脂82内に分散される固体粒子81同士の隙間を小さくすることができ、固体粒子81の含有率を高くすることができる。これにより、固体粒子81同士の接触面積が増加するので、各半導体素子Qから発せられた熱を効率的に外部に放出させることができる。
【0028】
以下に、各半導体素子Qの下面側に設けられた配線基板20および30の構成について説明する。
図4Aは、配線基板20と配線基板30の貼り合わせ前の状態を示す斜視図、
図4Bは、配線基板20と配線基板30の貼り合わせ後の状態を示す斜視図である。
【0029】
図3A、
図4Aおよび
図4Bに示すように、配線基板20は、セラミック等の絶縁体からなる絶縁基板21を有する。絶縁基板21の表面(半導体素子Q側の面)には、銅などの導電率および熱伝導率の比較的高い導体によって構成されるドレイン配線22、ソース配線23およびゲート配線24が形成されている。ドレイン配線22を配線基板20の外部に引き出すことによりドレイン端子D1が形成されている。すなわちドレイン端子D1は、ドレイン配線22と一体的に形成されている。また、ゲート配線24を配線基板20の外部に引き出すことによりゲート端子G2が形成されている。すなわち、ゲート端子G2は、ゲート配線24と一体的に形成されている。本実施形態において、ゲート端子G2の引き出し方向は、ドレイン端子D1の引き出し方向とは反対方向となるように構成されている。ソース配線23は、
図2に示すように、絶縁基板21に設けられたスルーホール25を介して絶縁基板21の裏面(半導体素子Q側とは反対側の面)に形成された裏面配線26に接続されている。裏面配線26は、絶縁基板21の表面側に設けられたドレイン配線22、ソース配線23およびゲート配線24と同じ導体によって構成されており、絶縁基板21の裏面の略全体を覆うように設けられている。絶縁基板21の表面および裏面の各配線を構成する導体は、絶縁基板21の表裏で略同じ厚さおよび略同じ面積となるように構成されている。これにより、絶縁基板21と、各配線を構成する導体との間の熱膨張係数差による絶縁基板21の反りを抑制することができる。
【0030】
一方、配線基板30は、
図4Aに示すように、セラミック等の絶縁体からなる絶縁基板31を有する。絶縁基板31の表面(半導体素子Q側の面)には、銅などの導電率および熱伝導率の比較的高い導体によって構成され、当該表面の略全体を覆うソース配線32が形成されている。ソース配線32を配線基板30の外部に引き出すことによりソース端子S2および制御信号基準端子SG2が形成されている。すなわち、ソース端子S2および制御信号基準端子SG2は、ソース配線32と一体的に形成されている。本実施形態において、ソース端子S2は、
図3Aに示すように、半導体素子Q21の搭載位置に対応する位置および半導体素子Q22の搭載位置に対応する位置の2箇所から引き出されている。
【0031】
絶縁基板31の裏面(半導体素子Q側とは反対側の面)には、半導体モジュール10のいずれの端子にも電気的に接続されないダミー配線33(
図2参照)が形成されている。ダミー配線33は、絶縁基板31の表面側に設けられたソース配線32と同じ導体によって構成されており、絶縁基板31の裏面の略全体を覆うように設けられている。絶縁基板31の表面および裏面の各配線を構成する導体は、絶縁基板31の表裏で略同じ厚さおよび略同じ面積となるように構成されている。これにより、絶縁基板31と、各配線を構成する導体との間の熱膨張係数差による絶縁基板31の反りを抑制することができる。
【0032】
また、各半導体素子Qから近い側に配置された配線基板20における導体の厚さは、各半導体素子Qから遠い側に配置された配線基板30における導体の厚さよりも厚くなっている。このように、発熱源である半導体素子Qから近い側に配置された配線基板20の導体を、半導体素子Qから遠い側に配置された配線基板30の導体よりも厚くすることで、放熱経路の上流側での熱拡散が促進され、放熱性が向上する。
【0033】
図4Aおよび
図4Bに示すように、配線基板20と配線基板30は、配線基板20の裏面配線26と配線基板30のソース配線32とが接するように貼り合わせられる。
図4Bに示すように、配線基板20と配線基板30とを貼り合わせたときに、ドレイン端子D1と2つのソース端子S2の各々とが平行となるように、これらの端子は互いに同じ方向に引き出されている。また、ゲート端子G2と制御信号基準端子GS2とが平行となるように、これらの端子は互いに同じ方向に引き出されている。
【0034】
以下に、各半導体素子Qの上面側に設けられた配線基板60および70の構成について説明する。
図5Aは、配線基板60と配線基板70の貼り合わせ前の状態を示す斜視図、
図5Bは、配線基板60と配線基板70の貼り合わせ後の状態を示す斜視図である。
【0035】
半導体素子Q側に設けられる配線基板60は、
図3B、
図5Aおよび
図5Bに示すように、セラミック等の絶縁体からなる絶縁基板61を有する。絶縁基板61の表面(半導体素子Q側の面)には、銅などの導電率および熱伝導率の比較的高い導体によって構成される中間配線62およびゲート配線63が形成されている。中間配線62を配線基板60の外部に引き出すことにより中間端子Cおよび制御信号基準端子SG1が形成されている。すなわち、中間端子Cおよび制御信号基準端子SG1は、中間配線62と一体的に形成されている。本実施形態において中間端子Cは、引き出し方向が互いに逆方向となるように中間配線62の異なる2箇所から引き出されている。
【0036】
一方、ゲート配線63を、絶縁基板61の裏面(半導体素子Q側とは反対側の面)を経由して配線基板60の外部に引き出すことによりゲート端子G1が形成されている。ゲート端子G1と制御信号基準端子GS1とが平行となるように、これらの端子は互いに同じ方向に引き出されている。絶縁基板61の裏面には、ゲート配線63の引き出し配線の他、半導体モジュール10のいずれの端子にも電気的に接続されないダミー配線64(
図2参照)が形成されている。ダミー配線64は、絶縁基板61の表面側に設けられた中間配線62およびゲート配線63と同じ導体によって構成されており、絶縁基板61の裏面の略全体を覆うように設けられている。絶縁基板61の表面および裏面の各配線を構成する導体は、絶縁基板61の表裏で略同じ厚さおよび略同じ面積となるように構成されている。これにより、絶縁基板61と、配線を構成する導体との間の熱膨張係数差による絶縁基板61の反りを抑制することができる。
【0037】
一方、配線基板70は、
図5Aに示すように、セラミック等の絶縁体からなる絶縁基板71を有する。絶縁基板71の表面(半導体素子Q側の面)には、銅などの導電率および熱伝導率の比較的高い導体によって構成され且つ半導体モジュール10のいずれの端子にも電気的に接続されないダミー配線72が形成されている。ダミー配線72は、配線基板60と配線基板70とを貼り合せたときに、配線基板60に設けられたゲート配線63の引き出し配線とダミー配線72とが接触しないように導体を切り欠いた切り欠き部72aを有する。
【0038】
絶縁基板71の裏面(半導体素子Q側とは反対側の面)には、半導体モジュール10のいずれの端子にも電気的に接続されないダミー配線73が形成されている。ダミー配線73は、絶縁基板71の表面側に設けられたダミー配線72と同じ導体によって構成されており、絶縁基板71の裏面の略全体を覆うように設けられている。絶縁基板71の表面および裏面の各配線を構成する導体は、絶縁基板71の表裏で略同じ厚さおよび略同じ面積となるように構成されている。これにより、絶縁基板71と、配線を構成する導体との間の熱膨張係数差による絶縁基板71の反りを抑制することができる。
【0039】
また、各半導体素子Qから近い側に配置された配線基板60における導体の厚さは、半導体素子Qから遠い側に配置された配線基板70における導体の厚さよりも厚くなっている。このように、発熱源である半導体素子Qから近い側に配置された配線基板60の導体を、半導体素子Qから遠い側に配置された配線基板70の導体よりも厚くすることで、放熱経路の上流側での熱拡散が促進され、放熱性が向上する。
【0040】
図5Aおよび
図5Bに示すように、配線基板60と配線基板70は、ダミー配線64とダミー配線72とが接するように貼り合わせられる。
【0041】
図6は、半導体素子Qの構成を示す斜視図である。各半導体素子Qは、一方の面にソース電極E
Sおよびゲート電極E
Gを有し、他方の面にドレイン電極E
Dを有する。以降において、半導体素子Qのソース電極E
Sおよびゲート電極E
Gが設けられた面をゲート・ソース面P1と表記し、ドレイン電極E
Dが設けられた面をドレイン面P2と表記する。ゲート電極E
Gは、ゲート・ソース面P1の中央に配置され、ソース電極E
Sは、ゲート電極E
Gの周囲を囲み且つゲート・ソース面P1の略全域に延在するように設けられている。ドレイン電極E
Dは、ドレイン面P2の略全域に延在するように設けられている。
【0042】
図7は、半導体素子Q11、半導体素子Q11のドレイン面P2に接合されたドレイン面側熱拡散部材41、半導体素子Q11のゲート・ソース面P1に接合されたゲート・ソース面側熱拡散部材42を示す斜視図である。
図8Aは、ゲート・ソース面側熱拡散部材42の構成を示す平面図、
図8Bは、
図8Aにおける8B−8B線に沿った断面図である。
【0043】
ドレイン面側熱拡散部材41は、導電率および熱伝導率の比較的高い銅などの導体からなる導体ブロック41aを含んで構成されている。半導体素子Q11のドレイン電極E
Dは、ドレイン面側熱拡散部材41の導体ブロック41aに電気的および熱的に接続されている。
【0044】
ゲート・ソース面側熱拡散部材42は、導電率および熱伝導率の比較的高い銅などの導体を含んで構成される導体ブロック42aと導体ピン42bとを含んで構成されている。
導体ブロック42aの中央部には、半導体素子Qとの接合面と配線基板60との接合面との間を貫通する貫通孔42dが設けられている。導体ピン42bは、角柱状または円柱状の形状を有する柱状体であり、貫通孔42dの内部に挿入されている。導体ピン42bの一方の端部は、半導体素子との接合面に表出し、他方の端部は、配線基板60との接合面に表出している。導体ピン42bと導体ブロック42aとの間には、絶縁樹脂42cが充填されており、導体ピン42bは導体ブロック42aから絶縁されている。半導体素子Q11のソース電極E
Sは、ゲート・ソース面側熱拡散部材42の導体ブロック42aに電気的および熱的に接続されている。半導体素子Q11のゲート電極E
Gは、ゲート・ソース面側熱拡散部材42の導体ピン42bに電気的および熱的に接続されている。導体ブロック42aの配線基板60との接合面には、配線基板60のゲート配線63と、導体ブロック42aとの接触を回避するための凹部42eが設けられている。
【0045】
半導体素子Q12、Q21およびQ22も、同様に、ドレイン面P2にドレイン面側熱拡散部材41が接合され、ゲート・ソース面P1にゲート・ソース面側熱拡散部材42が接合されている。
【0046】
図3Aに示すように、半導体素子Q11およびQ12のドレイン面P2に一方の面が接合されたドレイン面側熱拡散部材41の他方の面は、配線基板20のドレイン配線22に電気的および熱的に接続されている。すなわち、半導体素子Q11およびQ12のドレイン電極E
Dは、ドレイン面側熱拡散部材41の導体ブロック41aを介して配線基板20のドレイン配線22に電気的および熱的に接続されている。
【0047】
半導体素子Q21およびQ22のゲート・ソース面P1に一方の面が接合されたゲート・ソース面側熱拡散部材42の他方の面は、配線基板20のソース配線23およびゲート配線24に電気的および熱的に接続されている。
【0048】
図9は、半導体素子Q21(Q22)、ゲート・ソース面側熱拡散部材42、配線基板20の相互間の接続状態を示す断面図である。半導体素子Q21(Q22)のソース電極E
Sは、ゲート・ソース面側熱拡散部材42の導体ブロック42aに電気的および熱的に接続され、ゲート電極E
Gは、ゲート・ソース面側熱拡散部材42の導体ピン42bに電気的および熱的に接続されている。導体ブロック42aは、配線基板20のソース配線23に電気的および熱的に接続され、導体ピン42bは、配線基板20のゲート配線24に電気的および熱的に接続されている。すなわち、半導体素子Q21(Q22)のソース電極E
Sは、導体ブロック42aを介してソース配線23に電気的および熱的に接続され、半導体素子Q21(Q22)のゲート電極E
Gは、導体ピン42bを介してゲート配線24に電気的および熱的に接続されている。
【0049】
図3Bに示すように、半導体素子Q11およびQ12のゲート・ソース面P1に一方の面が接合されたゲート・ソース面側熱拡散部材42の他方の面は、配線基板60の中間配線62およびゲート配線63に電気的および熱的に接続されている。
【0050】
半導体素子Q11およびQ12、ゲート・ソース面側熱拡散部材42、配線基板60の相互間の接続状態は、
図9に示したものと同様である。すなわち、半導体素子Q11およびQ12のソース電極E
Sは、ゲート・ソース面側熱拡散部材42の導体ブロック42aを介して配線基板60の中間配線62に電気的および熱的に接続され、半導体素子Q11およびQ12のゲート電極E
Gは、ゲート・ソース面側熱拡散部材42の導体ピン42bを介して配線基板60のゲート配線63に電気的および熱的に接続されている。
【0051】
半導体素子Q21およびQ22のドレイン面P2に一方の面が接合されたドレイン面側熱拡散部材41の他方の面は、配線基板60の中間配線62に電気的および熱的に接続されている。すなわち、半導体素子Q21およびQ22のドレイン電極E
Dは、ドレイン面側熱拡散部材41の導体ブロック41aを介して配線基板60の中間配線62に電気的および熱的に接続されている。
【0052】
半導体素子Q11とQ12とは、配線基板20のドレイン配線22および配線基板60の中間配線62によって並列接続され、半導体素子Q21とQ22とは、配線基板20のソース配線23および配線基板60の中間配線62によって並列接続されている。半導体素子Q11およびQ12のソース電極E
Sは、半導体素子Q21およびQ22のドレイン電極E
Dと、中間配線62によって電気的に接続されている。
【0053】
図3Aおよび
図3Bに示すように、配線基板20(絶縁基板21)および配線基板60(絶縁基板61)の外形は、略正方形とされており、半導体素子Q11、Q12、Q21およびQ22は、配線基板20と配線基板60の間で、これらの配線基板の中心点に対して点対称となるように配置されている。このように、半導体素子Q11、Q12、Q21、Q22を配線基板20および60の中心点に対して点対称となるように配置することで、各半導体素子Qを両面から押し付けるように作用する押圧力が半導体素子間で均一とすることができ、半導体モジュール10の信頼性を向上させることができる。
【0054】
図10は、半導体モジュール10の外観を示す斜視図である。半導体モジュール10は、各半導体素子Qの上面および下面にドレイン面側熱拡散部材41またはゲート・ソース面側熱拡散部材42を接合したものを、配線基板20および30からなる積層基板と配線基板60および70からなる積層基板で挟むことによって形成される。
【0055】
図11は、半導体モジュール10における放熱経路を示す断面図である。
図11において、熱の主な放出方向が矢印で示されている。
図11に示すように、半導体モジュール10は、上面側および下面側にヒートシンク110を取り付けて使用することが可能である。各半導体素子Qから発せられた熱は、各半導体素子Qの上面に接合されたドレイン面側熱拡散部材41またはゲート・ソース面側熱拡散部材42、配線基板60および70を介して上面側のヒートシンク110に放出されるとともに、各半導体素子Qの下面に接合されたドレイン面側熱拡散部材41またはゲート・ソース面側熱拡散部材42、配線基板20および30を介して下面側のヒートシンク110に放出される。このように、本実施形態に係る半導体モジュール10によれば、各半導体素子Qの上面側および下面側にそれぞれ放熱経路を有するので、片側にのみ放熱経路を有する従来のパッケージと比較して放熱性能を向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る半導体モジュール10において、各半導体素子Qのゲート・ソース面P1に接合されるゲート・ソース面側熱拡散部材42は、半導体素子Qのゲート電極E
Gに当接される部分に半導体素子Qのソース電極E
Sに当接される導体ブロック42aから絶縁された導体ピン42bを有する。このように、ゲート・ソース面側熱拡散部材42にゲート接続用の導体ピン42bを設けることで、各半導体素子Qに対するワイヤボンディングが不要となり、製造工程を簡略化することが可能となる。また、ワイヤボンディングが不要となることで、半導体素子Qのゲート・ソース面P1の全体を熱拡散部材42に接合させることが可能となる。すなわち、仮にゲート電極E
Gに対するワイヤボンディングが必要とされる場合には、半導体素子Qのゲート・ソース面P1のワイヤボンディング部の周囲には熱拡散部材を当接させることができなくなる。その結果、半導体素子Qと熱拡散部材との接合面積が制限され、放熱性が低下する。本実施形態に係る半導体モジュール10によれば、ゲート・ソース面側熱拡散部材42にゲート接続用の導体ピン42bを設けたことにより、ゲート電極E
Gに対するワイヤボンディングが不要となるので、半導体素子Qのゲート・ソース面P1の全体をゲート・ソース面側熱拡散部材42に接合することが可能である。このように、本実施形態に係る半導体モジュールによれば、両面ヒートシンク構造を有する従来のパッケージよりも更に高い放熱性能を得ることができる。
【0057】
また、本実施形態に係る半導体モジュール10において、半導体素子Qの下面側において、半導体素子Qから近い側に配置された配線基板20における導体の厚さは、半導体素子Qから遠い側に配置された配線基板30における導体の厚さよりも厚くなっている。同様に、半導体素子Qの上面側において、半導体素子Qから近い側に配置された配線基板60における導体の厚さは、半導体素子Qから遠い側に配置された配線基板70における導体の厚さよりも厚くなっている。このように、発熱源である半導体素子Qから近い側に配置された配線基板20および60の導体を、半導体素子Qから遠い側に配置された配線基板30および70の導体よりも厚くすることで、放熱経路の上流側での熱拡散が促進され、放熱性が向上する。
【0058】
図12は、各半導体素子Qが制御信号に応じて導通状態となっているときの半導体モジュール10に流れる電流Iの方向を示す断面図である。半導体モジュール10は、例えば、ドレイン配線22に接続されたドレイン端子D1に電源の正極が接続され、配線基板20上のソース配線23に接続されたソース端子S2に電源の負極が接続される。この場合において、各半導体素子Qがオン状態となると、電流Iは、ドレイン端子D1からドレイン配線22に流れ、ドレイン面側熱拡散部材41を介して半導体素子Q11およびQ12のドレイン電極E
Dに入力される。電流Iは、半導体素子Q11およびQ12のソース電極E
Sから出力され、ゲート・ソース面側熱拡散部材42を介して配線基板60の中間配線62に流れる。その後、電流Iはドレイン面側熱拡散部材41を介して半導体素子Q21およびQ22のドレイン電極E
Dに入力され、ソース電極E
Sから出力される。半導体素子Q21およびQ22から出力された電流Iは、配線基板20のソース配線23、スルーホール25および配線基板30のソース配線32を介してソース端子S2から出力される。
【0059】
半導体モジュール10をインバータ用途で使用する場合、各半導体素子Qは高速でオンオフを繰り返すことから、電流経路上の配線インダクタンスが大きいと、オーバーシュートによる過電圧が発生する。したがって、配線インダクタンスを低減し、過電圧の発生を抑制することが好ましい。
【0060】
本実施形態に係る半導体モジュール10の構成によれば、
図12に示すように、各半導体素子Qの上面側を流れる電流と、各半導体素子Qの下面側を流れる電流とが逆方向に流れる。すなわち、半導体素子Qの上面側に設けられた中間配線62に流れる電流の方向は、中間配線62に対して対向配置されたソース配線23および32に流れる電流の方向とは逆方向となる。これにより、中間配線62に流れる電流によって生じる磁場と、ソース配線23および32に流れる電流によって生じる磁場とが互いに打ち消し合うように作用するので、電流入力端子であるドレイン端子D1および電流出力端子であるソース端子S2からみたパッケージ内部の配線インダクタンスを低減することができる。これにより、各半導体素子Qを高速でオンオフさせた場合におけるオーバーシュートによる過電圧を抑制することができる。
【0061】
図13は、半導体モジュール10をインバータとして使用する場合における構成例を示す平面図である。半導体モジュール10をインバータとして使用する場合、負荷の構成に応じた数の半導体モジュール10を用いる。
図13では、2つの半導体モジュール10を使用する場合が例示されている。2つの半導体モジュール10は、
図13に示すように面方向に並置される。直流電源(図示しない)の正極に接続されたP母線121は、各半導体モジュール10のドレイン端子D1に接続され、直流電源の負極に接続されたN母線122は、各半導体モジュール10のソース端子S2に接続される。ゲート端子G1、G2、制御信号基準端子GS1、GS2は、半導体モジュール10毎に設けられたゲート基板123に接続される。ゲート端子G1と制御信号基準端子GS1との間、ゲート端子G2と制御信号基準端子GS2との間には、ゲート基板123を介して制御信号が供給され、これによって各半導体素子Qのオンオフが制御される。
【0062】
各半導体モジュール10の中間端子Cには、モータ等の負荷(図示せず)に接続された負荷線124および125が接続される。例えば、図中左側の半導体モジュール10の中間端子CにはU相に対応する負荷線124が接続され、図中右側の半導体モジュール10の中間端子CにはV相に対応する負荷線125が接続されている。本実施形態に係る半導体モジュール10において、中間端子Cは、配線基板60の対向する2辺から互いに逆方向に引き出されているので、負荷線124および125を、2つの半導体モジュール10の間に集約させることができる。これにより、負荷線124および125の引き回しが容易となる。
【0063】
図14は、半導体モジュールのドレイン端子D1およびソース端子S2を
図13における矢印Xの方向からみた側面図である。ソース端子S2およびドレイン端子D1は、半導体モジュール10の同じ辺から同じ方向に引き出されている。また、ソース端子S2の引き出し長さは、ドレイン端子D1の引き出し長さよりも長くなっている。更に、ドレイン端子D1およびソース端子S2は、それぞれ、配線基板20、30の主面と平行な引き出し方向から配線基板20、30の主面に対して垂直な方向上向きに曲げられている。なお、ドレイン端子D1およびソース端子S2の曲げ方向は、配線基板20、30の主面に対して垂直方向下向きであってもよい。また曲げ角度は、厳密に垂直でなくてもよく、配線基板20、30の主面に対して概略上向きまたは下向きとなっていればよい。ドレイン端子D1およびソース端子S2を、このように構成することにより、
図13に示すように、P母線121およびN母線122を直線的に配置することが可能であり、P母線121およびN母線122の引き回しが容易となる。また、P母線121およびN母線122を平行且つ近接させて配置することが可能である。これにより、P母線121に流れる電流の方向とN母線122に流れる電流の方向を逆方向とすることができ、P母線121に流れる電流によって生じる磁場と、N母線122に流れる電流によって生じる磁場とが互いに打ち消し合うように作用させることができる。これにより、ドレイン端子D1およびソース端子S2からみたP母線121およびN母線122の配線インダクタンスを低減することができ、半導体素子Qを高速でオンオフさせた場合におけるオーバーシュートによる過電圧を抑制することができる。
【0064】
なお、本実施形態においては、4つの半導体素子Q11、Q12、Q21およびQ22を用いて所謂2in1構成とする場合を例示したが、直列接続された2つの半導体素子を用いた2in1構成としてもよい。
【0065】
また、本実施形態において、各半導体素子Qの上面側および下面側にそれぞれ2つの配線基板を設けているが、各半導体素子Qの上面側および下面側に設けられる配線基板を1つとしてもよい。この場合、ソース端子S2を配線基板20の裏面配線26から引き出して、配線基板30を廃止する。配線基板70にはダミー配線72、73しか設けられていないので、配線基板70を省略できる。配線基板20の裏面配線26からソース端子S2を引き出すよりも、配線基板20とは別の配線基板30からソース端子S2を引き出す方が、配線のパターニングが容易である。このため、本実施形態では、半導体素子Qの下面側の配線基板を2層構成としている。半導体素子Qの上面側の配線基板を2層構成としているのは、下面側の配線基板の構成に合わせるためである。これにより、半導体素子Qの上面側および下面側における放熱性能を均一することができる。
【0066】
なお、半導体素子Qは、本発明における半導体素子および他の半導体素子の一例である。ドレイン電極E
Dは、本発明における第1の電極の一例である。ソース電極E
Sは本発明における第2の電極の一例である。ゲート電極E
Gは、本発明における制御電極の一例である。ドレイン面側熱拡散部材41は、本発明における第1の熱拡散部材の一例である。ゲート・ソース面側熱拡散部材42は、本発明における第2の熱拡散部材の一例である。導体ブロック42aは、本発明における第2の熱拡散部材の第1の導体部分の一例である。導体ピン42bは、本発明における第2の熱拡散部材の第1の導体部分の一例である。配線基板20および30は、本発明における第1の配線基板の一例である。ドレイン配線22は、本発明における第1の配線の一例である。配線基板60および70は、本発明における第2の配線基板の一例である。中間配線62は、本発明における第2の配線の一例である。ゲート配線63は、本発明における第3の配線の一例である。ドレイン端子D1は、本発明における第1の端子の一例である。ソース端子S2は、本発明における第2の端子の一例である。
【0067】
[第2の実施形態]
図15は、本発明の第2の実施形態に係る半導体モジュール11の構成を示す断面図である。なお、
図15において、上記した第1の実施形態に係る半導体モジュール10と同一または対応する構成要素には同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
【0068】
上記した第1の実施形態に係る半導体モジュール10は、パッケージ内に4つの半導体素子Q11、Q12、Q21、Q22を設け、直列回路を形成するものであった。これに対して、第2の実施形態に係る半導体モジュール11は、単一の半導体素子Q11を含んで構成されている。また、第1の実施形態に係る半導体モジュール10では、半導体素子Qの上面側および下面側にそれぞれ2つの配線基板が設けられていたが、第2の実施形態に係る半導体モジュール11では半導体素子Qの上面側および下面側の配線基板を1つとしている。
【0069】
半導体素子Q11のドレイン面P2は、ドレイン面側熱拡散部材41に接合されており、ドレイン電極E
Dがドレイン面側熱拡散部材41の導体ブロック41aを介して配線基板20のドレイン配線22に電気的に接続されている。電流入力端子であるドレイン端子D1は、ドレイン配線22から引き出されている。半導体素子Q11のゲート・ソース面P1は、ゲート・ソース面側熱拡散部材42に接合されており、ソース電極E
Sが導体ブロック42aを介して配線基板60のソース配線66に電気的に接続されている、ゲート電極E
Gが導体ピン42bを介して配線基板60のゲート配線63に電気的に接続されている。電流出力端子であるソース端子S1は、ソース配線66に接続されている。ドレイン端子D1とソース端子S1とは、半導体モジュール11の同じ辺から同じ方向に引き出されている。
【0070】
絶縁基板21および絶縁基板61の裏面側(半導体素子Q11側とは反対側)にはそれぞれ、ダミー配線27および67が設けられている。絶縁基板21の表面および裏面の各配線を構成する導体は、絶縁基板21の表裏で略同じ厚さおよび略同じ面積となるように構成されている。これにより、絶縁基板21と導体との間の熱膨張係数差による絶縁基板21の反りを抑制することができる。同様に、絶縁基板61の表面および裏面の各配線を構成する導体は、絶縁基板61の表裏で略同じ厚さおよび略同じ面積となるように構成されている。これにより、絶縁基板61と導体との間の熱膨張係数差による絶縁基板61の反りを抑制することができる。
【0071】
図15には、半導体素子Q11が制御信号に応じて導通状態となっているときの半導体モジュール11に流れる電流Iの方向が示されている。第2の実施形態に係る半導体モジュール11によれば、第1の実施形態の場合と同様、半導体素子Q11の上面側のソース配線66に流れる電流と、半導体素子Q11の下面側のドレイン配線22を流れる電流とが対向し且つ逆方向に流れる。これにより、ソース配線66に流れる電流によって生じる磁場と、ドレイン配線22に流れる電流によって生じる磁場とが互いに打ち消し合うように作用するので、ドレイン端子D1およびソース端子S1からみたパッケージ内部の配線インダクタンスを低減することができる。これにより、半導体素子Q11を高速でオンオフさせた場合におけるオーバーシュートによる過電圧を抑制することができる。
【0072】
また、半導体素子Q11のドレイン面P2には、ドレイン面側熱拡散部材41が接合され、半導体素子Q11のゲート・ソース面P1には、ゲート・ソース面側熱拡散部材42が接合されている。これにより、第1の実施形態の場合と同様、半導体素子Q11から発せられた熱を半導体素子Q11の両面から放出させることが可能となる。
【0073】
[第3の実施形態]
図16は、複数の半導体モジュール10を含んで構成される本発明の第3の実施形態に係る半導体スイッチ200の構成を示す図である。複数の半導体モジュール10は、ヒートシンク210を間に挟んで、半導体素子Qのゲート・ソース面P1およびドレイン面P2に対して垂直な方向に沿って積層されている。すなわち、複数の半導体モジュール10は、内部に形成された放熱経路の方向(
図11に示す矢印の方向)に沿って積層されている。なお、最上段の半導体モジュールの上面にもヒートシンク210を取り付けることが好ましい。ヒートシンク210として例えば空冷式や水冷式の方熱器を用いることが可能である。最下段の半導体モジュール10の下面は、熱伝導率の高い部材によって構成される基台220の表面に当接されている。
【0074】
複数の半導体モジュール10の各々は、ドレイン端子D1およびソース端子S2が互いに同じ方向を向くように配置されている。この場合、複数の半導体モジュール10のゲート端子G1、G2および制御信号基準端子GS1、GS2は、ドレイン端子D1およびソース端子S2とは反対方向を向くことになる。
【0075】
半導体スイッチ200において、複数の半導体モジュール10は直列接続されている。すなわち、最上段に配置された半導体モジュール10のドレイン端子D1は、電流経路の高圧ラインHVに接続され、ソース端子S2は2段目の半導体モジュールのドレイン端子D1に接続されている。同様に、各半導体モジュール10のソース端子S2は、1つ下段の半導体モジュール10のドレイン端子D1に接続されている。最下段の半導体モジュール10のソース端子S2は、リターン導体230を介して電流経路の低圧ラインLVに接続されている。
【0076】
複数の半導体モジュール10の各々のゲート端子G1、G2および制御信号基準端子GS1、GS2は、半導体モジュール10の各々に対応して設けられた別個の制御回路241〜246に接続されている。複数の半導体モジュール10の各々の半導体素子Qは、自身に対応する制御回路241〜246から供給される制御信号に応じてオンオフする。複数の半導体モジュール10を半導体スイッチとして用いる場合には、通常、複数の半導体モジュール10内の全ての半導体素子Qを互いに同じタイミングでオンオフさせる。複数の半導体モジュール10を直列に接続することで、各半導体素子Qに印加される電圧が小さくなるので、高耐圧の半導体スイッチを構成することができる。なお、
図16では、6つの半導体モジュール10を直列に接続した例が示されているが、半導体スイッチ200を構成する半導体モジュール10の数は、必要とされる耐圧に応じて適宜増減することが可能である。また、本実施形態では、第1の実施形態に係る半導体モジュール10を用いて半導体スイッチ200を構成しているが、第2の実施形態に係る半導体モジュール11を用いることも可能である。
【0077】
本実施形態に係る半導体スイッチ200によれば、複数の半導体モジュール10が、ヒートシンク210を間に挟んで半導体モジュール10の内部に形成された放熱経路の方向に沿って積層されるので、効率的な放熱を実現するとともに半導体スイッチの高耐圧化を図ることができる。また、複数の半導体モジュール10を積層することで、装置の面方向におけるサイズを小さくすることができる。
【0078】
また、ドレイン端子D1およびソース端子S2が半導体モジュール10の同じ側に引き出されるとともに、これらの端子が半導体モジュール10の積層方向に並んでいるので、積層された半導体モジュール間を直列接続するための配線の引き回しが容易となる。すなわち、
図16に示すように、複数の半導体モジュール10を積層したときに、上段の半導体モジュール10のソース端子S2と、下段の半導体モジュール10のドレイン端子D1とが隣り合うように配置されるので、これらの配線接続が容易である。
【0079】
[第4の実施形態]
図17は、複数の半導体モジュール10を含んで構成される本発明の第4の実施形態に係る半導体スイッチ201の構成を示す図である。
図17において、
図16に示す半導体スイッチ200と同一または対応する構成要素には同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。また、
図17において、
図16における制御回路241〜246の図示を省略している。
【0080】
第4の実施形態に係る半導体スイッチ201において、複数の直列ユニット251、252および253が構成されている。各直列ユニット251、252、253の構成は、上記した第3の実施形態に係る半導体スイッチ200と等価である。すなわち、直列ユニット251、252、253は、それぞれ、複数の半導体モジュール10を、ヒートシンク210を間に挟んで積層するとともに、当該複数の半導体モジュールの各々の半導体素子Qを直列接続して構成されている。
【0081】
直列ユニット251、252、253を構成する各段の半導体モジュール10は、他の直列ユニットを構成する対応する段の半導体モジュール10の各々に並列接続されている。例えば、直列ユニット251の最上段の半導体モジュール10は、直列ユニット252の最上段の半導体モジュール10に並列接続されるとともに、直列ユニット253の最上段の半導体モジュール10に並列接続されている。同様に、直列ユニット251の2段目の半導体モジュール10は、直列ユニット252の2段目の半導体モジュール10に並列接続されるとともに、直列ユニット253の2段目の半導体モジュール10に並列接続されている。
【0082】
図18は、本実施形態に係る半導体スイッチ201の等価回路図である。本実施形態に係る半導体スイッチ201において、複数の半導体モジュールは、マトリックスアレイを形成している。このように、マトリックスアレイを形成することで、高耐圧および大電流容量の半導体スイッチを実現することができる。なお、本実施形態では、6×3のマトリックスアレイを構成した場合を例示しているが、これに限定されるものではなく、必要とされる耐圧および電流容量に応じて適宜変更することが可能である。また、本実施形態では、第1の実施形態に係る半導体モジュール10を用いて半導体スイッチ201を構成しているが、第2の実施形態に係る半導体モジュール11を用いることも可能である。