特開2015-225942(P2015-225942A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-225942(P2015-225942A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20151117BHJP
【FI】
   H01L33/00 432
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-109693(P2014-109693)
(22)【出願日】2014年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 靖晃
(72)【発明者】
【氏名】室伏 仁
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 英之
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA04
5F142BA32
5F142CA02
5F142CD02
5F142CD17
5F142CD32
5F142CE06
5F142CE13
5F142CE16
5F142CE18
5F142CF03
5F142CF13
5F142CF23
5F142CG05
5F142DA02
5F142DA12
5F142DA73
5F142FA21
(57)【要約】
【課題】パッケージ成形体に依存せずに高い反射率が得られる発光装置を提供する。
【解決手段】発光素子と、発光素子を搭載する搭載領域が定義された底面、及び底面に隣接させた側面を有する凹部が形成されたパッケージ成形体と、発光素子に接触せずに側面から底面の搭載領域の残余の領域までに渡って凹部の内壁面の上に配置された、底面に向けて低くなるように傾斜させた表面が鏡面の樹脂膜とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子を搭載する搭載領域が定義された底面、及び前記底面に隣接させた側面を有する凹部が形成されたパッケージ成形体と、
前記発光素子に接触せずに前記側面から前記底面の前記搭載領域の残余の領域までに渡って前記凹部の内壁面の上に配置された、前記底面に向けて低くなるように傾斜させた表面が鏡面である樹脂膜と
を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記樹脂膜が、前記発光素子の出射光を散乱させる誘電体粒子による高反射材を含有するシリコーン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記搭載領域の周囲を囲んで溝が形成され、前記側面から前記溝の内部まで連続的に前記樹脂膜が配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記溝の側面の傾斜が、搭載領域側よりも前記凹部の側面側で緩いことを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記凹部の前記底面において前記搭載領域が周囲の他の領域よりも高くなるように、前記凹部の前記底面に段差が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項6】
前記凹部の内部で前記発光素子及び前記樹脂膜を覆って配置された、前記発光素子の出射光によって励起されて励起光を放射する蛍光体を含有する蛍光体樹脂層を更に備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記パッケージ成形体の前記樹脂膜との接触面に、前記発光素子の出射光を反射する反射膜が配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記パッケージ成形体の一部をなす前記搭載領域を含む搭載部が熱伝導率の高い材料からなり、前記搭載部の一部が前記パッケージ成形体の外部に露出していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ成形体に搭載された発光素子を光源とする発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)などの発光素子を光源に用いた発光装置が実用化されている。例えば、蛍光体を含有する透光性の樹脂(以下において、「蛍光体樹脂」という。)で発光素子を覆った発光装置などが使用されている。このような発光装置では、発光素子を搭載するパッケージ成形体で発光素子の出射光を反射させることにより、出力光の輝度を高めることができる。例えば、光を散乱させる光散乱材を含有するパッケージ成形体に発光素子を搭載する(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−156704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光素子の出射光の反射率が高いほど、発光装置の出力光の輝度を高くできる。しかしながら、パッケージ成形体での反射によって光を散乱させた場合の反射率は、パッケージ成形体の成形に用いられる金型の面精度や成形誤差などに依存し、パッケージ成形体の製造精度に強く影響される。また、最近では省電力の観点からチップサイズの大型化を利用した小電力(低電流密度)での高効率LEDの使用が進められている。しかし、高い反射率を有する大型のパッケージ成形体の設計は難しい。
【0005】
上記問題点に鑑み、本発明は、パッケージ成形体に依存せずに高い反射率が得られる発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、(ア)発光素子と、(イ)発光素子を搭載する搭載領域が定義された底面、及び底面に隣接させた側面を有する凹部が形成されたパッケージ成形体と、(ウ)発光素子に接触せずに側面から底面の搭載領域の残余の領域までに渡って凹部の内壁面の上に配置された、底面に向けて低くなるように傾斜させた表面が鏡面の樹脂膜とを備える発光装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パッケージ成形体に依存せずに高い反射率が得られる発光装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の構成を示す模式的な断面図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の構成を示す模式的な平面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る発光装置に形成される溝の形状を示す模式図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る発光装置に配置される反射膜を示す模式図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための工程断面図である(その1)。
図6】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための工程断面図である(その2)。
図7】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための工程断面図である(その3)。
図8】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための模式的な平面図である。
図9】本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る発光装置の構成を示す模式図である。
図10】本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る発光装置の構成を示す模式図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係る発光装置の構成を示す模式図である。
図12】本発明のその他の実施形態に係る発光装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。又、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る発光装置1は、図1に示すように、発光素子10と、発光素子10を搭載する搭載領域21が定義された底面及び底面に隣接させた側面を有する凹部が形成されたパッケージ成形体20と、パッケージ成形体20の凹部の内壁面の上に配置された樹脂膜30とを備える。
【0011】
図1に示した発光装置1では、上部よりも底部が狭い凹部の底面に発光素子10が配置されている。発光素子10には、LEDやレーザダイオードなどの半導体発光素子が採用可能である。
【0012】
発光素子10をパッケージ成形体20の凹部底面に配置することにより、出力光Lの指向性が向上する。図1に示したパッケージ成形体20の内壁面は、外縁から凹部に向けて低くなるように傾斜している。ただし、ボンディングワイヤ50が接続される領域については、パッケージ成形体20の内壁面が平坦に形成されている。パッケージ成形体20に配置されたボンディング用電極と発光素子10の電極とがボンディングワイヤ50によって接続され、ボンディングワイヤ50を介して発光素子10に電力が供給される。パッケージ成形体20には、ナイロン系樹脂などを使用する。パッケージ成形体20は、金型を用いて形成可能である。
【0013】
発光装置1は、パッケージ成形体20の凹部の内部で発光素子10及び樹脂膜30を覆って配置された蛍光体樹脂層40を更に備える。蛍光体樹脂層40は、発光素子10の出射光によって励起されて励起光を放射する蛍光体を含有する。発光装置1は、発光素子10の出射光と励起光とが混色された出力光Lを出力する。
【0014】
蛍光体樹脂層40には、蛍光体を含有するシリコーン樹脂などが採用可能である。蛍光体樹脂層40に含まれる蛍光体は、発光装置1の出力光Lの波長や発光素子10の出射光の波長に応じて決定される。例えば、白色光を出力する発光装置1を実現するために、青色LEDと各種の青色励起蛍光体(黄色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体)とを組み合わせる。具体例としては、発光素子10が青色光を出射する場合には、青色光に励起されて黄色光を放射するイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)などが蛍光体として用いられる。このとき、発光素子10から出射された青色光の一部が蛍光体を励起することにより、黄色光に波長変換される。蛍光体から放射された黄色光と発光素子10から出射された青色光とが混合されることにより、白色の出力光Lが発光装置1から出力される。
【0015】
なお、発光素子10の出射光と蛍光体の組み合わせは上記の例に限られるものでないことはもちろんである。例えば、近紫外光を出射する発光素子10と、近紫外光によって励起されて赤色光、緑色光、及び青色光を放射する蛍光体を蛍光体樹脂層40に含有させてもよい。また、発光装置1の出力光Lが白色光以外であってもよい。
【0016】
樹脂膜30は、図1に示したように、パッケージ成形体20の凹部の側面から底面の搭載領域21が定義された領域の残余の領域までに渡って、凹部の内壁面上に配置されている。樹脂膜30の発光素子10に対向する表面は、凹部の底面に向けて低くなるように傾斜している。樹脂膜30の表面は鏡面であり、樹脂膜30の表面で発光素子10の出射光がランバート反射する。このように樹脂膜30の表面を光反射面とすることによって、パッケージ成形体20の凹部内部で光が散乱し、発光装置1の明るさや発光効率を向上させることができる。
【0017】
ところで、蛍光体を使用しない発光装置では、鏡面の金属膜をリフレクタに用いた金属反射によって高い反射率が得られることも多い。例えば青色LEDを光源とし、透明樹脂や散乱材を含有する樹脂でモールドした発光装置などでは、リフレクタに銀メッキを使用してもよい。
【0018】
しかし、LEDと蛍光体を組み合わせた発光装置では、誘電体粒子による高反射材(以下において、単に「高反射材」という。)を含有させた樹脂膜30をリフレクタに用いる樹脂反射において、金属反射よりも高い輝度が得られる。金属反射では反射の広がりがリフレクタ形状で決定されるため、蛍光体含有樹脂に比べて反射の広がりが狭くなりがちである。一方、酸化チタン(TiO2)などの散乱材を含有した樹脂膜30による樹脂反射はランバート反射であるため、リフレクタの形状に関わらずある程度の広がりを持って反射する。
【0019】
その結果、樹脂膜30による樹脂反射では蛍光体が光を吸収し励起できる範囲が空間的に拡大する。このため、樹脂反射は発光装置1の輝度の向上により有効である。したがって、例えば青色LEDと各種の青色励起蛍光体とを組み合わせた白色LEDなどに、本発明の実施形態は効果的である。
【0020】
樹脂膜30には、酸化チタンなどの高反射材を高濃度に含有するシリコーン系樹脂などが使用される。樹脂膜30の酸化チタンの含有率は、例えば95重量%程度である。高反射材としては、他に酸化亜鉛(ZnO)なども使用可能である。
【0021】
ところで、熱可塑性樹脂は一般的に青色光によってダメージを受けやすい。このため、発光素子10に青色LEDを使用する場合は、樹脂膜30には熱硬化性樹脂を選択することが好ましい。ただし、熱硬化性樹脂であってもエポキシ系樹脂はダメージを受けやすいため、シリコーン系樹脂が樹脂膜30に好適である。
【0022】
なお、発光素子10に樹脂膜30が接触していると、発光素子10の出射光が樹脂膜30に吸収されて、出力光Lの輝度が低下する。このため、樹脂膜30は発光素子10に接触させない。一方、発光素子10の出射光を効率的に反射させるためには、発光素子10のできるだけ近くまで樹脂膜30を配置することが好ましい。
【0023】
更に、パッケージ成形体20の凹部内に発光素子10の出射光が届かないデッドゾーンを形成させないことが必要である。このため、一般的なリフレクタレンズの形状と同様に、凹部の底面と垂直な樹脂膜30の断面形状が楕円形状などの2乗則に則った形状であることが好ましい。
【0024】
樹脂膜30は、後述するように、一定の粘性を有する液状のダム材を凹部に流し込むドローイング塗布などによって形成される。このため、図1に示した発光装置1では、パッケージ成形体20の凹部の底面において搭載領域21の周囲に溝22が形成されている。つまり、図2に示したように搭載領域21の周囲を囲んで配置された溝22によって凹部内に流し込まれたダム材が塞き止められ、樹脂膜30が搭載領域21に到達するのを防止される。図1は、図2のI−I方向に沿った断面図である。一方、樹脂膜30は、凹部の側面から溝22の内部まで連続的に配置される。このように、溝22を配置することによって、発光素子10のできるだけ近くまで樹脂膜30を配置しつつ、樹脂膜30が発光素子10に接触することが防止される。
【0025】
このとき、溝22の側面の傾斜が、搭載領域側よりも凹部の側面側で緩いことが好ましい。即ち、図3に示すように、凹部の側面側における溝22の側面221と溝22の底面220とのなす角θ1が、搭載領域側における溝22の側面222と底面220とのなす角θ2よりも大きい。これにより、凹部の側面側から溝22の内部に樹脂膜30が流れ込み易くなり、発光素子10の近傍に樹脂膜30を配置できる。
【0026】
一方、搭載領域側における溝22の側面222の傾斜を大きくすることによって、溝22を越えて樹脂膜30が発光素子10に到達することを防止できる。このため、角θ2は垂直に近いほど好ましい。ただし、角θ2が90度よりも小さくなると、溝22の内部に発光素子10の出射光を反射しない影の領域が広くなる。したがって、溝22での反射率が低下しないように、角θ2は90度以上に設定される。パッケージ成形体20の溝22は、プレス加工やエッチングなどによって形成可能である。
【0027】
なお、図4に示すように、パッケージ成形体20の樹脂膜30との接触面に、発光素子10の出射光を反射する反射膜60を配置することが好ましい。これは、以下の理由による。
【0028】
樹脂膜30が薄い場合に、発光素子10の出射光が樹脂膜30を通過してパッケージ成形体20の側面に到達する。図4に示すようにパッケージ成形体20の側面に反射膜60を配置することによって、パッケージ成形体20の側面で発光素子10の出射光が反射され、発光装置1の輝度を上げることができる。反射膜60には、例えば銀メッキなどが好適に使用される。なお、凹部の底面に形成された溝22の内壁面にも反射膜60を配置することが好ましい。発光素子10に近い領域での反射が大きいほど、発光装置1の輝度を向上させられるからである。
【0029】
以下に、図1に示した発光装置1の製造方法の例を、図5図8を参照して説明する。なお、以下に述べる製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることは勿論である。
【0030】
図5に示すように、パッケージ成形体20の搭載領域21に発光素子10を搭載する。次いで、図6に示すように、発光素子10の電極とパッケージ成形体20に用意されたボンディング用電極とをボンディングワイヤ50によって接続する。
【0031】
次に、図7に示すように、パッケージ成形体20の凹部の側面から底面に渡って、発光素子10に接触しないように凹部の内壁面上に樹脂膜30を形成する。例えば、図8に矢印で示すようなドローイングによって、樹脂膜30の材料であり高反射材を含有するダム材を凹部内に流し込む。これにより、凹部の内壁面上に樹脂膜30が塗布される。凹部の外縁部から底面に向けてダム材を流し込むために、パッケージ成形体20の凹部の内壁面が一定の傾斜を有することが好ましい。また、パッケージ成形体20の形状に応じて、ドローイングの仕方を設定する。既に述べたように、凹部の底面に形成された溝22に塞き止められるため、ダム材は発光素子10に達しない。
【0032】
その後、パッケージ成形体20の凹部を蛍光体樹脂層40によって埋め込み、発光素子10及び樹脂膜30を蛍光体樹脂層40で覆う。以上により、図1に示した発光装置1が完成する。
【0033】
なお、溝22を形成するのではなく、凹部の底面に凸部を形成してダム材を塞き止める方法も可能である。しかし、発光素子10の出射光が凸部で吸収されたり、凸部の影になって反射しない領域が生じたりするため、凸部によってダム材を塞き止めることは好ましくない。
【0034】
ダム材が粘性を有することにより、ダム材が自重によって凹部内で広がる。これにより、樹脂膜30の表面が滑らかに傾斜する鏡面となる。なお、ダム材の塗布には、ディスペンサによるドローイング方式以外にも、スタンピング方式、ポッティング方式、スプレー方式など種々の塗布法を採用可能である。
【0035】
ダム材を凹部に流し込むことによって形成するためには、ダム材に一定の粘性が必要である。ただし、粘性が高すぎるとダム材が所望の形状に広がらない。一方、ダム材の粘性が低すぎると、溝22を越えてダム材が流れ込み、樹脂膜30が発光素子10に接してしまう。また、樹脂膜30の表面がなだらかな傾斜にならず、発光素子10の出射光を効率的に反射できない。なお、表面の傾斜をなだらかにして樹脂膜30の断面形状が2乗則に則った形状であるように、ダム材の粘性を希釈によって調整することが可能である。
【0036】
本発明者らの検討によれば、発光素子10の出射光を効率的に反射するように樹脂膜30の表面を形成するためには、ダム材の粘性が3Pa・s〜45Pa・sの範囲であることが好ましい。ダム材が一定の粘性を有することによって、樹脂膜30の端部の角は滑らかであり、表面張力によって端面は略垂直になる。
また、本発明者らの検討によれば、上記のダム材を使用することにより、樹脂膜30の傾斜は5°〜50°である。
【0037】
以上に説明したように、本発明の第1の実施形態に係る発光装置1では、樹脂膜30によって発光素子10の出射光がランバート反射される。このため、パッケージ成形体20に依存せずに高い反射率が得られる。その結果、発光装置1の出力光Lの輝度を向上させることができる。
【0038】
ところで、精密な反射光の設計を行えば、金属反射によっても輝度の高い白色光を出力する発光装置を実現できる可能性がある。しかし、そのためには、パッケージ成形体20の形状ごとに反射光の設計を行わなければならず、発光装置のコストが上昇する。更に、パッケージ成形体20の製造誤差や反射面の成形に使用される金型の面精度などによって、発光装置の輝度が大きく影響を受けてしまう。
【0039】
これに対し、発光装置1の樹脂膜30の形成は金型を使用した固形成型ではないため、金型の面精度への依存がなく、発光装置1の出力光Lの輝度は製造ばらつきの影響を受けにくい。本発明者らの調査によれば、樹脂膜30を発光素子10の周囲に配置することにより、樹脂膜30を配置しない場合に比べて出力光Lの輝度が7%〜10%程度向上した。
【0040】
<第1の変形例>
リフレクタレンズとして機能する樹脂膜30は、発光素子10に近いほどリフレクタとして有効である。このため、図9に示したように、パッケージ成形体20の凹部の側面では、底面に近い領域のみに樹脂膜30を配置してもよい。つまり、凹部の開口部近傍の側面には樹脂膜30を配置しなくてもよい。特に、発光素子10の出射光の波長が短いほど、搭載領域21から離れた領域に樹脂膜30を配置しなくても反射率は低下しない。
【0041】
図9に示したように底面上及び底面に近い側面上のみに樹脂膜30を配置する場合には、樹脂膜30のドローイング塗布は必ずしも必要ではない。例えば、ディスペンサによるポッティングによって、所望の領域に樹脂膜30を配置することができる。このため、図9に示した発光装置1は量産化に適している。
【0042】
なお、図9に示した発光装置1では、ボンディングワイヤ50に樹脂膜30が被さっていない。したがって、樹脂膜30での反射がボンディングワイヤ50によって妨げられない。このため、ボンディングワイヤ50の一部が樹脂膜30を貫通する場合よりも、発光装置1の出力光Lの輝度が向上する。
【0043】
<第2の変形例>
図10に示すように、パッケージ成形体20の一部をなし搭載領域21を含む搭載部201が熱伝導率の高い材料からなり、搭載部201の一部をパッケージ成形体20の外部に露出させてもよい。パッケージ成形体20の裏面に露出させた搭載部201をヒートシンク70と接触させることによって、発光素子10で発生する熱を効率的に放熱させることができる。搭載部201には、熱伝導率の高い金属などを使用する。例えば銅(Cu)の台座上にニッケル銀(NiAg)、または銀(Ag)などの薄膜を形成した構造を搭載部201に採用可能である。発光素子10はニッケル銀膜上に搭載される。
【0044】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る発光装置1は、図11に示すように、パッケージ成形体20の凹部の底面において搭載領域21が周囲の他の領域よりも高く形成されている。即ち、凹部の底面に溝22が形成されず、凹部の底面に段差が設けられていることが、図1に示した発光装置1と異なる点である。その他の構成については、第1の実施形態と同様である。樹脂膜30は、底面の段差の低い領域まで、即ち搭載領域21と他の領域との境界まで配置される。
【0045】
図1に示した発光装置1では、凹部の底面に形成した溝22によって、樹脂膜30の材料であるダム材が発光素子10に到達するのが防止される。一方、図11に示した発光装置1では、凹部の底面に段差を設けることによってダム材が発光素子10に到達するのを防止する。
【0046】
他は、第1の実施形態と実質的に同様であり、重複した記載を省略する。例えば、図9に示したように、パッケージ成形体20の凹部内で底面に近い領域のみに樹脂膜30を配置してもよい。また、パッケージ成形体20の裏面に搭載部201と接触させてヒートシンク70を配置してもよい。
【0047】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0048】
既に述べた実施形態の説明においては、発光素子10の出射光と、この出射光によって励起される蛍光体からの出射光を混色させた出力光Lを発光装置1が出力する例を示した。これに対し、発光素子10の出射光をそのまま出力光Lとする場合には、図12に示すように蛍光体樹脂層40のない発光装置1を形成してもよい。なお、蛍光体を含有しない透明の樹脂層や高反射材を含有した樹脂層で発光素子10及び樹脂膜30を覆ってもよい。
【0049】
また、パッケージ成形体20の凹部に格納された発光素子10が1つである例を示したが、発光装置1が複数の発光素子10を備えてもよい。
【0050】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0051】
1…発光装置
10…発光素子
20…パッケージ成形体
21…搭載領域
22…溝
30…樹脂膜
40…蛍光体樹脂層
50…ボンディングワイヤ
60…反射膜
70…ヒートシンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12