【解決手段】コイルユニット35は、偶数個のコイル26と、偶数個のコイル26を保持するコイル保持部材9とを備えている。コイル保持部材9の外周面には、互いに略平行な一対の側面からなる側面対が形成されるとともに、コイル保持部材9の外周面は、2個以上の側面対によって構成されている。コイルユニット35では、コイル保持部材9の側面に、1個のコイル26が直接巻回される凸部9eがコイル保持部材9の外周側に突出するように形成され、コイル保持部材9の側面対の凸部9eに巻回される2個のコイル26は、1本の導線によって構成されている。
コイルを保持するコイル保持部材が固定される本体部と、前記本体部を回転させる回転機構と、前記コイルを構成する導線を供給する供給ノズルと、前記本体部と一緒に回転する従属ヘッドとを備え、
前記コイル保持部材の側面には、1個の前記コイルが直接巻回される凸部が前記コイル保持部材の外周側に突出するように形成され、
前記従属ヘッドは、前記コイル保持部材の側面に対向するように配置されていることを特徴とする巻線装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の撮影用光学装置では、空芯コイルである4個の駆動用コイルのそれぞれを略四角筒状に形成されるケース体の内周面に固定しなければならないため、ケース体への駆動用コイルの取付作業が煩雑になる。また、この撮影用光学装置では、4個の駆動用コイルのそれぞれの両端部(すなわち、駆動用コイルを構成する導線の両端部)の処理をしなければならない。すなわち、この撮影用光学装置では、導線の8個の端部の処理をしなければならない。そのため、この撮影用光学装置では、ケース体への駆動用コイルの取付作業がより煩雑になる。
【0006】
そこで、本発明の第1の課題は、コイルと、コイルを保持するコイル保持部材とを備えるコイルユニットにおいて、コイル保持部材へのコイルの取付作業を容易に行うことが可能なコイルユニットを提供することにある。また、本発明の第1の課題は、かかるコイルユニットを備える駆動機構を提供することにある。
【0007】
また、本願発明者は、コイルを保持するコイル保持部材にコイルを直接巻回することを検討している。特許文献2には、空芯コイルを製造するための巻線装置は開示されているが、コイル保持部材にコイルを直接巻回する巻線装置は開示されていない。
【0008】
そこで、本発明の第2の課題は、コイルを保持するコイル保持部材にコイルが直接巻回されても、コイルの巻崩れを防止することが可能な巻線装置を提供することにある。また、本発明の第2の課題は、かかる巻線装置を用いてコイル保持部材にコイルを巻回する巻線方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の第1の課題を解決するため、本発明のコイルユニットは、偶数個のコイルと、偶数個のコイルを保持するコイル保持部材とを備え、コイル保持部材の外周面には、互いに略平行な一対の側面からなる側面対が形成されるとともに、コイル保持部材の外周面は、2個以上の側面対によって構成され、側面には、1個のコイルが直接巻回される凸部がコイル保持部材の外周側に突出するように形成され、側面対の凸部に巻回される2個のコイルは、1本の導線によって構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明のコイルユニットでは、コイル保持部材の側面に形成される凸部にコイルが直接巻回されている。そのため、本発明では、凸部にコイルを巻回することで、そのまま、コイルをコイル保持部材に取り付けることが可能になる。また、本発明では、一対の側面からなる側面対の凸部に巻回される2個のコイルが1本の導線によって構成されているため、処理しなければならない導線の端部の数を減らすことが可能になる。したがって、本発明では、コイル保持部材へのコイルの取付作業を容易に行うことが可能になる。
【0011】
本発明において、コイルの内周端は、凸部に密着していることが好ましい。このように構成すると、コイル保持部材に対するコイルの固定強度を高めることが可能になる。
【0012】
本発明において、凸部の先端側は、コイルよりもコイル保持部材の外周側へ突出していることが好ましい。このように構成すると、凸部に巻回されるコイルの巻崩れが発生しにくくなる。また、このように構成すると、コイルユニットを取り扱う際に、コイルが外部の部材に接触しにくくなる。したがって、コイルユニットを取り扱う際のコイルの損傷を防止することが可能になる。
【0013】
本発明において、コイル保持部材は、筒状に形成され、コイルは、2個の長辺部と、長辺部よりも短い2個の短辺部とから構成される略長方形の枠状に形成されるとともに、筒状に形成されるコイル保持部材の軸方向とコイルの短手方向とが一致し、軸方向に直交する方向とコイルの長手方向とが一致するように凸部に巻回され、略長方形の枠状に形成されるコイルの内周端の、長辺部の部分を第1内周端とし、コイルの内周端の、短辺部の部分を第2内周端とすると、側面には、2個の第1内周端の少なくとも一部および2個の第2内周端の少なくとも一部が接触するように凸部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、凸部に直接巻回されて略長方形状の枠状に形成されるコイルを精度良く形成することが可能になるとともに、コイル保持部材に対するコイルの取付位置の精度を高めることが可能になる。
【0014】
本発明において、コイル保持部材は、筒状に形成され、コイルは、2個の長辺部と、長辺部よりも短い2個の短辺部とから構成される略長方形の枠状に形成されるとともに、筒状に形成されるコイル保持部材の軸方向とコイルの短手方向とが一致し、軸方向に直交する方向とコイルの長手方向とが一致するように凸部に巻回され、略長方形の枠状に形成されるコイルの内周端の、長辺部の部分を第1内周端とすると、側面には、2個の第1内周端の中心部分が接触する1個の凸部が形成されていても良い。この場合には、コイル保持部材の軸方向において、コイル保持部材に対するコイルの取付位置の精度を高めることが可能になる。
【0015】
本発明のコイルユニットは、たとえば、コイルのそれぞれに対向配置される駆動用磁石を備える駆動機構に用いることができる。この駆動機構では、たとえば、コイル保持部材は、筒状に形成されるとともに、コイル保持部材の外周面は、2個の側面対によって構成され、筒状に形成されるコイル保持部材の軸方向から見たときのコイル保持部材の外周面は、略正方形状または略長方形状となっている。この駆動機構では、コイル保持部材へのコイルの取付作業を容易に行うことが可能になる。
【0016】
また、上記の第2の課題を解決するため、本発明の巻線装置は、コイルを保持するコイル保持部材が固定される本体部と、本体部を回転させる回転機構と、コイルを構成する導線を供給する供給ノズルと、本体部と一緒に回転する従属ヘッドとを備え、コイル保持部材の側面には、1個のコイルが直接巻回される凸部がコイル保持部材の外周側に突出するように形成され、従属ヘッドは、コイル保持部材の側面に対向するように配置されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の巻線装置は、コイル保持部材が固定される本体部と、コイル保持部材の側面に対向するように配置され本体部と一緒に回転する従属ヘッドとを備えている。したがって、本発明では、コイル保持部材の外周側へのコイルの巻崩れを防止するための鍔部等の巻崩れ防止部が形成されていないコイル保持部材の凸部にコイルが直接巻回されても、従属ヘッドの作用によってコイルの巻崩れを防止することが可能になる。
【0018】
本発明において、従属ヘッドには、凸部の先端側部分が入り込む凹部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、巻線装置の構成部品やコイル保持部材の製造上のばらつき、巻線装置の組立誤差および本体部に対するコイル保持部材の取付誤差等が生じても、凸部の先端と従属ヘッドとの間に隙間が形成されるのを防止することが可能になる。したがって、巻崩れ防止部が形成されていない凸部に直接巻回されるコイルの巻崩れを確実に防止することが可能になる。
【0019】
本発明において、コイル保持部材は、筒状に形成され、コイルは、2個の長辺部と、長辺部よりも短い2個の短辺部とから構成される略長方形の枠状に形成されるとともに、筒状に形成されるコイル保持部材の軸方向とコイルの短手方向とが一致し、軸方向に直交する方向とコイルの長手方向とが一致するように凸部に巻回され、略長方形の枠状に形成されるコイルの内周端の、長辺部の部分を第1内周端とし、コイルの内周端の、短辺部の部分を第2内周端とすると、側面には、2個の第1内周端の少なくとも一部が接触するとともに2個の第2内周端のそれぞれの少なくとも一部が接触するように2個の凸部が形成され、従属ヘッドには、2個の凸部の間に配置されるヘッド側凸部がコイル保持部材側に突出するように形成されていることが好ましい。このように構成すると、凸部にコイルを巻回する際に、従属ヘッドに対するコイル保持部材の位置決めが容易になる。
【0020】
本発明において、コイル保持部材は、筒状に形成され、コイルは、2個の長辺部と、長辺部よりも短い2個の短辺部とから構成される略長方形の枠状に形成されるとともに、筒状に形成されるコイル保持部材の軸方向とコイルの短手方向とが一致し、軸方向に直交する方向とコイルの長手方向とが一致するように凸部に巻回され、略長方形の枠状に形成されるコイルの内周端の、長辺部の部分を第1内周端とすると、側面には、2個の第1内周端の中心部分が接触する1個の凸部が形成され、従属ヘッドには、コイルの長手方向において凸部の両側に配置される2個のヘッド側凸部がコイル保持部材側に突出するように形成され、軸方向における凸部の幅は、軸方向におけるヘッド側凸部の幅よりも広くなっており、軸方向に直交するコイルの厚さ方向における凸部の厚さは、コイルの厚さ方向におけるヘッド側凸部の厚さ以下となっていることが好ましい。
【0021】
このように構成すると、軸方向における凸部の幅が、軸方向におけるヘッド側凸部の幅よりも広くなっているため、2個の第1内周端の中心部分が接触する1個の凸部がコイル保持部材の側面に形成されている場合であっても、凸部にコイルを直接巻回することが可能になる。また、このように構成すると、コイルの厚さ方向における凸部の厚さが、コイルの厚さ方向におけるヘッド側凸部の厚さ以下となっているため、巻線装置の構成部品やコイル保持部材の製造上のばらつき、巻線装置の組立誤差および本体部に対するコイル保持部材の取付誤差等が生じても、ヘッド側凸部の先端とコイル保持部材の側面との間に隙間が形成されるのを防止することが可能になる。したがって、2個の第1内周端の中心部分が接触する1個の凸部がコイル保持部材の側面に形成されている場合であっても、巻崩れ防止部が形成されていない凸部に直接巻回されるコイルの巻崩れを確実に防止することが可能になる。さらに、このように構成すると、凸部の先端側がコイルよりもコイル保持部材の外周側へ突出しないため、コイルの厚さを確保しつつ、コイル保持部材とコイルとから構成されるコイルユニットを小型化することが可能になる。
【0022】
本発明の巻線装置を用いて、コイル保持部材の凸部にコイルを直接巻回することができる。この巻線方法で巻線を行えば、巻崩れ防止部が形成されていない凸部にコイルを直接巻回しても、従属ヘッドの作用によってコイルの巻崩れを防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明のコイルユニットおよび駆動機構では、コイル保持部材へのコイルの取付作業を容易に行うことが可能になる。また、本発明の巻線装置では、コイル保持部材にコイルが直接巻回されても、コイルの巻崩れを防止することが可能になる。また、本発明の巻線方法で巻線を行えば、コイル保持部材の凸部にコイルを直接巻回しても、コイルの巻崩れを防止することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
(撮影用光学装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるコイルユニット35が搭載される撮影用光学装置1の斜視図である。
図2は、
図1のE−E断面の断面図である。
図3は、
図1に示す撮影用光学装置1の分解斜視図である。なお、以下の説明では、
図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、
図1等のZ1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0027】
本形態の撮影用光学装置1は、携帯電話等の携帯機器、ドライブレコーダあるいは監視カメラシステム等に搭載される小型かつ薄型のカメラであり、手振れ等の振れを補正する振れ補正機能を備えている。この撮影用光学装置1は、全体として略四角柱状に形成されている。本形態では、撮影用光学装置1は、撮影用のレンズの光軸Lの方向(光軸方向)から見たときの形状が略正方形状となるように形成されており、撮影用光学装置1の4つの側面は、左右方向と上下方向とから構成される平面または前後方向と上下方向とから構成される平面と略平行になっている。
【0028】
撮影用光学装置1は、撮影用のレンズおよび撮像素子が搭載される可動モジュール3と、可動モジュール3を揺動可能に保持する支持体4とを備えている。可動モジュール3は、バネ部材5、6によって支持体4と繋がれている。また、撮影用光学装置1は、支持体4に対して可動モジュール3を揺動させて手振れ等の振れを補正するための振れ補正機構7を備えている。本形態では、上下方向は、可動モジュール3が揺動していないときの可動モジュール3の光軸方向とほぼ一致する。また、本形態では、可動モジュール3の下端に撮像素子が搭載されており、上側に配置される被写体が撮影される。
【0029】
可動モジュール3は、全体として、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となる略四角柱状に形成されている。この可動モジュール3は、レンズおよび撮像素子を有するカメラモジュール8と、カメラモジュール8が固定されるホルダ9とを備えている。カメラモジュール8は、たとえば、レンズを保持し光軸方向へ移動可能な可動体と、この可動体を光軸方向へ移動可能に保持する保持体と、可動体と保持体とを繋ぐ板バネと、可動体を光軸方向へ駆動するレンズ駆動機構とを備えている。すなわち、カメラモジュール8は、オートフォーカス機構を備えている。カメラモジュール8の下端側からは、フレキシブルプリント基板10が引き出されている。なお、カメラモジュール8は、オートフォーカス機構を備えていなくても良い。
【0030】
ホルダ9は、光軸方向から見たときの外形が略正方形状となる筒状に形成されている。カメラモジュール8は、ホルダ9によってカメラモジュール8の外周側が覆われるように、ホルダ9の内周側に固定されている。筒状に形成されるホルダ9の軸方向は、光軸方向と一致している。本形態のホルダ9は、振れ補正機構7を構成する後述の偶数個の振れ補正用コイル26を保持するコイル保持部材である。
【0031】
支持体4は、支持体4の前後左右の4つの側面を構成するケース体11と、支持体4の下端側部分を構成する下ケース体12とを備えている。本形態では、ケース体11は、撮影用光学装置1の前後左右の4つの側面を構成し、下ケース体12は、撮影用光学装置1の下端側部分を構成している。ケース体11は、略四角筒状に形成されている。ケース体11の上端には、略四角形の枠状に形成されるカバー14が固定されている。カバー14の上面は、カバーシート15に覆われている。また、カバー14の下端側には、略四角形の枠状に形成されるフレーム16が固定されている。このケース体11は、可動モジュール3および振れ補正機構7を外周側から覆うように配置されている。下ケース体12は、底付きの略四角筒状に形成されている。下ケース体12の底部には、貫通孔12aが形成されている。貫通孔12aは、下ケース体12の下面に固定される底板17によって塞がれている。ケース体11の下端と下ケース体12の上端との間には、可動モジュール3の揺動範囲を規制するストッパ18が固定されている。
【0032】
バネ部材5は、板バネであり、平板状に形成されている。このバネ部材5は、可動モジュール3の上端側に固定される可動側固定部と、支持体4の上端側に固定される支持側固定部と、可動側固定部と支持側固定部とを繋ぐ複数の腕部とを備えている。バネ部材5は、振れ補正機構7を構成する後述の振れ補正用コイル26に電流が供給されていないときに、可動モジュール3の姿勢を維持する機能を果たしている。
【0033】
バネ部材6は、板バネであり、全体として板状に形成されるとともに、略正方形の枠状に形成されている。このバネ部材6は、その4辺が前後方向または左右方向と略平行になるように配置されている。略正方形の枠状に形成されるバネ部材6の各辺の中心部には、前後方向または左右方向に対して蛇行する蛇行部が形成されている。また、バネ部材6は、互いに当接するように積層される2枚のバネ部材31、32によって構成されている。バネ部材31とバネ部材32とはレーザ溶接で接合されている。
【0034】
バネ部材6の四隅のそれぞれの内側には、球状に形成される球体20が固定されている。球体20は、金属材料で形成されている。この球体20は、レーザ溶接によってバネ部材6に接合されている。4個の球体20のうち、バネ部材6の一方の対角線上に配置される2個の球体20は、球体20を回動可能に支持する支持部材22に支持され、残りの2個の球体20は、球体20を回動可能に支持する支持部材23に支持されている。支持部材22は、ホルダ9の上端側に固定されている。支持部材23は、フレーム16の下端側に固定されている。支持部材22、23には、球体20の一部が配置される半球状の凹部が形成されている。支持部材22、23は、バネ部材6の内周側から球体20を回動可能に保持している。
【0035】
振れ補正機構7は、ホルダ9の4つの側面のそれぞれに取り付けられるコイルとしての振れ補正用コイル26と、ケース体11の4つの内側面のそれぞれに取り付けられる駆動用磁石としての振れ補正用磁石27とを備えている。すなわち、振れ補正機構7は、4個の振れ補正用コイル26と、4個の振れ補正用磁石27とを備えている。振れ補正用コイル26は、略長方形状の枠状に導線が巻回されることで形成されている。振れ補正用磁石27は、長方形の平板状に形成されており、振れ補正用コイル26に対向するようにケース体11の内側面に固定されている。本形態では、ホルダ9と4個の振れ補正用コイル26とによってコイルユニット35(
図4参照)が構成されている。コイルユニット35の詳細な構成については後述する。なお、本形態の振れ補正機構7は、駆動機構である。
【0036】
以上のように構成された撮影用光学装置1では、可動モジュール3の下端面に取り付けられるジャイロスコープ28(
図2参照)によって可動モジュール3の傾きの変化が検出されると、ジャイロスコープ28での検出結果に基づいて、振れ補正用コイル26に電流が供給される。また、振れ補正用コイル26に電流が供給されると、支持部材23を中心に球体20が回動し、球体20を中心に支持部材22が回動するとともに、バネ部材6が撓むことで、可動モジュール3が光軸Lを傾けるように揺動して、振れが補正される。
【0037】
(コイルユニットの構成)
図4は、本発明の実施の形態にかかるコイルユニット35の斜視図である。
図5は、
図4に示すホルダ9の平面図である。
【0038】
上述のように、コイルユニット35は、ホルダ9と4個の振れ補正用コイル26とによって構成されている。また、上述のように、ホルダ9は、光軸方向から見たときの外形が略正方形状となる筒状に形成されている。すなわち、ホルダ9の軸方向から見たときのホルダ9の外周面は、略正方形状に形成されており、ホルダ9の外周面には、
図5に示すように、平面状の4つの側面9a〜9dが形成されている。側面9aと側面9bとは、互いに略平行になっており、側面9cと側面9dとは、互いに略平行になっている。すなわち、ホルダ9の外周面には、互いに略平行な一対の側面9a、9bからなる側面対と、互いに略平行な一対の側面9c、9dからなる側面対とが形成されるとともに、この2個の側面対によってホルダ9の外周面が構成されている。撮影用光学装置1において、側面9a、9bは、左右方向に直交しており、側面9c、9dは、前後方向に直交している。
【0039】
側面9a〜9dのそれぞれには、ホルダ9の外周側に突出する2個の凸部9eが形成されている。側面9a、9bのそれぞれに形成される2個の凸部9eは、前後方向に所定の間隔をあけた状態で形成され、側面9c、9dのそれぞれに形成される2個の凸部9eは、左右方向に所定の間隔をあけた状態で形成されている。2個の凸部9eには、1個の振れ補正用コイル26が直接巻回されている。
【0040】
振れ補正用コイル26は、上述のように、略長方形状の枠状に形成されており、
図4に示すように、2個の長辺部26aと、長辺部26aよりも短い2個の短辺部26bとから構成されている。振れ補正用コイル26は、その短手方向と光軸方向とが一致するように凸部9eに巻回されている。また、側面9a、9bの凸部9eに巻回される振れ補正用コイル26は、その長手方向と前後方向とが一致するように凸部9eに巻回され、側面9c、9dの凸部9eに巻回される振れ補正用コイル26は、その長手方向と左右方向とが一致するように、凸部9eに巻回されている。すなわち、振れ補正用コイル26は、その長手方向と、光軸方向に直交する前後方向または左右方向とが一致するように凸部9eに巻回されている。
【0041】
図3、
図4に示すように、略長方形の枠状に形成される振れ補正用コイル26の内周端の、長辺部26aの部分を第1内周端26cとし、振れ補正用コイル26の内周端の、短辺部26bの部分を第2内周端26dとすると、凸部9eは、振れ補正用コイル26の2個の第1内周端26cの一部および2個の第2内周端26dの少なくとも一部が凸部9eに接触するように形成されている。具体的には、側面9a〜9dに形成される2個の凸部9eのそれぞれに2個の第1内周端26cの一部が接触する(すなわち、1個の凸部9eに2個の第1内周端26cの一部が接触する)とともに、2個の凸部9eのそれぞれに2個の第2内周端26dのそれぞれの少なくとも一部が接触するように凸部9eが形成されている。また、振れ補正用コイル26の内周端は、凸部9eに密着している。
【0042】
2個の長辺部26aのうちの下側に配置される長辺部26aは、側面9a〜9dのいずれかに接触している。すなわち、側面9a、9bの凸部9eに巻回される振れ補正用コイル26の2個の長辺部26aのうちの下側に配置される長辺部26aの左右方向の内側面は、側面9a、9bに接触し、側面9c、9dの凸部9eに巻回される振れ補正用コイル26の2個の長辺部26aのうちの下側に配置される長辺部26aの前後方向の内側面は、側面9c、9dに接触している。
【0043】
また、ホルダ9には、2個の長辺部26aのうちの上側に配置される長辺部26aが接触する接触面9fが形成されている。接触面9fは、凸部9eの上端に繋がるように形成されている(
図2、
図7参照)。また、
図5に示すように、接触面9fは、側面9a〜9dと同一平面上に形成されている。側面9a、9bの凸部9eに巻回される振れ補正用コイル26の2個の長辺部26aのうちの上側に配置される長辺部26aの左右方向の内側面は、側面9a、9bの凸部9eの上端に繋がる接触面9fに接触し、側面9c、9dの凸部9eに巻回される振れ補正用コイル26の2個の長辺部26aのうちの上側に配置される長辺部26aの前後方向の内側面は、側面9c、9dの凸部9eの上端に繋がる接触面9fに接触している。
【0044】
また、凸部9eの厚さ(側面9a〜9dからの凸部9eの突出量)は、振れ補正用コイル26の厚さよりも厚くなっており、凸部9eの先端側は、振れ補正用コイル26よりも外周側へ突出している。すなわち、側面9a、9bに形成される凸部9eの左右方向の厚さは、振れ補正用コイル26の厚さよりも厚くなっており、側面9a、9bに形成される凸部9eの左右方向の外側端部分は、振れ補正用コイル26よりも左右方向の外側へ突出している。また、側面9c、9dに形成される凸部9eの前後方向の厚さは、振れ補正用コイル26の厚さよりも厚くなっており、側面9c、9dに形成される凸部9eの前後方向の外側端部分は、振れ補正用コイル26よりも前後方向の外側へ突出している。
【0045】
一対の側面9a、9bからなる側面対の凸部9eに巻回される2個の振れ補正用コイル26は、1本の導線によって構成され、一対の側面9c、9dからなる側面対の凸部9eに巻回される2個の振れ補正用コイル26は、1本の導線によって構成されている。すなわち、側面9a、9bの凸部9eに巻回される2個の振れ補正用コイル26は、連続する1本の導線によって構成され、側面9c、9dの凸部9eに巻回される2個の振れ補正用コイル26は、連続する1本の導線によって構成されている。
【0046】
(巻線装置の構成)
図6は、本発明の実施の形態にかかる巻線装置41の要部の側面図である。
図7は、
図6に示す従属ヘッド44の一部およびホルダ9の斜視図である。
図8は、
図6に示すホルダ搭載部45およびロック部48の一部の斜視図である。
図9は、
図6のF部の拡大断面図である。
【0047】
ホルダ9の凸部9eへの振れ補正用コイル26の巻回は、巻線装置41を用いて行われる。すなわち、本形態では、巻線装置41を用いて、凸部9eに振れ補正用コイル26が直接巻回される。具体的には、巻線装置41を用いて、4つの側面9a〜9dの凸部9eに振れ補正用コイル26が順次巻回される。
図6に示すように、巻線装置41は、ホルダ9が固定される本体部42と、本体部42を回転させる回転機構(図示省略)と、振れ補正用コイル26を構成する導線を供給する供給ノズル43と、本体部42と一緒に回転する従属ヘッド44とを備えている。
【0048】
本体部42は、ホルダ9が搭載されるホルダ搭載部45と、ホルダ搭載部45との間にホルダ9を挟んでホルダ9を固定するためのクランプ部46と、ホルダ搭載部45を回動可能に保持するとともにクランプ部46を移動可能に保持するベース部47とを備えている。また、本体部42は、ベース部47に対してホルダ搭載部45およびクランプ部46を固定するロック部48を備えている。以下の説明では、ホルダ搭載部45に搭載されるホルダ9の軸方向をU方向とし、回転機構によって回転させられる本体部42の回転の軸方向をV方向とする。U方向とV方向とは直交している。また、U方向とV方向とに直交する方向をW方向とする。
【0049】
ホルダ搭載部45は、全体としてU方向を長手方向とする軸状に形成されており、U方向を回動の軸方向としてベース部47に回動可能に保持されている。ホルダ搭載部45の一端に、ホルダ9が搭載され、ホルダ搭載部45の他端には、十字状に形成される回動規制部45aが形成されている(
図8参照)。クランプ部46は、ベース部材47に対してU方向へ直線的に移動可能となっている。ロック部48は、V方向を長手方向とする軸状に形成されており、ベース部47に対してV方向へ直線的に移動可能となっている。
【0050】
本形態では、ホルダ搭載部45の一端とクランプ部46との間にホルダ9を挟んだ状態で、ロック部48の先端を回動規制部45aに係合させるとともに、ロック部48をクランプ部46に係合させると、ホルダ搭載部45およびクランプ部46が固定されて、本体部42にホルダ9が固定される。本体部42にホルダ9が固定された状態では、ホルダ9の側面9a、9bおよび側面9c、9dのいずれか一方がW方向とU方向とから構成されるWU平面と平行になり、側面9a、9bおよび側面9c、9dのいずれか他方がU方向とV方向とから構成されるUV平面と平行になっている。また、本体部42にホルダ9が固定された状態からロック部48をV方向へ移動させると、ホルダ搭載部45の回動およびクランプ部46の移動が可能となる。
【0051】
従属ヘッド44は、V方向へ直線的に移動可能となっている。また、従属ヘッド44は、V方向を回転の軸方向として回転可能となっている。従属ヘッド44には、従属ヘッド44を回転させる回転機構が連結されている。この回転機構は、本体部42と従属ヘッド44とが同期して回転するように、従属ヘッド44を回転させる。V方向から見たときに、本体部42の回転中心と従属ヘッド44の回転中心とが一致している。また、従属ヘッド44は、V方向において、ホルダ9の側面9a〜9dのいずれかに対向するように配置されている。具体的には、従属ヘッド44は、供給ノズル43から供給される導線が巻回される凸部9eが形成されている側面9a〜9dのいずれかに対向するように配置されている。
【0052】
従属ヘッド44の、側面9a〜9dとの対向面44aには、
図7、
図9に示すように、凸部9eの先端側部分(V方向の外側端部分)が入り込む2個の凹部44bが形成されている。また、対向面44aには、側面9a〜9dに形成される2個の凸部9eの間に配置されるヘッド側凸部44cがホルダ9側に突出するように形成されている。2個の凹部44bは、W方向において、2個の凸部9eの間の間隔と同じ間隔をあけた状態で形成されている。ヘッド側凸部44cは、W方向において、2個の凹部44bの間に形成されている。
【0053】
巻線装置41を用いて振れ補正用コイル26を凸部9eに巻回するときには、まず、本体部42にホルダ9を固定するとともに、導線の一端をホルダ9の所定位置に絡げて固定する。その後、従属ヘッド44の凹部44bの中に凸部9eの先端側部分が配置されるように(具体的には、
図9に示すように、凹部44bの底面に凸部9eの先端面が接触するように)従属ヘッド44をV方向へ移動させる。この状態で、供給ノズル43から導線を供給しながら、本体部42と従属ヘッド44とを一緒に回転させることで、4つの側面9a〜9dの凸部9eに振れ補正用コイル26を順次巻回する。
【0054】
本形態では、たとえば、側面9aの凸部9e、側面9bの凸部9e、側面9cの凸部9e、および、側面9dの凸部9eの順番で、振れ補正用コイル26が巻回されるようにホルダ搭載部45を回動させる。あるいは、たとえば、側面9dの凸部9e、側面9cの凸部9e、側面9bの凸部9e、および、側面9aの凸部9eの順番で、振れ補正用コイル26が巻回されるようにホルダ搭載部45を回動させる。4つの側面9a〜9dの凸部9eへの振れ補正用コイル26の巻回が終わると、供給ノズル43から供給される導線が切断され、切断された導線の他端に対して所定の処理が行われる。また、4つの側面9a〜9dの凸部9eへの振れ補正用コイル26の巻回が終わると、側面9bの凸部9eと側面9cの凸部9eとの間で導線が切断される。
【0055】
また、各側面9a〜9dの凸部9eへの振れ補正用コイル26の巻回が終了するごとに、ホルダ9が固定された状態のホルダ搭載部45の回動が可能となるように、従属ヘッド44をV方向へ移動させる。また、本形態の導線は、融着被膜を有する融着線であり、各側面9a〜9dの凸部9eへの振れ補正用コイル26の巻回が終了するごとに、振れ補正用コイル26を加熱して、導線同士を融着させる。
【0056】
なお、側面9a、9bの凸部9eおよび側面9c、9dの凸部9eのいずれか一方への振れ補正用コイル26の巻回が終了した時点で導線を一旦切断し、再び、ホルダ9に導線の一端を絡げてから側面9a、9bの凸部9eおよび側面9c、9dの凸部9eのいずれか他方への振れ補正用コイル26の巻回を行っても良い。また、4つの側面9a〜9dの凸部9eへの振れ補正用コイル26の巻回が終わった後に、必要に応じて、振れ補正用コイル26を追加で加熱して導線同士をより確実に融着させても良いし、ホルダ9への振れ補正用コイル26の固定強度を高めるために、接着剤を塗布しても良い。
【0057】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ホルダ9の側面9a〜9dのそれぞれに形成される2個の凸部9eに振れ補正用コイル26が直接巻回されている。そのため、本形態では、凸部9eに振れ補正用コイル26を巻回することで、そのまま、振れ補正用コイル26をホルダ9に取り付けることが可能になる。また、本形態では、側面9a、9bに巻回される2個の振れ補正用コイル26は、連続する1本の導線によって構成され、側面9c、9dに巻回される2個の振れ補正用コイル26は、連続する1本の導線によって構成されている。そのため、本形態では、4個の振れ補正用コイル26がホルダ9に取り付けられていても、導線の8個の端部の処理を行う必要はなく、導線の4個の端部の処理を行えば良い。したがって、本形態では、ホルダ9への振れ補正用コイル26の取付作業を容易に行うことが可能になる。
【0058】
本形態では、凸部9eの先端側が、振れ補正用コイル26よりも外周側へ突出している。そのため、本形態では、凸部9eに巻回される振れ補正用コイル26の巻崩れが発生しにくくなる。また、本形態では、凸部9eの先端側が、振れ補正用コイル26よりも外周側へ突出しているため、撮影用光学装置1の組立時等において、コイルユニット35を取り扱う際に、振れ補正用コイル26が外部の部材に接触しにくくなる。したがって、本形態では、コイルユニット35を取り扱う際の振れ補正用コイル26の損傷を防止することが可能になる。また、本形態では、振れ補正用コイル26の内周端が凸部9eに密着しているため、ホルダ9に対する振れ補正用コイル26の固定強度を高めることが可能になる。
【0059】
本形態では、側面9a〜9dに形成される2個の凸部9eのそれぞれに2個の第1内周端26cの一部が接触するとともに、2個の凸部9eのそれぞれに2個の第2内周端26dのそれぞれの少なくとも一部が接触するように凸部9eが形成されている。そのため、本形態では、2個の凸部9eに直接巻回されて略長方形状の枠状に形成される振れ補正用コイル26を精度良く形成することが可能になる。また、本形態では、ホルダ9に対する振れ補正用コイル26の取付位置の精度を高めることが可能になる。
【0060】
本形態では、巻線装置41は、ホルダ9が固定される本体部42と、ホルダ9の側面9a〜9dのいずれかに対向するように配置され本体部42と一緒に回転する従属ヘッド44とを備えている。したがって、本形態では、ホルダ9の外周側への振れ補正用コイル26の巻崩れを防止するための鍔部等の巻崩れ防止部が形成されていないホルダ9の凸部9eに振れ補正用コイル26が直接巻回されても、従属ヘッド44の作用によって振れ補正用コイル26の巻崩れを防止することが可能になる。
【0061】
特に本形態では、従属ヘッド44に、凸部9eの先端側部分が入り込む凹部44bが形成されているため、巻線装置41の各構成部品やホルダ9の製造上のばらつき、巻線装置41の組立誤差および本体部42に対するホルダ9の取付誤差等が生じても、凸部9eの先端面と従属ヘッド44の対向面44aとの間に隙間が形成されない。したがって、本形態では、巻崩れ防止部が形成されていない凸部9eに直接巻回される振れ補正用コイル26の巻崩れを確実に防止することが可能になる。
【0062】
本形態では、従属ヘッド44に、側面9a〜9dに形成される2個の凸部9eの間に配置されるヘッド側凸部44cが形成されている。そのため、本形態では、凸部9eに振れ補正用コイル26を巻回する際に、従属ヘッド44に対するホルダ9の位置決めが容易になる。
【0063】
(ホルダおよび従属ヘッドの変形例)
図10は、本発明の他の実施の形態にかかるホルダ9および従属ヘッド44の構成を説明するための拡大図であり、(A)は側面図、(B)は平面図である。
【0064】
上述した形態では、側面9a〜9dのそれぞれに、2個の凸部9eが形成されている。この他にもたとえば、側面9a〜9dのそれぞれに、振れ補正用コイル26が巻回される3個以上の凸部が形成されても良い。また、側面9a〜9dのそれぞれに、振れ補正用コイル26が巻回される1個の凸部が形成されても良い。側面9a〜9dのそれぞれに1個の凸部が形成される場合には、たとえば、この1個の凸部に、2個の第1内周端26cの少なくとも一部および2個の第2内周端26dの少なくとも一部が接触するように凸部が形成される。
【0065】
また、側面9a〜9dのそれぞれに、振れ補正用コイル26が巻回される1個の凸部が形成される場合には、2個の第1内周端26cの中心部分のみが接触する1個の凸部9h(
図10参照)が形成されていても良い。この場合には、
図10(B)に示すように、従属ヘッド44に、W方向において凸部9hの両側に配置される2個のヘッド側凸部44fがホルダ9側に突出するように形成される。また、この場合には、
図10(A)に示すように、U方向における凸部9hの幅は、U方向におけるヘッド側凸部44fの幅よりも広くなっている。また、この場合には、
図10(B)に示すように、振れ補正用コイル26の厚さ方向となるV方向における凸部9hの厚さは、V方向におけるヘッド側凸部44fの厚さ以下となっている。具体的には、V方向における凸部9hの厚さは、V方向におけるヘッド側凸部44fの厚さよりも薄くなっている。
【0066】
図10に示す変形例では、U方向における凸部9hの幅がU方向におけるヘッド側凸部44fの幅よりも広くなっているため、凸部9hおよびヘッド側凸部44fに導線を巻回させた後に、ホルダ9から遠ざかる方向へ従属ヘッド44を退避させることで、凸部9hに振れ補正用コイル26を直接巻回することが可能になる。すなわち、
図10に示す変形例では、2個の第1内周端26cの中心部分のみが接触する1個の凸部9hがホルダ9の側面9a〜9dに形成されている場合であっても、凸部9hに振れ補正用コイル26を直接巻回することが可能になる。
【0067】
また、
図10に示す変形例では、V方向における凸部9hの厚さがV方向におけるヘッド側凸部44fの厚さ以下となっているため、巻線装置41の各構成部品やホルダ9の製造上のばらつき、巻線装置41の組立誤差および本体部42に対するホルダ9の取付誤差等が生じても、ヘッド側凸部44fの先端面と側面9a〜9dとの間に隙間が形成されるのを防止することが可能になる。したがって、2個の第1内周端26cの中心部分のみが接触する1個の凸部9hが側面9a〜9dに形成されている場合であっても、凸部9hに直接巻回される振れ補正コイル26の巻崩れを確実に防止することが可能になる。
【0068】
さらに、
図10に示す変形例では、ホルダ9の側面9a〜9dと従属ヘッド44の対向面44aとの距離が上述した形態と同様に設定されて、上述した形態の振れ補正用コイル26の厚さと同じ厚さの振れ補正用コイル26が凸部9hに巻回される場合には、凸部9hの先端側が、振れ補正用コイル26よりも外周側へ突出しない。そのため、
図10に示す変形例では、振れ補正用コイル26の厚さを確保して振れ補正機構7の駆動力を確保しつつ、前後左右方向でコイルユニット35を小型化することが可能になる。したがって、振れ補正機構7の駆動力を確保しつつ、前後左右方向において、可動モジュール3を小型化することが可能になり、その結果、前後左右方向において、撮影用光学装置1を小型化することが可能になる。
【0069】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0070】
上述した形態では、従属ヘッド44にヘッド側凸部44cが形成されているが、従属ヘッド44にヘッド側凸部44cが形成されていなくても良い。また、上述した形態では、従属ヘッド44に凹部44bが形成されているが、従属ヘッド44に凹部44bが形成されていなくても良い。この場合には、コイルユニット35において、側面9a、9bに形成される凸部9eの左右方向の外側端面(すなわち、先端面)は振れ補正用コイル26の左右方向の外側面と略一致し、側面9c、9dに形成される凸部9eの前後方向の外側端面は、振れ補正用コイル26の前後方向の外側面と略一致する。
【0071】
また、
図10に示す変形例において、従属ヘッド44の対向面44aに凸部9hが入り込む凹部が形成されていても良い。この場合には、V方向における凸部9hの厚さは、V方向におけるヘッド側凸部44fの厚さ以上であって、かつ、ヘッド側凸部44fの先端面とホルダ9の側面9a〜9dとが接触する厚さに設定される。
【0072】
上述した形態では、側面9a、9bの凸部9eに巻回される2個の振れ補正用コイル26は、連続する1本の導線によって構成され、側面9c、9dの凸部9eに巻回される2個の振れ補正用コイル26は、連続する1本の導線によって構成されている。この他にもたとえば、4個の振れ補正用コイル26のそれぞれが1本の導線によって構成されても良い。この場合には、巻線装置41を用いて凸部9eに振れ補正用コイル26を巻回する際に、各側面9a〜9dの凸部9eへの振れ補正用コイル26の巻回が終了するごとに、ホルダ搭載部45を90°回動させれば良い。
【0073】
上述した形態では、ホルダ9の軸方向から見たときのホルダ9の外周面は、略正方形状に形成されている。この他にもたとえば、ホルダ9の軸方向から見たときのホルダ9の外周面は、略長方形状に形成されても良いし、略正六角形状や略正八角形状等に形成されても良い。すなわち、ホルダ9の外周面は、互いに略平行な一対の側面からなる側面対が2個以上組み合わされることで形成されていれば良い。この場合には、ホルダ9の側面の数と同数の偶数個の振れ補正用コイル26がホルダ9に取り付けられる。また、上述した形態では、コイルユニット35は、撮影用光学装置1に搭載されているが、コイルユニット35は、撮影用光学装置1以外の装置に搭載されても良い。すなわち、本発明におけるコイルは、振れ補正用コイル26以外のコイルであっても良い。