【解決手段】発光構造は、第1の表面および第2の表面を有する基材10と、基材10の第1の領域12に配置されるポリマー層であって、ポリマーおよび複数の発光ナノ結晶を含むポリマー層と、を備え、ポリマー層は、パターン化表面を有し、パターン化表面は、第1の複数の陥凹部を有する第1の領域12および第2の複数の陥凹部を有する第2の領域14を有し、各領域の中の複数の陥凹部は、第1の方向の第1の周期性および第1の方向と交差する第2の方向の第2の周期性を有し、第1の領域12の第1の周期性は、第2の領域14の第1の周期性と異なる。ポリマー層は、複数の発光ナノ結晶を組み込む。ポリマー層よりも高い屈折率を有する材料の層16が、ポリマー層のパターン化表面に配置され得る。
【発明の概要】
【0005】
ここで、我々は、新しい発光構造および素子、ならびにそのような構造および素子を作製する方法を提供する。
【0006】
照明およびビデオディスプレイに使用される発光ダイオード(LED)の電力効率、スペクトル特性、および出力方向性は、光子放射体と相互作用するナノ構造を統合することによって調整され得る。現在、可視波長放射ナノ構造材料は、ポリマーに基づく光子結晶(PC)内に統合し、紫外線放射LEDによって励起することができることが分かっている。本明細書で論じられるときに、ナノ構造材料という用語は、量子ドット材料、ならびに、ヘテロ接合ナノロッド等の1つ以上のヘテロ接合を含むナノ結晶性のナノ粒子、ナノ結晶を含む。
【0007】
PCの設計は、直交方向に別個の周期を組み込み、1つ以上のナノ構造材料に対する紫外線励起光子の共振結合、およびPCの表面に対して垂直な光子を効率的に抽出するための可視ナノ構造材料(複数可)の放射を同時に可能にする。励起および抽出の増強の両立は、ナノ構造材料(複数可)の出力強度の増加をもたらす。複数のナノ構造材料をドープしたPCは、ナノ構造材料の別個の集団と最適に結合させるために、単一の表面に組み合わせることができ、色出力を混合するための能力、および複数の波長の方向性を提供する。素子は、製造可能なレプリカモールディング手法によって、軟質プラスチック表面に製作することができる。
【0008】
より具体的には、第1の態様において、発光構造が提供され、該発光構造は、第1の表面および第2の表面を有する基材と、基材の第1の表面に配置されるポリマー層であって、ポリマーおよび複数の発光結晶等の1つ以上の発光ナノ構造材料を含む、ポリマー層と、を備え、ポリマー層は、パターン化表面を有し、パターン化表面は、第1の複数の陥凹部を有する第1のパターン化領域および第2の複数の陥凹部を有する第2のパターン化領域を有し、各領域の中の複数の陥凹部は、第1の方向の第1の周期性および、第1の方向と交差する第2の方向の第2の周期性を有し、第1の領域の第1の周期性は、第2の領域の第1の周期性と異なる。代表的な態様において、第1の領域の第1の周期性は、第2の領域の第1の周期性と異なり、それによって、例えば、第1の波長(例えば、赤色)の光が第1の領域で放射され、第2の波長(例えば、青色)の光が第2の領域で放射されるような、各領域において異なる波長の光を放射するように、各領域において別個の発光ナノ結晶が選択的に励起される。好ましい態様において、第1の領域の第1の周期性は、第2の領域の第1の周期性と異なり、ここで、2つのそれぞれの第1の周期性は、同じ測定値(例えば、第1の領域のそれぞれにおける最も近い隣接する陥凹部の中間点間の距離)において5%を超えて異なり、より一般的には、2つのそれぞれの第1の周期性は、同じ測定値(例えば、第1の領域のそれぞれにおける最も近い隣接する陥凹部の中間点間の距離)において少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、または70%異なる。
【0009】
好ましい実施形態において、第1の領域の第2の周期性は、第2の領域の第2の周期性と少なくとも実質的に同じである。代表的な態様において、第1の領域の第2の周期性は、UV放射を含む同じ入来光源を出力結合するように、第2の領域の第2の周期性と少なくとも実質的に同じである。例えば、ある好ましい態様において、第1の領域の第2の周期性は、第2の領域の第2の周期性と少なくとも実質的に同じであり、ここで、2つのそれぞれの第2の周期性は、同じ測定値(例えば、第2の領域のそれぞれにおける最も近い隣接する陥凹部の中間点間の距離)において5%を超えずに異なり、より一般的には、2つのそれぞれの第2の周期性は、同じ測定値(例えば、第2の領域のそれぞれにおける最も近い隣接する陥凹部の中間点間の距離)において4%、3%、2%、1%、または0.5%を超えずに異なる。製作技法に対する制限は、正確に同じではない2つのそれぞれの第2の周期性をもたらし得る。
【0010】
ポリマー層は、複数の第1の領域および複数の第2の領域を備えることができる。ある実施形態において、第1および第2の領域は、互いに交互の関係にある。
【0011】
ある実施形態において、1つ以上の発光ナノ構造材料は、1つ以上のヘテロ接合を含む。ある実施形態において、1つ以上の発光ナノ構造材料は、量子ドットを含む。ある実施形態において、基材は、光透過性である。ある実施形態では、ポリマー層よりも高い屈折率を有する材料の層が、ポリマー層のパターン化表面に配置される。ある実施形態において、第2の方向は、65〜115°で第1の方向と交差する。ある実施形態において、第2の方向は、第1の方向に対して実質的に直角である。
【0012】
別の態様において、本発明は、発光装置を提供し、該発光装置は、構造であって、第1の表面および第2の表面を有する基材と、基材の第1の表面に配置されるポリマー層であって、ポリマーおよび複数の発光結晶等の1つ以上の発光ナノ構造材料を含む、ポリマー層と、を備え、ポリマー層は、パターン化表面を有し、パターン化表面は、第1の複数の陥凹部を有する第1のパターン化領域および第2の複数の陥凹部を有する第2のパターン化領域を有し、各領域の中の複数の陥凹部は、第1の方向の第1の周期性および第1の方向と交差する第2の方向の第2の周期性を有し、第1の領域の第1の周期性は、第2の領域の第1の周期性と異なり、ポリマー層よりも高い屈折率を有する材料の層が、ポリマー層のパターン化表面に配置され、また、基材の第2の表面に光を提供するように配設される光源を備える、構造を備える。
【0013】
上で論じられるように、代表的な態様において、第1の領域の第1の周期性は、第2の領域の第1の周期性と異なり、それによって、例えば、第1の波長(例えば、赤色)の光が第1の領域で放射され、第2の波長(例えば、青色)の光が第2の領域で放射されるような、各領域において異なる波長の光を放射するように、各領域において別個の発光ナノ結晶が選択的に励起される。好ましい態様において、第1の領域の第1の周期性は、第2の領域の第1の周期性と異なり、ここで、2つのそれぞれの第1の周期性は、同じ測定値(例えば、第1の領域のそれぞれにおける最も近い隣接する陥凹部の中間点間の距離)において5%を超えて異なり、より一般的には、2つのそれぞれの第1の周期性は、同じ測定値(例えば、第1の領域のそれぞれにおける最も近い隣接する陥凹部の中間点間の距離)において少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、または70%異なる。
【0014】
好ましい実施形態において、第1の周期性は、画定された方向に光放射を出力結合するように動作可能である。ある実施形態において、第1の周期性は、基材の第1の表面に対して垂直である方向に光放射を出力結合するように動作可能である。
【0015】
別の態様では、構造が提供され、該構造は、ポリマーおよび複数の発光ナノ結晶等の1つ以上の発光ナノ構造材料を含む、ポリマー層を備え、ポリマー層は、第1および第2の領域を備え、各領域は、第1の方向の第1の周期性および第1の方向と交差する第2の方向の第2の周期性を有する。
【0016】
さらなる態様では、本発明の構造を形成することを含む、発光システムを形成するための方法が提供される。ある実施形態において、システムのポリマー層は、複数の第1の領域および複数の第2の領域を備える。
【0017】
本発明はまた、様々な発光素子、光検出器、化学センサ、光起電力素子(例えば、太陽電池)、トランジスタ、およびダイオード、ならびに本明細書で開示されるシステムを備える生物活性表面を含む、本明細書で開示される方法によって得られる、または得ることが可能な素子も提供する。
【0018】
本発明の他の態様は、下で開示される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで、我々は、光子結晶の共振モードを、角度および波長の特定の組み合わせで起こすように操作することができ、選択された波長および入射方向の光を、光子結晶に結合させ、元の照明光源よりも大幅に大きい振幅を有する、高度に局所化された電磁定常波を励起することを可能にすることを見出した。これは、例えば誘電材料および材料寸法の適切な選択によって達成することができる。広帯域の励起波長から非常に固有の波長に光をダウンコンバートする量子ドットを含むナノ構造材料が、ナノ構造材料の関連する励起および/または放射波長に結びつくように設計された固有の共振を有する光子結晶に成功裏に組み込まれている。我々は、非対称性を光子結晶構造に導入することによって、直交方向における異なる周期の使用を通して、光子結晶が、広範囲に変動する波長で多数の共振を組み込み得、よって、統合されたナノ構造材料放射体の励起および放射スペクトルと同時に相互作用して、ナノ構造材料(例えば、量子ドット)によって発生される光子の数を増加させ、一方で、視聴者に到達する放射光子の効率を高めることを見出した。
【0021】
ここで、我々は、ポリマーおよび複数の発光ナノ結晶等の1つ以上の発光ナノ構造材料を含むポリマー層を備える構造であって、第1および第2の領域を含むパターン化表面を有し、基材の表面に配置されるポリマー層は、所望の光の出力スペクトルを提供するように調整することができる、構造を実証した。
【0022】
我々は、本構造がいくつかの性能的な利益を提供できることを見出した。特に、本構造は、発光ナノ結晶の光出力の抽出および励起の増強を両立することができる。
【0023】
したがって、一態様において、本発明は、構造を提供し、該構造は、第1の表面および第2の表面を有する基材と、基材の第1の表面に配置されるポリマー層であって、ポリマーおよび複数の発光ナノ結晶等の1つ以上の発光ナノ構造材料を含む、ポリマー層と、を備え、ポリマー層は、パターン化表面を有し、該パターン化表面は、第1の複数の陥凹部を有する第1のパターン化領域および第2の複数の陥凹部を有する第2のパターン化領域を有し、各領域の中の複数の陥凹部は、第1の方向の第1の周期性および、第1の方向と交差する第2の方向の第2の周期性を有し、第1の領域の第1の周期性は、第2の領域の第1の周期性と異なる。
【0024】
図1は、本発明による例示的な素子の具体例である。
図1で分かるように、ポリマー層は、基材10上の第1の領域12および第2の領域14に適用される。ポリマー層は、複数の発光ナノ結晶を組み込む。ポリマー層よりも高い屈折率を有する材料の層16が、ポリマー層のパターン化表面に配置され得る。基材は、任意の剛体材料または軟質材量、好適には、所望の波長範囲において光透過性である材料で作製することができる。例えば、基材は、ガラス、酢酸セルロース、またはポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、および同類のもの等のポリマー材料で作製することができる。基材は、例えば、1ミクロン〜1mmの厚さの任意の適切な厚さを有することができる。
【0025】
基材10に適用されるポリマーは、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、および同類のものを含む、任意の適切なポリマー材料とすることができる。好ましいポリマー材料としては、メタクリル酸ラウリル(LMA)、エチルグリコールジメタクリレート(EGDMA)、およびそれらの混合物が挙げられる。ポリマー層は、随意に、NOA61(Norland Products,Inc,)等の光透過性接着剤によって基材に接着することができる。
【0026】
パターン化表面の第1のパターン化領域12および第2のパターン化領域14は、それぞれが複数の陥凹部を有する。各パターン化領域において、複数の陥凹部は、周期性を有し、例えば、複数の陥凹部は、表面の指定された次元に沿って等間隔で配置されるか、または他の規則的もしくは繰り返し配設である。複数の陥凹部は、例えばパターン化したマスターテンプレート上へポリマー溶液をコーティングすることによって、ポリマー層と一体的に形成することができる。代替として、複数の陥凹部は、最初に、実質的に平坦なまたは平面のポリマー層を基材の上に形成し、次いで、例えばパターン化したダイで型押しすることによりポリマー層をパターン化することによって形成することができる。さらなる代替では、ポリマー層の表面に材料を蒸着させ、それによって、複数の陥凹部をポリマー層上に画定することによって、突条形状、レンズレット形状、角錐形状、台形状、円形状、もしくは正方形状のポスト、または曲線の辺を有する錐体構造(例えば、米国特許公開第2010/128351号を参照されたい)等の微細構造がポリマー層上に形成または適用される。
【0027】
第1の領域および第2の領域のそれぞれの中の複数の陥凹部は、好適には、2つの次元で周期的である。すなわち、最も近い隣接する陥凹部が、表面に沿って2つの異なる方向(すなわち、第1の方向および第2の方向)に等間隔で、または他の規則的なもしくは繰り返しパターンで配置される。したがって、ポリマー層の第1のパターン化領域12は、第1の方向の第1の周期性および第2の方向の第2の周期性を有し、ポリマー層の第2のパターン化領域14は、第1の方向の第1の周期性および第2の方向の第2の周期性を有する。第1のパターン化領域の第1の方向の第1の周期性、および第2のパターン化領域の第1の方向の第1の周期性は、同じであり得るか、または好都合に異なり得る。同様に、第1のパターン化領域の第2の方向の第2の周期性、および第2のパターン化領域の第2の方向の第2の周期性は、同じであり得るか、または異なり得る。ある実施形態において、第1の領域の第2の周期性は、第2の領域の第2の周期性と同じである。
【0028】
陥凹部の間隔は、各ナノ構造材料(例えば、量子ドット)によって発生される光子の数を増加させる手段として、下で論じられるように、ポリマー層の統合発光ナノ結晶の励起および放射スペクトルと同時に相互作用するように、1つ以上の選択された波長で1つ以上の共振を生成するように選択することができる。厳密結合波解析は、所与の間隔または陥凹部に対する、共振波長および共振波長での電磁界分布を予測するために使用することができる。したがって、例えば、250nmの間隔を有する陥凹部は、490nmで共振を提供することができ、一方で、340nmの間隔を有する陥凹部は、590nmで共振を提供することができる。ある実施形態において、第1および第2の方向の間隔は、1ミクロン未満である。
【0029】
ある実施形態において、第1および/または第2の領域内の周期的な陥凹部の第2の方向は、65〜115°の角度で周期的な陥凹部の第1の方向と交差する。ある実施形態において、第2の方向は、第1の方向に対して実質的に直角である。
【0030】
ある実施形態において、ポリマー層は、複数の第1の領域および複数の第2の領域を備える。複数の第1および第2の領域は、チェッカーボードパターン等の任意の所望のパターンでの基材上に配設することができる。ある実施形態において、第1および第2の領域は、互いに交互の関係にある。
【0031】
層16が存在するとき、該層は、ポリマー層の材料よりも高い屈折率を有する任意の光透過性材料とすることができる。層16の適切な材料としては、二酸化チタン(TiO
2)または他の適切な高屈折率の無機酸化物が挙げられる。層16は、コーティング(例えば、スピンコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング)、スパッタリング、またはポリマー層のパターン化を妨げることなく材料の層をポリマー層上に蒸着するための他の方法によって蒸着することができる。層16の厚さは、周期的な陥凹部の共振波長を調整するために使用することができる。層16がTiO
2であるとき、適切な厚さは、約50nm〜約500nm、例えば約85nmである。
【0032】
別の態様において、本発明は、発光装置を提供し、該装置は、構造であって、(i)第1の表面および第2の表面を有する基材と、(ii)基材の第1の表面に配置されるポリマー層であって、ポリマーおよび複数の発光ナノ結晶等の1つ以上の発光ナノ構造材料を含む、ポリマー層と、を備え、ポリマー層は、パターン化表面を有し、パターン化表面は、第1の複数の陥凹部を有する第1のパターン化領域および第2の複数の陥凹部を有する第2のパターン化領域を有し、各領域の中の複数の陥凹部は、第1の方向の第1の周期性および、第1の方向と交差する第2の方向の第2の周期性を有し、第1の領域の第1の周期性は、第2の領域の第1の周期性と異なり、(iii)ポリマー層よりも高い屈折率を有する材料の層が、ポリマー層のパターン化表面に配置され、また、基材の第2の表面に光を提供するように配設される光源を備える、構造を備える。
【0033】
光源は、任意の適切な紫外線(UV)源または可視光源、例えば、LEDを含む200nm<λ<700nmの範囲の光とすることができる。
【0034】
好ましい実施形態において、第1の周期性は、画定された方向に光放射を出力結合するように動作可能である。本明細書で使用されるとき、「出力結合する」または「出力結合している」という用語は、光放射の基材およびI/Oモードを光放射の外部モードに変換し、それによって、素子からの光出力を増強することを指す。ある実施形態において、第1の周期性は、基材の第1の表面に対して垂直である方向に光放射を出力結合するように動作可能である。ある実施形態において、第1の領域の第2の周期性は、第2の領域の第2の周期性と同じである。
【0035】
上で論じられるように、「ナノ構造材料」という用語は、本明細書で使用されるときに、量子ドット材料、ならびにヘテロ接合ナノロッド等の1つ以上のヘテロ接合を含むナノ結晶性ナノ粒子(ナノ粒子またはナノ結晶)を含む。ナノ結晶および量子ドットを含むナノ構造材料は、ナノ結晶構造を有し、かつ量子機械特性を呈するのに十分に小さい半導体材料である。米国特許出願公開第2013/0056705号および米国特許第8039847号を参照されたい。また、米国特許出願公開第2012/0234460号および同第20130051032号も参照されたい。
【0036】
したがって、上で論じられるように、ナノ構造材料という用語は、本明細書で使用されるときに、量子ドット材料、ならびにヘテロ接合ナノロッド等の1つ以上のヘテロ接合を含むナノ結晶性ナノ粒子(ナノ粒子)の双方を含む。
【0037】
量子ドットは、好適には、II〜VI族の材料、III〜V族の材料、V族の材料、またはそれらの組み合わせであり得る。量子ドットは、好適には、例えばCdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CiaN、Gal、GaAs、InP、およびInAsから選択される少なくとも1つを含み得る。異なる条件の下で、量子ドットは、上記の材料の2つ以上を含む化合物を含み得る。例えば、化合物は、単純に混合した状態で存在する2つ以上の量子ドット、2つ以上の化合物結晶が同じ結晶に、例えばコア−シェル構造または勾配構造を有する結晶に部分的に分割される混合結晶、または2つ以上のナノ結晶を含む化合物を含み得る。例えば、量子ドットは、貫通孔を伴うコア構造、またはコアおよびコアを収容するシェルを伴う収容構造を有し得る。そのような実施形態において、コアは、例えば、CdSe、CdS、ZnS、ZnSe、CdTe、CdSeTe、CdZnS、PhSe、AgInZnS、およびZnOのうちの1つ以上の材料を含み得る。例えば、シェルは、CdSe、ZnSe、ZnS、ZnTe、CdTe、PbS、TiO、SrSe、およびHgSeから選択される1つ以上の材料を含み得る。
【0038】
複数のヘテロ接合を含む不活性化ナノ結晶性ナノ粒子(ナノ粒子)は、好適には、素子として使用したときに光放射を増強する電荷担体注入過程を促進する。そのようなナノ粒子はまた、半導体ナノ粒子とも称され得、1次元ナノ粒子に接触する単一のエンドキャップまたは複数のエンドキャップを各端部に配置した、1次元ナノ粒子を含み得る。エンドキャップはまた、互いに接触し、1次元ナノ粒子を不活性化する役割も果たし得る。ナノ粒子は、少なくとも1つの軸を中心に対称または非対称であり得る。ナノ粒子は、組成、幾何学的構造、および電子構造において、または組成および構造の双方において非対称であり得る。ヘテロ接合という用語は、別の半導体材料の結晶格子上で成長させた1つの半導体材料を有する構造を意味する。1次元ナノ粒子という用語は、ナノ粒子の質量が、第1の電力に対するナノ粒子の特性寸法(例えば、長さ)によって変動する物体を含む。これは、次式(1)で示される。Mα I d、式中、Mは、粒子の質量であり、Iは、粒子の長さであり、dは、粒子の次元を決定する指数である。したがって、例えば、d=1のとき、粒子の質量は、粒子の長さに正比例し、この粒子は、1次元ナノ粒子と称される。d=2のとき、粒子は、プレート等の2次元物体であり、一方で、d=3のときには、円筒または球体等の3次元の物体を画定する。1次元ナノ粒子(d=1である粒子)としては、ナノロッド、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノウィスカー、ナノリボン、および同類のものが挙げられる。一実施形態において、1次元ナノ粒子は、曲線または波状(蛇行)であり得、すなわち、1〜1.5のdの値を有する。
【0039】
例示的な好ましい材料は、特許出願第13/834,325号および同第13/834,363号で開示されており、どちらも参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
1次元ナノ粒子は、好適には、直径約1nm〜10000ナノメートル(nm)、好ましくは、2nm〜50nm、より好ましくは、5nm〜20nm(約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20nm等)の断面積または特性厚さ寸法(例えば、円形断面積の場合の直径、または正方形断面積もしくは長方形断面積の四角形の場合の対角線)を有する。ナノロッドは、好適には、その特性寸法が上述した範囲内にある円形断面積を有する剛体ロッドである。ナノワイヤまたはナノウィスカーは、曲線状であり、異なる形状またはうねり形状を有する。ナノリボンは、4つまたは5つの直線側部によって囲まれた断面積を有する。そのような断面積の例としては、正方形、長方形、平行六面体、菱面体、および同類のものが挙げられる。ナノチューブは、実質的に同心の穴を有し、該穴は、ナノチューブの全長にわたって横断し、それによって、該穴をチューブ状にする。このような1次元ナノ粒子のアスペクト比は、2以上、好ましくは、5以上、より好ましくは、10以上である。
【0041】
1次元ナノ粒子は、半導体を含み、該半導体としては、好適には、II〜VI族(ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、および同類のもの)、およびIII〜V族(GaN、CiaP、GaAs、CiaSh、InN、InP、InAs、InSb、AlAs、AlP、AISb、および同類のもの)、およびIV族(Ge、Si、Pb、および同類のもの)の材料、それらの合金、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0042】
量子ドット材料を含むナノ構造材料は、商業的に入手可能であり、また、例えば、金属前駆体を使用した標準的な化学的ウェット法によって、ならびに金属前駆体を有機溶液に注入し、金属前駆体を成長させることによっても準備され得る。量子ドットを含むナノ構造材料のサイズは、赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)波長の光を吸収または放射するように調整され得る。したがって、発光ナノ結晶は、選択された波長または波長範囲の光を吸収または放射するように選択され得る。
【0043】
ナノ結晶または量子ドット等の発光ナノ構造材料は、ナノ構造材料(例えば、ナノ結晶または量子ドット)の懸濁液または溶液をモノマー溶液に加え、続いて、ポリマー溶液を基材上へコーティングし、ポリマー溶液を硬化させて、ナノ結晶または量子ドットが埋め込まれたポリマーを提供することによって、ポリマー層の中へ組み込むことができる。
【0044】
本構造は、発光ナノ結晶の光出力の抽出および励起の増強を両立することができる。ある実施形態において、発光ナノ結晶の光出力の励起および抽出の増強は、発光ナノ結晶の光出力の2倍、3倍、4倍、5倍、または10倍とすることができる。
【0045】
以下の実施例は、本発明の実例となる。
【0046】
実施例1:
本実施例では、
図8(a)でも示されるように、量子ドット(QD)を、UVバックライトLEDによって励起されたレプリカモールドした軟質ポリマーに基づくPC構造に組み込んだ。UV励起源をPCの共振モードに結合し、PCの中のQDが受ける電界の大きさを増加させることによって、結合波長での増強された励起をもたらし、したがって、PC構造を伴わないときに起こるよりも大きい光子出力を生成する。非対称のPCは、QD放射の波長での共振を生成するように設計され、PCの表面に対して効率的に垂直に向けられた光子放出をもたらす。
図2でさらに示されるように、2つのPC設計を含むチェッカーボードパターンで、交互配置した表面を設計し、製作した。どちらの領域も同じUV励起波長に対して共振を生成するように設計したが、各領域は、異なるQD放射波長に対して最適化した。したがって、特定の全出力スペクトルを生成するために、各PC設計によって表される相対的な表面領域の選択によって、QDの混合物をポピュレートした単一の表面を調整することができる。
【0047】
材料および方法
シリコンウエハを、レプリカモールディング過程の「マスター」テンプレートとしての役割を果たすように製作し、したがって、所望のPC格子構造のネガ表面画像を含む。
図2(c)で示されるように、マスターの格子構造は、Siウエハ上の熱成長させたSiO
2の層上への電子ビームリソグラフィを介して製作したが、その時点で、高さ80nmのピラーを生成するために、反応性イオンエッチングを使用した。パターン化した素子の面積は、3×3mm
2であった。マスターからのレプリカの完全な除去を促進するために、ウエハを、ピラニア溶液(硫酸および過酸化水素の3:1の混合物(v/v))によって20分間にわたり洗浄し、DI水(MilliQ)で洗い流し、そして、N
2で乾燥した。次に、2滴のNo−Stick溶液を加えた密閉容器の中へウエハを1時間にわたり配置することによって、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン(No−Stick、Alfa Aesar)の気相蒸着を行った。
【0048】
CdSeS/ZnS合金QDをSigma−Aldrichから購入するか(6nm、1mg/mlのトルエン、リガンドとしてオレイン酸)、またはオレイン酸リガンドによってコーティングすることによって本出願のために合成し、次いで、エタノールおよびメタノールによる沈殿および遠心分離を用いて2回精製した。メタクリル酸ラウリル(LMA)およびエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)(Sigma−Aldrich)を使用する前に、阻害物質除去カラム(Sigma−Aldrich)によって阻害物質を除去するために、それらを精製した。
【0049】
182μLのLMAおよび18μLのEGDMAから成るUV硬化型ポリマーを、フラスコの中で混合し、4mLのQDヘキサン溶液および8μLのオレイン酸を加え、十分に混合し、次いで、20μLのPLMAモノポリマー溶液(Scientific Polymer Products,Inc,)を加えて、粘度を増加させた。残りの溶媒を、室温で、回転蒸発を用いて除去し、そして、スピンコーティングの直前に2μLの開始剤(Darocur1173、Sigma−Aldrich)を加えた。溶液を、30秒間にわたり600回転でマスターウエハ上へスピンコーティングし、次いで、窒素雰囲気グローブボックスの中で30分間にわたり高輝度UVランプに曝露することによって、直ちに重合させた。
【0050】
膜が完全に硬化した後に、NOA61(Norland Products Inc,)の層を、複合材膜の上にドロップコーティングした。次いで、低い複屈折性に対して選択したアセタートシート(Optigrafix Acetate)基材を、マスターウエハの上に配置し、未硬化のNOAドロップと接触させて、アセタートシートと複合材薄膜との間に薄い連続する層を形成した。次に、周囲条件の下で、紫外線ランプを使用して10分間にわたりNOAを硬化させた。次いで、NOA層および複合薄膜とともに、アセタート基材を、レプリカの2D空洞構造を含むQD−PLMAの薄膜を伴うマスターウエハから解放した。レプリカモールディングの後に、所望の波長での共振に必要とされる深さまでスパッタリングする(K.J.Lesker Dual−Gun Sputter System)ことによって、TiO
2を蒸着した。複数のTiO
2の層を必要とすることもあるポリマー材料の蒸着に対して熱的に誘発される損傷を回避して、正しい厚さに到達させるために、蒸着時間は、基材の温度が40℃を超えないように制限した。
【0051】
素子構造
素子構造は、チェッカーボードパターンで、2つの別個の2DのPCの領域を交互配置する。
図2(b)で示されるように、各領域は、長方形の空洞から成り、表面の直交方向における周期的な変動によって生じる共振を伴う。各領域は、1つの方向においては、同じUV励起源(領域1および2において、それぞれ、40%および70%のデューティサイクルを伴う、200nmの周期)からの増強を提供するように選択された次元によって変動し、一方で、直交方向は、可視波長での共振を生成するための、より大きい特徴サイズを有する。領域1におけるより大きい特徴は、λ=490nmで共振を生成するために、250nmの横幅を有し、一方で、領域2における特徴は、λ=590nmで共振を生成するように設計された、340nmの横幅を有する。すなわち、第1の領域の第1の周期性は、第2の領域の第1の周期性と異なる。この素子において、その第1の領域の第2の周期性は、その第2の領域の第2の周期性と少なくとも実質的に同じである。どちらの領域についても、構造は、85nmのTiO
2の薄膜でコーティングされる80nmの格子深さを有するQDドープポリマーから形成される。構造の周期は、共振波長の主な決定要素であるが、共振はまた、TiO
2厚さの制御を介して調整することもできる。
【0052】
PCの構造は、
図2で示されるように、x方向およびy方向の双方において周期的境界条件によってPCの単位セルを評価することによって、共振波長および共振波長での電磁界分布を予測するために、厳密結合波解析(Rsoft、DiffractMod)を使用して設計した。UV(n=2.87)と可視(λ=590nmでn=2.61)との間のTiO
2の屈折率の大きな違いのため、2つの波長帯域(350<λ<450nm、および450<λ<800nm)における非偏光の入射光について別個のシミュレーションを行い、各PC領域についてともにプロットしたことに留意されたい。シミュレーションの結果(
図3)は、導波モード共振が起こる波長での、透過効率の大きい落ち込みを示す。どちらの領域も、UVのλ=370nm付近で共振を有し、領域1は、λ=490nm付近で共振を有し、一方で、領域2は、λ=600nm付近で共振を有する。これらの可視波長共振は、PCに組み込まれるQDの放射スペクトルと重複するように設計される。2DのPC構造は、非偏光の入射光が受ける特徴サイズの変動によって引き起こされる、複数の追加的な共振モードを生成する。また、1次元PCでは、TMモード(x方向成分およびz方向成分の双方を有する)およびTEモード(y方向成分を有する)を分離することができるが、2DのPCでは、どちらのモードもTE様およびTM様のモードとして現れ、設計によって必要とされる波長以外の波長での追加的な共振に通じる。
【0053】
結果
素子の放射特性は、励起源として20nmの全幅半値を有する、λ=375nmを中心とするUV−LED(Thor Labs,Ultra Bright Deep Violet LED)を使用して測定した。LEDから任意の非UV放射を排除するために、350<λ<390nmの帯域通過フィルタを使用した。LED出力は、PCを照明する前にコリメートした。素子は、直径3mmの開口部を有するカバーの上に載置し、パターン化したPC領域だけが励起され、測定されることを確実にした。
【0054】
試験下の素子は、電動回転ステージに載置し、入射励起角度を変動させることを可能にした。出力は、励起源から任意の光を排除するためにUVフィルタを通過させ、次いで、光ファイバーに取り付けられたコリメーティングレンズによって収集した。ファイバーは、分光計(USB2000+、Ocean Optics)に接続したが、該分光計によって、同じく0.1度刻みでステージの回転位置を制御するLabView OmniDriverソフトウェアを通して、放射を測定し、観察することができる。
【0055】
抽出角度の影響を測定するために、同じ装置を使用したが、PC試料を回転ステージに載置し、励起角度を変動させる代わりに、PC試料の位置を固定した。光ファイバーに結合させたコリメータを、代わりに、ステージ上に載置し、PCの周りを回転させ、抽出した光を、PC表面に対してある角度範囲にわたって収集することを可能した。
【0056】
素子の光子帯域線図は、励起出力を測定したものと同じ実験装置を使用して決定したが、UV−LEDおよび関連する帯域通過フィルタを、コリメータを通して非偏光を出力する光ファイバーに結合させたタングステン−ハロゲンランプと置き換え、次いで、ある角度範囲にわたって広帯域透過を測定した。
【0057】
λ=505nmのピーク波長で放射するQDによる試料では、
図4で示されるように、光子結晶構造有りおよび無しの出力強度を比較するために、20nmのTiO
2の蒸着前および蒸着後の抽出を測定した。UV−LED出力ビームには非対称性があり、このことは、PC有りおよび無し双方のQD放射において非対称性を生じさせる。しかしながら、PCの存在によって、抽出角度依存性のQD放射の測定した出力強度において、2倍の増加が示される。幅が狭い角度依存性の増強は、抽出角度の変動に起因し、一方で、全ての測定角度にわたる幅広い増強は、PC領域全体にわたって増強された励起に起因する。
【0058】
埋め込まれたQDの亜集団を選択的に高めるためのPCの能力を実証するために、λ=490nmおよびλ=585nmを中心とする放射を有する、均質な混合物を含有する試料QDを製作した。TiO
2無しの構造(
図5(a))の放射、および43nmのTiO
2薄膜の蒸着によってPCを形成した後(
図5(b))の放射を測定することによって、PCの共振無しのQDドープ格子構造に関する放射を測定した。QDの最大放射は、
図5(b)で示されるように、490nmのQDに対しては4倍増加し、585nmのQDに対しては5倍増加したが、それらの放射がそれらの対応するPCの共振に適合する領域内だけである。双方のタイプのQDの放射波長を増強するためのPCの共振条件を調整するために、追加的な42nmのTiO
2を蒸着したが、より厚いTiO
2によってPCの共振条件が赤方偏移したので、490nmのQDに対して合計で4.2倍の増加を、また、585nmのQDに対して合計で5.8倍の増加をもたらした(
図5(c))。
図5(d)は、合計で85nmのTiO
2を伴う構造の光子バンドギャップを示し、図中、より暗い帯域は、PC内の共振につながる波長および角度の組み合わせを示す。これらの帯域は、QD放射の範囲内で、
図5(c)で見られる増強の帯域に対応する。
【0059】
素子構造は、各直交方向において異なる周期を有するので、透過効率は、より短いUV共振特徴によって変動するθにわたる角度の範囲にわたって測定するか、または可視波長に結合されるより大きい特徴による角度Φにわたって測定することができる。2つの光子帯域の差は、
図6で示される。
図6(a)において、角度θが変動すると、UVにおいては角度依存性の共振があるが、可視における共振は、角度に関係なく、全ての波長について一定である。これは、そのような波長に結合する役割を担う特徴が受けるいかなる角度の変動もないという理由で起こる。類似する状況は、UV波長において起こる一定の波長共振を有する
図6(b)で起こる。PCが受ける角度Φが変動している間だけ、より大きいPC特徴へのその結合を変化させ、λ=450nmを超える波長で、角度依存性の変動を示す。
【0060】
PCの結合を有する領域におけるQDの増強は、肉眼で容易に確認できるのに実質的に十分である。
図7は、λ=490nm〜λ=585nmでの放射を伴う、2つの二重領域のQDドープPCの写真を示す。より明るい領域は、埋め込まれたQDに対する増強された励起および抽出の双方を提供している。別の領域は、励起波長にだけ結合されているPCの共振条件を有し、抽出増強の不足のため、より暗く見える。
【0061】
考察
PC構造を使用した素子は、本実施例において、いかなるPC構造も伴わずに生成したQD出力の最大で5.8倍の励起および抽出の増強の両立を実証した。QDがPC構造の双方の領域を通して分散すると仮定すると、励起と抽出との改善の差が予期される。したがって、あらゆる領域の中のQDは、UV励起波長の増強を受けるが、出力波長は、一方の領域においてだけしか、または全素子面積の半分だけしか増強されない。
【0062】
この手法によって提供される増強は、いくつかの方法でさらに高められ得る。例えば、特定の色に対する特徴サイズを最適化することによって、PCは、所望のQDの放射および励起波長により良好に結合するように設計され得、PC内の局所電界を増加させ、したがって、QD出力が受ける増強を高める。励起および抽出の双方を受けるPC画素領域の中にだけQDを特に配置することは、必要とされるQDの数を減少させ、また、より効率的に光を抽出する。
【0063】
素子はまた、異なる波長に結合するように単に設計パラメータを調整することによって、非UV励起源を利用するようにも設計され得る。画素のパターン化はまた、いかなるPC構造も伴わずに領域を作成することもでき、励起源光だけが通過することを可能にし、したがって、照明のための色混合オプションの柔軟性を高める。
【0064】
製作のための非レプリカモールディングの使用は、軟質基材の広い面積の製作にまで拡大することを可能にする。適切な材料によって、広い面積の軟質ディスプレイおよび光源を、画素化したPCの増強を使用するように構築することができる。照明およびディスプレイにおけるPCの使用は、出力角度を広げる、または狭めるための、また、照明およびディスプレイの双方における光出力の方向性を制御するために、PCの増強によって可能である、角度の操作という利点を提供する。PCによって、分極化制御も可能であり、例えば、ディスプレイ技術における初期分極化出力を提供することによって、最高で少なくとも50%のバックライト電力の損失を排除することができる。
【0065】
QD埋め込みPC素子を使用した可能な増強レベルと組み合わせられる、PCによってもたらされる技術的機会は、QDの新規な照明およびディスプレイ用途への手頃な組み込みのための主な実現要因であり得る。増強は、低濃度のQDを必要とし、また、QDに基づく光源の色純度および性能を消費者用途に向けて発展させることができる。
【0066】
本実施例の素子は、レプリカモールドした2次元PCへのQDの組み込みを実証する。PCは、直交軸において別個の周期を有し、構造の1つの方向を、UV−LED励起源を埋め込みQDに共振的に結合することを可能にする。直交方向は、可視スペクトルのQD放射に共振的に結合し、素子表面に対して垂直な光子の抽出を増強する。これらの構造は、PC領域を交互配置し、設計選択可能な共振特性を可能にする手法を使用して、最高で5.8倍の出力強度の励起および抽出の増強の両立を実証し、異なるタイプのQDを、素子の中へ埋め込むこと、および同じ励起源からであるが、異なる抽出波長の同時の増強を受けることを可能にする。軟質基材上の結果として生じる画素化表面は、潜在的な照明またはディスプレイ用途のための複数のQD放射波長の色および方向性出力の混合を可能にする。