【解決手段】圧電振動片110は、所定の振動周波数で振動し、両主面の中央にそれぞれ形成される励振電極141及び励振電極からそれぞれ外周に引き出される引出電極142を有する振動部111と、振動部から離れて振動部を取り囲み、振動部に面する内辺及び最外周の辺である外辺を有し、一対の接続電極143が形成される枠部112と、を備える。また、圧電振動片は、接続電極が、導電性接着剤151又はろう材を介して振動部を枠部に固定するとともに引出電極に接合される接合領域144と、振動部を外部と導通させると共に枠部を固定する固定領域145と、を有する。
前記振動部は円盤状に形成され、前記引出電極は前記振動部の中心から見て60度及び300度の方向に引き出されるとともに、前記振動部の外周には前記振動部を前記枠部に固定するための第1振動部固定パッドが形成され、
前記枠部の内辺が円形に形成されるとともに、前記枠部には、導電性接着剤又はろう材を介して前記第1振動部固定パッドに接合され、前記接続電極に導通しない第2振動部固定パッド及び前記振動部の中心から見て0度の方向に前記接続電極に導通せず前記枠部を固定する枠部固定パッドが形成され、
前記枠部には、前記振動部の中心から見て60度及び300度の方向に前記接合領域が配置され、120度及び240度の方向には前記固定領域が配置され、180度の方向には前記第1振動部固定パッド及び前記第2振動部固定パッドが形成される請求項1又は請求項2に記載の圧電振動片。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1及び特許文献2では、フレキシブル基板又は台座等の他の基板を圧電デバイス内に加えることになるため、圧電デバイスの高さ等の外形が大きくなり、圧電デバイスの低背化等の小型化が困難になっていた。
【0006】
本発明は、熱歪による応力の振動特性への影響が抑えられ、大型化が抑えられた圧電振動片及び圧電デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1観点の圧電振動片は、所定の振動周波数で振動し、両主面の中央にそれぞれ形成される励振電極及び励振電極からそれぞれ外周に引き出される引出電極を有する振動部と、振動部から離れて振動部を取り囲み、振動部に面する内辺及び最外周の辺である外辺を有し、一対の接続電極が形成される枠部と、を備える。また、圧電振動片は、接続電極が、導電性接着剤又はろう材を介して振動部を枠部に固定するとともに引出電極に接合される接合領域と、振動部を外部と導通させると共に枠部を固定する固定領域と、を有する。
【0008】
第2観点の圧電振動片は、第1観点において、枠部が、振動部と同じ材料又は振動部と熱膨張率が同じ材料で形成される。
【0009】
第3観点の圧電振動片は、第1観点及び第2観点において、振動部が円盤状に形成され、枠部の内辺が円形又は矩形に形成される。
【0010】
第4観点の圧電振動片は、第1観点から第3観点において、引出電極が振動部の中心から見て0度の方向及び180度の方向に引き出され、接合領域が振動部の中心から見て0度の方向及び180度の方向に配置され、固定領域が振動部の中心から見て90度の方向及び270度の方向に配置されている。
【0011】
第5観点の圧電振動片は、第1観点及び第2観点において、振動部が円盤状に形成され、引出電極が振動部の中心から見て60度及び300度の方向に引き出されるとともに、振動部の外周には振動部を枠部に固定するための第1振動部固定パッドが形成される。また、枠部の内辺が円形に形成されるとともに、枠部には、導電性接着剤又はろう材を介して第1振動部固定パッドに接合され、接続電極に導通しない第2振動部固定パッド及び振動部の中心から見て0度の方向に接続電極に導通せず枠部を固定する枠部固定パッドが形成される。さらに、枠部には、振動部の中心から見て60度及び300度の方向に接合領域が配置され、120度及び240度の方向には固定領域が配置され、180度の方向には第1振動部固定パッド及び第2振動部固定パッドが形成される。
【0012】
第6観点の圧電振動片は、第1観点及び第2観点において、内辺の内側には複数の振動部が配置される。
【0013】
第7観点の圧電振動片は、第1観点において、内辺の内側には複数の振動部が配置され、複数の振動部が、所定の出力信号を発生する第1振動部と、第1振動部とは異なり、温度と振動周波数との関係が関数で表され温度センサとして使用される第2振動部と、を含む。
【0014】
第8観点の圧電振動片は、第6観点及び第7観点において、枠部及び複数の振動部が第1方向及び第2方向に辺が伸びる矩形に形成され、各振動部が第1方向に並んで配置され、引出電極が各振動部において第2方向側の一方の辺及び一方の辺の反対側の他方の辺に引き出され、各振動部の一方の辺及び他方の辺に対応するように枠部の第1方向に伸びる一辺及び一辺の反対側の他辺にそれぞれ接合領域が形成される。
【0015】
第9観点の圧電振動片は、第6観点及び第7観点において、枠部及び複数の振動部が矩形に形成され、複数の振動部の全てが枠部の一辺のみに接合される。
【0016】
第10観点の圧電振動片は、両主面を有し、所定の振動周波数で振動する振動部と、振動部の両主面にそれぞれ向かい合うように振動部とは離れて配置され、振動部に向かい合う面に形成される励振電極及び励振電極から引き出される引出電極を有する一対の励振電極用ブランクと、振動部よりも厚く形成され、振動部から離れて振動部を取り囲み、引出電極にそれぞれ電気的に接合される一対の接続電極が形成され、導電性接着剤又はろう材を介して振動部及び一対の励振電極用ブランクが固定される枠部と、を有する。
【0017】
第11観点の圧電デバイスは、第1観点から第10観点の圧電振動片と、圧電振動片が固定されるベースと、圧電振動片を密封するカバーと、を有す。
【発明の効果】
【0018】
本発明の圧電振動片及び圧電デバイスによれば、熱歪による応力の振動特性への影響を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の範囲は以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0021】
(第1実施形態)
<圧電デバイス100の構成>
図1(a)は、圧電デバイス100の概略側面図である。圧電デバイス100は、圧電振動片110と、圧電振動片110を載置するベース120と、ベース120と接合して圧電振動片110を密封するカバー130と、を有している。
図1(a)では、カバー130を透過するように見た場合の圧電デバイス100の側面図が示されている。また、以下の説明では、圧電デバイスの高さ方向をY軸方向、ベースの長辺が伸びる方向をX軸方向、X軸方向及びY軸方向に直交し、ベースの短辺が伸びる方向をZ軸方向として説明する。
【0022】
ベース120は、+Y軸側から見た場合の平面形状が、X軸方向に長辺が伸び、Z軸方向に短辺が伸びる矩形形状に形成されている。ベース120は絶縁体で形成されており、2本のリード端子122がベース120を貫通してX軸方向に並んで配置されている。各リード端子122の+Y軸側の端にはサポータ121が固定されており、リード端子122とサポータ121とが互いに電気的に接続されている。
【0023】
圧電振動片110は、所定の振動周波数で振動する振動部111と、振動部111から離れて振動部111を取り囲む枠部112と、により形成されている。振動部111は円盤状に形成されており、枠部112は振動部111を取り囲むリング状に形成されている。枠部112の振動部111に面する内側の内辺は振動部111の外形に合わせて円形に形成されている。これにより、振動部111と枠部112とは所定の距離だけ離れて形成される。
【0024】
振動部111の+Z軸側の面及び−Z軸側の面の中央にはそれぞれ励振電極141が形成されている。各励振電極141は同じ形、同じ大きさであり、全体がZ軸方向に重なるように形成されている。また、振動部111の中心から見て+Y軸方向から+X軸方向へ回転する場合の回転角をθとすると、+Z軸側の励振電極141からはθ=180°となる方向に引出電極142が引き出され、−Z軸側の励振電極141からはθ=0°となる方向に引出電極142が引き出されている。各引出電極142は振動部111の外周にまで引き出されている。
【0025】
枠部112には一対の接続電極143が形成されている。各接続電極143は、導電性接着剤151を介して引出電極142に接続される接合領域144と、枠部112をベース120等に固定するための固定領域145と、を含んで形成されている。各接続電極143は、接合領域144と固定領域145とを繋ぐように形成されている。なお、導電性接着剤151を用いる代わりにAu−Ge合金等のろう材によりろう付けされても良い。
【0026】
枠部112に形成される接合領域144は、振動部111の中心から見てθ=0°及び180°となる方向に形成されており、固定領域145は振動部111の中心から見てθ=270°及び90°となる方向に形成されている。各接合領域144は導電性接着剤151を介して引出電極142に電気的に接続される。また、θ=0°方向に形成される接合領域144からは−X軸方向に、θ=180°方向に形成される接合領域144からは+X軸方向に、それぞれ接続電極143が伸び、枠部112のθ=270°方向及びθ=90°方向に形成される固定領域145に接続される。各固定領域145は、導電性接着剤151を介してサポータ121に固定され、サポータ121と電気的に接続される。
【0027】
カバー130は、ベース120に接合され、圧電デバイス100に密封されたキャビティ101を形成する。キャビティ101は、不活性ガスで満たされ又は真空に引かれた状態に保持され、圧電振動片110が配置される。
【0028】
図1(b)は、
図1(a)のA−A断面図である。振動部111に形成される引出電極142は、振動部111の+Y軸側及び−Y軸側の側面にまで引き出されている。また、接合領域144は、枠部112の振動部111に面する内辺の側面を含む領域に形成されている。圧電振動片110では、引出電極142と接続電極143の接合領域144との間に導電性接着剤151が形成されることにより、振動部111が枠部112に固定され、接続電極143と引出電極142とが電気的に接続されている。
【0029】
従来の圧電デバイスでは、振動部に直接サポータ121が取り付けられることにより、圧電振動片がキャビティ内に載置されていた。しかしこの場合、振動部とサポータとが直接的に接合されるため、サポータの応力が振動部に加わり易く、サポータの応力が振動部の振動を妨げて振動部の振動周波数に影響を与える場合があった。また、応力は経時変化等で緩和されるが、それに伴い振動周波数も経時的に変化して長期周波数の安定度を悪くする場合があった。
【0030】
圧電デバイス100では振動部111とサポータ121とが直接接触していないため、振動部111に加わるサポータ121からの応力が大きく低減される。これにより、振動部111の振動が妨げられず、振動部111の振動周波数に影響が及ぶことが防がれる。
【0031】
また、圧電デバイス100では、サポータ121が接続される固定領域145にサポータ121からの応力がかかるが、接合領域144が固定領域145から離れた位置に形成されていること、及び振動部111と枠部112とが一体的に形成されず、導電性接着剤151を介して接合されていることにより、接合領域144に接合される振動部111に応力が伝わることが妨げられており、振動部111の振動周波数に影響が及ぶことが防がれている。
【0032】
また、振動部111と枠部112とは、熱膨張率が近い材料又は熱膨張率が同じ材料で形成されることが望ましい。例えば、振動部111が水晶で形成される場合には、枠部112も水晶で形成されることが望ましい。圧電デバイス100では、外気温の変化等により圧電振動片110の温度に変化が生じる場合がある。このような温度変化は枠部112及び振動部111を膨張又は収縮させ、これに伴って枠部112が振動部111に応力を与えることが考えられる。しかし、圧電振動片110の枠部112と振動部111との熱膨張率が同じ又は近い場合には、振動部111も枠部112の膨張又は収縮に合わせて膨張又は収縮をするため、振動部111と枠部112との間に応力が生じることが防がれ、振動部111の振動周波数に影響が及ぶことが防がれる。
【0033】
また、圧電振動片110では、枠部112がリング状に形成されることにより、枠部112に応力が加わった場合でも枠部112が容易に変形し難い。そのため、圧電振動片110は衝撃等に対して高い耐性を有する。
【0034】
また、圧電振動片110では、固定領域145がX軸方向に並んでいるため枠部112にはサポータ121からX軸方向の応力がかかる可能性があるが、接合領域144と引出電極142とがY軸方向に接合されているため、振動部111には枠部112に生じるX軸方向の応力が伝わり難く、振動部111の振動周波数に影響が及ぶことが防がれる。
【0035】
さらに、従来の圧電デバイスでは、振動部に応力が及ぶことを防ぐため台座又は基板等をキャビティ内に配置する場合があったが、キャビティを広く取る必要があり、圧電デバイスの外形が大きくなっていた。圧電デバイス100では、台座又は基板等よりも小さい枠部を形成することによりキャビティの大きさ、特に厚さの拡大を最小限に留め、圧電デバイスの外形が大きくなることが防がれている。
【0036】
(第2実施形態)
以下に、圧電デバイス100の変形例として、圧電デバイス200及び圧電デバイス300を示す。以下の説明では、圧電デバイス100と同じ部分に関しては圧電デバイス100と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0037】
<圧電デバイス200の構成>
図2(a)は、圧電デバイス200の上面図である。圧電デバイス200は、圧電振動片210と、圧電振動片210を載置するベース220と、ベース220と接合して圧電振動片210を密封するカバー230と、を有している。また、圧電振動片210は、振動部211及び振動部211を取り囲む枠部212を含んでいる。
図2(a)では、カバー230が取り外された状態の圧電デバイス200を+Y軸側から見た状態の上面図が示されている。
【0038】
振動部211は円盤状に形成されており、枠部212は振動部211を取り囲むリング状に形成されている。枠部212の振動部211に面する内側の内辺は振動部211の外形に合わせて円形に形成されている。これにより、振動部211と枠部212とは所定の距離だけ離れて形成される。また、ベース220は、+Y軸側から見た場合の平面形状が、円形に形成されており、+Y軸側の面の3か所には圧電振動片210を支えるサポータ221が配置されている。ベース220の+Y軸側の面の中央には、振動部211の主面の法線がY軸方向に向くように圧電振動片210が載置されている。振動部211の両主面の中央には励振電極141が形成されており、振動部211の中心から見て−Z軸方向から+X軸方向へ回転する場合の回転角をθとすると、+Y軸側の面の励振電極141からは振動部211の中央からθ=300°方向に引出電極242が引き出され、−Y軸側の面の励振電極141からは振動部211の中央からθ=60°方向に引出電極242が引き出されている。各引出電極242は振動部211の外周にまで引き出されている。
【0039】
枠部212には一対の接続電極243が形成されている。各接続電極243は、導電性接着剤151を介して引出電極242に接続される接合領域244と、枠部212をベース220等に固定するための固定領域245と、を含んで形成されている。各接続電極243は、接合領域244と固定領域245とを繋ぐように形成されている。
【0040】
枠部212に形成される接合領域244は、振動部211の中心から見てθ=60°及び300°となる方向に形成されており、固定領域245は振動部211の中心から見てθ=120°及び240°となる方向に形成されている。各接合領域244は導電性接着剤151を介して引出電極242に電気的に接続される。また、θ=60°方向に形成される接合領域244からは−Z軸方向に、θ=300°方向に形成される接合領域244からは−Z軸方向に、それぞれ接続電極143が伸び、枠部212のθ=120°方向及びθ=240°方向に形成される固定領域245に接続される。各固定領域245は、導電性接着剤151を介してサポータ221に固定され、また、サポータ221と電気的に接続される。
【0041】
また、振動部211のθ=180°となる方向の外周には第1振動部固定パッド246が形成され、枠部212のθ=180°となる方向の内辺には第2振動部固定パッド247が形成され、第1振動部固定パッド246と第2振動部固定パッド247とは互いに導電性接着剤151により接合されている。これにより、振動部211は枠部212に、振動部211の中心から見てθ=60°、180°、及び300°の方向で導電性接着剤151により固定される。
【0042】
さらに、枠部212のθ=0°となる方向であり枠部212の最外周の辺である外辺には、枠部固定パッド248が形成されている。枠部固定パッド248は導電性接着剤151を介してサポータ221に固定されている。これにより、枠部212はサポータ221に、振動部211の中心から見てθ=0°、120°、及び240°の方向で導電性接着剤151により固定される。
【0043】
第1振動部固定パッド246、第2振動部固定パッド247、及び枠部固定パッド248は、例えば引出電極242又は接続電極243と同じ材料により形成される。第1振動部固定パッド246、第2振動部固定パッド247、及び枠部固定パッド248は、振動部211を枠部212に固定し、又は枠部212をサポータ221に固定するためのパッドであり、引出電極242及び接続電極243とは電気的に接続されない。
【0044】
図2(b)は、圧電デバイス200の側面図である。圧電デバイス200は、ベース220の+Y軸側の面にカバー230が載置されることにより密封されたキャビティ201が形成され、キャビティ201には圧電振動片210が配置される。
図2(b)では、カバー230を透過して圧電デバイス200のキャビティ201内の側面図が示されている。ベース220には3つのリード端子122が貫通しており、各リード端子122の+Y軸側の端にはサポータ221が電気的に接続され、固定されている。また、各サポータ221上には圧電振動片210が載置され、接続電極243の固定領域245及び枠部固定パッド248が各サポータ221に導電性接着剤151により接合され固定されている。これにより、圧電振動片210の励振電極141が接続電極243及びサポータ221を介してリード端子122に電気的に接続される。
【0045】
圧電デバイス200は、枠部212がベース220に3点で固定され、振動部211が枠部212に3点で固定されている(
図2(a)参照)。これにより、振動部211及び枠部212がそれぞれ枠部212及びサポータ221に強く固定されるため、圧電デバイス200は衝撃等に対して高い耐性を有する。また、圧電デバイス100と同様に、枠部212を形成することにより振動部211に応力の影響が及びにくくなり、振動部211の振動周波数に影響が及ぶことが防がれる。
【0046】
<圧電デバイス300の構成>
図3(a)は、圧電デバイス300の断面図である。圧電デバイス300は、圧電振動片310と、圧電振動片310を載置するベース120と、ベース120と接合して圧電振動片310を密封するカバー130と、を有している。また、圧電振動片310は、所定の振動周波数で振動する振動部311と、振動部311から離れて振動部311を取り囲む枠部312と、枠部312に固定され励振電極341が形成される一対の励振電極用ブランク313(
図4(a)参照)と、を含んでいる。
【0047】
振動部311は円盤状に形成されており、枠部312は振動部311を取り囲むリング状に形成されている。枠部312の振動部311に面する内側の内辺は振動部311の外形に合わせて円形に形成されている。そのため、振動部311と枠部312とは所定の距離だけ離れて形成される。また、振動部311の中心から見て+Y軸方向から+X軸方向へ回転する場合の回転角をθとすると、振動部311のθ=0°及び180°となる方向の外周には第1振動部固定パッド346が形成され、振動部311の中心から見てθ=0°及び180°となる方向の枠部312の内辺には第2振動部固定パッド347が形成されている。第1振動部固定パッド346と第2振動部固定パッド347とは導電性接着剤151により互いに接合されており、これにより振動部311が枠部312に固定される。
【0048】
また、枠部312には一対の接続電極343が形成されている。接続電極343は接合領域344と固定領域345とを含んでいる。枠部312に形成される接合領域344は、振動部311の中心から見て例えばθ=45°及び225°となる方向に形成されており、固定領域345は振動部311の中心から見てθ=270°及び90°となる方向に形成されている。接続電極343は、θ=225°方向に形成される接合領域344からは−X軸方向に、θ=45°方向に形成される接合領域344からは+X軸方向に、それぞれ伸び、枠部312のθ=270°方向及びθ=90°方向に形成される固定領域345に接続される。各固定領域345は、導電性接着剤151を介してサポータ121に固定され、また、サポータ121と電気的に接続される。
【0049】
カバー130は、ベース120に接合され、圧電デバイス100に密封されたキャビティ101を形成する。キャビティ101は不活性ガスで満たされ又は真空に引かれた状態で保持され、キャビティ101には圧電振動片310が配置される。
【0050】
図3(b)は、圧電デバイス300の概略側面図である。
図3(b)では、カバー130を透過するように圧電デバイス300のキャビティ101内の側面図が示されている。圧電振動片310は、枠部312が導電性接着剤151によりサポータ121に固定される。また、一対の励振電極用ブランク313は、枠部312の+Z軸側及び−Z軸側にそれぞれ配置される。以下の説明では、枠部312の+Z軸側に配置される励振電極用ブランク313を励振電極用ブランク313aとし、枠部312の−Z軸側に配置される励振電極用ブランク313を励振電極用ブランク313bとする。
【0051】
図4(a)は、圧電振動片310の分解平面図である。
図4(a)では、振動部311、励振電極用ブランク313a、及び励振電極用ブランク313bの各平面図がそれぞれ示されている。励振電極用ブランク313a及び励振電極用ブランク313bは、同じ形状、大きさに形成されており、振動部311を挟んでZ軸方向に互いに重なるように配置される。励振電極用ブランク313a及び励振電極用ブランク313bは円盤状に形成され、その直径は枠部312の内辺の直径よりも大きく形成される。励振電極用ブランク313aの−Z軸側の面の中央及び励振電極用ブランク313bの+Z軸側の面の中央にはそれぞれ励振電極341が形成されており、励振電極用ブランク313aではθ=45°の方向に、励振電極用ブランク313bではθ=225°の方向に、それぞれ引出電極342が引き出されている。各引出電極342は、それぞれ接続電極343の接合領域344に導電性接着剤151を介して接合される。
【0052】
図4(b)は、圧電振動片310の側面図である。圧電振動片310では、励振電極用ブランク313aの励振電極341と励振電極用ブランク313bの励振電極341とがZ軸方向に重なるように配置されている。また、圧電振動片310では、一対の励振電極341に交番電圧がかけられることにより振動部311が所定の振動周波数で振動する。
【0053】
圧電デバイス300では枠部312が形成されることにより、圧電デバイス100等と同様に、振動部311に応力がかかり難くなり、振動部311の振動周波数に影響が及ぶことが防がれるため好ましい。
【0054】
また、振動部に励振電極が形成されない圧電デバイスとして例えばBVA(Boitier Vieillssement Ameliore)振動子(特許第5198135号参照)が知られているが、圧電デバイス300はBVA振動子と同様に高い周波数安定度を有すると共にBVA振動子よりも構造が簡略化され、製造コストが抑えられた圧電デバイスとして形成されることができる。
【0055】
(第3実施形態)
圧電デバイス100、200、300はリード端子を有し、主にスルーホール実装に用いられる圧電デバイスであったが、表面実装に用いられる圧電デバイスとして形成されても良い。以下に表面実装に用いられる圧電デバイスについて説明する。
【0056】
<圧電デバイス400の構成>
図5は、圧電デバイス400の分解斜視図である。圧電デバイス400は、圧電振動片410と、圧電振動片410を載置するベース420と、ベース420と接合して圧電振動片410を密封するカバー430と、を有している。また、圧電振動片410は、枠部412と振動部111とを含んで構成されている。枠部412は、+Y軸側から見た形状が矩形の枠状であり、枠部412の内側に円盤状の振動部111が配置されている。
【0057】
ベース420は、矩形形状に形成され、+Y軸側の面の中央が−Y軸方向に凹んで凹部421が形成されている。また、ベース420の+Y軸側の面の凹部421の周囲は、カバー430に接合される接合面422となっている。凹部421には、圧電振動片410が載置される。また、ベース420の−Y軸側の面には、一対の実装端子425が形成されている。
【0058】
ベース420は、+Y軸側に形成される第1層420aと、−Y軸側に配置される第2層420bとの2つの層から形成されている。第1層420aは、中央に凹部421を構成するための貫通孔が形成されている。第2層420bは第1層420aの−Y軸側に形成され、第2層420bの−Y軸側の面には一対の実装端子425が形成されている。第1層420a及び第2層420bは、例えばセラミックにより形成される。
【0059】
カバー430は、平面状に形成されており、ベース420の接合面422に接合されて圧電振動片410が載置された凹部421を密封する。
【0060】
図6(a)は、圧電デバイス400の上面図である。
図6(a)では、カバー430を外した状態の圧電デバイス400が示されている。圧電デバイス400は、枠部412の長辺がX軸方向に伸びるように凹部421に配置される。
【0061】
振動部111の+Y軸側及び−Y軸側の面の中央には、それぞれ励振電極141が形成されている。振動部111の+Y軸側の面に形成されている励振電極141からは−Z軸方向に引出電極142が伸び、−Y軸側の面に形成されている励振電極141からは+Z軸方向に引出電極142が伸びている。また、枠部412には、枠部412の+Z軸側及び−Z軸側の辺の中央に接合領域444が形成され、枠部412の+X軸側及び−X軸側の辺の中央の−Y軸側の面に固定領域445が形成されている。枠部412に形成される接続電極443は、−Z軸側の接合領域444からは+X軸方向に接続電極443が伸び+X軸側の固定領域445に電気的に接続される。また、+Z軸側の接合領域444からは−X軸方向に接続電極443が伸び−X軸側の固定領域445に電気的に接続される。
【0062】
図6(b)は、
図6(a)のB−B断面図である。圧電デバイス400は、ベース420の接合面422に封止材152を介してカバー430が接合されることにより、凹部421が密封されている。圧電振動片410では、引出電極142が振動部111の外周の側面にまで形成されている。また、接合領域444は枠部412の内辺の側面にも形成されている。振動部111は、振動部111の側面に形成された引出電極142と枠部412の内辺の側面に形成された接続電極443の接合領域444とが導電性接着剤151を介して接合され、電気的に接続される。
【0063】
図6(c)は、
図6(a)のC−C断面図である。ベース420の凹部421内の底面には一対の電極パッド426が形成されている。各電極パッド426は、第2層420bを貫通する貫通電極427を介して実装端子425に電気的に接続されている。また、各電極パッド426は、導電性接着剤151を介して接続電極443の固定領域445に電気的に接続される。これにより、励振電極141と実装端子425とが電気的に接続される。
【0064】
圧電デバイス400では、圧電振動片410が枠部412を有することにより、Y軸方向の高さを高くすることなく、圧電デバイス100と同様に振動部111に応力がかかることを抑えることができ、振動部111の振動周波数に影響が及ぶことが防がれる。すなわち、圧電デバイス400は、低背化及び振動周波数の安定化が両立された圧電デバイスとなる。
【0065】
<圧電デバイス500の構成>
図7(a)は、圧電デバイス500の上面図である。圧電デバイス500は、圧電振動片510と、圧電振動片510を載置するベース520と、ベース520と接合して圧電振動片510を密封するカバー430と、を有している。
図7(a)では、カバー430を外した状態の圧電デバイス500が示されている。
【0066】
ベース520は、矩形形状に形成され、+Y軸側の面の中央が−Y軸方向に凹んで凹部521が形成されている。また、ベース520の+Y軸側の面の凹部521の周囲は、カバー430に接合される接合面522となっている。凹部521には、圧電振動片510が載置される。
【0067】
圧電振動片510は、枠部512と2つの振動部511とを含んで構成されている。2つの振動部511は、凹部521の+X軸側及び−X軸側に並んで配置される。各振動部511は矩形形状に形成されており、Z軸方向に長辺が伸びるように配置されている。各振動部511の+Y軸側及び−Y軸側の面には、それぞれ励振電極541が形成されており、+Y軸側の面に形成される励振電極541からは+Z軸方向に引出電極542が引き出され、−Y軸側の面に形成される励振電極541からは−Z軸方向に引出電極542が引き出されている。以下の説明では、−X軸側の振動部511を振動部511aとし、+X軸側の振動部511を振動部511bとする。
【0068】
枠部512は、振動部511a及び振動部511bを囲むように凹部521内に配置されている。枠部512は、+Y軸側から見た形状が矩形の枠状に形成されている。枠部512の+Z軸側及び−Z軸側の各辺にはそれぞれ2箇所に接合領域544が形成され、枠部512の+X軸側及び−X軸側の各辺にはそれぞれ2箇所に固定領域545が形成されている。振動部511a及び振動部511bの引出電極542は、それぞれ枠部512の+X軸側及び−X軸側の各辺の接合領域544に導電性接着剤151を介して接合されている。
【0069】
図7(b)は、
図7(a)のD−D断面図である。圧電デバイス500は、ベース520の接合面522に封止材152を介してカバー430が接合されることにより、凹部521が密封されている。圧電振動片511では、引出電極542が振動部511の外周の側面にまで形成されている。また、接合領域544は枠部512の内辺の側面にも形成されている。圧電振動片511は、圧電振動片511の側面に形成された引出電極542と枠部512の内辺の側面に形成された接合領域544とが導電性接着剤151を介して固定され、互いに電気的に接続される。
【0070】
図7(c)は、
図7(a)のE−E断面図である。ベース520の凹部521内の−Y軸側の面には、4つの接合領域545(
図7(a)参照)にそれぞれY軸方向に重なるように4つの電極パッド526が形成される。また、ベース520の−Y軸側の面の四隅にはそれぞれ実装端子525が形成されている。電極パッド526と実装端子525とは、第2層520bを貫通する貫通電極527を介して互いに電気的に接続されている。また、各電極パッド526は、導電性接着剤151を介して接続電極543の固定領域545に電気的に接続される。これにより、励振電極541と実装端子525とが電気的に接続される。
【0071】
圧電デバイス500では、振動部511a及び振動部511bに互いに異なる周波数を発振させることで、異なる2つの周波数を発振する圧電デバイスとして形成されることができる。また、圧電デバイス500では、一方の振動部511を温度変化に対して直線的に周波数が変化するYカットの水晶材により形成して温度センサとして使用してもよく、さらに凹部521内にヒーターを配置することで励振用の振動部511の温度を高い精度で一定に保つ圧電デバイスとして形成することができる。
【0072】
また、圧電デバイス500では、圧電デバイス400と同様に、低背化及び振動周波数の安定化が両立された圧電デバイスとして形成されることができる。
【0073】
<圧電デバイス600の構成>
図8(a)は、圧電デバイス600の上面図である。圧電デバイス600は、圧電振動片610と、圧電振動片610を載置するベース520と、ベース520と接合して圧電振動片610を密封するカバー430と、を有している。
図8(a)では、カバー430を外した状態の圧電デバイス600の上面図が示されている。
【0074】
圧電振動片610は、枠部612と2つの振動部611とを含んで構成されている。2つの振動部611は凹部521の+X軸側及び−X軸側に並んで配置される。各振動部611は矩形形状に形成されており、Z軸方向に長辺が伸びるように配置されている。各振動部611の+Y軸側及び−Y軸側の面には、それぞれ励振電極541が形成されており、各励振電極541からは+Z軸方向に引出電極642が引き出されている。また、枠部612には接続電極643が形成されている。以下の説明では、−X軸側の振動部611を振動部611aとし、+X軸側の振動部611を振動部611bとする。
【0075】
枠部612は、振動部611a及び振動部611bを囲むように凹部521内に配置されている。枠部612は、+Y軸側から見た形状が矩形の枠状に形成されている。枠部612の+Z軸側の辺には4箇所に接合領域644が形成されており、枠部612の+X軸側及び−X軸側の各辺の2箇所に固定領域645が形成されている。
図8(a)では、各振動部611の+Y軸側の面に形成される励振電極541から引き出される引出電極642に電気的に接続される接合領域644を接合領域644aとし、各振動部611の−Y軸側の面に形成される励振電極541から引き出される引出電極642に電気的に接続される接合領域644を接合領域644bとし、接合領域644aに接合される固定領域645を固定領域645a、接合領域644bに接合される固定領域645を固定領域645b、接合領域644a及び固定領域645aを含む接続電極643を接続電極643a、接合領域644b及び固定領域645bを含む接続電極643を接続電極643bとして示している。また、接続電極643aと接続電極643bとは互いに電気的に接続されていない。
【0076】
図8(b)は、
図8(a)のF−F断面図である。圧電デバイス500は、ベース520の接合面522に封止材152を介してカバー430が接合されることにより、凹部521が密封されている。圧電振動片611では、引出電極642が振動部611の外周の側面にまで形成されている。また、接合領域644は枠部612の内辺の側面にも形成されている。圧電振動片610では、振動部611の側面に形成された引出電極642と枠部612の内辺の側面に形成された接合領域644とが導電性接着剤151を介して固定され、互いに電気的に接続される。
図8(b)では接合領域644aが示されているが、接合領域644bも枠部612の内辺の側面にも形成され、引出電極642と導電性接着剤151を介して固定され、互いに電気的に接続される。
【0077】
図8(c)は、
図8(a)のG−G断面図である。ベース520の凹部521内の−Y軸側の面には、接合領域545にY軸方向に重なるように4つの電極パッド526が形成される。また、ベース520の−Y軸側の面の四隅にはそれぞれ実装端子525が形成されている。電極パッド526と実装端子525とは、第2層420bを貫通する貫通電極527を介して互いに電気的に接続されている。各電極パッド526は、第2層520bを貫通して実装端子425に電気的に接続されている。また、各電極パッド526は、導電性接着剤151を介して接続電極643の固定領域645に電気的に接続される。これにより、励振電極541と実装端子525とが電気的に接続される。
【0078】
圧電デバイス600においても、圧電デバイス500と同様に、異なる2つの周波数を発振する圧電デバイス、温度センサを有する圧電デバイス、及び凹部521内の温度を高い精度で一定に保つ圧電デバイスとして形成することができる。また、圧電デバイス400と同様に、低背化及び振動周波数の安定化が両立された圧電デバイスとして形成されることができる。
【0079】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができ、各実施形態の特徴を様々に組み合わせて実施することができる。
【0080】
例えば、上記実施形態では、圧電振動片がATカット、BTカット等の水晶材料により形成されることができる。また、水晶材料のみならず、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムあるいは圧電セラミックを含む圧電材料を用いることができる。
【0081】
また、上記実施形態の圧電デバイスは、発振回路を含んで圧電発振器として形成されてもよい。さらに、枠部の形状は円形又は矩形に限られず、用途等に応じて楕円形等の様々な形状に形成されても良い。また、枠部内に配置される振動部は、1つ又は2つに限られず3つ以上でも良く、形状も円形又は矩形に限られず楕円形等に形成されても良い。また、振動部は平板状に限られず、励振電極が形成される領域が凸状に形成されるコンベックス形状の振動部として形成されても良い。