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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-226380(P2015-226380A)
(43)【公開日】2015年12月14日
(54)【発明の名称】モータホルダ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/00 20060101AFI20151117BHJP
【FI】
   H02K5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-109877(P2014-109877)
(22)【出願日】2014年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】西中間 英樹
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA08
5H605BB05
5H605EA18
5H605GG04
(57)【要約】
【課題】モータの回転軸に回転部材が装着された状態で当該モータを適切な位置に組み付けるための作業効率を向上させることができるモータホルダを提供する。
【解決手段】モータホルダ100は、第1面110aおよび第2面110bを有する板部110と、モータ200の嵌合部203と嵌め合わされる、板部110を貫通する第1孔部121と、第1孔部121よりも大きく、第1孔部121と連通する第2孔部122であって、板部110を貫通する第2孔部122と、第1面110aから突出する規制部130であって、回転部材210が第1面110a側から第2面110b側へ第2孔部122を貫通している状態において、モータ200の交差面202と接触することにより第1面110aと交差面202との距離を規制する規制部130とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの回転軸に回転部材が装着された状態で当該モータを組み付けることができるモータホルダであって、
第1面および前記第1面と反対側の第2面を有する板部と、
前記モータが有する嵌合部であって前記回転軸と交差する交差面から前記回転軸を囲んで突出する嵌合部と嵌め合わされる、前記板部を貫通する第1孔部と、
前記第1孔部よりも大きく、前記第1孔部と連通する第2孔部であって、前記板部を貫通する第2孔部と、
前記第1面から突出する規制部であって、前記回転部材が前記第1面側から前記第2面側へ前記第2孔部を貫通している状態において、前記モータの前記交差面と接触することにより前記第1面と前記交差面との距離を規制する規制部とを備える
モータホルダ。
【請求項2】
前記規制部は、前記第2孔部の周縁に沿って設けられている
請求項1に記載のモータホルダ。
【請求項3】
前記規制部は、前記第1孔部に近づくほど前記第1面からの突出量が減少する傾斜部を有する
請求項1または2に記載のモータホルダ。
【請求項4】
前記第1孔部と前記第2孔部とをつなぐ連通部の、前記第1孔部および前記第2孔部の並び方向と直交する方向の長さは、前記第1孔部に内接する円の直径より小さい
請求項1〜3のいずれか1項に記載のモータホルダ。
【請求項5】
前記規制部の前記第1面からの突出量は、(i)前記交差面からの前記嵌合部の突出量よりも大きく、かつ、(ii)前記交差面から前記回転部材までの距離よりも小さい
請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの回転軸に回転部材が装着された状態で当該モータが組み付けられるモータホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
モータ(電動機)は、多くの電気製品の駆動源として用いられる。例えば、プリンタでは、紙を搬送するための搬送ローラを回転させるためにモータが用いられる。一般的に、モータからの動力は、歯車などの伝達機構を介して搬送ローラ等に伝達される。したがって、モータは、伝達機構と適切な位置関係で組み付けられる必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、モータを適切な位置に組み付けるためのガイドリングが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−176855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、モータを適切な位置に組み付けるための部材(ガイドリング)が必要となるため、組み立て作業が煩雑となり、作業効率が低下する。
【0006】
そこで、本発明は、モータの回転軸に回転部材が装着された状態で当該モータを適切な位置に組み付けるための作業効率を向上させることができるモータホルダを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るモータホルダは、モータの回転軸に回転部材が装着された状態で当該モータを組み付けることができるモータホルダであって、第1面および前記第1面と反対側の第2面を有する板部と、前記モータが有する嵌合部であって前記回転軸と交差する交差面から前記回転軸を囲んで突出する嵌合部と嵌め合わされる、前記板部を貫通する第1孔部と、前記第1孔部よりも大きく、前記第1孔部と連通する第2孔部であって、前記板部を貫通する第2孔部と、前記第1面から突出する規制部であって、前記回転部材が前記第1面側から前記第2面側へ前記第2孔部を貫通している状態において、前記モータの前記交差面と接触することにより前記第1面と前記交差面との距離を規制する規制部とを備える。
【0008】
この構成によれば、モータの嵌合部と嵌め合わされる第1孔部は、第1孔部よりも大きい第2孔部と連通している。したがって、第1孔部に回転部材を通すことができない場合、第2孔部を介して回転部材を板部に貫通させることで、モータの回転軸を第1孔部に移動させることができる。そして、モータの回転軸を第1孔部に移動させた後に、第1孔部にモータの嵌合部を嵌め合わせることができる。これにより、モータの回転軸に回転部材が装着された状態で当該モータを適切な位置に組み付けることができる。
【0009】
さらに、この構成によれば、回転部材が第1面側から第2面側へ第2孔部を貫通している状態において、規制部がモータの交差面と接触することにより第1面と交差面との距離を規制することができる。したがって、モータを第1孔部に移動させる際に、回転部材が板部に接触することを抑制することができる。つまり、モータの回転軸に回転部材が装着された状態で、回転部材を板部に接触させずに容易に嵌合部を第1孔部に嵌め合わせることが可能となる。
【0010】
以上のように、この構成によれば、モータを適切な位置に組み付けるためにモータホルダとは別の部材を用いなくても、適切な位置にモータを組み付けることができる。さらに、回転部材が板部に接触して破損することを抑制することができ、モータをモータホルダに組み付けるための作業性を向上させることができる。その結果、回転部材が装着されたモータをモータホルダに組み付けるための作業効率を向上させることができる。
【0011】
例えば、前記規制部は、前記第2孔部の周縁に沿って設けられてもよい。
【0012】
この構成によれば、規制部を第2孔部の周縁に沿って配置することができる。したがって、モータの回転軸が第2孔部に挿入されているときに規制部を安定して交差面に接触させることができる。したがって、回転部材が板部に接触することをさらに抑制することが可能となる。
【0013】
例えば、前記規制部は、前記第1孔部に近づくほど前記第1面からの突出量が減少する傾斜部を有してもよい。
【0014】
この構成によれば、規制部が傾斜部を有するので、モータの回転軸が第2孔部から第1孔部に移動するときにモータを第1面に近づく方向に誘導することができる。したがって、傾斜部による誘導に従ってモータを第1面に近付けることにより、モータの嵌合部を第1孔部に容易に嵌め合わせることができる。つまり、回転部材が装着されたモータをモータホルダに組み付けるための作業効率をさらに向上させることができる。
【0015】
例えば、前記第1孔部と前記第2孔部とをつなぐ連通部の、前記第1孔部および前記第2孔部の並び方向と直交する方向の長さは、前記第1孔部に内接する円の直径より小さくてもよい。
【0016】
この構成によれば、連通部の長さを第1孔部に内接する円の直径より小さくすることができる。したがって、モータの嵌合部が第1孔部に嵌め合わされた状態において当該嵌合部が第2孔部へ移動することを防ぐことができる。したがって、より容易に、モータを適切な位置に組み付けることができる。
【0017】
例えば、前記規制部の前記第1面からの突出量は、(i)前記交差面からの前記嵌合部の突出量よりも大きく、かつ、(ii)前記交差面から前記回転部材までの距離よりも小さくてもよい。
【0018】
この構成によれば、規制部の第1面からの突出量を、(i)交差面からの嵌合部の突出量よりも大きく、かつ、(ii)交差面から回転部材までの距離よりも小さくすることができる。したがって、モータを第2孔部から第1孔部に移動させる際に、回転部材および嵌合部を板部から離間させることができ、回転部材が装着されたモータをモータホルダに組み付けるための作業効率をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様に係るモータホルダによれば、モータの回転軸に回転部材が装着された状態で当該モータを適切な位置に組み付けるための作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態に係るモータホルダを含むプリンタの外観を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係るモータホルダの外観を示す斜視図である。
図3】実施の形態に係るモータホルダのモータが組み付けられる位置近傍の拡大斜視図である。
図4】実施の形態に係るモータホルダに組み付けられるモータの斜視図である。
図5】実施の形態に係るモータホルダにモータが組み付けられた状態を示す斜視図である。
図6】実施の形態に係るモータホルダにモータを組み付ける方法を説明するための図である。
図7】実施の形態に係るモータホルダにモータを組み付ける方法を説明するための図である。
図8】実施の形態に係るモータホルダにモータを組み付ける方法を説明するための図である。
図9】実施の形態に係るモータホルダにモータを組み付ける方法を説明するための図である。
図10】実施の形態の変形例1に係るモータホルダにおける第1孔部、第2孔部および規制部を示す図である。
図11】実施の形態の変形例2に係るモータホルダにおける第1孔部、第2孔部および規制部を示す図である。
図12】実施の形態の変形例3に係るモータホルダのモータが組み付けられる位置近傍の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0022】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0023】
(実施の形態)
本実施の形態に係るモータホルダは、モータの嵌合部と嵌め合わされる第1孔部に加えて、第1孔部と連通している、第1孔部よりも大きい第2孔部を備える。したがって、モータの回転軸に嵌合部よりも大きい回転部材が装着された場合でも、モータホルダは、第2孔部を介して、回転部材を板部の第1面側から第2面側へ貫通させることができる。
【0024】
さらに、本実施の形態に係るモータホルダは、モータの交差面と接触することにより第1面と交差面との距離を規制する規制部を備える。したがって、モータホルダは、モータの回転軸が第2孔部に挿入されているときに、回転部材が板部に接触することを抑制することができる。
【0025】
このような本実施の形態に係るモータホルダについて、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0026】
[プリンタの構成]
まず、モータホルダを含むプリンタの構成を説明する。図1は、実施の形態に係るモータホルダを含むプリンタの外観を示す斜視図である。
【0027】
本実施の形態に係るプリンタ10は、レーザプリンタである。プリンタ10の内部には、モータホルダ100が含まれる。
【0028】
モータホルダ100は、モータが組み付けられる部材である。モータホルダ100は、モータマウントあるいはモータ固定部材と呼ばれる場合もある。
【0029】
ここでは、モータホルダ100は、樹脂製のサイドフレームである。モータホルダ100には、モータに加えて、搬送ローラ等の各種部材が組み付けられる。
【0030】
[モータホルダの構成]
次に、本実施の形態に係るモータホルダおよび当該モータホルダに組み付けられるモータの構成について説明する。
【0031】
図2は、実施の形態に係るモータホルダの外観を示す斜視図である。図3は、実施の形態に係るモータホルダのモータが組み付けられる位置近傍の拡大斜視図である。図4は、実施の形態に係るモータホルダに組み付けられるモータの斜視図である。図5は、実施の形態に係るモータホルダにモータが組み付けられた状態を示す斜視図である。
【0032】
モータホルダ100は、図2および図3に示すように、板部110と、第1孔部121と、第2孔部122と、規制部130と、2つの第3孔部140とを備える。また、モータ200は、図4に示すように、回転軸201と、交差面202と、嵌合部203と、2つの穴部204と、回転部材210とを備える。また、モータ200の回転軸201には、回転部材210が装着されている。
【0033】
まず、モータホルダ100の各構成要素について詳細に説明する。
【0034】
板部110は、第1面110aと、第1面110aと反対側の第2面110bとを有する。本実施の形態では、板部110は、樹脂製であり、適度な強度を得るための厚みを有する。
【0035】
第1孔部121は、板部110を貫通する孔である。第1孔部121に、モータ200の嵌合部203が嵌め合わされる。したがって、第1孔部121は、モータ200の嵌合部203に対応する形状を有する。本実施の形態では、第1孔部121は、直径D1の円形状を有する。
【0036】
第2孔部122は、板部110を貫通する孔である。第2孔部122は、第1孔部121と連通している。つまり、第1孔部121と第2孔部122とは、空間的につながっている。
【0037】
また、第2孔部122は、第1孔部121よりも大きい。具体的には、第2孔部122は、モータ200に装着される回転部材210が通過可能な形状および大きさを有する。本実施の形態では、第2孔部122は、直径D1よりも大きい直径D2の円形状を有する。
【0038】
また、本実施の形態では、第1孔部121と第2孔部122とは、その一部が重なり合っている。ここでは、この第1孔部121と第2孔部122とが重なっている部分を連通部123と呼ぶ。つまり、連通部123は、第1孔部121と第2孔部122とをつなぐ。
【0039】
第1孔部121と第2孔部122とをつなぐ連通部123の、第1孔部121および第2孔部122の並び方向と直交する方向の長さLは、第1孔部121に内接する円の直径D1(ここでは、第1孔部121の直径と同一)よりも小さい。これにより、第1孔部121にモータ200の嵌合部203が嵌め合わされたときに、嵌合部203が第2孔部122の方向へ移動することが防がれる。
【0040】
規制部130は、板部110の第1面110aから突出しており、モータ200とモータホルダ100との距離を規制する。具体的には、規制部130は、回転部材210が第1面110a側から第2面110b側へ第2孔部122を貫通している状態において、モータ200の交差面202と接触することにより、板部110の第1面110aとモータ200の交差面202との距離を規制する。より具体的には、規制部130は、(i)嵌合部203が第1面110aに接触しないように、かつ、(ii)回転部材210が第2面110bに接触しないように、第1面110aと交差面202との距離を規制する。
【0041】
つまり、規制部130の第1面110aからの突出量は、モータ200の交差面202からの嵌合部203の突出量よりも大きい。これにより、モータ200の交差面202が規制部130に接触した状態において、嵌合部203が第1面110aに接触することが防がれる。
【0042】
また、規制部130の第1面110aからの突出量は、モータ200の交差面202から回転部材210までの距離(最短距離)よりも小さい。より好ましくは、規制部130の第1面110aからの突出量は、モータ200の交差面202から回転部材210までの距離から板部110の厚みを減算した結果よりも小さい。これにより、モータ200の交差面202が規制部130に接触した状態において、回転部材210が第2面110bに接触することが防がれる。
【0043】
本実施の形態では、規制部130は、第2孔部122の周縁に沿って設けられている。したがって、規制部130は、モータ200の回転軸201が第2孔部122に挿入されている状態においてモータ200の交差面202が板部110の第1面110a側に押し付けられた場合に、モータ200の交差面202と接触する。一方、規制部130は、モータ200の回転軸201が第1孔部121の中心に挿入されている状態においてモータ200の交差面202が板部110の第1面110a側に押し付けられた場合に、モータ200の交差面202と接触しない。つまり、規制部130は、図5に示すようにモータ200がモータホルダ100に組み付けられた状態(嵌合部203が第1孔部121に嵌め合わされた状態)において、モータ200の交差面202と接触しない位置に形成される。
【0044】
さらに、本実施の形態では、規制部130は、第1孔部121に近づくほど第1面110aからの突出量が減少する傾斜部131を有する。ここでは、傾斜部131は、規制部130の両端に形成されている。
【0045】
モータ200の交差面202が傾斜部131に接触することにより、モータ200の交差面202は、第1孔部121の方向へ傾けられる。その結果、モータ200は、回転軸201が第1孔部121の中心に向けて移動されたときに、交差面202が第1面110aに近づく方向へ誘導される。
【0046】
第3孔部140は、板部110を貫通する孔である。第3孔部140には、モータ200を板部110に固定するための締結部材(図示せず)が第2面110b側から第1面110a側に挿入される。
【0047】
続いて、モータ200の各構成要素について詳細に説明する。
【0048】
回転軸201は、モータ200内のロータの回転力を外部に伝達する。回転軸201は、交差面202から突出している。本実施の形態では、モータ200がモータホルダ100に組み付けられる前に、回転部材210が回転軸201に装着されている。
【0049】
交差面202は、回転軸201と交差する面である。ここでは、交差面202は、回転軸201と直交する。
【0050】
嵌合部203は、交差面202から回転軸201を囲んで突出している。ここでは、嵌合部203は円柱形状を有する。嵌合部203は、モータホルダ100の第1孔部121に嵌め合わされる。
【0051】
穴部204は、交差面202に設けられている。穴部204は、嵌合部203がモータホルダ100の第1孔部121に嵌め合わされたときに、モータホルダ100の第3孔部140と重なる位置に設けられている。
【0052】
つまり、モータホルダ100の第3孔部140を介して締結部材が穴部204に挿入される。例えば、穴部204の内壁にねじ溝が形成されており、モータホルダ100の第3孔部140を介して挿入されたねじ(締結部材)が締め付けられる。その結果、モータ200は、モータホルダ100に固定される。
【0053】
回転部材210は、回転軸201に装着される。回転部材210は、回転軸201とともに回転する。本実施の形態では、回転部材210は、図4に示すように平歯車である。
【0054】
[モータホルダにモータを組み付けるための方法]
次に、以上のように構成されたモータホルダ100にモータ200を組み付ける方法について説明する。図6図9は、実施の形態に係るモータホルダにモータを組み付ける方法を説明するための図である。
【0055】
図6図9において、(a)は、モータホルダおよびモータの第1面側からみた斜視図を示す。(b)は、モータホルダおよびモータをZ軸方向からみた断面図を示す。(c)は、モータホルダおよびモータを第2面側からみた平面図を示す。
【0056】
まず、作業者は、図6に示すように、モータ200の回転軸201および回転部材210を、モータホルダ100の第2孔部122に第1面110a側から第2面110b側へ挿入する。このとき、図6の(b)に示すように、交差面202と規制部130とが接触することにより、第1面110aと直交する方向におけるモータ200と板部110との位置関係が規定される。つまり、規制部130は、第1面110aと交差面202との距離を規制する。
【0057】
具体的には、規制部130の第1面110aからの突出量は、交差面202から回転部材210までの距離よりも小さい。したがって、図6の(b)に示すように、回転部材210は、板部110を貫通し、第2面110bから離れた状態で維持される。
【0058】
また、規制部130の第1面110aからの突出量は、交差面202からの嵌合部203の突出量よりも大きい。したがって、図6の(b)に示すように、嵌合部203は、板部110に到達せずに、第1面110aから離れた状態で維持される。
【0059】
続いて、作業者は、図7に示すように、交差面202を規制部130に押し付けたまま、モータ200の回転軸201を連通部123まで移動させる。つまり、第1面110aと交差面202との距離が維持された状態で、モータ200の回転軸201は、連通部123までスライドする。したがって、図7の(b)に示すように、回転部材210および嵌合部203は、板部110に接触しない。
【0060】
次に、作業者は、交差面202を規制部130に接触させた状態で、モータ200の回転軸201を連通部123から第1孔部121の中心へ向けて移動させる。その結果、図8に示すように、交差面202は、規制部130に形成された傾斜部131に到達する。
【0061】
このとき、傾斜部131の傾きによってモータ200の回転軸201は、第1孔部121の方に傾く。また、傾斜部131における規制部130の突出量の減少により、モータ200の交差面202は第1面110aに近づく。
【0062】
最後に、作業者は、モータ200の回転軸201を第1孔部121の中心に移動させる。その結果、図9に示すように、モータ200の回転軸201は、第1孔部121の中心に到達する。このとき、モータ200の交差面202は、規制部130から離れる。したがって、嵌合部203は、第1孔部121に挿入され、交差面202は、板部110の第1面110aに接触する。つまり、嵌合部203と第1孔部121とが嵌り合うことにより、モータ200は、モータホルダ100の適切な位置に位置決めされる。
【0063】
このように嵌合部203と第1孔部121とが嵌り合った状態で、板部110の第2面110b側から、締結部材が、第3孔部140を介してモータ200の穴部204に挿入される。その結果、モータ200は、板部110に固定される。つまり、モータ200は、モータホルダ100に組み付けられる。
【0064】
[効果]
以上のように、本実施の形態に係るモータホルダ100によれば、モータ200の嵌合部203と嵌め合わされる第1孔部121は、第1孔部121よりも大きい第2孔部122と連通している。したがって、第1孔部121に回転部材210を通すことができない場合、第2孔部122を介して回転部材210を板部110に貫通させることで、モータ200の回転軸201を第1孔部121に移動させることができる。そして、モータ200の回転軸201を第1孔部121に移動させた後に、第1孔部121にモータ200の嵌合部203を嵌め合わせることができる。これにより、モータ200の回転軸201に回転部材210が装着された状態で当該モータ200を適切な位置に組み付けることができる。
【0065】
さらに、本実施の形態に係るモータホルダ100によれば、回転部材210が第1面110a側から第2面110b側へ第2孔部122を貫通している状態において、規制部130がモータ200の交差面202と接触することにより第1面110aと交差面202との距離を規制することができる。したがって、モータ200を第1孔部121に移動させる際に、回転部材210が板部110に接触することを抑制することができる。つまり、モータ200の回転軸201に回転部材210が装着された状態で、回転部材210を板部110に接触させずに容易に嵌合部203を第1孔部121に嵌め合わせることが可能となる。
【0066】
したがって、本実施の形態に係るモータホルダ100によれば、モータ200を適切な位置に組み付けるためにモータホルダとは別の部材を用いなくても、適切な位置にモータ200を組み付けることができる。さらに、回転部材210が板部110に接触して破損することを抑制することができ、モータ200をモータホルダ100に組み付けるための作業性を向上させることができる。その結果、回転部材210が装着されたモータ200をモータホルダ100に組み付けるための作業効率を向上させることができる。
【0067】
また、本実施の形態に係るモータホルダ100によれば、規制部130を第2孔部の周縁に沿って配置することができる。したがって、モータ200の回転軸201が第2孔部に挿入されているときに規制部130を安定して交差面に接触させることができる。したがって、回転部材が板部に接触することをさらに抑制することが可能となる。
【0068】
また、本実施の形態に係るモータホルダ100によれば、規制部130が傾斜部131を有するので、モータ200の回転軸201が第2孔部122から第1孔部121に移動するときにモータ200を第1面110aに近づく方向に誘導することができる。したがって、傾斜部131による誘導に従ってモータ200を第1面110aに近付けることにより、モータ200の嵌合部203を第1孔部121に容易に嵌め合わせることができる。つまり、回転部材210が装着されたモータ200をモータホルダ100に組み付けるための作業効率をさらに向上させることができる。
【0069】
また、本実施の形態に係るモータホルダ100によれば、連通部123の長さを第1孔部121に内接する円の直径より小さくすることができる。したがって、モータ200の嵌合部203が第1孔部121に嵌め合わされた状態において当該嵌合部203が第2孔部122へ移動することを防ぐことができる。したがって、より容易に、モータ200を適切な位置に組み付けることができる。
【0070】
また、本実施の形態に係るモータホルダ100によれば、規制部130の第1面110aからの突出量を、(i)交差面202からの嵌合部203の突出量よりも大きく、かつ、(ii)交差面202から回転部材210までの距離よりも小さくすることができる。したがって、モータ200を第2孔部122から第1孔部121に移動させる際に、回転部材210および嵌合部203を板部110から離間させることができ、回転部材210が装着されたモータ200をモータホルダ100に組み付けるための作業効率をさらに向上させることができる。
【0071】
(変形例1)
次に、実施の形態の変形例1について説明する。本変形例に係るモータホルダでは、第1孔部、第2孔部および規制部の形状が上記実施の形態と異なる。以下に、本変形例に係るモータホルダについて、実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0072】
図10は、実施の形態の変形例1に係るモータホルダにおける第1孔部、第2孔部および規制部を示す図である。
【0073】
本変形例では、第1孔部121Aおよび第2孔部122Aは、それぞれ台形状を有する。そして、第1孔部121Aおよび第2孔部122Aは連通している。具体的には、第1孔部121Aおよび第2孔部122Aは、平行な2辺(上底および下底)のうちの短い方の1辺(上底)を共有している。この共有している辺の部分を連通部123Aと呼ぶ。つまり、第1孔部121Aおよび第2孔部122Aは、連通部123Aでつながっている。
【0074】
ここで、連通部123Aの長さLAは、第1孔部121Aに内接する円(図10中の破線)の直径DAよりも小さい。モータ200の嵌合部203は、第1孔部121Aに内接する円と実質的に同一の形状および大きさを有しているので、第1孔部121Aに嵌った状態で第2孔部122Aに移動できない。
【0075】
規制部130Aは、第2孔部122Aの周縁に沿って設けられている。規制部130Aの端部には、第1孔部121Aに近づくほど第1面からの突出量が減少する傾斜部131Aが形成されている。
【0076】
このように第1孔部121A、第2孔部122Aおよび規制部130Aが形成されている場合であっても、モータホルダ100は、上記実施の形態と同様に、モータ200の回転軸201に回転部材210が装着された状態で、回転部材210を板部110に接触させずに容易に嵌合部203を第1孔部121Aに嵌め合わせることができる。つまり、第1孔部121Aおよび第2孔部122Aが円形でない場合でも、モータホルダ100は、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0077】
(変形例2)
次に、実施の形態の変形例2について説明する。本変形例に係るモータホルダでは、第1孔部、第2孔部、連通部および規制部の形状が上記実施の形態と異なる。以下に、本変形例に係るモータホルダについて、実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0078】
図11は、実施の形態の変形例2に係るモータホルダにおける第1孔部、第2孔部および規制部を示す図である。
【0079】
本変形例では、第1孔部121Bおよび第2孔部122Bは、実施の形態と同様に、それぞれ円形状を有する。ただし、第1孔部121Bと第2孔部122Bとは重なり合っていない。
【0080】
連通部123Bは、第1孔部121Bと第2孔部122Bとの間をつなぐ通路である。連通部123Bは、第1孔部121Bの直径DBよりも小さい幅LBを有する。つまり、第1孔部121Bと第2孔部122Bとをつなぐ連通部123Bの、第1孔部121Bおよび第2孔部122Bの並び方向と直交する方向の長さLBは、第1孔部121Bに内接する円の直径DB(ここでは、第1孔部121Bの直径と同一)よりも小さい。
【0081】
規制部130Bは、第2孔部122Bおよび連通部123Bの周縁に沿って設けられている。規制部130Bの端部には、第1孔部121Bに近づくほど第1面からの突出量が減少する傾斜部131Bが形成されている。
【0082】
このように第1孔部121B、第2孔部122B、連通部123Bおよび規制部130Bが形成されている場合であっても、モータホルダ100は、上記実施の形態と同様に、モータ200の回転軸201に回転部材210が装着された状態で、回転部材210を板部110に接触させずに容易に嵌合部203を第1孔部121Bに嵌め合わせることができる。つまり、第1孔部121Bおよび第2孔部122Bが重なり合っていない場合でも、モータホルダ100は、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0083】
(変形例3)
次に、実施の形態の変形例2について説明する。本変形例に係るモータホルダでは、複数の規制部が離散的に配置されている点が上記実施の形態と異なる。以下に、本変形例に係るモータホルダについて、実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0084】
図12は、実施の形態の変形例3に係るモータホルダのモータが組み付けられる位置近傍の拡大斜視図である。なお、図12において、図3と同一の構成については、同一の符号を付し説明を省力する。
【0085】
本変形例に係るモータホルダは、3つの規制部136〜138を備える。この3つの規制部136〜138は、実施の形態における規制部130の一部が取り除かれた結果と一致する。つまり、本変形例における規制部136は、実施の形態における規制部130の中央部分に対応する。また、本変形例における規制部137、138は、実施の形態における規制部130の両端部分に対応する。
【0086】
規制部137は傾斜部137aを有し、規制部138は傾斜部138aを有する。傾斜部137a、138aでは、実施の形態と同様に、第1孔部121Bに近づくほど第1面110aからの突出量が減少する。
【0087】
このように3つの規制部136〜138が形成されている場合であっても、3つの規制部136〜138は、回転部材210が第1面110a側から第2面110b側へ第2孔部122を貫通している状態において、モータ200の交差面202と接触することにより第1面110aと交差面202との距離を規制することができる。つまり、本変形例に係るモータホルダ100は、上記実施の形態と同様に、モータ200の回転軸201に回転部材210が装着された状態で、回転部材210を板部110に接触させずに容易に嵌合部203を第1孔部121Bに嵌め合わせることができる。
【0088】
(他の変形例)
以上、本発明の実施の形態および変形例に係るモータホルダ100について説明したが、本発明は、この実施の形態および変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態および変形例に施したものや、実施の形態および変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も本発明の範囲内に含まれる。
【0089】
例えば、上記実施の形態および各変形例において、規制部は、傾斜部を有していたが、傾斜部を有しなくてもよい。このような場合であっても、規制部は、モータホルダの第1面とモータの交差面との距離を規制することができ、回転部材が装着されたモータをモータホルダに組み付けるための作業効率を向上させることができる。
【0090】
なお、上記実施の形態および各変形例では、モータホルダがプリンタに含まれる場合について説明したが、これに限られない。例えば、モータホルダは、イメージスキャナあるいはファクシミリ装置に含まれてもよい。つまり、モータホルダは、モータを有する装置に含まれればよい。
【0091】
なお、上記実施の形態および各変形例において、モータホルダは樹脂製であったが、これに限られない。例えば、モータホルダは、金属製であってもよい。
【0092】
なお、上記実施の形態および各変形例において、モータホルダの第3孔部およびモータの穴部に締結部材を挿入することにより、モータは、モータホルダに固定されていたが、モータの固定方法はこれに限定されない。例えば、モータは、接着剤を用いてモータホルダに固定されてもよい。この場合、モータホルダの第3孔部およびモータの穴部は形成されなくてもよい。
【0093】
なお、上記実施の形態および各変形例において、回転部材は、平歯車であったが、これに限定されない。例えば、回転部材は、かさ歯車あるいはウォームギアであってもよい。また、回転部材は、歯車でなくてもよい。例えば、回転部材は、フライホイールであってもよい。
【0094】
なお、上記実施の形態および各変形例において、モータの嵌合部は、円柱形状を有していたが、この形状に限定されない。例えば、嵌合部は、角柱形状あるいは錐形状を有してもよい。また例えば、嵌合部は、円柱形状の側面から径方向に突出する突起部を有してもよい。なお、いずれの場合も、第1孔部は、嵌合部と嵌り合うために、嵌合部の形状に対応する形状を有する。
【0095】
なお、上記実施の形態および各変形例において、モータをモータホルダに組み付ける際に、モータが移動されていたが、モータホルダが移動されてもよい。または、モータおよびモータホルダの両方が移動されてもよい。つまり、モータは、モータホルダに対して相対的に移動されればよい。
【0096】
なお、上記実施の形態および各変形例において、規制部の数は、1つまたは3つであったが、規制部の数はこれに限定されない。例えば、モータホルダは、第2孔部の周辺にそって配列された4つ以上の規制部を備えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の一態様に係るモータホルダは、例えば、モータを駆動源として用いる、プリンタなどの電気機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0098】
10 プリンタ
100 モータホルダ
110 板部
110a 第1面
110b 第2面
121、121A、121B 第1孔部
122、122A、122B 第2孔部
123、123A、123B 連通部
130、130A、130B、136、137、138 規制部
131、131A、131B、137a、138a 傾斜部
140 第3孔部
200 モータ
201 回転軸
202 交差面
203 嵌合部
204 穴部
210 回転部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12